説明

低消費電力装置

【課題】 スタンバイ時におけるマイコンの消費電力をきわめて良好に低減できる低消費電力装置を提供すること。
【解決手段】 マイコン11は、リモコン信号が入力され、第1の割り込み信号が割り込み端子14に入力されるまで、低消費電力モードを継続する。第1の割り込み信号が入力されると、低消費電力モードと通常モードとを周期的に繰り返す間欠動作を実行し、リモコン信号の受信が終了すると、間欠動作を終了する。間欠動作の終了後は、マイコン11は、リモコン信号が実行必要信号である場合、通常モードを継続し、そうでなければ低消費電力モードを継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンバイ状態においてマイコンが動作を停止する低消費電力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AV機器等の電子機器は、電源オフ時においてもユーザのリモコン操作に応じて電源をオン状態にできるように、マイクロコンピュータ(以下、単にマイコンとする)およびその周辺回路のみに電源を供給するスタンバイ状態(待機状態)を有している。しかし、最近はそのスタンバイ状態においても、さらなる省電力化が要求され、マイコンには、マイコンが実行する処理がない場合に、マイコンの動作自体も停止する低消費電力モードが設けられている。そして、リモコン信号が入力された場合に、マイコンの割り込み端子に割り込み信号を入力し、低消費電力モードから通常モードに移行するようにしている。ここで、リモコン信号が通常モードに移行する必要のない信号(例えば、CDプレーヤーの場合、ストップ等)である場合には、通常モードから再び低消費電力モードに移行するが、リモコン信号が通常モードに移行する必要のない信号であるか否かはリモコン信号を最後まで受信しないと判断できない。従来の方法では、リモコン信号を解析している間、マイコンは通常モードを継続しているので、リモコン受信期間の消費電力を削減できないという問題がある。
【0003】
また、下記特許文献1は、スタンバイ状態において、リモコン信号が入力されるまでは、マイコンは低消費電力モードと通常モードとを繰り返す間欠動作を実行し、リモコン信号が入力されると、通常モードを延長(継続)してリモコン信号を解析する装置が記載されている。しかし、この装置によると、上記と同様にリモコン信号を解析している間は通常モードを継続しているので、リモコン受信期間の消費電力を削減できない。さらに、この装置は、リモコン信号が入力されるまでは、間欠動作を実行し通常モードを所定周期で繰り返すので、平均消費電力が増大するという問題がある。リモコン信号を受信するまでの間、間欠動作を実行するのは、この装置が、割り込み端子を使用せずに、リモコン信号の入力を検出して、低消費電力モードから通常モードに移行することを目的とするからである。
【0004】
また、下記特許文献2は、低消費電力モードから通常モードに移行する際に、低消費電力モードと通常モードとを繰り返す間欠動作を実行し、通常モードの期間を徐々に増加させることにより、平均消費電力を徐々に増加させる装置が記載されている。しかし、この装置によると、リモコン信号の受信が終わった後に間欠動作が実行される。そのため、リモコン信号に基づく動作を実行するのが遅くなるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−14073号公報
【特許文献2】実用新案登録第3065058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、スタンバイ時におけるマイコンの消費電力をきわめて良好に低減できる低消費電力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態による低消費電力装置は、低消費電力モードと通常モードと有し、入力されたリモコン信号に基づく第1の割り込み信号が入力される割り込み端子を含む制御手段を備える。該制御手段は、該第1の割り込み信号が該割り込み端子を介して該制御手段に入力されると、低消費電力モードと通常モードとを周期的に繰り返す間欠動作を実行し、該リモコン信号を受信し終えた場合に該間欠動作を終了する。
【0008】
リモコン信号が入力されると、リモコン信号を受信している間、制御手段は、低消費電力モードと通常モードとを周期的に繰り返す。そのため、制御手段は、通常モードのときにリモコン信号を解析することができ、かつ、低消費電力モードのときに消費電力を低減することができる。そのため、リモコン受信期間の平均消費電力をきわめて良好に低減することができる。リモコン信号を受信し終えると、間欠動作を終了するので、実行する必要のないリモコン信号の場合には、直ちに低消費電力モードに移行することができる。従って、消費電力をさらに低減できる。リモコン信号を受信し終えるとは、リモコン信号を正確に全て受信し終えた場合の他に、リーダーコード(またはカスタムコード)が異なる、あるいは妨害信号が混入しコードを解析できない等の理由により、リモコン信号を途中で破棄した場合も含まれる。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記第1の割り込み信号が上記割り込み端子を介して上記制御手段に入力されるまで、該制御手段は低消費電力モードを継続する。
【0010】
従って、リモコン信号が入力されるまでは常に低消費電力モードを継続するので、スタンバイ時における消費電力をさらに低減することができる。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記リモコン信号が、実行必要信号である場合、上記制御手段は、間欠動作の終了後、通常モードを継続する。該リモコン信号が、実行不要信号である場合、該制御手段は、間欠動作の終了後、低消費電力モードを継続する。
【0012】
実行必要信号の場合、間欠動作終了後、通常モードに移行するので、制御手段はリモコン信号に基づく処理を実行できる。一方、実行不要信号の場合、間欠動作終了後、低消費電力モードに移行するので、消費電力をさらに低減することができる。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記制御手段は、メイン回路と、所定時間をカウントしたときに該メイン回路に第2の割り込み信号を与えるタイマー回路とを有する。上記間欠動作は、該タイマー回路が所定時間をカウントするステップと、該制御手段が通常モードから低消費電力モードに移行するステップと、該タイマー回路が所定時間をカウントしたときに、該メイン回路に該第2の割り込み信号を与えるステップと、該メイン回路が該第2の割り込み信号を受けると、該制御手段が低消費電力モードから通常モードに移行するステップとを含む。
【0014】
割り込み端子に第1の割り込み信号が入力されると、制御手段は通常モードに移行して、タイマー回路がカウント動作を開始する。その後、制御手段は、通常モードの間にリモコン信号を解析したあと、低消費電力モードに移行する。タイマー回路は所定時間をカウント終了すると、メイン回路に第2の割り込み信号を与え、制御手段は第2の割り込み信号によって通常モードに移行する。従って、制御手段が自動的に低消費電力モードに移行すること、および、タイマー回路からの第2の割り込み信号によって通常モードに移行することにより、制御手段は間欠動作を実行することができる。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記制御手段は、メイン回路と、所定時間をカウントしたときに該メイン回路に第2の割り込み信号を与えるタイマー回路と、該メイン回路および該タイマー回路にクロックを供給する発振回路とを有する。上記第1の割り込み信号が上記割り込み端子に入力されるまでの低消費電力モードは、該発振回路が該メイン回路および該タイマー回路にクロックを供給しない第1の低消費電力モードである。上記間欠動作中の低消費電力モードは、該発振回路が該メイン回路にクロックを供給せず、該タイマー回路にクロックを供給する第2の低消費電力モードである。
【0016】
リモコン信号が入力されるまでの間は、制御手段は、メイン回路とタイマー回路との両方に発振回路からクロックが供給されない第1の低消費電力モードである。タイマー回路を動作させる必要がないからである。従って、制御手段はきわめて良好に消費電力を低減できる。一方、間欠動作時には、制御手段は、メイン回路にはクロックが供給されないが、タイマー回路にはクロックが供給される第2の低消費電力モードである。従って、メイン回路にクロックを供給しないことにより、消費電力を良好に低減でき、しかも、タイマー回路にクロックを供給することによりタイマー回路をカウント動作させることができる。そのため、制御手段の平均消費電力をきわめて良好に低減することができる。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態の低消費電力装置は、低消費電力モードと通常モードと有し、入力されたリモコン信号に基づく第1の割り込み信号が入力される割り込み端子を含む制御手段を備える。該制御手段は、該第1の割り込み信号が該割り込み端子を介して該制御手段に入力されるまで、低消費電力モードを継続し、該第1の割り込み信号が該割り込み端子を介して該制御手段に入力されると、低消費電力モードと通常モードとを周期的に繰り返す間欠動作を実行する。
【0018】
リモコン信号が入力されるまでは、制御手段は低消費電力モードを継続する。リモコン信号が入力されると、リモコン信号を受信している間、制御手段は、低消費電力モードと通常モードとを周期的に繰り返す。そのため、制御手段は、通常モードのときにリモコン信号を解析することができ、低消費電力モードのときに消費電力を低減することができる。そのため、制御手段の平均消費電力をきわめて良好に低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
制御手段は、リモコン信号に基づく第1の割り込み信号が割り込み端子に入力されると、低消費電力モードと通常モードとを周期的に繰り返す間欠動作を実行し、リモコン信号の受信が終了したことを判断した場合に、間欠動作を終了するので、電子機器の平均消費電力をきわめて良好に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態による低消費電力装置10を示す概略ブロック図である。低消費電力装置10は、入力される割り込み信号によって、低消費電力モードから通常モードに移行する装置であり、制御手段11およびリモコン受信回路12を備えている。低消費電力装置10は、例えばCDプレーヤー等の一般的な電子機器内に適用される。
【0021】
制御手段11は、低消費電力装置10が適用され得る電子機器(例えば、CDプレーヤー等)全体の動作を制御する(被制御部15を制御する)ものであり、一般的にはマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンとする)が採用され得る。マイコン11は、メモリ13(ROMおよび/またはRAM等)がバス等を介して接続または内蔵されており、メモリ13内に格納されている各種プログラムを実行することにより、各種動作(例えば、CDプレーヤーを再生状態にする等)を実行する。マイコン11は、被制御部15を制御するメイン回路16と、発振回路17と、タイマー回路18とを有する。発振回路17は、クロックを生成し、メイン回路16およびタイマー回路18に生成したクロックを供給する。タイマー回路18は、発振回路17からクロックを受けて、クロックに基づいて所定時間をカウントする。具体的には、クロックのパルスの回数をカウントすることにより、所定時間をカウントする。タイマー回路18は、所定時間をカウントし終えると、そのタイミングでメイン回路16に第2の割り込み信号を与える。第2の割り込み信号は、後述する間欠動作の通常モードへの移行に使用される。メイン回路16は、発振回路17からのクロックを受けて各種動作を実行する。また、メイン回路16は、発振回路17にクロック供給の停止を指示したり、タイマー回路18にカウント動作を開始/停止を指示する。
【0022】
低消費電力装置10は、ユーザのリモコン操作によってメイン電源をオン状態にできるようにマイコン11、メモリ13およびリモコン受信回路12のみに電源を供給するいわゆるスタンバイ状態(待機状態)を有している。すなわち、メイン電源が低消費電力装置10全体に電気的に接続されているのに対して、スタンバイ電源はマイコン11、メモリ13およびリモコン受信回路12のみに電気的に接続されている。スタンバイ状態では、メイン電源がオフ状態になっており、スタンバイ電源のみがオン状態になっている。ここで、オフ状態とは例えば図示しないスイッチが開放されることにより電源が供給されないことを意味し、オン状態とはスイッチが短絡されることにより電源が供給されることを意味する。
【0023】
マイコン11は、その動作状態として、通常モードと低消費電力モードとを有している。通常モードはマイコン2が動作を実行可能な状態であり、具体的には発振回路17からメイン回路16にクロックが供給されている状態である。低消費電力モードは、マイコン2が動作を停止することにより、消費電力をさらに低減させた状態である。低消費電力モードは、具体的には、発振回路17からメイン回路16にクロックが与えられない状態である。低消費電力モードには、さらに、タイマー回路18へのクロック供給も停止する(この場合、発振回路17の発振動作自体を停止してもよい)第1の低消費電力モードと、タイマー回路18へクロックを供給する第2の低消費電力モードとの2種類のモードがある。タイマー回路18にクロックを供給しない第1の低消費電力モードは、消費電力をさらに低減できる。マイコン11は、通常モードにおいてリモコン信号の解析や、リモコン信号に基づく各種動作を実行することができるが、低消費電力モードではこれらの動作を実行できない。そのため、スタンバイ状態が解除された状態では、マイコンは常に通常モードであり、スタンバイ状態では、マイコンは低消費電力モードでも通常モードでも構わない。なお、発振回路17のクロック有無は以下のように制御される。発振回路17からメイン回路16および/またはタイマー回路18へのクロック供給の停止はメイン回路16からの指示によって行われる(例えば、発振回路17とメイン回路16および/またはタイマー回路18との間に設けられたスイッチが開放される)。発振回路17からメイン回路16および/またはタイマー回路18へのクロック供給の開始は第1の割り込み信号または第2の割り込み信号によって行われる(例えば、発振回路17とメイン回路16および/またはタイマー回路18との間に設けられたスイッチが短絡される)。
【0024】
マイコン11は、割り込み端子14を有している。割り込み端子14は、リモコン受信回路12に接続されており、リモコン受信回路12に入力されたリモコン信号が電気信号に変換され、入力される端子である。割り込み端子14に入力された信号は、第1の割り込み信号としてメイン回路16に供給されると共に、リモコン信号としてメイン回路16に供給される。第1の割り込み信号は、低消費電力モードを継続している状態において、マイコン11が低消費電力モードから通常モードに移行するための信号である。すなわち、マイコン11は、低消費電力モードにおいて、割り込み端子14に第1の割り込み信号が入力されると、その第1の割り込み信号のエッジで割り込みを発生させて、通常モードに移行する。
【0025】
図2(a)および(b)は、リモコン信号(第1の割り込み信号)とマイコン11の動作状態とを説明するタイムチャートである。スタンバイ状態において、リモコン信号が入力されるまでは、マイコン11は、常に第1の低消費電力モードを継続する(期間T1)。スタンバイ状態において、リモコン信号が入力されて、リモコン信号を解析している時、マイコン11は、通常モードと第2の低消費電力モードとを周期的に繰り返す(これを間欠動作という)(期間T2)。つまり、間欠動作における通常モード時にリモコン信号を解析する。マイコン11はリモコン信号を解析する際にリモコン信号のハイレベルまたはローレベルを判断するが、リモコン信号のコードの周期に比べて間欠動作の周期を小さく(例えば、250マイクロ秒)することにより、通常モード時のみリモコン信号を解析して、第2の低消費電力モード時にリモコン信号を解析しなくても、正確にリモコン信号を解析できる。次に、スタンバイ状態が解除された(パワーオン)状態において、マイコン11は、リモコン信号の入力に関わらず、通常モードを継続する(図2(b)の期間T3)。なお、図2(a)の期間T3では、リモコン信号が実行不要信号であるので、スタンバイ状態を解除せず、マイコン11は第1の低消費電力モードを継続する(詳細は後述する)。
【0026】
以下、低消費電力装置10の動作の詳細を図2および図3を用いて説明する。図3は、低消費電力装置10の動作(割り込みルーチン)を示すフローチャートである。まず、例えば図2(a)を参照して、マイコン11のスタンバイ状態(期間T1,T2)における処理について説明する。最初に通常モードから低消費電力モードに移行するまでの処理を説明すると、マイコン11は機器がスタンバイ状態であり(S302:YES)、リモコン信号を受信していないので(S303,S307:NO)、タイマー回路18の動作を停止させて、タイマー回路18からの第2の割り込み信号を受け付けないように無効にする(S308)。次に、マイコン11は、リモコン受信回路12から割り込み端子14を介して入力される第1の割り込み信号を受け付けることができるように有効にする(S309)。その後、メイン回路16が発振回路17にメイン回路16およびタイマー回路18へのクロック供給を停止するよう指示することにより、マイコン11は第1の低消費電力モードに移行する(S310)。その結果、期間T1において、リモコン信号がリモコン受信回路12に入力される(すなわち、割り込み端子14経由で第1の割り込み信号がメイン回路16に入力される)までは、マイコン11は第1の低消費電力モードを継続している(S310)。すなわち、メイン回路16およびタイマー回路18の両方にクロックが供給されない、マイコン11の消費電力を最も低減できる状態にある。
【0027】
次にリモコン信号が入力中の期間T2について説明する。リモコン受信回路12は、リモコン信号を受信すると、リモコン信号を電気信号に変換し、割り込み端子14に入力する。マイコン11は、リモコン受信回路12から割り込み端子14を介してメイン回路16に第1の割り込み信号が入力されて、第1の低消費電力モードから通常モードに移行する(時刻t1)。具体的には、第1の割り込み信号によって発振回路17とメイン回路およびタイマー回路との間の図示しないスイッチが短絡されて、発振回路17からクロックが供給されるようになる。第1の割り込み信号の入力有無は、第1の割り込み信号のエッジ(立上りまたは立下り)に基づいて判断される。その後、マイコン11は、割り込み端子14を介してメイン回路16に入力される第1の割り込み信号を受け付けないように無効にする(S311)。次に、タイマー回路18のカウント動作を開始し、発振回路17からのクロックに基づいて所定時間(例えば、250マイクロ秒)をカウント開始する(S312)。さらに、マイコン11は、タイマー回路18からの第2の割り込み信号を受け付けることができるように有効にする(S312)。後述するが、タイマー回路18は、250マイクロ秒をカウントする毎に、メイン回路16に割り込み信号を与える。次に、マイコン11は、リモコン信号を受信中である旨を示すフラグをセットする(S313)。
【0028】
マイコン11のメイン回路16はリモコン信号のコード内容を解析する(S301)。リモコン信号のコード内容は、代表的には、リモコン信号がハイレベルであるかローレベルであるかを判断することにより解析される。次に、マイコン11は、機器がスタンバイ状態であるか否かを判断する(S302)。ここでは、スタンバイ状態であるので(S302:YES)、次にマイコン11は、リモコン信号を受信し終えたか否かを、例えば受信済のリモコン信号のビット数を確認することにより判断する(S303)。すなわち、リモコン信号を解析し終えたか否かを判断する。ここでは、まだリモコン信号を受信し終えていないので(S303:NO)、マイコン11は、リモコン信号を受信中であるか否かをフラグの設定状態に基づいて判断する(S307)。S313でフラグがセットされているので(S307:YES)、マイコン11は、メイン回路16が発振回路17にメイン回路16のみクロック供給を停止するよう指示することにより、時刻t2で第2の低消費電力モードに移行する(S314)。すなわち、メイン回路16にクロックが供給されないが、タイマー回路18にはクロックが供給されている。これは、タイマー回路18のカウント動作を継続させるためである。従って、通常モードに比べて消費電力を低減できるが、S310の第1の低消費電力モードに比べて消費電力がやや大きくなっている。マイコン11は、S312でタイマー回路18のカウント動作を開始しているので、時刻t1から250マイクロ秒後の時刻t3に、タイマー回路18からメイン回路16に第2の割り込み信号が入力されて、第2の低消費電力モードから通常モードに移行する。具体的には、第2の割り込み信号によって発振回路17とメイン回路との間の図示しないスイッチが短絡されて、発振回路17からクロックが供給されるようになる。
【0029】
すなわち、マイコン11は時刻t1からt2までは通常モードであり、リモコン信号のコード内容を解析するが、時刻t2からt3までは第2の低消費電力モードであり、動作を停止し、消費電力を低減している。なお、時刻t1からt2までの時間間隔は、S301,S302,S303,S307,S314をマイコンが処理するまでの時間であり、例えば50マイクロ秒である。この時間が短い方が、通常モードの期間が短くなり、期間T2における平均消費電力をより低減することができる。
【0030】
マイコン11は、時刻t3にリモコン信号のコード内容を解析し(S301)、機器がスタンバイ状態であり(S302:YES)、リモコン信号を受信し終えておらず(S303:NO)、リモコン信号を受信中である(S307:YES)と判断されて、時刻t4で第2の低消費電力モードに移行する(S314)。マイコン11は、S312でタイマー回路18をカウント動作させているので、時刻t3から250マイクロ秒後の時刻t5に、タイマー回路18からメイン回路16に第2の割り込み信号が入力されて通常モードに移行する。すなわち、マイコン11は時刻t3からt4までは通常モードであり、リモコンコードを解析するが、時刻t4からt5までは第2の低消費電力モードであり、動作を停止している。このように、リモコン信号を受信し終えるまでは(S303でYESと判断されるまで)、以上の動作を繰り返し、マイコン11は通常モードと第2の低消費電力モードとを250マイクロ秒の周期で繰り返す。
【0031】
次に、リモコン信号を解析し終えた後の処理(期間T3)について説明する。図2(a)は、リモコン信号が実行不要信号である場合を示し、図2(b)は、リモコン信号が実行必要信号である場合をそれぞれ示す(なお、期間T1およびT2は、図2(a)、(b)共に同一である)。ここで、実行必要信号とは、メイン回路16が被制御回路15を動作させる必要のある信号であり、CDプレーヤーの場合、例えば、「パワーオン/スタンバイ」、「トレイオープン/クローズ」「プレイ」等である。すなわち、実行必要信号は、機器がスタンバイ状態を解除してパワーオン状態になる必要のある信号である。一方、実行不要信号とは、メイン回路16が被制御回路15を動作させる必要のない信号であり、CDプレーヤーの場合、例えば、「ストップ」、「スキップ」等である。すなわち、実行不要信号は、機器がスタンバイ状態を解除する必要のない信号である。
【0032】
まず、図2(a)の場合について説明する。マイコン11は、時刻tn−1に、リモコン信号を解析し(S301)、リモコン信号を受信し終えたと判断すると(S303:YES)、S313でセットしたフラグをリセットして(S304)、リモコン信号が、S301での解析の結果、実行必要信号であるか否かを判断する(S305)。ここでは、実行不要信号であるので(S305:NO)、マイコン11は、タイマー回路18のカウント動作を停止させて、タイマー回路18から第2の割り込み信号を受け付けないように無効にする(S308)。次に、マイコン11は、リモコン受信回路12から割り込み端子14を介して入力される第1の割り込み信号を受け付けることができるように有効にする(S309)。その後、マイコン11は、時刻tに第1の低消費電力モードに移行する(S310)。従って、図2(a)の場合には、リモコン信号の受信中だけ間欠動作を実行し、間欠動作の終了後、再び第1の低消費電力モードに移行する。つまり、リモコン信号が実行不要信号である場合、機器はスタンバイ状態を解除せず、以後、マイコン11は第1の低消費電力モードを継続する。
【0033】
次に、図2(b)の場合について説明する。マイコン11は、リモコン信号が、S301での判断の結果、実行必要信号と判断される(S305:YES)と、スタンバイ状態を解除してパワーオン状態になる(S306)。すなわち、この場合は、時刻tn−1以降は、マイコン11は通常モードを継続することになる。従って、図2(b)の場合には、リモコン信号の受信中だけ間欠動作を実行し、間欠動作の終了後、通常モードを継続する。つまり、リモコン信号が実行必要信号である場合、機器はスタンバイ状態からパワーオン状態になり、以後、マイコン11は通常モードを継続する。
【0034】
なお、スタンバイ状態が解除されているパワーオン状態の時に、リモコン信号を受信した場合には、S302でマイコンはスタンバイ状態ではないと判断するので、割り込み処理を終了する。
【0035】
さらに、図3のS303においてリモコン信号を受信し終えたか否かの判断については、リモコン信号を正確に全て受信し終えた場合以外も含まれる。例えば、リモコン信号が正しいリモコン信号でない場合には、その旨を判断した時点でリモコン信号を破棄するが、その場合にもS303でリモコン信号を受信し終えたと判断する。このときもS305でリモコン信号が実行不要信号と判断され、第1の低消費電力モードに移行する(S310)。なお、正しいリモコン信号でないとは、リモコン信号のリーダーコードまたはカスタムコードが異なる場合である。リーダーコードは、正しい規格のリモコン信号と、規格の異なるリモコン信号またはリモコン信号以外の妨害信号とを区別するためのコードである。カスタムコードは、正しいリモコン送信機からのリモコン信号と、異なるリモコン送信機からのリモコン信号とを区別するためのコードである。同様に、リモコン信号が途中までしか受信できなかった場合、またはリモコン信号に妨害信号が混入しコードを解析できなかった場合にも、リモコン信号を破棄して、S303でリモコン信号を受信し終えたと判断する。この場合にもS305でリモコン信号が実行不要信号と判断され、第1の低消費電力モードに移行する(S310)。
【0036】
以上のように、本実施形態の低消費電力装置10は、スタンバイ状態においてリモコン信号を受信し解析している間は、通常モードと第2の低消費電力モードとを周期的に繰り返すので、リモコン信号受信中のマイコンの平均消費電力を低減できる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、スタンバイ状態の省電力化が望まれている電子機器、特に、TV、オーディオ装置、AVレシーバおよびDVDプレーヤー等のAV機器、あるいはパーソナルコンピュータ等に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の好ましい実施形態による低消費電力装置を示すブロック図である。
【図2】(a)および(b)は、本実施形態の低消費電力装置の動作を示すタイムチャートである。
【図3】本実施形態の低消費電力装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
10 低消費電力装置
11 制御手段
12 リモコン受信回路
13 メモリ
14 割り込み端子
15 被制御部
16 メイン回路
17 発振回路
18 タイマー回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低消費電力モードと通常モードと有し、入力されたリモコン信号に基づく第1の割り込み信号が入力される割り込み端子を含む制御手段を備え、
該制御手段が、該第1の割り込み信号が該割り込み端子を介して該制御手段に入力されると、低消費電力モードと通常モードとを周期的に繰り返す間欠動作を実行し、
該リモコン信号を受信し終えた場合に該間欠動作を終了する、低消費電力装置。
【請求項2】
前記第1の割り込み信号が前記割り込み端子を介して前記制御手段に入力されるまで、該制御手段が低消費電力モードを継続する、請求項1に記載の低消費電力装置。
【請求項3】
前記リモコン信号が実行必要信号である場合、前記制御手段が、間欠動作の終了後、通常モードを継続し、
該リモコン信号が実行不要信号である場合、該制御手段が、間欠動作の終了後、低消費電力モードを継続する、請求項1または2に記載の低消費電力装置。
【請求項4】
前記制御手段が、メイン回路と、所定時間をカウントしたときに該メイン回路に第2の割り込み信号を与えるタイマー回路とを有し、
前記間欠動作が、該タイマー回路が所定時間をカウントするステップと、
該制御手段が通常モードから低消費電力モードに移行するステップと、
該タイマー回路が所定時間をカウントしたときに、該メイン回路に該第2の割り込み信号を与えるステップと、
該メイン回路が該第2の割り込み信号を受けると、該制御手段が低消費電力モードから通常モードに移行するステップとを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の低消費電力装置。
【請求項5】
前記制御手段が、メイン回路と、所定時間をカウントしたときに該メイン回路に第2の割り込み信号を与えるタイマー回路と、該メイン回路および該タイマー回路にクロックを供給する発振回路とを有し、
前記第1の割り込み信号が前記割り込み端子に入力されるまでの低消費電力モードが、該発振回路が該メイン回路および該タイマー回路にクロックを供給しない第1の低消費電力モードであり、
前記間欠動作中の低消費電力モードが、該発振回路が該メイン回路にクロックを供給せず、該タイマー回路にクロックを供給する第2の低消費電力モードである、請求項2に記載の低消費電力装置。
【請求項6】
低消費電力モードと通常モードと有し、入力されたリモコン信号に基づく第1の割り込み信号が入力される割り込み端子を含む制御手段を備え、
該制御手段が、該第1の割り込み信号が該割り込み端子を介して該制御手段に入力されるまで低消費電力モードを継続し、
該第1の割り込み信号が該割り込み端子を介して該制御手段に入力されると、低消費電力モードと通常モードとを周期的に繰り返す間欠動作を実行する、低消費電力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−190224(P2006−190224A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3223(P2005−3223)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】