説明

体支持装置及び利用者の異なる操作領域内での前記装置の使用

【課題】解剖学的且つ人間工学的な要求に対して可変に調節可能である装置を提示すること。
【解決手段】少なくとも1個の支持具(10)と少なくとも1個の縦支柱(13)を備えた体支持装置(1)を開示し、少なくとも1個の支持具(10)は高さ及び奥行きについて調節可能である。支持具(10)は、各々につき、支持バー(11)を介し、縦支柱(13)の各々と直接的に接続されている。支持バー(11)は、少なくとも部分的には、支持具(10)を通って支持具(10)の縦軸線(12)に沿って延在している。支持バー(11)は支持具(10)の横断面(50)で偏心配置されている。本発明は更に前記体支持装置(1)を作業システム(35)内で使用することを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体支持装置に関する。特に本発明は少なくとも1個の支持具と少なくとも1個の縦支柱を備えた体支持装置に関し、この際、各支持具は縦支柱の1個又は2個と接続されていて、少なくとも1個の支持具は高さ及び奥行きについて調節可能である。
【0002】
更に本発明は、作業システム内、特に流れ作業の組立ラインのための作業システム内での前記装置の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な身長や体重や座位姿勢或いは立位姿勢に適合させるため、並びに異なる体部分を支持するため、例えば立ち座り体位を支持するためのものでもある調節装置を備えた可変の座り用家具或いは立ち用家具が、従来技術からの数多くの装置から知られている。
【0004】
特許文献1からは公共交通機関内の立ち椅子が知られていて、この立ち椅子は、座席要素であって、車両フロア上に固定されている支柱において側方で軸上に配置されていて、高さ調節のための機構を備えた座席要素を含んでいる。この立ち椅子は空間的な奥行きについては調節不能であり、臀部と足を支持することを提供しているにすぎない。この立ち椅子は多機能作業システム内での使用には適していない。
【0005】
特許文献2からは、好ましくはクッション付きの支持要素を備えた住居領域用の座り用家具が知られていて、ここでは、支持要素が固定されている支柱が固定角度をもってほぼ二等辺三角形で配置されている。この座り用家具は調節不能であり、臀部と背中を支持することを提供しているにすぎない。またこの座り用家具は多機能作業システム内での使用には適していない。
【0006】
特許文献3からは、蹄鉄形状に湾曲された足部材を備えた立ち作業椅子が知られていて、その足部材は座部に対して相対的に前方に開かれて形成されている。この立ち椅子は確かに高さ調節可能であり空間的な奥行きについて調節可能であるが、臀部と足を支持することを提供しているにすぎない。この立ち椅子は、多機能作業システム内、特に流れ作業の組立ラインでの使用には適していない。
【0007】
特許文献4からは人間工学的な椅子が知られていて、この椅子では体の重心が僅かだけ下げられる。この椅子は支持具を含んでいるが、これらの支持具と接続されている支柱や接地部材を含んでなく、その結果、この椅子は、異なる大きさの人が利用するためにある程度の可能性を提供しているが、高さ調節不能であり空間的な奥行きについても調節不能である。この椅子は膝又は頭部を支持することを提供してはいない。この椅子は同様に、多機能作業システム内、特に流れ作業の組立ラインでの使用には適していない。
【0008】
特許文献5からは、鞍状座部と縦支柱と接地部材と玉継手を備えた作業椅子が知られている。この作業椅子は高さ調節可能であり、玉継手により空間的な奥行きについても調節可能である。しかしこの作業椅子は臀部を支持することを提供しているにすぎず、それにより作業システム内では制限されてのみ適しているが、例えば流れ作業の組立ラインの作業システムのような多機能作業システム内で適しているとは言えない。
【0009】
特許文献6からは、立った状態の作業者用のものであり足掛け板を備えた寄りかかり支持具が知られている。この寄りかかり支持具は確かに高さ調節可能であるが、空間的な奥行きについては調節可能ではなく、臀部と足を支持することを提供しているにすぎない。この寄りかかり支持具は同様に、多機能作業システム内、特に流れ作業の組立ラインでの使用には適していない。
【0010】
特許文献7からは、互いに固定配置されている支持具を備えた、接地部材を伴わない腰部支持具が知られていて、ここでは、支持具が取り付けられている2個の支柱に沿い、腰部支持具の位置が比較的小さな範囲内で変化され得る。従ってこの腰部支持具は、限られた寸法で高さ調節可能であり空間的な奥行きについても調節可能であるが、臀部と足を支持することを提供しているにすぎない。この腰部支持具は公共の輸送手段内での腰部支持具及び立ち椅子として適しているだろうが多機能作業システム内での使用には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ドイツ特許 DE19850438
【特許文献2】ドイツ実用新案登録 DE8001181
【特許文献3】ヨーロッパ特許 EP0531208
【特許文献4】ドイツ実用新案登録 DE29721944
【特許文献5】ドイツ実用新案登録 DE7531129
【特許文献6】ドイツ特許 DE1149147
【特許文献7】フランス特許 FR2569964
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これまでに説明した装置の短所は、それらの装置が、複数の異なる体部分を支持するための包括的な統合解決策を提供していないということ、即ち作業椅子と膝あて椅子と立位補助と立ち椅子と足支持具を提供していないということにある。
【0013】
他の短所は、従来技術からの装置が、仮にそうだとしても、制限されてのみ高さ及び空間的な奥行きについて適合可能であり、その結果、今日の人間工学的な要求を満たすものではなく、多機能作業システム内での使用に適したものでもないということにある。
【0014】
従って本発明の一課題は、解剖学的且つ人間工学的な要求に対して可変に調節可能である装置を提示することである。更に他の課題は、作業システム内で使用される体支持装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の課題は、請求項1の特徴を含む体支持装置により解決される。更なる利点はそれに付属の下位請求項及び本明細書から明らかとなる。第2の課題は、請求項15の特徴を含む使用により解決される。更なる利点は本明細書から明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に従う体支持装置は少なくとも1個の支持具と少なくとも1個の縦支柱(Laengsstrebe)を含んでいる。それらの支持具は通常それらの長手方向が水平に配置されていて、それにより利用者は、例えば、足、下腿部、膝、上腿部、臀部、腹部、胸部、下側の背中領域(腰部)、中央の背中領域、上側の背中領域(首筋)、頸部、及び/又は頭部などの体部分の一部分を支持具で支えることができる。複数の体部分を同時に支持するためには、対応して複数の支持具が必要である。
【0017】
各支持具は縦支柱の1個又は2個と接続されている。最上部の支持具は、下方に延在する1個の縦支柱と接続されていて、最上部の支持具の上方には他の縦支柱はそれ以上必要ではない。最下部の支持具は少なくとも1個の縦支柱と接続(結合)されている。別の支持具は通常2個の縦支柱と接続(結合)されていて、それらのうち一方の縦支柱は各々の支持具に対して下方に指向されていて、他方の縦支柱は各々の支持具に対して上方に指向されている。2個の支持具が比較的広い間隔を持つ場合、少なくとも1個の縦支柱を、これらの支持具と接続されている両方の縦支柱の間に取り付けることも可能である。
【0018】
具現化される実施形態において縦支柱は常に支持具の唯一の側面において延在し、その結果、これらの支持具は他方の側面において自由であり支持されずに終端している。このことは本発明の限定として理解されるべきことではない。一方の側面で自由な状態にある支持具、即ち片持ち支承の状態にある支持具の長所は、支持具の固有の縦軸線の回り及び縦支柱の回りの支持具のより良い回転可能性と、材料消費がより少ないということである。それに加え、例えば膝あて椅子として利用する際、利用しやすさに関し、利用性が人間工学的に最適であるということが挙げられる。
【0019】
それらの支持具は高さと奥行きについて調節可能であり、それにより本発明に従う装置は、様々な体姿勢間の変更、多機能調節可能性、並びに例えば身長及び体重に関する個人間の体格差のための調節、を可能とする。
【0020】
個々の支持具は、支持具の横断面で偏心配置されている支持バー(支持ロッド、Stuetzstrebe)を含んでいて、この支持バーを介し、支持具が縦支柱の各々と直接的に接続されている。この際、支持バーは、少なくとも部分的には、支持具を通じる支持具の縦軸線に沿って延在している。このことは支持具の縦軸線の回りの偏心回転を可能にしている。この特性は既述の調節可能性に追加するかたちで他の調節可能性を提供し、特に各支持具の回りに体支持のためのクッションが装着されている場合である。この際、たとえクッションの外殻面領域が複数の同形状を有するとしても、そのような領域の位置は、各々の支持具のこれらの支持バーの回りの偏心回転により変更され、それにより利用者の要求に適合され得る。
【0021】
それに加え、クッションの外殻面領域は異なる形状を有することも可能である。1つの外殻面領域の形は、例えば平面とすることができ、この平面は例えば足を載せるため又は臀部を支持するために適している。同じクッションの別の外殻面領域の形は、例えば凸状湾曲部とすることができ、それによりこの領域は、膝、同様に臀部、腰部などを載せるために適している。3番目の外殻面領域の形は、例えば凹状湾曲部とすることができ、それによりこの領域は頭部を載せるために適している。経済的な理由から通常全てのクッションは同じ形であり、これらは前記の全ての体部分を支持するために適しているものである。
【0022】
また、支持具の最下部のもののクッションの外殻面領域の少なくとも1つにおいて足支持要素が着脱可能であると有意義であり得る。この足支持要素、例えばクッション用の把持具を備えた足掛け板はクッションを汚れや磨耗から保護してくれる。外殻面領域が同じに形成されている場合、足支持要素は各外殻面領域に適合し、そして身長や脚の長さに応じ、最下部の支持具をその支持バーの回りで偏心回転することにより、従って適合する1個の外殻面領域の選択により、足支持要素用の適合位置が調節され得る。
【0023】
本発明に従う体支持装置は、この装置を土台上或いはフロア上で支持するための接地部材を含んでいる。しかしこの装置がその代わりに又は追加的に天井又は壁で保持可能であるという実施形態も想定可能である。
【0024】
ユーザーフレンドリーな使用のためにベース部材は回転可能、好ましくは無段階に回転可能であり得る。回転中及び回転前/回転後に、回転時に動くベース部材の部分が、回転時に動かないベース部材の下部分と重なりあうためには、ベース部材が中心で回転可能であるべきである。本装置の望まれない位置変更を伴わずに利用者が本装置から作業し得るためには、ベース部材が従来技術の手段を用いて固定可能であるべきであり、それによりベース部材はその固定状態において回転不能である。
【0025】
様々な使用のために体支持装置のベース部材はベースガイドを含んでいて、例えば従来技術による事務椅子や作業椅子用のローラーケージである。選択的に又は追加的にベースガイドは、フロア上に位置する並進部材と協働し得る。この並進部材は例えば周知のレールであり得て、ベースガイドは、それらのレール上を走行可能な従来技術による車輪(ホイール)又は滑材(スライダ)であり得る。このような実施形態は流れ作業の組立ラインのシステムに適している。通常接地部材の並進は、好ましくは無段階に調節可能である。
【0026】
ベース部材は、例えばゴムから成る滑り止め要素を含んでいる。
【0027】
本装置の構成に関し、縦支柱の最下部のものはベース部材と接続されていて、縦支柱は縦方向で直列に相前後して配置されていて、それにより全ての支持具はそれらの一方の側面をもって縦支柱と接続されている。一実施形態において1個よりも多くの縦支柱が設けられている場合、支持具は、支持具の異なる側面をもっても各々の縦支柱に装着され得て、例えば縦支柱は交互に支持具の右側面或いは左側面と接続され得る。支持具は、通常、縦支柱の位置変更により、高さについても空間的な奥行きについても好ましくは無段階に調節可能である。追加的に各支持具は、支持具のその各々の支持バーの回りの偏心回転により、別の支持具に依存せず高さ及び/又は空間的な奥行きについて調節可能である。
【0028】
互いに連続する2個の縦支柱間の角度は、通常、継手要素により調節可能であり、この際、この継手要素は互いに連続する(隣接して継る)2個の縦支柱を互いに接続する。対応的に縦支柱の最下部のものとベース部材の間の角度も継手要素により調節可能であり、この際、この継手要素はベース部材を縦支柱の最下部のものと接続する。
【0029】
利用者が例えば前方左側又は前方右側に前かがみにならなくてはならないという「斜めの」利用者体位のためには、支持具の少なくとも1個が、この支持具と接続されている縦支柱のうちの1個の縦支柱の縦軸線の回りで旋回可能であることが有意義であり得る。
【0030】
更に、異なる長さの縦支柱を使用すること、例えば頭部領域のためには比較的短い縦支柱を使用し、胴体領域のためには比較的長い縦支柱を使用することは有意義であり得る。
【0031】
従来技術から知られている調節部材が、本装置の要求される調節を行うために本装置の様々な位置に配置され得る。それにより、接続されている2個の縦支柱間の角度が継手要素における調節部材を介して制御され得る。対応的に、最下部の縦支柱とベース部材の間の角度が、最下部の縦支柱の継手要素における調節部材を介して調整され得る。支持具の端部における調節部材を介し、支持具のそれらの各々の支持バーの回りの偏心回転が制御可能であり得る。更にベース部材における調節部材を用い、ベース部材の回転が調節可能であり得る。これらの調節部材は手動で又は自動で操作可能であり得る。
【0032】
多数の調節部材があると手動調節には手間がかかる。従って各支持具と各縦支柱とベース部材が、個々にではあるが中央で調節モジュールにより調節可能であるという中央制御式の調節可能性が望まれる。本発明に従う装置はメカトロニクス調節モジュールを含み得て、この調節モジュールを用い、センサ機構により無線周波認識又は従来技術から知られている別の認識技術を介し、本装置の利用者の体寸法及び体重が検知可能及び記憶可能であり、センサ機構により本装置の現在の位置決め状態及び調節状態が読み取り可能であり、アクチュエータ機構を介して本装置を要求される状態にもたらすことができる。追加的にそのような調節モジュールはトランスポンダを含み得て、このトランスポンダは、利用者の体寸法及び体重、並びに本装置の可能な機能椅子のための利用者の理想的な調節情報を電子チップから読み出し、記憶することができる。
【0033】
本装置の全ての構成部材は、各々の原型から製造され得る、或いは原型、即ち、国内規格や国際規格の影響下にない標準化された構成要素である。
【0034】
本発明に従う体支持装置は、作業システム内、特に流れ作業の組立ラインのための作業システム内で使用され得る。また、産業上の作業システム内やオフィス領域内での使用の他に、様々な体位で体支持が必要とされる、ウェルネス領域や住居領域、又はその他の個人的な及び仕事上の領域に本装置を投入することも想定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】3個の支持具10と1個のベース部材2を備えた本発明に従う体支持装置1の実施形態を示す概要側面図である。
【図2】作業椅子として図1による体支持装置1を示す概要側面図である。
【図3】膝あて椅子として図1による体支持装置1を示す概要側面図である。
【図4】立ち椅子として図1による体支持装置1を示す概要側面図である。
【図5】立位補助として図1による体支持装置1を示す概要側面図である。
【図6】作業システム35内で図1による体支持装置1を使用することを示す概要図である。
【図7】3個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1を出発位置で示す斜視図である。
【図8】4個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1を出発位置で示す斜視図である。
【図9】5個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1を出発位置で示す斜視図である。
【図10】2個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1を出発位置で示す斜視図である。
【図11】2個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1の別の実施形態を出発位置で示す斜視図である。
【図12】3個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1の別の実施形態を出発位置で示す斜視図である。
【図13】2個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1の他の実施形態を出発位置で示す斜視図である。
【図14】1個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1の実施形態を出発位置で示す斜視図である。
【図15】オフィスチェアとして体支持装置1を使用することを示す斜視図である。
【図16】レールシステム内で体支持装置1を使用することを示す斜視図である。
【図17】支持具10の横断面を示す概要図である。
【図18】3個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1を長手軸線12、14と共に示す概要図である。
【図19】1個の支持具10を長手軸線12、縦軸線14と共に示す概要接近図である。
【図20】足支持要素22を示す斜視図である。
【図21】調節部材16を備えた継手要素15を示す斜視図である。
【図22】支持バー11をその継手要素15の部材と共に示す分解図である。
【図23】鋼材インレイ40を平歯車41と共に示す概要接近図である。
【図24】支持具10を支持バー11とその継手要素15の部材と共に示す分解図である。
【図25】体支持装置1を寸法表示と共に示す斜視図である。
【図26】調節モジュール25と接続状態にある体支持装置1を示す概要図である。
【0036】
以下、本発明の複数の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0037】
図1は、3個の支持具10とフロア6上の1個のベース部材2を備えた本発明に従う体支持装置1の実施形態を出発位置で示す概要側面図であり、この際、縦支柱(Laengsstrebe)13が支持具10の接続のために鉛直に指向されている。装置1の可能なサイズ比率を具体化するために利用者30が図示されている。支持具10は横断面として見られ、ここでは中央の支持具10がその支持バー11の回りで回転されている状態とは異なる状態で上側と下側の支持具10がそれらの各々の支持バー11の回りで回転されている。全ての3個の場合で支持バー11はそれらに付属の支持具10の横断面50において偏心配置されている(図17参照)。これらの3個の支持具10は同形状を有するが、これら支持具10は異なった回転により異なった方向に指向される。このことは後の図面により更に明らかにされる。下側と上側の支持具10は各々上方に指向され、中央の支持具10は下方に指向されている。
【0038】
この実施形態において最上部と最下部の縦支柱13は中央の縦支柱13よりも短く構成されている。
【0039】
ベース部材2はこの実施形態及び以降の実施形態では円形状で図示されているが、別の形態も可能であり、例えば矩形や多角形や楕円形などである。以下の説明においてベース部材2は常に円形状で表わされているが、これは本発明の限定として解釈されるべきことではない。
【0040】
3次元の座標系が図示されている。x軸に沿っては各々の支持具10と各々の縦支柱13の空間的な奥行きが上述の要素を用いて調節され得る。z軸に沿っては各々の支持具10と各々の縦支柱13の高さ位置が上述の要素を用いて調節され得る。ベース部材2はxy面内で回転可能である。従ってベース部材2の回転に依存し、装置1も支持具10と縦支柱13と共にx方向とy方向において移動される。従って支持具10と縦支柱13はx方向とy方向とz方向において位置調節可能である。
【0041】
図2は、作業椅子(ワーキングシート)として図1による体支持装置1を示す概要側面図である。この際、縦支柱13間の角度は、利用者30が最下部の支持具10上に着座し得て、別の両方の支持具10により上側の背中領域と腰部領域が支持されるように調節されている。図1による出発位置で最上部の支持具10は、図2では縦支柱13の適切な位置調節により中央の支持具10となっている。またそれらの支持具10は、各々の支持具10の支持面が要求された支持具10の位置に適合して指向されるように、それらの各々の支持バー11の回りで偏心回転されている。
【0042】
図3は、膝あて椅子(ニーシート)として図1による体支持装置1を示す概要側面図である。この際、縦支柱13間の角度は図2と比べて異なり、即ち利用者30が中央の支持具10上に着座し得て、腰部領域が上側の支持具10により支持され、膝が下側の支持具10により支持されるように調節されている。再びそれらの支持具10は、各々の支持具10の支持面が要求された支持具10の位置に適合して指向されるように、それらの各々の支持バー11の回りで偏心回転されている。
【0043】
図4は、立ち椅子(スタンディングシート)として図1による体支持装置1を示す概要側面図である。この際、縦支柱13間の角度は、利用者30が中央の支持具10上に着座し得て、腰部領域が上側の支持具10により支持され、足が下側の支持具10の足支持要素22により支持されるように調節されている。ここでもそれらの支持具10は適合するようにそれらの各々の支持バー11の回りで偏心回転されている。
【0044】
図5は、立位補助(スタンディングサポート)として図1による体支持装置1を示す概要側面図である。この際、縦支柱13間の角度は、利用者30が中央の支持具10上に自身の臀部をもたせかけ、腰部領域が上側の支持具10により支持されるように調節されている。足はベース部材2上に立っている。下側の支持具10は装置1のこの設定では必要とされず、体部分の支持には使われていない。ここでも上側と下側の支持具10は適合するようにそれらの各々の支持バー11の回りで偏心回転されている。
【0045】
図6は、作業システム35内、ここでは特に自動車ドア・組立システム内で図1による体支持装置1を使用することを示す概要図である。工業産業では今日でも多くの作業が立った状態で行われる。特に自動車産業では数多くの組立作業場が存在し、それらの組立作業場では構成部材形状や材料供給に基づき主として立った状態で組み立てが行われる。立位から座位への姿勢変更は片寄ったままの負荷を減少してくれる。装置1を並進させるためのレール7が示唆されていて、これらのレール7上で装置1はベース部材2のベースガイド(非図示)を用いて移動可能である。
【0046】
図7は、3個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1を図1に対応する出発位置で示す斜視図である。この実施形態では支持バー11が縦支柱13に対して90度の角度で配置されている。複数の調節部材16を用い、支持具10と縦支柱13とベース部材2が調節され得る。
【0047】
図8から図14は、各々につき、1個から5個までの支持具10と各1個のベース部材2を備えた体支持装置1を出発位置で示す斜視図である。縦支柱13はいくつかの実施形態では全て同じ長さであり、別の実施形態では異なる長さを有している。図13及び図14による実施形態では、各々につき、支持具10が分岐することなく2個の縦支柱13が相前後して配置されている。
【0048】
図15は、オフィスチェアとして体支持装置1を使用することを示す斜視図である。ベース部材2の下にはベースガイドのためにローラーケージ4が配置されている。
【0049】
図16は、レールシステム内で体支持装置1を使用することを示す斜視図である。装置1を並進させるためにレール7が図示されている。ベース部材2の下側の例えば車輪(ホイール)又は滑材(スライダ)であるベースガイドは図示されていない。縦支柱13の縦軸線14はそれらの位置調節に基づき互いに平行には延在していない。
【0050】
図17は、支持具10の横断面を示す概要図である。支持バー11は支持具10の横断面50において偏心配置されている。それにより支持具10は支持支柱11の回りで偏心回転可能であり、このことは2つの先端矢印をもった湾曲矢印により示唆されている。支持バー11の回りにはクッション20が装着されていて、このクッション20はこれまでの実施形態と異なり3つの異なる外殻面領域21を有する、即ち、凹状湾曲部を有する外殻面領域、凸状湾曲部を有する外殻面領域、及び直線部を有する外殻面領域である。しかし人間工学的な及び技術的な要求に依存し、支持具10の横断面及び/又は外面を別の形態にすることも可能である。以下の説明において支持具10は常に同形態を有するが、このことは本発明の限定として理解されるべきことではない。
【0051】
図18は、3個の支持具10と1個のベース部材2を備えた体支持装置1を縦軸線12、14と共に示す概要図である。この装置1はベース部材2を用いてフロア6上で支持されている。ベース部材2には下側に滑り止め要素8が示唆されている。ベース部材2は最下部の縦支柱13に接続するところで強化されている。縦支柱13、従ってそれらの縦軸線14は、この実施形態では出発位置において接地部材2に対して中心から離れ、ベース部材2上で一線上に延在している。
【0052】
支持具10において縦支柱13とは反対側の端部と、ベース部材2と、縦支柱13の継手要素15とには、各々につき、それらの位置調節のために調節部材16が装着されている。
【0053】
縦軸線12は支持具10の回転軸線を形成している。これらの回転軸線は、クッション20により覆われている支持バー11を通じて延在している。それに加え縦軸線12は、各々の支持具10の横断面50(図17を参照)における支持バー11の偏心した取り付けにより、支持具10の縦方向に渡って見ると中央には延在していない。縦軸線12の回りで支持具10を異なって回転させることにより、体部分を支持するため、異なる外殻面領域21が利用者30の方向に示される。
【0054】
図19は、1個の支持具10を図18に従う縦軸線12、14と共に示す概要接近図である。
【0055】
図20は、足支持要素22を示す斜視図であり、この足支持要素22は、好ましくは最下部の支持具10のクッション20の各外殻面領域21に装着され得る。
【0056】
図21は、調節部材16を備えた継手要素15を示す斜視図である。この継手要素15は、ここでは2個の縦支柱13の間に配置されている。
【0057】
図22は、支持バー11を、締付けレバー43、2個のフランジ・フライス部材44、四角異形材45(別の形態も本発明を限定することなく可能である)、平歯車41を備えた鋼材インレイ(ディスク状部材)40、ネジ42、及び、平歯車と、支持バー11に接続する支持フライス(円板)部材とを備えた鋼材インレイ46などの従来技術からの継手要素15の部材と共に示す分解図である。これらの部材の接続により継手要素15ができあがり、この継手要素15は角度調節のために複数の歯車段を有する。これらの歯車段は、平歯車41とこれに対応一致する接触ディスクの構成により定義されている。
【0058】
図23は、従来技術からの平歯車41を備えた市販の鋼材インレイ40、並びに適合するネジ42を示す概要接近図である。
【0059】
図24は、支持具10を、支持バー11の部材と、従来技術からの継手要素15の部材と共に示す分解図である。
【0060】
図25は、3個の支持具10を備えた体支持装置1を典型的な寸法表示と共に示す斜視図である。この実施形態において縦支柱13の長さは上から下に向かい、1140.00mm、900.00mm、420.00mmである。ベース部材2と最下部の継手要素15の間の間隔は180.00mmである。ベース部材2には追加的にローラー要素47が装着されていて、このローラー要素47は、体支持装置1の全体を人間工学的に最適の状態に位置変更するために用いられる。
【0061】
図26は、例えば無線接続又はケーブル接続である接続部28を介して調節モジュール25と接続されている体支持装置1を示す概要図である。各々の利用者30の利用者特有のデータ、例えば生年月日、性別、体重、体寸法、作業位置などを有するチップ26が、調節モジュール25のトランスポンダ27により、トランスポンダ27に対するチップ26の信号Sを通じて読み出される。異なる利用者30のためにこれらの利用者データは、通常、同様に異なっている。引き続き調節モジュール25は、読み出された利用者データから、各々の装置1の所望の使用を考慮しながら、各々の装置1のための調節状態を計算する。引き続き調節モジュール25は、接続部28を介し、調節のためのデータを各々の装置1へと送信し、それからこの装置1において対応的にモータによる位置調節が自動で行われる。
【0062】
以上、本発明を実施例に関して説明したが、この専門分野で従事する各当業者にとって、特許請求項の保護範囲を逸脱することなく変更及び変形が行われ得ることは明らかである。前述の実施例は、請求されている教示を説明するためだけに用いられ、それらの教示をこれらの実施例に限定するものではない。
【符号の説明】
【0063】
1 体支持装置
2 ベース部材
4 ローラーケージ
6 フロア
7 レール
8 滑り止め要素
10 支持具
11 支持バー
12 長手軸線
13 縦支柱
14 縦軸線
15 継手要素
16 調節部材
20 クッション
21 外殻面領域
22 足支持要素
25 調節モジュール
26 チップ
27 トランスポンダ
28 接続部
30 利用者
35 作業システム
40 鋼材インレイ
41 平歯車
42 ネジ
43 締付レバー
44 フランジ・フライス部材
45 四角異形材
46 鋼材インレイ
47 ローラー要素
50 横断面
S 信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の支持具(10)と少なくとも1個の縦支柱(13)を備え、且つ少なくとも1個の支持具(10)が高さ及び奥行きについて調節可能である、体支持装置であって、
支持具(10)が、各々につき、支持バー(11)を介し、縦支柱(13)の各々と直接的に接続されていて、支持バー(11)が、少なくとも部分的には、支持具(10)を通って支持具(10)の縦軸線(12)に沿って延在し、支持バー(11)は支持具(10)の横断面(50)において偏心配置されていることを特徴とする体支持装置。
【請求項2】
支持具(10)の少なくとも1個の回りに体支持のためのクッション(20)が装着されていることを特徴とする、請求項1に記載の体支持装置。
【請求項3】
クッション(20)の少なくとも2つの外殻面領域(21)が異なる形状を有することを特徴とする、請求項2に記載の体支持装置。
【請求項4】
最下部の支持具(10)のクッション(20)の1つの外殻面領域(21)において足支持要素(22)が着脱可能であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の体支持装置。
【請求項5】
体支持装置(1)がベース部材(2)を含んでいることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の体支持装置。
【請求項6】
支持具(10)の少なくとも1個が、少なくとも1個の縦支柱(13)の位置の変更により高さ及び/又は空間的な奥行きについて調節可能であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の体支持装置。
【請求項7】
各支持具(10)が別の支持具(10)に依存せず高さ及び/又は空間的な奥行きについて調節可能であることを特徴とする、請求項6に記載の体支持装置。
【請求項8】
互いに連続する2個の縦支柱(13)間の角度が継手要素(15)により調節可能であり、この継手要素(15)が互いに連続する2個の縦支柱(13)を互いに接続することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の体支持装置。
【請求項9】
支持具(10)の少なくとも1個が、この支持具(10)と接続されている縦支柱(13)のうちの1個の縦支柱(13)の縦軸線(14)の回りで旋回可能であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の体支持装置。
【請求項10】
複数の縦支柱(13)が少なくとも部分的には異なる長さであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の体支持装置。
【請求項11】
体支持装置(1)が複数の調節部材(16)を含み、これらの調節部材(16)が、継手要素(15)に、支持具(10)に、及びベース部材(2)に取り付け可能であり、これらの調節部材(16)を用い、接続されている2個の縦支柱(13)間の角度、及び/又は、最下部の縦支柱(13)とベース部材(2)の間の角度、及び/又は、支持具(10)の偏心回転、及び/又は、ベース部材(2)の回転が調節可能であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の体支持装置。
【請求項12】
調節部材(16)の調節が手動で行われることを特徴とする、請求項11に記載の体支持装置。
【請求項13】
体支持装置(1)がメカトロニクス調節モジュール(25)を含み、この調節モジュール(25)を用い、センサ機構により無線周波認識を介し、体支持装置(1)の利用者(30)の体寸法及び体重が検知可能及び記憶可能であり、センサ機構により体支持装置(1)の現在の位置決め状態及び調節状態が読み取り可能であり、アクチュエータ機構を介して体支持装置(1)を要求される状態にもたらすことができ、各支持具(10)と各縦支柱(13)とベース部材(2)が個別に調節モジュール(25)により調節可能であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の体支持装置。
【請求項14】
調節モジュール(25)がトランスポンダ(27)を含み、このトランスポンダ(27)が、利用者(30)の体寸法及び体重、並びに本装置(1)の可能な機能椅子のための利用者(30)の理想的な調節情報を電子チップ(26)から読み出し、記憶することを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の体支持装置(1)の、流れ作業の組立ラインのための作業システム(35)内での使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公表番号】特表2010−536402(P2010−536402A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520443(P2010−520443)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006155
【国際公開番号】WO2009/021611
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(510042699)
【Fターム(参考)】