説明

作業車両

【課題】チルトシリンダに連結される配管を適切に保護することができると共に、製造コストの増大を抑えることができる作業車両を提供する。
【解決手段】本発明に係る作業車両は、車両本体2と、アーム41と、ブレード42と、チルトシリンダ9と、第1チルト配管11とを備える。アーム41は、上下方向に回動可能に車両本体2に支持される。ブレード42は、チルト動作可能にアーム41に支持される。チルトシリンダ9は、油圧により駆動されてブレード42をチルト動作させる。第1チルト配管11は、車両本体2とチルトシリンダ9とに亘って設けられ、チルトシリンダ9に供給される圧油が通る配管であり、アーム41の内部を通って配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
PATドーザなどの作業車両には、エンジンや油圧ポンプなどが収納される車両本体と、車両本体によって上下方向に回動可能に支持されるアームと、アームによってチルト動作可能に支持されるブレードと、油圧により駆動されてブレードをチルト動作させるチルトシリンダと、を備えているものがある。このような作業車両では、チルトシリンダに圧油を供給するための配管が、車両本体とチルトシリンダとに亘って設けられており、この配管は、車両本体からアームの上面に沿ってチルトシリンダまで配設されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−8409号公報([0003]段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の作業車両のように、車両本体とチルトシリンダとに亘って設けられる配管が、アームの上面に沿って配設されている場合、配管を保護するために大型のカバーが必要となり、作業車両の製造コストが増大してしまう。
【0004】
本発明の課題は、チルトシリンダに連結される配管を適切に保護することができると共に、製造コストの増大を抑えることができる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る作業車両は、車両本体と、アームと、ブレードと、チルトシリンダと、第1チルト配管とを備える。アームは、上下方向に回動可能に車両本体に支持される。ブレードは、チルト動作可能にアームに支持される。チルトシリンダは、一端がアームに連結され他端がブレードに連結され、油圧により駆動されてブレードをチルト動作させる。第1チルト配管は、車両本体とチルトシリンダとに亘って設けられ、チルトシリンダに供給される圧油が通る配管であり、アームの内部を通って配設される。
【0006】
この作業車両では、車両本体とチルトシリンダとに亘って設けられる第1チルト配管がアームの内部を通って配設される。このため、第1チルト配管を保護するためのカバーを設けずに、或いは、小型のカバーを設けることにより、第1チルト配管を適切に保護することができる。これにより、この作業車両では、チルトシリンダに連結される配管を適切に保護することができると共に、製造コストの増大を抑えることができる
第2発明に係る作業車両は、第1発明の作業車両であって、アームは、第1サイドアーム部と、第2サイドアーム部と、フロントアーム部とを有する。第1サイドアーム部は、車両本体の一側方に配置されており後端部が車両本体に回動可能に支持される部分である。第2サイドアーム部は、車両本体の他側方に配置されており後端部が車両本体に回動可能に支持される部分である。フロントアーム部は、第1サイドアーム部と第2サイドアーム部との前端部に繋がっておりブレードをチルト動作可能に支持する部分である。そして、第1チルト配管は、第1サイドアーム部の内部に配設されている。
【0007】
この作業車両では、第1チルト配管は、第1サイドアーム部の内部に配設されている。このため、第1チルト配管のうち外部に露出する部分を少なくすることができ、第1チルト配管を適切に保護することができる。
【0008】
第3発明に係る作業車両は、第2発明の作業車両であって、第1チルト配管は、車両本体から第1サイドアーム部の後部上面に形成された第1後部開口を通って第1サイドアーム部の内部に挿入されている。
【0009】
この作業車両では、第1サイドアーム部の後部上面に第1チルト配管を通すための第1後部開口が形成されている。この第1サイドアーム部の後部上面は、アームに負荷が掛かった場合に発生する応力が比較的に低い部分である。このため、この作業車両では、アームの強度の低下を抑えながら、アームの内部に第1チルト配管を通すための構造を構成することができる。
【0010】
第4発明に係る作業車両は、第3発明の作業車両であって、第1アングルシリンダと、第2アングルシリンダとをさらに備える。第1アングルシリンダは、一端が第1サイドアーム部に連結され他端がブレードに連結されており、油圧により駆動されてブレードを前後方向に回動させる。第2アングルシリンダは、一端が第2サイドアーム部に連結され他端がブレードに連結されており、油圧により駆動されてブレードを前後方向に回動させる。そして、第1後部開口は、第1サイドアーム部のうち第1アングルシリンダとの連結部分より後方に形成されている。
【0011】
従来の作業車両のようにアームの上面に沿って配管が配設される場合、アームとアングルシリンダとの接続部分が配管の配設の妨げとなる恐れがある。
【0012】
しかし、本発明に係る作業車両では、第1サイドアーム部のうち第1アングルシリンダとの連結部分より後方において配管が第1サイドアーム部の内部に挿入され、第1サイドアーム部の内部を通って配管が配設される。このため、第1アングルシリンダと第1サイドアーム部との連結部分が配管の配設の妨げとなることが防止される。
【0013】
第5発明に係る作業車両は、第2発明から第4発明のいずれかの作業車両であって、第1チルト配管は、第1サイドアーム部およびフロントアーム部の内部を通り、フロントアーム部の前面に形成された第1前部開口を通ってチルトシリンダに接続されている。
【0014】
この作業車両では、フロントアーム部の前面に第1チルト配管を通すための第1前部開口が形成されている。このフロントアーム部の前面は、アームに負荷が掛かった場合に発生する応力が比較的に低い部分である。このため、この作業車両では、アームの強度の低下を抑えながら、アームの内部に第1チルト配管を通すための構造を構成することができる。
【0015】
第6発明に係る作業車両は、第3発明または第4発明の作業車両であって、車両本体とチルトシリンダとに亘って設けられ、チルトシリンダに供給される圧油が通る第2チルト配管をさらに備える。この第2チルト配管は、第2サイドアーム部の内部に配設されており、車両本体から第2サイドアーム部の後部上面に形成された第2後部開口を通って第2サイドアーム部の内部に挿入されている。
【0016】
この作業車両では、第1チルト配管と第2チルト配管とが、第1サイドアーム部の内部と第2サイドアーム部の内部とに分かれて配置されている。このため、各アーム部に形成される開口を小さくすることができ、これにより、アームの強度の低下を抑えることができる。
【0017】
第7発明に係る作業車両は、第3発明または第4発明の作業車両であって、車両本体とチルトシリンダとに亘って設けられ、チルトシリンダに供給される圧油が通る第2チルト配管をさらに備える。この第2チルト配管は、第1サイドアーム部の内部に配設されており、車両本体から第1後部開口を通って第1サイドアーム部の内部に挿入されている。
【0018】
この作業車両では、第1チルト配管と第2チルト配管とが共に第1後部開口を通って第1サイドアーム部の内部に挿入されている。このため、第1チルト配管と第2チルト配管との配設作業が容易である。
【0019】
第8発明に係る作業車両は、第2発明の作業車両であって、第1チルト配管は、車両本体から第1サイドアーム部の後部下面に形成された第1後部開口を通って第1サイドアーム部の内部に挿入されている。
【0020】
この作業車両では、第1サイドアーム部の後部下面に第1チルト配管を通すための第1後部開口が形成されている。この第1サイドアーム部の後部下面は、アームに負荷が掛かった場合に発生する応力が比較的に低い部分である。このため、この作業車両では、アームの強度の低下を抑えながら、アームの内部に第1チルト配管を通すための構造を構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る作業車両では、車両本体とチルトシリンダとに亘って設けられる第1チルト配管がアームの内部を通って配設されている。このため、第1チルト配管を保護するためのカバーを設けずに、或いは、小型のカバーを設けることにより、第1チルト配管を適切に保護することができる。これにより、この作業車両では、チルトシリンダに連結される配管を適切に保護することができると共に、製造コストの増大を抑えることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<構成>
〔作業車両1の全体構成〕
本発明の一実施形態に係る作業車両1を図1に示す。この作業車両1は、PAT(Power・Angle・Tilt)ドーザであり、キャブ21やエンジンルーム22が設けられた車両本体2、一対の走行装置3a,3b、作業機4を備えている。
【0023】
車両本体2は、エンジンや油圧ポンプを含む駆動装置(図示せず)を内部に収容しており、走行装置3a,3b上に載置されている。
【0024】
一対の走行装置3a,3bは、車両本体2を間に挟んで左右に離間して配置されており(図4参照)、それぞれ履帯30を駆動することにより、作業車両1を走行させる。
【0025】
以下、本発明において特徴的な作業機4の構造および車両本体2と作業機4とを繋ぐ配管の配置について説明する。
【0026】
〔作業機4の構成〕
作業機4は、図2〜図4に示すように、アーム41と、ブレード42と、各種の油圧シリンダ5〜9とを有する。なお、図2は、作業機4および車両本体2の一部を示す斜視図である。図3は、作業機4および車両本体2の一部を示す上面図である。なお、図2および図3においては、走行装置3a,3bを省略している。また、図4は、作業機4および車両本体2の一部を示す正面図である。
【0027】
アーム41は、上面視において略U字型の形状を有しており、上下方向に回動可能に車両本体2に支持されている。より詳細には、アーム41は、図3に示すように、第1サイドアーム部43と、第2サイドアーム部44と、フロントアーム部45とを有している。
【0028】
第1サイドアーム部43は、車両本体2の一側方に配置されており、前後方向に長い直線状の形状を有する部分である。第1サイドアーム部43の後端部は、車両本体2の一側面に回動可能に取り付けられており、車両本体2に回動可能に支持されている。
【0029】
第2サイドアーム部44は、第1サイドアーム部43と同様に、前後方向に長い直線状の形状を有する部分であり、車両本体2の他側方に配置されている。第2サイドアーム部44の後端部は、車両本体2の他側面に回動可能に取り付けられており、車両本体2に回動可能に支持されている。
【0030】
フロントアーム部45は、第1サイドアーム部43の前端部と第2サイドアーム部44との前端部とを繋ぐ部分である。フロントアーム部45と第1サイドアーム部43との接続部分およびフロントアーム部45と第2サイドアーム部44との接続部分は、湾曲した形状となっている。
【0031】
また、図2および図4に示すように、アーム41の内部には、空洞(以下、「内部空間」と呼ぶ)が設けられている。なお、図2および図4では、アーム41の側面および前面を透視して示している。図5に示すように、第1サイドアーム部43の後部上面には、内部空間に連通する第1後部開口46が形成されており、この第1後部開口46は、第1サイドアーム部43のうち後述する第1アングルシリンダ7との連結部分よりも後方に設けられている。また、第2サイドアーム部44の後部上面には、第1サイドアーム部43の第1後部開口46と同様に、内部空間に連通する第2後部開口47が形成されており(図3参照)、この第2後部開口47は、第2サイドアーム部44のうち後述する第2アングルシリンダ8との連結部分よりも後方に設けられている。また、図3および図4に示すように、フロントアーム部45の前面には、内部空間に連通する第1前部開口48と第2前部開口49とが設けられている。第1前部開口48と第2前部開口49とは、後述するブレード取付部材51を間に挟んで左右に離間して配置されている。
【0032】
ブレード42は、車両本体2およびアーム41の前方に配置されており、土押し等の作業を行うための部材である。ブレード42は、ブレード取付部材51を介してアーム41のフロントアーム部45にチルト動作およびアングル動作可能に取り付けられている。ブレード取付部材51は、フロントアーム部45の前面の左右方向における中央部に取り付けられている。ここで、チルト動作とは、前後方向に沿った軸を中心にブレード42の左右端が上下に回動する動作である(図4の矢印A1,A2参照)。アングル動作とは、上下方向に沿った軸を中心にブレード42の左右端が前後に回動する動作である(図3の矢印A3,A4参照)。また、この作業機4では、左右方向に沿った軸を中心にアーム41が上下に回動することにより、ブレード42が上下に回動する昇降動作も行うことができる(図1の矢印A5,A6参照)。
【0033】
各種の油圧シリンダ5〜9には、一対の昇降シリンダ5,6と、一対のアングルシリンダ7,8と、チルトシリンダ9とがある。
【0034】
一対の昇降シリンダ5,6は、油圧によって駆動されることにより伸縮する油圧シリンダである。昇降シリンダ5,6は、伸縮することによってアーム41を上下方向に回動させ、これにより、ブレード42に昇降動作を行わせる。昇降シリンダ5,6には、第1昇降シリンダ5と第2昇降シリンダ6とがあり、第1昇降シリンダ5と第2昇降シリンダ6とは左右方向に離間して配置されている。第1昇降シリンダ5の一端側部分は、車両本体2に回動可能に連結されている。また、図2および図3に示すように、第1昇降シリンダ5の他端は、第1昇降ブラケット52を介してアーム41に回動可能に連結されている。第1昇降ブラケット52は、第1サイドアーム部43とフロントアーム部45との接続部分の上面に立設されており、第1昇降シリンダ5を左右方向に沿った軸を中心に回動可能に支持している。また、図3に示すように、第2昇降シリンダ6の一端側部分は、車両本体2に回動可能に連結されている。第2昇降シリンダ6の他端は、第2昇降ブラケット53を介してアーム41に回動可能に連結されている。第2昇降ブラケット53は、第2サイドアーム部44とフロントアーム部45との接続部分の上面に立設されており、第2昇降シリンダ6を左右方向に沿った軸を中心に回動可能に支持している。
【0035】
一対のアングルシリンダ7,8は、油圧によって駆動されることにより前後方向に伸縮する油圧シリンダであり、伸縮することによってブレード42をアングル動作させる。一対のアングルシリンダ7,8には、第1アングルシリンダ7と、第2アングルシリンダ8とがあり、第1アングルシリンダ7と第2アングルシリンダ8とは、左右方向に離間して配置されている。第1アングルシリンダ7は、図2に示すように、第1サイドアーム部43の上方に配置されており、アーム41と第1昇降ブラケット52との間の空間に挿通されている。なお、図2では、第1昇降ブラケット52の外側面を透視して示している。第1アングルシリンダ7の一端は、第1アングルブラケット54を介して第1サイドアーム部43に連結されている。第1アングルブラケット54は、第1サイドアーム部43の上面に取り付けられており、第1アングルシリンダ7を左右方向に沿った軸を中心に回動可能に支持している。第1アングルシリンダ7の他端は、第1ブレードブラケット55を介してブレード42に連結されている。第1ブレードブラケット55は、ブレード42の背面に取り付けられており、第1アングルシリンダ7を上下方向に概ね沿った軸を中心に回動可能に支持している。また、図3に示すように、第2アングルシリンダ8は、第2サイドアーム部44の上方に配置されており、アーム41と第2昇降ブラケット53との間の空間に挿通されている。第2アングルシリンダ8の一端は、第2アングルブラケット(図示せず)を介して第2サイドアーム部44に連結されている。第2アングルブラケットは、第1アングルブラケット54と同様の部材であり、第2サイドアーム部44の上面に取り付けられており、第2アングルシリンダ8を左右方向に沿った軸を中心に回動可能に支持している。第2アングルシリンダ8の他端は、第2ブレードブラケット(図示せず)を介してブレード42に連結されている。第2ブレードブラケットは、第1ブレードブラケット55と同様の部材であり、ブレード42の背面に取り付けられており、第2アングルシリンダ8を上下方向に概ね沿った軸を中心に回動可能に支持している。
【0036】
チルトシリンダ9は、油圧により駆動されることにより、左右方向に伸縮する油圧シリンダであり、伸縮することによってブレード42をチルト動作させる。チルトシリンダ9は、ブレード42の後方に配置されている。チルトシリンダ9の一端は、チルトブラケット56を介してアーム41に連結されている、チルトブラケット56は、フロントアーム部45の上面に立設されており、フロントアーム部45の左右方向における中央に取り付けられている。チルトブラケット56は、チルトシリンダ9を上下方向に概ね沿った軸を中心に回動可能に支持している。チルトシリンダ9の他端は、第3ブレードブラケット57を介してブレード42に連結されている。第3ブレードブラケット57は、ブレード42の背面に取り付けられており、チルトシリンダ9を上下方向に概ね沿った軸を中心に回動可能に支持している。
【0037】
〔配管の配置〕
この作業車両1では、チルトシリンダ9に供給される圧油が通る第1チルト配管11と第2チルト配管12とが車両本体2とチルトシリンダ9とに亘って設けられている。
【0038】
第1チルト配管11は、車両本体2の一側面から外部に突出しており、図2および図5に示すように、第1アングルシリンダ7に連結される第1アングル配管13および第2アングル配管14と共に、車両本体2の一側方において前後方向に沿って配置されている。第1チルト配管11は、第1サイドアーム部43に形成された第1後部開口46を通って第1サイドアーム部43の内部に挿入されており、第1サイドアーム部43およびフロントアーム部45の内部を通り、フロントアーム部45に形成された第1前部開口48から外部に出てチルトシリンダ9に接続されている。なお、第1後部開口46には、90度に屈曲した配管継手61が取り付けられており、第1チルト配管11はこの配管継手61によって中継されている。また、第1サイドアーム部43の後部上面を覆うように第1カバー部材62が取り付けられている。この第1カバー部材62は、第1後部開口46および配管継手61を覆って保護している。また、上述した第1アングル配管13および第2アングル配管14は、第1サイドアーム部43の後部上面に沿って配置されており、第1カバー部材62は、第1アングル配管13および第2アングル配管14の一部も覆って保護している。
【0039】
図3および図4に示す第2チルト配管12は、第1チルト配管11と同様に、車両本体2とチルトシリンダ9とに亘って設けられており、チルトシリンダ9に供給される圧油が通る配管である。第2チルト配管12は、第2サイドアーム部44に形成された第2後部開口47を通って第2サイドアーム部44の内部に挿入されており、第2サイドアーム部44およびフロントアーム部45の内部を通り、フロントアーム部45に形成された第2前部開口49から外部に出てチルトシリンダ9に接続されている。なお、第2後部開口47は、図3に示すように、第2カバー部材63によって保護されている。他の構造については、上述した第1チルト配管11に関する説明と同様であるため説明を省略する。
【0040】
<特徴>
この作業車両1では、車両本体2とチルトシリンダ9とに亘って設けられる第1チルト配管11および第2チルト配管12が、アーム41の内部を通って配設されている。このため、第1チルト配管11および第2チルト配管12がアーム41の上面に沿って配設される場合と比べて、第1チルト配管11および第2チルト配管12の外部に露出する部分が少なくなっている。このため、小型のカバー部材62,63によって、第1チルト配管11および第2チルト配管12を適切に保護することができる。これにより、この作業車両1では、チルトシリンダ9に連結される第1チルト配管11および第2チルト配管12を適切に保護することができると共に、製造コストの増大を抑えることができる。また、第1チルト配管11および第2チルト配管12がアーム41の内部に配設されるため、作業者がアーム41の上面を足場として作業を容易に行うことができる。
【0041】
また、第1チルト配管11および第2チルト配管12をアーム41の内部に配設するために形成される第1後部開口46および第2後部開口47は、アーム41に負荷が掛かった場合に生じる応力が比較的小さい部分であるため、アーム41の強度の低下が抑えられている。第1前部開口48および第2前部開口49についても同様である。
【0042】
さらに、第1チルト配管11と第2チルト配管12とは別々の開口に通されているため、第1チルト配管11と第2チルト配管12とが同じ開口に通される場合と比べて、各開口を小さくすることができる。このため、アーム41の強度の低下が抑えられている。
【0043】
また、第1後部開口46は、第1アングルブラケット54よりも後方に設けられているため、第1アングルブラケット54が第1チルト配管11の配設の妨げとならない。すなわち、第1チルト配管11を第1アングルブラケット54を避けて配設したり、第1アングルブラケット54の位置を高くして第1アングルブラケット54の下方を通すように配設したりする必要がない。このため、第1チルト配管11の配設が容易である。
【0044】
<他の実施形態>
(a)
上記の実施形態では、作業車両1としてPATドーザが挙げられているが、他の作業車両にも本発明の適用が可能である。
【0045】
(b)
上記の実施形態では、第1チルト配管11と第2チルト配管12とが別々に配設されているが、第1チルト配管11と第2チルト配管12とが一緒にアーム41の内部に配設されてもよい。すなわち、第2チルト配管12が、第1チルト配管11と共に第1後部開口46を通って第1サイドアーム部43の内部に挿入され、第1チルト配管11と共に第1前部開口48から外部に出るように配設されてもよい。
【0046】
なお、上記の説明において名称に「第1」と付したものは、図において左側(運転室のオペレータから見て)に位置しており、名称に「第2」と付したものは、図において右側に位置しているが、上記とは左右逆に配置されてもよい。
【0047】
(c)
上記の実施形態では、第1後部開口46が第1サイドアーム部43の後部上面に形成されているが、第1サイドアーム部43の後部下面に形成されてもよい。第2後部開口47についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、チルトシリンダに連結される配管を適切に保護することができると共に、製造コストの増大を抑えることができる効果を有し、作業車両として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】作業車両の側面図。
【図2】作業機および車両本体の一部を示す斜視図。
【図3】作業機および車両本体の一部を示す上面図。
【図4】作業機および車両本体の一部を示す正面図。
【図5】第1サイドアーム部の後部の拡大図。
【符号の説明】
【0050】
1 作業車両
2 車両本体
7 第1アングルシリンダ
8 第2アングルシリンダ
9 チルトシリンダ
11 第1チルト配管
12 第2チルト配管
41 アーム
42 ブレード
43 第1サイドアーム部
44 第2サイドアーム部
45 フロントアーム部
46 第1後部開口
47 第2後部開口
48 第1前部開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
上下方向に回動可能に前記車両本体に支持されるアームと、
チルト動作可能に前記アームに支持されるブレードと、
一端が前記アームに連結され他端が前記ブレードに連結され、油圧により駆動されて前記ブレードをチルト動作させるチルトシリンダと、
前記車両本体と前記チルトシリンダとに亘って設けられ、前記チルトシリンダに供給される圧油が通る配管であり、前記アームの内部を通って配設される第1チルト配管と、
を備える作業車両。
【請求項2】
前記アームは、前記車両本体の一側方に配置されており後端部が前記車両本体に回動可能に支持される第1サイドアーム部と、前記車両本体の他側方に配置されており後端部が前記車両本体に回動可能に支持される第2サイドアーム部と、前記第1サイドアーム部と前記第2サイドアーム部との前端部に繋がっており前記ブレードをチルト動作可能に支持するフロントアーム部とを有し、
前記第1チルト配管は、前記第1サイドアーム部の内部に配設されている、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記第1チルト配管は、前記車両本体から前記第1サイドアーム部の後部上面に形成された第1後部開口を通って前記第1サイドアーム部の内部に挿入されている、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
一端が前記第1サイドアーム部に連結され他端が前記ブレードに連結されており、油圧により駆動されて前記ブレードを前後方向に回動させる第1アングルシリンダと、
一端が前記第2サイドアーム部に連結され他端が前記ブレードに連結されており、油圧により駆動されて前記ブレードを前後方向に回動させる第2アングルシリンダと、
をさらに備え、
前記第1後部開口は、前記第1サイドアーム部のうち第1アングルシリンダとの連結部分より後方に形成されている、
請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記第1チルト配管は、前記第1サイドアーム部および前記フロントアーム部の内部を通り、前記フロントアーム部の前面に形成された第1前部開口を通って前記チルトシリンダに接続されている、
請求項2から4のいずれかに記載の作業車両。
【請求項6】
前記車両本体と前記チルトシリンダとに亘って設けられ、前記チルトシリンダに供給される圧油が通る第2チルト配管をさらに備え、
前記第2チルト配管は、前記第2サイドアーム部の内部に配設されており、前記車両本体から前記第2サイドアーム部の後部上面に形成された第2後部開口を通って前記第2サイドアーム部の内部に挿入されている、
請求項3または4に記載の作業車両。
【請求項7】
前記車両本体と前記チルトシリンダとに亘って設けられ、前記チルトシリンダに供給される圧油が通る第2チルト配管をさらに備え、
前記第2チルト配管は、前記第1サイドアーム部の内部に配設されており、前記車両本体から前記第1後部開口を通って前記第1サイドアーム部の内部に挿入されている、
請求項3または4に記載の作業車両。
【請求項8】
前記第1チルト配管は、前記車両本体から前記第1サイドアーム部の後部下面に形成された第1後部開口を通って前記第1サイドアーム部の内部に挿入されている、
請求項2に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−13687(P2009−13687A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177318(P2007−177318)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】