説明

作業車両

【課題】キースイッチをONにしなくても、運転に関する所定の複数の情報を容易に確認できるようにするとともに、消費電力を少なく抑えることを課題とする。
【解決手段】運転に関する情報をオペレータに視認可能に表示する画面表示部63と、画面表示部63の表示と非表示を切り替えるメニュースイッチ77と、キースイッチ54がOFFの状態においてメニュースイッチ77が操作されている間、メニュースイッチ77に対応した所定の情報を画面表示部63に表示させる表示制御部65と、を具備するように、作業車両であるバックホー1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業車両に関し、より特定的には、運転に関する情報が運転席近傍の画面表示部に表示されるように構成している作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転に関する情報が運転席近傍の画面表示部に表示されるように構成した作業車両が公知となっている。
一般に、前記画面表示部に所望の画面を表示させるためには、あらかじめ作業車両のキースイッチ(メインスイッチ)をONにしておく必要があった。したがって、例えば作業車両の点検時等において、運転に関する情報の確認のみを行えば足りる場合であっても、始動用のキーをキースイッチに挿入して回してONにした上で、画面操作部のスイッチを操作する必要があり、操作が煩雑であった。
【0003】
このような問題を解決するための措置としては、例えば、キースイッチがOFFの状態においても、前記画面操作部のスイッチが操作されたら、前記画面表示部に燃料残量及び累積稼動時間を示す所定の画面が一定時間にわたって表示されるようにする等の措置を取り得る。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−144814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、キースイッチがOFFの状態において、前記画面表示部に所定の画面を表示させ続けると、バッテリー等の電力を著しく消耗する、という問題が生じる。
【0006】
さらに、燃料残量及び累積稼動時間だけではなく、例えばメンテナンス警告等の運転に関する他の情報も合わせて知りたい場合があった。その場合、前記運転に関する他の情報を得るには、作業車両のキースイッチをONにして、メンテナンスモードを呼び出す操作をする必要があり、操作が煩雑であった。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、キースイッチをONにしなくても、運転に関する所定の複数の情報を容易に確認できるようにするとともに、消費電力を少なく抑えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の発明に係る作業車両は、運転に関する情報をオペレータに視認可能に表示する表示部と、前記表示部の表示と非表示を切り替える第一操作手段と、キースイッチがOFFの状態において前記第一操作手段が操作されている間、当該第一操作手段に対応した所定の情報を前記表示部に表示させる制御部と、を具備するものである。
【0009】
第二の発明に係る作業車両は、第一の発明に係る作業車両であって、前記表示部に表示された情報を他の情報に切り替える第二操作手段をさらに具備し、前記制御部は、前記第一操作手段が操作されると同時に前記第二操作手段が操作されている間、当該第二操作手段に対応した所定の情報を前記表示部に表示させるものである。
【発明の効果】
【0010】
第一の発明によれば、作業車両のキースイッチをONにしなくても、第一操作手段に対応した所定の情報を容易に確認することができる。また、第一操作手段が操作されている間に限り当該所定の情報を表示させるため、消費電力を少なく抑えることができる。
【0011】
第二の発明によれば、作業車両のキースイッチをONにしなくても、第二操作手段に対応した所定の情報を容易に確認することができる。また、第一操作手段及び第二操作手段が同時に操作されている間に限り当該所定の情報を表示させるため、消費電力を少なく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の一形態に係る作業車両の全体的な構成を示す左側面図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る作業車両に具備された操縦部の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る作業車両に備えられた表示装置の構成を示す正面図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る作業車両の制御構成を示すブロック図である。
【図5】表示装置の制御態様を示すフローチャート図である。
【図6】表示装置の制御態様の別実施例を示すフローチャート図である。
【図7】表示装置の画面表示部に表示される画面を示す図であり、(a)はキースイッチをONにしたときの初期画面である画面Sを示す図、(b)はメニュースイッチに対応した情報を表示する画面である画面Aを示す図である。
【図8】表示装置の画面表示部に表示される画面を示す図であり、(a)はF1スイッチに対応した情報を表示する画面である画面Bを示す図、(b)はF2スイッチに対応した情報を表示する画面である画面Cを示す図である。
【図9】表示装置の画面表示部に表示される画面を示す図であり、(a)はF3スイッチに対応した情報を表示する画面である画面Dを示す図、(b)はF4スイッチに対応した情報を表示する画面である画面Eを示す図である。
【図10】作業車両の制御構成の別実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず初めに、本発明に係る「作業車両」の実施の一形態であるバックホー1の全体的な構成について、図1及び図2を参照して説明する。なお、本発明の「作業車両」はバックホー1に限定するものではなく、例えばホイルローダーやキャリアー等であってもよい。すなわち、本発明は種々の建設車両等に適用可能である。
【0014】
以下の説明においては、バックホー1の前進方向である矢印F(図1及び図2参照)の方向を前方と規定するとともに、前方に向かって左手側である矢印L(図2参照)の方向を左方と規定して、前後左右上下方向を定義した上で説明をする。
バックホー1は、走行装置20、旋回装置30、掘削作業装置40、及び操縦部50等を具備する。
【0015】
走行装置20、旋回装置30、及び掘削作業装置40について、図1及び図2を参照して説明する。
走行装置20は、クローラ式の走行装置である。走行装置20を油圧モータによって駆動することにより、バックホー1を走行可能である。
旋回装置30は、旋回台31等により構成されるものであり、走行装置20の上方に配置される。旋回装置30が旋回用のモータによって駆動されることにより、バックホー1の機体が旋回される。
掘削作業装置40は、ブーム41やアーム42等を含む多関節構造を有し、先端部にバケット43が備えられる。掘削作業装置40に備えられた複数のシリンダ44・45・46が駆動されることにより、バケット43を用いて土砂等の掘削を行うことが可能である。
【0016】
なお、バックホー1の駆動源であるエンジン10は、旋回装置30の上に搭載される。また、図1には図示していないが、バックホー1の機体の後部には、バッテリー17(図4参照)が搭載される。
さらに、バックホー1には、運転状態を最適な状態に制御するための主制御部15、並びに、燃料タンク内の燃料の残量を検出する燃料残量センサ81、エンジン10を冷却するための冷却水の温度を検出する冷却水温センサ82、及び作動油の流量を検出する作動油流量センサ等の種々のセンサ、が具備される。
【0017】
操縦部50について、図1及び図2を参照して説明する。
操縦部50は、バックホー1に搭乗するオペレータが、前述した走行装置20用の油圧モータや、旋回用のモータや、掘削作業装置40のシリンダ44・45・46等を人為的に操作するためのものであり、エンジン10の前方に配置される。操縦部50は、運転席51、レバー装置52・53、キースイッチ54(図4参照)、及び表示装置60等を備える。
【0018】
運転席51、レバー装置52・53、キースイッチ54、及び表示装置60について、図1及び図2を参照して説明する。
【0019】
図1及び図2に示す運転席51は、オペレータが着座する座席であり、旋回台31の平面視中央部の上に設けられる。
図2に示すレバー装置52・53は、掘削作業装置40を操作するための作業レバーや、エンジン10のスロットル開度を変更するためのスロットルレバー等の、種々の操作具を有する。レバー装置52は、運転席51の前方に設けられる。レバー装置53は、運転席51の右側方に設けられる。
【0020】
図4に示すキースイッチ54は、バックホー1の電源を入切したり、エンジン10を始動させたりするためのスイッチである。図2には図示していないが、本実施形態のキースイッチ54は、右のレバー装置53の近傍に配置される。キースイッチ54には、エンジン10の始動用のキー14を挿入することができ、このキー14を回すことでキースイッチ54を回転させ、電源「入」状態と電源「切」状態を切り替えることができる。また、キーを「入」位置からさらに回転させて「始動」位置とすることで、エンジン10を始動できる。
【0021】
図2に示す表示装置60は、バックホー1の運転に関する情報を、オペレータが視認できるように表示するものであり、運転席51の近傍に設けられる。本実施形態の表示装置60は、運転席51の右斜め前方に設けられる。ただし、「表示装置」が配置される位置はこれに限定するものではなく、例えば、運転席の左斜め前方に表示装置を設ける構成としてもよい。
【0022】
表示装置60について、図3を参照してより詳細に説明する。
表示装置60は、枠体61、点灯表示部62、画面表示部63、画面操作部64、及び表示制御部65(図4参照)を有する。
【0023】
図3に示す枠体61は、表示装置60の外郭を成すものである。枠体61は、左側面視略L字形状の部材である。枠体61の上部は、運転席51と対向配置される。より具体的には、枠体61の上部の表示面61a(厳密には後上方を向いている面)が、運転席51に着座したオペレータと対向するように配置されている。枠体61の下部は、運転席51の右側方に固定される。
【0024】
図3に示す点灯表示部62は、枠体61の表示面61aの上側に設けられる。点灯表示部62には、バックホー1の動作状態や、警告の有無等を表す複数の図形が表示され、各図形に点灯部材(バックライト)としてLED(Light Emitting Diode)が配置される。点灯表示部62は、所定の条件において対応するLEDが点灯することで、特定の図形のみが点灯するように構成されている。このようにして、点灯表示部62は、運転に関する情報をオペレータに視覚を通じて伝達する。なお、本実施形態の点灯表示部62はLEDを点灯させて表示するものとしたが、これに限定するものではなく、点灯状態を制御できる光源であればよい。
【0025】
図3に示す画面表示部63は、本発明に係る「表示部」の実施の一形態であり、運転に関する情報をオペレータに視認可能に表示するものである。画面表示部63は、枠体61の表示面61aの中央部であって、点灯表示部62の下方となる位置に設けられる。本実施形態の画面表示部63は、液晶画面により構成される。オペレータは、後に詳述する画面操作部64を適宜に操作することにより、画面表示部63に所望の画面を表示させて、あるいは表示されている画面を所望の画面に切り替えて、バックホー1の運転に関する情報を確認することができる。このようにして、画面表示部63は、運転に関する情報をオペレータに視覚を通じて伝達する。なお、本実施形態の画面表示部63は液晶画面により構成されるものとしたが、これに限定するものではなく、複数の情報を任意に表示できるものであればよい。
【0026】
図3に示す画面操作部64は、枠体61の表示面61aの下側であって、画面表示部63の下方となる位置に設けられる。画面操作部64は、複数のスイッチ(操作具)を含む。本実施形態の画面操作部64においては、左側から、メニュースイッチ77、F1スイッチ71、F2スイッチ72、F3スイッチ73、及びF4スイッチ74が、この順に並設されている。これらの各スイッチは、表示制御部65と電気的に接続される。
【0027】
オペレータがメニュースイッチ77を押し込むことにより、該メニュースイッチ77がONとなる。一方、オペレータがメニュースイッチ77から手を離すことにより、該メニュースイッチ77が元の状態に復帰してOFFとなる。F1スイッチ71、F2スイッチ72、F3スイッチ73、及びF4スイッチ74についても同様に、押し込み操作によりONとOFFを切替可能に設けられている。メニュースイッチ77は、本発明に係る「第一操作手段」の実施の一形態であり、画面表示部63の表示と非表示を切り替えるための操作具として機能する。
【0028】
ただし、第一操作手段の構成は、上記のような構成のスイッチに限定するものではなく、例えばダイアル式のスイッチ等であってもよいし、すなわちONとOFFを切替可能な操作具であればよい。F1〜F4のスイッチ(第二操作手段)の構成についても同様に、ONとOFFを切替可能な操作具であればよい。
【0029】
図4に示す表示制御部65は、点灯表示部62及び画面表示部63の制御を行うものである。表示制御部65は、本発明に係る「制御部」の実施の一形態である。図3には図示していないが、本実施形態の表示制御部65は、枠体61の内側に収容される。
表示制御部65には、点灯表示部62及び画面表示部63を制御するための種々のプログラムが格納される。また、表示制御部65は、これらのプログラムに従って所定の演算をすることができ、当該演算の結果を記憶部65aに記録することができる。
表示制御部65は、実体的にはCPU、ROM、RAM、及びHDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等から成る構成であってもよい。なお、本実施形態の表示制御部65は、バックホー本体の制御部である主制御部15とは別に設けている。しかし、本発明に係る制御部の構成はこれに限定するものではなく、作業車両本体の制御部(主制御部)と一体に構成するものとしてもよい。
【0030】
表示装置60の制御構成について、図4のブロック図を参照して説明する。
【0031】
表示制御部65は、バックホー本体の制御部である主制御部15に電気的に接続されていている。本実施形態では、燃料残量センサ81や冷却水温センサ82や作動油流量センサ等の種々のセンサが、表示制御部65に電気的に接続されている。このような構成により、種々のセンサ(作動油流量センサ等)から取得された情報が、表示制御部65に伝達される。こうして、表示制御部65は、燃料残量、冷却水温度、警報、エラー情報、及び作動油の流量等の情報を取得することが可能である。
【0032】
ただし、上記の構成に代えて、図10に示すように、燃料残量センサ81や冷却水温センサ82や作動油流量センサ等の種々のセンサが、主制御部15を介して表示制御部65に電気的に接続される構成としてもよい。このような構成とした場合、種々のセンサ(作動油流量センサ等)から取得された情報は、主制御部15を介して表示制御部65に伝達される。
【0033】
また、表示制御部65は、点灯表示部62に電気的に接続されている。表示制御部65は、主制御部15から取得した入力信号に基づいて出力信号を作成し、点灯表示部62に当該出力信号を送信して所定のLEDを点灯させる。このような構成により、例えばバックホー1の燃料残量が少なくなったときに、点灯表示部62の燃料切れを示す図形を点灯させることにより、燃料を注ぎ足すべきことをオペレータに知らせることができる。
【0034】
また、表示制御部65は、画面表示部63及び画面操作部64(の各スイッチ)に電気的に接続されている。表示制御部65は、画面操作部64から取得した入力信号に基づいて出力信号を作成し、画面表示部63に当該出力信号を送信する。このような構成により、オペレータが画面操作部64の各スイッチを適宜に操作することにより、画面表示部63に所望の画面を表示させたり、あるいは画面表示部63に表示されている画面を他の画面(他の情報を示す画面)に切り替えたりすることができる。
【0035】
さらに、主制御部15及び表示制御部65は、バッテリー17に電気的に接続されている。詳述すると、バッテリー17から主制御部15及び表示制御部65への電力供給は、(1)キースイッチ54が介在される電力供給配線18a・18bと、(2)キースイッチ54を介さずに直接接続される電力供給配線19a・19bと、の二種類の回路により可能とされている。
すなわち、キースイッチ54がONの時は、電力供給配線18a・18bにより主制御部15及び表示制御部65に電力が供給され、バックホー1の走行時や作業時等の制御において許容大電流が流れることを可能としている。一方、キースイッチ54がOFFの時は、電力供給配線19a・19bにより主制御部15及び表示制御部65に電力が供給され、記憶保持や時計駆動等のバックアップ用として必要な最低限の電力が供給される。また、後に詳述するように、電力供給配線19a・19bによって電力を供給可能とすることにより、キースイッチ54がOFFの時においても画面表示部63に所定の画面A等を表示できるようにしている。
【0036】
以下では、表示制御部65において実行される制御フロー100について、図5を参照して説明する。制御フロー100は、バックホー1のキースイッチ54がOFFの状態において実行される制御フローである。
【0037】
まず初めにステップS110において、表示制御部65は、キースイッチ54がOFFであるか否かを判定する。
キースイッチ54がOFFである場合、続いてステップS120に移行する。
一方、キースイッチ54がONである場合、制御フロー100を実行するべき状況ではないと判断し、当該制御フロー100を終了するとともに、キースイッチ54がONのときに行われる通常の制御に移行する(ステップS150)。より具体的には、キースイッチ54がONにされたとき、画面表示部63には、図7(a)に示す如き態様の画面S(初期画面)が表示される。
【0038】
ステップS120において、表示制御部65は、メニュースイッチ77がONであるか否かを判定する。
メニュースイッチ77がONである場合、続いてステップS130に移行する。一方、メニュースイッチ77がOFFである場合、画面表示部63の画面を非表示にするべき状況であると判断し、画面表示部63に画面が表示されている場合にはそれを消灯した後(ステップS140)、一連の処理を終了する。
【0039】
ステップS130において、表示制御部65は、画面表示部63に画面Aを表示する。画面Aは、図7(b)に示す如き形態の画面であり、バックホー1の運転に関する情報等を表示するものである。より具体的には、本実施形態の画面Aには、バックホー1の累積稼動時間(1a)、燃料の残量(2a)、冷却水の温度(3a)、及び、初期設定において登録された時刻(4a)等が表示される。なお、本実施形態においては、燃料の残量(2a)及び冷却水の温度(3a)は、それぞれ棒状のグラフの一部が塗りつぶされることにより視覚的に表示されている。画面表示部63に当該画面Aを表示させた後、先のステップS110に戻る。
【0040】
前記ステップS130からステップS110に戻った場合において、表示制御部65は、当該ステップS110を経由して再度ステップS120を行う。すなわち、メニュースイッチ77がONであるか否かを再度判定する(再確認する)。
メニュースイッチ77がONのままである場合、続いてステップS130に移行する。すなわち、メニュースイッチ77がONの状態の間は、画面Aが画面表示部63に表示され続けるように制御される。一方、メニュースイッチ77がOFFにされた場合、前記ステップS140に移行して、画面表示部63の画面Aを非表示にする(消灯する)。画面表示部63の当該画面Aを非表示にした後、一連の処理を終了する。
【0041】
以上の如く構成されるバックホー1では、上記の制御フロー100が実行される。すなわち、本実施形態のバックホー1は、運転に関する情報をオペレータに視認可能に表示する画面表示部63と、画面表示部63の表示と非表示を切り替えるメニュースイッチ77と、キースイッチ54がOFFの状態においてメニュースイッチ77が操作されている間、該メニュースイッチ77に対応した所定の情報を画面表示部63に表示させる表示制御部65と、を具備するものである。
ここで、本実施形態のメニュースイッチ77は、バックホー1の累積稼動時間(1a)、燃料の残量(2a)、冷却水の温度(3a)、及び、初期設定において登録された時刻(4a)等を表示する画面Aに対応している。
したがって、バックホー1のキースイッチ54をONにしなくても、メニュースイッチ77に対応した所定の情報(1a・2a・3a・4a)を示す画面Aを表示することができ、当該所定の情報を容易に確認することができる。また、メニュースイッチ77が操作されている間に限り、当該所定の情報を示す画面Aを表示させるため、バッテリー17の消費電力を少なく抑えることができる。すなわち、画面表示部63に画面Aが表示されている時間を最小限に抑えることができる。
【0042】
以上に制御フロー100について説明したが、これに代えて制御フロー200が実行されるものとしてもよい。以下、制御フロー200について、図6を参照して説明する。
なお、この制御フロー200を実行する場合において、F1スイッチ71、F2スイッチ72、F3スイッチ73、及びF4スイッチ74は、画面表示部63に表示された画面(情報)を他の画面(情報)に切り替えるための操作具として機能する。F1スイッチ71、F2スイッチ72、F3スイッチ73、及びF4スイッチ74はそれぞれ、本発明に係る「第二操作手段」の実施の一形態である。
【0043】
まず初めにステップ210において、表示制御部65は、キースイッチ54がOFFであるか否かを判定する。
キースイッチ54がOFFである場合、続いてステップS220に移行する。
一方、キースイッチ54がONである場合、制御フロー200を実行するべき状況ではないと判断し、当該制御フロー200を終了するとともに、キースイッチ54がONのときに行われる通常の制御に移行する(ステップS260)。
【0044】
ステップS220において、表示制御部65は、メニュースイッチ77がONであるか否かを判定する。
メニュースイッチ77がONである場合、続いてステップS230に移行する。一方、メニュースイッチ77がOFFである場合、画面表示部63の画面を非表示にするべき状況であると判断し、画面表示部63に画面が表示されている場合にはそれを消灯した後(ステップS270)、一連の処理を終了する。
【0045】
ステップ230において、表示制御部65は、F1スイッチ71、F2スイッチ72、F3スイッチ73、及びF4スイッチ74(F1〜F4のスイッチ)のいずれか一つがONであるか否かを判定する。
前記F1〜F4のスイッチのいずれか一つがONである場合、続いてステップS240に移行する。一方、前記F1〜F4のスイッチのすべてがOFFである場合、又は、二つ以上がONである場合、続いてステップS250に移行する。
【0046】
ステップS240において、表示制御部65は、ONにされているスイッチ(F1〜F4のスイッチのいずれか一つ)に対応する画面を、画面表示部63に表示する。
【0047】
より具体的には、F1スイッチ71がONであるとき、表示制御部65は、画面表示部63に画面Bを表示する。画面Bは、図8(a)に示す如き形態の画面であり、バックホー1の各部に警告やエラーが発生している場合に、それに対応する図形(1b)を表示するものである。なお、警告やエラーが複数発生している場合には、対応する図形が一定時間置き(例えば2秒置き)に順次切り替わって表示される。本実施形態の画面Bには、エラーコード(2b)が表示されている。
【0048】
F2スイッチ72がONであるとき、表示制御部65は、画面表示部63に画面Cを表示する。画面Cは、図8(b)に示す如き形態の画面であり、バックホー1の各部にメンテナンス警告がある場合に、それに対応する図形(1c)を表示するものである。なお、メンテナンス警告が複数ある場合には、対応する図形が一定時間置き(例えば2秒置き)に順次切り替わって表示される。本実施形態の画面Cには、メンテナンスの警告をする時間の間隔(2c)、及び、前回メンテナンスを行った時点からの累積稼動時間(3c)等が表示されている。
【0049】
F3スイッチ73がONであるとき、表示制御部65は、画面表示部63に画面Dを表示する。画面Dは、図9(a)に示す如き形態の画面であり、カレンダーを表示するものである。なお、カレンダーのマス目(升目)には、それぞれの日におけるバックホー1の稼動時間が、四角い点(1d)の増減で大まかに示されている。
【0050】
F4スイッチ74がONであるとき、表示制御部65は、画面表示部63に画面Eを表示する。画面Eは、図9(b)に示す如き形態の画面であり、バックホー1の各部についてのメンテナンスの来歴を表示するものである。より具体的には、例えば、画面Eには、作動油(1e)、作動油戻しフィルタ(2e)、及びエンジンオイル(3e)の3つの項目の来歴が示されている。各項目の右側下欄には、前回メンテナンスを行った日時(4e)と、その時点における累積稼動時間(5e)と、が示されている。また、各項目の右側上欄には、前々回メンテナンスを行った日時(6e)と、その時点における累積稼動時間(6f)と、が示されている。
【0051】
ステップS240において、表示制御部65は、画面表示部63に当該画面B〜Eのうちの対応する画面を表示させた後、先のステップS210に戻る。
【0052】
ステップS250において、表示制御部65は、画面表示部63に画面Aを表示する。画面表示部63に当該画面Aを表示させた後、先のステップS210に戻る。
【0053】
前記ステップS240またはステップS250からステップS210に戻った場合において、表示制御部65は、当該ステップS210を経由して再度ステップS220を行う。すなわち、メニュースイッチ77がONであるか否かを再度判定する(再確認する)。
メニュースイッチ77がONのままである場合、ステップS230を経由して、ステップS240またはステップS250に移行する。すなわち、メニュースイッチ77がONの状態の間は、画面A〜Eのいずれかが画面表示部63に表示され続けるように制御される。一方、メニュースイッチ77がOFFにされた場合、前記ステップS270に移行して、画面表示部63の画面Aを非表示にする(消灯する)。画面表示部63の当該画面Aを非表示にした後、一連の処理を終了する。
【0054】
このように、制御フロー200を実行させた場合、バックホー1は、画面表示部63に表示された情報(1a・2a・3a・4a)を他の情報(1b・1c等)に切り替えるF1〜F4のスイッチ71・72・72・74をさらに具備し、表示制御部65は、メニュースイッチ77が操作されると同時にF1〜F4のスイッチ71・72・72・74のいずれか一つが操作されている間、当該F1〜F4のスイッチ71・72・72・74に対応した所定の情報を画面表示部63に表示させるものである、といえる。
したがって、バックホー1のキースイッチ54をONにしなくても、F1〜F4のスイッチ71・72・72・74に対応した所定の情報(1b・1c等)を示す画面を表示することができ、当該所定の情報を容易に確認することができる。また、メニュースイッチ77、並びに、F1スイッチ71、F2スイッチ72、F3スイッチ73、及びF4スイッチ74のいずれか一つ、が同時に操作されている間に限り、当該所定の情報を示す画面B〜Eを表示させるため、バッテリー17の消費電力を少なく抑えることができる。すなわち、画面表示部63に画面A〜Eが表示されている時間を最小限に抑えることができる。
【0055】
また、本実施形態のバックホー1は、第二操作手段を複数(本実施形態では4つ)具備し、それぞれに異なる情報(画面)が対応するように構成されている。
具体的には、F1スイッチ71は、バックホー1の各部に警告やエラーが発生していることを知らせる図形(1b)等を表示する画面Bに対応している。また、F2スイッチ72は、バックホー1の各部にメンテナンス警告があることを知らせる図形(1c)等を表示する画面Cに対応している。また、F3スイッチ73は、カレンダー等を表示する画面Dに対応している。さらに、F4スイッチ74は、バックホー1の各部についてのメンテナンスの来歴等を表示する画面Eに対応している。
したがって、バックホー1の点検時等において必要となる多数の情報を、キースイッチ54を用いることなく容易に確認することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 バックホー(作業車両)
54 キースイッチ
60 表示装置
63 画面表示部(表示部)
64 画面操作部
65 表示制御部(制御部)
71 F1スイッチ(第二操作手段)
72 F2スイッチ(第二操作手段)
73 F3スイッチ(第二操作手段)
74 F4スイッチ(第二操作手段)
77 メニュースイッチ(第一操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転に関する情報をオペレータに視認可能に表示する表示部と、
前記表示部の表示と非表示を切り替える第一操作手段と、
キースイッチがOFFの状態において前記第一操作手段が操作されている間、当該第一操作手段に対応した所定の情報を前記表示部に表示させる制御部と、を具備する作業車両。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両であって、
前記表示部に表示された情報を他の情報に切り替える第二操作手段をさらに具備し、
前記制御部は、前記第一操作手段が操作されると同時に前記第二操作手段が操作されている間、当該第二操作手段に対応した所定の情報を前記表示部に表示させる、作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−117339(P2012−117339A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270313(P2010−270313)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】