作業車両
【課題】単一のブレーキぺダルを備えた作業車両において、路上走行を安全にしながら、圃場作業時にはエンジンの回転数、ステアリングハンドルの操作位置状態から自動的に旋回走行する装置を提供する。
【解決手段】アクセルレバーにより回転数を調節できるエンジンと、該エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサと、ステアリングハンドルの操作状態を検出するハンドル切れ角センサとを設け、前記エンジン回転数センサが所定の作業回転数を検出し、前記ハンドル切れ角センサが最大切れ角に対して所定比率以上のハンドル切れ角を検出すると、前記ステアリングハンドルの切り側の左右ブレーキアクチュエータ24L、24Rを作動し左右ブレーキ作動手段の左右ブレーキ作動部の一方をだけを作動し片ブレーキ作動状態で旋回走行させるコントローラを設けたことを特徴とする作業車両の構成とする。
【解決手段】アクセルレバーにより回転数を調節できるエンジンと、該エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサと、ステアリングハンドルの操作状態を検出するハンドル切れ角センサとを設け、前記エンジン回転数センサが所定の作業回転数を検出し、前記ハンドル切れ角センサが最大切れ角に対して所定比率以上のハンドル切れ角を検出すると、前記ステアリングハンドルの切り側の左右ブレーキアクチュエータ24L、24Rを作動し左右ブレーキ作動手段の左右ブレーキ作動部の一方をだけを作動し片ブレーキ作動状態で旋回走行させるコントローラを設けたことを特徴とする作業車両の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関し、特に左右ブレーキ作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタの車輪を制動するトラクタブレーキ装置と、ブレーキ装置を操作する左右ブレーキぺダルと、左右ブレーキぺダルを連結解除する連結片と、ブレーキぺダルとブレーキ装置とを機械的に連動連結する連動手段と、トラクタに着脱自在に連結されている連結車両と、連結車両の車輪を制動する連結車両ブレーキ装置とを備え、連動手段には、連結手段が操作されるときに伸長または収縮されて連結車両ブレーキ装置を操作させる液圧を発生させる液圧発生手段を介在させたものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−104191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術の前記発明は、左右ブレーキぺダルを連結解除する連結片を設け、路上走行時には連結片を連結状態とし、圃場作業時には連結片を解除状態とするものである。従って、連結片の連結操作を忘れて路上走行しブレーキぺダルを踏み込むと、トラクタが旋回するという不具合が発生する。
【0005】
そこで、本発明はこのような不具合を解消し、単一のブレーキぺダルで左右ブレーキ装置を同時に作動し路上走行時の旋回走行を防止しながら、圃場作業時にはステアリングハンドルの操作状態から自動的に旋回内側のブレーキ装置を作動し旋回走行を円滑に実行しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、単一のブレーキぺダル(21)と、該ブレーキぺダル(21)と左右車輪(5,5)の左右ブレーキ装置を機械的に連動連結し前記左右ブレーキ装置を同時に作動する左右ブレーキ作動装置(22)とを備え、前記左右ブレーキ装置を別個に作動する左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)と前記左右ブレーキ作動装置(22)の左右ブレーキ作動部(22i,22h)とを融通手段(26,26)を介して連結した作業車両において、アクセルレバー(28)により回転数を調節できるエンジン(E)と、該エンジン(E)の回転数を検出するエンジン回転数センサ(SE1)と、ステアリングハンドル(16)の操作状態を検出するハンドル切れ角センサ(SE2)とを設け、前記エンジン回転数センサ(SE1)が所定の作業回転数を検出し、前記ハンドル切れ角センサ(SE2)が最大切れ角に対して所定比率以上のハンドル切れ角を検出すると、前記ステアリングハンドル(16)の切り側の左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)を作動し左右ブレーキ作動手段(22L,22R)の左右ブレーキ作動部(22b,22h)の一方をだけを作動し片ブレーキ作動状態で旋回走行させるコントローラ(33)を設けたことを特徴とする作業車両とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記左右車輪(5,5)の左右ブレーキ装置の片側制動制御の入切をする左右片ブレーキ自動入切スイッチ(SW1)を設けたことを特徴とする作業車両の左右ブレーキ作動装置とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1及び請求項2の発明において、走行車体(1)に設けているミッションケース(3)を前側ミッションケース(3F)と後側ミッションケース(3R)とに分割構成し、前側ミッションケース(3F)と後側ミッションケース(3R)の接合連結部材(41,42)に左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)の接合連結部材(43)を重合接合し、これら接合連結部材(41,42,43)の取付穴に取付ボルト(44,44)を貫通締結したことを特徴とする作業車両とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記ブレーキぺダル(21)と左右後輪(5,5)の左右ブレーキ装置とを機械的に連動連結する左右ブレーキ作動装置(22)のブレーキ連結軸(22e)を左右方向に沿わせて、前記後側ミッションケース(3R)の前方部位に取り付けた左右ブラケット(46,46)に支架したことを特徴とする作業車両とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によると、路上走行時に単一のブレーキぺダル(21)を踏み込み操作すると、左右ブレーキ作動装置(22)を経由して必ず左右車輪のブレーキ装置が同時に制動され、車体の左右旋回を防止しながら制動することができ安全である。また、エンジン回転数センサ(SE1)が所定の作業回転数を検出し、ハンドル切れ角センサ(SE2)が最大切れ角に対して所定比率以上のハンドル切れ角を検出すると、ステアリングハンドル(16)の切り側の左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)を作動し左右ブレーキ作動手段(22L,22R)の左右ブレーキ作動部(22b,22h)の一方をだけを作動し片ブレーキ作動状態で旋回走行することができ、圃場作業時の旋回走行を円滑に行なうことができる。
【0011】
請求項2の発明によると、請求項1の発明の前記効果に加えて、左右片ブレーキ自動入切スイッチ(SW1)を自動切りにする操作を忘れて路上走行時にブレーキぺダル(21)を操作しても、左右ブレーキ作動装置(22)を介して左右車輪(5,5)の左右ブレーキ装置を同時に作動することができ、旋回走行を回避することができ安全である。
【0012】
請求項3の発明によると、走行車体(1)に設けているミッションケース(3)を前側ミッションケース(3F)と後側ミッションケース(3R)とに分割構成し、前側ミッションケース(3F)と後側ッションケース(3R)の接合連結部材(41,42)に左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)の接合連結部材(43)を重合接合し、これら接合連結部材(41,42,43)の取付穴に取付ボルト(44,44)を貫通締結したので、左右ブレーキアクチュエータ(24,24)を簡単強固に取り付けることができる。
【0013】
請求項4の発明によると、請求項3の発明の前記効果に加えて、ブレーキぺダル(21)と左右後輪(5,5)の左右ブレーキ装置との間を機械的に連動連結する左右ブレーキ作動装置(22)のブレーキ連結軸(22e)を、左右方向に沿わせて後側ミッションケース(3R)の前方部位に取り付けた左右ブラケット(46,46)に支架したので、左右ブレーキ連結装置(22)をコンパクトで部品点数を少なくしながら構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】トラクタ全体の側面図である。
【図2】トラクタ全体の平面図である。
【図3】トラクタのミッションケース部の側面図である。
【図4】トラクタのミッションケース部の平面図である。
【図5】制御ブロック図である。
【図6】トラクタの前後方向中間部の一部省略した側面図である。
【図7】トラクタの前後方向中間部の一部省略した側面図である。
【図8】左右ブレーキぺダル部の平面図である。
【図9】左右ブレーキぺダル部の側面図、斜視図である。
【図10】左右ブレーキぺダル部の平面図である。
【図11】左右ブレーキぺダル部の平面図、側面図である。
【図12】左右ブレーキぺダル部の平面図である。
【図13】左右ブレーキぺダル部の側面図、正面図、斜視図である。
【図14】左右ブレーキぺダル部の平面図、側面図である。
【図15】左右ブレーキぺダル部に設けた箱体の斜視図である。
【図16】左右ブレーキぺダル部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいてこの発明を農業用トラクタに施した実施例について説明する。
まず、図1及び図2に基づき本発明を備えた農用トラクタの全体構成について説明する。
【0016】
トラクタは走行車体1の前側部にエンジンEを搭載し、エンジンEをボンネット2で被覆し、エンジンEからの回転動力をミッションケース3内の油圧式無段変速装置及びギヤ式副変速装置で変速し、左右前輪4,4及び左右後輪5,5へ伝達している。
【0017】
また、ミッションケース3の後側上部にはシート6を設け、その左右両側に左右フェンダ7,7を設けている。また、走行車体1の後側にはシリンダケース8を設け、シリンダケース8の後側部に左右リフトアーム9,9を上下回動自在に設け、3点リンク機構10により連結したロータリ耕耘装置11を昇降可能に連結している。
【0018】
また、エンジンEの後方には、ハンドルフレーム15を立設し、その上部にステアリングハンドル16を設けている。走行車体1の後部に後側安全フレーム19を立設している。
【0019】
次に、図3乃至図5に基づき左右後輪5,5のブレーキの作動構成について説明する。
ミッションケース3の右側部には左右方向の軸21a回りに単一のブレーキぺダル21を回動自在に軸支し、ブレーキぺダル21と左右後輪ブレーキ装置との間を機械的に連動している左右ブレーキ作動装置22により連結し、ブレーキぺダル21により左右後輪5,5の左右ブレーキ装置を同時に作動するように構成している。
【0020】
前記左右ブレーキ作動装置22は、ブレーキぺダル21のアーム部21bに前端部をピン連結している右側ブレーキロッド22aと、ミッションケース3の後部右側に左右方向の軸回りに軸支されていてその一端が右側ブレーキロッド22aの後側端部にピン連結されている右側ブレーキアーム22bと、右側ブレーキアーム22bの他端にピンと長孔で融通自在に連結されている右側ブレーキ作動アーム22iと、該右側ブレーキ作動アーム22iに上端部がピン連結されている長さ調節自在の右側ブレーキロッド22cと、ミッションケース3の後部下方に左右方向に沿うように支架されているブレーキ連結軸22eと、ブレーキ連結軸22eの右側に取り付けられていて右側ブレーキロッド22cの下端部にピンと長孔で融通自在に連結している右側アーム部22dと、ブレーキ連結軸22eの左側端部に連結されている左側アーム部22fと、左側アーム部22fにその下端部がピンと長孔で融通自在に連結されている左側ブレーキロッド22gと、左側ブレーキロッド22gの上端部をピン連結している左側ブレーキ作動アーム22hとで構成されていて、ブレーキぺダル21を操作すると右側ブレーキ作動アーム22i及び左側ブレーキ作動アーム22hを作動し左右ブレーキ装置を同時に作動するようにしている。
【0021】
また、左右ブレーキ作動装置22には、右側ブレーキアーム22bと右側ブレーキ作動アーム22iとをピンと長孔で融通自在に連結する融通手段26を設け、ブレーキ連結軸22eの右側に取り付けられていて右側ブレーキロッド22cの下端部と右側アーム部22dとをピンと長孔で融通自在に連結する融通手段26を設け、左側アーム部22fの下端部と左側ブレーキロッド22gとをピンと長孔で融通自在に連結する融通手段26を設けている。
【0022】
そして、左右ブレーキ作動装置22を非踏み込み状態、右側ブレーキ作動アーム22i、左側ブレーキ作動アーム22hだけを後述の左右ブレーキシリンダ24L,24Rににより別個に作動し、左右ブレーキ装置を別個に作動するように構成している。
【0023】
また、ミッションケース3の後部両側に左右ブレーキシリンダ24L,24Rを例えば上下方向に沿わせて配設し、左右ブレーキシリンダ24L,24Rの伸縮ロッドの端部を右側ブレーキ作動アーム22i、左側ブレーキ作動アーム22hにそれぞれピン連結し、左右ブレーキシリンダ24L,24Rの伸縮ロッドが短縮すると、右側ブレーキ作動アーム22i、左側ブレーキ作動アーム22hだけを回動し、左右ブレーキ装置を別個に作動することができる。
【0024】
また、トラクタに設けたアクセルレバー28によりエンジンEの回転数を調節可能に構成すると共に、エンジン回転数センサSE1を設け、ステアリングハンドル16にはハンドル切れ角センサSE2を設けている。前記無段変速装置操作用の主変速レバー、副変速装置操作用の副変速レバーを設け、主変速レバーの操作位置を検出する主変速レバーセンサSE3、副変速レバーセンサSE4を設けている。また、ブレーキ制御弁31(図3に示す)を右側シリンダ作動ソレノイドSL1、左側シリンダソレノイドSL2により切換作動し、左右ブレーキシリンダ24L,24Rを伸縮作動し、左右ブレーキソレノイドSL1、SL2を別個に作動するように構成している。
【0025】
また、図4に示すように、コントローラ33の入力側には入力インターフェイスを経由して、エンジン回転数センサSE1、ハンドル切れ角センサSE2、主変速レバーセンサSE3、副変速レバーセンサSE4、片側ブレーキ自動入切スイッチSW1を接続し、出力側には出力インターフェイス、駆動回路を経由して右側シリンダソレノイドSL1、左側ブレーキソレノイドSL2を接続している。
【0026】
次に、コントローラ33の左右ブレーキ制御について説明する。
片側ブレーキ自動入切スイッチSW1を入りにし、アクセルレバーの操作によりエンジン回転数センサSE1が所定回転数(例えば2000rpm)以上の回転数を検出し、ハンドル切れ角センサSE2が最大切れ角の例えば90%以上のハンドル切れ角を検出すると、コントローラ33は圃場作業と判定し、ブレーキ片側作動指令を出し、ステアリングハンドル16の切り側の左右ブレーキシリンダ22L,22Rを短縮作動し、片ブレーキ状態とし旋回走行をするようにしている。
【0027】
従来技術として、左右ブレーキぺダルを設け、左右ブレーキぺダルには連結解除プレートを設け、路上走行時には連結解除プレートを連結状態とし、圃場作業時には連結解除プレートを解除状態に切り換えるものがある。このような構成であると、連結解除プレートの連結操作を忘れて、路上走行時にブレーキぺダルを踏み込むと、トラクタが旋回走行するという不具合が発生する恐れがある。
【0028】
しかし、前記構成によると、単一のブレーキぺダル21を踏み込み操作すると、左右ブレーキ作動装置22を経由して必ず左右ブレーキ装置が同時に制動され、機体の左右旋回を防止しながら走行することができて安全である。
【0029】
また、アクセルレバーの操作によるエンジンEの回転数が上昇し、エンジン回転数センサSE1が所定回転数(例えば2000rpm)以上の作業回転数を検出し、且つ、ハンドル切れ角センサSE2が最大切れ角の90%以上のハンドル切れ角を検出すると、圃場作業と判定してブレーキ片側作動指令を出し、ステアリングハンドル16の切り側の左右ブレーキシリンダ22L,22Rを短縮作動し、片ブレーキの作動状態で旋回走行し、圃場作業を円滑に行なうことができる。
【0030】
また、片ブレーキ自動入切スイッチSW1の自動切り操作を忘れて路上走行時にブレーキぺダル21を踏み込み操作しても、左右ブレーキ作動装置22を介して左右ブレーキ装置を同時に制動し旋回走行を回避することができ安全である。
【0031】
次に、図3に基づき左右ブレーキシリンダ24L,24Rのミッションケース3への取付構成について説明する。
ミッションケース3を前側ミッションケース3Fと後側ミッションケース3Rとに分割構成し、前側ミッションケース3Fに主クラッチ、無段変速装置及び副変速装置を内装し、後側ミッションケース3Rにはデフ機構、左右後側車軸5L,5Rを配設し、左右後輪5,5に走行動力を伝達するようにしている。そして、前側ミッションケース3Fの後側端部の左右方向に沿ったリブ41と、後側ッションケース3Rの前側端部の左右方向に沿ったリブ42とを接合している。また、前側ミッションケース3Fの後側部の左右両側面近傍に左右ブレーキシリンダ24、24を上下方向に沿うように配設し、左右ブレーキシリンダ24,24のリブ43、43の後側面を前記リブ41の前側面に接合し、これらリブ41,42,43の取付穴に左右取付ボルト44,44を挿通締結し、左右ブレーキシリンダ24,24の取り付けを簡単化している。
【0032】
また、前側ミッションケース3Fの後側端部に後側ミッションケース3Rの前側端部を接合連結し、前側ミッションケース3Fの下端よりも後側ミッションケース3Rの下端を下方へ突出するように構成している。そして、後側ミッションケース3Rの左右リブ42,42の下部左右両側に左右ブラケット46,46を前側に突出するように取り付け、ミッションケース3の接合部を側方から閉鎖するようにし、前側ミッションケース3Fと後側ミッションケース3Rの接合部下方に配設されている前記ブレーキ連結軸22eを左右ブラケット46,46により軸架している。しかして、前記左右ブレーキ連結装置22をコンパクトに構成し、ブレーキ連結軸22eをミッションケース3の下面に近接配置し泥の付着を少なくしている。
【0033】
次に、図6に基づきブレーキぺダル21とオートクルーズレバー53との作動構成について説明する。
ミッションケース3にブレーキぺダル21を左右方向の軸21a回りに回動自在に軸支し、ブレーキぺダル21のアーム部21bと左右後輪ブレーキ装置とをブレーキロッド51、ブレーキアーム52を介して連動連結している。走行車体1の後部にはオートクルーズレバー53を左右方向の軸53a回りに回動自在に軸支、オートクルーズレバー53のアーム部下端部を操作ワイヤ54を介してミッションケース3内のトラニオン軸に連係している。
【0034】
また、ブレーキぺダル21のアーム部21bに取り付けたピン56を介してクルーズ解除ワイヤ55の前側端部を連結し、クルーズ解除ワイヤ55の後側端部に長孔55aの構成されている連結板55bを連結し、オートクルーズレバー53の軸支部近傍のピン57を連結板55bの長孔55aに係合してオートクルーズワイヤ54を連動連結している。
【0035】
しかして、ブレーキぺダル21を踏み込むと、クルーズ解除ワイヤ55を介してオートクルーズレバー53を中立位置に復帰させ、操作ワイヤ54を介して無段変速装置のトラニオン軸を中立位置に復帰させ、トラクタを緊急停止させるようにしている。また、オートクルーズレバー53に連結しているクルーズ解除ワイヤ55をブレーキぺダル21のアーム部21bの穴に嵌入支持したピン56に連結しているので、ピン56のがたを抑えることができ、ブレーキぺダル21によりオートクルーズレバー53を的確に中立位置に復帰させることができ安全である。
【0036】
次に、図7に基づき駐車ブレーキの操作構成について説明する。
ミッションケース3に左右方向の軸21a回りに左右ブレーキぺダル21,21を回動自在に軸支し、左右ブレーキロッド61,61、左右ブレーキアーム62,62を介して左右ブレーキ装置に連係している。ミッションケース3の後部上方にシートフレーム63を設け、シートフレーム63の上部左右一側に駐車ブレーキレバー64を左右方向の軸64a回りに回動自在に軸支し、シートフレーム63の下部前側部に駐車ブレーキ軸65を左右方向に沿わせて軸支している。駐車ブレーキ軸65の左右ブレーキアーム部65a,65bを左右駐車ロッド66,66を介して左右ブレーキアーム62,62に連結し、駐車ブレーキ軸65の左右一側の駐車アームブレーキ65cと駐車ブレーキレバー64とをロッド67によりピン連結している。
【0037】
前記構成によると、シートフレーム63の回りに駐車ブレーキ装置をコンパクトに構成することができる。
次に、図8乃至図9に基づき左右ブレーキぺダル21,21の連結解除構成について説明する。
【0038】
左右ブレーキぺダル71L,71Rを左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、左右足踏み部71La,71Raの間にブレーキ連結手段73を設け連結解除するようにしている。左右ブレーキぺダル71L、71Rのアーム部に左右連結解除ぺダル72L,72Rを上下回動自在に軸支し、その左足踏み部72Laを左ブレーキぺダル71Lの左足踏み部71Laの左側方に、また、右足踏み部72Laを右ブレーキぺダル71Rの右足踏み部71Laの右側方に所定間隔(例えば20ミリ)開け且つ所定高さ上方へ位置するように配設している。
【0039】
前記ブレーキ連結手段73は、右足踏み部72Raに上下方向の軸回りに基部が回動自在に軸支しされている連結アーム73aと、連結アーム73aの先端部に構成されている連結凹部73bと、連結アーム73aを連結側に付勢するバネ73cとで構成されている。
【0040】
しかして、左右連結解除ぺダル72L,72Rの足踏み部72La,72Raを別々に踏み込み下方に回動させると、その一端部が上方へ回動して連結アーム73aの先端を押し上げ、連結凹部73bが左足踏み部72Laから離脱し、左右ブレーキが非連結状態となる。
【0041】
次いで、左右ブレーキぺダル71L,71Rの足踏み部71La,71Raのいずれか一方を踏み込むと、独立状態にある左右ブレーキのいずれか一方をを制動し旋回走行することとができる。また、左右連結解除ぺダル72L,72Rを操作せずに、左右ブレーキぺダル71L,17Rを同時に、あるいは左右ブレーキぺダル71L,71Rを別々に踏み込み操作すると、ブレーキ連結手段73が連結状態にあり、左右ブレーキを同時に制動することができる。
【0042】
前記構成によると、左右ブレーキぺダル71L,71Rを左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、左右ブレーキぺダルの左右足踏み部71La,71Raの側方に左右連結解除ぺダル72L,72Rを設けているので、左右連結解除ぺダル72L,72Rを操作することにより左右ブレーキを非連結状態として左右ブレーキを別個に作動し圃場作業時の旋回走行をすることができる。
【0043】
また、左右連結解除ぺダル72L,72Rを操作せずに左右ブレーキぺダル71,71の一方だけを操作すると、左右ブレーキを同時に制動でき路上走行の安全を確保することができる。
【0044】
また、左右ブレーキぺダル71L,71Rのアーム部における軸支部と足踏み部71La,71Raの中途部に左右連結解除ぺダル72L,72Rを軸支し、ブレーキ連結手段73を連結解除するように構成すると、左右連結解除ぺダル72L,72Rの解除作動ストロークを比較的楽にとることができる。
【0045】
次に、図9及び図10の実施例について説明する。
左右ブレーキぺダル71L,71Rのアーム部における軸支部と足踏み部71La,71Raの中途部にブラケット77,77を嵌合するようにしてボルト・ナットで取り付け、ブラケット77,77に回動ピン75,75の中間部を軸支75aし、回動ピン75,75の一端に左右連結解除ぺダル72L,72Rをピン連結し、回動ピン75,75の他端にロッド76,76をピン連結し、ブレーキ連結手段73を作動するようにしている。前記構成によると、左右連結解除ぺダル72L,72Rの踏み込み時にブレーキ連結手段73の解除状態を確実に維持しながら、解除作動ストロークを比較的楽にとることができる。
【0046】
また、図12に示すように、左右ブレーキぺダル71L,71Rのアーム部における軸支部と足踏み部71La,71Raの中途部に、取付部材78,78を一体的に設け、この取付部材78,78に左右連結解除ぺダル72L,72R、回動ピン75、75を軸支するように構成してもよい。
【0047】
次に、図11について説明する。左右ブレーキぺダル71L,71Rを左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、左右ブレーキぺダル71L,71Rの足踏み部71La,71Raの前側上方部位に左右連結解除ぺダル72L,72Rの足踏み部72La,72Raを左右平行状に配設し、左右ブレーキぺダル71L,71Rに対して左右連結解除ぺダル72L,72Rを左右方向の軸72Lb,72Rb回りに回動自在に軸支し、左右解除ぺダル72L,72Rの他端部により左右ブレーキ連結手段73L,73Rの真下から上方へ押圧作動するように構成している。
【0048】
前記構成によると、左右ブレーキぺダル71L,71Rと左右連結解除ぺダル72L,72Rの誤操作を防止しながら、左右ブレーキ連結手段73L,73Rの作動ストロークを比較的楽にとることができる。
【0049】
次に、図13に基づき他の実施例について説明する。
左右ブレーキぺダル71L,71Rを左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、左右ブレーキぺダル71L,71Rのいずれか一方の足踏み部71La,71Raの下方にブラケット82を介して連結解除ぺダル81を上下方向に摺動自在に取り付け、連結解除ぺダル81の上端の足踏み部81aを左右足踏み部71La,71Raの左右中間部を通して上方に突出するように構成している。左右ブレーキぺダル71L,71Rのいずれかのアーム部には回動ピン83の中間部を左右方向の軸83a回りに回動自在に軸支し、回動ピン83の一端に左右連結解除ぺダル81,81の下端部をピン連結し、回動ピン83の他端にロッド84の下端部をピン連結し、ロッド84の上端をブレーキ連結手段73にピン連結している。
【0050】
しかして、連結解除ぺダル81の足踏み部81aを踏み込むと、回動ピン83の一端が下動すると共に他端が上動し、ロッド84の上動によりブレーキ連結手段73をブレーキ連結状態に作動することができる。次いで、左右ブレーキぺダル71L,71Rのいずれか一方あるいは両方を踏み込み、左右ブレーキを連結状態で制動することができる。なお、連結解除ぺダル81の踏み込みを解除すると、復帰バネ85によりロッド84が下方に移動し、ブレーキ連結手段73を非連結状態に復帰させる。
【0051】
前記構成によると、リンク構成を簡素化しながら、左右ブレーキの連結解除を確実に行なうことができる。
図14乃至図16に基づき他の実施例について説明する。
【0052】
左右ブレーキぺダル71L,71Rを左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、左右ブレーキぺダル71L,71Rの左右足踏み部71La、71Raの下面には左右箱体87,87を左右方向に沿わせてそれぞれ取り付け、この箱体体87,87には棒状の連結磁石88を左右方向に移動自在に配設している。左右足踏み部71La、71Raの左右両側部に左右連結解除ぺダル72L,72Rを上下動自在にそれぞれ設け、左右連結解除ぺダル72L,72Rの下端部に左右作動磁石89,89を上下方向に沿わせてそれぞれ取り付け、左右作動磁石89,89の下端部を左右圧縮バネ90,90で上方へ押圧するように支持している。
【0053】
そして、図14(A)、(C)に示すように、左右連結解除ぺダル72L,72Rの非押し下げ状態では、左右連結解除ぺダル72L,72R及び左右作動磁石89,89を左右圧縮バネ90,90で押し上げで上方で支持し、連結磁石88のS極、N極と左右作動磁石89,89のS極、N極とが反発対応し、連結磁石88が左右箱体体87,87の両方にまたがるように左右中央に位置し、左右ブレーキぺダル71L,71Rを連結状態となるように構成している。
【0054】
また、図14(B)に示すように、左右連結解除ぺダル72L,72Rのいずれか一方を押し下げ作動した状態では、左右連結解除ぺダル72L,72R、左右作動磁石89,89のいずれかが左右圧縮バネ90,90を押し下げ下方に移動し、連結磁石88のS極、N極と左右作動磁石89,89のS極、N極のいずれかとが吸着対応し、連結磁石88が左右箱体体87,87いずれか一方にのみ入り込み、左右ブレーキぺダル71L,71Rが非連結状態となる。
【0055】
また、図16に示すように、左右ブレーキぺダル71L,71Rの左右箱体87,87の中央よりの開口部の中間部には、ぺダルの非踏み込み状態での最上昇位置の少し下方位置から所定踏み込み下降回動範囲にわたりシャッタプレート91を対向配設している。左右連結解除ぺダル72L,72Rのいずれか一方を踏み込み操作しすぐに足を離した場合にも、左右箱体体87,87の開口部を閉鎖し、復帰移動しようとする連結磁石88の飛び出しを防止し、左右ブレーキぺダル71L,71Rの非連結状態を維持し、後続して左右ブレーキぺダル71L,71Rのいずれかを踏み込み作動した際の片ブレーキ作動を確実にするようにしている。そして、左右ブレーキぺダル71L,71Rから足を離し最上昇位置に復帰した状態で、連結磁石88が連結状態に復帰するようにしている。
【0056】
また、フレーム部に軸92a回りに回動自在に軸支されているアーム92を設け、このアーム92にシャッタプレート91を取り付けていて、左右ブレーキぺダル71L,71R及び左右連結解除ぺダル72L,72Rの非踏み込み状態では、図16に示すように、上方に回動していて、左右連結解除ぺダル72L,72R、左右ブレーキぺダル71L,71Rの踏み込みに応じてシャッタプレート91は下方に移動し、左右連結解除ぺダル72L,72R、左右ブレーキぺダル71L,71Rから足を離すと、シャッタプレート91もバネ(図示省略)により上方へ復帰回動するようにしている。
【0057】
また、前記箱体87は図15に示すように、合成樹脂製の箱体とし、左右方向中央側だけを開口し、他側は閉鎖状態にし、上側板87aに左右方向に沿った一対の案内凸条87b,87bを構成している。そして、案内凸条87b,87bの左右中央側端部を円弧面に構成し、板金製の足踏み部71La,71Raの連結磁石88への影響を軽減し、連結磁石88の左右方向への移動を円滑確実にしている。また、箱体87は足踏み部71La,71Raの裏面に埋め込みインサートしたり、ボルト・ナットで取り付ける構成である。
【符号の説明】
【0058】
3 ミッションケース
3F 前側ミッションケース
3R 後側ミッションケース
5 左右車輪(後輪)
16 ステアリングハンドル
21 ブレーキぺダル
22 左右ブレーキ作動装置
22b,22h 左右ブレーキ作動部
22e ブレーキ連結軸
24L,24R 左右ブレーキアクチュエータ
26 融通手段(長孔及びピン)
28 アクセルレバー
33 コントローラ
41 接合連結部材(リブ)
42 接合連結部材(リブ)
43 接合連結部材(リブ)
44 取付ボルト
46 左右ブラケット
E エンジン
SE1 エンジン回転数センサ
SE2 ハンドル切れ角センサ
SW1 片ブレーキ自動入切スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関し、特に左右ブレーキ作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタの車輪を制動するトラクタブレーキ装置と、ブレーキ装置を操作する左右ブレーキぺダルと、左右ブレーキぺダルを連結解除する連結片と、ブレーキぺダルとブレーキ装置とを機械的に連動連結する連動手段と、トラクタに着脱自在に連結されている連結車両と、連結車両の車輪を制動する連結車両ブレーキ装置とを備え、連動手段には、連結手段が操作されるときに伸長または収縮されて連結車両ブレーキ装置を操作させる液圧を発生させる液圧発生手段を介在させたものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−104191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術の前記発明は、左右ブレーキぺダルを連結解除する連結片を設け、路上走行時には連結片を連結状態とし、圃場作業時には連結片を解除状態とするものである。従って、連結片の連結操作を忘れて路上走行しブレーキぺダルを踏み込むと、トラクタが旋回するという不具合が発生する。
【0005】
そこで、本発明はこのような不具合を解消し、単一のブレーキぺダルで左右ブレーキ装置を同時に作動し路上走行時の旋回走行を防止しながら、圃場作業時にはステアリングハンドルの操作状態から自動的に旋回内側のブレーキ装置を作動し旋回走行を円滑に実行しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、単一のブレーキぺダル(21)と、該ブレーキぺダル(21)と左右車輪(5,5)の左右ブレーキ装置を機械的に連動連結し前記左右ブレーキ装置を同時に作動する左右ブレーキ作動装置(22)とを備え、前記左右ブレーキ装置を別個に作動する左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)と前記左右ブレーキ作動装置(22)の左右ブレーキ作動部(22i,22h)とを融通手段(26,26)を介して連結した作業車両において、アクセルレバー(28)により回転数を調節できるエンジン(E)と、該エンジン(E)の回転数を検出するエンジン回転数センサ(SE1)と、ステアリングハンドル(16)の操作状態を検出するハンドル切れ角センサ(SE2)とを設け、前記エンジン回転数センサ(SE1)が所定の作業回転数を検出し、前記ハンドル切れ角センサ(SE2)が最大切れ角に対して所定比率以上のハンドル切れ角を検出すると、前記ステアリングハンドル(16)の切り側の左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)を作動し左右ブレーキ作動手段(22L,22R)の左右ブレーキ作動部(22b,22h)の一方をだけを作動し片ブレーキ作動状態で旋回走行させるコントローラ(33)を設けたことを特徴とする作業車両とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記左右車輪(5,5)の左右ブレーキ装置の片側制動制御の入切をする左右片ブレーキ自動入切スイッチ(SW1)を設けたことを特徴とする作業車両の左右ブレーキ作動装置とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1及び請求項2の発明において、走行車体(1)に設けているミッションケース(3)を前側ミッションケース(3F)と後側ミッションケース(3R)とに分割構成し、前側ミッションケース(3F)と後側ミッションケース(3R)の接合連結部材(41,42)に左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)の接合連結部材(43)を重合接合し、これら接合連結部材(41,42,43)の取付穴に取付ボルト(44,44)を貫通締結したことを特徴とする作業車両とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記ブレーキぺダル(21)と左右後輪(5,5)の左右ブレーキ装置とを機械的に連動連結する左右ブレーキ作動装置(22)のブレーキ連結軸(22e)を左右方向に沿わせて、前記後側ミッションケース(3R)の前方部位に取り付けた左右ブラケット(46,46)に支架したことを特徴とする作業車両とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によると、路上走行時に単一のブレーキぺダル(21)を踏み込み操作すると、左右ブレーキ作動装置(22)を経由して必ず左右車輪のブレーキ装置が同時に制動され、車体の左右旋回を防止しながら制動することができ安全である。また、エンジン回転数センサ(SE1)が所定の作業回転数を検出し、ハンドル切れ角センサ(SE2)が最大切れ角に対して所定比率以上のハンドル切れ角を検出すると、ステアリングハンドル(16)の切り側の左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)を作動し左右ブレーキ作動手段(22L,22R)の左右ブレーキ作動部(22b,22h)の一方をだけを作動し片ブレーキ作動状態で旋回走行することができ、圃場作業時の旋回走行を円滑に行なうことができる。
【0011】
請求項2の発明によると、請求項1の発明の前記効果に加えて、左右片ブレーキ自動入切スイッチ(SW1)を自動切りにする操作を忘れて路上走行時にブレーキぺダル(21)を操作しても、左右ブレーキ作動装置(22)を介して左右車輪(5,5)の左右ブレーキ装置を同時に作動することができ、旋回走行を回避することができ安全である。
【0012】
請求項3の発明によると、走行車体(1)に設けているミッションケース(3)を前側ミッションケース(3F)と後側ミッションケース(3R)とに分割構成し、前側ミッションケース(3F)と後側ッションケース(3R)の接合連結部材(41,42)に左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)の接合連結部材(43)を重合接合し、これら接合連結部材(41,42,43)の取付穴に取付ボルト(44,44)を貫通締結したので、左右ブレーキアクチュエータ(24,24)を簡単強固に取り付けることができる。
【0013】
請求項4の発明によると、請求項3の発明の前記効果に加えて、ブレーキぺダル(21)と左右後輪(5,5)の左右ブレーキ装置との間を機械的に連動連結する左右ブレーキ作動装置(22)のブレーキ連結軸(22e)を、左右方向に沿わせて後側ミッションケース(3R)の前方部位に取り付けた左右ブラケット(46,46)に支架したので、左右ブレーキ連結装置(22)をコンパクトで部品点数を少なくしながら構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】トラクタ全体の側面図である。
【図2】トラクタ全体の平面図である。
【図3】トラクタのミッションケース部の側面図である。
【図4】トラクタのミッションケース部の平面図である。
【図5】制御ブロック図である。
【図6】トラクタの前後方向中間部の一部省略した側面図である。
【図7】トラクタの前後方向中間部の一部省略した側面図である。
【図8】左右ブレーキぺダル部の平面図である。
【図9】左右ブレーキぺダル部の側面図、斜視図である。
【図10】左右ブレーキぺダル部の平面図である。
【図11】左右ブレーキぺダル部の平面図、側面図である。
【図12】左右ブレーキぺダル部の平面図である。
【図13】左右ブレーキぺダル部の側面図、正面図、斜視図である。
【図14】左右ブレーキぺダル部の平面図、側面図である。
【図15】左右ブレーキぺダル部に設けた箱体の斜視図である。
【図16】左右ブレーキぺダル部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいてこの発明を農業用トラクタに施した実施例について説明する。
まず、図1及び図2に基づき本発明を備えた農用トラクタの全体構成について説明する。
【0016】
トラクタは走行車体1の前側部にエンジンEを搭載し、エンジンEをボンネット2で被覆し、エンジンEからの回転動力をミッションケース3内の油圧式無段変速装置及びギヤ式副変速装置で変速し、左右前輪4,4及び左右後輪5,5へ伝達している。
【0017】
また、ミッションケース3の後側上部にはシート6を設け、その左右両側に左右フェンダ7,7を設けている。また、走行車体1の後側にはシリンダケース8を設け、シリンダケース8の後側部に左右リフトアーム9,9を上下回動自在に設け、3点リンク機構10により連結したロータリ耕耘装置11を昇降可能に連結している。
【0018】
また、エンジンEの後方には、ハンドルフレーム15を立設し、その上部にステアリングハンドル16を設けている。走行車体1の後部に後側安全フレーム19を立設している。
【0019】
次に、図3乃至図5に基づき左右後輪5,5のブレーキの作動構成について説明する。
ミッションケース3の右側部には左右方向の軸21a回りに単一のブレーキぺダル21を回動自在に軸支し、ブレーキぺダル21と左右後輪ブレーキ装置との間を機械的に連動している左右ブレーキ作動装置22により連結し、ブレーキぺダル21により左右後輪5,5の左右ブレーキ装置を同時に作動するように構成している。
【0020】
前記左右ブレーキ作動装置22は、ブレーキぺダル21のアーム部21bに前端部をピン連結している右側ブレーキロッド22aと、ミッションケース3の後部右側に左右方向の軸回りに軸支されていてその一端が右側ブレーキロッド22aの後側端部にピン連結されている右側ブレーキアーム22bと、右側ブレーキアーム22bの他端にピンと長孔で融通自在に連結されている右側ブレーキ作動アーム22iと、該右側ブレーキ作動アーム22iに上端部がピン連結されている長さ調節自在の右側ブレーキロッド22cと、ミッションケース3の後部下方に左右方向に沿うように支架されているブレーキ連結軸22eと、ブレーキ連結軸22eの右側に取り付けられていて右側ブレーキロッド22cの下端部にピンと長孔で融通自在に連結している右側アーム部22dと、ブレーキ連結軸22eの左側端部に連結されている左側アーム部22fと、左側アーム部22fにその下端部がピンと長孔で融通自在に連結されている左側ブレーキロッド22gと、左側ブレーキロッド22gの上端部をピン連結している左側ブレーキ作動アーム22hとで構成されていて、ブレーキぺダル21を操作すると右側ブレーキ作動アーム22i及び左側ブレーキ作動アーム22hを作動し左右ブレーキ装置を同時に作動するようにしている。
【0021】
また、左右ブレーキ作動装置22には、右側ブレーキアーム22bと右側ブレーキ作動アーム22iとをピンと長孔で融通自在に連結する融通手段26を設け、ブレーキ連結軸22eの右側に取り付けられていて右側ブレーキロッド22cの下端部と右側アーム部22dとをピンと長孔で融通自在に連結する融通手段26を設け、左側アーム部22fの下端部と左側ブレーキロッド22gとをピンと長孔で融通自在に連結する融通手段26を設けている。
【0022】
そして、左右ブレーキ作動装置22を非踏み込み状態、右側ブレーキ作動アーム22i、左側ブレーキ作動アーム22hだけを後述の左右ブレーキシリンダ24L,24Rににより別個に作動し、左右ブレーキ装置を別個に作動するように構成している。
【0023】
また、ミッションケース3の後部両側に左右ブレーキシリンダ24L,24Rを例えば上下方向に沿わせて配設し、左右ブレーキシリンダ24L,24Rの伸縮ロッドの端部を右側ブレーキ作動アーム22i、左側ブレーキ作動アーム22hにそれぞれピン連結し、左右ブレーキシリンダ24L,24Rの伸縮ロッドが短縮すると、右側ブレーキ作動アーム22i、左側ブレーキ作動アーム22hだけを回動し、左右ブレーキ装置を別個に作動することができる。
【0024】
また、トラクタに設けたアクセルレバー28によりエンジンEの回転数を調節可能に構成すると共に、エンジン回転数センサSE1を設け、ステアリングハンドル16にはハンドル切れ角センサSE2を設けている。前記無段変速装置操作用の主変速レバー、副変速装置操作用の副変速レバーを設け、主変速レバーの操作位置を検出する主変速レバーセンサSE3、副変速レバーセンサSE4を設けている。また、ブレーキ制御弁31(図3に示す)を右側シリンダ作動ソレノイドSL1、左側シリンダソレノイドSL2により切換作動し、左右ブレーキシリンダ24L,24Rを伸縮作動し、左右ブレーキソレノイドSL1、SL2を別個に作動するように構成している。
【0025】
また、図4に示すように、コントローラ33の入力側には入力インターフェイスを経由して、エンジン回転数センサSE1、ハンドル切れ角センサSE2、主変速レバーセンサSE3、副変速レバーセンサSE4、片側ブレーキ自動入切スイッチSW1を接続し、出力側には出力インターフェイス、駆動回路を経由して右側シリンダソレノイドSL1、左側ブレーキソレノイドSL2を接続している。
【0026】
次に、コントローラ33の左右ブレーキ制御について説明する。
片側ブレーキ自動入切スイッチSW1を入りにし、アクセルレバーの操作によりエンジン回転数センサSE1が所定回転数(例えば2000rpm)以上の回転数を検出し、ハンドル切れ角センサSE2が最大切れ角の例えば90%以上のハンドル切れ角を検出すると、コントローラ33は圃場作業と判定し、ブレーキ片側作動指令を出し、ステアリングハンドル16の切り側の左右ブレーキシリンダ22L,22Rを短縮作動し、片ブレーキ状態とし旋回走行をするようにしている。
【0027】
従来技術として、左右ブレーキぺダルを設け、左右ブレーキぺダルには連結解除プレートを設け、路上走行時には連結解除プレートを連結状態とし、圃場作業時には連結解除プレートを解除状態に切り換えるものがある。このような構成であると、連結解除プレートの連結操作を忘れて、路上走行時にブレーキぺダルを踏み込むと、トラクタが旋回走行するという不具合が発生する恐れがある。
【0028】
しかし、前記構成によると、単一のブレーキぺダル21を踏み込み操作すると、左右ブレーキ作動装置22を経由して必ず左右ブレーキ装置が同時に制動され、機体の左右旋回を防止しながら走行することができて安全である。
【0029】
また、アクセルレバーの操作によるエンジンEの回転数が上昇し、エンジン回転数センサSE1が所定回転数(例えば2000rpm)以上の作業回転数を検出し、且つ、ハンドル切れ角センサSE2が最大切れ角の90%以上のハンドル切れ角を検出すると、圃場作業と判定してブレーキ片側作動指令を出し、ステアリングハンドル16の切り側の左右ブレーキシリンダ22L,22Rを短縮作動し、片ブレーキの作動状態で旋回走行し、圃場作業を円滑に行なうことができる。
【0030】
また、片ブレーキ自動入切スイッチSW1の自動切り操作を忘れて路上走行時にブレーキぺダル21を踏み込み操作しても、左右ブレーキ作動装置22を介して左右ブレーキ装置を同時に制動し旋回走行を回避することができ安全である。
【0031】
次に、図3に基づき左右ブレーキシリンダ24L,24Rのミッションケース3への取付構成について説明する。
ミッションケース3を前側ミッションケース3Fと後側ミッションケース3Rとに分割構成し、前側ミッションケース3Fに主クラッチ、無段変速装置及び副変速装置を内装し、後側ミッションケース3Rにはデフ機構、左右後側車軸5L,5Rを配設し、左右後輪5,5に走行動力を伝達するようにしている。そして、前側ミッションケース3Fの後側端部の左右方向に沿ったリブ41と、後側ッションケース3Rの前側端部の左右方向に沿ったリブ42とを接合している。また、前側ミッションケース3Fの後側部の左右両側面近傍に左右ブレーキシリンダ24、24を上下方向に沿うように配設し、左右ブレーキシリンダ24,24のリブ43、43の後側面を前記リブ41の前側面に接合し、これらリブ41,42,43の取付穴に左右取付ボルト44,44を挿通締結し、左右ブレーキシリンダ24,24の取り付けを簡単化している。
【0032】
また、前側ミッションケース3Fの後側端部に後側ミッションケース3Rの前側端部を接合連結し、前側ミッションケース3Fの下端よりも後側ミッションケース3Rの下端を下方へ突出するように構成している。そして、後側ミッションケース3Rの左右リブ42,42の下部左右両側に左右ブラケット46,46を前側に突出するように取り付け、ミッションケース3の接合部を側方から閉鎖するようにし、前側ミッションケース3Fと後側ミッションケース3Rの接合部下方に配設されている前記ブレーキ連結軸22eを左右ブラケット46,46により軸架している。しかして、前記左右ブレーキ連結装置22をコンパクトに構成し、ブレーキ連結軸22eをミッションケース3の下面に近接配置し泥の付着を少なくしている。
【0033】
次に、図6に基づきブレーキぺダル21とオートクルーズレバー53との作動構成について説明する。
ミッションケース3にブレーキぺダル21を左右方向の軸21a回りに回動自在に軸支し、ブレーキぺダル21のアーム部21bと左右後輪ブレーキ装置とをブレーキロッド51、ブレーキアーム52を介して連動連結している。走行車体1の後部にはオートクルーズレバー53を左右方向の軸53a回りに回動自在に軸支、オートクルーズレバー53のアーム部下端部を操作ワイヤ54を介してミッションケース3内のトラニオン軸に連係している。
【0034】
また、ブレーキぺダル21のアーム部21bに取り付けたピン56を介してクルーズ解除ワイヤ55の前側端部を連結し、クルーズ解除ワイヤ55の後側端部に長孔55aの構成されている連結板55bを連結し、オートクルーズレバー53の軸支部近傍のピン57を連結板55bの長孔55aに係合してオートクルーズワイヤ54を連動連結している。
【0035】
しかして、ブレーキぺダル21を踏み込むと、クルーズ解除ワイヤ55を介してオートクルーズレバー53を中立位置に復帰させ、操作ワイヤ54を介して無段変速装置のトラニオン軸を中立位置に復帰させ、トラクタを緊急停止させるようにしている。また、オートクルーズレバー53に連結しているクルーズ解除ワイヤ55をブレーキぺダル21のアーム部21bの穴に嵌入支持したピン56に連結しているので、ピン56のがたを抑えることができ、ブレーキぺダル21によりオートクルーズレバー53を的確に中立位置に復帰させることができ安全である。
【0036】
次に、図7に基づき駐車ブレーキの操作構成について説明する。
ミッションケース3に左右方向の軸21a回りに左右ブレーキぺダル21,21を回動自在に軸支し、左右ブレーキロッド61,61、左右ブレーキアーム62,62を介して左右ブレーキ装置に連係している。ミッションケース3の後部上方にシートフレーム63を設け、シートフレーム63の上部左右一側に駐車ブレーキレバー64を左右方向の軸64a回りに回動自在に軸支し、シートフレーム63の下部前側部に駐車ブレーキ軸65を左右方向に沿わせて軸支している。駐車ブレーキ軸65の左右ブレーキアーム部65a,65bを左右駐車ロッド66,66を介して左右ブレーキアーム62,62に連結し、駐車ブレーキ軸65の左右一側の駐車アームブレーキ65cと駐車ブレーキレバー64とをロッド67によりピン連結している。
【0037】
前記構成によると、シートフレーム63の回りに駐車ブレーキ装置をコンパクトに構成することができる。
次に、図8乃至図9に基づき左右ブレーキぺダル21,21の連結解除構成について説明する。
【0038】
左右ブレーキぺダル71L,71Rを左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、左右足踏み部71La,71Raの間にブレーキ連結手段73を設け連結解除するようにしている。左右ブレーキぺダル71L、71Rのアーム部に左右連結解除ぺダル72L,72Rを上下回動自在に軸支し、その左足踏み部72Laを左ブレーキぺダル71Lの左足踏み部71Laの左側方に、また、右足踏み部72Laを右ブレーキぺダル71Rの右足踏み部71Laの右側方に所定間隔(例えば20ミリ)開け且つ所定高さ上方へ位置するように配設している。
【0039】
前記ブレーキ連結手段73は、右足踏み部72Raに上下方向の軸回りに基部が回動自在に軸支しされている連結アーム73aと、連結アーム73aの先端部に構成されている連結凹部73bと、連結アーム73aを連結側に付勢するバネ73cとで構成されている。
【0040】
しかして、左右連結解除ぺダル72L,72Rの足踏み部72La,72Raを別々に踏み込み下方に回動させると、その一端部が上方へ回動して連結アーム73aの先端を押し上げ、連結凹部73bが左足踏み部72Laから離脱し、左右ブレーキが非連結状態となる。
【0041】
次いで、左右ブレーキぺダル71L,71Rの足踏み部71La,71Raのいずれか一方を踏み込むと、独立状態にある左右ブレーキのいずれか一方をを制動し旋回走行することとができる。また、左右連結解除ぺダル72L,72Rを操作せずに、左右ブレーキぺダル71L,17Rを同時に、あるいは左右ブレーキぺダル71L,71Rを別々に踏み込み操作すると、ブレーキ連結手段73が連結状態にあり、左右ブレーキを同時に制動することができる。
【0042】
前記構成によると、左右ブレーキぺダル71L,71Rを左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、左右ブレーキぺダルの左右足踏み部71La,71Raの側方に左右連結解除ぺダル72L,72Rを設けているので、左右連結解除ぺダル72L,72Rを操作することにより左右ブレーキを非連結状態として左右ブレーキを別個に作動し圃場作業時の旋回走行をすることができる。
【0043】
また、左右連結解除ぺダル72L,72Rを操作せずに左右ブレーキぺダル71,71の一方だけを操作すると、左右ブレーキを同時に制動でき路上走行の安全を確保することができる。
【0044】
また、左右ブレーキぺダル71L,71Rのアーム部における軸支部と足踏み部71La,71Raの中途部に左右連結解除ぺダル72L,72Rを軸支し、ブレーキ連結手段73を連結解除するように構成すると、左右連結解除ぺダル72L,72Rの解除作動ストロークを比較的楽にとることができる。
【0045】
次に、図9及び図10の実施例について説明する。
左右ブレーキぺダル71L,71Rのアーム部における軸支部と足踏み部71La,71Raの中途部にブラケット77,77を嵌合するようにしてボルト・ナットで取り付け、ブラケット77,77に回動ピン75,75の中間部を軸支75aし、回動ピン75,75の一端に左右連結解除ぺダル72L,72Rをピン連結し、回動ピン75,75の他端にロッド76,76をピン連結し、ブレーキ連結手段73を作動するようにしている。前記構成によると、左右連結解除ぺダル72L,72Rの踏み込み時にブレーキ連結手段73の解除状態を確実に維持しながら、解除作動ストロークを比較的楽にとることができる。
【0046】
また、図12に示すように、左右ブレーキぺダル71L,71Rのアーム部における軸支部と足踏み部71La,71Raの中途部に、取付部材78,78を一体的に設け、この取付部材78,78に左右連結解除ぺダル72L,72R、回動ピン75、75を軸支するように構成してもよい。
【0047】
次に、図11について説明する。左右ブレーキぺダル71L,71Rを左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、左右ブレーキぺダル71L,71Rの足踏み部71La,71Raの前側上方部位に左右連結解除ぺダル72L,72Rの足踏み部72La,72Raを左右平行状に配設し、左右ブレーキぺダル71L,71Rに対して左右連結解除ぺダル72L,72Rを左右方向の軸72Lb,72Rb回りに回動自在に軸支し、左右解除ぺダル72L,72Rの他端部により左右ブレーキ連結手段73L,73Rの真下から上方へ押圧作動するように構成している。
【0048】
前記構成によると、左右ブレーキぺダル71L,71Rと左右連結解除ぺダル72L,72Rの誤操作を防止しながら、左右ブレーキ連結手段73L,73Rの作動ストロークを比較的楽にとることができる。
【0049】
次に、図13に基づき他の実施例について説明する。
左右ブレーキぺダル71L,71Rを左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、左右ブレーキぺダル71L,71Rのいずれか一方の足踏み部71La,71Raの下方にブラケット82を介して連結解除ぺダル81を上下方向に摺動自在に取り付け、連結解除ぺダル81の上端の足踏み部81aを左右足踏み部71La,71Raの左右中間部を通して上方に突出するように構成している。左右ブレーキぺダル71L,71Rのいずれかのアーム部には回動ピン83の中間部を左右方向の軸83a回りに回動自在に軸支し、回動ピン83の一端に左右連結解除ぺダル81,81の下端部をピン連結し、回動ピン83の他端にロッド84の下端部をピン連結し、ロッド84の上端をブレーキ連結手段73にピン連結している。
【0050】
しかして、連結解除ぺダル81の足踏み部81aを踏み込むと、回動ピン83の一端が下動すると共に他端が上動し、ロッド84の上動によりブレーキ連結手段73をブレーキ連結状態に作動することができる。次いで、左右ブレーキぺダル71L,71Rのいずれか一方あるいは両方を踏み込み、左右ブレーキを連結状態で制動することができる。なお、連結解除ぺダル81の踏み込みを解除すると、復帰バネ85によりロッド84が下方に移動し、ブレーキ連結手段73を非連結状態に復帰させる。
【0051】
前記構成によると、リンク構成を簡素化しながら、左右ブレーキの連結解除を確実に行なうことができる。
図14乃至図16に基づき他の実施例について説明する。
【0052】
左右ブレーキぺダル71L,71Rを左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、左右ブレーキぺダル71L,71Rの左右足踏み部71La、71Raの下面には左右箱体87,87を左右方向に沿わせてそれぞれ取り付け、この箱体体87,87には棒状の連結磁石88を左右方向に移動自在に配設している。左右足踏み部71La、71Raの左右両側部に左右連結解除ぺダル72L,72Rを上下動自在にそれぞれ設け、左右連結解除ぺダル72L,72Rの下端部に左右作動磁石89,89を上下方向に沿わせてそれぞれ取り付け、左右作動磁石89,89の下端部を左右圧縮バネ90,90で上方へ押圧するように支持している。
【0053】
そして、図14(A)、(C)に示すように、左右連結解除ぺダル72L,72Rの非押し下げ状態では、左右連結解除ぺダル72L,72R及び左右作動磁石89,89を左右圧縮バネ90,90で押し上げで上方で支持し、連結磁石88のS極、N極と左右作動磁石89,89のS極、N極とが反発対応し、連結磁石88が左右箱体体87,87の両方にまたがるように左右中央に位置し、左右ブレーキぺダル71L,71Rを連結状態となるように構成している。
【0054】
また、図14(B)に示すように、左右連結解除ぺダル72L,72Rのいずれか一方を押し下げ作動した状態では、左右連結解除ぺダル72L,72R、左右作動磁石89,89のいずれかが左右圧縮バネ90,90を押し下げ下方に移動し、連結磁石88のS極、N極と左右作動磁石89,89のS極、N極のいずれかとが吸着対応し、連結磁石88が左右箱体体87,87いずれか一方にのみ入り込み、左右ブレーキぺダル71L,71Rが非連結状態となる。
【0055】
また、図16に示すように、左右ブレーキぺダル71L,71Rの左右箱体87,87の中央よりの開口部の中間部には、ぺダルの非踏み込み状態での最上昇位置の少し下方位置から所定踏み込み下降回動範囲にわたりシャッタプレート91を対向配設している。左右連結解除ぺダル72L,72Rのいずれか一方を踏み込み操作しすぐに足を離した場合にも、左右箱体体87,87の開口部を閉鎖し、復帰移動しようとする連結磁石88の飛び出しを防止し、左右ブレーキぺダル71L,71Rの非連結状態を維持し、後続して左右ブレーキぺダル71L,71Rのいずれかを踏み込み作動した際の片ブレーキ作動を確実にするようにしている。そして、左右ブレーキぺダル71L,71Rから足を離し最上昇位置に復帰した状態で、連結磁石88が連結状態に復帰するようにしている。
【0056】
また、フレーム部に軸92a回りに回動自在に軸支されているアーム92を設け、このアーム92にシャッタプレート91を取り付けていて、左右ブレーキぺダル71L,71R及び左右連結解除ぺダル72L,72Rの非踏み込み状態では、図16に示すように、上方に回動していて、左右連結解除ぺダル72L,72R、左右ブレーキぺダル71L,71Rの踏み込みに応じてシャッタプレート91は下方に移動し、左右連結解除ぺダル72L,72R、左右ブレーキぺダル71L,71Rから足を離すと、シャッタプレート91もバネ(図示省略)により上方へ復帰回動するようにしている。
【0057】
また、前記箱体87は図15に示すように、合成樹脂製の箱体とし、左右方向中央側だけを開口し、他側は閉鎖状態にし、上側板87aに左右方向に沿った一対の案内凸条87b,87bを構成している。そして、案内凸条87b,87bの左右中央側端部を円弧面に構成し、板金製の足踏み部71La,71Raの連結磁石88への影響を軽減し、連結磁石88の左右方向への移動を円滑確実にしている。また、箱体87は足踏み部71La,71Raの裏面に埋め込みインサートしたり、ボルト・ナットで取り付ける構成である。
【符号の説明】
【0058】
3 ミッションケース
3F 前側ミッションケース
3R 後側ミッションケース
5 左右車輪(後輪)
16 ステアリングハンドル
21 ブレーキぺダル
22 左右ブレーキ作動装置
22b,22h 左右ブレーキ作動部
22e ブレーキ連結軸
24L,24R 左右ブレーキアクチュエータ
26 融通手段(長孔及びピン)
28 アクセルレバー
33 コントローラ
41 接合連結部材(リブ)
42 接合連結部材(リブ)
43 接合連結部材(リブ)
44 取付ボルト
46 左右ブラケット
E エンジン
SE1 エンジン回転数センサ
SE2 ハンドル切れ角センサ
SW1 片ブレーキ自動入切スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のブレーキぺダル(21)と、該ブレーキぺダル(21)と左右車輪(5,5)の左右ブレーキ装置を機械的に連動連結し前記左右ブレーキ装置を同時に作動する左右ブレーキ作動装置(22)とを備え、前記左右ブレーキ装置を別個に作動する左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)と前記左右ブレーキ作動装置(22)の左右ブレーキ作動部(22i,22h)とを融通手段(26,26)を介して連結した作業車両において、アクセルレバー(28)により回転数を調節できるエンジン(E)と、該エンジン(E)の回転数を検出するエンジン回転数センサ(SE1)と、ステアリングハンドル(16)の操作状態を検出するハンドル切れ角センサ(SE2)とを設け、前記エンジン回転数センサ(SE1)が所定の作業回転数を検出し、前記ハンドル切れ角センサ(SE2)が最大切れ角に対して所定比率以上のハンドル切れ角を検出すると、前記ステアリングハンドル(16)の切り側の左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)を作動し左右ブレーキ作動手段(22L,22R)の左右ブレーキ作動部(22b,22h)の一方をだけを作動し片ブレーキ作動状態で旋回走行させるコントローラ(33)を設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
請求項1の発明において、前記左右車輪(5,5)の左右ブレーキ装置の片側制動制御の入切をする左右片ブレーキ自動入切スイッチ(SW1)を設けたことを特徴とする作業車両の左右ブレーキ作動装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2の発明において、走行車体(1)に設けているミッションケース(3)を前側ミッションケース(3F)と後側ミッションケース(3R)とに分割構成し、前側ミッションケース(3F)と後側ミッションケース(3R)の接合連結部材(41,42)に左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)の接合連結部材(43)を重合接合し、これら接合連結部材(41,42,43)の取付穴に取付ボルト(44,44)を貫通締結したことを特徴とする作業車両。
【請求項4】
請求項3の発明において、前記ブレーキぺダル(21)と左右後輪(5,5)の左右ブレーキ装置とを機械的に連動連結する左右ブレーキ作動装置(22)のブレーキ連結軸(22e)を左右方向に沿わせて、前記後側ミッションケース(3R)の前方部位に取り付けた左右ブラケット(46,46)に支架したことを特徴とする作業車両。
【請求項1】
単一のブレーキぺダル(21)と、該ブレーキぺダル(21)と左右車輪(5,5)の左右ブレーキ装置を機械的に連動連結し前記左右ブレーキ装置を同時に作動する左右ブレーキ作動装置(22)とを備え、前記左右ブレーキ装置を別個に作動する左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)と前記左右ブレーキ作動装置(22)の左右ブレーキ作動部(22i,22h)とを融通手段(26,26)を介して連結した作業車両において、アクセルレバー(28)により回転数を調節できるエンジン(E)と、該エンジン(E)の回転数を検出するエンジン回転数センサ(SE1)と、ステアリングハンドル(16)の操作状態を検出するハンドル切れ角センサ(SE2)とを設け、前記エンジン回転数センサ(SE1)が所定の作業回転数を検出し、前記ハンドル切れ角センサ(SE2)が最大切れ角に対して所定比率以上のハンドル切れ角を検出すると、前記ステアリングハンドル(16)の切り側の左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)を作動し左右ブレーキ作動手段(22L,22R)の左右ブレーキ作動部(22b,22h)の一方をだけを作動し片ブレーキ作動状態で旋回走行させるコントローラ(33)を設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
請求項1の発明において、前記左右車輪(5,5)の左右ブレーキ装置の片側制動制御の入切をする左右片ブレーキ自動入切スイッチ(SW1)を設けたことを特徴とする作業車両の左右ブレーキ作動装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2の発明において、走行車体(1)に設けているミッションケース(3)を前側ミッションケース(3F)と後側ミッションケース(3R)とに分割構成し、前側ミッションケース(3F)と後側ミッションケース(3R)の接合連結部材(41,42)に左右ブレーキアクチュエータ(24L,24R)の接合連結部材(43)を重合接合し、これら接合連結部材(41,42,43)の取付穴に取付ボルト(44,44)を貫通締結したことを特徴とする作業車両。
【請求項4】
請求項3の発明において、前記ブレーキぺダル(21)と左右後輪(5,5)の左右ブレーキ装置とを機械的に連動連結する左右ブレーキ作動装置(22)のブレーキ連結軸(22e)を左右方向に沿わせて、前記後側ミッションケース(3R)の前方部位に取り付けた左右ブラケット(46,46)に支架したことを特徴とする作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−245927(P2012−245927A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120604(P2011−120604)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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