説明

作物の栽培・収穫方法および作物栽培用テープ

【課題】播種作業のみならず収穫作業の労力も軽減化することができる作物の栽培・収穫方法を提供する。
【解決手段】非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成され長手方向に沿って等間隔に複数の孔18が穿設されその孔穿設部分に種子16を保持したテープ本体12を有する作物栽培用テープ10を、土壌表面に沿わせ平坦な状態にして土壌中に浅く埋め、種子から発芽・発根させる。テープ本体12の孔18から地中に向かって根を、地上に向かって葉茎部を成長させ、作物の生育後に、テープ本体の一部を把持しテープ本体を土壌中から引っ張り上げて、テープ本体と一緒に複数の作物を土壌中から引き抜いて収穫する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜等の作物の播種作業や収穫作業を省力化するための作物の栽培・収穫方法、ならびに、その栽培・収穫方法を行うときに使用される作物栽培用テープに関する。
【背景技術】
【0002】
圃場における播種作業は、一般に、地表に浅く掘られた穴内に所定の間隔を設けて人の手で種子を播いていく方法によっているが、その労力の軽減化を図るために、生分解性または水溶性もしくは水分解性を有する可撓性材料で長尺帯状に形成されその長手方向に沿って等間隔で多数の種子を保持した播種用テープを使用し、この播種用テープを土壌中に埋めていくといった播種方法も、種々提案され一部で実施されている(例えば、特許文献1参照。)。一方、生育した野菜を収穫する場合、収穫機を使用して根菜作物を収穫するといったことも行われているが(例えば、特許文献2参照。)、通常は、人の手で1本1本、野菜を土壌中から根ごと引き抜いていく方法によっている。
【特許文献1】特開2007−222034号公報(第3−4頁、図1−図4)
【特許文献2】特開2001−346426号公報(第3−4頁、図1−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の収穫作業は、土壌中に根を残さないように人の手で1本1本、野菜を土壌中から引き抜いていくといった方法であるので、手間と時間がかかった。また、特許文献1に記載された播種用テープを使用すると、播種作業の労力を軽減することはできるが、生育した野菜の収穫作業は、やはり人の手で1本1本、野菜を土壌中から引き抜いていくといった方法となり、収穫作業の労力は従前と変わらない。
【0004】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、播種作業のみならず収穫作業の労力も軽減化することができる作物の栽培・収穫方法を提供すること、ならびに、その栽培・収穫方法を行うために使用される作物栽培用テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、作物の栽培し収穫する方法において、非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成され長手方向に沿って等間隔に複数の孔が穿設されてその各孔の穿設部分にそれぞれ種子を保持したテープを、圃場の土壌表面に沿わせ平坦な状態にして土壌中に浅く埋めもしくは土壌上に敷設し、種子から発芽・発根させて、前記テープの孔から地中に向かって根を、地上に向かって葉茎部を成長させ、作物が生育した後に、前記テープの一部を把持してテープを土壌中から引っ張り上げることにより、テープと一緒に複数の作物を土壌中から引き抜いて収穫することを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、長手方向に沿って等間隔に複数の種子を保持した作物栽培用テープにおいて、非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成され、種子を収容する種子収容部が長手方向に沿って等間隔に複数形設されるとともに、前記各種子収容部にそれぞれ孔が穿設されたテープ本体と、生分解性または水溶性もしくは水分解性を有する材料で形成され、前記テープ本体の下面側に接着されて、前記孔から種子が脱落しないように孔を塞ぐフィルム材と、前記テープ本体の上面側に接着されて、前記種子収容部から種子が移動しないようにするカバーシートと、から構成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の作物栽培用テープにおいて、カバーシートを、生分解性または水溶性もしくは水分解性を有するフィルム材料で形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の作物栽培用テープにおいて、カバーシートをテープ本体の上面に剥離可能に接着したことを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、長手方向に沿って等間隔に複数の種子を保持した作物栽培用テープにおいて、非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成され、内側面が上向きの凹状に形成されて種子を収容する種子収容部が長手方向に沿って等間隔に複数形設されるとともに、前記各種子収容部にそれぞれ孔が穿設されたテープ本体と、根の伸長を許容する空隙を有する材料から成り、前記テープ本体の各種子収容部内にそれぞれ充填され、種子を内包して保持する充填部材と、を備えて構成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の作物栽培用テープにおいて、充填部材がロックウールであることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項5または請求項6に記載の作物栽培用テープにおいて、生分解性または水溶性もしくは水分解性を有する材料で形成され、前記テープ本体の下面側に接着されて、前記種子収容部から前記充填部材が種子と共に脱落しないように種子収容部の開口面を塞ぐカバーシートをさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の作物の栽培・収穫方法によると、播種作業は、複数の種子を保持したテープを圃場の土壌表面に沿わせ平坦な状態にして土壌中に浅く埋めもしくは土壌上に敷設するだけであるので、その労力を軽減することができる。また、収穫作業は、テープの一部を把持してテープを土壌中から引っ張り上げるだけで、テープと一緒に複数の作物が土壌中から順次引き抜かれていくので、人の手で1本1本、作物を土壌中から引き抜いていく従来の方法に比べて、その労力と時間を大幅に軽減することができる。
【0013】
また、テープは、土壌中に浅く埋められもしくは土壌上に敷設され、分解したり溶解したりすることがないので、雑草の根の成長がテープによって阻止される。このため、作物が生育する過程で作物の周囲に雑草が生えることを防止することができる。さらに、テープ上には土が薄く掛かっているだけであり、あるいは、テープ上には土が掛かかっていないので、テープが無くて単に作物が土壌中に植わっている場合に比べて、雨水の跳ね返りなどによって葉茎部分に付着する土の量が少なくなりもしくは葉茎部分に土がほとんど付着しなくなる。このため、収穫後における出荷に際して手間が低減される。
【0014】
請求項2に係る発明の作物栽培用テープは、テープ本体の複数の種子収容部に種子を収容させ、圃場の土壌表面に沿わせ平坦な状態にして土壌中に浅く埋めるだけで、直線状に等間隔で種播きを行うことができ、播種作業の労力が軽減される。そして、種子収容部の孔から種子が脱落しないように孔を塞いでいるフィルム材は、土壌中で微生物によって分解されまたは水で溶解しもしくは分解されるので、作物の根は種子収容部の孔を通り地中に向かって伸長していく。一方、テープ本体は、非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成されているので、生育した作物を収穫するときは、テープ本体の一部を把持してテープ本体を土壌中から引っ張り上げるだけで、テープ本体と一緒に複数の作物を土壌中から順次引き抜いていくことができ、収穫作業の労力が大幅に軽減される。
【0015】
また、テープ本体は、土壌中に浅く埋められ、分解したり溶解したりすることがないので、雑草の根の成長がテープ本体によって阻止される。このため、作物が生育する過程で作物の周囲に雑草が生えることを防止することができる。さらに、テープ本体上には土が薄く掛かっているだけであるので、雨水の跳ね返りなどによって葉茎部分に付着する土の量が少なくなる。このため、収穫後における出荷に際して手間が低減される。
【0016】
請求項3に係る発明の作物栽培用テープでは、テープ本体の上面側にカバーシートが接着されたままで播種を行っても、カバーシートは、土壌中で微生物によって分解されまたは水で溶解しもしくは分解される。したがって、より一層、播種作業の手間が省かれる。
【0017】
請求項4に係る発明の作物栽培用テープでは、播種に際してカバーシートをテープ本体の上面から剥離しておくことにより、テープ本体の種子収容部に収容された種子からの発芽および葉茎部の成長が支障無く行われる。
【0018】
請求項5に係る発明の作物栽培用テープは、テープ本体の複数の種子収容部に種子を収容させ、圃場の土壌表面に沿わせ平坦な状態にして土壌上に敷設するだけで、直線状に等間隔で種播きを行うことができ、播種作業の労力が軽減される。そして、作物の根は、充填部材の空隙を通り抜け種子収容部から地中に向かって伸長していき、一方、葉茎部は、種子収容部の孔を通り地上に向かって成長していく。また、テープ本体は、非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成されているので、生育した作物を収穫するときは、テープ本体の一部を把持してテープ本体を土壌中から引っ張り上げるだけで、テープ本体と一緒に複数の作物を土壌中から順次引き抜いていくことができ、収穫作業の労力が大幅に軽減される。
【0019】
また、テープ本体は、土壌上に敷設され、分解したり溶解したりすることがないので、雑草の繁殖がテープ本体によって阻止される。このため、作物が生育する過程で作物の周囲に雑草が生えることを防止することができる。さらに、テープ本体の種子収容部の外側面には土がほとんど掛からないので、雨水の跳ね返りなどによって葉茎部分に土が付着することはほとんどない。このため、収穫後における出荷に際して手間が大幅に低減される。
【0020】
請求項6に係る発明の作物栽培用テープでは、作物の根がロックウールの空隙を通り種子収容部から地中に向かって良好に伸長していく。
【0021】
請求項7に係る発明の作物栽培用テープでは、カバーシートにより、種子収容部から充填部材が種子と共に脱落することが防止される。そして、カバーシートは、土壌中で微生物によって分解されまたは水で溶解しもしくは分解されるので、特に手間を掛けなくても、作物の根は種子収容部から地中に向かって伸長していく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明に係る作物の栽培・収穫方法において使用される作物栽培用テープの構成の1例を示し、その一部分を縦断面で示す図である。
【0023】
この作物栽培用テープ10を構成するテープ本体12は、プラスチック等の非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成され、その長手方向に沿って等間隔に、複数の凹部からなる種子収容部14が形設されて、その各種子収容部14に一粒ずつあるいは複数粒の種子16がそれぞれ収容されている。種子収容部14の底部には、孔18が穿設されている。孔18の大きさは、生育後における作物の茎基部と根基部のサイズに合わせて、作物の生育が阻害されずにかつ作物が孔18から抜け落ちることがない程度の大きさとする。種子収容部14の外底面には、フィルム材20が接着されて、孔18から種子16が脱落しないようにフィルム材20で孔18が塞がれている。フィルム材20は、生分解性または水溶性もしくは水分解性を有する材料、例えば水溶紙、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂、セルロースやセルロース誘導体、キチン、キトサン等の天然多糖類、生分解性脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂などで形成されている。テープ本体12の上面側にはカバーシート22が接着され、種子収容部14内から種子16が移動しないようにされている。カバーシート22は、フィルム材20と同様に、生分解性または水溶性もしくは水分解性を有するフィルム材料で形成されている。この作物栽培用テープ10は、例えばロール状に巻かれて保管され運搬される。
【0024】
作物栽培用テープ10を用いて圃場で播種作業を行うときは、地表に浅く直線状の溝状穴を掘り、ロール状に巻かれたテープ10を順次繰り出しながら、帯状のテープ10を溝状穴の底に配置した後、テープ10上に土をかけて、図2に断面図を示すように、テープ10を土壌24の表面に沿わせ平坦な状態にして土壌24中に浅く埋める。播種後に土壌24中において、種子収容部14の孔18を塞いでいるフィルム材20およびテープ本体12の上面側を被覆しているカバーシート22が、微生物によって分解させられまたは水で溶解しもしくは分解される。そして、種子16から発芽・発根し、図3に部分断面図を示すように、野菜等の作物26の根は種子収容部14の孔18を通り地中に向かって伸長していき、葉茎部は地上に向かって成長していく。
【0025】
作物26が生育していく過程で、テープ本体12は、土壌24中に浅く埋まった状態であり、分解したり溶解したりすることがない。このため、図4に示すように、テープ本体12が残存した作物26の周囲では、雑草の根が地中に向かって伸長するのがテープ本体12によって阻止され、作物26の周囲には雑草が生えない。したがって、作物と雑草との間での自然界における生育競争が起こらないので、作物の生育状態にばらつきが生じることがない。このように作物の生育状態が一様に揃うので、同時期に作物を収穫することが可能となる。また、テープ本体12上には土が薄く掛かっているだけであるので、雨水の跳ね返りなどによって葉茎部分に付着する土の量が少なくなり、このため、収穫後における出荷に際しての手間が低減される。
【0026】
生育した作物26を収穫するときは、テープ本体12の一部を手で把持し、図5に示すように、テープ本体12を土壌24中から引っ張り上げるようにする。これにより、テープ本体12と一緒に複数の作物26が土壌24中から順次引き抜かれていく。このとき、作物26は根ごと土壌24中から引き抜かれるので、土壌中に根が残って土壌の病気の原因になる心配も無い。なお、専用の収穫装置を開発して、その収穫装置によりテープ本体12を機械的に巻き取りながら作物26を収穫するようにしてもよい。
【0027】
図6は、この発明の別の実施形態を示し、作物栽培用テープの一部を示す縦断面図である。
この作物栽培用テープ28を構成するテープ本体30は、図1に示したテープ10と同様に、プラスチック等の非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成されている。そして、この作物栽培用テープ28では、テープ本体30が単なる扁平状であって、その長手方向に沿って等間隔に複数の孔34が穿設されており、その孔34の形成部分が種子16を収容する種子収容部32となる。テープ本体30の下面側には、テープ本体30の複数の孔34に対応するように複数の下向き凹部38が形設された閉塞シート36が接着され、テープ本体30の上面側には、テープ本体30の複数の孔34に対応するように複数の上向き凹部42が形設されたカバーシート40が接着されている。閉塞シート36およびカバーシート40はいずれも、生分解性または水溶性もしくは水分解性を有する材料、例えば水溶紙、水溶性樹脂、天然多糖類、生分解性樹脂などからなるフィルム材料で形成されている。
【0028】
この作物栽培用テープ28を用いた播種作業も、図1に示したテープ10と同様に行われるが、このテープ28では、播種後に土壌中において、閉塞シート36およびカバーシート40が微生物によって分解させられまたは水で溶解しもしくは分解される。そして、種子16から発芽・発根し、作物の根が孔34から地中に向かって伸長していき、葉茎部が地上に向かって成長していく。一方、作物の生育過程でテープ本体30は、土壌中で分解したり溶解したりすることなくそのまま残存する。生育した作物の収穫作業は、図1に示したテープ10と同様に、テープ本体30の一部を手で把持してテープ本体30を土壌中から引っ張り上げるようにする。これにより、テープ本体30と一緒に複数の作物が土壌中から根ごと順次引き抜かれていく。
【0029】
次に、図7は、この発明のさらに別の実施形態を示し、作物栽培用テープの一部を示す縦断面図である。この作物栽培用テープ44を構成するテープ本体の構成は、図1に示したテープ10と同じであり、各部材・各部に図1中で使用した符号と同一符号を付してその説明を省略する。
【0030】
図7に示した作物栽培用テープ44では、テープ本体12の上面側を被覆して種子収容部14内から種子16が移動しないようにするカバーシート46が、分解性または水溶性を有しないフィルム材料、例えば透明あるいは半透明の合成樹脂フィルムで形成されており、テープ本体12の上面に熱接着、粘着剤等により剥離可能に接着されている。したがって、この作物栽培用テープ44を用いて播種作業を行うときは、図8に示すように、播種に際してカバーシート46をテープ本体12の上面から剥離しておく必要がある。これ以外の作業方法や作用効果は、図1に示した作物栽培用テープ10と同様である。
【0031】
なお、図9に断面図を示すように、テープ本体12の種子収容部14内に、種子16と共に固形養土48などを収容するようにしてもよい。
【0032】
次に、図10および図11は、この発明に係る作物の栽培・収穫方法において使用される作物栽培用テープの、上記したものとは異なる構成例を示し、図10は、その一部を示す斜視図であり、図11は、その一部を示す縦断面図である。
【0033】
この作物栽培用テープ50を構成するテープ本体52は、プラスチック等の非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成され、その長手方向に沿って等間隔に、上面側を上向きに膨出させて複数の凸部54が形成されている。そして、凸部54の内側面が上向きに凹状となっていて、その凹部が種子収容部56を構成する。また、各凸部54の中央部に孔58がそれぞれ穿設されている。種子収容部56内には、根の伸長を許容する空隙を有する材料で形成された充填部材、例えばロックウール60が充填されており、そのロックウール60に一粒ずつあるいは複数粒の種子16が内包されるように保持されている。
【0034】
図10および図11に示した作物栽培用テープ50を用いて播種作業を行うときは、テープ50を土壌24の表面に沿わせ平坦な状態にして土壌24上に敷設するだけでよい。種子16から発芽・発根すると、図12に部分断面図を示すように、作物26の根は、ロックウール60の空隙を通り抜け、種子収容部56をなす凹部の開口面から地中に向かって伸長していく。一方、作物26の葉茎部は、凸部54の孔58から地上に向かって成長していく。
【0035】
作物26が生育していく過程で、テープ本体52は土壌24の表面を覆った状態であり、分解したり溶解したりすることがない。このため、土壌24表面がテープ本体52で覆われている作物26の周囲には雑草が生えない。また、テープ本体52の凸部54上には土がほとんど掛からないので、雨水の跳ね返りなどによって葉茎部分に土が付着することはほとんどない。このため、収穫後における出荷に際し、作物26の葉茎部分から土を振るい落とす手間が省ける。生育した作物26を収穫するときは、図1に示した作物栽培用テープ10を用いたときと同様に、テープ本体52の一部を手で把持し、テープ本体52を土壌24中から引っ張り上げるようにする。これにより、テープ本体52と一緒に複数の作物26が根ごと土壌24中から順次引き抜かれていく。
【0036】
なお、図10および図11に示した作物栽培用テープ50において、種子収容部56から充填部材60が種子16と共に脱落しないようにするために、生分解性または水溶性もしくは水分解性を有する材料で形成されたカバーシートをテープ本体52の下面側に接着して、種子収容部56の開口面をカバーシートで塞ぐようにしてもよい。また、凸部54の孔58から種子16がこぼれ出る心配があるときは、水溶性もしくは水分解性を有する材料からなるフィルム材で孔58を塞いだり、あるいは、剥離性シートにより孔58を塞いでおき、播種に際して剥離性シートをテープ本体52の凸部54上面から剥離するようにしたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明に係る作物の栽培・収穫方法において使用される作物栽培用テープの構成の1例を示す部分縦断面図である。
【図2】図1に示した作物栽培用テープを用いた播種作業を説明するための断面図である。
【図3】図1に示した作物栽培用テープを用いて作物が栽培されている状態を示す部分縦断面図である。
【図4】図1に示した作物栽培用テープを用いて作物が栽培されている状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示した作物栽培用テープを用いて栽培された作物を収穫する方法を説明するための模式図である。
【図6】この発明に係る作物の栽培・収穫方法において使用される作物栽培用テープの別の構成例を示す部分縦断面図である。
【図7】この発明に係る作物の栽培・収穫方法において使用される作物栽培用テープのさらに別の構成例を示す部分縦断面図である。
【図8】図7に示した作物栽培用テープを用いた播種作業の準備操作を説明するための部分縦断面図である。
【図9】この発明の実施形態の変形例を示し、作物栽培用テープの一部を示す縦断面図である。
【図10】この発明に係る作物の栽培・収穫方法において使用される作物栽培用テープの、上記したものとは異なる構成例を示す部分斜視図である。
【図11】図10に示した作物栽培用テープの部分縦断面図である。
【図12】図10および図11に示した作物栽培用テープを用いて作物が栽培されている状態を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10、28、44、50 作物栽培用テープ
12、30、52 テープ本体
14、32、56 種子収容部
16 種子
18、34、58 孔
20 フィルム材
22、40、46 カバーシート
24 土壌
26 作物
36 閉塞シート
48 固形養土
54 凸部
60 ロックウール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成され長手方向に沿って等間隔に複数の孔が穿設されてその各孔の穿設部分にそれぞれ種子を保持したテープを、圃場の土壌表面に沿わせ平坦な状態にして土壌中に浅く埋めもしくは土壌上に敷設し、種子から発芽・発根させて、前記テープの孔から地中に向かって根を、地上に向かって葉茎部を成長させ、作物が生育した後に、前記テープの一部を把持してテープを土壌中から引っ張り上げることにより、テープと一緒に複数の作物を土壌中から引き抜いて収穫することを特徴とする作物の栽培・収穫方法。
【請求項2】
長手方向に沿って等間隔に複数の種子を保持した作物栽培用テープにおいて、
非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成され、種子を収容する種子収容部が長手方向に沿って等間隔に複数形設されるとともに、前記各種子収容部にそれぞれ孔が穿設されたテープ本体と、
生分解性または水溶性もしくは水分解性を有する材料で形成され、前記テープ本体の下面側に接着されて、前記孔から種子が脱落しないように孔を塞ぐフィルム材と、
前記テープ本体の上面側に接着されて、前記種子収容部から種子が移動しないようにするカバーシートと、
から構成されたことを特徴とする作物栽培用テープ。
【請求項3】
前記カバーシートは、生分解性または水溶性もしくは水分解性を有するフィルム材料で形成された請求項2に記載の作物栽培用テープ。
【請求項4】
前記カバーシートが前記テープ本体の上面に剥離可能に接着された請求項2に記載の作物栽培用テープ。
【請求項5】
長手方向に沿って等間隔に複数の種子を保持した作物栽培用テープにおいて、
非分解性の可撓性材料で長尺帯状に形成され、内側面が上向きの凹状に形成されて種子を収容する種子収容部が長手方向に沿って等間隔に複数形設されるとともに、前記各種子収容部にそれぞれ孔が穿設されたテープ本体と、
根の伸長を許容する空隙を有する材料から成り、前記テープ本体の各種子収容部内にそれぞれ充填され、種子を内包して保持する充填部材と、
を備えて構成されたことを特徴とする作物栽培用テープ。
【請求項6】
前記充填部材はロックウールである請求項5に記載の作物栽培用テープ。
【請求項7】
生分解性または水溶性もしくは水分解性を有する材料で形成され、前記テープ本体の下面側に接着されて、前記種子収容部から前記充填部材が種子と共に脱落しないように種子収容部の開口面を塞ぐカバーシートをさらに備えた請求項5または請求項6に記載の作物栽培用テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−261324(P2009−261324A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115033(P2008−115033)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(592219684)株式会社イー・ピー・アイ (21)
【Fターム(参考)】