作物幹刈り機
【課題】
作物の切断時に生じる抵抗力や機体の振動によって、切断位置を決めた幹切刃の上下位置が変更することを防止し、切断高さを統一すると共に葉部等の収穫対象部を傷つけることの無い作物幹刈り機を提供する。
【解決手段】
植立した作物の幹Tを挟持して後へ搬送する挟持搬送装置5を走行機体3に設け、挟持搬送装置で挟持された作物の幹Tを切断する幹切刃58を走行機体3に設けた作物幹刈り機において、幹切刃58の走行機体3に対する上下位置を調整可能に構成し、幹切刃駆動軸54の下端部に幹切刃58を固着し、幹切刃駆動軸54を軸支持内筒55で軸支し、軸支持内筒55を走行機体3に固定の軸支持外筒56に上下摺動自在に嵌合し、軸支持内筒55を軸支持外筒56に固定する保持部材57を設けて構成する。
作物の切断時に生じる抵抗力や機体の振動によって、切断位置を決めた幹切刃の上下位置が変更することを防止し、切断高さを統一すると共に葉部等の収穫対象部を傷つけることの無い作物幹刈り機を提供する。
【解決手段】
植立した作物の幹Tを挟持して後へ搬送する挟持搬送装置5を走行機体3に設け、挟持搬送装置で挟持された作物の幹Tを切断する幹切刃58を走行機体3に設けた作物幹刈り機において、幹切刃58の走行機体3に対する上下位置を調整可能に構成し、幹切刃駆動軸54の下端部に幹切刃58を固着し、幹切刃駆動軸54を軸支持内筒55で軸支し、軸支持内筒55を走行機体3に固定の軸支持外筒56に上下摺動自在に嵌合し、軸支持内筒55を軸支持外筒56に固定する保持部材57を設けて構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝に植えられて育成された煙草等の作物を幹刈りして収穫する作物幹刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場を走行しながら植立した作物の幹を左右から挟持しながら株元を切断して長い幹のままで刈取収穫する作物幹刈り機が下記の特許文献1や特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55−162522号公報
【特許文献2】特開2004−275151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、煙草等の葉が商品となる作物を収穫する場合、作物幹刈り機で葉の付いた幹の根元を切り取り、葉の付いた幹のままで乾燥機に逆さ釣りにして乾燥し、その後に幹から煙草葉を切り取る。
煙草の幹は、品種の違いや圃場の条件によって成長の程度が異なっているので、従来の作物幹刈り機は、幹切刃を装着した走行機体を圃場面に対して昇降させて幹の切断高さ位置を有る程度は調節できる。
しかし、幹切刃の走行機体に対する位置が固定されているために細かな切断高さ位置を調整できなく、切り取られた煙草幹の長さを一定にすることが難しい。このために、長過ぎる幹は収穫後再度根元側を切断して幹の全長を短くして乾燥機に収納しなければならない。
本発明では、植立した作物の幹を挟持しながら株元を幹切刃で切断して収穫する作物幹刈り機において、幹切刃の走行機体に対する上下位置を調整可能にすることで、収穫後に全ての幹長さを合わせるために幹を二度切りする作業を不要にする作物幹刈り機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1記載の発明は、植立した作物の幹(T)を挟持して後へ搬送する挟持搬送装置(5)を走行機体(3)に設け、挟持搬送装置で挟持された作物の幹(T)を切断する幹切刃(58)を走行機体(3)に設けた作物幹刈り機において、該幹切刃(58)の走行機体(3)に対する上下位置を調整可能に構成したことを特徴とする作物幹刈り機とする。
請求項2記載の発明は、幹切刃駆動軸(54)の下端部に幹切刃(58)を固着し、該幹切刃駆動軸(54)を軸支持内筒(55)で軸支し、該軸支持内筒(55)を走行機体(3)に固定の軸支持外筒(56)に上下摺動自在に嵌合し、該軸支持内筒(55)を軸支持外筒(56)に固定する保持部材(57)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物幹刈り機とした。
請求項3記載の発明は、前記保持部材(57)を、軸支持外筒(56)から軸支持内筒(55)に捻じ込む固定ネジ(57)としたことを特徴とする請求項2記載の作物幹刈り機とした。
請求項4記載の発明は、前記走行機体(3)の支持フレーム(16L)に切刃駆動ケース(46)を連結する切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の上部を連結し、該切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の下部を支持するアーム(45a)を設けたことを特徴とする請求項2または3記載の作物幹刈り機とした。
請求項5記載の発明は、幹切刃駆動軸(54)の下端部に幹切刃(58)を固着し、該幹切刃駆動軸(54)を軸支持内筒(55)で軸支し、該軸支持内筒(55)を走行機体(3)に固定の軸支持外筒(56)に上下摺動可能に嵌合し、軸支持内筒(55)を圃場面に支持するゲージ輪(62)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物幹刈り機とした。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明の効果は、幹切刃(58)の走行機体(3)に対する上下位置を収穫する作物の品種や成長度合い、葉の長さ等に合わせて調整し、刈取収穫する作物の幹長さを一定することができるので、幹切刃(58)が誤って作物の葉部を切断することが防止され、作物の商品価値が向上する。
また、幹の切断長さを調節することにより、作業者が収穫後に作物の乾燥作業をする際、作物の幹を乾燥作業場に吊るしたり並べたりする作業に要する時間が短縮されるため、作業能率が向上すると共に、短時間で作業を行えることにより、作物の品質の劣化が生じにくく、作物の商品価値が向上する。
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、軸支持内筒(55)を軸支持外筒(56)に沿って上下摺動させて幹切刃(58)の高さを決定し、保持部材(57)で軸支持内筒(55)を軸支持外筒(56)に固定することにより、幹切刃(58)の上下位置調節が容易になるので、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
また、軸支持外筒(56)の内周部に幹切刃駆動軸(54)と共に回転する軸支持内筒(55)を設けたことにより、走行機体(3)から駆動力を得る幹切刃駆動軸(54)の長さを長くする必要がなく、伸縮するための特別な構造も必要ないので、構成が容易になり、コストダウンが図れると共にメンテナンス性が向上する。
請求項3記載の発明の効果は、請求項2記載の発明の効果に加えて、固定ネジ(57)を緩め操作し、幹切刃(58)の上下位置を調節した後、固定ネジ(57)を締め操作すると容易に幹切刃(58)の作業高さを変更することができるので、作業能率が向上する。
また、作物の品種に合わせて幹切刃(58)の上下位置を変更できるので、幹切刃(58)で誤って作物の葉部を切断することが防止され、作物の商品価値が向上する。
請求項4記載の発明の効果は、請求項2または3記載の発明の効果に加えて、切刃駆動ケース(46)を連結する切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の上部を連結し、該切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の下部を支持するアーム(45a)を設けたことにより、幹切刃(58)で幹(T)を切断する際に軸支持外筒(56)に加わる外力をアーム(45a)で強固に支持することができるので、幹を切断する際の衝撃や畦との接触の衝撃で固定側及び移動側の支持フレームが変形することが防止され、切断装置の耐久性が向上する。
請求項5記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、軸支持内筒(55)を圃場面に支持するゲージ輪(62)を設けたことにより、軸支持内筒(55)が圃場面の凹凸に合わせて上下動することができるので、幹切刃(58)が幹(T)を切断する高さが略一定に保たれるため、作業能率が向上する。
また、幹切刃(58)が誤って作物の葉部を切断することが防止され、作物の商品価値が向上する。
そして、幹の切断長さを調節することにより、作業者が収穫後に作物の乾燥作業をする際、作物の幹を乾燥作業場に吊るしたり並べたりする作業に要する時間が短縮されるため、作業能率が向上すると共に、短時間で作業を行えることにより、作物の品質の劣化が生じにくく、作物の商品価値が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】煙草幹刈機の側面図
【図2】煙草幹刈機の平面図
【図3】幹刈作業部の正面図
【図4】幹刈作業部の拡大正断面図
【図5】挟持搬送装置の平面図
【図6】上側挟持搬送チェンの拡大斜視図
【図7】下側挟持搬送チェンの拡大斜視図
【図8】引継ぎガイドの斜視図
【図9】作物の刈取作業を示す平面図
【図10】別実施例の煙草幹刈機の側面図
【図11】別実施例の煙草幹刈機の正面図
【図12】別実施例の煙草幹刈機の側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例として示す煙草幹刈機を参照しながら説明する。
煙草幹刈機は、図1と図2に示すように、走行装置である左右一対の前輪1,1と左右一対の後輪2,2を備えて畝Uを跨いで自走する走行機体3を設け、該走行機体3の後部に歩行操縦用のハンドル4を備える操縦部Gを設け、該歩行操縦用のハンドル4の前側で機体平面視で左右の車輪1,1,2,2の間に、煙草の幹Tを支持し機体に対し後方に搬送する挟持搬送装置5と該挟持搬送装置5により挟持搬送される煙草の幹Tの基部側を切断する切断装置6、切断装置6切断され挟持搬送する幹に収穫後に煙草の幹を吊下げるときに引っ掛けるための溝を形成する溝切り装置21を設け、前記挟持搬送装置5は、機体側面視で機体の前輪配置側から後輪配置側にかけて配置するとともに、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eが後輪前端位置より後側に位置するように設けた構成としている。また、前記歩行操縦用のハンドル4の左右両端部が左右の後輪2,2よりも左右方向内側に位置するように設けた構成としている。なお、走行装置はクローラでも良い。
走行機体3は、機体後部に第一エンジン7を設置し、該第一エンジン7の前側にミッションケース8を設けている。このミッションケース8の左右両側部に、下方にのびる第一走行伝動ケース9,9を装着し、この第一走行伝動ケース9,9の下部一側部に第二走行伝動ケース10,10を横軸心回りに回動可能に取付け、この第二走行伝動ケース10,10の先端側一側部に後輪車軸2a,2aを突出させてそれに後輪2,2を取付けている。後輪2,2は、第一エンジン7の動力がミッションケース8内の伝動機構と、第一走行伝動ケース9,9及び第二走行伝動ケース10,10内の伝動機構を経由して伝達され、駆動回転される構成となっている。
また、左右の後輪2,2と左右の前輪1,1は機体に対して上下動できる構成として、挟持搬送装置5と切断装置6を備えた幹刈作業部Wの高さを、畝Uの高さに対応して適宜修正できるように設けている。本例では、具体的に、後輪2,2を取付けた左右の第二走行伝動ケース10,10と昇降調節機構11,11とを連結し、昇降調節機構11,11の操作により第二走行伝動ケース10,10が回動して後輪2,2が上下する構成としている。具体的には、第二走行伝動ケース10,10の第一走行伝動ケース9,9への回動可能な取付け部に第一アーム12,12を設け、該第一アーム12,12の先端部と機体の左右に設けた支持フレーム4b,4bとを伸縮ロッド13,13で連結した構成としている。
伸縮ロッド13,13の伸縮動作は、人為操作具11a,11aを操作することにより動作し、伸縮ロッド13,13が短くなるよう操作すると、第二走行伝動ケース10,10が上昇回動して後輪2,2が上昇し、伸縮ロッド13,13が長くなるよう操作すると、第二走行伝動ケース10,10が下降回動して後輪2,2が下降する。左右の後輪2,2を互いに異なる高さに設定すれば、圃場の左右方向の傾斜に対応して、挟持搬送装置5と切断装置6を備えた幹刈作業部Wの左右方向の姿勢を適宜修正することができる。
なお、本例では、手動操作によって調整する機構としているが、機体の対地姿勢を検出するセンサと車輪を昇降駆動する油圧機構とを設けて自動調節する構成とすることもできる。
走行機体3の前部には、遊転輪で構成した左右の前輪1,1を機体に対して上下高さ調節可能に取付けている。本例では、後輪2,2の上下調節と連動して同じ方向に上下調節されるように左右同じ側の前輪と後輪とを連結し、幹刈作業部Wの上下高さを調節したときに前後方向の姿勢が大きく変動しないように設けている。
具体的には、第二走行伝動ケース10,10の第一走行伝動ケース9,9への回動可能な取付け部に、前記第一アーム12,12と一体的に回動する第二アーム14,14を設け、左右の前輪1,1の前輪車軸1a,1aを設けた前輪支持部材1b,1bの機体フレームに対し回動自在に取付けている取付け部に、前輪支持部材1b,1bと一体的に回動する連動アーム15a,15aを設け、該連動アーム15a,15aの先端部と前記第二アーム14,14の先端部とを連結ロッド15b,15bで連結し、第二走行伝動ケース10,10と前輪支持部材1b,1bとが同じ方向に連動して上下動するようになっている。
なお、前輪支持部材1b,1bを伸縮調節可能に設けているので、前後方向に傾斜する圃場を作業走行したときに、垂直方向に向ってのびる幹を水平に切断できるように幹刈作業部Wの前後姿勢を調節することが可能となる。また、前後の車輪を左右位置調節可能に設けることにより、畝幅の広狭に対応して車輪の接地位置を適正に調節可能となる。
Bは駐車用のブレーキで左右何れか片方の第一走行伝動ケース9の外側に取り付けることで、第二走行伝動ケース10の外側に取り付けるよりも取り付け位置が高く、また第二走行伝動ケース10より機体内側に取り付けられるため作業者の脚に当たることを防止できるという効果がある。
走行機体3には、前輪1側から後輪2側にわたって前後にのびる左右のフレーム16L,16Rを設けている。該フレーム16L,16Rに対して、挟持搬送装置5と切断装置6を備えた幹刈作業部Wが着脱可能に装着された構成としている。また、左右のフレーム16L,16Rの各前部に、側面視で上面部が後上がり傾斜に平面視で前側ほど幅狭く形成した分草体17,17を装着し、機体進行に伴い前方から挟持搬送装置5の挟持個所に入ってくる作物の下側の葉を持上げて、下側の葉を挟持搬送装置5が挟持しないように設けている。フレーム16L,16Rの後部は、ミッションケース8の下部と第一走行伝動ケース9の内側部とに取付部材を介して取付けて固定している。また、ハンドル4の支持フレーム4aは下方に屈曲して前記左右の支持フレーム4b、4bに固着している。
幹刈作業部Wは、以下のように構成している。挟持搬送装置5は、走行機体3を駆動する前記第一エンジン7の動力によって駆動する構成としている。
挟持搬送装置5は、左右両側に上下二段に設けた上側挟持搬送チェン24L,24Rと下側挟持搬送チェン25L,25Rが、機体の左右中央側部位が機体後方に移動するように周回駆動されるように設けたものである。左右の上側挟持搬送チェン24L,24Rと下側挟持搬送チェン25L,25Rは、機体の左右中央側において、煙草の幹を適宜挟持し得るよう適宜設定した左右間隔をあけて配置されている。
なお、図7に示すように、下段の挟持搬送チェン25L,25Rのチェン連結プレート25La,25Raが上下側とも挟持搬送チェン周回外側に山形に突出する突起部25Lb,25Rbを形成しており、機体の左右中央側において左右の下側挟持搬送チェン25L,25Rのチェン連結プレート25La,25Raの上記突起部25Lb,25Rbの先端部分が左右方向で同じ位相になるよう構成している。
一方、上側挟持搬送チェン24L,24Rのチェン連結プレート24La,24Raは、図6に示すように、下側のプレートのみ突起部24Lb,24Rbを形成し、上側は突起部を形成しない突起無しプレート24Lc,24Rcに形成している。そして、左右の突起部24Lb,24Rbの先端部分は下段と同様その先端部が左右方向で同じ位相になるよう構成している。
そして、下段のチェン連結プレート25La,25Raの突起部25Lb,25Rbと上段のチェン連結プレート24La,24Raの突起部24Lb,24Rbとが上下方向で同じ位相になるよう構成することで隣り合うチェン連結プレートの突起部と突起部との間に挟持空間部Fが形成され、この挟持空間部Fで煙草の幹を略直立した状態で適確に挟持して搬送できるよう構成している。
また、上段のチェン連結プレート24La,24Rの上側のプレートを突起無しプレート24Lc,24Rcにすることで、上段の挟持搬送チェン24L,24Rが幹を挟持するときに幹の下側の葉を挟みにくくすることで下側の葉の損傷を防止できるという効果がある。
図5に示す如く、挟持搬送装置5の左右の上側挟持搬送チェン24L,24Rと下側挟持搬送チェン25L,25Rは、前記左右のフレーム16L,16Rの前部に設けた左右の縦軸26La,26Raに回転自在に取付けた上下の従動スプロケット26L,26Rと、前記左右のフレーム16L,16Rの後部に設けたミッションケース8から取り出した動力を伝動手段を介して伝動する左右の挟持搬送駆動ケース27L,27Rから上方に突出させた駆動軸28La,28Raの上下に取付けた駆動スプロケット28L,28Rとに巻き掛け、更に、上下のテンションローラ29L,29Rを挟持搬送チェン24L,25Lの各周回内側から周回外側に押圧するように接当させて設け、また、左右挟持搬送チェン24L,25Rの左右中央側は、煙草の幹を挟持し搬送するときにチェンが左右外方に逃げないように且つ上下にずれないように支持するチェン支持部材30L,30Rをチェンの周回内側から接当するように設けている。
図3と図4に示す如く、前記フレーム16L,16Rの左フレーム16L前部に、第二エンジン18を搭載し、切刃ブラケット45を取り付けている。切刃ブラケット45に取り付けた切刃駆動ケース46は、第二エンジン18側に向けて突出する駆動入力軸47の軸端に固着の入力プーリ44に第二エンジン18からの駆動力を入力し、この駆動入力軸47の内部軸端に装着した第一べベルギヤ組50で上下方向に軸支する切刃駆動軸48を駆動する。
切刃駆動軸48の上端には第二べベルギヤ組51を装着して斜め内上方に向けて軸支する溝切駆動軸52に伝動し、溝切駆動軸52の上端に取り付けた溝切刃21を回転する。
この溝切刃21は、上下に2枚溝巾に対応した上下間隔で配置する円盤状の切断刃で、下側挟持搬送チェン25L,25Rの機体平面視左右中央側が下位になるよう傾斜して取り付け、溝切り位置が下側挟持搬送チェン25L,25Rの中間より下位に位置するよう構成している。
切刃駆動軸48の下端には連結スリーブ49で縦内軸53を連結し、この縦内軸53を縦外軸54にスプライン嵌合し、縦外軸54を軸支する軸支持内筒55を軸支持外筒56に伸縮可能に嵌合して、固定ネジ57で軸支持内筒55を固定している。
縦外軸54の下端に円盤状の幹切刃58を固着し、この幹切刃58の右側に軸支持内筒55からアーム59で支持する幹ガイド60を設けている。この幹ガイド60は、畝に生えている幹を機体先端側より切断装置6まで案内するもので、作物の幹を幹ガイド60で支持しながら幹切刃58で切断するようにしている。幹ガイド60を軸支持内筒55に取り付けて幹切刃58と一体的に上下するので、切断位置の挟持が一定になる。また、アーム59は、幹切刃58より後上方にすることで圃場に残る残幹と当たることない。また、軸支持内筒55の短縮時にアーム59が軸支持外筒56に当たることで軸支持内筒55の短縮限界となる。
なお、切刃ブラケット45には軸支持外筒56の下部を支持するように下方へ長くアーム45aを設けているが、このアーム45aを取り外し可能にしても良い。
挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから後方に向かって引継ガイド40を設ける。引継ガイド40の始端側は図1に示すように上段の挟持搬送チェン24L,24Rと上段の挟持搬送チェン24L,24Rの上面を覆うカバー33との間に配置することで溝切り装置21で溝切り後、挟持搬送終端部5Eに搬送された幹がカバー33に引っ掛かることなくスムーズに引継ぎガイド40に引継ぐことができるよう構成している。そして、引継ぎガイド40は図8に示すように始端側を湾曲して形成しており、引継ぎガイド40を機体平面視で左右方向に回動すると挟持搬送終端部5Eに搬送されてきた幹Tの排出方向を切換えるよう構成している。そして、引継ぎガイド40にはロック機構が備えており、搬送された幹の作用で引継ぎガイド40が回動して排出方向が変わってしまうことを防止している。
さらに詳細に説明すると、図8に示す如く、スプリング40aの作用でピン穴40bにロック固定しているピン40cをピン穴40bからロック解除して回す事により引継ぎガイド40が回動している構成である。なお、終端側は後述するカバー32に取り付けている。
挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eの下方には、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tの下端部を下方から支持し得る受け台31を配置している。これにより、作業者が、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tを取上げるとき、幹Tを掴むタイミングが遅れても、受け台31で幹Tの下端部が支持されるので、幹Tが落下してしまうことがなく煙草の幹Tの取上げが適確に行え、高速での作業も良好に行える。なお、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tの下端部が受け台31により下方から支持され得るには、受け台31の高さを、切断装置6の切断高さに対し同高さ或はそれよりも低く設定する必要がある。前記第二切断装置を装備した場合は、第二切断装置の切断高さに対し同高さ或はそれよりも低く設定する。
また、この受け台31は、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eの下方から後方に延設するとともに、挟持搬送装置5の後端部左右両外側部より左右外方に延設している。これにより、作業者が、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tを取上げるとき、幹Tの下端部を受け台31上を滑らせるようにして機体側方に移動させて煙草の幹Tを取上げることができるので、重量の重い煙草の幹を繰り返し取上げて圃場に置いていく作業が楽に行えるようになって、労力軽減を図るものとなる。
更に、左右外方に延設した受け台31の左右端は、左右の後輪2,2より内側に位置するように配置しているので、作業者が、後輪の後側よりに立って挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tを取上げようとして、手を挟持搬送終端部5Eに向ってのばすときに体が機体側に寄っても受け台31が邪魔にならず容易に煙草の幹Tを取上げられて作業が能率良く行える。
挟持搬送装置5の後端後方には、左右両外方に通じる通路Sを形成している。作業者は、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tを掴んで当該通路Sを通過させて左右外方に引き出せるので、刈取られた煙草の幹Tの取出しが容易に行え、作業が能率良く行える。具体的には、挟持搬送装置5の後端個所と、受け台31の後端部からカバー32が上方に立ち上がる個所との前後間の巾を煙草の幹Tが起立姿勢で左右方向に通過可能な巾を有するように設ける。また、この間隔部において受け台31の前後巾も同様な巾を少なくとも有するものとする。なお、上記の前後間の巾は、煙草の幹T2本相当分(具体的には7〜10cm)の巾とすると、一層、煙草の幹Tの左右外方への引き出しが容易となる。
受け台31の後側には、ミッションケース8等の伝動部の上方を覆うカバー32を設けている。また、挟持搬送装置5の上方及び左右両側方は、作業部カバー33,33で覆っている。作業部カバー33,33の上面には収穫時に煙草の葉が作業部カバー33,33に貼り付いて挟持搬送チェン24L,24Rに巻きこむのを防止する丸棒材状のガイド41を挟持搬送始端側から挟持搬送終端側にわたって取り付けている。そして、第二エンジン18の上方と左右外側方及び前方を第二エンジンカバー34で覆っている。
ミッションケース8から挟持搬送装置5の後部に設けた駆動軸28La,28Raへの伝動構成は以下のように構成している。即ち、まず、ミッションケース8の受け台31上面より上側個所から伝動軸37を取出して第一伝動部35の上部に導入させている。第一伝動部35の上部から下部に伝動した動力は、挟持搬送駆動ケース27L,27Rの入力軸にユニバーサルジョイントを介して連結する第二伝動部36,36を経て、挟持搬送駆動ケース27L,27R内に伝動し、挟持搬送装置5の後部に設けた駆動軸28La,28Raを駆動する。
次に、操縦部Gの構成について詳述する。
操縦部Gは作業者が機体を操縦するハンドル4と、各種収穫作業を操作する作業入切クラッチ等の作業レバー38を機体平面視でハンドル4の内側に複数備えている。そして、機体側面視でカバー32上面からハンドル4を略フラット(線P)に形成し、図1に示すように作業レバーを入切いずれに操作しても作業レバー38がハンドル4より上方に突出しないように構成する。従来、歩行用の収穫機において、作業レバー38はその操作性からハンドル4の上方に備えていたが、煙草のように長い幹を機体の後方で収穫する収穫機については、収穫した作物を作業者が回収するときに幹が作業レバーに当たり、収穫作業中に収穫作業を停止させてしまうという欠点が生じていた。それを本実施の形態のように構成することで、作業レバー38に幹が当たることを防止することができるよう構成している。また、カバー32からハンドル4までを略フラットに構成することで、収穫した幹を一時的にカバー32の上に乗せることがし易くなり、連続して収穫作業をする際に作業性が向上する。また、作業レバー38は機体側面視でハンドル4より後側に突出しないように構成(線Qより機体内側)することで、収穫した幹を走行機体3の後側に運搬するときに幹が作業レバー38に当たるのを防止することができるよう構成している。
次に本実施の形態の煙草の幹刈機の作業について説明する。
上記のように構成した煙草幹刈機を用いて煙草の幹刈り作業を行う場合、この煙草幹刈機は、図9に示すように、左右一対の前輪1,1と左右一対の後輪2,2を備えた走行機体3が畝Uを跨いで自走し、挟持搬送装置5が煙草の幹Tを機体に対し後方に挟持搬送する。
また、挟持搬送される煙草の幹Tの基部側を切断装置6が切断する。切断された幹は、挟持搬送装置5で挟持されながら溝切り装置21で溝を切る。そして、後輪前端位置より後側に位置する挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから引継ぎガイド40を経て排出される。
作業者は、既に幹刈りされた畝U’と作業中の畝Uとの間の谷部Vを歩行し、且つ、左右一方側の後輪2の後方寄りを歩行しながら、搬送された幹を取りやすい方向に引継ぎガイド40を回動操作し、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tを片手で掴んで取上げ、その後、他方側の手に持ち替えて、既に幹刈りされた畝U’上に置いていく。
このとき、一本一本ばらばらに置いていくと後で幹刈りした煙草を回収するときに一本一本移動しながら回収しなければならないので、作業能率が悪くなる。しかし、上記のように幹刈りされた煙草を畝上に置いていくとき、図例のように複数本ずつまとめて圃場に置いていくと、後で幹刈りした煙草を回収するのが能率良く行える。上記のように煙草幹刈機を構成したことにより、このような置き方も容易に行えるようになり、煙草の収穫作業が格段に能率良く行えるようになる。なお、次の畝に移って幹刈り作業を行うときには、作業者は、機体後方に移動してハンドル4を手でもって機体を操縦する。
そして、機体を旋回させるときには、ハンドル4を押し下げると、前輪1,1を上昇させて左右の後輪2,2のみによる二輪接地状態となり、機体の旋回が容易に行える。このとき、左右の後輪2,2を下降させておけば、ハンドル4を押し下げ時のハンドル高さが適当な高さになって楽な姿勢で機体を旋回させる操縦が行える。
さらに、次の畝に移ったら、上記のような作業を再開する。このとき、作業者は前の畝で作業していたときとは機体の反対側に立って歩行移動しながら上記のような作業を行うことになるが、この場合も上記と同じように能率良く作業が行える。
図10は、切断装置6の幹切刃58が畝Uの上面からの高さを一定に維持するゲージ輪62を設けた構成で、幹切刃58を軸支する軸支持内筒55の後部から左右両側を通って幹切刃58の前横に伸びるゲージ支持アーム61の先端に畝Uの傾斜面に接するゲージ輪62を設けている。
上記構成により、ゲージ輪62が幹切刃58と共に昇降して幹切刃58の畝U上面からの間隔を一定に保たれるので、ゲージ支持アーム61が圃場に残る残茎に当たることが無く、ゲージ支持アーム61が破損したり、引っ掛かって走行を妨げることが防止される。
なお、ゲージ支持アーム61の軸支持内筒55に対する取付位置を上下すると幹切刃58の位置が昇降して残茎の長さを変更出来る。
図11と図12は、圃場に残る残茎の地面部に切り傷を付けて後の圃場耕起時に残茎を倒れやすくする根元切刃68を設けた構成で、フレーム16Rから下方へ延ばした第一フレーム63に第二フレーム64を回動可能に軸支し、第二フレーム64の下端から中央へ向けて斜めに立ち上げた支持軸66にゲージ輪67と円盤状の根元切刃68を軸支している。
そして、第一フレーム63と第二フレーム64の間に根元切刃68を下方へ押しつけるバネ65と走行機体3を上昇させた際に第二フレーム64を支持するストッパ69を設けている。
根元切刃68は、幹切刃58より後方で作業者が歩く走行機体3右側で、下端が走行機体3の左右中央に位置するようにしている。
なお、ゲージ輪67は支持軸66にスライド固定することで根元切刃68の切り込み深さを調整できるようにする。
【符号の説明】
【0009】
3 走行機体
5 挟持搬送装置
16L 支持フレーム
45 切刃ブラケット
45a アーム
54 幹切刃駆動軸
55 軸支持内筒
56 軸支持外筒
57 保持部材(固定ネジ)
58 幹切刃
62 ゲージ輪
T 幹
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝に植えられて育成された煙草等の作物を幹刈りして収穫する作物幹刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場を走行しながら植立した作物の幹を左右から挟持しながら株元を切断して長い幹のままで刈取収穫する作物幹刈り機が下記の特許文献1や特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55−162522号公報
【特許文献2】特開2004−275151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、煙草等の葉が商品となる作物を収穫する場合、作物幹刈り機で葉の付いた幹の根元を切り取り、葉の付いた幹のままで乾燥機に逆さ釣りにして乾燥し、その後に幹から煙草葉を切り取る。
煙草の幹は、品種の違いや圃場の条件によって成長の程度が異なっているので、従来の作物幹刈り機は、幹切刃を装着した走行機体を圃場面に対して昇降させて幹の切断高さ位置を有る程度は調節できる。
しかし、幹切刃の走行機体に対する位置が固定されているために細かな切断高さ位置を調整できなく、切り取られた煙草幹の長さを一定にすることが難しい。このために、長過ぎる幹は収穫後再度根元側を切断して幹の全長を短くして乾燥機に収納しなければならない。
本発明では、植立した作物の幹を挟持しながら株元を幹切刃で切断して収穫する作物幹刈り機において、幹切刃の走行機体に対する上下位置を調整可能にすることで、収穫後に全ての幹長さを合わせるために幹を二度切りする作業を不要にする作物幹刈り機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1記載の発明は、植立した作物の幹(T)を挟持して後へ搬送する挟持搬送装置(5)を走行機体(3)に設け、挟持搬送装置で挟持された作物の幹(T)を切断する幹切刃(58)を走行機体(3)に設けた作物幹刈り機において、該幹切刃(58)の走行機体(3)に対する上下位置を調整可能に構成したことを特徴とする作物幹刈り機とする。
請求項2記載の発明は、幹切刃駆動軸(54)の下端部に幹切刃(58)を固着し、該幹切刃駆動軸(54)を軸支持内筒(55)で軸支し、該軸支持内筒(55)を走行機体(3)に固定の軸支持外筒(56)に上下摺動自在に嵌合し、該軸支持内筒(55)を軸支持外筒(56)に固定する保持部材(57)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物幹刈り機とした。
請求項3記載の発明は、前記保持部材(57)を、軸支持外筒(56)から軸支持内筒(55)に捻じ込む固定ネジ(57)としたことを特徴とする請求項2記載の作物幹刈り機とした。
請求項4記載の発明は、前記走行機体(3)の支持フレーム(16L)に切刃駆動ケース(46)を連結する切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の上部を連結し、該切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の下部を支持するアーム(45a)を設けたことを特徴とする請求項2または3記載の作物幹刈り機とした。
請求項5記載の発明は、幹切刃駆動軸(54)の下端部に幹切刃(58)を固着し、該幹切刃駆動軸(54)を軸支持内筒(55)で軸支し、該軸支持内筒(55)を走行機体(3)に固定の軸支持外筒(56)に上下摺動可能に嵌合し、軸支持内筒(55)を圃場面に支持するゲージ輪(62)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物幹刈り機とした。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明の効果は、幹切刃(58)の走行機体(3)に対する上下位置を収穫する作物の品種や成長度合い、葉の長さ等に合わせて調整し、刈取収穫する作物の幹長さを一定することができるので、幹切刃(58)が誤って作物の葉部を切断することが防止され、作物の商品価値が向上する。
また、幹の切断長さを調節することにより、作業者が収穫後に作物の乾燥作業をする際、作物の幹を乾燥作業場に吊るしたり並べたりする作業に要する時間が短縮されるため、作業能率が向上すると共に、短時間で作業を行えることにより、作物の品質の劣化が生じにくく、作物の商品価値が向上する。
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、軸支持内筒(55)を軸支持外筒(56)に沿って上下摺動させて幹切刃(58)の高さを決定し、保持部材(57)で軸支持内筒(55)を軸支持外筒(56)に固定することにより、幹切刃(58)の上下位置調節が容易になるので、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
また、軸支持外筒(56)の内周部に幹切刃駆動軸(54)と共に回転する軸支持内筒(55)を設けたことにより、走行機体(3)から駆動力を得る幹切刃駆動軸(54)の長さを長くする必要がなく、伸縮するための特別な構造も必要ないので、構成が容易になり、コストダウンが図れると共にメンテナンス性が向上する。
請求項3記載の発明の効果は、請求項2記載の発明の効果に加えて、固定ネジ(57)を緩め操作し、幹切刃(58)の上下位置を調節した後、固定ネジ(57)を締め操作すると容易に幹切刃(58)の作業高さを変更することができるので、作業能率が向上する。
また、作物の品種に合わせて幹切刃(58)の上下位置を変更できるので、幹切刃(58)で誤って作物の葉部を切断することが防止され、作物の商品価値が向上する。
請求項4記載の発明の効果は、請求項2または3記載の発明の効果に加えて、切刃駆動ケース(46)を連結する切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の上部を連結し、該切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の下部を支持するアーム(45a)を設けたことにより、幹切刃(58)で幹(T)を切断する際に軸支持外筒(56)に加わる外力をアーム(45a)で強固に支持することができるので、幹を切断する際の衝撃や畦との接触の衝撃で固定側及び移動側の支持フレームが変形することが防止され、切断装置の耐久性が向上する。
請求項5記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、軸支持内筒(55)を圃場面に支持するゲージ輪(62)を設けたことにより、軸支持内筒(55)が圃場面の凹凸に合わせて上下動することができるので、幹切刃(58)が幹(T)を切断する高さが略一定に保たれるため、作業能率が向上する。
また、幹切刃(58)が誤って作物の葉部を切断することが防止され、作物の商品価値が向上する。
そして、幹の切断長さを調節することにより、作業者が収穫後に作物の乾燥作業をする際、作物の幹を乾燥作業場に吊るしたり並べたりする作業に要する時間が短縮されるため、作業能率が向上すると共に、短時間で作業を行えることにより、作物の品質の劣化が生じにくく、作物の商品価値が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】煙草幹刈機の側面図
【図2】煙草幹刈機の平面図
【図3】幹刈作業部の正面図
【図4】幹刈作業部の拡大正断面図
【図5】挟持搬送装置の平面図
【図6】上側挟持搬送チェンの拡大斜視図
【図7】下側挟持搬送チェンの拡大斜視図
【図8】引継ぎガイドの斜視図
【図9】作物の刈取作業を示す平面図
【図10】別実施例の煙草幹刈機の側面図
【図11】別実施例の煙草幹刈機の正面図
【図12】別実施例の煙草幹刈機の側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例として示す煙草幹刈機を参照しながら説明する。
煙草幹刈機は、図1と図2に示すように、走行装置である左右一対の前輪1,1と左右一対の後輪2,2を備えて畝Uを跨いで自走する走行機体3を設け、該走行機体3の後部に歩行操縦用のハンドル4を備える操縦部Gを設け、該歩行操縦用のハンドル4の前側で機体平面視で左右の車輪1,1,2,2の間に、煙草の幹Tを支持し機体に対し後方に搬送する挟持搬送装置5と該挟持搬送装置5により挟持搬送される煙草の幹Tの基部側を切断する切断装置6、切断装置6切断され挟持搬送する幹に収穫後に煙草の幹を吊下げるときに引っ掛けるための溝を形成する溝切り装置21を設け、前記挟持搬送装置5は、機体側面視で機体の前輪配置側から後輪配置側にかけて配置するとともに、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eが後輪前端位置より後側に位置するように設けた構成としている。また、前記歩行操縦用のハンドル4の左右両端部が左右の後輪2,2よりも左右方向内側に位置するように設けた構成としている。なお、走行装置はクローラでも良い。
走行機体3は、機体後部に第一エンジン7を設置し、該第一エンジン7の前側にミッションケース8を設けている。このミッションケース8の左右両側部に、下方にのびる第一走行伝動ケース9,9を装着し、この第一走行伝動ケース9,9の下部一側部に第二走行伝動ケース10,10を横軸心回りに回動可能に取付け、この第二走行伝動ケース10,10の先端側一側部に後輪車軸2a,2aを突出させてそれに後輪2,2を取付けている。後輪2,2は、第一エンジン7の動力がミッションケース8内の伝動機構と、第一走行伝動ケース9,9及び第二走行伝動ケース10,10内の伝動機構を経由して伝達され、駆動回転される構成となっている。
また、左右の後輪2,2と左右の前輪1,1は機体に対して上下動できる構成として、挟持搬送装置5と切断装置6を備えた幹刈作業部Wの高さを、畝Uの高さに対応して適宜修正できるように設けている。本例では、具体的に、後輪2,2を取付けた左右の第二走行伝動ケース10,10と昇降調節機構11,11とを連結し、昇降調節機構11,11の操作により第二走行伝動ケース10,10が回動して後輪2,2が上下する構成としている。具体的には、第二走行伝動ケース10,10の第一走行伝動ケース9,9への回動可能な取付け部に第一アーム12,12を設け、該第一アーム12,12の先端部と機体の左右に設けた支持フレーム4b,4bとを伸縮ロッド13,13で連結した構成としている。
伸縮ロッド13,13の伸縮動作は、人為操作具11a,11aを操作することにより動作し、伸縮ロッド13,13が短くなるよう操作すると、第二走行伝動ケース10,10が上昇回動して後輪2,2が上昇し、伸縮ロッド13,13が長くなるよう操作すると、第二走行伝動ケース10,10が下降回動して後輪2,2が下降する。左右の後輪2,2を互いに異なる高さに設定すれば、圃場の左右方向の傾斜に対応して、挟持搬送装置5と切断装置6を備えた幹刈作業部Wの左右方向の姿勢を適宜修正することができる。
なお、本例では、手動操作によって調整する機構としているが、機体の対地姿勢を検出するセンサと車輪を昇降駆動する油圧機構とを設けて自動調節する構成とすることもできる。
走行機体3の前部には、遊転輪で構成した左右の前輪1,1を機体に対して上下高さ調節可能に取付けている。本例では、後輪2,2の上下調節と連動して同じ方向に上下調節されるように左右同じ側の前輪と後輪とを連結し、幹刈作業部Wの上下高さを調節したときに前後方向の姿勢が大きく変動しないように設けている。
具体的には、第二走行伝動ケース10,10の第一走行伝動ケース9,9への回動可能な取付け部に、前記第一アーム12,12と一体的に回動する第二アーム14,14を設け、左右の前輪1,1の前輪車軸1a,1aを設けた前輪支持部材1b,1bの機体フレームに対し回動自在に取付けている取付け部に、前輪支持部材1b,1bと一体的に回動する連動アーム15a,15aを設け、該連動アーム15a,15aの先端部と前記第二アーム14,14の先端部とを連結ロッド15b,15bで連結し、第二走行伝動ケース10,10と前輪支持部材1b,1bとが同じ方向に連動して上下動するようになっている。
なお、前輪支持部材1b,1bを伸縮調節可能に設けているので、前後方向に傾斜する圃場を作業走行したときに、垂直方向に向ってのびる幹を水平に切断できるように幹刈作業部Wの前後姿勢を調節することが可能となる。また、前後の車輪を左右位置調節可能に設けることにより、畝幅の広狭に対応して車輪の接地位置を適正に調節可能となる。
Bは駐車用のブレーキで左右何れか片方の第一走行伝動ケース9の外側に取り付けることで、第二走行伝動ケース10の外側に取り付けるよりも取り付け位置が高く、また第二走行伝動ケース10より機体内側に取り付けられるため作業者の脚に当たることを防止できるという効果がある。
走行機体3には、前輪1側から後輪2側にわたって前後にのびる左右のフレーム16L,16Rを設けている。該フレーム16L,16Rに対して、挟持搬送装置5と切断装置6を備えた幹刈作業部Wが着脱可能に装着された構成としている。また、左右のフレーム16L,16Rの各前部に、側面視で上面部が後上がり傾斜に平面視で前側ほど幅狭く形成した分草体17,17を装着し、機体進行に伴い前方から挟持搬送装置5の挟持個所に入ってくる作物の下側の葉を持上げて、下側の葉を挟持搬送装置5が挟持しないように設けている。フレーム16L,16Rの後部は、ミッションケース8の下部と第一走行伝動ケース9の内側部とに取付部材を介して取付けて固定している。また、ハンドル4の支持フレーム4aは下方に屈曲して前記左右の支持フレーム4b、4bに固着している。
幹刈作業部Wは、以下のように構成している。挟持搬送装置5は、走行機体3を駆動する前記第一エンジン7の動力によって駆動する構成としている。
挟持搬送装置5は、左右両側に上下二段に設けた上側挟持搬送チェン24L,24Rと下側挟持搬送チェン25L,25Rが、機体の左右中央側部位が機体後方に移動するように周回駆動されるように設けたものである。左右の上側挟持搬送チェン24L,24Rと下側挟持搬送チェン25L,25Rは、機体の左右中央側において、煙草の幹を適宜挟持し得るよう適宜設定した左右間隔をあけて配置されている。
なお、図7に示すように、下段の挟持搬送チェン25L,25Rのチェン連結プレート25La,25Raが上下側とも挟持搬送チェン周回外側に山形に突出する突起部25Lb,25Rbを形成しており、機体の左右中央側において左右の下側挟持搬送チェン25L,25Rのチェン連結プレート25La,25Raの上記突起部25Lb,25Rbの先端部分が左右方向で同じ位相になるよう構成している。
一方、上側挟持搬送チェン24L,24Rのチェン連結プレート24La,24Raは、図6に示すように、下側のプレートのみ突起部24Lb,24Rbを形成し、上側は突起部を形成しない突起無しプレート24Lc,24Rcに形成している。そして、左右の突起部24Lb,24Rbの先端部分は下段と同様その先端部が左右方向で同じ位相になるよう構成している。
そして、下段のチェン連結プレート25La,25Raの突起部25Lb,25Rbと上段のチェン連結プレート24La,24Raの突起部24Lb,24Rbとが上下方向で同じ位相になるよう構成することで隣り合うチェン連結プレートの突起部と突起部との間に挟持空間部Fが形成され、この挟持空間部Fで煙草の幹を略直立した状態で適確に挟持して搬送できるよう構成している。
また、上段のチェン連結プレート24La,24Rの上側のプレートを突起無しプレート24Lc,24Rcにすることで、上段の挟持搬送チェン24L,24Rが幹を挟持するときに幹の下側の葉を挟みにくくすることで下側の葉の損傷を防止できるという効果がある。
図5に示す如く、挟持搬送装置5の左右の上側挟持搬送チェン24L,24Rと下側挟持搬送チェン25L,25Rは、前記左右のフレーム16L,16Rの前部に設けた左右の縦軸26La,26Raに回転自在に取付けた上下の従動スプロケット26L,26Rと、前記左右のフレーム16L,16Rの後部に設けたミッションケース8から取り出した動力を伝動手段を介して伝動する左右の挟持搬送駆動ケース27L,27Rから上方に突出させた駆動軸28La,28Raの上下に取付けた駆動スプロケット28L,28Rとに巻き掛け、更に、上下のテンションローラ29L,29Rを挟持搬送チェン24L,25Lの各周回内側から周回外側に押圧するように接当させて設け、また、左右挟持搬送チェン24L,25Rの左右中央側は、煙草の幹を挟持し搬送するときにチェンが左右外方に逃げないように且つ上下にずれないように支持するチェン支持部材30L,30Rをチェンの周回内側から接当するように設けている。
図3と図4に示す如く、前記フレーム16L,16Rの左フレーム16L前部に、第二エンジン18を搭載し、切刃ブラケット45を取り付けている。切刃ブラケット45に取り付けた切刃駆動ケース46は、第二エンジン18側に向けて突出する駆動入力軸47の軸端に固着の入力プーリ44に第二エンジン18からの駆動力を入力し、この駆動入力軸47の内部軸端に装着した第一べベルギヤ組50で上下方向に軸支する切刃駆動軸48を駆動する。
切刃駆動軸48の上端には第二べベルギヤ組51を装着して斜め内上方に向けて軸支する溝切駆動軸52に伝動し、溝切駆動軸52の上端に取り付けた溝切刃21を回転する。
この溝切刃21は、上下に2枚溝巾に対応した上下間隔で配置する円盤状の切断刃で、下側挟持搬送チェン25L,25Rの機体平面視左右中央側が下位になるよう傾斜して取り付け、溝切り位置が下側挟持搬送チェン25L,25Rの中間より下位に位置するよう構成している。
切刃駆動軸48の下端には連結スリーブ49で縦内軸53を連結し、この縦内軸53を縦外軸54にスプライン嵌合し、縦外軸54を軸支する軸支持内筒55を軸支持外筒56に伸縮可能に嵌合して、固定ネジ57で軸支持内筒55を固定している。
縦外軸54の下端に円盤状の幹切刃58を固着し、この幹切刃58の右側に軸支持内筒55からアーム59で支持する幹ガイド60を設けている。この幹ガイド60は、畝に生えている幹を機体先端側より切断装置6まで案内するもので、作物の幹を幹ガイド60で支持しながら幹切刃58で切断するようにしている。幹ガイド60を軸支持内筒55に取り付けて幹切刃58と一体的に上下するので、切断位置の挟持が一定になる。また、アーム59は、幹切刃58より後上方にすることで圃場に残る残幹と当たることない。また、軸支持内筒55の短縮時にアーム59が軸支持外筒56に当たることで軸支持内筒55の短縮限界となる。
なお、切刃ブラケット45には軸支持外筒56の下部を支持するように下方へ長くアーム45aを設けているが、このアーム45aを取り外し可能にしても良い。
挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから後方に向かって引継ガイド40を設ける。引継ガイド40の始端側は図1に示すように上段の挟持搬送チェン24L,24Rと上段の挟持搬送チェン24L,24Rの上面を覆うカバー33との間に配置することで溝切り装置21で溝切り後、挟持搬送終端部5Eに搬送された幹がカバー33に引っ掛かることなくスムーズに引継ぎガイド40に引継ぐことができるよう構成している。そして、引継ぎガイド40は図8に示すように始端側を湾曲して形成しており、引継ぎガイド40を機体平面視で左右方向に回動すると挟持搬送終端部5Eに搬送されてきた幹Tの排出方向を切換えるよう構成している。そして、引継ぎガイド40にはロック機構が備えており、搬送された幹の作用で引継ぎガイド40が回動して排出方向が変わってしまうことを防止している。
さらに詳細に説明すると、図8に示す如く、スプリング40aの作用でピン穴40bにロック固定しているピン40cをピン穴40bからロック解除して回す事により引継ぎガイド40が回動している構成である。なお、終端側は後述するカバー32に取り付けている。
挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eの下方には、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tの下端部を下方から支持し得る受け台31を配置している。これにより、作業者が、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tを取上げるとき、幹Tを掴むタイミングが遅れても、受け台31で幹Tの下端部が支持されるので、幹Tが落下してしまうことがなく煙草の幹Tの取上げが適確に行え、高速での作業も良好に行える。なお、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tの下端部が受け台31により下方から支持され得るには、受け台31の高さを、切断装置6の切断高さに対し同高さ或はそれよりも低く設定する必要がある。前記第二切断装置を装備した場合は、第二切断装置の切断高さに対し同高さ或はそれよりも低く設定する。
また、この受け台31は、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eの下方から後方に延設するとともに、挟持搬送装置5の後端部左右両外側部より左右外方に延設している。これにより、作業者が、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tを取上げるとき、幹Tの下端部を受け台31上を滑らせるようにして機体側方に移動させて煙草の幹Tを取上げることができるので、重量の重い煙草の幹を繰り返し取上げて圃場に置いていく作業が楽に行えるようになって、労力軽減を図るものとなる。
更に、左右外方に延設した受け台31の左右端は、左右の後輪2,2より内側に位置するように配置しているので、作業者が、後輪の後側よりに立って挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tを取上げようとして、手を挟持搬送終端部5Eに向ってのばすときに体が機体側に寄っても受け台31が邪魔にならず容易に煙草の幹Tを取上げられて作業が能率良く行える。
挟持搬送装置5の後端後方には、左右両外方に通じる通路Sを形成している。作業者は、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tを掴んで当該通路Sを通過させて左右外方に引き出せるので、刈取られた煙草の幹Tの取出しが容易に行え、作業が能率良く行える。具体的には、挟持搬送装置5の後端個所と、受け台31の後端部からカバー32が上方に立ち上がる個所との前後間の巾を煙草の幹Tが起立姿勢で左右方向に通過可能な巾を有するように設ける。また、この間隔部において受け台31の前後巾も同様な巾を少なくとも有するものとする。なお、上記の前後間の巾は、煙草の幹T2本相当分(具体的には7〜10cm)の巾とすると、一層、煙草の幹Tの左右外方への引き出しが容易となる。
受け台31の後側には、ミッションケース8等の伝動部の上方を覆うカバー32を設けている。また、挟持搬送装置5の上方及び左右両側方は、作業部カバー33,33で覆っている。作業部カバー33,33の上面には収穫時に煙草の葉が作業部カバー33,33に貼り付いて挟持搬送チェン24L,24Rに巻きこむのを防止する丸棒材状のガイド41を挟持搬送始端側から挟持搬送終端側にわたって取り付けている。そして、第二エンジン18の上方と左右外側方及び前方を第二エンジンカバー34で覆っている。
ミッションケース8から挟持搬送装置5の後部に設けた駆動軸28La,28Raへの伝動構成は以下のように構成している。即ち、まず、ミッションケース8の受け台31上面より上側個所から伝動軸37を取出して第一伝動部35の上部に導入させている。第一伝動部35の上部から下部に伝動した動力は、挟持搬送駆動ケース27L,27Rの入力軸にユニバーサルジョイントを介して連結する第二伝動部36,36を経て、挟持搬送駆動ケース27L,27R内に伝動し、挟持搬送装置5の後部に設けた駆動軸28La,28Raを駆動する。
次に、操縦部Gの構成について詳述する。
操縦部Gは作業者が機体を操縦するハンドル4と、各種収穫作業を操作する作業入切クラッチ等の作業レバー38を機体平面視でハンドル4の内側に複数備えている。そして、機体側面視でカバー32上面からハンドル4を略フラット(線P)に形成し、図1に示すように作業レバーを入切いずれに操作しても作業レバー38がハンドル4より上方に突出しないように構成する。従来、歩行用の収穫機において、作業レバー38はその操作性からハンドル4の上方に備えていたが、煙草のように長い幹を機体の後方で収穫する収穫機については、収穫した作物を作業者が回収するときに幹が作業レバーに当たり、収穫作業中に収穫作業を停止させてしまうという欠点が生じていた。それを本実施の形態のように構成することで、作業レバー38に幹が当たることを防止することができるよう構成している。また、カバー32からハンドル4までを略フラットに構成することで、収穫した幹を一時的にカバー32の上に乗せることがし易くなり、連続して収穫作業をする際に作業性が向上する。また、作業レバー38は機体側面視でハンドル4より後側に突出しないように構成(線Qより機体内側)することで、収穫した幹を走行機体3の後側に運搬するときに幹が作業レバー38に当たるのを防止することができるよう構成している。
次に本実施の形態の煙草の幹刈機の作業について説明する。
上記のように構成した煙草幹刈機を用いて煙草の幹刈り作業を行う場合、この煙草幹刈機は、図9に示すように、左右一対の前輪1,1と左右一対の後輪2,2を備えた走行機体3が畝Uを跨いで自走し、挟持搬送装置5が煙草の幹Tを機体に対し後方に挟持搬送する。
また、挟持搬送される煙草の幹Tの基部側を切断装置6が切断する。切断された幹は、挟持搬送装置5で挟持されながら溝切り装置21で溝を切る。そして、後輪前端位置より後側に位置する挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから引継ぎガイド40を経て排出される。
作業者は、既に幹刈りされた畝U’と作業中の畝Uとの間の谷部Vを歩行し、且つ、左右一方側の後輪2の後方寄りを歩行しながら、搬送された幹を取りやすい方向に引継ぎガイド40を回動操作し、挟持搬送装置5の挟持搬送終端部5Eから排出される煙草の幹Tを片手で掴んで取上げ、その後、他方側の手に持ち替えて、既に幹刈りされた畝U’上に置いていく。
このとき、一本一本ばらばらに置いていくと後で幹刈りした煙草を回収するときに一本一本移動しながら回収しなければならないので、作業能率が悪くなる。しかし、上記のように幹刈りされた煙草を畝上に置いていくとき、図例のように複数本ずつまとめて圃場に置いていくと、後で幹刈りした煙草を回収するのが能率良く行える。上記のように煙草幹刈機を構成したことにより、このような置き方も容易に行えるようになり、煙草の収穫作業が格段に能率良く行えるようになる。なお、次の畝に移って幹刈り作業を行うときには、作業者は、機体後方に移動してハンドル4を手でもって機体を操縦する。
そして、機体を旋回させるときには、ハンドル4を押し下げると、前輪1,1を上昇させて左右の後輪2,2のみによる二輪接地状態となり、機体の旋回が容易に行える。このとき、左右の後輪2,2を下降させておけば、ハンドル4を押し下げ時のハンドル高さが適当な高さになって楽な姿勢で機体を旋回させる操縦が行える。
さらに、次の畝に移ったら、上記のような作業を再開する。このとき、作業者は前の畝で作業していたときとは機体の反対側に立って歩行移動しながら上記のような作業を行うことになるが、この場合も上記と同じように能率良く作業が行える。
図10は、切断装置6の幹切刃58が畝Uの上面からの高さを一定に維持するゲージ輪62を設けた構成で、幹切刃58を軸支する軸支持内筒55の後部から左右両側を通って幹切刃58の前横に伸びるゲージ支持アーム61の先端に畝Uの傾斜面に接するゲージ輪62を設けている。
上記構成により、ゲージ輪62が幹切刃58と共に昇降して幹切刃58の畝U上面からの間隔を一定に保たれるので、ゲージ支持アーム61が圃場に残る残茎に当たることが無く、ゲージ支持アーム61が破損したり、引っ掛かって走行を妨げることが防止される。
なお、ゲージ支持アーム61の軸支持内筒55に対する取付位置を上下すると幹切刃58の位置が昇降して残茎の長さを変更出来る。
図11と図12は、圃場に残る残茎の地面部に切り傷を付けて後の圃場耕起時に残茎を倒れやすくする根元切刃68を設けた構成で、フレーム16Rから下方へ延ばした第一フレーム63に第二フレーム64を回動可能に軸支し、第二フレーム64の下端から中央へ向けて斜めに立ち上げた支持軸66にゲージ輪67と円盤状の根元切刃68を軸支している。
そして、第一フレーム63と第二フレーム64の間に根元切刃68を下方へ押しつけるバネ65と走行機体3を上昇させた際に第二フレーム64を支持するストッパ69を設けている。
根元切刃68は、幹切刃58より後方で作業者が歩く走行機体3右側で、下端が走行機体3の左右中央に位置するようにしている。
なお、ゲージ輪67は支持軸66にスライド固定することで根元切刃68の切り込み深さを調整できるようにする。
【符号の説明】
【0009】
3 走行機体
5 挟持搬送装置
16L 支持フレーム
45 切刃ブラケット
45a アーム
54 幹切刃駆動軸
55 軸支持内筒
56 軸支持外筒
57 保持部材(固定ネジ)
58 幹切刃
62 ゲージ輪
T 幹
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植立した作物の幹(T)を挟持して後へ搬送する挟持搬送装置(5)を走行機体(3)に設け、挟持搬送装置で挟持された作物の幹(T)を切断する幹切刃(58)を走行機体(3)に設けた作物幹刈り機において、
該幹切刃(58)の走行機体(3)に対する上下位置を調整可能に構成したことを特徴とする作物幹刈り機。
【請求項2】
幹切刃駆動軸(54)の下端部に幹切刃(58)を固着し、該幹切刃駆動軸(54)を軸支持内筒(55)で軸支し、該軸支持内筒(55)を走行機体(3)に固定の軸支持外筒(56)に上下摺動自在に嵌合し、該軸支持内筒(55)を軸支持外筒(56)に固定する保持部材(57)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物幹刈り機。
【請求項3】
前記保持部材(57)を、軸支持外筒(56)から軸支持内筒(55)に捻じ込む固定ネジ(57)としたことを特徴とする請求項2記載の作物幹刈り機。
【請求項4】
前記走行機体(3)の支持フレーム(16L)に切刃駆動ケース(46)を連結する切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の上部を連結し、該切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の下部を支持するアーム(45a)を設けたことを特徴とする請求項2または3記載の作物幹刈り機。
【請求項5】
幹切刃駆動軸(54)の下端部に幹切刃(58)を固着し、該幹切刃駆動軸(54)を軸支持内筒(55)で軸支し、該軸支持内筒(55)を走行機体(3)に固定の軸支持外筒(56)に上下摺動可能に嵌合し、軸支持内筒(55)を圃場面に支持するゲージ輪(62)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物幹刈り機。
【請求項1】
植立した作物の幹(T)を挟持して後へ搬送する挟持搬送装置(5)を走行機体(3)に設け、挟持搬送装置で挟持された作物の幹(T)を切断する幹切刃(58)を走行機体(3)に設けた作物幹刈り機において、
該幹切刃(58)の走行機体(3)に対する上下位置を調整可能に構成したことを特徴とする作物幹刈り機。
【請求項2】
幹切刃駆動軸(54)の下端部に幹切刃(58)を固着し、該幹切刃駆動軸(54)を軸支持内筒(55)で軸支し、該軸支持内筒(55)を走行機体(3)に固定の軸支持外筒(56)に上下摺動自在に嵌合し、該軸支持内筒(55)を軸支持外筒(56)に固定する保持部材(57)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物幹刈り機。
【請求項3】
前記保持部材(57)を、軸支持外筒(56)から軸支持内筒(55)に捻じ込む固定ネジ(57)としたことを特徴とする請求項2記載の作物幹刈り機。
【請求項4】
前記走行機体(3)の支持フレーム(16L)に切刃駆動ケース(46)を連結する切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の上部を連結し、該切刃ブラケット(45)に軸支持外筒(56)の下部を支持するアーム(45a)を設けたことを特徴とする請求項2または3記載の作物幹刈り機。
【請求項5】
幹切刃駆動軸(54)の下端部に幹切刃(58)を固着し、該幹切刃駆動軸(54)を軸支持内筒(55)で軸支し、該軸支持内筒(55)を走行機体(3)に固定の軸支持外筒(56)に上下摺動可能に嵌合し、軸支持内筒(55)を圃場面に支持するゲージ輪(62)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物幹刈り機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−115201(P2012−115201A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267149(P2010−267149)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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