説明

使い捨て手袋

【課題】プラスチックフィルム製の使い捨て手袋において、指全体に対するフィット性を高めて使用性を向上させることにある。
【解決手段】重合した2枚のプラスチックフィルム1,2を、手袋の輪郭線3に沿って熱溶着すると共に裁断することにより手袋を形成し、5つの指挿入部6,7,8,9,10のうち少なくとも一部の指挿入部の指根部から指先部にかけての複数箇所に、該指挿入部の内径を絞るための絞り部11,12を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルム製の使い捨て手袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、装着中に指からずれにくい構成を備えた使い捨て手袋が知られている。これは、指部の付け根まわりにおいて手袋の輪郭線より内側を部分的に熱溶着することで、上記指部の径を絞り、装着時に使用者の指部から脱げる方向にずれ動きにくいように形成したものである。
【0003】
ところが、上記特許文献1の使い捨て手袋は、指部の付け根部においては上記熱溶着部によって使用者の指によくフィットするためずれにくいが、指部の先端部付近においては指とのフィット性が悪いため指に対してずれやすく、物を掴んだり細かい作業がしづらいという問題があった。
【特許文献1】特開2002−317320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の目的は、プラスチックフィルム製の使い捨て手袋において、指全体に対するフィット性を高めて使用性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の使い捨て手袋は、重合した2枚のプラスチックフィルムを手袋の輪郭線に沿って熱溶着しかつ裁断することにより形成され、5つの指挿入部のうち少なくとも一部の指挿入部が、指根部から指先部にかけての複数箇所に、該指挿入部の内径を絞るための絞り部を有することを特徴とするものである。
【0006】
本発明においては、上記絞り部を、上記指挿入部における指根部寄りの位置と指先部寄りの位置との2箇所に設けることができる。
【0007】
本発明において、上記絞り部が、上記輪郭線より内側の該輪郭線から離れた位置に、2枚のプラスチックフィルムを部分的に熱溶着した溶着部を設けることにより形成されていて、該溶着部と上記輪郭線との間に、上記絞り部の両側の指先部側部分と指根部側部分とを連通させるためのバイパス路を有していてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の使い捨て手袋によれば、指挿入部の指根部から指先部にかけての複数箇所に内径を小さくするための絞り部を設けたことにより、該指挿入部全体が手指と良好にフィットしてずれ動きにくくなり、作業時に手袋が脱げる方向へのずれ動きが抑えられるだけでなく、指先で細かな作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明に係る使い捨て手袋の一実施形態を示すものである。この使い捨て手袋は、2枚のプラスチックフィルム1,2を互いに重ね合わせ、輪郭線3が第1指から第5指までの手指を各々挿入する5つの指挿入部6,7,8,9,10を備えた手袋形状になるように熱溶断すると共に、手の平部4の基端部の開口部5を除いて上記輪郭線3を熱溶着して形成されている。この手袋は、上記開口部5から手指を差込み5本の指挿入部6,7,8,9,10に各指を挿入して着用する。
【0010】
上記各指挿入部6,7,8,9,10には、それぞれ、指根部から指先部にかけての複数ヶ所に、該指挿入部6,7,8,9,10の内径を絞るための絞り部11,12が設けられている。図示した例では、各指挿入部6,7,8,9,10における指根部寄りの位置と指先部寄りの位置、換言すれば、手指の付け根部分と第1関節とに対応する2ヶ所の位置に絞り部11,12が設けられている。これらの絞り部11,12は、上記2枚のプラスチックフィルム1,2を、上記輪郭線3より内側の該輪郭線3と僅かな間隔を置いた位置で部分的に熱溶着して左右一対の溶着部11a,12aを設けることにより形成されたもので、該溶着部11a,12aにおいて指挿入部6,7,8,9,10の指根部及び指先部の内径が絞られている。よって、手指を各指挿入部6,7,8,9,10に挿入させて指先を該指挿入部6,7,8,9,10の指先部付近まで挿通させると、指根部側の絞り部11が指の付け根付近とフィットし、指先部側の絞り部12が指先付近とフィットする。
【0011】
上記溶着部11a,12aは、指根部寄りの左右両側位置と指先部寄りの左右両側位置とにそれぞれ相対するように設けられ、指の挿入方向に直線状をしている。また、上記溶着部11a,12aと輪郭線3との間は、各絞り部11,12の両側の部分である指先側部分と指根部側部分とを相互に連通させるためのバイパス路13,14となっていて、これらのバイパス路13,14を通じて、各指挿入部6,7,8,9,10の内部と手袋の手の平部4の内部とが連通している。これにより、手指を各指挿入部6,7,8,9,10に挿入すると、該指挿入部6,7,8,9,10における指先部側の空気がこのバイパス路13および14を通って開口部5方向に逃げ、指先部側に封じこめられることがないため、手袋の装着を円滑にすることができる。
【0012】
なお、上記溶着部11a,12aは、指先部側に向けて直線状に形成されているが、内に凸の形に湾曲する弧状であっても、波状であってもよい。
【0013】
上記使い捨て手袋において、指挿入部6,7,8,9,10に上記開口部5を通じて手指を挿入すると、各指挿入部6,7,8,9,10の指根部及び指先部に設けた2つの絞り部11,12の位置で該手袋が手指を良好にフィットし、該手袋が脱げる方向へずれ動くのが抑止される。このため、手指に対する上記各指挿入部6,7,8,9,10のフィット性が向上し、ずれ動きが防止されるため、指先で物を掴んだりする細かな作業を円滑に行うことができる。
また、指挿入部6,7,8,9,10に手指を挿入する際、指挿入部先端側の空気は上記バイパス路13,14を通って開口部5方向へ逃げていくので、上記絞り部11,12が形成されていても、各指をそれぞれの指挿入部6,7,8,9,10の先端まで容易に且つ円滑に挿入することができる。
【0014】
上記実施例では、すべての指挿入部6,7,8,9,10にそれぞれ指根部側と指先部側の2つの絞り部11,12を設けているが、例えば親指と人差し指と中指に対応する一部の指挿入部6,7,8だけに2つの絞り部11,12を設け、その他の指挿入部9,10には指根部側の絞り部11だけを設けてもよい。あるいは、特に気密性や液密性を必要としない手袋の場合で、微細な孔が開いた多孔質のフィルムなどで形成されているような場合には、上記バイパス路13,14が必要ないため、輪郭線3の内側に上記溶着部11a,12aを設ける代わりに、該輪郭線3自体を上記溶着部11a,12aの位置を通るように内側に湾曲させることにより絞り部を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る使い捨て手袋の一実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0016】
1,2 プラスチックフィルム
3 輪郭線
6,7,8,9,10 指挿入部
11,12 絞り部
11a,12a 溶着部
13,14 バイパス路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合した2枚のプラスチックフィルムを手袋の輪郭線に沿って熱溶着しかつ裁断することにより形成され、5つの指挿入部のうち少なくとも一部の指挿入部が、指根部から指先部にかけての複数箇所に、該指挿入部の内径を絞るための絞り部を有することを特徴とする使い捨て手袋。
【請求項2】
上記絞り部が、上記指挿入部における指根部寄りの位置と指先部寄りの位置との2箇所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の使い捨て手袋。
【請求項3】
上記絞り部が、上記輪郭線より内側の該輪郭線から離れた位置に、2枚のプラスチックフィルムを部分的に熱溶着した溶着部を設けることにより形成されていて、該溶着部と上記輪郭線との間に、上記絞り部の両側の指先部側部分と指根部側部分とを連通させるためのバイパス路を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の使い捨て手袋。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−169822(P2007−169822A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368681(P2005−368681)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】