説明

保管装置

【課題】間口位置の変更に容易に対応できる保管装置を提供する。
【解決手段】保管装置1は、被保管物Wの大きさに応じて間口寸法Aが変更する複数列の保管部2と、複数の保管部2の並列方向に沿って並んで位置する複数の点灯手段5とを備える。また、保管装置1は、次に取り出すべき被保管物Wを保管中の保管部2を指示する場合に、複数の点灯手段5のうちその指示する保管部2の間口寸法Aに対応する数の点灯手段5を点灯させる点灯制御手段6を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間口位置の変更に容易に対応できる保管装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば棚本体に固着された表示器レールと、この表示器レールに脱着可能に取り付けられ保管部(被保管物収納空間)に保管されている物品等の被保管物の収納個数、取り出すべき個数等を表示する複数の仕分け表示器とを備えた仕分け棚等の保管装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、各仕分け表示器は、例えば電源ラインおよび信号ラインを構成する配線の所定箇所にコネクタを介して並列に接続されている。
【特許文献1】実公平2−27682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の構成では、被保管物の大きさに応じて保管部の間口寸法が変更すると、それに対応して間口位置に変更が生じるが、この場合に、配線のコネクタ位置を変えなければならず、間口位置の変更に容易に対応できない。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、間口位置の変更に容易に対応できる保管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の保管装置は、被保管物の大きさに応じた間口寸法の変更により間口位置を変更可能な複数列の保管部と、これら複数の保管部の並列方向に沿って並んで位置する複数の点灯手段と、次に取り出される被保管物が保管されている保管部を指示する場合に、前記複数の点灯手段のうちその指示する保管部の間口寸法に対応する数の点灯手段を点灯させる点灯制御手段とを備えるものである。
【0006】
請求項2記載の保管装置は、請求項1記載の保管装置において、各点灯手段は、光源と、この光源からの光によって光る導光体とを有するものである。
【0007】
請求項3記載の保管装置は、被保管物の大きさに応じた間口寸法の変更により間口位置を変更可能な複数列の保管部と、これら複数の保管部の並列方向に沿って並んで位置する複数の光源と、前記並列方向に沿って移動調整可能に設けられ、前記光源からの光によって光る複数の導光体と、次に取り出される被保管物が保管されている保管部を指示する場合に、前記複数の光源のうちその指示する保管部に対応する光源を点灯させ、この点灯により対応する前記導光体を光らせる点灯制御手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被保管物の大きさに応じて保管部の間口寸法が変更し、この間口寸法の変更に対応させて保管部の間口位置を変更させる場合に、配線のコネクタ位置を変える必要がなく、間口位置の変更に容易に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の保管装置の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1ないし図4において、1は保管装置で、この保管装置1は、ピッキング設備に用いられるピッキング棚等である。
【0011】
そして、このピッキング設備用の保管装置1には、被保管物W、例えば図示しない複数個の商品である物品(バラ物品)が収納された外形略直方体状で上面開口状の収納容器W1が保管される。つまり、保管装置1には、取り出し対象物である物品(商品)が収納容器W1に収納された状態で保管される。
【0012】
保管装置1は、被保管物Wの収納容器W1の大きさ(幅寸法)に応じた間口寸法Aの変更により間口位置を変更可能な複数列(図1では4列、図3では5列)の保管部(被保管物収納空間)2を備え、これら複数列の保管部2は水平な並列方向に並んでいる。
【0013】
なお、図1では、各収納容器W1の大きさが異なるため、4列の保管部2の各間口寸法Aがそれぞれ異なっている。図3では、各収納容器W1の大きさが同じであるため、5列の保管部2の各間口寸法Aがすべて同じになっている。
【0014】
ここで、例えば保管装置1は、棚本体4を備え、この棚本体4に被保管物Wが保管される前後方向長手状の保管部2が複数列でかつ複数段に形成されている。保管部2の底面に沿って保管部2の取り出し用の間口である前面開口に向って下り傾斜する傾斜状のフリーローラコンベヤ(図示せず)が配設されている。フリーローラコンベヤの搬送終端部には、先頭の被保管物Wの収納容器W1と当接して保管中の収納容器W1の前方への移動を規制するストッパ(図示せず)が設けられている。
【0015】
そして、内部に収納された物品が取り出されて空になった先頭の収納容器W1を保管部から除去すると、後続の収納容器W1は自重でフリーローラコンベヤ上を前方向へ移動する。なお、複数個の物品が収納された収納容器W1は、保管部2へこの保管部2の供給口である後面開口から自動供給装置(図示せず)によって供給される。
【0016】
また、保管装置1は、棚本体4の前面部に複数の保管部2の間口近傍位置に設けられ複数の保管部2の並列方向に沿って互いに隣接して並んで位置する複数の点灯手段5と、作業者の手作業によって次に取り出される被保管物Wの物品が保管されている保管部2を指示する場合に、複数の点灯手段5のうちその指示する保管部2の間口寸法Aに対応する数の点灯手段5を点灯させる点灯制御手段6とを備えている。
【0017】
そして、保管部指示用の各点灯手段5は、LEDランプ等の光源11と、この光源11からの光によって光る反射板等の導光体12とを有している。複数の光源11は、棚本体4のフレーム(図示せず)に保管部2の並列方向に沿って互いに等間隔をおいて取り付けられている。そして、これら複数の光源11は、図示しない配線を介して点灯制御手段6に並列に接続され、この1つの点灯制御手段6からの信号に基づいて点灯および消灯する。
【0018】
複数の導光体12は、各光源11に対応するように、棚本体4の水平状のフレーム13に保管部2の並列方向である水平方向に沿って互いに隣接して光源11と同じ数だけ設けられている。各導光体12は、図5に示すように、前後寸法が小さい外形略直方体状で下面開口状のもので、下方に配置された光源11からの光によって光る鉛直面状で略四角状の点灯面である点灯前面15を有している。すなわち例えば導光体12は、互いに離間対向する非透光性の左右一対の取付板16を有し、両取付板16の前端部同士がアクリル樹脂等からなる透光性の前板17にて連結され、両取付板16の上端部同士がアクリル樹脂等からなる透光性の上板18にて連結され、両取付板16の後端部同士が後板(図示せず)にて連結されている。透光性の前板17にて点灯前面15が構成されている。
【0019】
なお、図示しないが、保管装置1の保管部2からオーダ情報に応じて作業者の手作業によって取り出された1個の物品が載置されこの載置された物品を一時的に待機させた後に搬送投入する複数の投入装置と、これら複数の投入装置からの物品を受け入れこの受け入れた物品をオーダ情報に対応するオーダ単位で搬送するオーダ単位搬送装置とが、保管装置1の前方に配設されている。
【0020】
次に、上記保管装置1の作用等を説明する。
【0021】
図1に示す状態では、4列の保管部2に互いに異なる大きさの収納容器W1がそれぞれ保管されているが、各被保管物Wの収納容器W1の幅寸法データ等に基いて、各保管部2の間口寸法Aに対応する点灯手段5が予め設定されている。
【0022】
そして、例えば図1中、左から2番目の保管部2に、作業者が次に取り出すべき物品が保管されているとした場合、点灯制御手段6は、図2に示すように、全点灯手段5のうち、左から2番目の保管部2の間口寸法Aに対応する数の点灯手段5だけを点灯させて、作業者に次に取り出すべき物品が保管されている保管部2を指示する。
【0023】
つまり、点灯制御手段6の制御に基づき、左から2番目の保管部2の間口寸法Aに対応する8個の光源11から光が発生し、対応する8個の導光体12が光り、作業者は、その間口寸法Aと略同じ長さを有する光を放つ連なった8個の導光体12を見て、対応する保管部2に保管されている収納容器W1内から物品を1個取り出す。
【0024】
そして、物品を取り出した作業者は、投入装置側に振り向いた後、自分が担当する複数、例えば5つの投入装置中、載置位置指示用の光源の点灯によって搬送面の一部から光が放射されて光った1箇所の物品載置位置を見て、その物品載置位置に1個の物品を載置し、その物品で搬送面の光った光放射部分の全体または一部を覆う。物品が物品載置位置に載置されたことが載置検出手段にて検出されると、点灯していた保管装置1の光源11および投入装置の光源が消灯し、次に指示する光源11等が点灯する。
【0025】
そして、オーダ単位搬送装置の搬送面の所望領域であるオーダ単位ゾーンが、投入装置の対応位置に到達すると、モータ等の駆動源の作動に基づいて、投入装置の透光性搬送体が回行し、この透光性搬送体が回行すると、搬送面上の物品載置位置に載置された物品は、その搬送面にて搬送案内されてオーダ単位搬送装置の搬送面上に落下して乗り移る。
【0026】
つまり、物品が投入装置にてオーダ単位搬送装置の搬送面上に自動投入される。このようにして保管部2から取り出された各オーダ単位ごとの物品は、オーダ単位搬送装置の搬送面上に直接載置された状態でその搬送面にて搬送されつつセンターリングされ、その後、所定の工程を経た後、出荷される。
【0027】
ここで、例えば次のピッキング作業では、図3に示すように、5列の保管部2に同じ大きさの収納容器W1が保管されることになった場合、各被保管物Wの収納容器W1の幅寸法データ等に基いて、各保管部2の間口寸法Aに対応する点灯手段5が自動的に変更設定される。
【0028】
そして、例えば図3中、左から2番目の保管部2に、作業者が次に取り出すべき物品が保管されているとした場合、点灯制御手段6は、図4に示すように、全点灯手段5のうち、左から2番目の保管部2の間口寸法Aに対応する4つの点灯手段5だけを点灯させて作業者に次に取り出すべき物品が保管されている保管部2を指示する。
【0029】
このように、上記保管装置1によれば、保管部2に保管される被保管物Wの大きさに応じて保管部2の間口寸法Aが変更し、この間口寸法Aの変更に対応させて保管部2の間口位置を変更させる場合に、従来とは異なり配線のコネクタ位置を変える必要がなく、保管部2の間口位置および数の変更に容易に対応できる。
【0030】
また、次に取り出される被保管物Wが保管されている保管部2を作業者に対して指示する際に、複数の点灯手段5のうち、その指示する保管部2の間口寸法Aに対応する数の点灯手段5だけが点灯するため、作業者による物品の取り出しミス(ピッキングミス)が起きず、適切な取り出し作業ができる。
【0031】
次に、本発明の保管装置の第2の実施の形態について図6ないし図8を参照して説明する。
【0032】
図6ないし図8に示す保管装置1の複数の保管部指示用の光源21は、図1等に示すものとは異なり、棚本体4のフレーム(図示せず)に保管部2の並列方向に沿って互いに比較的大きな間隔をおいて取り付けられている。そして、これら複数の光源21は、図示しない配線を介して点灯制御手段23に並列に接続され、この1つの点灯制御手段23からの信号に基づいて点灯および消灯する。
【0033】
また、この保管装置1の複数の導光体22は、図1等に示すものとは異なり、棚本体4の水平状のフレーム13に保管部2の並列方向である水平方向に沿って移動調整可能に設けられている。各導光体22は、図5に示すものと同じように、前後寸法が小さい外形略直方体状で下面開口状のもので、下方に配置された複数、例えば2つの光源21からの光によって光る鉛直面状で略四角状の点灯面である点灯前面22aを有している。
【0034】
さらに、点灯制御手段23は、次に取り出される被保管物Wが保管されている保管部2を指示する場合、図7に示すように、複数の光源21のうち、その指示する保管部2に対応する複数、例えば2つの光源21だけを点灯させ、この点灯により対応する1つの導光体22を光らせる構成になっている。なお、その他の構成は図1等に示す保管装置1の構成と同一である。
【0035】
そして、この保管装置1によれば、上記第1の実施の形態と同様、保管部2に保管される被保管物Wの大きさに応じて保管部2の間口寸法Aが変更し、この間口寸法Aの変更に対応させて保管部2の間口位置を変更させる場合に、従来とは異なり配線のコネクタ位置を変える必要がなく、図8に示すように被保管物Wの保管位置つまり保管部2の間口位置等に応じて導光体22を移動調整すればよく、保管部2の間口位置および数の変更に容易に対応できる。
【0036】
また、この保管装置1では、図1等に示すものに比べて、光源21および導光体22の数を少なくできるため、組立て作業を容易にできるとともに、製造コストを低減できる。
【0037】
なお、上記各実施の形態では、被保管物Wの物品を1個ずつ取り出す構成について説明したが、例えば物品を所定数ずつ取り出す構成にする場合、取り出す個数を表示する個数表示手段を設けるようにしてもよい。例えば棚本体4の前面上部の一箇所に個数表示器を設ける構成でもよく、また導光体12,22の点灯前面15,22aに個数を表示する個数表示部を設ける構成等でもよい。なお、導光体12,22の点灯前面15,22aは、正面からだけでなく斜めからもその点灯状態を目視可能なものが望ましい。
【0038】
また、上記第1の実施の形態では、各点灯手段5が光源11と導光体12とを有する構成について説明したが、例えば各点灯手段5を光源11のみで構成したものでもよい。
【0039】
さらに、上記第2の実施の形態において、導光体22を棚本体4のフレーム13に対して脱着可能な構成とし、導光体22の数と保管部2の数とを一致できるようにしてもよい。
【0040】
また、いずれの実施の形態においても、被保管物Wは、複数個の物品と、これら物品を収納した収納容器W1とにて構成されるものには限定されず、例えば被保管物W自体が取り出し対象物である物品(商品)として1個のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る保管装置の概略正面図である。
【図2】同上保管装置の光源点灯状態の概略正面図である。
【図3】同上保管装置の間口位置変更後の概略正面図である。
【図4】同上保管装置の光源点灯状態の概略正面図である。
【図5】同上保管装置の点灯手段の斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る保管装置の概略正面図である。
【図7】同上保管装置の光源点灯状態の概略正面図である。
【図8】同上保管装置の間口位置変更後の概略正面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 保管装置
2 保管部
5 点灯手段
6,23 点灯制御手段
11,21 光源
12,22 導光体
A 間口寸法
W 被保管物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保管物の大きさに応じた間口寸法の変更により間口位置を変更可能な複数列の保管部と、
これら複数の保管部の並列方向に沿って並んで位置する複数の点灯手段と、
次に取り出される被保管物が保管されている保管部を指示する場合に、前記複数の点灯手段のうちその指示する保管部の間口寸法に対応する数の点灯手段を点灯させる点灯制御手段と
を備えることを特徴とする保管装置。
【請求項2】
各点灯手段は、光源と、この光源からの光によって光る導光体とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の保管装置。
【請求項3】
被保管物の大きさに応じた間口寸法の変更により間口位置を変更可能な複数列の保管部と、
これら複数の保管部の並列方向に沿って並んで位置する複数の光源と、
前記並列方向に沿って移動調整可能に設けられ、前記光源からの光によって光る複数の導光体と、
次に取り出される被保管物が保管されている保管部を指示する場合に、前記複数の光源のうちその指示する保管部に対応する光源を点灯させ、この点灯により対応する前記導光体を光らせる点灯制御手段と
を備えることを特徴とする保管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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