傘収納構造
【課題】比較的低コストで製造することができ、安全性が高く、また、未使用時の見栄えが低下することがない傘収納構造を得る。
【解決手段】折り畳み可能な素材により形成されると共に、前記傘を収納可能な袋体10と、シートクッション1内に設けられ、折り畳まれた前記袋体を収容可能な収納空間Sと、前記シートクッションの前面に開閉自在に設けられ、前記収納空間に連通する開口部3aとを備え、前記袋体は、前記開口部を介して前記収納空間から引き出し可能に設けられ、前記収納空間から引き出され、傘が収納された前記袋体は、シート幅方向に延びた状態でシートクッション手前に垂下される。
【解決手段】折り畳み可能な素材により形成されると共に、前記傘を収納可能な袋体10と、シートクッション1内に設けられ、折り畳まれた前記袋体を収容可能な収納空間Sと、前記シートクッションの前面に開閉自在に設けられ、前記収納空間に連通する開口部3aとを備え、前記袋体は、前記開口部を介して前記収納空間から引き出し可能に設けられ、前記収納空間から引き出され、傘が収納された前記袋体は、シート幅方向に延びた状態でシートクッション手前に垂下される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車室内に長傘(以下、単に傘と呼ぶ)を収容することのできる傘収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、傘を車室内に収納する提案がなされている。例えば、特許文献1には、図13に示すようにシート60の足下の垂直壁61に設けられた車両用傘ホルダ50が開示されている。この傘ホルダ50は、図14に示すように(垂直壁61に取り付けられる)平板形状のベース51と、このベース51に対し回動可能に連結されたホルダ本体52とを備えている。
ホルダ本体52が開いた状態では、図14に示すように傘70をホルダ本体52に収容でき、傘70の手元71は、ホルダ本体52の一端側に形成されたスリット52aから外側に出すようになっている。
また、傘70をホルダ本体52に収容した状態で、ホルダ本体52をベース51に対して閉じれば、乗員の足が濡れることが無く、また、乗員の足下で邪魔にならないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−154639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された車両用傘ホルダにあっては、ホルダ本体52が所謂ハードケースであるため、合成樹脂、或いは金属などにより形成する必要があり、製造にかかるコストが嵩張るという課題があった。
また、合成樹脂や金属により形成されているために、事故時などには割れる等して乗員に危害を及ぼす虞があった。
更には、傘を収容しないときにもホルダ本体52がシート下から突出した状態であるため、見栄えが悪いという課題があった。
【0005】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、自動車の車室内に傘を収容する傘収納構造であって、比較的低コストで製造することができ、安全性が高く、また、未使用時の見栄えが低下することがない傘収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明に係る傘収納構造は、自動車の車室内に傘を収納する傘収納構造であって、折り畳み可能な素材により形成されると共に、前記傘を収納可能な袋体と、シートクッション内に設けられ、折り畳まれた前記袋体を収容可能な収納空間と、前記シートクッションの前面に開閉自在に設けられ、前記収納空間に連通する開口部とを備え、前記袋体は、前記開口部を介して前記収納空間から引き出し可能に設けられ、前記収納空間から引き出され、傘が収納された前記袋体は、シート幅方向に延びた状態でシートクッション手前に垂下されることに特徴を有する。
尚、前記袋体は、防水加工が施された布地により形成されていることが望ましく、前記袋体の一端には傘を挿入する挿入口が形成され、前記挿入口の周縁には、該挿入口を絞り込む絞り手段が設けられていることが望ましい。
【0007】
このように本発明によれば、折り畳み可能な袋体が、その未使用時にはシートクッション内に設けられた収納空間に収納されるため、見栄えの低下を防ぐことができる。
また、傘を車室内に収納する際には、袋体をシートクッションの前方に引き出して展開し、傘を容易に収納することができる。
また、袋体は、防水処理が施された布地など、柔軟で折り畳み可能な素材により形成されるため、事故時などにおいて乗員に危害が及ぶことがなく、製造にかかるコストも低く抑えることができる。
【0008】
また、前記シートクッションの前面に設けられた前記開口部には第1のファスナーが設けられ、前記開口部は、前記第1のファスナーにより開閉自在となされていることが望ましい。
このように第1のファスナーを設けることにより、袋体の未使用時には開口部を閉じれば、見栄えの低下をより一層防ぐことができる。
【0009】
また、帯状に形成されると共に、その後端側が前記収納空間内に固定され、前端側が前記袋体に連結されたバンド部材を備え、前記収納空間から引き出された前記袋体は、前記バンド部材によって垂下可能となされていることが望ましい。
また、前記バンド部材の前端側に設けられた第2のファスナーを備え、前記袋体は、前記第2のファスナーにより前記バンド部材と連結、又は分離されることが望ましい。
このようにバンド部材を設けることにより、シートクッション部の前面側に袋体を垂下させることができ、また、第2のファスナーにより袋体がバンド部材から分離できれば、利便性をより向上させることができる。
【0010】
また、前記袋体の表面には、車室内のフロアマットに対し着脱自在な面ファスナーが設けられ、前記収納空間から引き出され、傘が収納された前記袋体は、前記面ファスナーが前記フロアマットに固定された状態で、シートクッション手前に垂下されることが望ましい。
このように袋体の表面にフロアマットに対し着脱自在な面ファスナーを設けることにより、傘を収納した袋体をフロアマットに対し固定することができ、乗員の足下で邪魔にならないようにすることができる。
【0011】
また、前記袋体の長手方向に沿って開閉自在に設けられた第3のファスナーを備え、前記第3のファスナーが開かれて形成された開口を介して、前記袋体に対する傘の出し入れが可能となされていることが望ましい。
このように袋体に第3のファスナーを設けることにより、袋体に対する傘の出し入れを、より容易なものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自動車の車室内に傘を収容する傘収納構造であって、比較的低コストで製造することができ、安全性が高く、また、未使用時の見栄えが低下することがない傘収納構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る傘収納構造が設けられる車両内のリアシートのシートクッション部の斜視図である。
【図2】図2は、図1のシートクッション部の断面図である。
【図3】図3は、図1のシートクッション部の前面から、折り畳まれた傘収納ポケットを手前に引き出した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3の傘収納ポケットをファスナーによりバンド部材から分離する状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図1のシートクッション部の前面から引き出された傘収納ポケットを展開した状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図1のシートクッション部の前面から引き出された傘収納ポケットに傘を収納した状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、傘を収納した図6の傘収納ポケットにおいて、その挿入口を絞り込んだ状態を示す斜視図である。
【図8】図8は、傘を収納した傘収納ポケットの先端側を面ファスナーによって、フロアマットに固定した状態を示す側面図である。
【図9】図9は、傘を収納してシートクッション手前に垂下される傘収納ポケットと、乗員の足下との関係を示す側面図である。
【図10】図10は、傘を収納した傘収納ポケットをファスナーによりバンド部材から分離する状態を示す斜視図である。
【図11】図11は、傘収納ポケットの変形例であって、傘収納ポケットの長手方向に設けられたファスナーを開いた状態を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11の傘収納ポケットのファスナーを閉じた状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、従来の車両用傘ホルダがシートクッション前面に設けられた状態を示す斜視図である。
【図14】図14は、図13の車両用傘ホルダの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる傘収納構造の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
尚、本発明にかかる傘収納構造は、自動車の車室内の各シートクッション部に適用することができるが、好ましくは2列目以降のリアシートのシートクッション部に適用される。
【0015】
図1は、車両内のリアシートのシートクッション部の斜視図である。図2は、図1のシートクッション部の断面図である。
図示するように、左右のシートクッション1,2の前面1a,2aには、シート幅方向に延びるファスナー3(第1のファスナー)がそれぞれ設けられている。シートクッション1,2には、前記ファスナー3が設けられた部位に、それぞれ同様の傘収納構造が設けられるが、以下、シートクッション1に設けられた傘収納構造を例に説明する。また、本実施の形態にあっては、線ファスナーのことを単にファスナーと呼ぶ。
【0016】
図2に示すようにシートクッション1内の前部には、所定の幅寸法、及び所定の奥行き寸法を有する空間S(収納空間)が設けられ、この空間Sは、前記ファスナー3が開くことによって形成される開口部3a(図3参照)に連通する(即ち空間Sは開口部3aを介して車室側と連通する)。
図示するように、前記空間Sには、傘を収納するための袋体である傘収納ポケット10が、折り畳まれた状態で収納されている。
ファスナー3を開くと、図3に示すように傘収納ポケット10は折り畳まれた状態のまま、前記開口部3aを介してシート手前側に引き出すことができる。傘収納ポケット10は、図示するように例えば3つ折りとされ、コンパクトな形態となされている。
【0017】
図2に示すように空間Sの奥壁S1には帯状の布地からなるバンド部材11の後端側が縫い付けられて固定されている。一方、バンド部材11の前端側にはシート幅方向に延びるファスナー12(第2のファスナー)が設けられ、このファスナー12を介して、図3,図4に示すように傘収納ポケット10がバンド部材11に対し着脱自在となされている。
【0018】
また、前記のように空間Sに収容される際に3つ折りにされる傘収納ポケット10は、展開すると図5に示すように1本の傘を収容可能な袋状となる。
この傘収納ポケット10は、防水加工が施された布地によって形成されており、収納した傘に付着している雨水が表側に染み出さないようになされている。
尚、図示しないが、傘収納ポケット10の内面に、毛足の長いマイクロファイバー(超極細繊維)を密に織り込んでもよく、その場合には、傘に付着していた雨水の殆どをマイクロファイバーに効果的に吸収させることができる。
【0019】
また、図示するように傘収納ポケット10の一端には、傘を挿入するための挿入口10aが設けられ、その周縁には、挿入口10aを絞り込むための絞り手段13が設けられている。この絞り手段13は、具体的には、図示するようにコードストッパを有するドローコード、或いは面ファスナーなどにより構成することができる。
図5に示すように展開された傘収納ポケット10に対し、挿入口10aから傘を挿入して収納すると、図6に示すように傘の手元20が挿入口10aより手前側に突出した状態となる。ここで、絞り手段13により挿入口10aを絞れば、図7に示すように傘に付着した雨水が挿入口10aから車室内に漏れ出す虞がない。
【0020】
また、図6に示すように、傘収納ポケット10に収納された傘は、バンド部材11によって、シートクッション1の手前(前面1a側)に垂下された状態となる。バンド部材11の長さは、傘を収納した傘収納ポケット10の先端部分が、フロアパネル中央の車両前後方向に延びる隆起部分14に載置されるよう調整されている。また、傘収納ポケット10の先端部分の下面側には、フロアマットに着脱自在な面ファスナー15が設けられ、それにより傘が収納された傘収納ポケット10を前記隆起部14に固定可能となされている。
一方、傘の手元20側は、図9に示すように乗員30の足下裏側に収まる高さに吊り下げられるため、乗員の足下で邪魔にならないようにすることができる。
【0021】
このように構成された傘収納構造において、傘を収納する際には、図1,図2に示すように傘収納ポケット10が空間Sに収納された状態からファスナー3を開き、図3に示すように折り畳まれた状態の傘収納ポケット10を取り出す。
次いで、図5に示すように傘収納ポケット10を展開し、傘を傘収納ポケット10の挿入口10aから挿入可能な状態とする。
そして、傘収納ポケット10の挿入口10aから傘を挿入すると、図6に示すように傘収納ポケット10に収納された傘が垂下された状態となる。
【0022】
ここで、図7に示すように絞り手段13(ドローコード、面ファスナーなど)により挿入口10aを絞ることが好ましく、それにより挿入口10aから雨水が車室内に漏れ出さないようにすることができる。更には、図8に示すように傘収納ポケット10の先端部を面ファスナー15によりフロア中央の隆起部分14に固定することが好ましく、それにより傘収納ポケット10に収納された傘を、乗員30の足下で前後に振られることなく配置することができる。
【0023】
尚、傘を傘収納ポケット10に収納する際、図4に示すように折り畳まれた状態の傘収納ポケット10をファスナー12によりバンド部材11から切り離し、その後、傘収納ポケット10に対して傘を収納してもよい。その場合には、傘収納ポケット10に濡れた傘を収納する作業がより容易となる。
【0024】
一方、傘収納ポケット10から傘を取り出す際には、乗員は絞り手段13を緩めて挿入口10aを開き、手元20を握って傘を引っ張り出せばよい。
或いは、図10に示したように先にファスナー12を開いてバンド部材11から傘収納ポケット10を分離し、絞り手段13を緩めて挿入口10aを開き、傘を取り出してもよい。
【0025】
以上のように本発明に係る傘収納構造によれば、折り畳み可能な傘収納ポケット10が、その未使用時にはシートクッション1前部に設けられた空間Sに収納されるため、見栄えの低下を防ぐことができる。
また、傘を車室内に収納する際には、傘収納ポケット10をシートクッション1の前方に引き出して展開し、その挿入口10aから傘を挿入することで、容易に行うことができる。また、取り出す際にも挿入口10aから容易に取り出すことができる。
また、傘収納ポケット10は、防水処理が施された布地により形成されるため、事故時などにおいて乗員に危害が及ぶことがなく、製造にかかるコストも低く抑えることができる。
【0026】
尚、前記実施の形態においては、傘収納ポケット10に対する傘の収納方法は、挿入口10aからのみとしたが、それに限定されるものではない。
例えば、図11に示すように傘収納ポケット10の長手方向に、少なくとも挿入口10a側が分離可能なファスナー16(第3のファスナー)を設けてもよい。その場合、ファスナー16が開かれて形成された開口16aから傘を収納し、図12に示すようにファスナー16を閉じて傘を収納するようにしてもよい。
このように構成することにより、車室内において傘収納ポケット10の上方から傘の収納・取り出しが可能となり、その作業がより容易なものとなる。
【0027】
また、前記実施の形態においては、傘収納ポケット10は、防水加工が施された布地によって形成されているものとしたが、折り畳み可能な素材であればよい(より望ましくは防水機能を有するもの)。具体的には、ビニール素材により傘収納ポケット10を形成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 シートクッション
1a 前面
2 シートクッション
2a 前面
3 ファスナー(第1のファスナー)
3a 開口部
10 傘収納ポケット(袋体)
10a 挿入口
11 バンド部材
12 ファスナー(第2のファスナー)
13 絞り手段
14 隆起部
15 面ファスナー
16 ファスナー(第3のファスナー)
16a 開口
20 手元
30 乗員
S 空間(収納空間)
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車室内に長傘(以下、単に傘と呼ぶ)を収容することのできる傘収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、傘を車室内に収納する提案がなされている。例えば、特許文献1には、図13に示すようにシート60の足下の垂直壁61に設けられた車両用傘ホルダ50が開示されている。この傘ホルダ50は、図14に示すように(垂直壁61に取り付けられる)平板形状のベース51と、このベース51に対し回動可能に連結されたホルダ本体52とを備えている。
ホルダ本体52が開いた状態では、図14に示すように傘70をホルダ本体52に収容でき、傘70の手元71は、ホルダ本体52の一端側に形成されたスリット52aから外側に出すようになっている。
また、傘70をホルダ本体52に収容した状態で、ホルダ本体52をベース51に対して閉じれば、乗員の足が濡れることが無く、また、乗員の足下で邪魔にならないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−154639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された車両用傘ホルダにあっては、ホルダ本体52が所謂ハードケースであるため、合成樹脂、或いは金属などにより形成する必要があり、製造にかかるコストが嵩張るという課題があった。
また、合成樹脂や金属により形成されているために、事故時などには割れる等して乗員に危害を及ぼす虞があった。
更には、傘を収容しないときにもホルダ本体52がシート下から突出した状態であるため、見栄えが悪いという課題があった。
【0005】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、自動車の車室内に傘を収容する傘収納構造であって、比較的低コストで製造することができ、安全性が高く、また、未使用時の見栄えが低下することがない傘収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明に係る傘収納構造は、自動車の車室内に傘を収納する傘収納構造であって、折り畳み可能な素材により形成されると共に、前記傘を収納可能な袋体と、シートクッション内に設けられ、折り畳まれた前記袋体を収容可能な収納空間と、前記シートクッションの前面に開閉自在に設けられ、前記収納空間に連通する開口部とを備え、前記袋体は、前記開口部を介して前記収納空間から引き出し可能に設けられ、前記収納空間から引き出され、傘が収納された前記袋体は、シート幅方向に延びた状態でシートクッション手前に垂下されることに特徴を有する。
尚、前記袋体は、防水加工が施された布地により形成されていることが望ましく、前記袋体の一端には傘を挿入する挿入口が形成され、前記挿入口の周縁には、該挿入口を絞り込む絞り手段が設けられていることが望ましい。
【0007】
このように本発明によれば、折り畳み可能な袋体が、その未使用時にはシートクッション内に設けられた収納空間に収納されるため、見栄えの低下を防ぐことができる。
また、傘を車室内に収納する際には、袋体をシートクッションの前方に引き出して展開し、傘を容易に収納することができる。
また、袋体は、防水処理が施された布地など、柔軟で折り畳み可能な素材により形成されるため、事故時などにおいて乗員に危害が及ぶことがなく、製造にかかるコストも低く抑えることができる。
【0008】
また、前記シートクッションの前面に設けられた前記開口部には第1のファスナーが設けられ、前記開口部は、前記第1のファスナーにより開閉自在となされていることが望ましい。
このように第1のファスナーを設けることにより、袋体の未使用時には開口部を閉じれば、見栄えの低下をより一層防ぐことができる。
【0009】
また、帯状に形成されると共に、その後端側が前記収納空間内に固定され、前端側が前記袋体に連結されたバンド部材を備え、前記収納空間から引き出された前記袋体は、前記バンド部材によって垂下可能となされていることが望ましい。
また、前記バンド部材の前端側に設けられた第2のファスナーを備え、前記袋体は、前記第2のファスナーにより前記バンド部材と連結、又は分離されることが望ましい。
このようにバンド部材を設けることにより、シートクッション部の前面側に袋体を垂下させることができ、また、第2のファスナーにより袋体がバンド部材から分離できれば、利便性をより向上させることができる。
【0010】
また、前記袋体の表面には、車室内のフロアマットに対し着脱自在な面ファスナーが設けられ、前記収納空間から引き出され、傘が収納された前記袋体は、前記面ファスナーが前記フロアマットに固定された状態で、シートクッション手前に垂下されることが望ましい。
このように袋体の表面にフロアマットに対し着脱自在な面ファスナーを設けることにより、傘を収納した袋体をフロアマットに対し固定することができ、乗員の足下で邪魔にならないようにすることができる。
【0011】
また、前記袋体の長手方向に沿って開閉自在に設けられた第3のファスナーを備え、前記第3のファスナーが開かれて形成された開口を介して、前記袋体に対する傘の出し入れが可能となされていることが望ましい。
このように袋体に第3のファスナーを設けることにより、袋体に対する傘の出し入れを、より容易なものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自動車の車室内に傘を収容する傘収納構造であって、比較的低コストで製造することができ、安全性が高く、また、未使用時の見栄えが低下することがない傘収納構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る傘収納構造が設けられる車両内のリアシートのシートクッション部の斜視図である。
【図2】図2は、図1のシートクッション部の断面図である。
【図3】図3は、図1のシートクッション部の前面から、折り畳まれた傘収納ポケットを手前に引き出した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3の傘収納ポケットをファスナーによりバンド部材から分離する状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図1のシートクッション部の前面から引き出された傘収納ポケットを展開した状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図1のシートクッション部の前面から引き出された傘収納ポケットに傘を収納した状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、傘を収納した図6の傘収納ポケットにおいて、その挿入口を絞り込んだ状態を示す斜視図である。
【図8】図8は、傘を収納した傘収納ポケットの先端側を面ファスナーによって、フロアマットに固定した状態を示す側面図である。
【図9】図9は、傘を収納してシートクッション手前に垂下される傘収納ポケットと、乗員の足下との関係を示す側面図である。
【図10】図10は、傘を収納した傘収納ポケットをファスナーによりバンド部材から分離する状態を示す斜視図である。
【図11】図11は、傘収納ポケットの変形例であって、傘収納ポケットの長手方向に設けられたファスナーを開いた状態を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11の傘収納ポケットのファスナーを閉じた状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、従来の車両用傘ホルダがシートクッション前面に設けられた状態を示す斜視図である。
【図14】図14は、図13の車両用傘ホルダの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる傘収納構造の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
尚、本発明にかかる傘収納構造は、自動車の車室内の各シートクッション部に適用することができるが、好ましくは2列目以降のリアシートのシートクッション部に適用される。
【0015】
図1は、車両内のリアシートのシートクッション部の斜視図である。図2は、図1のシートクッション部の断面図である。
図示するように、左右のシートクッション1,2の前面1a,2aには、シート幅方向に延びるファスナー3(第1のファスナー)がそれぞれ設けられている。シートクッション1,2には、前記ファスナー3が設けられた部位に、それぞれ同様の傘収納構造が設けられるが、以下、シートクッション1に設けられた傘収納構造を例に説明する。また、本実施の形態にあっては、線ファスナーのことを単にファスナーと呼ぶ。
【0016】
図2に示すようにシートクッション1内の前部には、所定の幅寸法、及び所定の奥行き寸法を有する空間S(収納空間)が設けられ、この空間Sは、前記ファスナー3が開くことによって形成される開口部3a(図3参照)に連通する(即ち空間Sは開口部3aを介して車室側と連通する)。
図示するように、前記空間Sには、傘を収納するための袋体である傘収納ポケット10が、折り畳まれた状態で収納されている。
ファスナー3を開くと、図3に示すように傘収納ポケット10は折り畳まれた状態のまま、前記開口部3aを介してシート手前側に引き出すことができる。傘収納ポケット10は、図示するように例えば3つ折りとされ、コンパクトな形態となされている。
【0017】
図2に示すように空間Sの奥壁S1には帯状の布地からなるバンド部材11の後端側が縫い付けられて固定されている。一方、バンド部材11の前端側にはシート幅方向に延びるファスナー12(第2のファスナー)が設けられ、このファスナー12を介して、図3,図4に示すように傘収納ポケット10がバンド部材11に対し着脱自在となされている。
【0018】
また、前記のように空間Sに収容される際に3つ折りにされる傘収納ポケット10は、展開すると図5に示すように1本の傘を収容可能な袋状となる。
この傘収納ポケット10は、防水加工が施された布地によって形成されており、収納した傘に付着している雨水が表側に染み出さないようになされている。
尚、図示しないが、傘収納ポケット10の内面に、毛足の長いマイクロファイバー(超極細繊維)を密に織り込んでもよく、その場合には、傘に付着していた雨水の殆どをマイクロファイバーに効果的に吸収させることができる。
【0019】
また、図示するように傘収納ポケット10の一端には、傘を挿入するための挿入口10aが設けられ、その周縁には、挿入口10aを絞り込むための絞り手段13が設けられている。この絞り手段13は、具体的には、図示するようにコードストッパを有するドローコード、或いは面ファスナーなどにより構成することができる。
図5に示すように展開された傘収納ポケット10に対し、挿入口10aから傘を挿入して収納すると、図6に示すように傘の手元20が挿入口10aより手前側に突出した状態となる。ここで、絞り手段13により挿入口10aを絞れば、図7に示すように傘に付着した雨水が挿入口10aから車室内に漏れ出す虞がない。
【0020】
また、図6に示すように、傘収納ポケット10に収納された傘は、バンド部材11によって、シートクッション1の手前(前面1a側)に垂下された状態となる。バンド部材11の長さは、傘を収納した傘収納ポケット10の先端部分が、フロアパネル中央の車両前後方向に延びる隆起部分14に載置されるよう調整されている。また、傘収納ポケット10の先端部分の下面側には、フロアマットに着脱自在な面ファスナー15が設けられ、それにより傘が収納された傘収納ポケット10を前記隆起部14に固定可能となされている。
一方、傘の手元20側は、図9に示すように乗員30の足下裏側に収まる高さに吊り下げられるため、乗員の足下で邪魔にならないようにすることができる。
【0021】
このように構成された傘収納構造において、傘を収納する際には、図1,図2に示すように傘収納ポケット10が空間Sに収納された状態からファスナー3を開き、図3に示すように折り畳まれた状態の傘収納ポケット10を取り出す。
次いで、図5に示すように傘収納ポケット10を展開し、傘を傘収納ポケット10の挿入口10aから挿入可能な状態とする。
そして、傘収納ポケット10の挿入口10aから傘を挿入すると、図6に示すように傘収納ポケット10に収納された傘が垂下された状態となる。
【0022】
ここで、図7に示すように絞り手段13(ドローコード、面ファスナーなど)により挿入口10aを絞ることが好ましく、それにより挿入口10aから雨水が車室内に漏れ出さないようにすることができる。更には、図8に示すように傘収納ポケット10の先端部を面ファスナー15によりフロア中央の隆起部分14に固定することが好ましく、それにより傘収納ポケット10に収納された傘を、乗員30の足下で前後に振られることなく配置することができる。
【0023】
尚、傘を傘収納ポケット10に収納する際、図4に示すように折り畳まれた状態の傘収納ポケット10をファスナー12によりバンド部材11から切り離し、その後、傘収納ポケット10に対して傘を収納してもよい。その場合には、傘収納ポケット10に濡れた傘を収納する作業がより容易となる。
【0024】
一方、傘収納ポケット10から傘を取り出す際には、乗員は絞り手段13を緩めて挿入口10aを開き、手元20を握って傘を引っ張り出せばよい。
或いは、図10に示したように先にファスナー12を開いてバンド部材11から傘収納ポケット10を分離し、絞り手段13を緩めて挿入口10aを開き、傘を取り出してもよい。
【0025】
以上のように本発明に係る傘収納構造によれば、折り畳み可能な傘収納ポケット10が、その未使用時にはシートクッション1前部に設けられた空間Sに収納されるため、見栄えの低下を防ぐことができる。
また、傘を車室内に収納する際には、傘収納ポケット10をシートクッション1の前方に引き出して展開し、その挿入口10aから傘を挿入することで、容易に行うことができる。また、取り出す際にも挿入口10aから容易に取り出すことができる。
また、傘収納ポケット10は、防水処理が施された布地により形成されるため、事故時などにおいて乗員に危害が及ぶことがなく、製造にかかるコストも低く抑えることができる。
【0026】
尚、前記実施の形態においては、傘収納ポケット10に対する傘の収納方法は、挿入口10aからのみとしたが、それに限定されるものではない。
例えば、図11に示すように傘収納ポケット10の長手方向に、少なくとも挿入口10a側が分離可能なファスナー16(第3のファスナー)を設けてもよい。その場合、ファスナー16が開かれて形成された開口16aから傘を収納し、図12に示すようにファスナー16を閉じて傘を収納するようにしてもよい。
このように構成することにより、車室内において傘収納ポケット10の上方から傘の収納・取り出しが可能となり、その作業がより容易なものとなる。
【0027】
また、前記実施の形態においては、傘収納ポケット10は、防水加工が施された布地によって形成されているものとしたが、折り畳み可能な素材であればよい(より望ましくは防水機能を有するもの)。具体的には、ビニール素材により傘収納ポケット10を形成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 シートクッション
1a 前面
2 シートクッション
2a 前面
3 ファスナー(第1のファスナー)
3a 開口部
10 傘収納ポケット(袋体)
10a 挿入口
11 バンド部材
12 ファスナー(第2のファスナー)
13 絞り手段
14 隆起部
15 面ファスナー
16 ファスナー(第3のファスナー)
16a 開口
20 手元
30 乗員
S 空間(収納空間)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車室内に傘を収納する傘収納構造であって、
折り畳み可能な素材により形成されると共に、前記傘を収納可能な袋体と、シートクッション内に設けられ、折り畳まれた前記袋体を収容可能な収納空間と、前記シートクッションの前面に開閉自在に設けられ、前記収納空間に連通する開口部とを備え、
前記袋体は、前記開口部を介して前記収納空間から引き出し可能に設けられ、
前記収納空間から引き出され、傘が収納された前記袋体は、シート幅方向に延びた状態でシートクッション手前に垂下されることを特徴とする傘収納構造。
【請求項2】
前記袋体は、防水加工が施された布地により形成されていることを特徴とする請求項1に記載された傘収納構造。
【請求項3】
前記袋体の一端には傘を挿入する挿入口が形成され、
前記挿入口の周縁には、該挿入口を絞り込む絞り手段が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された傘収納構造。
【請求項4】
前記シートクッションの前面に設けられた前記開口部には第1のファスナーが設けられ、前記開口部は、前記第1のファスナーにより開閉自在となされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された傘収納構造。
【請求項5】
帯状に形成されると共に、その後端側が前記収納空間内に固定され、前端側が前記袋体に連結されたバンド部材を備え、
前記収納空間から引き出された前記袋体は、前記バンド部材によって垂下可能となされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された傘収納構造。
【請求項6】
前記バンド部材の前端側に設けられた第2のファスナーを備え、
前記袋体は、前記第2のファスナーにより前記バンド部材と連結、又は分離されることを特徴とする請求項5に記載された傘収納構造。
【請求項7】
前記袋体の表面には、車室内のフロアマットに対し着脱自在な面ファスナーが設けられ、
前記収納空間から引き出され、傘が収納された前記袋体は、前記面ファスナーが前記フロアマットに固定された状態で、シートクッション手前に垂下されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された傘収納構造。
【請求項8】
前記袋体の長手方向に沿って開閉自在に設けられた第3のファスナーを備え、
前記第3のファスナーが開かれて形成された開口を介して、前記袋体に対する傘の出し入れが可能となされていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された傘収納構造。
【請求項1】
自動車の車室内に傘を収納する傘収納構造であって、
折り畳み可能な素材により形成されると共に、前記傘を収納可能な袋体と、シートクッション内に設けられ、折り畳まれた前記袋体を収容可能な収納空間と、前記シートクッションの前面に開閉自在に設けられ、前記収納空間に連通する開口部とを備え、
前記袋体は、前記開口部を介して前記収納空間から引き出し可能に設けられ、
前記収納空間から引き出され、傘が収納された前記袋体は、シート幅方向に延びた状態でシートクッション手前に垂下されることを特徴とする傘収納構造。
【請求項2】
前記袋体は、防水加工が施された布地により形成されていることを特徴とする請求項1に記載された傘収納構造。
【請求項3】
前記袋体の一端には傘を挿入する挿入口が形成され、
前記挿入口の周縁には、該挿入口を絞り込む絞り手段が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された傘収納構造。
【請求項4】
前記シートクッションの前面に設けられた前記開口部には第1のファスナーが設けられ、前記開口部は、前記第1のファスナーにより開閉自在となされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された傘収納構造。
【請求項5】
帯状に形成されると共に、その後端側が前記収納空間内に固定され、前端側が前記袋体に連結されたバンド部材を備え、
前記収納空間から引き出された前記袋体は、前記バンド部材によって垂下可能となされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された傘収納構造。
【請求項6】
前記バンド部材の前端側に設けられた第2のファスナーを備え、
前記袋体は、前記第2のファスナーにより前記バンド部材と連結、又は分離されることを特徴とする請求項5に記載された傘収納構造。
【請求項7】
前記袋体の表面には、車室内のフロアマットに対し着脱自在な面ファスナーが設けられ、
前記収納空間から引き出され、傘が収納された前記袋体は、前記面ファスナーが前記フロアマットに固定された状態で、シートクッション手前に垂下されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された傘収納構造。
【請求項8】
前記袋体の長手方向に沿って開閉自在に設けられた第3のファスナーを備え、
前記第3のファスナーが開かれて形成された開口を介して、前記袋体に対する傘の出し入れが可能となされていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された傘収納構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−56602(P2013−56602A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195579(P2011−195579)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【特許番号】特許第5147143号(P5147143)
【特許公報発行日】平成25年2月20日(2013.2.20)
【出願人】(000157083)トヨタ自動車東日本株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【特許番号】特許第5147143号(P5147143)
【特許公報発行日】平成25年2月20日(2013.2.20)
【出願人】(000157083)トヨタ自動車東日本株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】
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