説明

像担持体保護剤・保護層形成装置・画像形成方法・画像形成装置・プロセスカートリッジ

【課題】充分な像担持体表面の保護効果、クリーニング部材の劣化防止、トナーのすり抜け防止、及び像担持体への異物付着による画像ボケ防止を実現できる像担持体保護剤を提供する。
【解決手段】感光体ドラム1に対向して配設されるとともにクリーニング装置4の下流に配置された保護層形成装置2は、像担持体保護剤21、供給部材としての保護剤供給部材22、押圧力付与機構23、供給された像担持体保護剤を皮膜化する層形成部材としての保護層形成機構24等から主に構成されている。像担持体保護剤21は、疎水化処理した無機潤滑剤を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置、該画像形成装置の像担持体の表面を保護する像担持体保護剤、該像担持体保護剤を用いて像担持体表面に保護層を形成する保護層形成装置、該像担持体保護剤を用いた画像形成方法並びに該画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナー粒子を付着させ可視像を形成している。トナーにより形成された可視像は、最終的に紙等の転写媒体に転写後、熱、圧力や溶剤気体等によって転写媒体に定着され、出力画像となる。
これらの画像形成の方式は、可視像化のためのトナー粒子を帯電させる方法により、トナー粒子とキャリア粒子の攪拌・混合による摩擦帯電を用いる、いわゆる二成分現像方式と、キャリア粒子を用いずにトナー粒子への電荷付与を行う、いわゆる一成分現像方式とに大別される。また、一成分現像方式では、現像ローラへのトナー粒子の保持に磁気力を使用するか否かにより、磁性一成分現像方式、非磁性一成分現像方式に分類される。
【0003】
これまで、高速性、画像再現性を要求される複写機やこれをベースとした複合機等では、トナー粒子帯電の安定性、立ち上がり性、画像品質の長期的安定性等の要求から、二成分現像方式が多く採用され、省スペース性、低コスト化等の要求が大きい、小型のプリンタ、ファクシミリ等には、一成分現像方式が多く採用されてきていた。
また、特に昨今、出力画像のカラー化が進み、画像の高画質化や画像品質の安定化に対する要求は、これまでにも増して強くなっている。
高画質化のためには、トナーの平均粒径は小さくなり、またその粒子形状は角張った部分がなくなり、より丸い形状になってきている。
【0004】
これら電子写真方式による画像形成装置は、現像方式の違いによらず、一般的にドラム形状やベルト形状をした像担持体(一般には感光体)を回転させつつ一様に帯電し、レーザー光等により像担持体上に潜像パターンを形成し、これを現像装置により可視像化して、更に転写媒体上に転写を行っている。
また、転写媒体へトナー像を転写した後の像担持体上へは、転写されなかったトナー成分が残存する。これらの残存物が、そのまま帯電工程に搬送されると、像担持体の均等な帯電を阻害することがしばしばあるため、一般的には、転写工程を経た後に、像担持体上に残存するトナー成分等を、クリーニング工程にて除去し、像担持体表面を十分に清浄な状態とした上で、帯電が行われる。
【0005】
このように、像担持体表面は帯電、現像、転写、クリーニング等の各工程で、さまざまな物理的ストレスや電気的ストレスを受け、使用時間を経るに伴って表面状態が変化する。
これらのストレスのうちクリーニング工程での摩擦によるストレスは、像担持体を磨耗させ、また、擦過傷を発生させることが知られている。
この課題を解消すべく、これまでにも像担持体とクリーニング部材間の摩擦力を低減させるために各種潤滑剤や、潤滑成分の供給・膜形成方法について、多くの提案がなされている。
【0006】
例えば、特許文献1では、感光体やクリーニングブレードの寿命を延ばすため、感光体表面にステアリン酸亜鉛を主成分とする固体潤滑剤を供給し、感光体表面に潤滑皮膜を形成することが提案されている。
特許文献2では、炭素数20以上70以下の高級アルコールを主成分とする潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を用いることにより、ブレードニップ部先端に高級アルコールが不定形粒子として滞留し、また、適度な像担持体表面への濡れ性を有することから、潤滑性能の持続性が発現するとしている。
特許文献3では、特定のアルキレンビスアルキル酸アミド化合物の粉体を潤滑性分として使用することにより、クリーニングブレードと像担持体が圧接される界面に粉体微粒子が存在するため、円滑な潤滑作用が長期間にわたって保持できるとしている。
【0007】
また一方で、昨今、画像品質の向上や製造エネルギーの削減のために、重合法を用いたトナーが提供されている。これら重合トナーは、粉砕法で製造されたトナーと比較して、角張った部分が少なく、また平均粒子径が小さく揃っているという、優れた特徴を有している。
しかしながら、これらの特徴は、ゴムブレードクリーニングに代表されるクリーニング部材のエッジ部を像担持体表面に圧接して、像担持体表面のクリーニングを行う方式に対しては、その形状と粒径の影響により、エッジ部分で堰き止められ難くなり、残存トナー成分のクリーニング不良を引き起こしやすい。
【0008】
このようなトナーのクリーニング不良に対応した、クリーニング装置としても、これまでにいくつかの提案がされている。
例えば、特許文献54では、トナーの平均体積径Dと平均円形度Sを用いて、所定の条件を満たす圧接力を設定する画像形成装置が開示されている。
特許文献4によれば、カウンタータイプのブレードクリーニングにて、圧接力fを大きくした場合、クリーニングブレードの鳴きやメクレ等の不具合が生じるため、経験的な値として、上限値を設定する必要があるとされている。
また、例えば、よりトナー平均粒子径が小さく、より球形に近いトナーをクリーニングするために、特許文献5では、トナーと像担持体間の摩擦係数と、トナーとブレード間の摩擦係数、トナーと像担持体の付着力、トナーがブレードから受ける力および、ブレードと像担持体間で形成する角度(クリーニング角度)の関係を規定したクリーニング装置が開示されている。
また、特許文献6のようにアモルファスシリコンを用いた像担持体を用いたものは、そもそものクリーニングブレードと像担持体との摩擦力が小さいために、トナークリーニング性が良く、像担持体の機械強度も高いため、超寿命化がなされている。
【0009】
【特許文献1】特公昭51−22380号公報
【特許文献2】特開2005−274737号公報
【特許文献3】特開2002−97483号公報
【特許文献4】特開2000−330441号公報
【特許文献5】特開2005−99125号公報
【特許文献6】特開平10−049017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述のように、像担持体へのストレスは、クリーニング工程から受けるものばかりではなく、特に帯電工程における電気的ストレスは、像担持体表面の状態を大きく変化させる。
また、この電気的ストレスは、像担持体表面近傍で放電現象を伴う、接触帯電方式や近接帯電方式で顕著である。これらの帯電方式では、像担持体表面で多くの活性種や反応生成物が発生し、また、放電領域の大気中で発生した活性種や反応性生物の像担持体表面への吸着が多く生じる。
【0011】
特許文献1記載のステアリン酸亜鉛を用いた潤滑剤は、像担持体表面を比較的均等に覆い良好な潤滑性及び保護性を与える。そのため、像担持体を帯電させる際に交流電圧を印加する作像プロセスで問題になっている感光体磨耗を防止するためにはステアリン酸亜鉛を使用することで用意に解決できる。
しかしステアリン酸亜鉛を使用した場合帯電部材を汚染するという問題がある。特に帯電ローラを感光体に接触又は近接配置して帯電させる方式の場合、帯電部材の汚染は増大する。帯電部材が汚染された場合濃度ムラ等の異常画像が発生してしまう。
さらにステアリン酸亜鉛はクリーニング性という面で大きな問題がある。通常の作像プロセスでは転写後の残トナーを感光体上から除去する手段としてブレードクリーニング方式が採用されているが、ステアリン酸亜鉛はこのブレードをトナーがすり抜けやすい性質がある。クリーニングブレードをトナーがすり抜けると、そのトナーが直接画像に出たり、帯電部材の汚染をさらに加速してしまう結果となる。このトナーすり抜けは、昨今の小粒経で球形のトナーであるほど顕著に表れる。また、ステアリン酸亜鉛を用いた物はトナーなどのすり抜けが多いため、クリーニングブレードを磨耗させてしまい、作像装置が短寿命になってしまう。
【0012】
特許文献2記載の高級アルコールによる潤滑剤では、像担持体表面に濡れやすく潤滑剤としての効果は期待できるが、像担持体上に吸着した高級アルコール分子、一分子当りの占める吸着占有面積が広くなりがちであり、像担持体の単位面積あたりに吸着する分子の密度(単位面積当りの吸着分子重量)が小さいため、上述の電気的ストレスが保護層を容易に貫いてしまい、像担持体を十分に保護する効果が得られにくい。
特許文献3記載の分子中に窒素原子を含む構成の潤滑剤では、潤滑剤自体が上述の電気的ストレスを受けた場合に、分解生成物として窒素酸化物やアンモニウム含有化合物に類するイオン解離性の化合物を生成し、潤滑層内に取り込まれてしまい、高湿度下で潤滑層が低抵抗となり、画像ボケを発生させることがある。
【0013】
特許文献4や特許文献5記載の重合トナーに代表される球形トナーのクリーニングにおいても、クリーニング機構での像担持体へのストレスを低減しつつ、トナークリーニングを改善するための提案はなされているが、像担持体への電気的ストレスを考慮した長寿命化については、なんら改善されるものではなかった。
特許文献6に記載されているアモルファスシリコンの像担持体を使用したシステムにおいては、クリーニングブレードの磨耗に関して、像担持体と比べてはるかに短い寿命しか達成できていない。しかも像担持体表面に付着した異物により画像ボケが発生する。この対策として感光体表面を研磨する必要がある。
【0014】
本出願人は、特願2006−081126号にて、像担持体保護剤として疎水性及び両親媒性の有機化合物を用いることを提案した。これによると、トナーのクリーニング性が飛躍的に向上しており、近年の小粒経かつ円形度の高いトナーをクリーニングすることが可能である。
さらにクリーニング性が向上したことで帯電部材への汚染が軽減され、帯電部材の長寿命化が可能となった。さらにトナーのすり抜けが無いためにブレード磨耗が少なく、クリーニングブレードの超寿命化も可能となっている。
しかしながら、疎水性及び両親媒性の有機化合物からなる保護剤は、帯電からの保護性が十分でなく、感光体磨耗が激しい。この磨耗速度は特許文献1記載のステアリン酸亜鉛を使用した場合の10倍以上にもなる場合がある。この磨耗速度は、感光体への塗布量を増やすことである程度までは減らすことができるが、完全に無くすことはできない。またこのように供給量を増やした場合感光体に滑剤が固着し、異常画像が発生することがわかっている。
【0015】
本発明は、上記のような現状の問題点に鑑み、充分な像担持体表面の保護効果、クリーニング部材の劣化防止、トナーのすり抜け防止、及び像担持体への異物付着による画像ボケ防止を実現する像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、良好な品質の画像を長期間に亘り安定して得ることができる画像形成装置、該画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、像担持体の表面に像担持体保護剤を塗布または付着させる工程を有する画像形成方法に用いられる像担持体保護剤において、疎水化処理した無機潤滑剤を含むことを特徴とする。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の像担持体保護剤において、前記無機潤滑剤が、二次元層構造体であることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の像担持体保護剤において、前記無機潤滑剤が、タルク、マイカ、窒化ホウ素のうち、少なくとも1種以上を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1つに記載の像担持体保護剤において、前記無機潤滑剤の疎水化処理が、反応性の置換基を有する表面処理剤による疎水化処理であることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項4記載の像担持体保護剤において、前記疎水化処理が、前記無機潤滑剤に対して、1〜10重量%の表面処理剤による疎水化処理であることを特徴とする。
請求項6記載の発明では、像担持体の表面に像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置において、前記像担持体保護剤が、請求項1〜5のいずれか1つに記載の像担持体保護剤であることを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明では、請求項6記載の保護層形成装置において、前記像担持体保護剤を、供給部材を介して前記像担持体の表面へ供給することを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項6又は7記載の保護層形成装置において、前記像担持体の表面へ供給された前記像担持体保護剤を押圧し皮膜化する層形成部材を有することを特徴とする。
請求項9記載の発明では、トナー像を担持する工程を経る像担持体上のトナー像を、転写装置により転写媒体に転写し、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、保護層形成装置により像担持体保護剤を塗布または付着させる画像形成方法において、前記像担持体保護剤が請求項1〜5のいずれか1つに記載の像担持体保護剤であることを特徴とする。
請求項10記載の発明では、請求項9記載の画像形成方法において、前記像担持体保護剤を塗布または付着させたときの前記像担持体の表面の水接触角が80〜120度であることを特徴とする。
【0019】
請求項11記載の発明では、トナー像を担持する工程を経る像担持体と、前記像担時体上のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置とを有する画像形成装置において、前記保護層形成装置が請求項6〜8のいずれか1つに記載の保護層形成装置であることを特徴とする。
請求項12記載の発明では、請求項11記載の画像形成装置において、前記像担持体の移動方向における前記転写装置より下流側かつ前記保護層形成装置より上流側に、前記像担持体の表面に残留したトナーを、該像担持体との摺擦によって該表面から除去するクリーニング装置を備えてなることを特徴とする。
【0020】
請求項13記載の発明では、請求項11又は12記載の画像形成装置において、前記像担持体が、少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする。
請求項14記載の発明では、請求項11〜13のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体が感光体であることを特徴とする。
請求項15記載の発明では、請求項11〜14のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体の表面に接触または近接して配設された帯電装置を備えてなることを特徴とする。
【0021】
請求項16記載の発明では、請求項15記載の画像形成装置において、前記帯電装置に、交流成分を有する電圧を印加する電圧印加装置を備えてなることを特徴とする。
請求項17記載の発明では、請求項11〜16のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体が中間転写媒体であることを特徴とする。
請求項18記載の発明では、請求項11〜17のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記トナーの、(式1)で示される円形度SRが、0.93〜1.00であることを特徴とする。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 (式1)
【0022】
請求項19記載の発明では、請求項11〜18のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記トナーの重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)が1.00〜1.40であることを特徴とする。
請求項20記載の発明では、トナー像を担持する工程を経る像担持体と、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置とを一体に備えるプロセスカートリッジにおいて、前記保護層形成装置が請求項6〜8のいずれか1つに記載の保護層形成装置であることを特徴とする。
請求項21記載の発明では、請求項20記載のプロセスカートリッジにおいて、前記像担持体の移動方向における前記保護層形成装置より上流側に、前記像担持体の表面に残留したトナーを、該像担持体との摺擦によって該表面から除去するクリーニング装置を備えてなることを特徴とする。
【0023】
請求項22記載の発明では、請求項20又は21記載のプロセスカートリッジにおいて、前記像担持体が、少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする。
請求項23記載の発明では、請求項20〜22のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記像担持体の表面に接触または近接して配設された帯電装置を備えてなることを特徴とする。
請求項24記載の発明では、請求項20〜23のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記トナーを収容する容器を備え、前記トナーの、(式1)で示される円形度SRが、0.93〜1.00であることを特徴とする。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 (式1)
請求項25記載の発明では、請求項20〜24のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記トナーの重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)が1.00〜1.40であることを特徴とする。
請求項26記載の発明では、画像形成装置において、請求項20〜25のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、像担持体は極めて長期間、交換することなく使用し続けることができる。特に、像担持体が少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含む場合には、電気的ストレスによる像担持体の劣化を像担持体保護剤で防止することにより、熱硬化性樹脂を含む像担持体の機械的ストレスに対する耐久性を長期間に亘り持続的に発現させることが可能となる。
また、像担持体表面に接触または近接して配設された帯電装置では、放電領域が像担持体のごく近傍に存在するため電気的ストレスが大きくなりがちであるが、像担持体保護層を形成した本発明の画像形成装置であれば、像担持体を電気的ストレスに曝すことなく使用できる。
また、像担持体の表面は形成された保護層の効果により、表面状態の変化を極めて小さくできるため、クリーニングの良否が像担持体の状態変化に対して敏感に変動してしまうような、円形度が大きなトナーや平均粒径が小さなトナーであっても、長期間に亘り安定したクリーニングを行うことができる。
さらに、像担持体表面の水接触角を向上させ、像担持体表面を撥水に保つことができるため、像担持体表面への水分吸収を防止し、画像ボケを抑制することができる。
【0025】
本発明に係る像担持体保護剤を有する保護層形成装置を用いてプロセスカートリッジを構成することにより、プロセスカートリッジの交換間隔を極めて長く設定することが可能となるため、ランニングコストが低減され、また廃棄物量も大幅に削減できる。
特に、像担持体が少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含む場合には、電気的ストレスによる像担持体の劣化を像担持体保護剤で防止することにより、熱硬化性樹脂を含む像担持体の機械的ストレスに対する耐久性を長期間に渉り持続的に発現させることが可能となる。
また、本発明の像担持体保護成分は金属成分を実質的に含んでいないため、接触または近接して配設された帯電部材を、金属酸化物等で汚染することなく、帯電装置の経時変化を小さくできる。
このため、像担持体や帯電部材等のプロセスカートリッジ構成部品の再使用も容易となり、更なる廃棄物量削減も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態に係る像担持体保護剤は、疎水化処理した無機潤滑剤を含むことを特徴としている。疎水化処理した無機潤滑剤は、基材である無機潤滑剤と、その表面を疎水化する表面処理剤からなる。
疎水化処理した無機潤滑剤における無機潤滑剤の例としては、タルク、マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、カオリン、スメクタイト、ハイドロタルサイト化合物、フッ化カルシウム、グラファイト、板状アルミナ、セリサイト、合成マイカなどがあるがこれに限るものではない。
【0027】
疎水化処理した無機潤滑剤における表面処理剤の例としては、有機硅素化合物、例えばメチル水素ポリシロキサン、シランカップリング剤、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フエニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、シリル化剤、例えばクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、トリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、エステルシラン例えばトリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、シラザン例えばヘキサメチルジシラザン、シロキサン例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、α、ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン並びにジメチルポリシロキシシラザン(重合度:n=2〜50)が挙げられるがこれに限るものではない。
【0028】
さらに表面処理剤の例としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
陰イオン系界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸アルキル塩、長鎖脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩等の、疎水性部位の末端に陰イオン(アニオン)を有し、これと、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオン、アルミニウム、亜鉛等の金属イオン、アンモニウムイオン等が結合した化合物が挙げられるがこれに限るものではない。
陽イオン系界面活性剤の例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の、疎水性部位の末端に陽イオン(カチオン)を有し、これと、塩素、フッ素、臭素等や、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオン、炭酸イオン、水酸イオン等が結合した化合物が挙げられるがこれに限るものではない。
【0029】
非イオン系界面活性剤の例としては、長鎖アルキルアルコール、アルキルポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルポリグルコキシド、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の、アルコール化合物、エーテル化合物、アミド化合物等が挙げられる。また、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の長鎖アルキルカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ヘキシトール等の多価アルコールやこれらの部分無水物とのエステル化合物も好ましい形態として挙げられるがこれに限るものではない。
以上のように疎水化処理のために使用する表面処理剤は、無機潤滑剤の固体表面へ均一に固定されることを考慮し、上記のような反応性の置換基を有するものを用いることが肝要である。なお、反応性基は直接結合してもよいし、他の置換基を隔てて間接的に結合させてもよい。
【0030】
以下に図を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。
図1は本実施形態に係る保護層形成装置の構成の概略図である。像担持体としての感光体ドラム1に対向して配設された保護層形成装置2は、疎水化処理した無機潤滑剤を含む像担持体保護剤21、供給部材としての保護剤供給部材22、押圧力付与機構23、層形成部材としての保護層形成機構24等から主に構成される。像担持体保護剤21は直方体のバー状に成形されている。
像担持体保護剤21の処方・配置はあくまで一例であり、これに限るものではない。例えば像担持体保護剤21は疎水化処理した無機潤滑剤を複数混ぜてもよい。
保護層形成機構24は、軸24cを中心に回動可能に設けられたブレード支持体24bと、該ブレード支持体24bに一端部(感光体ドラム側と反対側端部)を支持され、感光体ドラム1の表面にトレーリング方向で当接するブレード24aと、ブレード支持体24bを時計回り方向に付勢してブレード24aを感光体ドラム1の表面に押圧する押圧手段としてのバネ24dを有している。
【0031】
像担持体保護剤21は、押圧力付与機構23からの押圧力により、ブラシ状の保護剤供給部材22へ接する。保護剤供給部材22は感光体ドラム1と線速差をもって回転して摺擦し、この際に、保護剤供給部材表面に保持された像担持体保護剤を、像担持体表面に供給する。
像担持体表面に供給された像担持体保護剤21は、物質種の選択によっては供給時に十分な保護層にならない場合があるため、より均一な保護層を形成するために、ブレード状の部材を持つ保護層形成機構24により薄層化(皮膜化)され像担持体保護層となる。
【0032】
保護層が形成された感光体ドラム1には、例えば、図示しない電圧印加装置により交流成分を有する電圧を印加した帯電装置としての帯電ローラ3を、接触または近接させており、微小空隙での放電による感光体ドラム1の帯電が行われる。
この際、保護層の一部は電気的ストレスにより分解や酸化が生じ、また、保護層表面への気中放電生成物の付着が生じる。
劣化した像担持体保護剤は、通常のクリーニング装置により、像担持体に残存したトナー等の他成分と共に除去される。
クリーニング装置は、上述の保護層形成機構24と兼用にしても良いが、像担持体表面残存物を除去する機能と、保護層を形成する機能とは、適切な部材の摺擦状態が異なることがあるため、機能を分離し、図1に示すように、像担持体保護剤供給部より、感光体ドラム1の回転方向上流側にクリーニング装置4を設けることが好ましい。
クリーニング装置4は、軸41cを中心に回動可能に設けられたブレード支持体41bと、該ブレード支持体41bに一端部(感光体ドラム側と反対側端部)を支持され、感光体ドラム1の表面にカウンター方向で当接するクリーニングブレード41と、クリーニングブレード41を反時計回り方向に付勢するクリーニング押圧機構42を有している。
【0033】
保護層形成機構24に用いるブレード24aの材料は、特に制限されるものではなく、例えばクリーニングブレード用材料として一般に公知の、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体を、単独またはブレンドして使用することができる。
また、これらのゴムブレードは、像担持体との接点部部分を低摩擦係数材料で、コーティングや含浸処理しても良い。また、弾性体の硬度を調整するために、他の有機フィラーや無機フィラーに代表される充填材を分散しても良い。
これらのブレードは、ブレード支持体24bに、先端部が像担持体表面へ押圧当接できるように、接着や融着等の任意の方法によって固定される。ブレード24aの厚みについては、押圧で加える力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、概ね0.5〜5mm程度であれば好ましく使用でき、1〜3mm程度であれば更に好ましく使用できる。
また、ブレード支持体24bから突き出し、たわみを持たせることができるブレード24aの長さ、いわゆる自由長についても同様に押圧で加える、力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、概ね1〜15mm程度であれば好ましく使用でき、2〜10mm程度であれば更に好ましく使用できる。
【0034】
保護層形成用ブレード部材(ブレード24a)の他の構成としては、バネ板等の弾性金属ブレード表面に、必要によりカップリング剤やプライマー成分等を介して、樹脂、ゴム、エラストマー等の層をコーティング、ディッピング等の方法で形成し、必要により熱硬化等を行い、更に必要であれば表面研摩等を施して用いても良い。
弾性金属ブレードの厚みは、0.05〜3mm程度であれば好ましく使用でき、0.1〜1mm程度であればより好ましく使用できる。
また、弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施しても良い。
表面層を形成する材料としては、PFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂や、フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマー等を、必要により充填剤と共に、用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
また、保護層形成機構24で像担持体を押圧する力は、像担持体保護剤が延展し保護層や保護膜の状態になる力で十分であり、線圧として5gf/cm以上80gf/cm以下であることが好ましく、10gf/cm以上60gf/cm以下であることがより好ましい。
また、ブラシ状の部材は保護剤供給部材22として好ましく用いられるが、この場合、像担持体表面への機械的ストレスを抑制するためにはブラシ繊維は可撓性を持つことが好ましい。
【0036】
可撓性のブラシ繊維の具体的な材料としては、一般的に公知の材料から1種〜2種以上を選択して使用することができる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂);などの内、可撓性を持つ樹脂を使用することができる。
また、撓みの程度を調整するために、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合して用いても良い。
【0037】
保護剤供給部材22の支持体には、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の供給部材としては、例えばブラシ繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものがある。ブラシ繊維は繊維径10〜500μm程度、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×10〜4.5×108本)のものが好ましく用いられる。
保護剤供給部材22は、供給の均一性やその安定性の面から、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。
【0038】
また、ブラシ表面には必要に応じてブラシの表面形状や環境安定性などを安定化することなどを目的として、被覆層を設けても良い。被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましく、これらは、可撓性を保持し得る材料であれば、何ら限定される事無く使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);パーフルオロアルキルエーテル,ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂や、これらの複合樹脂等が挙げられる。
【0039】
図2は、保護層形成装置2を用いたプロセスカートリッジの構成例の概略を示す断面図である。
プロセスカートリッジ12には、感光体ドラム1、保護層形成装置2、帯電ローラ3、現像装置5、クリーニング装置4等が一体に収容されている。現像装置5は、現像ローラ51、現像剤を攪拌・搬送しながら循環させる搬送スクリュー52、53、トナーを収容するプリセットケース54等を有している。なお、保護層形成装置2、クリーニング装置4については図1で示した形状と異なる部分があるが、機能は同一であるので同一の符号で示している。
感光体ドラム1は、転写工程後に部分的に劣化した像担持体保護剤やトナー成分等が残存した表面となっているが、クリーニング部材41により表面残存物が清掃され、クリーニングされる。
図2では、クリーニング部材41は、いわゆるカウンタータイプ(リーディングタイプ)に類する角度で当接されている。
【0040】
クリーニング装置4により、表面の残留トナーや劣化した像担持体保護剤がほぼ取り除かれた感光体ドラム1の表面へは、保護剤供給部材22から、像担持体保護剤21が供給され、保護層形成機構24により皮膜状の保護層が形成される。
保護層形成装置2により表面に保護層が形成された感光体ドラム1は、帯電後、レーザーなどの露光Lによって静電潜像が形成される。この潜像は現像装置5によりトナー像として可視像化され、プロセスカートリッジ12外の転写装置としての転写ローラ6などにより、中間転写媒体としての中間転写ベルト105へ転写される。直接転写方式の場合には、転写媒体はシート状記録媒体である。
【0041】
図3は、保護層形成装置2を有する画像形成装置としてのタンデム型中間転写方式のカラー複写機100の一例を示す断面図である。
カラー複写機100は、装置本体101と、装置本体101の上面に設けられたスキャナ102と、該スキャナ102の上部に設けられた原稿自動搬送装置(ADF)103を有している。
装置本体101の下部には、複数の給紙カセット104a、104b、104c、104dを備えた給紙部104が設けられている。
装置本体101の略中央部には、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト105が配置されている。中間転写ベルト105は、複数の支持ローラ106、107、108等に掛け回されて支持されており、図示しない駆動源により図中時計回りに方向に回転駆動される。
支持ローラ108の近傍には、2次転写後に中間転写ベルト105上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置109が設けられている。
支持ローラ106と支持ローラ107間に張り渡された中間転写ベルト105上には、その搬送方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成手段としてのプロセスカートリッジ12Y、12M、12C、12Kが横に並べられて配置され、タンデム画像形成部10が構成されている。但し、これら4つの色順は一例であり、これに限定される趣旨ではない。
【0042】
タンデム画像形成部10の上方には、露光装置8が配置されている。中間転写ベルト105を挟んで支持ローラ108と反対の側には、転写装置としての二次転写ローラ110が配置されている。二次転写ローラ110により中間転写ベルト105上の画像が、給紙部104から給紙されるシート(用紙)に転写される。
二次転写ローラ110の左側には、シート上の転写画像を定着する定着装置111が設けられている。定着装置111は、無端ベルト状の定着ベルト111aに加圧ローラ111bを押し当てる構成を有している。
定着装置111の下方には、上述したタンデム画像形成部10と略平行に、シートの両面に画像を記録する場合にシートを反転するシート反転装置112が備えられている。
【0043】
画像形成のための一連のプロセスについて、ネガ−ポジプロセスで説明を行う。
有機光導電層を有する感光体(OPC)に代表される感光体ドラム1は、除電ランプ(図示せず)等で除電され、帯電装置としての帯電ローラ3で均一にマイナスに帯電される。
帯電装置3による感光体ドラム1の帯電が行われる際には、図示しない電圧印加装置から帯電装置(帯電部材)3に、感光体ドラム1を所望の電位に帯電させるに適した、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した帯電電圧が印加される。
帯電された感光体ドラム1は、レーザー光学系等の露光装置8によって照射されるレーザー光で潜像形成(露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行なわれる。
レーザー光は半導体レーザーから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等により感光体ドラム1の表面を、感光体ドラム1の回転軸方向に走査する。
【0044】
このようにして形成された潜像が、現像装置5にある現像剤担持体である現像スリーブ(現像ローラ51)上に供給されたトナー粒子、またはトナー粒子及びキャリア粒子の混合物からなる現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。
潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像スリーブに、感光体ドラム1の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
各色に対応した感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、図示しない転写装置を構成する転写ローラ6にて中間転写ベルト105上に重ねて転写され、給紙部104から給紙され、あるいは手差しトレイ113から給紙された紙などの転写媒体(シート)上に二次転写ローラ110により重ねトナー像(カラー画像)が一括転写される。
このとき、転写ローラ6には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後、中間転写ベルト105は、感光体ドラム1から分離され、転写像が得られる。
【0045】
感光体ドラム1上に残存するトナー粒子は、クリーニング部材41によって清掃され、クリーニング装置4内のトナー回収室へ、回収される。
画像転写後のシートは、定着装置111へと送り込まれ、ここで熱と圧力を加えられて転写画像を定着された後、排紙ローラ対115により排紙トレイ116上にスタックされる。
あるいは、図示しない切換爪で搬送路を切り換えられてシート反転装置112に入れられ、そこで反転されて再び転写位置へと導かれ、裏面にも画像を記録された後、排紙ローラ対115により排紙トレイ116上に排出される。
画像転写後の中間転写ベルト105は、中間転写体クリーニング装置109により残留トナーを除去され、タンデム画像形成部10による再度の画像形成に備える。
【0046】
画像形成装置としては、上述のように、現像装置が複数配置されたものを用い、複数の現像装置によって順次作製された色が異なる複数トナー像を順次一旦中間転写媒体上に順次転写した後、これを一括して紙のような転写媒体に転写した後に定着する、「タンデム型中間転写方式」のものに限定される趣旨ではなく、同様に作製された複数のトナー像を順次転写媒体上に重ねて転写した後定着する「タンデム型直接転写方式」等であってもよい。
【0047】
また、上述の帯電装置は、像担持体表面に接触または近接して配設された帯電装置であることが好ましく、これにより、放電ワイヤを用いた、いわゆるコロトロンやスコロトロンと言われるコロナ放電器と比して、帯電時に発生するオゾン量を大幅に抑制することが可能となる。
しかしながら、帯電部材を像担持体表面に接触または近接して帯電を行う帯電装置では、前述のように放電が像担持体表面近傍の領域で行われるため、像担持体への電気的ストレスが大きくなりがちである。本発明の像担持体保護剤を用いた保護層形成装置を用いることにより、長期間に亘り像担持体を劣化させることなく維持できるため、経時的な画像の変動や使用環境による画像の変動を大幅に抑制でき、安定した画像品質の確保が可能となる。
【0048】
次に、本実施形態において好適に用いられる感光体について説明する。
本実施形態の画像形成装置に用いる感光体は、導電性支持体の上に感光層が設けられている。感光層の構成は電荷発生材と電荷輸送材を混在させた単層型、あるいは電荷発生層の上に電荷輸送層を設けた順層型、あるいは電荷輸送層の上に電荷発生層を設けた逆層型がある。
また、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため、感光層の上に保護層を設けることもできる。感光層と導電性支持体の間には下引き層が設けられていてもよい。また各層には必要により可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。
【0049】
表面層は前述のように、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため設けられる。表面層としては、感光層よりも機械的強度の高い高分子、高分子に無機フィラーを分散させたものが例示できる。表面層に用いる高分子は、熱可塑性高分子、熱硬化性高分子、何れの高分子であっても良いが、熱硬化性高分子は機械的強度が高く、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を抑える能力が極めて高いためたいへん好ましい。表面層は薄い膜厚であれば、電荷輸送能力を有していなくても支障はないが、電荷輸送能力を有しない表面層を厚く形成すると、感光体の感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇を引き起こしやすいため、表面層中に前述の電荷輸送物質を含有させたり、保護層に用いる高分子を電荷輸送能力を有するものを用いることが好ましい。
【0050】
感光層と表面層との機械的強度は一般に大きく異なるため、クリーニングブレードとの摩擦により保護層が磨耗し、消失すると、すぐに感光層は磨耗していってしまうため、表面層を設ける場合には、表面層は十分な膜厚とすることが重要であり、0.01〜12μm、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜8μmとすることが好ましい。
表面層の膜厚が0.1μm以下では、薄すぎてクリーニングブレードとの摩擦により部分的に消失しやすくなり、消失した部分から感光層の磨耗が進んでしまうため好ましくない。表面層の膜厚が12μm以上では、感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇が生じやすく、特に電荷輸送能力を有する高分子を用いる場合には、電荷輸送能力を有する高分子のコストが高くなってしまうため好ましくない。
【0051】
表面層に用いる高分子としては、画像形成時の書き込み光に対して透明で、絶縁性、機械的強度、接着性に優れた物が望ましく、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
これらの高分子は熱可塑性高分子であっても良いが、高分子の機械的強度を高めるため、多官能のアクリロイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等を持つ架橋剤により架橋し、熱硬化性高分子とすることで、表面層の機械的強度は増大し、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を大幅に減少させることができる。
【0052】
本実施形態の像担持体は、感光体上に形成されたトナー像を一次転写して色重ねを行い、更に転写媒体へ転写を行う、いわゆる中間転写方式による画像形成を行う際に使用する、中間転写媒体(中間転写ベルト105)であってもよい。
中間転写媒体としては、体積抵抗10^5〜10^11Ω・cm の導電性を示すものが好ましい。表面抵抗が10^5Ω/□を下回る場合には、感光体から中間転写媒体上へトナー像の転写が行われる際に、放電を伴いトナー像が乱れるいわゆる転写チリが生じることがあり、10^11Ω/□を上回る場合には、中間転写媒体から紙などの転写媒体へトナー像を転写した後に、中間転写媒体上へトナー像の対抗電荷が残留し、次の画像上に残像として現れることがある。
【0053】
中間転写媒体としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物やカーボンブラック等の導電性粒子や導電性高分子を、単独または併用して熱可塑性樹脂と共に混練後、押し出し成型したベルト状もしくは円筒状のプラスチックなどを使用することができる。この他に、熱架橋反応性のモノマーやオリゴマーを含む樹脂液に、必要により上述の導電性粒子や導電性高分子を加え、加熱しつつ遠心成型を行い、無端ベルト上の中間転写媒体を得ることもできる。
中間転写媒体に表面層を設ける際には、上述の感光体表面層に使用した表面層材料の内、電荷輸送材料を除く組成物に、適宜、導電性物質を併用して抵抗調整を行い、使用することができる。
【0054】
次に、本実施形態において好適に用いられるトナーについて説明する。
まず、本発明のトナーは、平均円形度が0.93〜1.00であることが好ましい。本発明では、下記式(1)より得られた値を円形度と定義する。この円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 (式1)
平均円形度が0.93〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体との接触面積が小さいために転写性に優れる。
【0055】
トナー粒子に角がないため、現像装置内での現像剤の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像が発生しない。
ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないため、転写で転写媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。
トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、像担持体の表面を傷つけたり、磨耗させたりしない。
【0056】
次に、円形度の測定方法について説明する。
円形度は、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。
具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜10000個/μlとして前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
【0057】
また本発明では、トナーの重量平均径D4が3〜10μmであることが好ましい。
この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。
重量平均径D4が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。
重量平均径D4が10μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
【0058】
また本発明のトナーは、重量平均径D4と個数平均径D1の比(D4/D1)が1.00〜1.40であることが好ましい。(D4/D1)の値が1に近づくほど、そのトナーの粒度分布がシャープであることを意味する。
よって、(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲では、トナー粒径による選択現像が起きないため、画質の安定性に優れる。
トナーの粒度分布がシャープであることから、摩擦帯電量分布もシャープとなり、カブリの発生が抑えられる。
トナー粒径が揃っていると、潜像ドットに対して、緻密にかつ整然と並ぶように現像されるので、ドット再現性に優れる。
【0059】
[実施例]
表1に、疎水化処理した無機潤滑剤を塗布した場合の実施例を示す。
リコー製 imagio MP C3000の作像部(図2)において、クリーニング部材下流に図1の保護層形成装置2に相当する滑剤塗布機構を設置し、疎水化処理した無機潤滑剤を塗布した。
表1において、◎、○、△、×の印の意味は以下の通りである。
[トナーすり抜け]
◎:トナーすり抜けが発生しておらず非常に良好である
○:ごく少量のすり抜けの発生がみられた
△:トナーすり抜けが発生しているが許容できる範囲である
×:多くのトナーすり抜けが発生している
[ブレード摩耗]
◎:全く摩耗していない
○:殆ど摩耗していない
△:許容できる摩耗である
×:大きく摩耗している
[感光体摩耗]
◎:全く摩耗していない
○:殆ど摩耗していない
△:許容できる摩耗である
×:大きく摩耗している
[画像ボケ]
◎:画像ボケが発生しておらず非常に良好である
○:ごく一部に発生がみられたが,画像全体に影響しない
△:一部発生しているが,画像として許容できる範囲である
×:はっきりとした画像ボケが発生している
【0060】
【表1】

【0061】
本実施例では、疎水化処理した無機潤滑剤21として、表面処理剤にフッ素系シランを用いた合成マイカ、タルク、セリサイト、シリカの4種と、ミリスチン酸アルミを処理した窒化ホウ素を使用した。シリカは平均粒径1μmの粉体を使用し、二次元層構造体とは異なる無機潤滑剤である。表面処理量をそれぞれ0重量%・0.01重量%・0.1重量%・1重量%・5重量%・10重量%・20重量%として、表面処理量を変化させた。
上記の疎水化処理した無機潤滑剤において、それぞれA4版、画像面積率6%原稿10万枚の連続通紙試験を行い、トナーすり抜け評価を行った。その後、感光体摩耗状態と得られた出力画像を目視で評価した。
トナーすり抜けの評価はクリーニング部材の直後の感光体上に、1cm×300cmの白色のフエルト部材を取り付け、ブレードをすり抜けるトナーを採取し、スキャナで取り込み、その画像を2値化することでトナーすり抜け量を測定する。
また、このときブレードの磨耗量を測定する。スキャナはEPSON社製 Officio ES 10000Gを使用した。
次に、連続通紙試験を行った感光体ドラム表面の水接触角を測定する。装置は、協和界面科学製 DropMaster700 固液界面解析システムを用いた。室温25℃ 湿度60%の環境下で、水滴量0.1μlの液滴法(θ/2法)により各条件で5点の計測を行い、その平均を測定値とした。
【0062】
実施例1〜7に示すように、像担持体表面に疎水化処理した無機潤滑剤を塗布又は付着させることで、ブレードとの摩擦力が大きく下がり、トナーすり抜けが減り、ブレード磨耗、像担持体表面の磨耗を抑えることができる。
しかし、実施例1〜3に示すように、疎水化処理を施していない像担持体保護剤、及び表面処理量(率)が0.1%重量以下の像担持体保護剤は、像担持体表面の水接触角計が80度未満を示す。像担持体表面の水接触角が低いほど、撥水効果がなく水分を吸収してしまうため、とりわけ、像担持体表面の水接触角が80度未満の場合、画像ボケが発生してしまう。
【0063】
また、実施例7に示すように、無機潤滑剤の疎水化処理するための、表面処理剤の添加量が20重量%のときは、潤滑性が低下し、トナーすり抜け、ブレード摩耗が発生する。
実施例1〜14に示すように、二次元層構造体の無機潤滑剤は像担持体とブレードとの摩擦力が非常に低いため、トナークリーニング及びクリーニングブレード保護が容易にできる。一方、実施例15に示すように、二次元層構造体を有さない無機潤滑剤は、摩擦力が高いため、トナーすり抜け、ブレード摩耗が発生してしまう。
特に実施例1〜13に示すように、合成マイカ、窒化ホウ素、タルクは、トナークリーニング及びクリーニングブレード保護、感光体保護が容易にできる。
【0064】
ここで二次元層構造体とは、金属結合または共有結合又はイオン結合によって結合している層状構造を持ち、その層間はファン−デル−ワールス力でのみ結合している物質を指す。
次に、ブレードとの摩擦力が非常に低い二次元層構造体である無機潤滑剤に対して、反応性の置換基を有する表面処理剤を化学的に吸着又は付着させ、疎水化を行ったものについて説明する。
実施例1〜7に示すように、表面処理剤の添加量を増加させることで水接触角を高くすることができる。特に、表面処理量を1〜20重量%にすることで、水接触角を80〜120度にすることができる。このため、像担持体表面を撥水に保ち、像担持体表面の水分の吸収を防ぎ、画像ボケを発生することはない。
一方、実施例7に示すように、表面処理量が20%重量を超えたとき、表面処理剤の添加量が多すぎて潤滑性が低下したため、トナーすり抜け、ブレード摩耗が発生する。表面処理量を1〜10重量%にすることで、トナーすり抜け、ブレード摩耗を発生させることなく、像担持体表面を撥水に保ち画像ボケを抑制することができる。
【0065】
本発明の像担持体保護剤は、像担持体表面に付着し膜化することにより保護効果を発現するものであるため、比較的塑性変形しやすいものである。従って、塊状の像担持体保護剤成分を直接像担持体表面へ押し付け保護層を形成させようとした場合、供給が過剰になり保護層形成効率が良くないばかりでなく、保護層が多層化し静電潜像を形成する際等の露光工程で光の透過を阻害する要因となることがあるため、使用できる像担持体保護剤の種類が制限されることとなる。
これに対して保護層形成装置2を上記のように構成し、像担持体保護剤21と像担持体の間に供給部材22を介させることにより、軟質な像担持体保護剤を用いた場合にでも、像担持体表面へ均等に供給することができる。
また、前記保護層形成装置2に像担持体保護剤21を押圧し皮膜化する層形成部材24を設ける場合、層形成部材24はクリーニング部材を兼ねても良いが、より確実に保護層を形成するには、予めクリーニング部材にて像担持体上のトナーを主成分とする残存物を除去し、残存物が保護層内に混入しないようにした方が好ましい。
【0066】
像担持体保護剤21を有する保護層形成装置2を用いた画像形成方法により、ブレードとの摩擦力が大きく下がり、トナーすり抜けが減り、ブレード磨耗も抑えることができる。さらに、無機潤滑剤を表面処理剤により疎水化したため、像担持体表面を撥水性に保ち、像担持体表面に水分を吸収することはない。
実施例1〜3に示すように、像担持体表面の水接触角が80度未満のとき、撥水効果がなく水分を吸収してしまうため、画像ボケを発生する。
一方、実施例4〜7に示すように、像担持体表面の水接触角が80〜120度の場合、像担持体表面の撥水性が向上するため、水分の吸収を防ぎ、画像ボケを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係る保護層形成装置の概要構成図である。
【図2】図1の保護層形成装置を有するプロセスカートリッジの概要断面図である。
【図3】図2のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置としてのカラー複写機の概要断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 像担持体としての感光体ドラム
2 保護層形成装置
3 帯電装置としての帯電ローラ
4 クリーニング装置
6 転写装置としての転写ローラ
12 プロセスカートリッジ
21 像担持体保護剤
22 供給部材としての保護剤供給部材
24 層形成部材としての保護層形成機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面に像担持体保護剤を塗布または付着させる工程を有する画像形成方法に用いられる像担持体保護剤において、
疎水化処理した無機潤滑剤を含むことを特徴とする像担持体保護剤。
【請求項2】
請求項1記載の像担持体保護剤において、
前記無機潤滑剤が、二次元層構造体であることを特徴とする像担持体保護剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載の像担持体保護剤において、
前記無機潤滑剤が、タルク、マイカ、窒化ホウ素のうち、少なくとも1種以上を含むことを特徴とする像担持体保護剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の像担持体保護剤において、
前記無機潤滑剤の疎水化処理が、反応性の置換基を有する表面処理剤による疎水化処理であることを特徴とする像担持体保護剤。
【請求項5】
請求項4記載の像担持体保護剤において、
前記疎水化処理が、前記無機潤滑剤に対して、1〜10重量%の表面処理剤による疎水化処理であることを特徴とする像担持体保護剤。
【請求項6】
像担持体の表面に像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置において、
前記像担持体保護剤が、請求項1〜5のいずれか1つに記載の像担持体保護剤であることを特徴とする保護層形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の保護層形成装置において、
前記像担持体保護剤を、供給部材を介して前記像担持体の表面へ供給することを特徴とする保護層形成装置。
【請求項8】
請求項6又は7記載の保護層形成装置において、
前記像担持体の表面へ供給された前記像担持体保護剤を押圧し皮膜化する層形成部材を有することを特徴とする保護層形成装置。
【請求項9】
トナー像を担持する工程を経る像担持体上のトナー像を、転写装置により転写媒体に転写し、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、保護層形成装置により像担持体保護剤を塗布または付着させる画像形成方法において、
前記像担持体保護剤が請求項1〜5のいずれか1つに記載の像担持体保護剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
請求項9記載の画像形成方法において、
前記像担持体保護剤を塗布または付着させたときの前記像担持体の表面の水接触角が80〜120度であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
トナー像を担持する工程を経る像担持体と、前記像担時体上のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置とを有する画像形成装置において、
前記保護層形成装置が請求項6〜8のいずれか1つに記載の保護層形成装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像形成装置において、
前記像担持体の移動方向における前記転写装置より下流側かつ前記保護層形成装置より上流側に、前記像担持体の表面に残留したトナーを、該像担持体との摺擦によって該表面から除去するクリーニング装置を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項11又は12記載の画像形成装置において、
前記像担持体が、少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体が感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体の表面に接触または近接して配設された帯電装置を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項15記載の画像形成装置において、
前記帯電装置に、交流成分を有する電圧を印加する電圧印加装置を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項11〜16のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体が中間転写媒体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項11〜17のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記トナーの、(式1)で示される円形度SRが、0.93〜1.00であることを特徴とする画像形成装置。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 (式1)
【請求項19】
請求項11〜18のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記トナーの重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)が1.00〜1.40であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
トナー像を担持する工程を経る像担持体と、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置とを一体に備えるプロセスカートリッジにおいて、
前記保護層形成装置が請求項6〜8のいずれか1つに記載の保護層形成装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項21】
請求項20記載のプロセスカートリッジにおいて、
前記像担持体の移動方向における前記保護層形成装置より上流側に、前記像担持体の表面に残留したトナーを、該像担持体との摺擦によって該表面から除去するクリーニング装置を備えてなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項22】
請求項20又は21記載のプロセスカートリッジにおいて、
前記像担持体が、少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含むことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項23】
請求項20〜22のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジにおいて、
前記像担持体の表面に接触または近接して配設された帯電装置を備えてなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項24】
請求項20〜23のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジにおいて、
前記トナーを収容する容器を備え、前記トナーの、(式1)で示される円形度SRが、0.93〜1.00であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 (式1)
【請求項25】
請求項20〜24のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジにおいて、
前記トナーの重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)が1.00〜1.40であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項26】
請求項20〜25のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−304707(P2008−304707A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151801(P2007−151801)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】