説明

充電機能を備えた機械式駐車装置及びその制御方法

【課題】 給電部と受電部との係合確認が確実に行える充電機能を備えた機械式駐車装置を提供すること。
【解決手段】 搭載した電気自動車EVに充電する電気を受電するトロリ線31を有する充電パレット20と、この充電パレット20の格納位置で前記トロリ線31に駐車棚11側から給電する集電子32とを備え、前記充電パレット20の格納位置への格納時に前記トロリ線31が前記集電子32と電気的係合が完了したことで集電子32からトロリ線31に供給される電気で信号を発生する発光部71と、この発光部71の信号を前記駐車棚11側において非接触で受信する受光部72とを有する非接触式係合確認手段70を備えさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に対する充電機能を備えた機械式駐車装置と、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車両を駐車させるための機械式駐車装置がマンション、ビジネス街、及びショッピング街等に設置され、スペースの有効利用が図られている。この機械式駐車装置としては、箱型循環式、水平循環式、平面往復式、縦横移動パズル式、エレベータ式、垂直循環式、多段式、及び平面駐車移動式等、種々の形式の駐車装置が設置条件等に応じて採用されている。
【0003】
一方、近年、電気自動車(この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「電気自動車」は、「電気自動車」、「電動機と内燃機関とを組合わせたハイブリッド車」等の充電を必要とする車両をいう)が普及している。このような電気自動車は、従来の燃料の代わりに電気をバッテリに充電する必要がある。そのため、上記したような駐車装置に格納している時間を利用して充電する充電機能を備えた駐車装置が発明されている。
【0004】
例えば、電気自動車に充電できるようにした駐車装置として、垂直循環式駐車装置のケージ循環用無端チェーンに沿って電源トロリー線を無端状に配設し、電気自動車を搭載して循環させるケージに、自動車のバッテリ側に接続するコンセントを有する充電器とコレクターとを具備させて、上記電源トロリー線から給電するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、他の先行技術として、トレイに受電側接点を具備させるとともに格納スペースに給電側接点を具備させ、トレイの収納時の移動によってトレイの受電側接点が格納スペースの給電側接点に接触して通電されるようにしたコネクタ方式の充電装置を備えた機械式駐車装置もある(例えば、特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2908945号公報
【特許文献2】特許第2908939号公報
【特許文献3】特開平10−30354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載のトロリ給電方式及び特許文献2,3に記載のコネクタ給電方式の何れにしても、充電機能を備えた機械式駐車装置は、充電電源に連なる給電部を駐車装置躯体側に設け、電気自動車搭載用の充電パレット側に受電部を設けている。
【0008】
しかしながら、上記充電パレットは、循環移動したり、格納棚に移載格納したりするため、パレット自体に検出用電源を設置することはなく、充電パレットが格納棚等の所定位置に停止して充電可能な状態にあるか否かは、躯体側に設けたリミットスイッチ等により充電パレットの所定位置停止を検知することで給・受電部係合と判断するような間接的な「係合確認」手段によらざるを得なかった。
【0009】
そのため、このような間接的な係合確認では、給・受電部の係合が不完全の場合、充電を行っても実際には充電されず、電気自動車の出庫の段階に至って初めて充電されていないことを知ることになる。しかし、不完全な係合によって充電されていないことを出庫時に気付いたとしても、その後の走行ができない場合や、再充電の時間が無い場合もあり、その後の電気自動車の運用に大きな支障を来すおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、給電部と受電部との係合確認が確実に行える充電機能を備えた機械式駐車装置と、その制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の充電機能を備えた機械式駐車装置は、搭載した電気自動車に充電する電気を受電する受電部を有する充電パレットと、該充電パレットの格納位置で前記受電部に躯体側から給電する給電部とを備えた機械式駐車装置であって、前記充電パレットの格納位置への格納時に前記受電部が前記給電部と電気的係合が完了したことで該給電部から受電部に供給される電気で信号を発生する信号発生部と、該信号発生部の信号を前記躯体側において非接触で受信する信号受信部とを有する非接触式係合確認手段を備えている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「躯体」は、格納棚等の駐車装置本体における固定側構成をいう。また、「係合確認」は、給電部と受電部とが電気的に接続されたか否かの係合確認をいう。これにより、充電パレットが所定の格納位置に格納された状態で、躯体側の給電部と充電パレット側の受電部とが電気的に係合しているか否かを非接触で確実に検出することができ、電気自動車の格納時における接続確認を確実に行って安定した充電を行うことができる。
【0012】
また、前記信号発生部と信号受信部とは、前記受電部と給電部との係合位置に近接した位置で対向するように配置されていてもよい。このようにすれば、正確に位置決めされて係合される受電部と給電部と係合させれば、近接した位置で信号発生部と信号受信部とを正確に対向させることができる。
【0013】
さらに、前記非接触式係合確認手段は、前記信号発生部を前記充電パレット側に設けた発光部とし、前記信号受信部を前記躯体側に設けた受光部とした光式で構成されていてもよい。このようにすれば、光式の非接触式係合確認手段によって給電部と受電部との電気的係合状態を検出することができる。
【0014】
また、前記非接触式係合確認手段は、前記信号発生部を前記充電パレット側に設けた磁力線発生部とし、前記信号受信部を前記躯体側に設けた磁力線検出部とした磁気式で構成されていてもよい。このようにすれば、磁気式の非接触式係合確認手段によって給電部と受電部との電気的係合状態を検出することができる。
【0015】
さらに、前記非接触式係合確認手段は、前記信号発生部を前記充電パレット側に設けた音波発生部とし、前記信号受信部を前記躯体側に設けた集音部とした音波式で構成されていてもよい。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「音波式」は、「音波」「超音波」を含む。このようにすれば、音波・超音波式の非接触式係合確認手段によって給電部と受電部との電気的係合状態を検出することができる。
【0016】
また、前記非接触式係合確認手段は、前記信号発生部を前記充電パレット側に設けた電波送信部とし、前記信号受信部を前記躯体側に設けた電波受信部とした電波式で構成されていてもよい。このようにすれば、電波式の非接触式係合確認手段によって給電部と受電部との電気的係合状態を検出することができる。
【0017】
一方、本発明の充電機能を備えた機械式駐車装置の制御方法は、上記いずれかに記載の充電機能を備えた機械式駐車装置における制御方法であって、前記充電パレットの格納位置への移載完了を検出し、該充電パレットの格納位置における前記信号発生部からの信号を前記信号受信部において非接触で受信し、該信号受信部で前記信号発生部からの信号を検出することで前記給電部が前記受電部に電気的係合していることを確認するように構成している。これにより、充電パレットが所定の格納位置に移載された状態で給電部と受電部との電気的係合を非接触で検出することができるので、電気自動車に対する充電が確実に行われていることを検出することができる。
【0018】
また、前記信号受信部で前記信号発生部からの信号を検出できない場合に、前記充電パレットの格納位置への移載動作以降を繰り返して行うようにしてもよい。このようにすれば、電気自動車搭載に伴う偏荷重等による停止位置ずれに起因する給電部と受電部との係合不良等を解消することができる。
【0019】
さらに、前記信号受信部による前記信号発生部からの信号検出を、充電の必要がない充電パレットにおいても行うようにしてもよい。このようにすれば、全ての充電パレットの受電部と躯体側の給電部とにおける電気的係合状態を監視することで、物理的な係合不良を未充電の状態でも確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、躯体側の給電部と充電パレット側の受電部との係合確認を非接触手段で確実に行うことができ、機械式駐車装置における充電管理を確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を採用したエレベータ式駐車装置の全体概略正面図である。
【図2】(a) は、図1に示す給電部と受電部における集電子・トロリ線の配置構成図であり、(b) は(a) の変形例を示す配置構成図である。
【図3】給電部と受電部の変形例を示す図面であり、プラグ・コンセントの配置構成図である。
【図4】図1に示すエレベータ式駐車装置における主要部構成を含む制御ブロック図である。
【図5】(a) は、図4に示す非接触式係合確認手段の変形例を示す平面視の概略図であり、(b) は、同非接触式係合確認手段の第2実施形態を示す平面視の概略図である。
【図6】(a) は、本発明における非接触式係合確認手段の第3実施形態を示す平面視の概略図であり、(b) は、同非接触式係合確認手段の第4実施形態を示す平面視の概略図である。
【図7】給電部と受電部との係合確認を行う第1例のフローチャートである。
【図8】給電部と受電部との係合確認を行う第2例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基いて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車装置の一例として、一般自動車V(非電気自動車、ガソリン車等)を搭載する標準パレット90と、電気自動車EVを搭載する充電パレット20とを混載した、下部90°乗入れ方式のエレベータ式駐車装置1を例に説明する。
【0023】
図1に示すように、エレベータ式駐車装置1は、鉄骨構造体の外面に外装板が設けられた駐車塔2を有し、この駐車塔2の地上1階が乗入れ部3となっている。この乗入れ部3の乗入れ床4には、ピット5が形成されている。また、乗入れ部3の前部(この例では左方部)には入出庫口6が設けられ、この入出庫口6には、開閉式の入出庫口扉7が設けられている。また、入出庫口6の外部側方には、運転操作盤8が配設されている。
【0024】
このようなエレベータ式駐車装置1は、駐車塔2の中央部の鉛直方向に昇降路10が形成され、この昇降路10を挟んで図の左右両側の鉛直方向に複数段の格納棚11(駐車格納部)が設けられている。これらの格納棚11は、鉛直方向に設けられた棚柱9に設けられている。
【0025】
また、この実施の形態のエレベータ式駐車装置1では、上層5階が標準パレット90の格納棚11となっており、下層3階が充電パレット20の格納棚11となっている。この充電パレット20は、標準パレット90と同一の形態である。なお、この例では、標準パレット90と充電パレット20とを混載しているが、全て充電パレット20で構成してもよい。
【0026】
一方、上記昇降路10には、パレット20,90を搬送するエレベータ搬器12が設けられている。このエレベータ搬器12は、駐車塔2の上部に設けられた昇降駆動部13で巻かれる昇降用ワイヤロープ14によって昇降路10を昇降させられる。ワイヤロープ14の反エレベータ側には、巻上げ力を軽減するカウンタウエイト15が設けられている。
【0027】
また、エレベータ搬器12には、パレット20,90を持上げて旋回させる機能と、パレット20,90を上記格納棚11の棚レール16との間で移載させる機能とを有するパレット持上・旋回・移載装置17が備えられている。各パレット20,90は、このパレット持上・旋回・移載装置17により、各格納棚11とエレベータ搬器12との間を車輪21,91で移載されるとともに、乗入れ部3で持上げられて旋回させられる。このパレット持上・旋回・移載装置17は、公知の手段が採用される。
【0028】
さらに、この実施の形態の駐車装置1には、トロリ接続方式の給電手段30が備えられている。この給電手段30は、上記充電パレット20側に短尺のトロリ線31(受電部)が設けられ、この充電パレット20を格納する各格納棚11の所定位置に集電子32(給電部)が設置されている。上記トロリ線31は、充電パレット20の側面において上記集電子32と対向する所定位置に設けられており、充電パレット20の格納移載方向Mにおいて整合した位置に設置されている。このトロリ線31は、充電パレット20を格納棚11に格納することで、電源側の集電子32と接続されるようになっている。
【0029】
そして、上記充電パレット20のトロリ線31に近接した位置に、この実施形態では、後述する非接触式係合確認手段70の充電パレット側における構成である発光部71(信号発生部)が設けられている。なお、上記各集電子32は、給電配線38(図4)を介して乗入れ部3に設けられた主制御装置50に内蔵されている充電制御装置51の充電電源装置52に接続されている。
【0030】
図2(a) に示すように、上記給電手段30の集電子32は、格納棚11(躯体側)に設けられた支持ブラケット33に基端が軸支された揺動アーム34の先端に設けられており、充電パレット20に設けられたトロリ線31が格納移載方向Mに移動することでこれらが相対的に対向する方向に接離移動するようになっている。この集電子32は、揺動アーム34の集電子側先端部と支持ブラケット33との間に設けられた引張りばね35によって充電パレット20の方向に付勢されており、支持ブラケット33に設けた揺動規制ストッパ36に揺動アーム34が当接した状態(二点鎖線)が待機状態となる。このような給電手段30によれば、充電パレット20が格納移載方向Mに移載されて格納されることでトロリ線31が対向する集電子32に接触した後、上記引張りばね35に抗して集電子32を押圧した状態で接続完了(移載完了)となる。これにより、集電子32の集電子組立体37に接続された給電配線38から、トロリ線31に接続された中継配線39に給電可能となる。
【0031】
図2(b) は、上記集電子32とトロリ線31との接触方向を異ならせた例である。この例では、充電パレット20側のトロリ線31と格納棚11側の集電子32とが、相対的に平行移動して摺接することで接離移動する構成となっている。この例の場合、充電パレット20が格納移載方向Mに格納されることでトロリ線31が長手方向端部から集電子32に摺接し、このトロリ線31が集電子32の長手方向の全長で接して上記引張りばね35に抗して集電子32を押圧した状態で接続完了(移載完了)となる。これにより、集電子32の集電子組立体37に接続された給電配線38から、トロリ線31に接続された中継配線39に給電される。
【0032】
なお、これらの例では、集電子32とトロリ線31との間で押圧接触が図れるように集電子32をトロリ線31に向けて弾発付勢する構成としているが、集電子32とトロリ線31との間で押圧接触が図れるものであればどのような構造であってもよく、例えば、集電子32とトロリ線31の何れか一方又は両方を弾発付勢するようにしてもよい。また、格納棚11側の集電子32をアクチュエータによって揺動させてトロリ線31に押圧接触させる揺動式としてもよい。この場合、充電パレット20が格納棚11の所定位置に移載停止してからアクチュエータの作動により集電子32をトロリ線31に向けて円弧状に揺動させ両者の接触係合を図るようにすればよい。また、この実施形態とは異なり、格納棚11側(充電電源側)に給電用のトロリ線31を設け、充電パレット20側に集電子32を配置する構成としてもよい。
【0033】
図3は、上記給電手段30の他の例であるプラグ・コンセント方式を示している。この給電手段30は、格納棚11側(躯体側)に複数のプラグ40と位置決め突起41とが設けられたプラグ組立体42(給電部)を設け、充電パレット20側に複数のコンセント43と位置決め穴44とが設けられたコンセント支持板45(受電部)が板ばね46で支持板47に支持された状態で設けられている。このような構成によれば、充電パレット20を格納移載方向に格納することにより、コンセント支持板45の位置決め穴44にプラグ組立体42の位置決め突起41が挿入されてコンセント43が位置決めされた状態でプラグ40に接続される。この時、コンセント支持板45は、板ばね46によって位置決め突起41に沿うように変位するとともに、コンセント43がプラグ40に向けて押圧されて接続状態が保たれる。なお、これらの給電手段30は一例であり、他の構成によって格納棚11(躯体)から充電パレット20に給電するように構成してもよい。
【0034】
図4に示すように、上記エレベータ式駐車装置1の制御ブロックとしては、パレット番号/格納棚番号/利用者ID/充電要求有無等を一体的に記憶するRAM、ROM、CPU等を備え、各部を制御する信号を発する主制御装置50と、エレベータの昇降駆動部、パレットの持上げ・旋回・移載駆動部、入出庫口扉の開閉駆動部等を備えた駆動部53と、乗入れ部の車両・人検知手段、入出庫口の車両・人検知手段等を備えた検知部54と、充電電源装置52の制御と非接触式係合確認手段70の情報に基いて後述する「係合不良警報」等を発報する充電制御装置51と、上記運転操作盤8とが、I/O装置55(入出力装置)を介して接続され、各部の間で信号の送受信が行われるようになっている。
【0035】
上記運転操作盤8には、最上部に表示部56が設けられ、その下方に、「スタート」、「安全確認」、「終了扉閉」、「空呼」、「暗証」、「取消」、「充電要求」の各釦が配置された釦部57が設けられている。この釦部57の側方には、「入口番号」と「呼番号」の表示部58、入出庫を行うパレット番号や暗証番号の入力等に使用されるテンキー59、「非常停止」釦60が設けられ、最下部には、「制御電源」、「運転モード」の各選択スイッチが配設されている。
【0036】
一方、上記充電制御装置51は、RAM、ROM、CPU等と、非接触式係合確認手段70による検出部61が備えられている。この図では、最下部の光検出器62が非接触式係合確認手段70による係合確認を行っている状態を示している。
【0037】
また、上記充電電源装置52には、各格納棚11毎に開閉器63、電力量メータ64、及びブレーカ65が設けられており、外部電源66から電力供給されている。この図では、エレベータ搬器12から格納棚11(格納部)に移載された充電パレット20のトロリ線31(受電部)に接続された集電子32(給電部)が、充電電源装置52の最下部の開閉器63に給電配線38で接続されている。この例は単相3線式である。さらに、充電パレット20のトロリ線31は、中継スタンド22(中継部)と中継配線39で接続されている。中継配線39は、L1相、L2相、接地極となっている。
【0038】
そして、この中継配線39のL1相とL2相とからの分岐配線73が、非接触式係合確認手段70の充電パレット20側構成として所定位置に設置された発光部71(信号発生部)に接続されている。また、格納棚11側には、上記発光部71と対向するように受光部72(信号受信部)が設けられている。この受光部72は上記充電制御装置51に設けられた検出部61に配線74で接続されている。上記発光部71としては、光電管投光器、その他の発光体(例えば、レーザダイオード、LED、電球等)が用いられ、上記受光部72としては、光電管受光器、その他の受光体(例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ、CCD素子等)が用いられる。これら発光部71と受光部72とは、上記集電子32とトロリ線31とが係合した状態において近接する位置関係となるように設置される。
【0039】
このような光電式の場合、格納棚11の受光部72で発光部71の点灯を検出することで、この受光部72に電圧発生、電流流れが生じるので、上記光検出器62の接点接続等によって充電パレット20のトロリ線31(受電部)と格納棚11の集電子32(給電部)とが正常に係合していることを検出することができる。
【0040】
また、上記中継スタンド22に設けられたコンセント23には充電ケーブル24の一端に設けられたプラグ25が接続され、この充電ケーブル24の他端に設けられた充電アダプタ26が電気自動車EVの充電口27に接続されている。この充電口27は、電気自動車EVのECU(電子コントロールユニット)に接続された車載充電器を介してバッテリBTに接続されている。
【0041】
上記図4に示す非接触式係合確認手段70は、図5(a) に示すように光式で構成した一例であるが、この非接触式係合確認手段70は他の形式としてもよい。以下に、その一例を示す。
【0042】
図5(b) に示す第2実施形態の非接触式係合確認手段70は、磁気式とした例である。この場合、充電パレット20の所定位置に磁力線発生部75(信号発生部)が設置され、この磁力線発生部75に上記中継配線39からの分岐配線73が接続される。なお、磁力線発生部75で発生させる磁力は中継配線39で発生する磁力でもよい。一方、格納棚11側の所定位置には、磁力線発生部75と対向するように磁力線検出部76(信号受信部)が設置される。上記磁力線発生部75としては、トロリ線31と集電子32が係合して給電されると磁界が発生する開磁路構造のコイルが用いられ、上記磁力線検出部76としては、充電パレット20で発生した磁界を検出することができるコイル(又はホール素子;ホール効果を生じる素子)等が用いられる。これら磁力線発生部75と磁力線検出部76とは、上記集電子32とトロリ線31とが係合した状態において近接する位置関係となるように設置される。
【0043】
このような磁気式の場合、格納棚11側の磁力線検出部76で磁力線発生部75の磁界を検出して配線74間に電圧が発生したことを検出部61の磁界検出器(図示略)で検出することにより、充電パレット20と格納棚11との給電手段30が正常に係合していることを検出することができる。
【0044】
図6(a) に示す第3実施形態の非接触式係合確認手段70は、音波(超音波含む)式とした例である。この場合、充電パレット20の所定位置に音波発生部80(信号発生部)が設置され、この音波発生部80に上記中継配線39からの分岐配線73が接続される。一方、格納棚11側の所定位置には、音波発生部80と対向するように集音部81(信号受信部)が設置される。上記音波発生部80としては、スピーカ、圧電セラミック等の圧電素子が用いられ、上記集音部81としては、マイク、圧電セラミック等の圧電素子が用いられる。これら音波発生部80と集音部81とは、上記集電子32とトロリ線31とが係合した状態において近接する位置関係となるように設置されている。
【0045】
このような音波式の場合、格納棚11側の集音部81で音波発生部80からの音波を集音して配線74間に電圧が発生したことを検出部61の音波検出器(図示略)で検出することにより、充電パレット20と格納棚11との給電手段30が正常に係合していることを検出することができる。
【0046】
図6(b) に示す第4実施形態の非接触式係合確認手段70は、電波式とした例である。この場合、充電パレット20の所定位置に電波送信部85(信号発生部)が設置され、この電波送信部85に上記中継配線39からの分岐配線73が接続される。一方、格納棚11側の所定位置には、電波受信部86(信号受信部)が設置される。上記電波送信部85としては、アンテナ、送信機等が用いられ、上記電波受信部86としては、アンテナ、受信機等が用いられる。この例の場合、電波受信部86は、上記電波送信部85からの電波が届く場所であれば格納棚11の位置に無くてもよい。また、電波送信部85と電波受信部86との数は対でなくてもよく、複数の電波送信部85に対して1つの電波受信部86としてもよい。
【0047】
このような電波式の場合、格納棚11側の電波受信部86で電波送信部85からの電波を受信して配線74間に電圧又は電流が発生したこと、もしくは接点等がONになったことを検出部61の電波検出器(図示略)で検出することにより、充電パレット20と格納棚11との給電手段30が正常に係合していることを検出することができる。
【0048】
次に、図7に示すフローチャートに基いて、上述した第1実施形態の光式非接触式係合確認手段70によって充電パレット20のトロリ線31(受電部)と格納棚11の集電子32(給電部)とが正常に係合していることを検出する制御方法を説明する。このフローチャートは、充電要求のある電気自動車EVを搭載した充電パレット20のみを対象とした係合確認を行う例であり、電気自動車EV空載又は充電要求無しの電気自動車EV搭載の充電パレット20は、係合確認対象外としている。フローチャート内では、電気自動車EVを単に「EV」と記す。
【0049】
上記したエレベータ式駐車装置1によれば、充電要求の電気自動車EVを搭載した充電パレット20が格納棚11に移載格納されて所定位置に停止する最終段階で、充電パレット20側のトロリ線31が、格納棚11側の集電子32に接触係合する。このとき、発光部71が受光部72に近接した配置となる。
【0050】
まず、このような充電パレット20の格納移載が行われている途中か否かが判断され(S1)、移載途中でない場合は、格納移載が完了したか否かが判断される(S2)。この判断で格納移載が完了していると判断されると、充電制御装置51によって充電電源装置52の開閉器63が閉成されて(S3)、充電要求の電気自動車EVに対して充電を開始するとともに、上記給電手段30の係合確認の動作が開始される。
【0051】
そして、この開閉器63の閉成により、上記集電子32とトロリ線31とが完全に係合している場合、中継配線39の分岐配線73を介して発光部71(光電管等)に通電されるので、この発光部71が発光する。この発光部71の発光を、上記受光部72が検出すれば(S4)、集電子32(給電部)とトロリ線31(受電部)とが「電気的に完全に係合している」と判断される。そして、上記開閉器63の閉成維持指令が出され(S5)、充電が継続して行われる。その後、満充電となれば開閉器63は自動的に開成し、充電を終了する。
【0052】
一方、上記集電子32とトロリ線31とが係合不良の場合、上記開閉器63を閉成したにも拘わらず係合不良部で電気的に遮断されるため、発光部71には通電されない。従って、上記判断(S4)において、発光部71の発光を受光部72が検出することはなく、「電気的に係合不良」と判断される。
【0053】
このように「電気的に係合不良」と判断した場合、充電制御装置51が充電パレット20の移載のリトライ指令を出し(S6)、所定のリトライ回数(例えば、2回)に達するまでは(S7)、開閉器63の開成を行って係合確認の中断をした上で(S8)、上記(S1)以降の動作が繰り返される。その後、リトライがN回(例えば、2回)に達しても「係合不良」の場合は(S7)、充電制御装置51は開閉器63に開成指令(係合確認中止)を出するとともに(S9)、「係合不良警報」(保守点検通報等)を発報する(S10)。
【0054】
上記図7のフローチャートでは、「係合不良」の場合に充電パレット20の「移載リトライ」を行う工程を入れているので、集電子32やトロリ線31自体及びこれらの取付構造に起因する「係合不良」ではなく、充電パレット20の電気自動車EV搭載に伴う偏荷重等による停止位置ずれに起因する「係合不良」等の場合には、「移載リトライ」で「係合不良」を解消して充電を行うことができる。なお、この「移載リトライ」は、無しとしてもよい。
【0055】
次に、図8のフローチャートに基いて、上記図7のフローチャートにおける充電要求された電気自動車EVを搭載した充電パレット20について行う「係合確認」に加え、充電要求の無い電気自動車EVを搭載した充電パレット20や空載の充電パレット20についても格納棚11に格納した時に「係合確認」を行う例を説明する。
【0056】
まず、充電パレット20が充電格納棚11に移載されて停止したか否かが判断され(S11)、停止完了していれば開閉器63の閉成指令が出され(S12)、上記給電手段30の係合確認の動作が開始される。
【0057】
そして、この開閉器63の閉成により、上記集電子32とトロリ線31とが完全に係合している場合、上記発光部71に通電されて発光する。この発光部71の発光を、上記受光部72が検出すれば(S13)、集電子32(給電部)とトロリ線31(受電部)とが「電気的に完全に係合している」と判断される。その後、その充電パレット20に充電要求の電気自動車EVが搭載されているか否かが判断され(S14)、充電要求の電気自動車EVが搭載されていれば、上記開閉器63の閉成維持指令が出されて(S15)、電気自動車EVに対する充電が開始され、満充電となれば開閉器63は自動的に開成し、充電を終了する。
【0058】
また、上記(S14)の判断で、充電要求の電気自動車EVが搭載されていない場合、空の充電パレット20又は充電要求無しの電気自動車EVを搭載しているため、上記開閉器63に開成指令が出され(S16)、係合確認が終了する。
【0059】
一方、上記(S13)の判断で、受光部72が発光部71の発光を検出しない場合には「電気的に係合不良」と判断され、充電制御装置51が充電パレット20の移載のリトライ指令を出し(S17)、所定のリトライ回数(例えば、2回)に達するまでは(S18)、開閉器63の開成を行って係合確認の中断をした上で(S19)、上記(S11)以降の動作が繰り返される。その後、リトライが所定の回数に達しても「係合不良」の場合は(S18)、充電制御装置51は開閉器63に開成指令(係合確認中止)を出するとともに(S20)、「係合不良警報」(保守点検通報等)を発報する(S21)。
【0060】
このようにすれば、充電を行わない充電パレット20について、給電手段30(給電部・受電部)の構成部材(集電子32及びトロリ線31、プラグ40及びコンセント43、内部配線等)の経年劣化(磨耗)や断線による物理的及び電気的係合不良を事前に察知することができるとともに、また保守点検時の係合確認点検にも役立たせることができる。
【0061】
以上のように、上記エレベータ式駐車装置1によれば、給電手段30(集電子32・トロリ線31)の係合確認手段として非接触式係合確認手段70を採用したので、躯体側である格納棚11と充電パレット20と間に検出用の物理的接続手段を設ける必要がなく、物理的な接続によって生じる故障等が無い非接触式係合確認手段70で給電手段30(集電子32・トロリ線31)の係合確認を確実に行うことが可能となる。
【0062】
しかも、係合確認手段として非接触式手段を採用することで、既設の機械式駐車装置においても簡単な追加作業で容易に改造でき、充電機能の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0063】
さらに、上記実施形態の給電手段30では、格納棚11側に集電子32(給電部)を設け、充電パレット20側に短尺のトロリ線31(受電部)を配置する構成としているので、トロリ給電方式でも格納棚11毎に電力量メータ64を設けることで、格納棚11ごとに充電パレット20に対する充電量を課金することが可能であり、駐車のみと駐車且つ充電の利用者間における課金の公平性を図ることができる。
【0064】
なお、上記実施形態では、エレベータ式駐車装置1を例に説明したが、電気自動車搭載用パレットを備えた機械式駐車装置であれば、どのような方式(例えば、垂直循環式、水平循環式、箱型循環式、円形循環式、多段式、平面往復式等)でも適用可能であり、機械式駐車装置の形式は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0065】
また、上記実施形態では、非接触式係合確認手段70として、「光式」、「磁気式」、「音波・超音波式」、「電波式」を例に説明したが、非接触式係合確認手段70は非接触で係合確認できる手段であれば他の構成であってもよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0066】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る充電機能を備えた機械式駐車装置は、躯体側の給電部と充電パレット側の受電部との係合確認を確実に行いたい駐車装置利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 エレベータ式駐車装置(機械式駐車装置)
11 格納棚(躯体)
12 エレベータ搬器
17 パレット持上・旋回・移載装置
20 充電パレット
22 中継スタンド
30 給電手段
31 トロリ線(受電部)
32 集電子(給電部)
38 給電配線
39 中継配線
40 プラグ
43 コンセント
50 主制御装置
51 充電制御装置
52 充電電源装置
61 検出部
62 光検出器
63 開閉器
70 非接触式係合確認手段
71 発光部(信号発生部)
72 受光部(信号受信部)
73 分岐配線
74 配線
75 磁力線発生部(信号発生部)
76 磁力線検出部(信号受信部)
80 音波発生部(信号発生部)
81 集音部(信号受信部)
85 電波送信部(信号発生部)
86 電波受信部(信号受信部)
90 標準パレット
EV 電気自動車
M 格納移載方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載した電気自動車に充電する電気を受電する受電部を有する充電パレットと、該充電パレットの格納位置で前記受電部に躯体側から給電する給電部とを備えた機械式駐車装置であって、
前記充電パレットの格納位置への格納時に前記受電部が前記給電部と電気的係合が完了したことで該給電部から受電部に供給される電気で信号を発生する信号発生部と、該信号発生部の信号を前記躯体側において非接触で受信する信号受信部とを有する非接触式係合確認手段を備えていることを特徴とする充電機能を備えた機械式駐車装置。
【請求項2】
前記信号発生部と信号受信部とは、前記受電部と給電部との係合位置に近接した位置で対向するように配置されている請求項1に記載の充電機能を備えた機械式駐車装置。
【請求項3】
前記非接触式係合確認手段は、前記信号発生部を前記充電パレット側に設けた発光部とし、前記信号受信部を前記躯体側に設けた受光部とした光式で構成されている請求項1又は2に記載の充電機能を備えた機械式駐車装置。
【請求項4】
前記非接触式係合確認手段は、前記信号発生部を前記充電パレット側に設けた磁力線発生部とし、前記信号受信部を前記躯体側に設けた磁力線検出部とした磁気式で構成されている請求項1又は2に記載の充電機能を備えた機械式駐車装置。
【請求項5】
前記非接触式係合確認手段は、前記信号発生部を前記充電パレット側に設けた音波発生部とし、前記信号受信部を前記躯体側に設けた集音部とした音波式で構成されている請求項1又は2に記載の充電機能を備えた機械式駐車装置。
【請求項6】
前記非接触式係合確認手段は、前記信号発生部を前記充電パレット側に設けた電波送信部とし、前記信号受信部を前記躯体側に設けた電波受信部とした電波式で構成されている請求項1又は2に記載の充電機能を備えた機械式駐車装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の充電機能を備えた機械式駐車装置における制御方法であって、
前記充電パレットの格納位置への移載完了を検出し、該充電パレットの格納位置における前記信号発生部からの信号を前記信号受信部において非接触で受信し、該信号受信部で前記信号発生部からの信号を検出することで前記給電部が前記受電部に電気的係合していることを確認するように構成したことを特徴とする充電機能を備えた機械式駐車装置の制御方法。
【請求項8】
前記信号受信部で前記信号発生部からの信号を検出できない場合に、前記充電パレットの格納位置への移載動作以降を繰り返して行うようにした請求項7に記載の充電機能を備えた機械式駐車装置の制御方法。
【請求項9】
前記信号受信部による前記信号発生部からの信号検出を、充電の必要がない充電パレットにおいても行うようにした請求項7又は8に記載の充電機能を備えた機械式駐車装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−231586(P2011−231586A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105487(P2010−105487)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)