説明

光コネクタ内蔵プラグ

【課題】レセプタクルから1動作で取り外すことができるようにし、光コネクタの破損や汚損を防止する。
【解決手段】光コネクタ10にストッパ50を固定し、光コネクタ10をハウジング20の開口部21内に収容する。ハウジング20はストッパ50に対し、光コネクタ10のレセプタクルへの挿入方向に所定量変位可能とされてストッパ50に係合され、ハウジング20に対しストッパ50はコイルばね40によって後方へ付勢されている。光コネクタ10のラッチ片14の遊端上にはクリップ片15の遊端が位置し、このクリップ片15の遊端は、開口部21内壁面に形成された凹部23の前端にある傾斜面23aに位置される。レセプタクルからの取り外し時にはハウジング20をコイルばね40の付勢力に抗して引き抜く方向に変位させる。これにより、傾斜面23aによってクリップ片15、ラッチ片14が押し下げられ、ラッチ片14の係止が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は光ファイバの端末を保持した光コネクタを内蔵する光コネクタ内蔵プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
図19は光ファイバを接続するために使用されるコネクタ(プラグ)の従来例として、特許文献1に記載されている構成を示したものであり、図中、1は光コネクタ(内部ファイバコネクタ組立体)を示し、2は外部ハウジング部、3はカラー部を示す。
【0003】
光コネクタ1はその中間部分が外部ハウジング部2に収容されて保持されており、先端には光ファイバ端部を整列保持するフェルール1aが位置されている。カラー部3は外部ハウジング部2に取り付けられて回転可能とされている。
【0004】
光コネクタ1には後方が固定端とされて前方に延びるラッチ4が形成されている。ラッチ4は後方から頂上接触面5aまで前方に延びた傾斜アーム部5を有し、さらにその先端から垂直方向下方に延びた垂直部6及び垂直部6に支持されて前方に延びる片持ち梁部7を有している。片持ち梁部7の先端には傾斜面7a及びロック縁7bが設けられている。
【0005】
カラー部3は筒状とされ、その前端にはカム8が内周面より突出して形成されている。
【0006】
上記のような構成を有するプラグでは相手コネクタとの接続時にはカラー部3を回転させることにより、カム8が回転してラッチ4の頂上接触面5aと係合し、これにより頂上接触面5aが押され、ラッチ4が押し下げられることにより、相手コネクタへの光コネクタ1の挿入が可能となり、カラー部3を回転してラッチ4を復帰させることにより、ロック縁7bが相手コネクタに係止されて接続が行われるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2007−537462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のような構成とされたプラグでは相手コネクタから取り外す際にはカラー部3を回転させ、カム8によってラッチ4を押し下げることにより係止を解除し、その状態でプラグを引き抜くといった操作が必要となり、つまりカラー部3の回転、プラグの引き抜きといった2動作が必要となっている。
【0009】
また、光コネクタ1はカラー部3より大きく前方に突出しているため、破損しやすく、汚れ等も付着しやすいものとなっており、その点で取り扱いに注意を要するものとなっていた。
【0010】
さらに、例えばカラー部3の回転位置によっては相手コネクタとの接続状態においてもラッチ4がカム8によって押し下げられたままの状態になっている可能性があり、つまりラッチ4が変形したままの状態になっている可能性があり、この場合、応力が開放されず、クリープ現象によりラッチ4が塑性変形したり、折れるといった不具合が発生する恐れがあった。
【0011】
この発明の目的はこのような問題に鑑み、接続及び取り外しを共に1動作で簡易に行うことができ、かつ光コネクタの破損や汚損を防止することができるようにした光コネクタ内蔵プラグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明によれば、アダプタに挿入接続される光コネクタを内蔵し、アダプタを保持したレセプタクルと接続される光コネクタ内蔵プラグは、光コネクタの一面に形成され、アダプタへの挿入方向前端が固定端とされ、後端が遊端とされ、前記一面から徐々に離れるように延伸されて中間部に幅方向両側に突出する突起を有するラッチ片と、前記一面に形成され、挿入方向後端が固定端とされ、前端が遊端とされ、その遊端がラッチ片の遊端上に位置されたクリップ片と、光コネクタの挿入方向後端側に配置され、光コネクタと連結固定されたストッパと、ストッパに対し、挿入方向に所定量変位可能とされてストッパと係合され、挿入方向前方の開口部内に光コネクタを収容するハウジングと、ハウジングに対し、ストッパを挿入方向後方へ付勢する付勢部材とを備え、クリップ片の遊端は、前記開口部の内壁面に形成された凹部の挿入方向前端にある傾斜面に位置されており、レセプタクルとの接続時には、ラッチ片は前記開口部に進入してくるアダプタに設けられている押圧部によって前記突起が押圧されることにより押し下げられ、押圧部が前記突起を通過することにより元の状態に復帰して前記突起が押圧部の奥側に形成されている係合部に位置することによってアダプタに係止され、レセプタクルからの取り外し時には、ハウジングを付勢部材の付勢力に抗して変位させることにより、前記傾斜面によってクリップ片が押し下げられると共に、ラッチ片が押し下げられてアダプタとの係止が解除され、係止解除後、付勢部材の付勢力によってストッパが変位することによってラッチ片及びクリップ片が元の状態に復帰する構成とされる。
【0013】
請求項2の発明では請求項1の発明において、付勢部材はコイルばねとされ、その内径は挿入方向から見たラッチ片及びクリップ片を具備する光コネクタの外形より大とされる。
【0014】
請求項3の発明では請求項1又は2の発明において、ハウジングにはレセプタクルとの接続時に防水構造を実現するシール部材が配設される。
【0015】
請求項4の発明では請求項1乃至3のいずれかの発明において、光コネクタがIEC 61754−20に規格化された光コネクタとされる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、光コネクタ内蔵プラグをレセプタクルから取り外す際は、単に引き抜くといった1動作によりラッチ片の係止を解除して取り外すことができ、よって簡易に取り外すことができる。
【0017】
また、光コネクタはハウジング内に収容保持されているため、光コネクタの破損や汚損を防止することができる。
【0018】
さらに、レセプタクルとの接続時及びレセプタクルからの取り外し時のいずれにおいてもラッチ片は確実に所定の元の状態に復帰し、押し下げられて変形したままの状態になることはないため、応力が開放されず、例えばクリープ現象によりラッチ片が切損するといった事故を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明による光コネクタ内蔵プラグの一実施例の外観を示す斜視図。
【図2】図1に示した光コネクタ内蔵プラグの断面図。
【図3】図1に示した光コネクタ内蔵プラグの分解斜視図。
【図4】ストッパの斜視図。
【図5】光コネクタとストッパの組み立てを説明するための図。
【図6】コイルばねの装着を説明するための図。
【図7】ハウジングとストッパの係合状態を説明するための図。
【図8】ハウジングとエンドベルの組み立てを説明するための図。
【図9】Aはレセプタクルの外観を示す斜視図、Bはレセプタクルの断面図。
【図10】レセプタクルの分解斜視図。
【図11】レセプタクルに対する光コネクタ内蔵プラグの接続途中の状態を示す断面図。
【図12】レセプタクルに対する光コネクタ内蔵プラグの接続完了状態を示す断面図。
【図13】レセプタクルから光コネクタ内蔵プラグを取り外し途中の状態を示す断面図。
【図14】レセプタクルからの光コネクタ内蔵プラグの取り外しにおいてストッパが付勢され、ラッチ片が元の状態に復帰した状態を示す断面図。
【図15】レセプタクルの正面図。
【図16】図11の状態における異なる位置の断面図。
【図17】図12の状態における異なる位置の断面図。
【図18】図14の状態における異なる位置の断面図。
【図19】光コネクタを保持したプラグの従来例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
【0021】
図1はこの発明による光コネクタ内蔵プラグの一実施例の外観を示したものであり、図2は断面構造を示したものである。また、図3は各部に分解し、一部断面として示したものである。
【0022】
この例では光コネクタ内蔵プラグ100は光コネクタ10とハウジング20とカップリングナット30とコイルばね(付勢部材)40とストッパ50とエンドベル60とグランドナット70とクランプサドル80とOリング91,92とねじ95,96とによって構成されている。光コネクタ内蔵プラグ100は光ファイバケーブル200の端末に取り付けられる。
【0023】
まず、各部の構成について説明する。
【0024】
光コネクタ10はこの例では2心コネクタとされ、光ファイバケーブル200から導出された2本の光ファイバ210が接続保持されている。光コネクタ10は本体フレーム11と、本体フレーム11から前方に突出された2つのスリーブ12を備えており、各スリーブ12内には光ファイバ210の端末を保持したフェルール13が位置されている。
【0025】
光コネクタ10の上面にはラッチ片14とクリップ片15が設けられている。ラッチ片14は2つ設けられており、各スリーブ12の上面から突出形成されている。ラッチ片14はこの光コネクタ10が挿入接続されるアダプタへの挿入方向前端(フェルール13が突出している側)が固定端とされ、挿入方向後端が遊端とされてスリーブ12の上面から徐々に離れるように延伸されている。ラッチ片14の延伸方向中間部には2つの突起14aが幅方向両側に突出して形成されている。
【0026】
クリップ片15は本体フレーム11の上面から突出して形成されており、ラッチ片14とは逆にアダプタへの挿入方向後端が固定端とされ、挿入方向前端が遊端とされている。クリップ片15は幅広とされ、その遊端は2つのラッチ片14の遊端上に位置されている。
【0027】
ハウジング20は全体として筒状をなし、その前方側には方形状の開口を構成する開口部21が形成されている。開口部21の前端内壁面には1段低い段部22が方形の4辺それぞれに形成されている。また、開口部21の後端内壁面には凹部23が形成されている。凹部23は開口部21の方形の1辺に形成されており、前端が傾斜面23aとされている。なお、この例では傾斜面23aからさらに前方に浅い段部24が形成されている。
【0028】
一方、ハウジング20の後方側円筒部25には3つの係合窓26(図3では2つのみ見える)がほぼ90°間隔で形成されている。また、ハウジング20の外周面にはOリング91,92が装着される2つの溝27a,27bが形成されている。なお、図3ではこれら溝27a,27bにそれぞれOリング91,92が装着された状態を示している。
【0029】
カップリングナット30はハウジング20より大径の円筒状をなし、ハウジング20の外側に取り付けられる。図3はカップリングナット30がハウジング20に取り付けられた状態を示しており、取り付けはカップリングナット30の内周面に突出形成されている凸部31がハウジング20の外周面に形成されている凹部28に入れ込まれることによって行われ、カップリングナット30とハウジング20との間には環状空間が構成される。
【0030】
ストッパ50は図4に示したように円柱体がその軸方向に大きく、くりぬかれたような形状とされ、円柱体は段付きとされて段部52より前方側は後方側より小径とされている。段部52より前方側部分には光ファイバ210を収容する溝51が2つ形成されている。ストッパ50の後端側の外周面にはハウジング20の3つの係合窓26にそれぞれ係合する係合凸部53が3つ突出形成されている。各係合凸部53の周方向両端にはスリット54が前方に延伸してそれぞれ形成されており、このスリット54により係合凸部53は内側に押し込み変位可能とされている。また、ストッパ50の前面55には前面55と所定量離間して前面55と平行に延び、両端が固定支持された連結部56が形成されている。
【0031】
エンドベル60は後端がすぼめられた筒状をなし、このすぼめられた先の小径部61の外周面にはねじが形成されている。
【0032】
グランドナット70は筒状とされてその前端側内周面にはエンドベル60の小径部61のねじと螺合するねじが形成されている。後端側は内径が小とされており、この部分は周の略半部が切り欠かれた形状とされている。
【0033】
クランプサドル80はグランドナット70の後端側切り欠き部71に係合する円弧形状をなし、2つのねじ95によってグランドナット70の切り欠き部71にねじ止め固定されるものとなっている。
【0034】
次に、各部の組み立てについて説明する。
【0035】
グランドナット70及びエンドベル60は予め光ファイバケーブル200に通しておき、光ファイバケーブル200から2本の光ファイバ210を取り出し、それら光ファイバ210の端末に光コネクタ10を取り付ける。
【0036】
次に、図5に示したようにストッパ50を光コネクタ10の後端側に配置する。この際、2本の光ファイバ210はストッパ50の2つの溝51を通るようにそれぞれ溝51に収容される。ストッパ50の前面55には連結部56が形成されており、この連結部56と前面55との隙間に光コネクタ10のクリップ片15を通すことによって光コネクタ10とストッパ50とを連結固定する。なお、このような連結部56とクリップ片15の位置関係はストッパ50を傾け、クリップ片15の遊端側から連結部56をクリップ片15の内側(クリップ片15とラッチ片14との間の空間)に入れ込んでくることにより実現することができる。なお、図5B中、光コネクタ10内の16はフェルールフレームを示し、17はフェルール13を保持したフェルールフレーム16を前方に付勢するコイルばねを示す。
【0037】
次に、図6に示したようにコイルばね40を光コネクタ10の前端側から通す。コイルばね40の後端はストッパ50の段部52に当接され、このコイルばね40の内側に光コネクタ10が位置される。
【0038】
次に、ハウジング20を光コネクタ10の前端側から装着して取り付ける。ハウジング20の取り付けはその係合窓26をストッパ50の係合凸部53にそれぞれ係合させることによって行われる。図7はハウジング20の係合窓26内にストッパ50の係合凸部53が係合配置された状態を示したものであり、係合窓26の軸方向(光コネクタ10挿入方向)の長さは係合凸部53の大きさより大とされているため、その分、ストッパ50に対し、ハウジング20は光コネクタ10挿入方向に所定量変位可能とされている。なお、コイルばね40の前端はハウジング20の開口部21の後壁面に当接され、ストッパ50はコイルばね40によって後方へ付勢されている。
【0039】
上記のようにハウジング20が取り付けられることにより、光コネクタ10の2つのスリーブ12はハウジング20の開口部21内に図7に示したように収容位置される。なお、スリーブ12内に配置されているフェルール13の先端はこの例では図7に示したようにハウジング20の先端(前端)から飛び出すことなく、開口部21内に位置されている。
【0040】
次に、ハウジング20の2つの溝27a,27bにOリング91,92が装着され、さらに凹部28にカップリングナット30の凸部31が入れ込まれてカップリングナット30がハウジング20に取り付けられる。
【0041】
次に、予め光ファイバケーブル200に通しておいたエンドベル60をハウジング20に固定する。固定は4つのねじ96によって行われ、図8に示したようにエンドベル60の前端に形成されているねじ穴62にねじ96を螺合し、ねじ96の先端をハウジング20に形成されている穴29に挿入位置させることによって行われる。なお、このねじ96は図1に示したように六角穴付きねじとされる。
【0042】
最後に、エンドベル60の小径部61にグランドナット70を螺合して取り付け、光ファイバケーブル200を挟み込んでグランドナット70の切り欠き部71にクランプサドル80をねじ95を用いてねじ止め固定することによって図1及び図2に示した光コネクタ内蔵プラグ100が完成する。
【0043】
上記のように構成された光コネクタ内蔵プラグ100においては図2に示したように光コネクタ10のクリップ片15の遊端は、ハウジング20の開口部21の後端内壁面に形成されている凹部23の傾斜面23aに位置されている。
【0044】
次に、上述した光コネクタ内蔵プラグ100が接続されるレセプタクルの構成について図9〜10を参照して説明する。図9Aはレセプタクルの外観を示したものであり、図9Bは断面構造を示したものである。また、図10はレセプタクルを分解して示したものである。
【0045】
レセプタクル300はレセプタクルシェル310とアダプタ320とによって構成されている。アダプタ320はこの例では2心コネクタ用とされ、基部321とその両側にそれぞれ突出形成された箱状の接続部322,323とを備えている。接続部322には光コネクタ10の2つのスリーブ12に対応する2つの方形状の開口324が形成されており、光コネクタ内蔵プラグ100の光コネクタ10はこの接続部322に挿入接続される。なお、もう一方の接続部323には光コネクタ10と光接続される他の光コネクタが挿入接続される。
【0046】
各開口324の上壁面の幅方向中央には開口端に誘い込み用の傾斜面325が形成されている。一方、各開口324の上壁面の傾斜面325を挟む両側には押圧部327が形成されており、押圧部327の奥側には貫通穴326が上壁部を貫通して形成されている。押圧部327の奥側の貫通穴326が位置する部分は光コネクタ10のラッチ片14の突起14aが係合する係合部326aとして機能する。
【0047】
レセプタクルシェル310は円筒部311とその一端に設けられた方形状をなす平板部312とを備えている。アダプタ320はこのレセプタクルシェル310内に収容固定される。平板部312にはレセプタクル300を例えば筐体等に取り付ける際に使用する取り付け穴313が4つの角部に設けられている。なお、図9B中、330は平板部312の溝314に配置されたOリングを示す。
【0048】
以下、レセプタクル300に対する光コネクタ内蔵プラグ100の接続及び取り外しについて説明する。
【0049】
図11はレセプタクル300に対し、光コネクタ内蔵プラグ100を接続途中の状態を示したものであり、つまりアダプタ320への光コネクタ10の挿入途中の状態を示したものであり、図12はアダプタ320への光コネクタ10の挿入が完了し、レセプタクル300への光コネクタ内蔵プラグ100の接続が完了した状態を示したものである。また、図13及び図14はレセプタクル300から光コネクタ内蔵プラグ100を取り外す際の状態を示したものである。
【0050】
一方、図16〜18は図11〜14の断面図の断面位置とは異なり、レセプタクル300で示せば図15のA−A線での断面図を示したものであり、図16,17,18はそれぞれ図11,12,14の状態と対応している。
【0051】
<接続>
光コネクタ内蔵プラグ100の接続は光コネクタ10をアダプタ320に挿入することによって行われる。光コネクタ10をアダプタ320に挿入することによりハウジング20の開口部21にアダプタ320が図11,16に示したように進入してくる。このアダプタ320の押圧部327によりラッチ片14の突起14aは図16に示したように押圧され、ラッチ片14は押し下げられる。さらに、光コネクタ10をアダプタ320に挿入することにより押圧部327は突起14aを通過してラッチ片14の突起14aより遊端側に至る。突起14aは押圧部327の奥側の係合部326aに位置し、これによりラッチ片14は図12,17に示したように元の状態に復帰し、突起14aが係合部326aに係合してラッチ片14がアダプタ320に係止され、接続が完了する。なお、ハウジング20の開口部21前端の段部22はアダプタ320の基部321の回りを囲むように位置される。
【0052】
<取り外し>
光コネクタ内蔵プラグ100を取り外す際はハウジング20をコイルばね40の付勢力に抗して図13に示したようにレセプタクル300から引き抜く方向へ変位させる。この例ではハウジング20に取り付けられているカップリングナット30を引き抜く方向へ変位させる。これによりハウジング20の凹部23の傾斜面23aに位置していたクリップ片15の遊端は図13に示したように変位する凹部23の傾斜面23aによって押し下げられ、これに伴い、ラッチ片14が押し下げられ、突起14aが係合部326aから外れて係止が解除される。なお、この際、クリップ片15の遊端側部分は傾斜面23aの前方の段部24に位置される。ラッチ片14の係止が解除されると、光コネクタ10と連結固定され、かつコイルばね40の付勢力を受けているストッパ50は変位可能となり、後方へ一気に変位する。これにより光コネクタ10もストッパ50と共に後方へ変位してハウジング20に対する元の位置状態に戻り、図14,18に示したようにラッチ片14及びクリップ片15が元の状態に復帰する。さらに、カップリングナット30を引き抜く方向へ変位させれば光コネクタ内蔵プラグ100がレセプタクル300から離脱し、取り外しが完了する。
【0053】
以上説明したように、この例によれば、レセプタクル300から光コネクタ内蔵プラグ100を取り外す際はカップリングナット30を持って単に引き抜くといった操作によりラッチ片14の係止を解除して取り外すことができ、よって接続時と同様1動作で、簡易に取り外すことができる。
【0054】
また、光コネクタ10はハウジング20内に収容されて保護されているため、取扱い時に光コネクタ10を誤って破損させるといった事故を防止することができ、汚れ等も付着しにくいものとなっている。
【0055】
さらに、レセプタクル300との接続時においてもレセプタクル300から取り外した状態においてもラッチ片14が押し下げられて変形したままの状態になることはないため、クリープ現象によりラッチ片14が塑性変形したり、折れるといった事故を防止することができる。
【0056】
なお、この例ではストッパ50を光コネクタ10と連結して光コネクタ10の後方に設け、そのストッパ50を後方へ付勢するコイルばね40を設けたことにより、上述したような1動作でのレセプタクル300からの取り外し及びその際のラッチ片14の元の状態への確実な復帰を可能としているが、このようなストッパ50とコイルばね40を用いることによって組み立て性が損なわれることはなく、例えばコイルばね40はその内径が光コネクタ10の挿入方向から見てラッチ片14及びクリップ片15を含めた光コネクタ10の外形より大とされているため、光コネクタ10の前方側から容易に通すことができ、つまりストッパ50とハウジング20の間に容易に介在させることができ、容易に組み立てを行えるものとなっている。
【0057】
加えて、この例では光コネクタ10及び光コネクタ10が挿入接続されるアダプタ320はIEC 61754−20に規格化された汎用品を用いるものとなっており、光コネクタ10はこのIEC規格準拠のLC2心コネクタとなっている。言い換えれば、光コネクタをこの発明に専用のものとして用意する必要はないため、その点で低コスト化を図ることができる。
【0058】
さらに、この例では光コネクタ内蔵プラグ100は2箇所に防水シール部材としてOリング91,92が装着されており、これによりレセプタクル300との接続時には防水構造を実現することができるものとなっている。
【符号の説明】
【0059】
1 光コネクタ 2 外部ハウジング部
3 カラー部 4 ラッチ
5 傾斜アーム部 6 垂直部
7 片持ち梁部 7a 傾斜面
7b ロック縁 8 カム
10 光コネクタ 11 本体フレーム
12 スリーブ 13 フェルール
14 ラッチ片 14a 突起
15 クリップ片 20 ハウジング
21 開口部 23 凹部
23a 傾斜面 24 段部
25 後方側円筒部 26 係合窓
27a,27b 溝 30 カップリングナット
40 コイルばね 50 ストッパ
51 溝 53 係合凸部
54 スリット 56 連結部
60 エンドベル 61 小径部
70 グラットナット 71 切り欠き部
80 クランプサドル 91,92 Oリング
100 光コネクタ内蔵プラグ 200 光ファイバケーブル
210 光ファイバ 320 アダプタ
324 開口 325 傾斜面
326a 係合部 327 押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタに挿入接続される光コネクタを内蔵し、アダプタを保持したレセプタクルと接続される光コネクタ内蔵プラグであって、
前記光コネクタの一面に形成され、前記アダプタへの挿入方向前端が固定端とされ、後端が遊端とされ、前記一面から徐々に離れるように延伸されて中間部に幅方向両側に突出する突起を有するラッチ片と、
前記一面に形成され、前記挿入方向後端が固定端とされ、前端が遊端とされ、その遊端が前記ラッチ片の遊端上に位置されたクリップ片と、
前記光コネクタの前記挿入方向後端側に配置され、前記光コネクタと連結固定されたストッパと、
前記ストッパに対し、前記挿入方向に所定量変位可能とされて前記ストッパと係合され、前記挿入方向前方の開口部内に前記光コネクタを収容するハウジングと、
前記ハウジングに対し、前記ストッパを前記挿入方向後方へ付勢する付勢部材とを備え、
前記クリップ片の遊端は、前記開口部の内壁面に形成された凹部の前記挿入方向前端にある傾斜面に位置されており、
前記レセプタクルとの接続時には、前記ラッチ片は前記開口部に進入してくる前記アダプタに設けられている押圧部によって前記突起が押圧されることにより押し下げられ、前記押圧部が前記突起を通過することにより元の状態に復帰して前記突起が前記押圧部の奥側に形成されている係合部に位置することによって前記アダプタに係止され、
前記レセプタクルからの取り外し時には、前記ハウジングを前記付勢部材の付勢力に抗して変位させることにより、前記傾斜面によって前記クリップ片が押し下げられると共に、前記ラッチ片が押し下げられて前記アダプタとの係止が解除され、係止解除後、前記付勢部材の付勢力によって前記ストッパが変位することによって前記ラッチ片及びクリップ片が元の状態に復帰する構成とされていることを特徴とする光コネクタ内蔵プラグ。
【請求項2】
請求項1記載の光コネクタ内蔵プラグにおいて、
前記付勢部材はコイルばねとされ、その内径は前記挿入方向から見た前記ラッチ片及びクリップ片を具備する前記光コネクタの外形より大とされていることを特徴とする光コネクタ内蔵プラグ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の光コネクタ内蔵プラグにおいて、
前記ハウジングには前記レセプタクルとの接続時に防水構造を実現するシール部材が配設されていることを特徴とする光コネクタ内蔵プラグ。
【請求項4】
請求項1乃至3記載のいずれかの光コネクタ内蔵プラグにおいて、
前記光コネクタがIEC 61754−20に規格化された光コネクタであることを特徴とする光コネクタ内蔵プラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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