説明

光コネクタ及び光コネクタ組立体

【課題】強度が高く細径の光ファイバの接続に適した光コネクタを提供する。
【解決手段】光コネクタ10は、フェルール36を内部に収容するフェルールハウジング33を有するコネクタ本体31と、コネクタ本体を収容しフェルールの後端が後端から突出するするコネクタハウジング20とを有する。光ファイバがコネクタハウジング内に進入するファイバポスト21の部分には、光ファイバとファイバポストとを一体的に締め付ける第1の締め付けリング19と、張力補強部材を光ファイバ、ファイバポスト及び第1の締め付けリングと一体的に締め付ける第2の締め付けリング18とが配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ及び光コネクタ組立体に関し、更に詳しくは、小さな直径を有する光ファイバを備える光ケーブルに好適に採用される光コネクタ、及び、該光コネクタと光ケーブルとが接続されて構成される光コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及に伴い、光ケーブルの需要が急増している。光ケーブルを機器に接続する際、及び、光ケーブルを相互に接続する際には、光コネクタが用いられる。光コネクタは、光ケーブルにおける光ファイバの多芯化、光ファイバの直径の縮小などに伴い、コネクタサイズの縮小、コネクタ製造コストの低減、及び、接続作業の迅速性などが求められている。
【0003】
図8は、従来の光コネクタの展開斜視図である。図8の光コネクタは、2芯の光ファイバを有する光ケーブルの接続に用いられる。光コネクタ50は、図面上で右側から挿入される光ケーブル側から、接続機器側又は接続される相手側の光ファイバ側(以下、単に接続機器側と呼ぶ)に向かって順次に、ユニブーツ51、ユニブーツハウジング52、クリンプスリーブ55、コネクタハウジング57、及び、コネクタ本体60から構成される。図9は、コネクタ本体60及びコネクタハウジング57の各部の詳細を、クリンプスリーブ55と共に示している。以下、図8及び図9を参照して、光コネクタと光ケーブルとが接続された光コネクタ組立体における光ファイバの状態を中心に説明しつつ、従来の光コネクタの構造を説明する。
【0004】
図8において、右側から光コネクタに接続される光ケーブルの先端部分は、まずユニブーツ51の内部に収容され、その被覆が除かれて、内部の光ファイバ及びそれを取り囲む張力補強部材が露出する。光ファイバ及び張力補強部材は、ユニブーツハウジング52のバックポスト(ファイバポスト)53を経由してユニブーツハウジング52内に挿入される。ファイバポスト53の内部には、光ファイバ被覆を熱収縮し固定するクリンプスリーブ55の一部と、張力補強部材を固定するクリンプリング56を収容する。張力補強部材は、光ファイバと平行に延びる多数のリボン形状のアラミド繊維から成る。クリンプリング56内で張力補強部材が取り除かれ、2芯の光ファイバがバックポスト(フェルールポスト)59を通りコネクタハウジング57内に収容される。クリンプスリーブ55の先端部分は、コネクタハウジング57のバックポスト(フェルールポスト)59を収容する。コネクタハウジング57は、その略全体がユニブーツハウジング52内に収容される。
【0005】
図9において、2芯の光ファイバは、コネクタハウジング57の中央に形成されたセパレータ58において、左右方向に分離される。次いで、コネクタハウジング57内に先端が収容されるエクステンダキャップ65及びスプリング64の内部を通過して、フェルール62に接続される。フェルール62は、その後方部分がエクステンダキャップ65内に収容され、主要な部分がフェルールハウジング67内に収容される。フェルール62はフェルールフランジ63の部分がスプリング64によって接続機器側に付勢されている。フェルール62の先端部分は、ダストキャップ68に収容され、ダストキャップ68の先端から接続機器側に突出している。
【0006】
光コネクタ50を光ケーブルの先端に接続した組合せ状態では、2つのフェルールハウジング67の上部に突出する係合つめ61が、コネクタハウジング57の係合つめ66に係合し、光コネクタに印加される軸方向の外力及び上下方向の曲げモーメントに抗する。
【0007】
上記従来の光コネクタは、細部の形状に相違はあるものの、その基本的な構造が例えば特許文献1〜3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許US6,575,640号公報
【特許文献2】米国特許US6,511,230号公報
【特許文献3】米国特許Des.434,376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の光コネクタには、光コネクタの構造に関連して以下の問題がある。第1の問題は、ユニブーツハウジング52の構造に起因して、光ケーブルとユニブーツハウジング52との接続部分の機械的強度が不足することである。ユニブーツハウジング52のバックポスト(ファイバポスト)53内に収容されている締め付けクリンプリング56は、光ファイバ芯線及び張力補強部材をその内部に収容した後に、これらを一括して締め付ける構造を有する。この時、多数の繊維状部材の集まりである張力補強部材と光ケーブル被覆を締め付けすると、フェルールポスト59の切欠き部分に光ファイバを通しており張力補強部の繊維がその切欠き部分に入り込む構造に起因し、その締め付け力が不足する。このため、光ケーブルとクリンプリング56との一体感に欠け、その間で組み立て強度が不足する。この強度不足の問題は、光ファイバ芯線の細径化に伴ってケーブルの張力補強繊維数が減るため更に顕著となる。
【0010】
第2の問題点は、コネクタ本体60とコネクタハウジング57との間で機械的強度が不足することである。コネクタハウジング57とコネクタ本体60のフェルールハウジング67とは、エクステンダキャップ65及びスプリング64を介して機械的に結合されている。特に、コネクタハウジング57とフェルールハウジング67とはスプリング64を介して光ファイバの延長方向(軸方向)に双方が離れる方向に付勢されている。この付勢に抗する外力が作用すると、双方の部材57、67間の軸方向の結合が弱くなり、従って、横方向の曲げ外力に対する機械的強度が不足する。
【0011】
第3の問題点は、クリンプリングの長さにも起因し、光コネクタ全体の軸方向寸法が例えば50mm以上もあり、この大きな軸方向寸法によって、光ファイバと接続機器との接続部分や、光ファイバ相互の接続部分の寸法が大きくなることである。
【0012】
本発明は、上記に鑑み、従来の光コネクタの構造を改良し、全体として強度が高く且つコンパクトな接続が可能な光コネクタ、及び、該光コネクタと光ケーブルとを接続して成る光コネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、軸方向に延びる少なくとも1つの光ファイバ、該光ファイバと平行に延び該光ファイバを補強する張力補強部材、及び、前記光ファイバ及び張力補強部材の周囲を覆う外皮を有する光ケーブルと、該光ケーブルの軸方向先端に接続される光コネクタとから成る光コネクタ組立体であって、前記光コネクタが、
前記光ファイバに対応して配設され、光出射端を構成する先端と前記光ファイバの先端に接続される後端とを有するフェルールと、該フェルールを内部に収容し後端から該フェルールの後端が突出するフェルールハウジングとを有する少なくとも1つのコネクタ本体と、
前記コネクタ本体の少なくとも後方部分を収容するコネクタ本体収容空間と、前記光ファイバが挿入されるファイバポストと、軸方向に見て前記コネクタ本体収容空間と前記ファイバポストとの間に配設され前記フェルールと光ファイバとが接続される接続部を収容する接続部収容空間とを有するコネクタハウジングと、
前記ファイバポスト内に挿入された光ファイバの部分を前記ファイバポストと一体的に締め付ける第1の締め付けリングと、
前記光ケーブルの少なくとも張力補強部材を、前記光ファイバ、ファイバポスト及び第1の締め付けリングと一体的に締め付ける第2の締め付けリングと、を備えることを特徴とする光コネクタ組立体を提供する。
【0014】
本発明は、また、軸方向に延びる少なくとも1つの光ファイバ、該光ファイバと平行に延び該光ファイバを補強する張力補強部材、及び、前記光ファイバ及び張力補強部材の周囲を覆う外皮を有する光ケーブルと、該光ケーブルの軸方向先端に接続される光コネクタとから成る光コネクタ組立体であって、前記光コネクタが、
前記光ファイバに対応して配設され、光出射端を構成する先端と前記光ファイバの先端に接続される後端とを有するフェルールと、該フェルールを内部に収容しフェルールの後端が後端から突出するフェルールハウジングとを有する少なくとも1つのコネクタ本体と、
前記コネクタ本体の少なくとも一部を収容するコネクタ本体収容空間と、該コネクタ本体収容空間の後方に前記光ファイバに対応して配設され、前記光ファイバを収容するファイバポストと、軸方向に見て前記コネクタ本体収容空間と前記ファイバポストとの間に配設され前記フェルールと光ファイバとの接続部を収容可能な接続部収容空間とを有するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの開口から露出する前記コネクタ本体の一部を覆って、前記コネクタハウジングの後方部分を収容するユニブーツハウジングと、を備え、
前記コネクタ本体は、前記フェルールと前記光ファイバとが接続され且つ前記ユニブーツハウジングと前記コネクタハウジングとが離脱した状態で、前記コネクタハウジングの開口を経由して軸方向と略直交方向に前記コネクタハウジングから着脱可能であることを特徴とする光コネクタ組立体を提供する。
【0015】
本発明は、更に、光出射端を構成する先端と光ファイバの先端に接続可能な後端とを有するフェルールと、該フェルールを内部に収容し後端から前記フェルールの後端が突出するフェルールハウジングとを有する少なくとも1つのコネクタ本体と、
前記コネクタ本体に対応して配設され、該コネクタ本体の少なくとも一部を収容するコネクタ本体収容空間と、前記光ファイバを収容可能なファイバポストと、軸方向に見て前記コネクタ本体収容空間と前記ファイバポストとの間に配設され前記フェルールと光ファイバとが接続される接続部を収容する少なくとも1つの接続部収容空間とを有するコネクタハウジングと、
前記ファイバポストに光ファイバが収容されたときに、該光ファイバと前記ファイバポストとを一体的に締め付け可能な内径を有する第1の締め付けリングと、
光ケーブルの少なくとも張力補強部材を、前記光ファイバ、ファイバポスト及び第1の締め付けリングと一体的に締め付け可能な内径を有する第2の締め付けリングと、を備えることを特徴とする光コネクタを提供する。
【0016】
本発明は、更に、光出射端を構成する先端と光ファイバの先端に接続可能な後端とを有するフェルールと、該フェルールを内部に収容し後端から前記フェルールの後端が突出するフェルールハウジングとを有する少なくとも1つのコネクタ本体と、
前記コネクタ本体の少なくとも一部を収容するコネクタ本体収容空間と、前記光ファイバを収容可能なファイバポストと、軸方向に見て前記コネクタ本体収容空間と前記ファイバポストとの間に配設され前記フェルールと光ファイバとが接続される接続部を収容する接続部収容空間とを有するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの開口から露出する前記コネクタ本体の部分を覆いつつ、前記コネクタハウジングの後方部分を収容するユニブーツハウジングと、を備え、
前記コネクタ本体は、前記フェルールと前記光ファイバとが接続され且つ前記ユニブーツハウジングと前記コネクタハウジングとが離脱した状態で、前記コネクタハウジングの開口を経由して軸方向と略直交方向に前記コネクタハウジングから着脱可能であることを特徴とする光コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光コネクタ及び光コネクタ組立体は、光ファイバの接続に際して、その接続作業が容易で且つ十分な強度での接続が可能であるという効果を奏する。本発明は、特に直径が小さな光ファイバを有する光ケーブルの接続に適している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光コネクタの展開斜視図。
【図2】図1の光コネクタと光ケーブルとを接続した光コネクタ組立体の斜視図。
【図3】図2の光コネクタ組立体の外装部分を示す、図2のA−A’矢視図。
【図4】図3の光コネクタの変形例を示す矢視図。
【図5】図3の光コネクタの別の変形例を示す矢視図。
【図6】図3の光コネクタの別の変形例を示す矢視図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る光コネクタの展開斜視図。
【図8】従来の光コネクタの展開斜視図。
【図9】図8の一部詳細を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る光コネクタについて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る光コネクタの各部を展開して示す展開斜視図である。本実施形態の光コネクタ10は、2芯の光ファイバを有する光ケーブルの接続に用いられる例を示している。光ファイバの芯数は、1以上任意の数、例えば2又は3が可能である。光コネクタ10は、ユニブーツ11、ユニブーツハウジング14、大径及び小径の締め付けリング18、19、コネクタハウジング20、及び、2つのコネクタ本体31を有する。組み立てた状態では、コネクタハウジング20の後方部分は、ユニブーツハウジング14内に収容され、コネクタハウジング20のバックポスト(ファイバポスト)21がユニブーツハウジング14の後端から露出する。
【0020】
ユニブーツ11は、光ケーブルが挿入される後方部分12が、光ケーブルの外形に適合した内径を有する円筒状に形成され、後方部分12から前方部分13に向かって内径が大きくなるテーパー形状を有する。ユニブーツ11の前方部分13の外形は断面が方形の筒形状(角筒形状)に形成される。ユニブーツ11は、柔軟な合成樹脂などで成型され、光コネクタを光ケーブルに接続した光コネクタ組立体の状態では、その前方部分13で小径及び大径の締め付けリング19、18を内部に収容する。小径の締め付けリング(小径リング)19は、ファイバポスト21の切欠き26に収納した光ケーブルから露出する2本の光ファイバを保護し、光ケーブルの張力補強部材がその切欠き26に落ち込まず小径リング19に均一に覆い被さることにより光ファイバに余分な圧力を加えない。大径の締め付けリング(大径リング)18は、光ファイバ、小径リング19及び張力補強部材を含む光ケーブルを、外皮の外側から締め付けるために使用される。なお、外皮を外した状態で、光ファイバ、小径リング19及び張力補強部材を締め付けてもよい。
【0021】
ユニブーツハウジング14は、全体として断面が長方形の角筒形状を有し、その後端に向かって径が縮小するテーパー部15を形成している。また、ユニブーツハウジング14は、その前方部分に、角筒状の断面の両サイドから前方に突出する平板形状のホルダ部16を有する。ホルダ部16の内側にはストッパ17が形成されている。
【0022】
コネクタハウジング20は、全体として略同形状の上板22と下板23とが、中央のセパレータ25によって結合された構造を有し、セパレータ25の両側の前方部分がフェルール36の収容空間を形成する。コネクタハウジング20の後方部分の上板22及び下板23は、ユニブーツハウジング14の内部壁に適合するテーパー形状を有し、その後方部分がユニブーツハウジング14内に収容される。コネクタハウジング20のセパレータ25の後端から後方に突出するファイバポスト21は、組み立てた状態で、ユニブーツハウジング14の後端から突出する。ファイバポスト21は、全体として円筒形状を有し、その側方部分に切欠き26が形成された構造を有する。このとき、コネクタハウジング20のバックポスト(ファイバポスト)21は、樹脂による一体成型でもよいが、光ケーブル40による引っ張り及び曲げ応力に対する強度を増すために、バックポスト(ファイバポスト)21自体には金属を用い、コネクタハウジング20の部分は樹脂として一体成型してもよい。
【0023】
コネクタハウジング20のバックポスト21には、軸方向に複数の段差が形成されている。この段差の形成により、小径リング19や大径リング18を締め付けた後に、これらリングがバックポスト21から抜け落ちることが防止できる。また、バックポスト21の両側に、光ファイバが横方向から挿入される断面が円形状の切欠き26を形成したことにより、光ファイバを小径リング19で「かしめ」によりバックポスト21に固定する際に、小径リング19が略楕円形状になり、小径リング19の回転が防止できる。
【0024】
コネクタハウジング20の上板22からは、上板22の幅と略同じ幅の係合つめ37が前方上側に向かって斜めに突出している。コネクタハウジング20の上板22及び下板23の内面の中央部分には、軸方向に凹凸が並ぶ段差24が形成されている。コネクタハウジング20の前方部分は、コネクタ本体31を収容するのに適した形状を有する。
【0025】
各コネクタ本体31は、全体として角筒形状のフェルールハウジング33を有し、その内部にフェルール36を収容している。コネクタ本体31の後端からはバックポスト(フェルールポスト)32が後方に突出している。フェルールポスト32は全体として円筒形状を有する。コネクタ本体31は、その後方部分がコネクタハウジング20の前方部分に収容される。フェルールポスト32は、軸方向に凹凸が並ぶ段差を有し、その段差は、コネクタ本体31がコネクタハウジング20に収容された際に、コネクタハウジング20内の上板及び下板の段差24と係合する。フェルール36は、フェルールハウジング33に収容されており、その後端は、フェルールハウジング33の後端から突出している。フェルール36の後端は、コネクタハウジング20の後方部の段差24とテーパー部分との間で光ファイバと接続されている。フェルールハウジング33の側部には、4角形状の切欠き孔38が形成されており、光コネクタを組み立てた状態では、この切欠き孔38がユニブーツハウジング14のホルダ部16のストッパ17に係合する。フェルールハウジング33の上面には、後方に延びる係合つめ35が形成されており、係合つめ35は組み立てた状態でコネクタハウジング20の係合つめ37と係合する。
【0026】
図2は、上記光コネクタ10と光ケーブル40とが接続された光コネクタ組立体を示している。以下、図1及び図2を参照して、光コネクタ10に光ケーブル40を接続した状態について説明する。光ケーブル40の外皮は、ユニブーツ11の先端とほぼ同じ位置で光ケーブルから除かれている。光ケーブル内の2本の光ファイバは、ユニブーツハウジング14の後端から突出するファイバポスト21の側方の切欠きから収容され、その外側から小径リング19で締め付けられ、コネクタハウジング20に固定される。コネクタハウジング20は、その後方部分がユニブーツハウジング14内に収容され、テーパー部分がユニブーツハウジング14のテーパー部15とフィットしている。2本の光ファイバの先端はそれぞれ、コネクタハウジング20のテーパー部分と段差24との間の部分でフェルール36に接続されている。
【0027】
光ケーブル40の張力補強部材は、外皮の先端部分から露出する位置で、又は、外皮と共に大径リング18内に収容され、大径リング18と小径リング19との間でかしめによって締め付けられている。各コネクタ本体31のフェルールハウジング33は、フェルール36を内部に収容し、且つ、コネクタハウジング20内に収容されている。コネクタ本体31のフェルールポスト32は、その外周部分の段差が、コネクタハウジング20の上板22及び下板23の段差と係合することで、フェルールハウジング33がコネクタハウジングに軸方向に係止される。フェルールハウジング33の切欠き孔38は、ユニブーツハウジング14のホルダ部16のストッパ17と係合する。
【0028】
図3は、図2の状態の光ファイバ組立体の外装部分を、軸方向先端側から後端方向に見たA−A’矢視図で示している。コネクタハウジング20は、上板22、下板23、及び、これらをつなぎ垂直方向に延びるセパレータ25からなる。また、上板22及び下板23には、その両端に突起27が形成されている。突起27は、フェルールハウジング33を横方向外側から挟んで、フェルールハウジング33の横方向の移動を制限する。突起27は、また、ユニブーツハウジング14のホルダ部16を、軸方向と直交する方向に上下方向に挟んでいる。ホルダ部16のストッパ17は、フェルールハウジング33の切欠き孔38内に挿入されて、フェルールハウジング33の軸方向及び垂直方向の移動を制限している。このような構造により、ユニブーツハウジング14、コネクタハウジング20及びコネクタ本体が一体的に結合される。
【0029】
図4は、上記実施形態の変形例を示すもので、図3に示した一体構造の一部を変更した例を示している、本変形例では、図3のコネクタハウジング20における、上面が平坦な突起27に代えて、内側から外側に向かって突出寸法が大きくなるような傾斜を有する突起27aが形成されている。ユニブーツハウジング14のホルダ部16の、突起27aと対向する部分にもこれに適合する傾斜が形成されている。突起27aの傾斜は、ホルダ部16の外側への広がりを制限するストッパとして働く。このストッパとしての機能により、ユニブーツハウジング14、コネクタハウジング20及びコネクタ本体の一体的な結合が更に向上する。
【0030】
図5は、図3の更に別の変形例である。本変形例では、図4の傾斜を有する突起27aに代えて、軸方向と直交する方向の横寸法が小さな突起27bが形成されている。ユニブーツハウジング14のホルダ部16は、コネクタハウジング20の上板22及び下板23に直接に接触する部分に、外壁部分が切り欠かれた形状の段差が形成されている。ホルダ部16は、その段差の部分で突起27bと係合し、軸方向と直交する横方向への移動が制限される。
【0031】
図6は、図3の更に別の変形例である。本変形例では、図3における上板22とホルダ部16とを一体的に形成する。図6では、上板22の幅を、図3の状態よりもホルダ部16の高さだけ大きな寸法とし、それを90°に折り曲げ可能とする。上板22を水平とした状態で、ユニブーツハウジング20のホルダ部16を挿入し、その後に上板を90°折り曲げて、その先端部分を下板23の係止具28によって係止する。これによって、コネクタハウジング20とユニブーツハウジングとが軸方向と直交方向に結合される。なお、90°に折り曲げた構造を最初から採用し、ユニブーツハウジング14及びフェルールハウジング33を軸方向から挿入する構造としてもよい。
【0032】
上記実施形態の光コネクタ及び光コネクタ組立体は、フェルールポスト32の段差とコネクタハウジング20の段差24との係合、フェルールハウジング33の係合つめ35とコネクタハウジング20の係合つめ37との係合、及び、フェルールハウジング33の切欠き孔38とユニブーツハウジング14のストッパ17との係合により、ユニブーツハウジング14とコネクタハウジング20とコネクタ本体31との間で充分な軸方向の係止力が得られる。また、コネクタハウジング20の側方を開放して、コネクタ本体31がコネクタハウジング20の側方開口から着脱できるようにしたので、光ファイバとフェルール36とを接続する接続作業、及び、接続後の光ファイバ及びコネクタ本体31のコネクタハウジング20への着脱が容易になる。
【0033】
また、締め付けリングを、光ファイバ締め付け用の小径リング19と、光ファイバ及び張力補強部材締め付け用の大径リング18の2種類とした構成により、光ケーブル40とコネクタハウジング20との間、及び、光ファイバとコネクタハウジング20との間の引っ張り強度が高まる。特に細径の光ファイバでは、光ファイバと張力補強材とを1つの締め付けリングでファイバポスト21に締め付ける従来の構造では、十分な機械的強度が得られ難かった。しかし、上記実施形態の構造を採用することにより、十分な機械的強度が得られる。なお、大径リング18は、光ファイバを含む小径リング19、張力補強部材及び外皮の全体を締め付ける大きさの直径を有してもよい。
【0034】
ユニブーツ11とユニブーツハウジング14との間には結合部材を有しない例を示したが、ユニブーツ11の後方部分がユニブーツハウジング14の後方部分を収容する構成など、双方を緩やかに結合する構成を採用してもよい。
【0035】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る光コネクタの展開斜視図である。本実施形態の光コネクタは、第1の実施形態におけるホルダ部16のストッパ17及びコネクタハウジング20の切欠き孔38に代えて、コネクタハウジング20に係合突起41を、ユニブーツハウジング14に係合穴42を形成した例である。係合突起41は、コネクタハウジング20の上板22及び下板23のそれぞれに2つずつ形成されており、後方に向かって高さが小さくなる、軸方向と直交する方向の断面が三角形状を有する三角柱の形状を有する。ユニブーツハウジング14の上板及び下板には、それぞれ係合突起41に適合する係合穴42が形成されている。また、その係合穴42に軸方向に整列して、係合突起41が軸方向にスライド可能な軸方向溝43が形成されている。ユニブーツハウジング14内に、コネクタハウジング20を挿入する際に、係合突起41は、軸方向溝43内をスライドし、挿入の最終段階で、係合穴42内に収容される。この構成によって、ユニブーツハウジング14とコネクタハウジング20とが、軸方向及び軸方向と直交方向に一体的に結合可能となる。
【0036】
本発明を特別に示し且つ例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明は、その実施形態及びその変形に限定されるものではない。当業者に明らかなように、本発明は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
10:光コネクタ
11:ユニブーツ
12:ユニブーツの後方部分
13:ユニブーツの前方部分
14:ユニブーツハウジング
15:テーパー部
16:ホルダ部
17:ストッパ
18:大径リング(大径の締め付けリング)
19:小径リング(小径の締め付けリング)
20:コネクタハウジング
21:ファイバポスト(バックポスト)
22:上板
23:下板
24:段差
25:セパレータ
26:切欠き
27、27a、27b:突起
28:係止具
31:コネクタ本体
32:フェルールポスト(バックポスト)
33:フェルールハウジング
35:係合つめ
36:フェルール
37:係合つめ
38:切欠き孔
40:光ケーブル
41:係合突起
42;係合穴
43;軸方向溝
50:光コネクタ
51:ユニブーツ
52:ユニブーツハウジング
53:ファイバポスト(バックポスト)
55:クリンプスリーブ
56:クリンプリング
57:コネクタハウジング
58:セパレータ
59:フェルールポスト
60:コネクタ本体
61:係合つめ
62:フェルール
63:フェルールフランジ
64:スプリング
65:エクステンダキャップ
66:係合つめ
67:フェルールハウジング
68:ダストキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる少なくとも1つの光ファイバ、該光ファイバと平行に延び該光ファイバを補強する張力補強部材、及び、前記光ファイバ及び張力補強部材の周囲を覆う外皮を有する光ケーブルと、該光ケーブルの軸方向先端に接続される光コネクタとから成る光コネクタ組立体であって、前記光コネクタが、
前記光ファイバに対応して配設され、光出射端を構成する先端と前記光ファイバの先端に接続される後端とを有するフェルールと、該フェルールを内部に収容し後端から該フェルールの後端が突出するフェルールハウジングとを有する少なくとも1つのコネクタ本体と、
前記コネクタ本体の少なくとも後方部分を収容するコネクタ本体収容空間と、前記光ファイバが挿入されるファイバポストと、軸方向に見て前記コネクタ本体収容空間と前記ファイバポストとの間に配設され前記フェルールと光ファイバとが接続される接続部を収容する接続部収容空間とを有するコネクタハウジングと、
前記ファイバポスト内に挿入された光ファイバの部分を前記ファイバポストと一体的に締め付ける第1の締め付けリングと、
前記光ケーブルの少なくとも張力補強部材を、前記光ファイバ、ファイバポスト及び第1の締め付けリングと一体的に締め付ける第2の締め付けリングと、を備えることを特徴とする光コネクタ組立体。
【請求項2】
前記コネクタハウジングの後方部分を収容するユニブーツハウジングを更に備え、該ユニブーツハウジングは、前記コネクタハウジングの開口から露出する前記フェルールハウジングの部分を少なくとも軸方向に係止するストッパを有する、請求項1に記載の光コネクタ組立体。
【請求項3】
前記ファイバポストは、全体の断面が略円形状を有し、該円形状断面の内部に形成され、光ファイバの直径に適合し且つ光ファイバが軸方向と直交方向に挿入可能なた円形状の切欠きを有する、請求項1又は2に記載の光コネクタ組立体。
【請求項4】
前記ファイバポストに軸方向に1つ以上の段差が形成される、請求項1〜3の何れか一に記載の光コネクタ組立体。
【請求項5】
前記コネクタ本体は、前記フェルールと前記光ファイバとが接続され且つ前記ユニブーツハウジングと前記コネクタハウジングとが離脱した状態で、前記コネクタハウジングの開口を経由して軸方向と略直交方向に着脱可能である、請求項1〜4の何れか一に記載の光コネクタ組立体。
【請求項6】
前記フェルールハウジングと前記コネクタハウジングとが、前記コネクタハウジングの内壁に形成された軸方向の段差と、前記フェルールハウジングに形成された対応する軸方向の段差とにより相互に係止される、請求項5に記載の光コネクタ組立体。
【請求項7】
軸方向に延びる少なくとも1つの光ファイバ、該光ファイバと平行に延び該光ファイバを補強する張力補強部材、及び、前記光ファイバ及び張力補強部材の周囲を覆う外皮を有する光ケーブルと、該光ケーブルの軸方向先端に接続される光コネクタとから成る光コネクタ組立体であって、前記光コネクタが、
前記光ファイバに対応して配設され、光出射端を構成する先端と前記光ファイバの先端に接続される後端とを有するフェルールと、該フェルールを内部に収容しフェルールの後端が後端から突出するフェルールハウジングとを有する少なくとも1つのコネクタ本体と、
前記コネクタ本体の少なくとも一部を収容するコネクタ本体収容空間と、該コネクタ本体収容空間の後方に前記光ファイバに対応して配設され、前記光ファイバを収容するファイバポストと、軸方向に見て前記コネクタ本体収容空間と前記ファイバポストとの間に配設され前記フェルールと光ファイバとの接続部を収容可能な接続部収容空間とを有するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの開口から露出する前記コネクタ本体の一部を覆って、前記コネクタハウジングの後方部分を収容するユニブーツハウジングと、を備え、
前記コネクタ本体は、前記フェルールと前記光ファイバとが接続され且つ前記ユニブーツハウジングと前記コネクタハウジングとが離脱した状態で、前記コネクタハウジングの開口を経由して軸方向と略直交方向に前記コネクタハウジングから着脱可能であることを特徴とする光コネクタ組立体。
【請求項8】
光出射端を構成する先端と光ファイバの先端に接続可能な後端とを有するフェルールと、該フェルールを内部に収容し後端から前記フェルールの後端が突出するフェルールハウジングとを有する少なくとも1つのコネクタ本体と、
前記コネクタ本体に対応して配設され、該コネクタ本体の少なくとも一部を収容するコネクタ本体収容空間と、前記光ファイバを収容可能なファイバポストと、軸方向に見て前記コネクタ本体収容空間と前記ファイバポストとの間に配設され前記フェルールと光ファイバとが接続される接続部を収容する少なくとも1つの接続部収容空間とを有するコネクタハウジングと、
前記ファイバポストに光ファイバが収容されたときに、該光ファイバと前記ファイバポストとを一体的に締め付け可能な内径を有する第1の締め付けリングと、
光ケーブルの少なくとも張力補強部材を、前記光ファイバ、ファイバポスト及び第1の締め付けリングと一体的に締め付け可能な内径を有する第2の締め付けリングと、を備えることを特徴とする光コネクタ。
【請求項9】
光出射端を構成する先端と光ファイバの先端に接続可能な後端とを有するフェルールと、該フェルールを内部に収容し後端から前記フェルールの後端が突出するフェルールハウジングとを有する少なくとも1つのコネクタ本体と、
前記コネクタ本体の少なくとも一部を収容するコネクタ本体収容空間と、前記光ファイバを収容可能なファイバポストと、軸方向に見て前記コネクタ本体収容空間と前記ファイバポストとの間に配設され前記フェルールと光ファイバとが接続される接続部を収容する接続部収容空間とを有するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの開口から露出する前記コネクタ本体の部分を覆いつつ、前記コネクタハウジングの後方部分を収容するユニブーツハウジングと、を備え、
前記コネクタ本体は、前記フェルールと前記光ファイバとが接続され且つ前記ユニブーツハウジングと前記コネクタハウジングとが離脱した状態で、前記コネクタハウジングの開口を経由して軸方向と略直交方向に前記コネクタハウジングから着脱可能であることを特徴とする光コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−75743(P2011−75743A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225776(P2009−225776)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(509168933)株式会社扇港産業 (2)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(598117171)アクセスケーブル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】