説明

光ディスク金型及びその製造方法

【課題】溶射法で形成された保熱表面層を有する光ディスク金型を提供する。
【解決手段】本発明に係る光ディスク金型40は、第1型板44と、第1型板44との間にキャビティー部48を形成するように配置されており、キャビティー部48側の表面に第1保熱表面層46が設けられている第2型板42と、第1型板44と第1保熱表面層46との間に設けられており、表面に微細構造パターンが設けられているスタンパー43と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの金型に関し、特には溶射法により形成された保熱表面層を有し、転写性に優れ、かつ、製造に要するサイクル時間の短い光ディスク金型に関する。
【背景技術】
【0002】
光記録技術とディスク書き込み技術の飛躍的な発展に伴い、CDおよびDVDなどの光ディスクは従来のフロッピー(登録商標)ディスク、カセットテープおよびビデオテープに取って代わっている。光記録媒体は記録容量、データ安定の信頼性及び携帯性に優れているため、現在最も普及している記録媒体となっている。その種類は、CD−ROM、CD−DA、CD−I、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RWなどがある。
【0003】
図1を参照する。図1は従来のDVD10の断面図である。DVD10は、直径120mm、厚さ0.6mmのプラスチック基板11、18を含む。そのうちプラスチック基板11は、基板12と、反射層14と、金属薄膜16とを含む。その製造について説明する。まず、射出成型法により可塑性材料から透明基板を作製し、作製した基板12に、図に示すような凹部13を形成する。その後、レーザー信号から変調されたDVD形式の信号を記録するための反射層14を基板12の上にメッキする。基板を乾燥した後、スパッタリング法で金属薄膜16を基板12の上に形成する。最後に、更に2枚のプラスチック基板11、18をラミネート法または接着法で張り合わせ、にディスクの表面にラベルを印刷すれば、DVD10の製造は完了する。
【0004】
図2を参照する。図2は従来の光ディスク射出成形用金型20の断面図である。図2に示すように、光ディスク射出成形用金型20は、可動側型板22と、固定側型板24と、複数の冷却水路26を含み、光ディスク射出成形用金型20によって製造される製品の形状は、両型板22、24間のキャビティー部28の形状によって定められる。キャビティー部28は、対称中心27を軸としてほぼ対称となっており、この対称中心27は溶融状態の可塑性材料の中心とほぼ一致している。光ディスク射出成形用金型20は、更に、溶融状態の可塑性材料(以下、溶融可塑性材料と略す)をキャビティー部28内に導入するためのスプルー21を備えている。冷却水路26は両型板22および24の中に設けられており、光ディスク射出成形用金型20の温度を相対的に低く保持し、キャビティー部28内の可塑性材料の温度を低くする効果がある。
【0005】
光ディスクのデータ記録基板など高精密度の製品には、一般的に、その表面に微細構造パターンが形成されている。したがって、製品とその表面のパターンとを射出成型法により同時に製造するためには、光ディスク射出成形用金型20のキャビティー部28の固定側型板24側表面に、スタンパー23を設けることが一般的である。スタンパー23の表面には微細構造パターン(非表示)が形成されており、このパターンは射出成形とともに基板に転写される。光ディスクなどの高精密度製品に用いられるパターンは、極めて微細なものである。そのため、スタンパー23は、化学的エッチング法、またはフォトリソグラフィー法および電鋳法により形成されることが一般的である。
【0006】
上述した光記録媒体の射出成形技術は、周期的な処理である。まず可動側型板22と固定側型板24とを貼り合わせる。次に、ポリカーボネート樹脂などの高温の溶融可塑性材料をスプルー21を通して相対的に低温の光ディスク射出成形用金型20に充填すると同時に、圧力(一般的には「充填圧力」と称する)をかけて可塑性材料を収縮させる。この処理を、熱プレス成形処理とも称する。その後、一定時間冷却させることによって、高温の溶融可塑性材料を冷却しつつ、徐々に固化させた後、金型を分離して製品を離型させる。
【0007】
当業者に周知のように、射出成形プロセスにおいて、溶融可塑性材料と金型の接触部の温度変化は、製品の品質を左右する一因である。図3を参照する。図3は、従来の金型における溶融可塑性材料の温度分布曲線を示すグラフである。そのうち横軸はスタンパーから溶融可塑性材料の中心までの距離を示し、縦軸は時間と共に変化する溶融可塑性材料の温度を示している。複数の曲線は、異なる時間の温度分布曲線を示す。曲線1、曲線2、曲線3、曲線4、曲線5と曲線6は、それぞれ、溶融可塑性材料の充填後0.01秒、0.055秒、0.24秒、0.55秒、1.0秒、2.0秒の溶融可塑性材料の温度を示す。図3に示すように、従来の技術によれば、溶融可塑性材料を相対的に低温の金型に充填した後、金型付近の溶融可塑性材料(すなわち、中心軸から300μmの部分における溶融可塑性材料)の温度は急速に降下する。これにより、溶融可塑性材料の熱が金型に導かれ、溶融可塑性材料が固化する。
【0008】
しかし、このような従来の技術には解決すべき欠点がある。というのは、溶融材料と金型の接触部との温度(以下、「境界温度」とも称する)の降下が早すぎる場合、射出成形プロセスにおいて、より高い充填圧力を加えなければならない。そうすると操業コストが増加するだけでなく、製品の形状が予定通りにならない場合も多々生じてしまう。
【0009】
境界温度の急速な降下、および射出成形品の不具合の発生を避けるため、従来は、金型の冷却システムに着眼して改良することが多い。つまり、金型の初期温度をわずかながら高くすることにより、金型と溶融可塑性材料との初期温度差を小さくしている。しかし、このような方法では、射出成形プロセスのサイクル時間を伸ばす必要があるため、生産量が低下するという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主たる目的は、上述した従来の問題を解決するために、溶射法により形成された保熱表面層を有する光ディスク金型を提供することである。これによって、転写性を向上させると共に、光ディスクを製造に要するサイクル時間を短縮することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光ディスクの金型は、第1の型板と、第1の型板との間にキャビティー部を形成するように配置された、キャビティー部側の表面に第1の保熱表面層が設けられている第2の型板と、第1の型板と第1の保熱表面層との間に設けられた、表面に微細構造パターンが設けられているスタンパーと、を備えている。
【0012】
本発明は、更に、光ディスクの金型の製造方法を提供する。該製造方法は、成形される光ディスクの形状と同一の形状を有するキャビティー部を形成する第1の型板と第2の型板とを用意するステップと、第1の溶射プロセスにより第2の型板のキャビティー部側の表面に第1の保熱表面層を形成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光ディスク金型は、溶射法で形成された保熱表面層を有している。熱伝導性の低い保熱表面層は、溶融可塑性材料を充填するときに、その熱をしばらく保持し、溶融可塑性材料と金型の接触部との温度を高くする効果がある。したがって、金型に接触している溶融可塑性材料の境界部の急速な固化により応力が残る現象は解消されるため、金型の転写性が向上する。なお、溶融可塑性材料の温度は充填された後に安定かつ迅速に降下できるので、高温充填・低温冷却が好まれる射出成形法に適している。そのため、本発明は光ディスクの製造に要するサイクル時間を短縮し、製品の強度及び外形を最適化することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
かかる装置及び方法の特徴を詳述するために、具体的な実施例を挙げ、図を参照にして以下に説明する。
【0015】
〔実施例1〕
図4から図7を参照する。図4から図7は、本発明の実施例1に係る保熱表面層46を有する光ディスク金型40の製造方法を示す図であり、そのうち同様の部材は同一の番号で示されている。注意すべきは、これらの図示は本発明を説明するためのものであり、部材間の寸法関係は実物と異なる場合がある。図4から図7に示す光ディスク金型40は、本発明を説明するために簡素化されたものである。光ディスク金型40は、ロケットリング、スプルーブッシュ、リターンピン、支持材、ノックアウトピン、スプルーなどの部品を含み、その種類は、部材の組み合わせ方によって、単一スプルー式、3プレート式、簡易型、自動化型または多重キャビティー式に分けられる。
【0016】
まず、図4に示すように、第1型板44および第2型板42を用意する。第2型板42は、研磨法で形状と厚さを定めた後に粗面化・洗浄されたものであり、そのキャビティー部48に隣接する領域は洗浄された粗面422である。第1型板44は第2型板42の上方に配置されており、第2型板42と、第1型板44との間には、キャビティー部48が形成されている。上述した従来の技術と同じく、光ディスク金型40は少なくとも1本のスプルー(非表示)と少なくとも1つの冷却システム(非表示)を含む。スプルーは、溶融可塑性材料をキャビティー部48内に導くためのものであり、冷却システムは光ディスク金型40の温度を相対的に低く保持し、キャビティー部48内の溶融可塑性材料の温度を低くする効果がある。第1型板44および第2型板42は、鋼材またはその他熱伝導性に優れた材料からなる。
【0017】
続いて、図5に示すように、溶射法による成膜工程を行い、結合層462、断熱層464および第1平滑層466を第2型板42の粗面422に順次形成する。結合層462は、酸化ジルコニウムまたはアルミニウム・ニッケル合金などの金属材料またはセラミック材料からなり、第2型板42の粗面422を第1保熱表面層46に密着させる機能を有している。その厚さは、約50μmである。酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウムなどのセラミック材料からなる断熱層464は、光ディスク金型40より熱伝導係数が低く、その厚さは100〜1000μm、望ましくは150〜250μmである。第1平滑層466は、炭化タングステンまたは珪化アルミニウムなどの緻密な材料からなり、その厚さは約50μmである。もっとも、当業者に周知のように、本発明による第1保熱表面層46の細部構造および厚さは、上記に限らず、光ディスク金型40の設計条件によって変更することが可能である。なお、第1平滑層466を形成した後、それを更に研磨して平坦化することも可能である。
【0018】
続いて、図6に示すように、CVD(化学的気相成長法)または成膜工程を行い、第1平滑層466の表面に第2平滑層468を形成する。第2平滑層468はDLC(ダイヤモンドライクカーボン)や窒化チタン(TiN)などの緻密な材料からなり、その厚さは約2μmである。本実施例では、結合層462、断熱層464および第1平滑層466は溶射法により形成されるが、第1平滑層468はそれに限られるものではない。
【0019】
最後に、図7に示すように、第2型板42または第1型板44のキャビティー部48側の表面にスタンパー43を設け、光ディスク金型40の製造を完了する。本実施例は、スタンパー42を第2型板42の第1保熱表面層46の上に設ける構造を例に挙げている。スタンパー43の表面には、微細構造パターン(非表示)が形成されている。このパターンは、化学的エッチングまたはフォトリソグラフィー法および電鋳法により形成されることが一般的である。スタンパー43は、第2型板42の上に接着もしくははめ込まれるか、または第2型板42の上に直接に形成されていてもよい。キャビティー部48の形状は、所望する光ディスクの形状と同じであり、対称中心47を軸としてほぼ対称となっている。この対称中心47は溶融可塑性材料の中心とほぼ一致している。
【0020】
前述のとおり、溶融可塑性材料と光ディスク金型40との接触部の温度変化は、製品の品質を左右する一因である。本発明に係る光ディスク金型の温度変化については、図8から図10を参照する。図8から図10は、溶融可塑性材料の熱伝導係数を0.204W/m℃とし、密度を1194.8kg/mとし、比熱を1384J/kg℃とし、光ディスク金型40の熱伝導係数を20W/m℃とし、密度を7740kg/mとし、比熱を460J/kg℃とし、スタンパー43の熱伝導係数を10.9W/m℃とし、密度を8080kg/mとし、比熱を462J/kg℃とし、セラミック材料の熱伝導係数を1.8W/m℃とし、密度を6000kg/mとし、比熱を400J/kg℃とし、更に第1型板44および第2型板42の初期温度を107℃とし、溶融材料の初期温度を340℃とした場合における、有限元素分析ソフトANSYSで分析した結果を示す。
【0021】
図8は、本発明の実施例1に係る光ディスク金型40における溶融可塑性材料の温度分布曲線を示すグラフである。そのうち、横軸はスタンパー43から溶融可塑性材料の中心までの距離を示し、縦軸は時間と共に変化する溶融可塑性材料の温度を示す。複数の曲線は、異なる時間の温度分布曲線を示す。曲線101、曲線102、曲線103、曲線104、曲線105と曲線106は、それぞれ、溶融可塑性材料を充填した後0.01秒、0.055秒、0.24秒、0.55秒、1.0秒、2.0秒の溶融可塑性材料の温度を示す曲線である。図8に示すように、溶融可塑性材料と光ディスク金型40とがはじめて接触するとき、すなわち溶融可塑性材料の充填後0.01秒のとき、光ディスク金型40付近の溶融可塑性材料(中心軸から300μmの部分の溶融可塑性材料)の温度は急速に降下している。0.01秒〜0.055秒の間において、光ディスク金型40付近の溶融可塑性材料(中心軸から300μmの部分の溶融可塑性材料)の温度は、溶融可塑性材料自体の熱を受けて上昇している。0.055秒以降、溶融可塑性材料の熱は光ディスク金型40に導かれるため、溶融可塑性材料の各部(中心軸から0〜300μmの部分の溶融可塑性材料)の温度は、安定的に降下し、徐々に固化する。図3と比べ、同様の動作条件のもとでは、本発明に係る第1保熱表面層46を有する光ディスク金型40は、溶融可塑性材料と光ディスク金型40との初期接触温度が高いため、充填後の溶融可塑性材料の温度を安定的に降下させることができる。そのため、本発明に係る第1保熱表面層46を有する光ディスク金型40を使用すれば、光ディスク金型40の初期温度を低くするように冷却システムを調整し、後の離型処理を容易にすることができる。そうすると、光ディスク金型40の転写性は向上し、光ディスクの製造に要するサイクル時間を短縮することができる。
【0022】
図9は溶融可塑性材料の充填後0.24秒における、光ディスク金型40の温度分布曲線を示すグラフであり、図10は溶融可塑性材料の充填後0.55秒における、光ディスク金型40の温度分布曲線を示すグラフである。そのうち横軸は光ディスク金型40の第1保熱表面層46の厚さを示し、縦軸は溶融可塑性材料と光ディスク金型40との接触部における温度を示す。図9および図10に示すように、接触部における温度は、第1保熱表面層46の厚さの増加に伴って上昇する。第1保熱表面層46の厚さが400μm以下の場合、接触部における温度は急激に上昇する。一方、第1保熱表面層46の厚さが400μm以上の場合、接触部における温度の上昇は平穏である。言い換えれば、第1保熱表面層46を厚くすれば温度上昇効果が低下し、薄くすると温度は小幅にしか上昇しない。そのため、本発明における第1保熱表面層46の厚さは100〜800μm、特には400μmに設定することが望ましい。現行の標準寸法の光ディスクを成形する光ディスク金型40に、厚さ400μmの第1保熱表面層46を設けると、接触部における温度は従来の123.7℃から131.3℃になり、7.6℃増となる。もっとも、当業者に周知のように、第1保熱表面層46の厚さは、金型の種類、製品の設計、原料の特性及び動作温度に応じて調整することが可能である。
【0023】
〔実施例2〕
図11を参照する。図11は、この発明の実施例2に係る保熱表面層56を有する光ディスク金型50の断面図である。図11に示すように、光ディスク金型50は、第一型板54と、第2型板52と、キャビティー部58と、第1保熱表面層56と、スタンパー53とを含んでいる。本実施例では、第1保熱表面層56は、主として熱伝導係数の低い断熱層564を含み、その他結合層、第1平滑層、第2平滑層の設置は任意である。例えば、第1保熱表面層56が断熱層564および第1平滑層566を有し、結合層および第二平滑層を省略することも可能である。断熱層564の厚さは100〜1000μm、望ましくは100〜400μmである。第1平滑層566は、炭化タングステンや珪化アルミニウムなどの緻密な材料からなり、その厚さは約50μmである。
【0024】
〔実施例3〕
第1型板および第2型板に、第2保熱表面層および第1保熱表面層がそれぞれ形成されている場合も本発明の範囲に含まれる。図12を参照する。図12は本発明の実施例3に係る保熱表面層66a、66bを有する光ディスク金型60の断面図である。図12は簡素化された光ディスク金型60を示している。図12に示すように、光ディスク金型60は、第1型板64と、第2型板62と、キャビティー部68と、第1保熱表面層66aと、第2保熱表面層66bと、スタンパー63とを含んでいる。第2型板62および第1型板64は、それぞれ、洗浄された粗面622、642を有しており、粗面622、642はキャビティー部68に隣接している。粗面622、642には、上述した溶射法で形成された第1保熱表面層66a、第2保熱表面層66bがそれぞれ設けられている。第1保熱表面層66aおよび第2保熱表面層66bは、いずれも、熱伝導係数の低い保熱材料から形成されており、その厚さは50〜1000μmである。
【0025】
上述した溶射プロセスは、原料溶融、顆粒加速、顆粒衝突、固化成形などの工程を含む。言い換えれば、まず固体原料を液体に溶融し、その顆粒を加速させ、第2型板の表面に衝突させる。そうすると、溶融した顆粒は第2型板の粗面に付着し、保熱表面層として急速に固化する。溶射工程は、原料溶融に用いられる熱源により、プラズマ溶射、高速酸素燃料溶射(HVOF)、燃焼フレーム溶射及びアーク溶射に分けられる。本発明はそのいずれか、またはその全部を統合した方法を利用する。例えば、粉末原料はプラズマ溶射、HVOFまたは燃焼フレーム溶射に適するが、アーク溶射に適しない。線状原料はプラズマ溶射とHVOFに適しない。溶射プロセスは、保熱表面層の形成が容易であり、安定した構造の保熱表面層を形成することを特徴とする。それと比べて、電気メッキ法は基板に薄い膜しか形成できず、所望の厚さを満足することができない。そのほか、断熱体をはめ込む方法は複雑であるのみならず、それによって作られた構造は、安定性および温度制御性において溶射法より劣っている。
【0026】
以上は、本発明に好ましい実施例であって、この発明の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、この発明の精神の下においてなされ、この発明に対して均等の効果を有するものは、いずれもこの発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、従来の溶射法を用いて金型に保熱表面層を形成することを特徴としている。かかる技術は実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来のDVDの断面図である。
【図2】従来の光ディスク射出成形用金型の断面図である。
【図3】従来の金型における溶融可塑性材料の温度分布曲線を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施例に係る保熱表面層を有する光ディスク金型の製造方法を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る保熱表面層を有する光ディスク金型の製造方法を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る保熱表面層を有する光ディスク金型の製造方法を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る保熱表面層を有する光ディスク金型の製造方法を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例における光ディスク金型における溶融可塑性材料の温度分布曲線を示すグラフである。
【図9】本発明の第1の実施例における、溶融可塑性材料の充填後0.24秒のときの光ディスク金型の温度分布曲線を示すグラフである。
【図10】本発明の第1の実施例における、溶融可塑性材料の充填後0.55秒のときの光ディスク金型の温度分布曲線を示すグラフである。
【図11】本発明の第2の実施例に係る保熱表面層を有する光ディスク金型の断面図である。
【図12】本発明の第3の実施例に係る保熱表面層を有する光ディスク金型の断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 DVD
11、18 プラスチック基板
12 基板
13 凹部
14 反射層
16 金属薄膜
20 光ディスク射出成形用金型
21 スプルー
22 可動側型板
23、43、53、63 スタンパー
24 固定側型板
26 冷却水路
27、47 対称中心
28、48、58、68 キャビティー部
40、50、60 光ディスク金型
42、52、62 第2型板
44、54、65 第1型板
46、56、66 第1保熱表面層
66b 第2保熱表面層
422、622、642 粗面
462 結合層
464、564 断熱層
466、566 第1平滑層
468 第2平滑層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの金型であって、
第1の型板と、
前記第1の型板との間にキャビティー部を形成するように配置されており、前記キャビティー部側の表面に第1の保熱表面層が設けられている第2の型板と、
前記第1の型板と前記第1の保熱表面層との間に設けられており、表面に微細構造パターンが設けられているスタンパーと、
を備えていることを特徴とする光ディスクの金型。
【請求項2】
前記キャビティー部の形状は、成形される光ディスクの形状と同一であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクの金型。
【請求項3】
前記第1の保熱表面層は、セラミック材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の光ディスクの金型。
【請求項4】
前記第1の保熱表面層は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の光ディスクの金型。
【請求項5】
前記第1の保熱表面層は、結合層、断熱層、第1の平滑層及び第2の平滑層を含むことを特徴とする請求項1に記載の光ディスクの金型。
【請求項6】
前記断熱層は前記結合層の上に形成されており、前記第1の平滑層は前記断熱層の上に形成されており、前記第2の平滑層は前記第1の平滑層の上に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の光ディスクの金型。
【請求項7】
前記結合層は、金属材料またはセラミック材料を含むことを特徴とする請求項5に記載の光ディスクの金型。
【請求項8】
前記断熱層は、セラミック材料を含むことを特徴とする請求項5に記載の光ディスクの金型。
【請求項9】
前記第1の平滑層は、炭化タングステンを含むことを特徴とする請求項5に記載の光ディスクの金型。
【請求項10】
前記第2の平滑層は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜または窒化チタンを含むことを特徴とする請求項5に記載の光ディスクの金型。
【請求項11】
前記第1の型板の前記キャビティー部側の表面には、第2の保熱表面層が設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクの金型。
【請求項12】
光ディスクの金型の製造方法であって、
成形する光ディスクと同一の形状を有するキャビティー部を形成する第1の型板と第2の型板とを用意するステップと、
第1の溶射プロセスにより前記第2の型板の前記キャビティー部側の表面に、第1の保熱表面層を形成するステップと、
を含むことを特徴とする光ディスクの金型の製造方法。
【請求項13】
前記第1溶射プロセスは、プラズマ溶射、高速酸素燃料溶射(HVOF)、燃焼フレーム溶射またはアーク溶射を含むことを特徴とする請求項12に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項14】
前記第1の保熱表面層は、前記第2の型板の粗面に形成されることを特徴とする請求項12に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項15】
前記第1の保熱表面層を研磨するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項16】
前記第1の溶射プロセスの後に、スタンパーを設けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項17】
前記スタンパーは、前記第1の型板と前記第1の保熱表面層との間に設けられており、その表面には微細構造パターンが設けられていることを特徴とする請求項16に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項18】
前記第1の保熱表面層は、セラミック材料を含むことを特徴とする請求項12に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項19】
前記第1の保熱表面層は、結合層、断熱層及び第1の平滑層を含むことを特徴とする請求項12に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項20】
前記断熱層は、結合層の上に形成され、前記第1の平滑層は前記断熱層の上に形成されることを特徴とする請求項19に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項21】
前記結合層は、金属材料またはセラミック材料を含むことを特徴とする請求項19に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項22】
前記断熱層は、セラミック材料を含むことを特徴とする請求項19に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項23】
前記第1の平滑層は、炭化タングステンを含むことを特徴とする請求項19に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項24】
前記第1の平滑層を研磨するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項25】
化学的気相成長(CVD)法を用いて前記第1の平滑層の表面に第2の平滑層を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項26】
前記第2の平滑層は、DLC膜または窒化チタンを含むことを特徴とする請求項25に記載の光ディスクの金型の製造方法。
【請求項27】
第2の溶射プロセスにより前記第1の型板のキャビティー部側の表面に、第2の保熱表面層を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の光ディスクの金型の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−146808(P2008−146808A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265314(P2007−265314)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(506044801)達信科技股▲ふん▼有限公司 (10)
【Fターム(参考)】