光パルス試験器
【課題】多心光ファイバケーブルにおける試験対象の心線の指定を容易に行なうことができる光パルス試験器を提供する。
【解決手段】多心光ファイバの被測定心線に光パルスを入射し、入射端に戻ってくる光を時間領域で測定する測定処理部と、多心光ファイバの心線の識別子を一覧表示する表示部と、多心光ファイバの構造型に関する指定を受け付け、受け付けた構造型に対応した心線の配色情報の設定を受け付け、受け付けた配色情報に基づいて、一覧表示に色を付して表示部に表示させるユーザインタフェース部と、を備えた光パルス試験器。
【解決手段】多心光ファイバの被測定心線に光パルスを入射し、入射端に戻ってくる光を時間領域で測定する測定処理部と、多心光ファイバの心線の識別子を一覧表示する表示部と、多心光ファイバの構造型に関する指定を受け付け、受け付けた構造型に対応した心線の配色情報の設定を受け付け、受け付けた配色情報に基づいて、一覧表示に色を付して表示部に表示させるユーザインタフェース部と、を備えた光パルス試験器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パルス試験器に関し、特に、多心光ファイバケーブルにおける試験対象の心線の指定を容易に行なうことができる光パルス試験器に関する。
【背景技術】
【0002】
光信号によってデータ通信等を行なう光通信システムでは、光ファイバが光信号を伝送する媒体として用いられている。光ファイバの敷設、支障移転、保守等においては、光ファイバの断線、接続箇所の損失、反射等を評価する必要があるが、そのための測定器として光パルス試験器(OTDR:Optical Time Domain Reflectometer)が使用される。光パルス試験器は、被測定光ファイバに光パルスを入射し、入射端に戻ってくる光を時間領域で測定し、表示・解析等を行なう装置である。
【0003】
一般に、局間を結ぶ光ファイバは、多心の光ファイバケーブルが用いられており、使用環境、目的等に応じた種々の型が用意されている。代表的な型として、例えば、テープスロット型、層型、ユニット型が挙げられる。テープスロット型の光ファイバケーブルは、図11(a)に示すように、複数個のスロット(本図の例では、6個)を、芯となる鋼線であるテンションメンバの周囲に配置して構築したケーブルである。ここで、スロットは、2本/4本/8本の心線(本図の例では4本)を並べて構成したテープを、複数個(本図の例では5個)まとめたものである。
【0004】
また、層型の光ファイバケーブルは、図11(b)に示すように、テンションメンバの周りに6〜10本(本図の例では8本)の心線をまとめて構築したケーブルである。
【0005】
ユニット型の光ファイバケーブルは、図11(c)に示すように、テンションメンバの周りに6〜10本(本図の例では8本)の心線をまとめてユニットを構成し、複数個のユニット(本図の例では8個)をさらにテンションメンバの周りにまとめて構築したケーブルである。
【0006】
一般に、光ファイバケーブルの各心線の被覆には、心線を識別するために一定の規則にしたがった配色がなされている。例えば、あるメーカのテープスロット型の光ファイバケーブルでは、各テープの第1心は、青、黄、緑、赤、紫と配色されている。そして、第2心は全テープとも白、第3心は全テープとも茶、第4心は全テープとも灰が配色されている。また、スロットも青、黄、緑、赤、紫と配色されている。
【0007】
また、層型の各心線、およびユニット型のユニットの各心線は、青、黄、緑、赤、紫、白の順に配色され、ユニットについても青、黄、緑、赤、紫、白の順に配色される。色数よりも心線数、ユニット数が多い場合には、色が循環して用いられる。この場合、ユニット型における第2ユニットの第3心は、黄−緑と表現することができ、また、この表現によって心線を特定することができる。
【0008】
しかしながら、この配色規則は一例であり、光ファイバケーブルのメーカ、ベンダによって異なる規則が用いられている場合もある。このため、配色から心線を固定的に特定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−54224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
多心の光ファイバケーブルの敷設、工事、保守等に際し、光パルス試験器を用いた試験を行なう場合には、測定データを心線毎に管理する必要がある。このため、光パルス試験器に接続した試験対象の心線を特定し、特定した心線を光パルス試験器で指定しなければならない。
【0011】
従来、光パルス試験器においては、光ファイバケーブルの各心線に1、2、3等の数字や、1a、1b、1c等の記号を割り振って心線を識別し、データを管理していた。これらの数字や記号の識別子は、ユーザが独自に定める場合もあるが、配色とは別に、心線にあらかじめ付されている場合もある。
【0012】
図12は、各心線に識別子を割り振って心線を識別・管理する光パルス試験器の表示画面例を示している。本図の例では、光パルス試験器は、「1a」「1b」「1c」…の心線識別子を画面上に一覧表示する。そして、試験対象となる心線に割り当てられた識別子の指定をユーザから受け付けることで、測定データと心線の識別子とを対応付けるようにしている。
【0013】
例えば、テープスロット型におけるテープ内の心線(図11(a)の横方向)にa、b、c…のアルファベットを割り当て、テープ(同図縦方向)に1、2、3…の数字を割り当てるようにし、第1テープの第1心を試験対象とする場合には、「1a」のラベルを選択すればよい。これにより、測定データが、「1a」と対応付けて記録される。同様に、第2テープの第2心を試験対象とする場合には、「2b」のラベルを選択すればよい。これにより、測定データが、「2b」と対応付けて記録される。
【0014】
各心線に数字や記号の識別子が表示されていれば、試験対象の心線の識別子を、光パルス試験器に一覧表示された識別子の中から容易に指定することができる。しかしながら、識別子が表示されていない心線の場合は、例えば、青−青の心線を試験対象とする場合、配色規則にしたがって、青−青を「1a」に変換して光パルス試験器で識別子を指定する必要がある。
【0015】
上述のように、配色規則は光ファイバケーブルによって異なる場合もあるため、色から識別子への変換は、実際に用いられている光ファイバケーブルの配色規則にしたがわなくてはならない。このため、ユーザの負担が大きく、また、心線の指定の誤りも生じやすい。
【0016】
そこで、本発明は、多心光ファイバケーブルにおける試験対象の心線の指定を容易に行なうことができる光パルス試験器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の光パルス試験器は、多心光ファイバの被測定心線に光パルスを入射し、入射端に戻ってくる光を時間領域で測定する測定処理部と、前記多心光ファイバの心線の識別子を一覧表示する表示部と、前記多心光ファイバの構造型に関する指定を受け付け、受け付けた構造型に対応した心線の配色情報の設定を受け付け、受け付けた配色情報に基づいて、前記一覧表示に色を付して前記表示部に表示させるユーザインタフェース部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
ここで、前記ユーザインタフェース部は、前記表示部に表示した識別子の一覧から、測定対象とする心線の指定を受け付けることができる。
【0019】
また、前記多心光ファイバの構造型に関する指定には、列数と行数の指定が含まれ、前記心線の配色情報の設定は、行、列に対する配色パターンの設定とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多心光ファイバケーブルにおける試験対象の心線の指定を容易に行なうことができる光パルス試験器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る光パルス試験器の構成を示すブロック図である。
【図2】操作受付部と表示部の外観例を示す図である。
【図3】光パルス試験器が、ユーザから試験に用いる光ファイバケーブルの心線の配色に関する設定を受け付けるための動作を示すフローチャートである。
【図4】心線情報設定画面および詳細設定画面を示す図である。
【図5】心線情報の設定と一覧表示との対応例を示す図である。
【図6】心線情報の設定と一覧表示との対応例を示す図である。
【図7】心線情報の設定と一覧表示との対応例を示す図である。
【図8】心線情報を設定した光パルス試験器における光ファイバの試験手順を示すフローチャートである。
【図9】ユニット型の光ファイバケーブルに適応した形式の一覧表示を示す図である。
【図10】拡大された一覧表示を示す図である。
【図11】多心光ファイバケーブルについて説明する図である。
【図12】各心線に記号を割り振って心線を識別・管理する光パルス試験器の表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る光パルス試験器の構成を示すブロック図である。本図に示すように、光パルス試験器100は、試験対象の光ファイバ200に光パルスを入射し、入射端に戻ってくる光を時間領域で測定し、表示・解析等を行なう装置であり、測定処理部110、コネクタ115、測定制御部120、操作受付部130、表示部140、記憶部145を備えている。本実施形態において、光ファイバ200は、多数の心線を含んだ多心光ファイバケーブルであるものとし、試験対象となる心線をコネクタ115に接続して測定を行なうものとする。
【0023】
測定処理部110は、発光部111、光カプラ112、受光部113、信号処理部114を備えている。発光部111は、レーザダイオード等により構成することができ、信号処理部114により生成されたパルス信号により、所定間隔で発光し、光パルスを生成する。
【0024】
光カプラ112は、発光部111の発光による光パルスを、コネクタ115を介して試験対象の光ファイバ200に入射するとともに、光ファイバ200からの戻り光を、コネクタ115を介して入射し、受光部113に導く。光ファイバ200からの戻り光には、光ファイバ200内部のレイリー散乱による後方散乱光と、接続点で発生するフレネル反射光とが含まれている。
【0025】
受光部113は、光電素子等により構成することができ、戻り光を電気信号に変換する。信号処理部114は、発光部111に供給するパルスを生成するとともに、受光部113が変換した電気信号をパルスと同期したタイミングでサンプリングする。光ファイバ200からの戻り光は微弱であるため、信号処理部114によるサンプリングは、多数の光パルスについて繰り返し行なわれ、測定制御部120において平均化される。
【0026】
測定制御部120は、光パルス試験器100における測定動作や解析動作の制御を行なう。また、測定制御部120は、操作受付部130、表示部140を介したユーザインタフェースを提供するユーザインタフェース制御部121を備えている。ユーザインタフェース制御部121は、後述するように、実際の光ファイバケーブルの配色に対応した色情報を付して心線一覧表示を行なうための設定をユーザから受け付ける処理を行なう。
【0027】
操作受付部130は、ボタン、スイッチ、ダイヤルノブ、タッチパネル等により構成することができ、ユーザから光パルス試験に関する各種操作を受け付ける。表示部140は、液晶表示パネル等により構成することができ、測定制御部120の制御により測定波形や操作メニュー等の表示を行なう。記憶部145は、ハードディスク装置や半導体記憶装置等により構成することができ、測定制御部120の制御により測定データ等を記録する。
【0028】
図2は、操作受付部130と表示部140の外観例を示す図である。本実施形態において、操作受付部130は、電源スイッチ131、ロータリノブ132、スケールキー133、方向・エンターキー134、セットアップ(SETUP)キー135、リアルタイム測定(REAL TIME)キー136、平均化測定(AVE)キー137、ファンクションキー138を備えている。
【0029】
本実施形態において、ファンクションキー138の操作内容については、表示部140の対応する位置に表示するようにしているが、表示部140をタッチパネルで構成し、画面上で指示できるようにしてもよい。
【0030】
また、表示部140の画面上には、多心の光ファイバ200に対応して心線を識別するための識別子の一覧142が表示される。ユーザは、識別子一覧142から試験対象の心線に対応した識別子を選択することで、測定結果と心線とを対応付けることができる。この識別子一覧142では、測定が終了したことを示すチェックマークが心線の識別子に表示されるようになっている。
【0031】
さらに、本実施形態では、識別子に加え、実際の光ファイバ200の各心線の配色に対応した色情報が識別子一覧142の列行タイトル欄に表示されるようになっており、ユーザは、心線の色で試験対象の心線を特定することができる。このため、心線の色と識別記号との対応を人為的に行なう必要がなくなり、試験対象の心線を誤って指定することを防ぐことができる。
【0032】
図3は、光パルス試験器100が、ユーザから試験に用いる光ファイバケーブルの心線の配色に関する設定を受け付けるための動作を示すフローチャートである。本動作は、ユーザインタフェース制御部121の制御によって行なわれ、ユーザから心線情報設定の指示を受け付けることで開始する(S101)。心線情報設定の指示は、例えば、図2に示すセットアップ(SETUP)キー135および方向・エンターキー134の操作によって受け付けることができる。
【0033】
ユーザから心線情報設定の指示を受け付けると、心線情報設定受付動作を行なう(S102)。心線情報設定は、例えば、図4(a)に示すような心線情報設定画面150を介して受け付けることができる。
【0034】
心線情報設定画面150は、テープスロット型の場合はスロット単位、層型・ユニット型の場合はケーブル単位で心線情報を設定するための画面であり、本図に示すように、開始番号設定欄、心線管理方法設定欄、列数設定欄、行数設定欄、心線数表示欄、詳細設定ボタンを備えている。
【0035】
開始番号設定欄は、心線の開始番号を設定する欄であり、例えば、0001〜9999までの数値を設定することができる。例えば、テープスロット型の光ファイバケーブルにおいて、第1のスロットは「0001」から番号を開始させ、第2のスロットは「0021」から番号を開始させるような設定を行なうことができる。
【0036】
心線管理方法設定欄は、「従来」「テープID」「ユニット」のいずれかを選択することができる。「従来」は、配色情報を設定せずに、識別子で心線を特定する従来の管理方法である。「テープID」は、テープスロット型に対応した配色情報を含む心線管理方法である。「ユニット」は、層型、ユニット型に対応した配色情報を含む心線管理方法である。以下では、配色情報を含んだ管理方法である「テープID」「ユニット」に注目して説明する。
【0037】
列数設定欄は、「テープID」の場合は、1テープに含まれる心線数を設定し、「ユニット」の場合は、1ユニットに含まれる心線数を設定する欄である。
【0038】
行数設定欄は、「テープID」の場合は、1スロットに含まれるテープ数を設定し、「ユニット」の場合は、1ケーブルに含まれるユニット数を設定する欄である。層型の場合は、ユニット数を1とすればよい。
【0039】
心線数表示欄は、列数設定欄および行数設定欄に設定された数値に基づいて算出される心線数を表示する欄である。
【0040】
詳細設定ボタンは、配色情報等のより詳細な設定指示を受け付けるためのボタンである。
【0041】
光パルス試験器100は、図3のフローチャートにおいて、詳細設定ボタンの操作により、詳細設定指示を受け付けると(S103:Yes)、詳細設定受付動作を行なう(S104)。詳細設定は、例えば、図4(b)に示すような詳細設定画面160を介して受け付けることができる。
【0042】
詳細設定画面160は、列ヘッダナンバリング設定欄、ファイバナンバリング設定欄、列の配色ON/OFF設定欄、行の配色ON/OFF設定欄、配色パターンテーブル161を備えている。
【0043】
列ヘッダナンバリング設定欄は、図2に示した識別子一覧142の列方向の表示形式を指定する欄であり、「アルファベット」「数字」のいずれかを選択することができる。図2は、「数字」が選択された場合を示している。
【0044】
ファイバナンバリング設定欄は、図2に示した識別子一覧142に表示される心線識別子の表示フォーマットを指定する欄であり、「行−列」「通し番号」のいずれかを選択することができる。図2は、「行−列」が選択された場合を示している。
【0045】
列ヘッダナンバリング設定欄およびファイバナンバリング設定欄は、実際の光ファイバケーブルに識別記号が付されている場合には、その表示形式に合わせて設定するようにする。
【0046】
例えば、心線に1、2、3…という識別子が付されている場合には、ファイバナンバリング設定欄を「通し番号」とすればよい。心線に1a、1b、1c…という識別子が付されている場合には、列ヘッダナンバリング設定欄を「アルファベット」と設定し、ファイバナンバリング設定欄を「行−列」とすればよい。また、心線に1−1、1−2、1−3…という識別子が付されている場合には、列ヘッダナンバリング設定欄を「数字」と設定し、ファイバナンバリング設定欄を「行−列」とすればよい。
【0047】
列の配色ON/OFF設定欄は、列の配色の設定を行なうか否かを設定する欄であり、行の配色ON/OFF設定欄は、行の配色の設定を行なうか否かを設定する欄である。
【0048】
配色パターンテーブル161は、行、列について、どのような規則で配色を行なうかを設定するテーブルである。本例では配色パターンが3パターン用意されており、行/列に対して任意に適用することができるようになっている。
【0049】
本図の例では、1行目の配色パターンが行に適用され、2行目の配色パターンが列に適用されるように設定されている。ユーザは、実際に用いる光ファイバケーブルの配色に対応した配色パターンを行/列に指定するようにする。実際に用いる光ファイバケーブルの配色規則と表示されている配色パターンとが異なる場合は、変更する色が表示された領域で所定の操作によって色設定画面162を呼び出すことで、配色パターンを自由に編集することが可能である。
【0050】
図3のフローチャートの説明に戻って、ユーザから詳細設定を受け付けると(S104)、光パルス試験器100は、配色情報を含んだ心線識別子一覧142を表示部140に表示する(S105)。ユーザは、心線に付されている色に基づいて心線識別子一覧142から試験対象の心線を指定することができる。このため、心線の特定が極めて容易になる。詳細設定の指示を受け付けなかった場合(S103:No)は、従来と同様に識別子のみを用いた識別子一覧を表示部140に表示する(S105)。なお、テープスロット型については、スロット毎に心線情報の設定を行なうことができる。
【0051】
例えば、図5(a)に示すように、心線情報設定画面150で、開始番号を「0001」とし、心線管理方法として「テープID」を選択し、列数4、行数5を設定し、図5(b)に示すように、詳細設定画面160で、列ヘッダナンバリング設定欄を「アルファベット」とし、ファイバナンバリング設定欄を「行−列」とし、列、行とも配色をONとして、行と列の配色パターンをそれぞれ設定すると、図5(c)に示すような心線識別子一覧142が表示部140に表示される。
【0052】
すなわち、1心〜4心に対応する「a」〜「d」の欄に設定された配色で色が付され、第1テープ〜第5テープに対応する「1」〜「5」の欄に設定された配色で色が付される。
【0053】
これにより、例えば、試験対象の心線が、第3テープの2心である場合、テープに付された緑色と心線に付された白色とから、光パルス試験器100で直接的に心線を特定することができるようになる。従来は、緑−白の心線を、その光ファイバケーブルの配色規則にしたがって識別子3bに変換して、心線の特定しなければならなかったため、本発明によりユーザの負担が大きく軽減されるとともに、心線の特定の誤りも防ぐことができる。
【0054】
また、図6(a)に示すように、心線情報設定画面150で、開始番号を「0001」とし、心線管理方法として「ユニット」を選択し、列数10、行数6を設定し、図6(b)に示すように、詳細設定画面160で、列ヘッダナンバリング設定欄を「数字」とし、ファイバナンバリング設定欄を「通し番号」とし、列の配色のみをONとして、列の配色パターンを設定すると、図6(c)に示すような心線識別子一覧142が表示部140に表示される。
【0055】
すなわち、ユニットの心線に対応する「1」〜「10」の欄に設定された配色で色が付され、それぞれのユニットに対応する「1」〜「6」には配色されない。また、心線には、識別子として1〜60の通し番号が付されている。
【0056】
また、図7(a)に示すように、心線情報設定画面150で、開始番号を「0001」とし、心線管理方法として「ユニット」を選択し、列数6、行数8を設定し、図7(b)に示すように、詳細設定画面160で、列ヘッダナンバリング設定欄を「数字」とし、ファイバナンバリング設定欄を「行−列」とし、列、行とも配色をONとして、行と列とで同じ配色パターンを設定すると、図7(c)に示すような心線識別子一覧142が表示部140に表示される。
【0057】
すなわち、ユニット1心〜6心に対応する「1」〜「6」の欄に設定された配色で色が付され、第1ユニット〜第8ユニットに対応する「1」〜「8」の欄に設定された配色で色が付される。なお、行および列が設定されている配色パターンは、「f/6」までの色が設定され、「g/7」以降は色が設定されていないものとする。図4(b)に示した色設定画面162の最下段は、色を設定しない指示を示すものである。この場合、「7」「8」行目のように、配色数よりも多い行、列については、配色パターンの色を循環して用いるようにする。
【0058】
上述の動作によって心線情報を設定した光パルス試験器100は、例えば、図8のフローチャートに示した手順で光ファイバの試験を行なうことができる。まず、本実施形態の光パルス試験器100は、実際の光ケーブルに対応した配色情報を含んだ心線識別子一覧142を表示部140に表示する(S201)。
【0059】
そして、心線識別子一覧142から、ユーザの操作により、試験対象の心線に対応した識別子の指定を受け付ける(S202)。ユーザは、心線に対応した識別子を、心線に付された色にしたがって容易に特定することができる。
【0060】
次いで、試験対象の心線に対して光パルス試験を実行する(S203)。光パルス試験器100は、試験結果を、心線識別子一覧142で指定された識別子に対応付けて保存する(S204)。識別子との対応は、例えば、ファイル名に識別子を含めることで行なうことができる。
【0061】
試験が終了した心線には、図2に示すように心線識別子一覧142の識別子にチェックマークを表示する(S205)。これにより、ユーザは、試験済の心線を容易に認識することができる。他の心線の試験を継続する場合(S206:No)は、試験対象心線設定受付処理(S202)以降を繰り返せばよい。
【0062】
なお、上述の例では、心線識別子一覧142をテープスロット型の光ファイバケーブルに適応した形式で表示するようにしていたが、例えば、心線管理方法として「ユニット」が選択された場合には、図9に示すように、ユニット型の光ファイバケーブルに適応した形式で表示するようにしてもよい。これにより、ユニット型の光ファイバケーブルにおける心線の特定が一層簡易になり、より直感的な操作が可能となる。
【0063】
この場合、図10に示すように、拡大/縮小表示を可能としたり、タッチパネルにより心線を選択できるようにすることで一層ユーザインタフェースを向上させることができる。
【符号の説明】
【0064】
100…光パルス試験器、110…測定処理部、111…発光部、112…光カプラ、113…受光部、114…信号処理部、115…コネクタ、120…測定制御部、121…ユーザインタフェース制御部、130…操作受付部、131…電源スイッチ、132…ロータリノブ、133…スケールキー、134…方向・エンターキー、135…SETUPキー、136…リアルタイム測定キー、137…平均化測定キー、138…ファンクションキー、140…表示部、142…識別子一覧、145…記憶部、150…心線情報設定画面、160…詳細設定画面、161…配色パターンテーブル、162…色設定画面、200…光ファイバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パルス試験器に関し、特に、多心光ファイバケーブルにおける試験対象の心線の指定を容易に行なうことができる光パルス試験器に関する。
【背景技術】
【0002】
光信号によってデータ通信等を行なう光通信システムでは、光ファイバが光信号を伝送する媒体として用いられている。光ファイバの敷設、支障移転、保守等においては、光ファイバの断線、接続箇所の損失、反射等を評価する必要があるが、そのための測定器として光パルス試験器(OTDR:Optical Time Domain Reflectometer)が使用される。光パルス試験器は、被測定光ファイバに光パルスを入射し、入射端に戻ってくる光を時間領域で測定し、表示・解析等を行なう装置である。
【0003】
一般に、局間を結ぶ光ファイバは、多心の光ファイバケーブルが用いられており、使用環境、目的等に応じた種々の型が用意されている。代表的な型として、例えば、テープスロット型、層型、ユニット型が挙げられる。テープスロット型の光ファイバケーブルは、図11(a)に示すように、複数個のスロット(本図の例では、6個)を、芯となる鋼線であるテンションメンバの周囲に配置して構築したケーブルである。ここで、スロットは、2本/4本/8本の心線(本図の例では4本)を並べて構成したテープを、複数個(本図の例では5個)まとめたものである。
【0004】
また、層型の光ファイバケーブルは、図11(b)に示すように、テンションメンバの周りに6〜10本(本図の例では8本)の心線をまとめて構築したケーブルである。
【0005】
ユニット型の光ファイバケーブルは、図11(c)に示すように、テンションメンバの周りに6〜10本(本図の例では8本)の心線をまとめてユニットを構成し、複数個のユニット(本図の例では8個)をさらにテンションメンバの周りにまとめて構築したケーブルである。
【0006】
一般に、光ファイバケーブルの各心線の被覆には、心線を識別するために一定の規則にしたがった配色がなされている。例えば、あるメーカのテープスロット型の光ファイバケーブルでは、各テープの第1心は、青、黄、緑、赤、紫と配色されている。そして、第2心は全テープとも白、第3心は全テープとも茶、第4心は全テープとも灰が配色されている。また、スロットも青、黄、緑、赤、紫と配色されている。
【0007】
また、層型の各心線、およびユニット型のユニットの各心線は、青、黄、緑、赤、紫、白の順に配色され、ユニットについても青、黄、緑、赤、紫、白の順に配色される。色数よりも心線数、ユニット数が多い場合には、色が循環して用いられる。この場合、ユニット型における第2ユニットの第3心は、黄−緑と表現することができ、また、この表現によって心線を特定することができる。
【0008】
しかしながら、この配色規則は一例であり、光ファイバケーブルのメーカ、ベンダによって異なる規則が用いられている場合もある。このため、配色から心線を固定的に特定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−54224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
多心の光ファイバケーブルの敷設、工事、保守等に際し、光パルス試験器を用いた試験を行なう場合には、測定データを心線毎に管理する必要がある。このため、光パルス試験器に接続した試験対象の心線を特定し、特定した心線を光パルス試験器で指定しなければならない。
【0011】
従来、光パルス試験器においては、光ファイバケーブルの各心線に1、2、3等の数字や、1a、1b、1c等の記号を割り振って心線を識別し、データを管理していた。これらの数字や記号の識別子は、ユーザが独自に定める場合もあるが、配色とは別に、心線にあらかじめ付されている場合もある。
【0012】
図12は、各心線に識別子を割り振って心線を識別・管理する光パルス試験器の表示画面例を示している。本図の例では、光パルス試験器は、「1a」「1b」「1c」…の心線識別子を画面上に一覧表示する。そして、試験対象となる心線に割り当てられた識別子の指定をユーザから受け付けることで、測定データと心線の識別子とを対応付けるようにしている。
【0013】
例えば、テープスロット型におけるテープ内の心線(図11(a)の横方向)にa、b、c…のアルファベットを割り当て、テープ(同図縦方向)に1、2、3…の数字を割り当てるようにし、第1テープの第1心を試験対象とする場合には、「1a」のラベルを選択すればよい。これにより、測定データが、「1a」と対応付けて記録される。同様に、第2テープの第2心を試験対象とする場合には、「2b」のラベルを選択すればよい。これにより、測定データが、「2b」と対応付けて記録される。
【0014】
各心線に数字や記号の識別子が表示されていれば、試験対象の心線の識別子を、光パルス試験器に一覧表示された識別子の中から容易に指定することができる。しかしながら、識別子が表示されていない心線の場合は、例えば、青−青の心線を試験対象とする場合、配色規則にしたがって、青−青を「1a」に変換して光パルス試験器で識別子を指定する必要がある。
【0015】
上述のように、配色規則は光ファイバケーブルによって異なる場合もあるため、色から識別子への変換は、実際に用いられている光ファイバケーブルの配色規則にしたがわなくてはならない。このため、ユーザの負担が大きく、また、心線の指定の誤りも生じやすい。
【0016】
そこで、本発明は、多心光ファイバケーブルにおける試験対象の心線の指定を容易に行なうことができる光パルス試験器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の光パルス試験器は、多心光ファイバの被測定心線に光パルスを入射し、入射端に戻ってくる光を時間領域で測定する測定処理部と、前記多心光ファイバの心線の識別子を一覧表示する表示部と、前記多心光ファイバの構造型に関する指定を受け付け、受け付けた構造型に対応した心線の配色情報の設定を受け付け、受け付けた配色情報に基づいて、前記一覧表示に色を付して前記表示部に表示させるユーザインタフェース部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
ここで、前記ユーザインタフェース部は、前記表示部に表示した識別子の一覧から、測定対象とする心線の指定を受け付けることができる。
【0019】
また、前記多心光ファイバの構造型に関する指定には、列数と行数の指定が含まれ、前記心線の配色情報の設定は、行、列に対する配色パターンの設定とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多心光ファイバケーブルにおける試験対象の心線の指定を容易に行なうことができる光パルス試験器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る光パルス試験器の構成を示すブロック図である。
【図2】操作受付部と表示部の外観例を示す図である。
【図3】光パルス試験器が、ユーザから試験に用いる光ファイバケーブルの心線の配色に関する設定を受け付けるための動作を示すフローチャートである。
【図4】心線情報設定画面および詳細設定画面を示す図である。
【図5】心線情報の設定と一覧表示との対応例を示す図である。
【図6】心線情報の設定と一覧表示との対応例を示す図である。
【図7】心線情報の設定と一覧表示との対応例を示す図である。
【図8】心線情報を設定した光パルス試験器における光ファイバの試験手順を示すフローチャートである。
【図9】ユニット型の光ファイバケーブルに適応した形式の一覧表示を示す図である。
【図10】拡大された一覧表示を示す図である。
【図11】多心光ファイバケーブルについて説明する図である。
【図12】各心線に記号を割り振って心線を識別・管理する光パルス試験器の表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る光パルス試験器の構成を示すブロック図である。本図に示すように、光パルス試験器100は、試験対象の光ファイバ200に光パルスを入射し、入射端に戻ってくる光を時間領域で測定し、表示・解析等を行なう装置であり、測定処理部110、コネクタ115、測定制御部120、操作受付部130、表示部140、記憶部145を備えている。本実施形態において、光ファイバ200は、多数の心線を含んだ多心光ファイバケーブルであるものとし、試験対象となる心線をコネクタ115に接続して測定を行なうものとする。
【0023】
測定処理部110は、発光部111、光カプラ112、受光部113、信号処理部114を備えている。発光部111は、レーザダイオード等により構成することができ、信号処理部114により生成されたパルス信号により、所定間隔で発光し、光パルスを生成する。
【0024】
光カプラ112は、発光部111の発光による光パルスを、コネクタ115を介して試験対象の光ファイバ200に入射するとともに、光ファイバ200からの戻り光を、コネクタ115を介して入射し、受光部113に導く。光ファイバ200からの戻り光には、光ファイバ200内部のレイリー散乱による後方散乱光と、接続点で発生するフレネル反射光とが含まれている。
【0025】
受光部113は、光電素子等により構成することができ、戻り光を電気信号に変換する。信号処理部114は、発光部111に供給するパルスを生成するとともに、受光部113が変換した電気信号をパルスと同期したタイミングでサンプリングする。光ファイバ200からの戻り光は微弱であるため、信号処理部114によるサンプリングは、多数の光パルスについて繰り返し行なわれ、測定制御部120において平均化される。
【0026】
測定制御部120は、光パルス試験器100における測定動作や解析動作の制御を行なう。また、測定制御部120は、操作受付部130、表示部140を介したユーザインタフェースを提供するユーザインタフェース制御部121を備えている。ユーザインタフェース制御部121は、後述するように、実際の光ファイバケーブルの配色に対応した色情報を付して心線一覧表示を行なうための設定をユーザから受け付ける処理を行なう。
【0027】
操作受付部130は、ボタン、スイッチ、ダイヤルノブ、タッチパネル等により構成することができ、ユーザから光パルス試験に関する各種操作を受け付ける。表示部140は、液晶表示パネル等により構成することができ、測定制御部120の制御により測定波形や操作メニュー等の表示を行なう。記憶部145は、ハードディスク装置や半導体記憶装置等により構成することができ、測定制御部120の制御により測定データ等を記録する。
【0028】
図2は、操作受付部130と表示部140の外観例を示す図である。本実施形態において、操作受付部130は、電源スイッチ131、ロータリノブ132、スケールキー133、方向・エンターキー134、セットアップ(SETUP)キー135、リアルタイム測定(REAL TIME)キー136、平均化測定(AVE)キー137、ファンクションキー138を備えている。
【0029】
本実施形態において、ファンクションキー138の操作内容については、表示部140の対応する位置に表示するようにしているが、表示部140をタッチパネルで構成し、画面上で指示できるようにしてもよい。
【0030】
また、表示部140の画面上には、多心の光ファイバ200に対応して心線を識別するための識別子の一覧142が表示される。ユーザは、識別子一覧142から試験対象の心線に対応した識別子を選択することで、測定結果と心線とを対応付けることができる。この識別子一覧142では、測定が終了したことを示すチェックマークが心線の識別子に表示されるようになっている。
【0031】
さらに、本実施形態では、識別子に加え、実際の光ファイバ200の各心線の配色に対応した色情報が識別子一覧142の列行タイトル欄に表示されるようになっており、ユーザは、心線の色で試験対象の心線を特定することができる。このため、心線の色と識別記号との対応を人為的に行なう必要がなくなり、試験対象の心線を誤って指定することを防ぐことができる。
【0032】
図3は、光パルス試験器100が、ユーザから試験に用いる光ファイバケーブルの心線の配色に関する設定を受け付けるための動作を示すフローチャートである。本動作は、ユーザインタフェース制御部121の制御によって行なわれ、ユーザから心線情報設定の指示を受け付けることで開始する(S101)。心線情報設定の指示は、例えば、図2に示すセットアップ(SETUP)キー135および方向・エンターキー134の操作によって受け付けることができる。
【0033】
ユーザから心線情報設定の指示を受け付けると、心線情報設定受付動作を行なう(S102)。心線情報設定は、例えば、図4(a)に示すような心線情報設定画面150を介して受け付けることができる。
【0034】
心線情報設定画面150は、テープスロット型の場合はスロット単位、層型・ユニット型の場合はケーブル単位で心線情報を設定するための画面であり、本図に示すように、開始番号設定欄、心線管理方法設定欄、列数設定欄、行数設定欄、心線数表示欄、詳細設定ボタンを備えている。
【0035】
開始番号設定欄は、心線の開始番号を設定する欄であり、例えば、0001〜9999までの数値を設定することができる。例えば、テープスロット型の光ファイバケーブルにおいて、第1のスロットは「0001」から番号を開始させ、第2のスロットは「0021」から番号を開始させるような設定を行なうことができる。
【0036】
心線管理方法設定欄は、「従来」「テープID」「ユニット」のいずれかを選択することができる。「従来」は、配色情報を設定せずに、識別子で心線を特定する従来の管理方法である。「テープID」は、テープスロット型に対応した配色情報を含む心線管理方法である。「ユニット」は、層型、ユニット型に対応した配色情報を含む心線管理方法である。以下では、配色情報を含んだ管理方法である「テープID」「ユニット」に注目して説明する。
【0037】
列数設定欄は、「テープID」の場合は、1テープに含まれる心線数を設定し、「ユニット」の場合は、1ユニットに含まれる心線数を設定する欄である。
【0038】
行数設定欄は、「テープID」の場合は、1スロットに含まれるテープ数を設定し、「ユニット」の場合は、1ケーブルに含まれるユニット数を設定する欄である。層型の場合は、ユニット数を1とすればよい。
【0039】
心線数表示欄は、列数設定欄および行数設定欄に設定された数値に基づいて算出される心線数を表示する欄である。
【0040】
詳細設定ボタンは、配色情報等のより詳細な設定指示を受け付けるためのボタンである。
【0041】
光パルス試験器100は、図3のフローチャートにおいて、詳細設定ボタンの操作により、詳細設定指示を受け付けると(S103:Yes)、詳細設定受付動作を行なう(S104)。詳細設定は、例えば、図4(b)に示すような詳細設定画面160を介して受け付けることができる。
【0042】
詳細設定画面160は、列ヘッダナンバリング設定欄、ファイバナンバリング設定欄、列の配色ON/OFF設定欄、行の配色ON/OFF設定欄、配色パターンテーブル161を備えている。
【0043】
列ヘッダナンバリング設定欄は、図2に示した識別子一覧142の列方向の表示形式を指定する欄であり、「アルファベット」「数字」のいずれかを選択することができる。図2は、「数字」が選択された場合を示している。
【0044】
ファイバナンバリング設定欄は、図2に示した識別子一覧142に表示される心線識別子の表示フォーマットを指定する欄であり、「行−列」「通し番号」のいずれかを選択することができる。図2は、「行−列」が選択された場合を示している。
【0045】
列ヘッダナンバリング設定欄およびファイバナンバリング設定欄は、実際の光ファイバケーブルに識別記号が付されている場合には、その表示形式に合わせて設定するようにする。
【0046】
例えば、心線に1、2、3…という識別子が付されている場合には、ファイバナンバリング設定欄を「通し番号」とすればよい。心線に1a、1b、1c…という識別子が付されている場合には、列ヘッダナンバリング設定欄を「アルファベット」と設定し、ファイバナンバリング設定欄を「行−列」とすればよい。また、心線に1−1、1−2、1−3…という識別子が付されている場合には、列ヘッダナンバリング設定欄を「数字」と設定し、ファイバナンバリング設定欄を「行−列」とすればよい。
【0047】
列の配色ON/OFF設定欄は、列の配色の設定を行なうか否かを設定する欄であり、行の配色ON/OFF設定欄は、行の配色の設定を行なうか否かを設定する欄である。
【0048】
配色パターンテーブル161は、行、列について、どのような規則で配色を行なうかを設定するテーブルである。本例では配色パターンが3パターン用意されており、行/列に対して任意に適用することができるようになっている。
【0049】
本図の例では、1行目の配色パターンが行に適用され、2行目の配色パターンが列に適用されるように設定されている。ユーザは、実際に用いる光ファイバケーブルの配色に対応した配色パターンを行/列に指定するようにする。実際に用いる光ファイバケーブルの配色規則と表示されている配色パターンとが異なる場合は、変更する色が表示された領域で所定の操作によって色設定画面162を呼び出すことで、配色パターンを自由に編集することが可能である。
【0050】
図3のフローチャートの説明に戻って、ユーザから詳細設定を受け付けると(S104)、光パルス試験器100は、配色情報を含んだ心線識別子一覧142を表示部140に表示する(S105)。ユーザは、心線に付されている色に基づいて心線識別子一覧142から試験対象の心線を指定することができる。このため、心線の特定が極めて容易になる。詳細設定の指示を受け付けなかった場合(S103:No)は、従来と同様に識別子のみを用いた識別子一覧を表示部140に表示する(S105)。なお、テープスロット型については、スロット毎に心線情報の設定を行なうことができる。
【0051】
例えば、図5(a)に示すように、心線情報設定画面150で、開始番号を「0001」とし、心線管理方法として「テープID」を選択し、列数4、行数5を設定し、図5(b)に示すように、詳細設定画面160で、列ヘッダナンバリング設定欄を「アルファベット」とし、ファイバナンバリング設定欄を「行−列」とし、列、行とも配色をONとして、行と列の配色パターンをそれぞれ設定すると、図5(c)に示すような心線識別子一覧142が表示部140に表示される。
【0052】
すなわち、1心〜4心に対応する「a」〜「d」の欄に設定された配色で色が付され、第1テープ〜第5テープに対応する「1」〜「5」の欄に設定された配色で色が付される。
【0053】
これにより、例えば、試験対象の心線が、第3テープの2心である場合、テープに付された緑色と心線に付された白色とから、光パルス試験器100で直接的に心線を特定することができるようになる。従来は、緑−白の心線を、その光ファイバケーブルの配色規則にしたがって識別子3bに変換して、心線の特定しなければならなかったため、本発明によりユーザの負担が大きく軽減されるとともに、心線の特定の誤りも防ぐことができる。
【0054】
また、図6(a)に示すように、心線情報設定画面150で、開始番号を「0001」とし、心線管理方法として「ユニット」を選択し、列数10、行数6を設定し、図6(b)に示すように、詳細設定画面160で、列ヘッダナンバリング設定欄を「数字」とし、ファイバナンバリング設定欄を「通し番号」とし、列の配色のみをONとして、列の配色パターンを設定すると、図6(c)に示すような心線識別子一覧142が表示部140に表示される。
【0055】
すなわち、ユニットの心線に対応する「1」〜「10」の欄に設定された配色で色が付され、それぞれのユニットに対応する「1」〜「6」には配色されない。また、心線には、識別子として1〜60の通し番号が付されている。
【0056】
また、図7(a)に示すように、心線情報設定画面150で、開始番号を「0001」とし、心線管理方法として「ユニット」を選択し、列数6、行数8を設定し、図7(b)に示すように、詳細設定画面160で、列ヘッダナンバリング設定欄を「数字」とし、ファイバナンバリング設定欄を「行−列」とし、列、行とも配色をONとして、行と列とで同じ配色パターンを設定すると、図7(c)に示すような心線識別子一覧142が表示部140に表示される。
【0057】
すなわち、ユニット1心〜6心に対応する「1」〜「6」の欄に設定された配色で色が付され、第1ユニット〜第8ユニットに対応する「1」〜「8」の欄に設定された配色で色が付される。なお、行および列が設定されている配色パターンは、「f/6」までの色が設定され、「g/7」以降は色が設定されていないものとする。図4(b)に示した色設定画面162の最下段は、色を設定しない指示を示すものである。この場合、「7」「8」行目のように、配色数よりも多い行、列については、配色パターンの色を循環して用いるようにする。
【0058】
上述の動作によって心線情報を設定した光パルス試験器100は、例えば、図8のフローチャートに示した手順で光ファイバの試験を行なうことができる。まず、本実施形態の光パルス試験器100は、実際の光ケーブルに対応した配色情報を含んだ心線識別子一覧142を表示部140に表示する(S201)。
【0059】
そして、心線識別子一覧142から、ユーザの操作により、試験対象の心線に対応した識別子の指定を受け付ける(S202)。ユーザは、心線に対応した識別子を、心線に付された色にしたがって容易に特定することができる。
【0060】
次いで、試験対象の心線に対して光パルス試験を実行する(S203)。光パルス試験器100は、試験結果を、心線識別子一覧142で指定された識別子に対応付けて保存する(S204)。識別子との対応は、例えば、ファイル名に識別子を含めることで行なうことができる。
【0061】
試験が終了した心線には、図2に示すように心線識別子一覧142の識別子にチェックマークを表示する(S205)。これにより、ユーザは、試験済の心線を容易に認識することができる。他の心線の試験を継続する場合(S206:No)は、試験対象心線設定受付処理(S202)以降を繰り返せばよい。
【0062】
なお、上述の例では、心線識別子一覧142をテープスロット型の光ファイバケーブルに適応した形式で表示するようにしていたが、例えば、心線管理方法として「ユニット」が選択された場合には、図9に示すように、ユニット型の光ファイバケーブルに適応した形式で表示するようにしてもよい。これにより、ユニット型の光ファイバケーブルにおける心線の特定が一層簡易になり、より直感的な操作が可能となる。
【0063】
この場合、図10に示すように、拡大/縮小表示を可能としたり、タッチパネルにより心線を選択できるようにすることで一層ユーザインタフェースを向上させることができる。
【符号の説明】
【0064】
100…光パルス試験器、110…測定処理部、111…発光部、112…光カプラ、113…受光部、114…信号処理部、115…コネクタ、120…測定制御部、121…ユーザインタフェース制御部、130…操作受付部、131…電源スイッチ、132…ロータリノブ、133…スケールキー、134…方向・エンターキー、135…SETUPキー、136…リアルタイム測定キー、137…平均化測定キー、138…ファンクションキー、140…表示部、142…識別子一覧、145…記憶部、150…心線情報設定画面、160…詳細設定画面、161…配色パターンテーブル、162…色設定画面、200…光ファイバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多心光ファイバの被測定心線に光パルスを入射し、入射端に戻ってくる光を時間領域で測定する測定処理部と、
前記多心光ファイバの心線の識別子を一覧表示する表示部と、
前記多心光ファイバの構造型に関する指定を受け付け、受け付けた構造型に対応した心線の配色情報の設定を受け付け、受け付けた配色情報に基づいて、前記一覧表示に色を付して前記表示部に表示させるユーザインタフェース部と、
を備えたことを特徴とする光パルス試験器。
【請求項2】
前記ユーザインタフェース部は、前記表示部に表示した識別子の一覧から、測定対象とする心線の指定を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験器。
【請求項3】
前記多心光ファイバの構造型に関する指定には、列数と行数の指定が含まれ、前記心線の配色情報の設定は、行、列に対する配色パターンの設定であることを特徴とする請求子1または2に記載の光パルス試験器。
【請求項1】
多心光ファイバの被測定心線に光パルスを入射し、入射端に戻ってくる光を時間領域で測定する測定処理部と、
前記多心光ファイバの心線の識別子を一覧表示する表示部と、
前記多心光ファイバの構造型に関する指定を受け付け、受け付けた構造型に対応した心線の配色情報の設定を受け付け、受け付けた配色情報に基づいて、前記一覧表示に色を付して前記表示部に表示させるユーザインタフェース部と、
を備えたことを特徴とする光パルス試験器。
【請求項2】
前記ユーザインタフェース部は、前記表示部に表示した識別子の一覧から、測定対象とする心線の指定を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験器。
【請求項3】
前記多心光ファイバの構造型に関する指定には、列数と行数の指定が含まれ、前記心線の配色情報の設定は、行、列に対する配色パターンの設定であることを特徴とする請求子1または2に記載の光パルス試験器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−40818(P2013−40818A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176917(P2011−176917)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【出願人】(596157780)横河メータ&インスツルメンツ株式会社 (43)
【上記1名の代理人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【出願人】(596157780)横河メータ&インスツルメンツ株式会社 (43)
【上記1名の代理人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
【Fターム(参考)】
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