光ファイバカッタ及び光ファイバカッタユニット
【課題】光ファイバカッタを手で持った状態で作業を行う場合だけでなく、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行う場合でも、作業性を良くすることができる光ファイバカッタを提供する。
【解決手段】光ファイバカッタ1は、カッタ基体3と、カッタ基体3に開閉可能に取り付けられたカッタ蓋体4とを備えている。カッタ基体3には、光ファイバに傷を付ける刃部材を有するスライダ8が幅方向に移動可能に取り付けられている。カッタ基体3の後端部には切替プレート15が取り付けられ、切替プレート15の外面側には切替操作部16が設けられている。切替操作部16が第1位置にあるときは、カッタ蓋体4がストッパに係合するため、カッタ蓋体4の開き角度が35度となる。切替操作部16が第2位置にあるときは、カッタ蓋体4とストッパとの係合が解除されるため、カッタ蓋体4の開き角度が70度となる。
【解決手段】光ファイバカッタ1は、カッタ基体3と、カッタ基体3に開閉可能に取り付けられたカッタ蓋体4とを備えている。カッタ基体3には、光ファイバに傷を付ける刃部材を有するスライダ8が幅方向に移動可能に取り付けられている。カッタ基体3の後端部には切替プレート15が取り付けられ、切替プレート15の外面側には切替操作部16が設けられている。切替操作部16が第1位置にあるときは、カッタ蓋体4がストッパに係合するため、カッタ蓋体4の開き角度が35度となる。切替操作部16が第2位置にあるときは、カッタ蓋体4とストッパとの係合が解除されるため、カッタ蓋体4の開き角度が70度となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを切断する光ファイバカッタ及び光ファイバカッタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ファイバカッタとしては、例えば特許文献1に記載されているように、光ファイバのガラスファイバ部分に創傷を付ける円板状の刃部材を備えた下箱体(カッタ基体)と、この下箱体の一端にヒンジ部材を介して回動自在に連結された上箱体(カッタ蓋体)とから構成されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−203815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、上記従来技術の光ファイバカッタを用いて光ファイバの切断作業を行うときは、通常は光ファイバカッタを一方の手で持ち、もう一方の手で光ファイバ等を取り扱う。この場合には、ファイバカッタを持ったほうの手でカッタ蓋体を閉じることになるため、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度をあまり大きくしていない。しかし、ユーザによっては、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行う場合もある。この場合には、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度が大きくないと、光ファイバを光ファイバカッタにセットしにくくなり、作業性の低下につながる。
【0005】
本発明の目的は、光ファイバカッタを手で持った状態で作業を行う場合だけでなく、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行う場合でも、作業性を良くすることができる光ファイバカッタ及び光ファイバカッタユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光ファイバを切断する光ファイバカッタにおいて、光ファイバを位置決めするファイバガイド部を有するカッタ基体と、カッタ基体に移動可能に取り付けられ、光ファイバに傷を付ける刃部材を有するスライダと、カッタ基体に開閉可能に取り付けられ、カッタ基体に対して閉じることでスライダを初期位置に戻すように移動させるカッタ蓋体と、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を切り替える開き角度切替手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
このような本発明の光ファイバカッタを用いて、光ファイバの切断作業を行うときは、スライダを初期位置から押し込んで移動させた後、カッタ基体のファイバガイド部に光ファイバを位置決めし、その状態でカッタ蓋体をカッタ基体に対して閉じることで、スライダを初期位置に戻すように移動させる。すると、スライダに設けられた刃部材によって光ファイバに傷が付けられ、光ファイバが切断される。
【0008】
このとき、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を切り替える開き角度切替手段を設けることにより、光ファイバ切断作業のやり方に応じて、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を切り替えるようにする。例えば、光ファイバカッタを一方の手で持った状態で作業を行うときは、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を小さく設定することで、ファイバカッタを持ったほうの手でカッタ蓋体を容易に閉じることが可能となるため、作業が行いやすくなる。一方、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行うときは、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を大きく設定することで、光ファイバカッタの上方から光ファイバをカッタ基体のファイバガイド部に位置決めすることが可能となるため、作業が行いやすくなる。このように光ファイバカッタを一方の手で持った状態で作業を行うときでも、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行うときでも、作業性を良くすることができる。
【0009】
好ましくは、開き角度切替手段は、カッタ基体に設けられた切替操作部と、切替操作部と連動し、切替操作部が所定位置にあるときにカッタ蓋体と係合するストッパとを有する。この場合には、切替操作部が所定位置にあるときは、ストッパがカッタ蓋体と係合するため、カッタ蓋体の開きがストッパにより規制される。一方、切替操作部が所定位置から他の位置に切替操作されると、ストッパとカッタ蓋体との係合が解除されるため、カッタ蓋体が更に開くようになる。従って、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を簡単に且つ確実に切り替えることができる。
【0010】
このとき、好ましくは、開き角度切替手段は、カッタ基体の後端部に配置された切替プレートを更に有し、切替操作部及びストッパは、カッタ基体の幅方向に一緒に移動可能となるように切替プレートに取り付けられており、切替操作部は、切替プレートの外面側に設けられ、ストッパは、切替プレートの内面側に設けられている。この場合には、開き角度切替手段の構成を簡素化できると共に、切替操作部の操作が行いやすくなる。
【0011】
本発明の光ファイバカッタユニットは、上記の光ファイバカッタと、光ファイバカッタがセットされるベースアタッチメントとを備えることを特徴とするものである。
【0012】
このように本発明の光ファイバカッタユニットにおいては、上記の開き角度切替手段を有する光ファイバカッタを備えているので、上述したように、光ファイバカッタを一方の手で持った状態で作業を行うときでも、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行うときでも、作業性を良くすることができる。また、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行うときに、ベースアタッチメントに光ファイバカッタをセットすることにより、光ファイバカッタの姿勢が安定化するため、作業性をより良くすることができる。
【0013】
好ましくは、ベースアタッチメントには、スライダを初期位置から押し込むための押し込み操作レバーが設けられている。光ファイバカッタがベースアタッチメントにセットされた状態では、スライダを手で押し込もうとするときは、ベースアタッチメントの上方や側方からスライダを押すことになるので、スライダの押し込み操作が行いにくくなる。そこで、スライダを初期位置から押し込むための押し込み操作レバーをベースアタッチメントに設けることにより、押し込み操作レバーによりスライダを容易に初期位置から押し込んで移動させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光ファイバカッタを手で持った状態で作業を行う場合だけでなく、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行う場合でも、作業性を良くすることができる。これにより、作業者にかかる負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係わる光ファイバカッタの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示したカッタ基体の内部構造を示す斜視図である。
【図3】図1に示した光ファイバカッタにより光ファイバに傷を付ける様子を示す概念図である。
【図4】図1に示したカッタ蓋体を閉じた状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示した光ファイバカッタよりもカッタ蓋体が大きく開いた状態を示す斜視図である。
【図6】図1に示した光ファイバカッタの側面図及び背面図である。
【図7】図5に示した光ファイバカッタの側面図及び背面図である。
【図8】図6に示した切替プレートを内面側及び外面側から見た斜視図である。
【図9】図7に示した切替プレートを内面側及び外面側から見た斜視図である。
【図10】図6に示した光ファイバカッタの後部の断面図である。
【図11】図7に示した光ファイバカッタの後部の断面図である。
【図12】図5に示した光ファイバカッタがセットされるベースアタッチメントを示す斜視図である。
【図13】図5に示した光ファイバカッタがベースアタッチメントにセットされた状態を示す斜視図である。
【図14】図13に示した押し込み操作レバーの支持構造を示す斜視図である。
【図15】図13に示した押し込み操作レバーによりスライダが押し込まれた状態を示す斜視図である。
【図16】図14に示した押し込み操作レバーによりスライダが押し込まれた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係わる光ファイバカッタ及び光ファイバカッタユニットの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係わる光ファイバカッタの一実施形態を示す斜視図である。同図において、本実施形態の光ファイバカッタ1は、光ファイバ2の先端部分の被覆を除去して露出されたガラスファイバ2aを切断するものである。
【0018】
光ファイバカッタ1は、カッタ基体3と、このカッタ基体3に開閉可能に取り付けられたカッタ蓋体4とを備えている。カッタ蓋体4は、カッタ基体3の後端部においてカッタ基体3の幅方向に延びる軸部5を介して回動可能に連結されている。カッタ基体3の上面には、切断すべき光ファイバ2を保持するファイバホルダ6を位置決めする略矩形凹状のホルダガイド部7が形成されている。
【0019】
カッタ基体3におけるホルダガイド部7の後側(軸部5側)には、スライダ8が取り付けられている。スライダ8は、図2に示すように、カッタ基体3の幅方向に移動可能である。スライダ8の一端部には、押し込み壁部9が設けられている。カッタ基体3の一側壁には、押し込み壁部9を露出させるための開放部3aが形成されている。スライダ8の他端部とカッタ基体3の他側壁との間には、スライダ8を開放部3a側に付勢するバネ10(図3参照)が設けられている。スライダ8は、バネ10の付勢力によって、通常は図2(b)に示すような初期位置にある。
【0020】
スライダ8の支持壁部11には、光ファイバ2のガラスファイバ2aに傷を付ける円板状の刃部材12が回転可能に支持されている。刃部材12には円形のギア13が取り付けられており、刃部材12及びギア13が一体で回転可能となっている。カッタ基体3における開放部3aの反対側の部位には、ギア13と係合するアーム部材14が設けられている。
【0021】
このような光ファイバカッタ1を用いて、光ファイバ2の切断作業を行うときは、まずカッタ基体3に対してカッタ蓋体4が開いた状態で、図3(a)に示すように、スライダ8の押し込み壁部9を押し込む。すると、図2(a)及び図3(b)に示すように、スライダ8がバネ10の付勢力に抗して開放部3aの反対側に移動してカット開始位置に達する。このとき、カッタ基体3に設けられた係止構造(図示せず)によって、スライダ8はカット開始位置に保持された状態となる。
【0022】
また、アーム部材14がギア13と係合することで、ギア13が所定量だけ回転し、これに伴って刃部材12が所定量だけ回転する。このため、スライダ8がカット開始位置に達する度に、刃部材12における光ファイバ2と接触する部分が所定量だけずれることになる。これにより、刃部材12の寿命を長くすることができる。
【0023】
その状態で、図1に示すように、光ファイバ2を保持したファイバホルダ6をカッタ基体3のホルダガイド部7にセットする。これにより、図3(c)に示すように、光ファイバ2がスライダ8に対して位置決めされた状態となる。
【0024】
次いで、図4に示すように、カッタ基体3に対してカッタ蓋体4を閉じる。すると、カッタ蓋体4に設けられた係止解除片(図示せず)によって、カッタ基体3に対するスライダ8の係止状態が解除される。これにより、図2(b)及び図3(d)に示すように、スライダ8がバネ10の付勢力により開放部3a側に移動して初期位置(カット完了位置)に戻るようになる。
【0025】
このとき、刃部材12が開放部3a側に移動することで、刃部材12が光ファイバ2のガラスファイバ2aに接触し、刃部材12によりガラスファイバ2aに傷が付けられてガラスファイバ2aがカットされることとなる。
【0026】
本実施形態の光ファイバカッタ1は、カッタ基体3に対するカッタ蓋体4の開き角度(以下、単にカッタ蓋体4の開き角度という)を切り替える機能を有している。具体的には、カッタ蓋体4の開き角度としては、図1に示すような第1角度(ここでは35度)と、図5に示すような第1角度よりも大きい第2角度(ここでは70度)とのいずれかに設定される。
【0027】
カッタ基体3の後端部には、図6及び図7に示すように、切替プレート15が取り付けられている。切替プレート15の外面側には、図6〜図9に示すように、切替操作部16が設けられている。切替プレート15の内面側には、図8及び図9に示すように、切替プレート15の上側に向かって下がるように傾斜した傾斜面17aを有するストッパ17が設けられている。
【0028】
ストッパ17は、切替プレート15に形成された窓部15aを介して切替操作部16と一体化されている。つまり、ストッパ17は、切替操作部16と連動するようになっている。窓部15aは、切替プレート15の長手方向に延在するようにスリット状に形成されている。切替操作部16及びストッパ17は、スリット状の窓部15aに沿ってカッタ基体3の幅方向に移動可能である。
【0029】
切替操作部16は、第1位置(図6及び図8参照)と第2位置(図7及び図9参照)との間で切り替え可能である。第1位置は、第2位置よりも切替プレート15の中央側にある。ここでは、第1位置は、カッタ蓋体4の開き角度を35度にする(図1及び図6参照)位置であり、第2位置は、カッタ蓋体4の開き角度を70度にする(図5及び図7参照)位置である。
【0030】
切替操作部16が第1位置にあるときは、カッタ蓋体4が開くと、図10に示すように、カッタ蓋体4の後端部に設けられた当接部18がストッパ17の傾斜面17aに係合(当接)するようになる。このため、カッタ蓋体4の開きがストッパ17により規制されるため、カッタ蓋体4がそれ以上開くことは無く、カッタ蓋体4の開き角度が35度に保持される。
【0031】
一方、切替操作部16が第1位置から第2位置に切り替えられたときは、図11に示すように、当接部18とストッパ17の傾斜面17aとの係合が解除され、当接部18が切替プレート15に当たるようになるため、カッタ蓋体4の開き角度が70度に保持される。
【0032】
以上において、切替プレート15、切替操作部16、ストッパ17及び当接部18は、カッタ基体3に対するカッタ蓋体4の開き角度を切り替える開き角度切替手段を構成している。
【0033】
ここで、光ファイバカッタ1を用いて光ファイバ2を切断する際に、光ファイバカッタ1を一方の手で持った状態で作業を行う場合は、切替操作部16を第1位置に設定することにより、カッタ蓋体4の開き角度が35度と小さくなる。このため、光ファイバカッタ1を持ったほうの手でカッタ蓋体4が閉じやすくなる。
【0034】
また、光ファイバカッタ1を一方の手で持った状態で作業を行う場合は、もう一方の手で光ファイバ2を保持したファイバホルダ6をカッタ基体3のホルダガイド部7にセットすることになる。このとき、ファイバホルダ6を、光ファイバカッタ1の上方からではなく、光ファイバカッタ1の前方または側方からホルダガイド部7にセットするため、カッタ蓋体4の開き角度が35度と小さくても、特に支障は無い。
【0035】
一方、光ファイバカッタ1を作業台上に載置した状態で作業を行う場合は、切替操作部16を第2位置に設定することにより、カッタ蓋体4の開き角度が70度と大きくなる。
【0036】
光ファイバカッタ1を作業台上に載置するときは、光ファイバカッタ1の上方からファイバホルダ6をホルダガイド部7にセットすることになる。従って、カッタ蓋体4の開き角度を70度と大きくすることで、ファイバホルダ6をホルダガイド部7にセットしやすくなる。
【0037】
また、光ファイバカッタ1を作業台上に載置した状態で作業を行う場合は、図12に示すように、光ファイバカッタ1がセットされるベースアタッチメント19が使用される。ベースアタッチメント19は、光ファイバカッタ1と共に光ファイバカッタユニット20(図13参照)を構成する部品である。
【0038】
ベースアタッチメント19には、光ファイバカッタ1を位置決め収容する凹部21が形成されている。これにより、図13に示すように、光ファイバカッタ1がベースアタッチメント19にセットされたときに、光ファイバカッタ1の姿勢が安定するようになり、作業が一層行いやすくなる。
【0039】
ベースアタッチメント19における凹部21に隣接した部位には、支持用突起22が突設されている。支持用突起22には、光ファイバカッタ1のスライダ8を初期位置(前述)から押し込むための押し込み操作レバー23が支持ピン24を介して回動可能に支持されている。
【0040】
押し込み操作レバー23は、図14に示すようにクランク状をなしている。押し込み操作レバー23の一端側部分は、スライダ8の押し込み壁部9と係合する押圧部23aを構成し、押し込み操作レバー23の他端側部分は、作業者が手で掴む取手部23bを構成している。また、支持用突起22には、取手部23bが上方に延びるような方向に押し込み操作レバー23を付勢するための巻きバネ25が取り付けられている。
【0041】
押し込み操作レバー23が通常位置にある状態から、図15及び図16に示すように、押し込み操作レバー23の取手部23bを巻きバネ25の付勢力に抗して押し下げると、押し込み操作レバー23の押圧部23aがスライダ8を押し込む。すると、スライダ8は、バネ10の付勢力に抗して開放部3aとは反対側の方向に移動して、カット開始位置(前述)に達するようになる。
【0042】
以上のように本実施形態にあっては、カッタ蓋体4の開き角度を2段階に切り替え可能としたので、光ファイバカッタ1を片方の手で持った状態で光ファイバ2のカット作業を行う場合だけでなく、光ファイバカッタ1を作業台上に載置した状態で光ファイバ2のカット作業を行う場合においても、作業性を良好にすることができる。
【0043】
具体的には、光ファイバカッタ1を片方の手で持った状態で光ファイバ2のカット作業を行う場合は、カッタ蓋体4の開き角度を第1角度に設定することで、光ファイバカッタ1を持ったほうの手でカッタ蓋体4を容易に閉じることができる。一方、光ファイバカッタ1を作業台上に載置した状態で光ファイバ2のカット作業を行う場合は、カッタ蓋体4の開き角度を第1角度よりも大きい第2角度に設定することで、ファイバホルダ6を光ファイバカッタ1の上方から容易にカッタ基体3のホルダガイド部7にセットすることができる。
【0044】
また、光ファイバカッタ1を作業台上に載置した状態で光ファイバ2のカット作業を行う場合に使用されるベースアタッチメント19に、光ファイバカッタ1のスライダ8を押し込むための押し込み操作レバー23を設けたので、作業者が光ファイバカッタ1の上方や側方から手でスライダ8を押し込まなくて済む。これにより、作業性を一層良好にすることができる。
【0045】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、カッタ蓋体4の開き角度を2段階に切り替え可能となるようにしたが、例えば切替プレート15のストッパ17に段差を設けることで、カッタ蓋体4の開き角度を3段階以上に切り替え可能となるようにしても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、ベースアタッチメント19に、光ファイバカッタ1を位置決め収容する凹部21を設けたが、そのような構成の他に、例えば光ファイバカッタ1をベースアタッチメント19にネジ止めするようにしても良い。
【0047】
さらに、上記実施形態では、カッタ蓋体4の開き角度を第2角度としたときに、光ファイバカッタ1をベースアタッチメント19にセットするようにしたが、カッタ蓋体4の開き角度に関わらず、光ファイバカッタ1をベースアタッチメント19にセットして、光ファイバ2の切断作業を行っても良い。
【0048】
また、上記実施形態では、ベースアタッチメント19は光ファイバカッタ1をセットするものであるが、光ファイバカッタ1だけでなく、リムーバー(被覆除去器)等の付属工具をベースアタッチメントにセット可能としても良い。また、光ファイバの被覆除去後には、光ファイバの清掃が必要となるが、そのような清掃工具もベースアタッチメントにセット可能としても良い。このとき、アルコール、ベンコットン、綿棒の置き場所をベースアタッチメントに確保したり、ゴミ箱をベースアタッチメントに取り付け可能としても良い。
【符号の説明】
【0049】
1…光ファイバカッタ、2…光ファイバ、3…カッタ基体、4…カッタ蓋体、7…ホルダガイド部(ファイバガイド部)、8…スライダ、12…刃部材、15…切替プレート(開き角度切替手段)、16…切替操作部(開き角度切替手段)、17…ストッパ(開き角度切替手段)、18…当接部(開き角度切替手段)、19…ベースアタッチメント、20…光ファイバカッタユニット、23…押し込み操作レバー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを切断する光ファイバカッタ及び光ファイバカッタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ファイバカッタとしては、例えば特許文献1に記載されているように、光ファイバのガラスファイバ部分に創傷を付ける円板状の刃部材を備えた下箱体(カッタ基体)と、この下箱体の一端にヒンジ部材を介して回動自在に連結された上箱体(カッタ蓋体)とから構成されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−203815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、上記従来技術の光ファイバカッタを用いて光ファイバの切断作業を行うときは、通常は光ファイバカッタを一方の手で持ち、もう一方の手で光ファイバ等を取り扱う。この場合には、ファイバカッタを持ったほうの手でカッタ蓋体を閉じることになるため、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度をあまり大きくしていない。しかし、ユーザによっては、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行う場合もある。この場合には、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度が大きくないと、光ファイバを光ファイバカッタにセットしにくくなり、作業性の低下につながる。
【0005】
本発明の目的は、光ファイバカッタを手で持った状態で作業を行う場合だけでなく、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行う場合でも、作業性を良くすることができる光ファイバカッタ及び光ファイバカッタユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光ファイバを切断する光ファイバカッタにおいて、光ファイバを位置決めするファイバガイド部を有するカッタ基体と、カッタ基体に移動可能に取り付けられ、光ファイバに傷を付ける刃部材を有するスライダと、カッタ基体に開閉可能に取り付けられ、カッタ基体に対して閉じることでスライダを初期位置に戻すように移動させるカッタ蓋体と、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を切り替える開き角度切替手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
このような本発明の光ファイバカッタを用いて、光ファイバの切断作業を行うときは、スライダを初期位置から押し込んで移動させた後、カッタ基体のファイバガイド部に光ファイバを位置決めし、その状態でカッタ蓋体をカッタ基体に対して閉じることで、スライダを初期位置に戻すように移動させる。すると、スライダに設けられた刃部材によって光ファイバに傷が付けられ、光ファイバが切断される。
【0008】
このとき、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を切り替える開き角度切替手段を設けることにより、光ファイバ切断作業のやり方に応じて、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を切り替えるようにする。例えば、光ファイバカッタを一方の手で持った状態で作業を行うときは、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を小さく設定することで、ファイバカッタを持ったほうの手でカッタ蓋体を容易に閉じることが可能となるため、作業が行いやすくなる。一方、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行うときは、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を大きく設定することで、光ファイバカッタの上方から光ファイバをカッタ基体のファイバガイド部に位置決めすることが可能となるため、作業が行いやすくなる。このように光ファイバカッタを一方の手で持った状態で作業を行うときでも、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行うときでも、作業性を良くすることができる。
【0009】
好ましくは、開き角度切替手段は、カッタ基体に設けられた切替操作部と、切替操作部と連動し、切替操作部が所定位置にあるときにカッタ蓋体と係合するストッパとを有する。この場合には、切替操作部が所定位置にあるときは、ストッパがカッタ蓋体と係合するため、カッタ蓋体の開きがストッパにより規制される。一方、切替操作部が所定位置から他の位置に切替操作されると、ストッパとカッタ蓋体との係合が解除されるため、カッタ蓋体が更に開くようになる。従って、カッタ基体に対するカッタ蓋体の開き角度を簡単に且つ確実に切り替えることができる。
【0010】
このとき、好ましくは、開き角度切替手段は、カッタ基体の後端部に配置された切替プレートを更に有し、切替操作部及びストッパは、カッタ基体の幅方向に一緒に移動可能となるように切替プレートに取り付けられており、切替操作部は、切替プレートの外面側に設けられ、ストッパは、切替プレートの内面側に設けられている。この場合には、開き角度切替手段の構成を簡素化できると共に、切替操作部の操作が行いやすくなる。
【0011】
本発明の光ファイバカッタユニットは、上記の光ファイバカッタと、光ファイバカッタがセットされるベースアタッチメントとを備えることを特徴とするものである。
【0012】
このように本発明の光ファイバカッタユニットにおいては、上記の開き角度切替手段を有する光ファイバカッタを備えているので、上述したように、光ファイバカッタを一方の手で持った状態で作業を行うときでも、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行うときでも、作業性を良くすることができる。また、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行うときに、ベースアタッチメントに光ファイバカッタをセットすることにより、光ファイバカッタの姿勢が安定化するため、作業性をより良くすることができる。
【0013】
好ましくは、ベースアタッチメントには、スライダを初期位置から押し込むための押し込み操作レバーが設けられている。光ファイバカッタがベースアタッチメントにセットされた状態では、スライダを手で押し込もうとするときは、ベースアタッチメントの上方や側方からスライダを押すことになるので、スライダの押し込み操作が行いにくくなる。そこで、スライダを初期位置から押し込むための押し込み操作レバーをベースアタッチメントに設けることにより、押し込み操作レバーによりスライダを容易に初期位置から押し込んで移動させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光ファイバカッタを手で持った状態で作業を行う場合だけでなく、光ファイバカッタを作業台上に置いた状態で作業を行う場合でも、作業性を良くすることができる。これにより、作業者にかかる負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係わる光ファイバカッタの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示したカッタ基体の内部構造を示す斜視図である。
【図3】図1に示した光ファイバカッタにより光ファイバに傷を付ける様子を示す概念図である。
【図4】図1に示したカッタ蓋体を閉じた状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示した光ファイバカッタよりもカッタ蓋体が大きく開いた状態を示す斜視図である。
【図6】図1に示した光ファイバカッタの側面図及び背面図である。
【図7】図5に示した光ファイバカッタの側面図及び背面図である。
【図8】図6に示した切替プレートを内面側及び外面側から見た斜視図である。
【図9】図7に示した切替プレートを内面側及び外面側から見た斜視図である。
【図10】図6に示した光ファイバカッタの後部の断面図である。
【図11】図7に示した光ファイバカッタの後部の断面図である。
【図12】図5に示した光ファイバカッタがセットされるベースアタッチメントを示す斜視図である。
【図13】図5に示した光ファイバカッタがベースアタッチメントにセットされた状態を示す斜視図である。
【図14】図13に示した押し込み操作レバーの支持構造を示す斜視図である。
【図15】図13に示した押し込み操作レバーによりスライダが押し込まれた状態を示す斜視図である。
【図16】図14に示した押し込み操作レバーによりスライダが押し込まれた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係わる光ファイバカッタ及び光ファイバカッタユニットの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係わる光ファイバカッタの一実施形態を示す斜視図である。同図において、本実施形態の光ファイバカッタ1は、光ファイバ2の先端部分の被覆を除去して露出されたガラスファイバ2aを切断するものである。
【0018】
光ファイバカッタ1は、カッタ基体3と、このカッタ基体3に開閉可能に取り付けられたカッタ蓋体4とを備えている。カッタ蓋体4は、カッタ基体3の後端部においてカッタ基体3の幅方向に延びる軸部5を介して回動可能に連結されている。カッタ基体3の上面には、切断すべき光ファイバ2を保持するファイバホルダ6を位置決めする略矩形凹状のホルダガイド部7が形成されている。
【0019】
カッタ基体3におけるホルダガイド部7の後側(軸部5側)には、スライダ8が取り付けられている。スライダ8は、図2に示すように、カッタ基体3の幅方向に移動可能である。スライダ8の一端部には、押し込み壁部9が設けられている。カッタ基体3の一側壁には、押し込み壁部9を露出させるための開放部3aが形成されている。スライダ8の他端部とカッタ基体3の他側壁との間には、スライダ8を開放部3a側に付勢するバネ10(図3参照)が設けられている。スライダ8は、バネ10の付勢力によって、通常は図2(b)に示すような初期位置にある。
【0020】
スライダ8の支持壁部11には、光ファイバ2のガラスファイバ2aに傷を付ける円板状の刃部材12が回転可能に支持されている。刃部材12には円形のギア13が取り付けられており、刃部材12及びギア13が一体で回転可能となっている。カッタ基体3における開放部3aの反対側の部位には、ギア13と係合するアーム部材14が設けられている。
【0021】
このような光ファイバカッタ1を用いて、光ファイバ2の切断作業を行うときは、まずカッタ基体3に対してカッタ蓋体4が開いた状態で、図3(a)に示すように、スライダ8の押し込み壁部9を押し込む。すると、図2(a)及び図3(b)に示すように、スライダ8がバネ10の付勢力に抗して開放部3aの反対側に移動してカット開始位置に達する。このとき、カッタ基体3に設けられた係止構造(図示せず)によって、スライダ8はカット開始位置に保持された状態となる。
【0022】
また、アーム部材14がギア13と係合することで、ギア13が所定量だけ回転し、これに伴って刃部材12が所定量だけ回転する。このため、スライダ8がカット開始位置に達する度に、刃部材12における光ファイバ2と接触する部分が所定量だけずれることになる。これにより、刃部材12の寿命を長くすることができる。
【0023】
その状態で、図1に示すように、光ファイバ2を保持したファイバホルダ6をカッタ基体3のホルダガイド部7にセットする。これにより、図3(c)に示すように、光ファイバ2がスライダ8に対して位置決めされた状態となる。
【0024】
次いで、図4に示すように、カッタ基体3に対してカッタ蓋体4を閉じる。すると、カッタ蓋体4に設けられた係止解除片(図示せず)によって、カッタ基体3に対するスライダ8の係止状態が解除される。これにより、図2(b)及び図3(d)に示すように、スライダ8がバネ10の付勢力により開放部3a側に移動して初期位置(カット完了位置)に戻るようになる。
【0025】
このとき、刃部材12が開放部3a側に移動することで、刃部材12が光ファイバ2のガラスファイバ2aに接触し、刃部材12によりガラスファイバ2aに傷が付けられてガラスファイバ2aがカットされることとなる。
【0026】
本実施形態の光ファイバカッタ1は、カッタ基体3に対するカッタ蓋体4の開き角度(以下、単にカッタ蓋体4の開き角度という)を切り替える機能を有している。具体的には、カッタ蓋体4の開き角度としては、図1に示すような第1角度(ここでは35度)と、図5に示すような第1角度よりも大きい第2角度(ここでは70度)とのいずれかに設定される。
【0027】
カッタ基体3の後端部には、図6及び図7に示すように、切替プレート15が取り付けられている。切替プレート15の外面側には、図6〜図9に示すように、切替操作部16が設けられている。切替プレート15の内面側には、図8及び図9に示すように、切替プレート15の上側に向かって下がるように傾斜した傾斜面17aを有するストッパ17が設けられている。
【0028】
ストッパ17は、切替プレート15に形成された窓部15aを介して切替操作部16と一体化されている。つまり、ストッパ17は、切替操作部16と連動するようになっている。窓部15aは、切替プレート15の長手方向に延在するようにスリット状に形成されている。切替操作部16及びストッパ17は、スリット状の窓部15aに沿ってカッタ基体3の幅方向に移動可能である。
【0029】
切替操作部16は、第1位置(図6及び図8参照)と第2位置(図7及び図9参照)との間で切り替え可能である。第1位置は、第2位置よりも切替プレート15の中央側にある。ここでは、第1位置は、カッタ蓋体4の開き角度を35度にする(図1及び図6参照)位置であり、第2位置は、カッタ蓋体4の開き角度を70度にする(図5及び図7参照)位置である。
【0030】
切替操作部16が第1位置にあるときは、カッタ蓋体4が開くと、図10に示すように、カッタ蓋体4の後端部に設けられた当接部18がストッパ17の傾斜面17aに係合(当接)するようになる。このため、カッタ蓋体4の開きがストッパ17により規制されるため、カッタ蓋体4がそれ以上開くことは無く、カッタ蓋体4の開き角度が35度に保持される。
【0031】
一方、切替操作部16が第1位置から第2位置に切り替えられたときは、図11に示すように、当接部18とストッパ17の傾斜面17aとの係合が解除され、当接部18が切替プレート15に当たるようになるため、カッタ蓋体4の開き角度が70度に保持される。
【0032】
以上において、切替プレート15、切替操作部16、ストッパ17及び当接部18は、カッタ基体3に対するカッタ蓋体4の開き角度を切り替える開き角度切替手段を構成している。
【0033】
ここで、光ファイバカッタ1を用いて光ファイバ2を切断する際に、光ファイバカッタ1を一方の手で持った状態で作業を行う場合は、切替操作部16を第1位置に設定することにより、カッタ蓋体4の開き角度が35度と小さくなる。このため、光ファイバカッタ1を持ったほうの手でカッタ蓋体4が閉じやすくなる。
【0034】
また、光ファイバカッタ1を一方の手で持った状態で作業を行う場合は、もう一方の手で光ファイバ2を保持したファイバホルダ6をカッタ基体3のホルダガイド部7にセットすることになる。このとき、ファイバホルダ6を、光ファイバカッタ1の上方からではなく、光ファイバカッタ1の前方または側方からホルダガイド部7にセットするため、カッタ蓋体4の開き角度が35度と小さくても、特に支障は無い。
【0035】
一方、光ファイバカッタ1を作業台上に載置した状態で作業を行う場合は、切替操作部16を第2位置に設定することにより、カッタ蓋体4の開き角度が70度と大きくなる。
【0036】
光ファイバカッタ1を作業台上に載置するときは、光ファイバカッタ1の上方からファイバホルダ6をホルダガイド部7にセットすることになる。従って、カッタ蓋体4の開き角度を70度と大きくすることで、ファイバホルダ6をホルダガイド部7にセットしやすくなる。
【0037】
また、光ファイバカッタ1を作業台上に載置した状態で作業を行う場合は、図12に示すように、光ファイバカッタ1がセットされるベースアタッチメント19が使用される。ベースアタッチメント19は、光ファイバカッタ1と共に光ファイバカッタユニット20(図13参照)を構成する部品である。
【0038】
ベースアタッチメント19には、光ファイバカッタ1を位置決め収容する凹部21が形成されている。これにより、図13に示すように、光ファイバカッタ1がベースアタッチメント19にセットされたときに、光ファイバカッタ1の姿勢が安定するようになり、作業が一層行いやすくなる。
【0039】
ベースアタッチメント19における凹部21に隣接した部位には、支持用突起22が突設されている。支持用突起22には、光ファイバカッタ1のスライダ8を初期位置(前述)から押し込むための押し込み操作レバー23が支持ピン24を介して回動可能に支持されている。
【0040】
押し込み操作レバー23は、図14に示すようにクランク状をなしている。押し込み操作レバー23の一端側部分は、スライダ8の押し込み壁部9と係合する押圧部23aを構成し、押し込み操作レバー23の他端側部分は、作業者が手で掴む取手部23bを構成している。また、支持用突起22には、取手部23bが上方に延びるような方向に押し込み操作レバー23を付勢するための巻きバネ25が取り付けられている。
【0041】
押し込み操作レバー23が通常位置にある状態から、図15及び図16に示すように、押し込み操作レバー23の取手部23bを巻きバネ25の付勢力に抗して押し下げると、押し込み操作レバー23の押圧部23aがスライダ8を押し込む。すると、スライダ8は、バネ10の付勢力に抗して開放部3aとは反対側の方向に移動して、カット開始位置(前述)に達するようになる。
【0042】
以上のように本実施形態にあっては、カッタ蓋体4の開き角度を2段階に切り替え可能としたので、光ファイバカッタ1を片方の手で持った状態で光ファイバ2のカット作業を行う場合だけでなく、光ファイバカッタ1を作業台上に載置した状態で光ファイバ2のカット作業を行う場合においても、作業性を良好にすることができる。
【0043】
具体的には、光ファイバカッタ1を片方の手で持った状態で光ファイバ2のカット作業を行う場合は、カッタ蓋体4の開き角度を第1角度に設定することで、光ファイバカッタ1を持ったほうの手でカッタ蓋体4を容易に閉じることができる。一方、光ファイバカッタ1を作業台上に載置した状態で光ファイバ2のカット作業を行う場合は、カッタ蓋体4の開き角度を第1角度よりも大きい第2角度に設定することで、ファイバホルダ6を光ファイバカッタ1の上方から容易にカッタ基体3のホルダガイド部7にセットすることができる。
【0044】
また、光ファイバカッタ1を作業台上に載置した状態で光ファイバ2のカット作業を行う場合に使用されるベースアタッチメント19に、光ファイバカッタ1のスライダ8を押し込むための押し込み操作レバー23を設けたので、作業者が光ファイバカッタ1の上方や側方から手でスライダ8を押し込まなくて済む。これにより、作業性を一層良好にすることができる。
【0045】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、カッタ蓋体4の開き角度を2段階に切り替え可能となるようにしたが、例えば切替プレート15のストッパ17に段差を設けることで、カッタ蓋体4の開き角度を3段階以上に切り替え可能となるようにしても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、ベースアタッチメント19に、光ファイバカッタ1を位置決め収容する凹部21を設けたが、そのような構成の他に、例えば光ファイバカッタ1をベースアタッチメント19にネジ止めするようにしても良い。
【0047】
さらに、上記実施形態では、カッタ蓋体4の開き角度を第2角度としたときに、光ファイバカッタ1をベースアタッチメント19にセットするようにしたが、カッタ蓋体4の開き角度に関わらず、光ファイバカッタ1をベースアタッチメント19にセットして、光ファイバ2の切断作業を行っても良い。
【0048】
また、上記実施形態では、ベースアタッチメント19は光ファイバカッタ1をセットするものであるが、光ファイバカッタ1だけでなく、リムーバー(被覆除去器)等の付属工具をベースアタッチメントにセット可能としても良い。また、光ファイバの被覆除去後には、光ファイバの清掃が必要となるが、そのような清掃工具もベースアタッチメントにセット可能としても良い。このとき、アルコール、ベンコットン、綿棒の置き場所をベースアタッチメントに確保したり、ゴミ箱をベースアタッチメントに取り付け可能としても良い。
【符号の説明】
【0049】
1…光ファイバカッタ、2…光ファイバ、3…カッタ基体、4…カッタ蓋体、7…ホルダガイド部(ファイバガイド部)、8…スライダ、12…刃部材、15…切替プレート(開き角度切替手段)、16…切替操作部(開き角度切替手段)、17…ストッパ(開き角度切替手段)、18…当接部(開き角度切替手段)、19…ベースアタッチメント、20…光ファイバカッタユニット、23…押し込み操作レバー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを切断する光ファイバカッタにおいて、
前記光ファイバを位置決めするファイバガイド部を有するカッタ基体と、
前記カッタ基体に移動可能に取り付けられ、前記光ファイバに傷を付ける刃部材を有するスライダと、
前記カッタ基体に開閉可能に取り付けられ、前記カッタ基体に対して閉じることで前記スライダを初期位置に戻すように移動させるカッタ蓋体と、
前記カッタ基体に対する前記カッタ蓋体の開き角度を切り替える開き角度切替手段とを備えることを特徴とする光ファイバカッタ。
【請求項2】
前記開き角度切替手段は、前記カッタ基体に設けられた切替操作部と、前記切替操作部と連動し、前記切替操作部が所定位置にあるときに前記カッタ蓋体と係合するストッパとを有することを特徴とする請求項1記載の光ファイバカッタ。
【請求項3】
前記開き角度切替手段は、前記カッタ基体の後端部に配置された切替プレートを更に有し、
前記切替操作部及び前記ストッパは、前記カッタ基体の幅方向に一緒に移動可能となるように前記切替プレートに取り付けられており、
前記切替操作部は、前記切替プレートの外面側に設けられ、
前記ストッパは、前記切替プレートの内面側に設けられていることを特徴とする請求項2記載の光ファイバカッタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載の光ファイバカッタと、
前記光ファイバカッタがセットされるベースアタッチメントとを備えることを特徴とする光ファイバカッタユニット。
【請求項5】
前記ベースアタッチメントには、前記スライダを前記初期位置から押し込むための押し込み操作レバーが設けられていることを特徴とする請求項4記載の光ファイバカッタユニット。
【請求項1】
光ファイバを切断する光ファイバカッタにおいて、
前記光ファイバを位置決めするファイバガイド部を有するカッタ基体と、
前記カッタ基体に移動可能に取り付けられ、前記光ファイバに傷を付ける刃部材を有するスライダと、
前記カッタ基体に開閉可能に取り付けられ、前記カッタ基体に対して閉じることで前記スライダを初期位置に戻すように移動させるカッタ蓋体と、
前記カッタ基体に対する前記カッタ蓋体の開き角度を切り替える開き角度切替手段とを備えることを特徴とする光ファイバカッタ。
【請求項2】
前記開き角度切替手段は、前記カッタ基体に設けられた切替操作部と、前記切替操作部と連動し、前記切替操作部が所定位置にあるときに前記カッタ蓋体と係合するストッパとを有することを特徴とする請求項1記載の光ファイバカッタ。
【請求項3】
前記開き角度切替手段は、前記カッタ基体の後端部に配置された切替プレートを更に有し、
前記切替操作部及び前記ストッパは、前記カッタ基体の幅方向に一緒に移動可能となるように前記切替プレートに取り付けられており、
前記切替操作部は、前記切替プレートの外面側に設けられ、
前記ストッパは、前記切替プレートの内面側に設けられていることを特徴とする請求項2記載の光ファイバカッタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載の光ファイバカッタと、
前記光ファイバカッタがセットされるベースアタッチメントとを備えることを特徴とする光ファイバカッタユニット。
【請求項5】
前記ベースアタッチメントには、前記スライダを前記初期位置から押し込むための押し込み操作レバーが設けられていることを特徴とする請求項4記載の光ファイバカッタユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−41041(P2013−41041A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176988(P2011−176988)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000110309)SEIオプティフロンティア株式会社 (80)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000110309)SEIオプティフロンティア株式会社 (80)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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