説明

光ファイバセンサを用いた液位計、水準器、圧力計および温度計

【課題】測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定することができる液位計とこれを用いた水準器、圧力計および温度計を提供する。
【解決手段】先端にモード規定解除部であるヘテロ・コア部30からなるセンサ部4が融着接合された光ファイバセンサ9と、光ファイバセンサ9のコアに光を出射する光源1と、センサ部4において外部との相互作用を受けて光源1側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部である信号検出器6とを有し、センサ部4の先端から少なくとも一部を測定対象液体LQに浸漬させた状態で戻り光の強度を測定することにより、測定対象液体LQの液面LSの位置(液位)を測定する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの先端部において外界の状況を検出するティップ(tip)型の光ファイバセンサを用いた液位計、水準器、圧力計および温度計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非特許文献1において、光ファイバを用いた液位計が報告されている。
図14は、上記の光ファイバを用いた液位計の構成を示す模式図である。
コア201と、その外周を被覆するクラッド202から構成される光ファイバ200からなり、コア201には周期的に屈折率分布の異なる領域203が設けられている。
これは、長周期グレーティング(LPG:long-period grating)の原理に基づいており、周期的な屈折率分布(グレーティング)をファイバに設けることにより、クラッディングモード(クラッドに存在する伝播光波LCLのエネルギー)とクラッドに付着する物質との相互作用を行うことができる。つまり、クラッドに付着する物質の濃度(屈折率)やその面積によって、伝播光波LCLに損失を生じさせることができる。即ち、伝播光波LCLの損失を測定することで、測定対象液体の液面LSの位置(液位)を測定することができる。
【0003】
ところが、グレーティングをファイバ中に設ける場合、その間隔は離散的なものとなり、典型的なグレーティングの周期は100μm〜1mmである。この特徴は、液位計として用いた場合に、計測可能な液位が離散的な値しかとれないことを意味する。
【0004】
また、LPGによって損失を生じることのできる液体は、光ファイバのクラッドの屈折率に近い屈折率を持たなければならず、測定可能な屈折率範囲は1.4〜1.456である。従って、例えば水の屈折率は1.333程度であるから、上記の測定範囲はかなり限定された液体しか測定対象とすることができないことを意味している。
【非特許文献1】Sanfraz Khaliq, Stephen W. James, and Ralph P Tatam, Fiber-optic liquid-level sensor using a long-period grating, Optics Letters, Vol. 26, No. 16, August 15, 2001.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定することが困難であるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液位計は、コア中で光を伝送する光ファイバ部と、前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部とを有する光ファイバセンサと、前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部とを有し、前記モード規定解除部の先端から少なくとも一部を測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記測定対象液体の液位を測定する。
【0007】
上記の本発明の液位計は、好適には、前記モード規定解除部は、前記光ファイバ部の前記コアとはコア径が異なるヘテロ・コア部である。
あるいは、好適には、前記モード規定解除部は、クラッドのみからなるヘテロ・コア部である。
【0008】
さらに、好適には、前記ヘテロ・コア部の表面に、当該表面における前記ヘテロ・コア部中の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜をさらに有する。
さらに、好適には、前記へテロ・コア部の表面に、前記へテロ・コア部の外部の前記測定対象液体と選択的に反応して当該反応に応じた変化を前記へテロ・コア部中の光にもたらす検出薬が固定されている。
またさらに好適には、前記へテロ・コア部の前記光ファイバ部に融着接合されている端部とは反対側の端部の表面に、前記へテロ・コア部中の光を反射して前記光ファイバ部側へ戻す反射部をさらに有する。
【0009】
また、本発明に係る液位計は、コア中で光を伝送する光ファイバ部と、前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部とを有する複数の光ファイバセンサと、前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部とを有し、前記複数の光ファイバセンサの各モード規定解除部が、測定対象液体の液面に対してそれぞれ異なる高さで配置されており、前記モード規定解除部のいずれかの先端から少なくとも一部を前記測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記測定対象液体の液位を測定する。
【0010】
また、本発明に係る水準器は、コア中で光を伝送する光ファイバ部と、前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部とを有し、前記モード規定解除部が所定の間隔を開けるように配置されている3本の光ファイバセンサと、前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部と、相対的姿勢を固定して前記各モード規定解除部を内部に収容する容器と、前記容器に収容された測定対象液体とを有し、前記各モード規定解除部の先端から少なくとも一部を前記測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記各モード規定解除部毎の前記測定対象液体の液位を測定し、前記3本の光ファイバセンサに対する前記測定対象液体の液面の傾きを測定する。
【0011】
また、本発明に係る水準器は、コア中で光を伝送する光ファイバ部と、前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部とを有し、前記モード規定解除部が所定の間隔を開けるように配置されている2本の光ファイバセンサと、前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部と、相対的姿勢を固定して前記各モード規定解除部を内部に収容する容器と、前記容器に収容された測定対象液体とを有し、前記各モード規定解除部の先端から少なくとも一部を前記測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記各モード規定解除部毎の前記測定対象液体の液位を測定して得られる前記2本の光ファイバセンサに対する前記測定対象液体の液位と、前記容器の形状および前記測定対象液体の体積から、前記測定対象液体の液面の傾きを測定する。
【0012】
また、本発明に係る圧力計は、コア中で光を伝送する光ファイバ部と、前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部とを有する光ファイバセンサと、前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部と、前記モード規定解除部を内部に固定して収容する容器と、前記容器に封入された測定対象液体とを有し、前記容器は外部圧力に応じて前記測定対象液体の液面が変動する機構を有し、前記モード規定解除部の先端から少なくとも一部を前記測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記測定対象液体の液位を測定して、前記外部圧力に換算する。
【0013】
また、本発明に係る温度計は、コア中で光を伝送する光ファイバ部と、前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部とを有する光ファイバセンサと、前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部と、前記モード規定解除部を内部に固定して収容する容器と、前記容器に封入され、雰囲気の温度に応じて液面が変動する測定対象液体とを有し、前記モード規定解除部の先端から少なくとも一部を前記測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記測定対象液体の液位を測定して、前記温度に換算する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液位計によれば、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサにより、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定することができる。
【0015】
また、本発明の水準器によれば、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサを複数組み合わせて、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定し、測定対象液体の液面の傾きを測定することができる。
【0016】
また、本発明の圧力計によれば、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサと外部圧力に応じて測定対象液体の液面が変動する機構を有する容器と組み合わせて、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定し、外部圧力に換算することができる。
【0017】
また、本発明の温度計によれば、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサと雰囲気の温度に応じて液面が変動する測定対象液体と組み合わせて、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定し、温度に換算することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら述べる。
【0019】
第1実施形態
図1は、本実施形態に係るティップ(tip)型の光ファイバセンサを用いた液位計の概略構成図であり、光ファイバセンサの先端に設けられたセンサ部を測定対象液体に先端側から浸漬したときの液面の位置(液位)を測定する装置である。
図1に示す液位計100は、光源1、光分岐装置2、光ファイバセンサ9、参照光検出器5、信号検出器6および測定演算器7を有する。
本発明における光検出部の一実施態様が信号検出器6に相当する。
【0020】
光源1は光ファイバ部20dにより光分岐装置2に接続されており、信号検出器6は光ファイバ部20eにより光分岐装置2に接続されている。
また、光ファイバセンサ9は光ファイバコネクタ3を介して光ファイバ部20bに接続されており、この光ファイバ部20bがさらに光分岐装置2に接続されている。
参照光検出器5は、光ファイバ部20cを介して光分岐装置2に接続されている。
【0021】
光ファイバセンサ9は、光ファイバ部20aの一端部にセンサ部4を有している。光ファイバ部20aの他端部が光ファイバコネクタ3を介して光ファイバ部20bに接続されている。
【0022】
光ファイバ部20a〜20eは、各々光ファイバを用いて構成される。光ファイバ部20a〜20eを構成する光ファイバには、シングルモード光ファイバを用いてもよいし、マルチモード光ファイバを用いてもよい。光ファイバ部20a〜20eを構成する光ファイバは、それぞれ種類が異なっていてもよい。
【0023】
また、光ファイバ部20a〜20eの長さは、それぞれ適宜決めることができる。例えば、研究室や実験室において測定対象液体の液位測定を行なう場合では、それぞれ数十cmの長さにすればよい。光源1とセンサ部4との距離を離す必要がある場合には、例えば、光ファイバ部20bまたは光ファイバ部20dの長さを長くすればよい。使用形態に応じて、各光ファイバ部20a〜20eは数百mの長さとすることも可能である。
【0024】
信号検出器6と測定演算器7、および光源1と測定演算器7とは、それぞれ信号線によって接続される。
例えば図1に示すように、光源1と参照光検出器5と信号検出器6と測定演算器7とを一つにまとめて、測定器8として構成してもよい。
【0025】
光源1としては、複数の波長の光を含む光を発する多波長光源と、任意の波長の単色光を発する単一波長光源のいずれをも使用可能である。多波長光源としては、例えば、白色光源を用い、単一波長光源としては、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)やレーザーダイオード(Laser Diode:LD)を用いる。
光源1は、光ファイバセンサ9を用いた測定のための光LT1を光分岐装置2に出力する。
【0026】
光分岐装置2は、例えば、光ファイバカプラなどのような、1つの入力ポートに光が入射した場合に、その光が複数の出力ポートに分岐して出力される装置により実現する。
本実施形態においては、2つの入力ポートと2つの出力ポートとを有し融着延伸法によって製作された2×2光ファイバカプラを用いる。この2×2光ファイバカプラにおいて、1つの入力ポートに入力された光は、2つの出力ポートに分岐されて出力される。
また、この光ファイバカプラにおいては、光の入出力方向を変更すれば、出力ポートは入力ポートとして機能し、入力ポートは出力ポートとして機能するものとする。
【0027】
光ファイバコネクタ3には、例えば、光ファイバ同士の接続に使用される市販のコネクタを用いる。この光ファイバコネクタ3は、光ファイバセンサ9の光ファイバ部20aと、光ファイバ部20bとの接続に用いる。光ファイバ部20bの先端に直接センサ部4を設けて光ファイバセンサを製造した場合には、この光ファイバコネクタ3は不要である。
【0028】
光ファイバセンサ9は、光分岐装置2、光ファイバ部20b、光ファイバ部20aを介して光源1から入力されたLT2光を、センサ部4において光ファイバセンサ9の外界と相互作用させ、外界の状況として、測定対象液体LQの液位LSを検出する。
光ファイバセンサ9の構成および機能の詳細については後述する。
【0029】
参照光検出器5は、光分岐装置2によって光源からの光LT1から分岐された参照光LT5を検出する。
参照光検出器5は、例えば、フォトダイオードやスペクトルアナライザ(分光器)によって実現する。
参照光検出器5が検出する参照光LT5は、光源1からの光LT1の時間変動等の不安定性をキャンセルするための参照(リファレンス)として用い、例えば、参照光検出器5は測定演算器7に接続されて、参照光LT5を検出して得た参照信号SGrを測定演算器7に送信する。そのため、光源1の安定性を考慮しない精度の測定であれば、参照光検出器5は不要であり、また、光分岐装置2において参照光検出器5へ光を分岐させるための出力ポートも必要ない。
【0030】
信号検出器6は、光ファイバセンサ9において光ファイバセンサ9の外部の環境(外界)と相互作用を受けて光ファイバ部20bおよび光分岐装置2を介して光源1側へ戻ってきた戻り光を、光ファイバ部20eを介して受光する。
信号検出器6により、上記の戻り光の強度が検出される。即ち、信号検出器6は、光ファイバセンサ9からの戻り光の直接的な強度を検出する。
信号検出器6は、検出した光の強度のデータ信号SG1を測定演算器7に送信する。
【0031】
信号検出器6としては、例えば、スペクトルアナライザや、フォトダイオードを用いた受光回路を使用し、光源1の種類に応じてこれらの検出器を使い分ける。例えば、光源1に白色光源を用いる場合には、白色光源からの光に含まれる各波長の光のそれぞれの強度を検出するためにスペクトルアナライザを用いる。光源1にLEDやLD等の単一波長光源を用いる場合には、フォトダイオードを用いた受光回路で十分である。フォトダイオードを用いた受光回路を、パワーメータと呼ぶこともある。
【0032】
測定演算器7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理回路とその駆動のためのプログラムによって実現する。
測定演算器7は、信号検出器6から送信されるデータ信号SG1に基づいて、光ファイバセンサ9を用いた測定対象の測定値を算出する。言い換えれば、測定演算器7は、データ信号SG1が表わす光の強度の情報を、この強度を用いた所定の演算により、光ファイバセンサ9の外界における測定対象の存在や、その濃度、酸性度等の特性の情報に変換する。このような測定目的に応じた変換のためのプログラムが測定演算器7には含まれている。
【0033】
また、測定の自動化のために、測定演算器7から光源1に制御信号SG2を出力させて、光源1のオン・オフや光の強度・種類等を測定演算器7に制御させる構成としてもよい。
【0034】
以下、光ファイバセンサ9について詳細に述べる。
図2(a)〜(c)は、第1実施形態に係る光ファイバセンサ9の構成を示し、光ファイバセンサ9のセンサ部4近傍での長手方向の断面図である。図2(a)〜(c)は、それぞれ、センサ部4の構造が異なる光ファイバセンサを示している。
本実施形態に係る光ファイバセンサ9は、光ファイバ部20aと、センサ部4とを有する。
光ファイバ部20aは、コア21と、その周りに積層されるクラッド22とを有する。光源1からの光はコア21に入射される。
また、本実施形態に係るセンサ部4は、ヘテロ・コア部30と、金属膜50と、反射膜60とを有する。
【0035】
本発明におけるモード規定解除部の一実施態様がヘテロ・コア部30である。また、本発明における反射部の一実施態様が反射膜60である。
本実施形態に係る光ファイバセンサ9は、光ファイバ部20aの光源1側に配置される端部とは反対側の端部に、数mmから数十mmの光ファイバ部20aの長さと比較して短いヘテロ・コア部30を接続して構成している。従って、光ファイバセンサ9は、センサ部4を構成するヘテロ・コア部30が先端に存在するティップ型の光ファイバセンサとなっている。
【0036】
図2(a),(b)には、光ファイバ部20aと同じく、コア31と、その周りに積層されたクラッド32とを有するヘテロ・コア部30が示されている。コア31の径blが光ファイバ部20aのコア21の径alよりも小さいヘテロ・コア部30が図2(a)に示されており、径blが径alよりも大きいヘテロ・コア部30が図2(b)に示されている。
このように、コア31の径blが光ファイバ部20aのコア21の径alと異なっているため、コア31およびクラッド32とはヘテロ・コア部と呼ばれる。
なお、コア21の屈折率はクラッド22の屈折率よりもわずかに大きく、コア31の屈折率はクラッド32の屈折率よりもわずかに大きい。
コア31とクラッド32とはいずれも光透過性部材であり、光を伝送させることが可能である。
【0037】
図2(a)に示すヘテロ・コア部30においては、コア31の径blはコア21の径alよりも十分に小さく、例えば、al=50μm、bl=3μmであるとする。
図2(b)に示すヘテロ・コア部30においては、コア31の径blはコア21の径alよりも十分に大きく、例えば、al=50μm、bl=90μmであるとする。
また、ヘテロ・コア部30の長さclは、例えば数mm〜数十mmとする。
【0038】
また、図2(c)に示すように、例えば、光ファイバ部20aのクラッド22と同等の屈折率を持ち光を伝送することが可能な光透過性部材300を、ヘテロ・コア部30の代わりに用いることも可能である。このような光透過性部材300も、コア径blが0である、一種のヘテロ・コア部であるとみなすことができる。
【0039】
光ファイバ部20aとヘテロ・コア部30または光透過性部材300とは、長手方向に直交する界面40aにおいて、長手方向に沿って同軸に接合されている。ヘテロ・コア部30を光ファイバ部20aに接合する場合には、ヘテロ・コア部30のコア31と光ファイバ部20aのコア21とが接触するようにする。
以上の接合には、好適には、汎用化されている放電による融着手法を用いる。
【0040】
光ファイバ部20aおよびヘテロ・コア部30としては、シングルモード光ファイバおよびマルチモード光ファイバのいずれをも使用可能であり、これらを組み合わせて使用してもよい。
以下では、例えば、コア径alが約50μmのマルチモード光ファイバ(大崎電気社製)を用いた光ファイバ部20aに、コア径blが約3μmのシングルモード光ファイバ(Newport社製,F-SA)を用いたヘテロ・コア部30を接合した場合を一例として挙げて述べる。
【0041】
ヘテロ・コア部30が存在することにより、光ファイバ部20aのコア21内を伝わってきた光の少なくとも一部は界面40aにおいてコア21の外部へリークする。コア21の外部へ導かれてリークした光の少なくとも一部はヘテロ・コア部30のクラッド32内を伝わる。このとき、ヘテロ・コア部30のクラッド32内においては、光ファイバ部20aのコア21内における光のモードの規定は解除され崩される。
ヘテロ・コア部30において光のモードの規定が解除されることは、光ファイバ部20aとヘテロ・コア部30として用いられる光ファイバの種類がシングルモード光ファイバであるかマルチモード光ファイバであるかに関わらず発生する。
【0042】
図3は、センサ部4の構成および動作を説明する模式図である。
本実施形態に係るセンサ部4のヘテロ・コア部30は、表面側を被覆するように金属膜50が形成されている。
金属膜50としては、例えばヘテロ・コア部30の外側表面に蒸着によりクロム(Cr)膜を形成し、このクロム膜上に蒸着により金(Au)の膜を形成した、クロム膜と金膜の積層膜として金属膜50を形成する。クロム膜の膜厚は例えば数nm程度であり、金膜の膜厚は例えば数十nm程度である。
【0043】
詳細には後述するように、ヘテロ・コア部30の内部における光がヘテロ・コア部30と金属膜50との境界において反射することにより、表面プラズモンが発生する。
例えば、銀(Ag)やアルミニウム(Al)等の他の金属を用いて金属膜50を形成してもよい。
【0044】
第1実施形態においては、ヘテロ・コア部30のうち光ファイバ部20aに融着接合されている端部とは反対側の端部の表面に、反射膜60をさらに設けている。
反射膜60は、例えば、銀を蒸着することにより形成する。
反射膜60の膜厚dlは、ヘテロ・コア部30内の光を光ファイバ部20a側に十分に反射することができる程度の厚さとする。例えば、膜厚dlは数百nm程度である。
ヘテロ・コア部30内の光を光ファイバ部20a側に十分に反射させることができれば、銀等の金属以外の物質を用いて反射膜60を形成してもよい。
反射膜60によりヘテロ・コア部30の先端が鏡面状になっていることにより、ヘテロ・コア部30内の光が先端において反射し易くなり、より多くの光が光ファイバ部20a側へ戻るようになる。
【0045】
ここで、本実施形態に係る液位計100による測定対象液体LQの液面LSの位置(液位)の測定について述べる。
表面プラズモンを発生させる金属膜50を有する光ファイバセンサ9は、様々な物理的、化学的特性を有する液体の液位の測定に利用可能であるが、以下では、グリセリン水溶液などの測定対象液体の液位を測定する場合を一例として挙げる。
【0046】
本実施形態に係るセンサ部4は、図1および図3に示すように、センサ部の先端側からグリセリン水溶液などの測定対象液体LQ中に浸漬させる。
この状態において、光源1から測定用の光を出射させる。
図1に示すように、光源1から出射された光LT1は、光ファイバ部20dを介して光分岐装置2に入射する。
【0047】
光LT1は、光分岐装置2により2つの光に分岐される。一方の光LT2は、光ファイバ部20bと光ファイバセンサ9の光ファイバ部20aとを介して、センサ部4に到達する。もう一方の光LT5は、参照光として光ファイバ部20cを介して参照光検出器5に入射する。
【0048】
光ファイバ部20aのコア21内においては、光LT2は光ファイバの通常の性質から複数のモードが形成された光として伝わる。光ファイバ部20aによって伝送される光のモードは、コア21とクラッド22との境界における光の反射角として模式的にとらえることも可能である。光のモードを反射角ととらえた場合には、光ファイバ部20aにおける光の反射角は、非常に多くの離散的な角度であると考えることができる。
なお、本実施形態においては光源1から光ファイバ部20aに入射させた光の強度変化を利用して測定するため、1つの波長に対するモード群の合算の光強度のみを考慮すれば十分である。
【0049】
多様なモードである光は、界面40aを通過してヘテロ・コア部30のクラッド32に入射するときに、モードの規定が解除されてモードが崩される。言い換えれば、ヘテロ・コア部30内においては、クラッド32と金属膜50との境界において光が様々な反射角度で伝わるようになる。これは、光がヘテロ・コア部30へ入射するときに、モード形態を決定付ける様々な条件(コア径・屈折率・屈折率分布)が変化することと、モード形成の一つの要因であるファイバ長がヘテロ・コア部30の長さでは不十分であること、に起因すると考えられる。従って、あるモードに規定されていた光がヘテロ・コア部30に入射すると、そのモードの規定が解除されてモードが崩され、様々な反射角度で反射する、モードが崩された光となってクラッド32内に漏洩する。
【0050】
このとき、図3に示すように、漏洩した光はヘテロ・コア部30のクラッド32と金属膜50との境界において光が反射する。このとき、エバネッセント相互作用と呼ばれる現象により、クラッド32内の光と金属膜50との間において相互作用が発生し、光損失としてスペクトル上に変化が現れ、反射率が変化し、大部分の場合には、光の反射率が低下して反射光の強度が減少する。
【0051】
上記の反射率の変化は、金属膜50が存在しない場合にも発生する可能性はあるが、金属膜50を設けた場合には、図3に示すように、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon
Resonance:SPR)と呼ばれる現象により光のエネルギーが表面プラズモン共鳴波SPWを作り出すために奪われ、失われるので、反射率の変化をより大きくすることができ、光の強度変化の測定を容易化することができる。表面プラズモン共鳴現象については、例えば、『笠井,「表面プラズモン共鳴(SPR)を利用したバイオセンサー」蛋白質核酸酵素,Vol.37,No.15(1992年)p2977-2984』等の文献を参照されたい。
【0052】
クラッド32内の光の反射率は、金属膜50が存在する場合には金属膜50に接している物質の屈折率、光吸収率に応じて変化する。金属膜50が存在しない場合には、クラッド32の外側表面に付着している物質の屈折率、光吸収率に応じて反射率が変化する。従って、ヘテロ・コア部30において反射した光の強度を測定することによって、センサ部4の外界に存在する物質の屈折率、光吸収率等の特性を知ることができ、これによってセンサ部が浸漬されている測定対象液体LQの液位を測定することができる。
【0053】
モードが崩れた光が金属膜50とクラッド32との境界において反射することにより、様々な反射角度、即ちより多くの条件で光とセンサ部4の外界との相互作用を発生させることができることになる。
【0054】
光ファイバ部20aからヘテロ・コア部30のクラッド32内に入射し、モードが崩れた光となった光は、金属膜50との境界において反射しながらヘテロ・コア部30の先端まで伝わる。ヘテロ・コア部30の先端における界面40bには鏡面となるように反射膜60が設けられているため、光は界面40bにおいて反射し、再び金属膜50との境界において反射しながら光ファイバ部20a側に戻る。このように、センサ部4の先端において、モードが崩れた光を反射させて戻すことにより、光ファイバ部20a側に戻った戻り光は、ヘテロ・コア部30を一方向に通過させただけの光と比較してより多くの相互干渉の情報を含んだ光となる。
【0055】
ヘテロ・コア部30においてセンサ部4の外界との間で相互作用が生じた後に再び光ファイバ部20aのコア21内に戻った戻り光LT3は、図1に示す戻り光LT4として光ファイバ部20bを介して光分岐装置2に到達する。
戻り光LT4は、光分岐装置2によって2つの光に分岐される。分岐された一方の光LT6が、光ファイバ部20eを介して信号検出器6に到達する。
【0056】
信号検出器6は、光LT6の強度を検出する。光LT6の強度と戻り光LT3の強度との間には相関関係があるため、光LT6の強度変化を検出することによって、戻り光LT3の強度変化を知ることができる。
【0057】
測定演算器7は、信号検出器6から送信されたデータ信号SG1に含まれる光LT6の強度の情報に基づいて、前述のように既知な測定対象液体の特性と光LT6の強度との予め入手されている相関関係を用いて、測定対象液体の液位を測定する。また、このとき、信号検出器6からのデータと参照光検出器5からのデータを比較し、光源1の光変動を補正する計算を行う。
上記の相関関係は、例えば、図示しないメモリ等の記憶装置に、ルックアップテーブルとして記憶させておく。測定演算器7は、このメモリに適宜アクセスして、測定対象の特性と光LT6の強度との相関関係を入手する。
【0058】
上記の本実施形態に係る液位計によれば、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサにより、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定することができる。
【0059】
(実施例)
上記の本実施形態に係る液位計を用いて光ファイバセンサの液位検知応答実験を行った。
まず、光ファイバセンサを液面に対して垂直に移動可能なステージ治具に固定し、上方から下方に移動して光ファイバセンサのセンサ部の先端側から液体内に浸漬させていった。この動作は、光ファイバセンサに対して液面が上下するのと等価である。
測定に使用した液体は濃度50%のグリセリン水溶液(屈折率1.398)であり、使用した光ファイバセンサのセンサ部の長さは10mmとし、センサ部表面にはクロム膜5nmと金膜20nmの積層膜である金属膜を形成した。
【0060】
図4(a)は白色光源とスペクトルアナライザを用いて、光ファイバセンサのセンサ部の先端側から液体内に浸漬させていったときのノーマライズした光強度を、波長に対してしめしたスペクトルであり、それぞれセンサ部を0mm,6.75mm,9.00mm,11.25mm,13.5mm浸漬させてときに対応する。
センサ部を徐々に50%グリセリン水溶液に浸漬させていくと、特定の波長領域(660nm)を中心に光の強度が減少している。この現象は、SPR特有のものであり、最も光が減少している波長を共鳴波長という。
【0061】
図4(b)は、660nmのピーク波長を有する発光ダイオードおよびフォトダイオードをそれぞれ光源および光検出器に用い、0.8mm間隔でセンサ部を50%グリセリン水溶液に浸漬させたときの光の伝播強度に相当する相対出力を浸水深度に対してプロットした図である。
単調な光の減少が、センサ部の浸水深度の増加とともに観察された。
【0062】
第2実施形態
図5は本実施形態に係る液位計の構成を示す模式図である。
第1実施形態に係る液位計と同様に、光ファイバセンサ9、光分岐装置2、光源、信号検出器および測定演算器を含む測定器8、参照光検出器5を有する。
ここで、光ファイバセンサ9としては、複数の光ファイバセンサを有しており、複数の光ファイバセンサの各モード規定解除部であるヘテロ・コア部からなるセンサ部(4a,4b,4c・・・4n)が、ファイバ固定治具FF1,FF2によって測定対象液体の液面LSに対してそれぞれ異なる高さで配置されている。
上記の構成において、センサ部のいずれかの先端から少なくとも一部を測定対象液体に浸漬させた状態でセンサ部からの戻り光の強度を測定することにより、測定対象液体の液位を測定することができる。
【0063】
本実施形態に係る液位計によれば、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサにより、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定することができる。
また、ティップ型の光ファイバセンサを用いて高精度に液位を測定するためには、センサ部の長さを数10mm程度に抑える必要があるが、本実施形態のように複数本の光ファイバセンサを高さを変えて配置することで、各センサ部毎に液位を測定でき、液位測定のダイナミックレンジを拡大することができる。
【0064】
第3実施形態
図6(a)は本実施形態に係る水準器の構成を示す模式図であり、図6(b)はファイバ固定治具とセンサ部の配置構成を示す平面図である。
第1実施形態に係る液位計と同様に、光ファイバセンサ9、光分岐装置2、光源、信号検出器および測定演算器を含む測定器8、参照光検出器5を有する。
ここで、本実施形態に係る水準器は、光ファイバセンサを3本有している。3本の光ファイバセンサの各モード規定解除部であるヘテロ・コア部からなるセンサ部(4a,4b,4c)は、ファイバ固定治具FF3により相対的姿勢が固定されて容器CN1の内部に収容されている。具体的には、例えば図6(b)に示すように、略円柱状のファイバ固定治具FF3の外周部において既知の角度(例えば120°の角度)毎に、配置および固定されている。
【0065】
容器CN1は、ファイバ固定治具FF3をフタとして密閉されており、各センサ部(4a,4b,4c)の中腹に液面が来るような量の液体(測定対象液体)が封入されている。用いる液体としては、水や油など何を使用してもよく、これはセンシング原理にSPRを用いているため、金属膜の厚みを変えることで多様な種類、多様な濃度、多様な屈折率の液体に対応できるからである。ただし、エタノールなどの揮発性の液体や粘性の低い液体を用いて、センサ部(4a,4b,4c)への液体の残留付着を防止することが望ましい。
【0066】
センサ部(4a,4b,4c)に接続する3本の光ファイバセンサは、それぞれ光カプラや光スイッチなどを含む光分岐装置2に接続されている。光分岐装置2は測定器8に接続されており、各センサ部(4a,4b,4c)の光信号を独立して検出することができる。
参照ファイバとこれに接続する参照光検出器5は、光源の不安定性あるいは伝送路ファイバで生じる曲げなどによる光損失を、センサ信号からキャンセルするために設けられている。そのため、遠隔からの計測を行う場合や光源の光強度のふらつきが大きな場合には有効である。
【0067】
各センサ部(4a,4b,4c)の先端から少なくとも一部を測定対象液体に浸漬させた状態で、各センサ部(4a,4b,4c)からの戻り光の強度を測定することにより、各センサ部(4a,4b,4c)毎の測定対象液体の液位を測定し、3本の光ファイバセンサに対する測定対象液体の液面LSの傾きを測定する。この傾きによって、水準器の傾きを測定することができる。
例えば、初期状態と測定対象状態のそれぞれに対して液面LSの傾きを測定し、測定対象状態が初期状態に対してどれだけ傾いているかを測定することができる。
【0068】
図7(a)は図6(a)および(b)に示す水準器がある方向に傾いたと仮定したときの模式図である。
点線で示される初期状態から、実線で示される傾いた状態へ、傾きIが生じたと想定する。このとき、液面LSは一旦ゆらめくが、最終的には定常となり、水平な平面となる。このため、各光ファイバセンサのセンサ部(4a,4b,4c)は、液面と接する位置が変化する。
【0069】
図7(b)は、ファイバ固定治具FF3の座標系を示している。図中の点線および実線の×印CPは、各センサの液面との接点を示す。この座標系では、水準器(ファイバ固定治具)が傾くと、相対的に液面が初期状態(点線)から傾いた状態(実線)に傾いたようにように見える。
図7(b)のx-y平面は、水準器の上部から見た図に相当するため、その座標に変化はなく、変化するのはz軸方向の値のみである。つまり、3本の光ファイバセンサの液位情報のみが変化することになる。
平面は3点の座標の値が既知であれば求められるから、傾いた平面は上記の3点のz軸の液位情報をセンシングして、定数であるx-y座標の値と合わせれば求められる。
傾きの方向とその大きさを求めるには、z軸の値を全てゼロにした初期状態の平面と、傾いた後の平面とを用いて、2つの角度(θ1:x-y平面とのなす角度、θ2:x-y平面上の弧度)を求めればよい。具体的には、傾いた平面の法線を求めて、初期状態の平面との角度をそれぞれ求める。
【0070】
本実施形態の水準器によれば、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサを複数組み合わせて、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定し、測定対象液体の液面の傾きを測定することができる。
【0071】
第4実施形態
図8(a)は本実施形態に係る水準器の構成を示す模式図であり、図8(b)はファイバ固定治具とセンサ部の配置構成を示す平面図である。
第3実施形態に係る水準器と同様に、光ファイバセンサ9、光分岐装置2、光源、信号検出器および測定演算器を含む測定器8、参照光検出器5を有する。
ここで、本実施形態に係る水準器は、光ファイバセンサを2本有している。2本の光ファイバセンサの各モード規定解除部であるヘテロ・コア部からなるセンサ部(4a,4b)は、ファイバ固定治具FF4により相対的姿勢が固定されて容器CN2の内部に収容されている。具体的には、例えば図8(b)に示すように、略円柱状のファイバ固定治具FF4の外周部において既知の角度(例えば90°の角度)となるように、配置および固定されている。
また、容器の形状は丸底フラスコなどの球状とし、傾きが生じた場合にも常に変わらない液面LSの表面積を保つようにする。丸底の容器の場合、土台を設けて水準器の設置を安定させる。
【0072】
本実施形態の水準器において、2本の光ファイバセンサのセンサ部で検知した液面のx-y-z座標(液位)と、容器CN2内に封入された液体(測定対象液体)の体積から、傾いた平面を求めることができる。
【0073】
本実施形態の水準器によれば、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサを複数組み合わせて、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定し、測定対象液体の液面の傾きを測定することができる。
【0074】
第5実施形態
図9は本実施形態に係る気圧計や水圧系などの圧力計の模式図である。
第1実施形態に係る液位計と同様に、モード規定解除部であるヘテロ・コア部30からなるセンサ部4を含む光ファイバセンサ9、光分岐装置2、光源、信号検出器および測定演算器を含む測定器8、参照光検出器5を有する。
センサ部4(モード規定解除部)は、ファイバ固定治具FF5により容器CN3中に固定され、収容されている。
さらに、容器CN3中には測定対象液体LQが封入されている。
ここで、容器CN3は、気圧や水圧などの外部圧力に応じて測定対象液体LQの液面LSが変動する機構を有する。例えば容器CN3の底面がダイヤフラム構造DFである場合、容器CN3の底面は圧力(気圧、水圧)が印加されると変形し、これによって内部に封入されている測定対象液体LQの液面LSが変動する。
ここで、センサ部4(モード規定解除部)の先端から少なくとも一部を測定対象液体LQに浸漬させた状態で、センサ部4からの戻り光の強度を測定することにより、測定対象液体LQの液位を測定して、外部圧力に換算する。容器の内側は、上部がくびれた形状とすることで、ダイヤフラムの微小な形状変化を大きな液面の変動に変換して観測することができる。
【0075】
本実施形態の圧力計によれば、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサと外部圧力に応じて測定対象液体の液面が変動する機構を有する容器と組み合わせて、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定し、外部圧力に換算することができる。
【0076】
第6実施形態
図10は本実施形態に係る温度計の模式図である。
第1実施形態に係る液位計と同様に、モード規定解除部であるヘテロ・コア部30からなるセンサ部4を含む光ファイバセンサ9、光分岐装置2、光源、信号検出器および測定演算器を含む測定器8、参照光検出器5を有する。
センサ部4(モード規定解除部)は、容器CN4中に固定され、収容されている。
さらに、容器CN4中には、アルコールあるいは白灯油などの熱膨張性の測定対象液体TLが封入されている。雰囲気の温度に応じて、熱膨張性の測定対象液体TLの体積が変化し、液面LSが変動する。
センサ部4(モード規定解除部)の先端から少なくとも一部を熱膨張性の測定対象液体TLに浸漬させた状態で、センサ部4からの戻り光の強度を測定することにより、熱膨張性の測定対象液体TLの液位を測定して、温度に換算する。
【0077】
本実施形態の温度計によれば、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサと雰囲気の温度に応じて液面が変動する測定対象液体と組み合わせて、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定し、温度に換算することができる。
【0078】
第7実施形態
図11(a)〜(c)は、上記の第1〜第6実施形態に係る液位計、水準器、圧力計および温度計に適用可能な光ファイバセンサのセンサ部の長手方向の断面図である。
本実施形態に係る光ファイバセンサのセンサ部は、図2(a)〜(c)に示すセンサ部と比較して、金属膜50の代わりに検出薬固定化膜500を用いている点が異なっている。図11(a)〜(c)は、図2(a)〜(c)にそれぞれ対応しており、ヘテロ・コア部30の異なる構造をそれぞれ示している。同一構成要素には同一符号を付し、詳細な記載は省略する。
【0079】
検出薬固定化膜500は、例えば、ゾル・ゲル法によって形成する膜や高分子膜によって実現する。例えば、分子レベルの非常に細かい孔を有する多孔性膜として検出薬固定化膜500を形成することが、検出薬固定化膜500が固定化する検出薬と測定対象物とをより効果的に反応可能な点で好ましい。
【0080】
検出薬としては、例えば、酸または塩基を検出するpH指示薬のような機能性色素や、特定の金属を検出する金属指示薬等の薬品を用いることができる。
これらの検出薬は、ゾル・ゲル法によって検出薬固定化膜500を形成する際に混合によって検出薬固定化膜500に固定化することもできるし、検出薬固定化膜500に化学的に固定化することもできる。
【0081】
上述のような検出薬は、その種類に応じて、特定の検出対象物と選択的に反応する。この反応により、検出対象物の特性(例えば、酸であるか塩基であるか等の性質)に応じて、特定の波長の光が吸収されたり、蛍光が生じる等の現象が発生する。
この光の吸収や蛍光等の現象に応じて、スペクトルの変化や強度変化等の変化が、ヘテロ・コア部30の内部のモードが崩れた光にもたらされる。
従って、検出薬と検出対象物との反応に基づく相互作用を受けた光の戻り光LT6のスペクトル変化や強度変化を信号検出器6で検出することにより、検出対象物、つまり測定対象物の存在やpH、その種類等の特性を知ることが可能になる。
【0082】
以上のように、本実施形態のセンサ部によれば、検出薬固定化膜500によって、特定の測定対象物と反応する検出薬をヘテロ・コア部30に固定化している。従って、検出薬の種類に応じて、測定対象物を選択的に測定することが可能になり、さらに高感度・高精度な測定を行なうことができる。
検出薬をセンサ部4側に固定化するため、例えば、アンモニアの検出のように、液体に限らず気体に含まれる測定対象物の検出ならびに定量が可能である。
以上のように、検出薬の種類を変えることにより、屈折率センサや濃度センサ、pH測定センサ等の多種のセンサを実現可能となる。
【0083】
第8実施形態
図12(a)〜(c)は、上記の第1〜第6実施形態に係る液位計、水準器、圧力計および温度計に適用可能な光ファイバセンサのセンサ部の長手方向の断面図である。
本実施形態に係る光ファイバセンサのセンサ部は、図2(a)〜(c)に示すセンサ部と比較して、金属膜50を設けない点が異なっている。図12(a)〜(c)は、図2(a)〜(c)にそれぞれ対応しており、ヘテロ・コア部30の異なる構造をそれぞれ示している。同一構成要素には同一符号を付し、詳細な記載は省略する。
【0084】
本実施形態に係る光ファイバセンサを用いた場合、ヘテロ・コア部30の先端に反射膜60は設けていない。反射膜60が無い場合であっても、ヘテロ・コア部30とその外部の外界との屈折率差により、ヘテロ・コア部30内の光はある程度光ファイバ部20a側へ反射して戻る。
【0085】
光ファイバ型センサにおいて、センサの外部の状況の特性を検出するためには、光ファイバ内の光を外部と相互作用させることさえできればよく、感度や選択性を必要としない場合には、金属膜50や検出薬固定化膜500は必要ない。従って、図12(a)〜(c)に示すようにヘテロ・コア部30のみを用いてセンサ4部を実現した場合にも、外部の状況の特性の検出は可能である。
【0086】
ヘテロ・コア部30のみを光ファイバ部20aに融着接合した光ファイバセンサであっても、ヘテロ・コア部30において光のモードが崩れることにより、検出特性を線形的にすることが可能になる。
【0087】
第9実施形態
図13は本実施形態に係るティップ型の光ファイバセンサを用いた液位計の概略構成図である。
本実施形態に係るティップ型の光ファイバセンサ液位計100aは、実質的に第1実施形態に係る液位計100と同様の構成であるが、光分岐装置2に対してさらに別の光分岐装置2aが接続しており、この光分岐装置2aに対して、参照ファイバ4rと参照光検出器5が接続していることが異なる。
上記のように2つの光分岐装置(2、2a)を用いて、伝搬する光LT51を参照ファイバ4rに導く。参照ファイバ4rの先端はセンサ部4と同様に反射膜が形成されており、参照ファイバ4rに導かれた光は反射して戻り光LT52となる。光分岐器2aを経た戻り光LT53は参照光検出器5に導かれ、検出されて光強度が測定される。参照光検出器5は測定演算器7に接続されて、参照光を検出して得た参照信号SGrを測定演算器7に送信する。
【0088】
参照ファイバは、ファイバに付与される曲げによって生じる影響を低減するために導入される。実施するにあたっては、参照ファイバはセンサ部4のファイバとなるべく近い位置に沿わせて構成する。このことで、同等の曲げがセンサ部と参照ファイバに与えられ、曲げ損失を同等にすることができる。このようにして、センサ部と参照ファイバから検出される光強度を比較し、計算処理すれば曲げ損失を補正することができる。
上記以外の構成は第1実施形態と同様であり、コア中で光を伝送する光ファイバ部の先端にモード規定解除部が設けられた光ファイバセンサにより、測定対象液体の屈折率によらず、離散的でなく、連続的に液位を測定することができる。また、本実施形態に係る2つの光分岐装置を接続して参照ファイバを設ける構成は、上記の各実施形態に適用することができる。
【0089】
上記各実施形態に係る液位計、水準器、圧力計および温度計は、測定対象液体に直接接触する部分では電力を必要としないため、電気防爆性、耐引火性に優れ、光による情報伝達のため遠隔モニタリングが可能であり、小型化・軽量化したセンサ部の構築が可能であり、発光ダイオードおよびフォトダイオードの構成を用いることでミリ秒オーダーの実時間性の高い計測ができ、さらに、液位計としては上下する液面を連続的に精度良く計測可能であり、水準器においては高精度に傾きを計測できる。
【0090】
なお、本発明は上記の実施形態およびその変形形態に限定されない。
例えば、上記の各実施形態において、光ファイバセンサのセンサ部に、これを保護するための、あるいは非粘着性(疎水性)のカバー部材を取り付けてもよい。この場合には、いずれの液位においても液面がセンサ部に接するように構成する。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の液位計は、金属膜50の種類や検出薬固定化膜500に固定化させる検出薬の種類に応じて、種々の液体、種々の濃度、種々の屈折率の液体の液位を高精度に計測する液位計に適用できる。
また、本発明の水準器は、高精度の傾きを検知する水準器に適用できる。
また、本発明の圧力計は、高精度に気圧や水圧などの圧力を計測する圧力計に適用できる。
また、本発明の温度計は、高精度に温度を計測する温度計に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は本発明の第1実施形態に係るティップ型の光ファイバセンサを用いた液位計の概略構成図である。
【図2】図2(a)〜(c)は本発明の第1実施形態に係る光ファイバセンサのセンサ部近傍での長手方向の断面図である。
【図3】図3は本発明の第1実施形態に係るセンサ部の構成および動作を説明する模式図である。
【図4】図4(a)は実施例においてセンサ部の先端側から液体内に浸漬させていったときのノーマライズした光強度を波長に対してしめしたスペクトルであり、図4(b)はセンサ部の相対出力を浸水深度に対してプロットした図である。
【図5】図5は本発明の第2実施形態に係る液位計の構成を示す模式図である。
【図6】図6(a)は本発明の第3実施形態に係る水準器の構成を示す模式図であり、図6(b)はファイバ固定治具とセンサ部の配置構成を示す平面図である。
【図7】図7(a)は図6(a)および(b)に示す水準器がある方向に傾いたと仮定したときの模式図であり、図7(b)はファイバ固定治具の座標系を示している。
【図8】図8(a)は本発明の第4実施形態に係る水準器の構成を示す模式図であり、図8(b)はファイバ固定治具とセンサ部の配置構成を示す平面図である。
【図9】図9は本発明の第5実施形態に係る圧力計の模式図である。
【図10】図10は本発明の第6実施形態に係る温度計の模式図である。
【図11】図11(a)〜(c)は本発明の第7実施形態に係る光ファイバセンサのセンサ部近傍での長手方向の断面図である。
【図12】図12(a)〜(c)は本発明の第8実施形態に係る光ファイバセンサのセンサ部近傍での長手方向の断面図である。
【図13】図13は本発明の第9実施形態に係るティップ型の光ファイバセンサを用いた液位計の概略構成図である。
【図14】図14は従来の光ファイバを用いた液位計の模式図である。
【符号の説明】
【0093】
1…光源
2,2a…光分岐装置
3…光ファイバコネクタ
4,4a,4b,4c・・・4n…センサ部
4r…参3照ファイバ
5…参照光検出器
6…信号検出器(光検出手段)
7…測定演算器(測定手段)
9…ティップ型光ファイバセンサ
20a〜e…光ファイバ部
21,31…コア
22,32…クラッド
30…ヘテロ・コア部
50…金属膜
60…反射膜
100…ティップ型光ファイバセンサ液位計
500…検出薬固定化膜
CN1〜CN4…容器
DF…ダイヤフラム構造
LQ…測定対象液体
LS…液面
LT,LT1〜LT6,LT51〜LT53…光
FF1〜FF5…ファイバ固定治具
SG1…データ信号
SG2…制御信号
SGr…参照信号
SPW…表面プラズモン共鳴波
TL…熱膨張性の測定対象液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア中で光を伝送する光ファイバ部と、
前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部と
を有する光ファイバセンサと、
前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、
前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部と
を有し、
前記モード規定解除部の先端から少なくとも一部を測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記測定対象液体の液位を測定する
液位計。
【請求項2】
前記モード規定解除部は、前記光ファイバ部の前記コアとはコア径が異なるヘテロ・コア部である
請求項1に記載の液位計。
【請求項3】
前記モード規定解除部は、クラッドのみからなるヘテロ・コア部である
請求項1に記載の液位計。
【請求項4】
前記ヘテロ・コア部の表面に、当該表面における前記ヘテロ・コア部中の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜をさらに有する
請求項2または3に記載の液位計。
【請求項5】
前記へテロ・コア部の表面に、前記へテロ・コア部の外部の前記測定対象液体と選択的に反応して当該反応に応じた変化を前記へテロ・コア部中の光にもたらす検出薬が固定されている
請求項2または3に記載の液位計。
【請求項6】
前記へテロ・コア部の前記光ファイバ部に融着接合されている端部とは反対側の端部の表面に、前記へテロ・コア部中の光を反射して前記光ファイバ部側へ戻す反射部をさらに有する
請求項2〜5のいずれかに記載の液位計。
【請求項7】
コア中で光を伝送する光ファイバ部と、
前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部と
を有する複数の光ファイバセンサと、
前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、
前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部と
を有し、
前記複数の光ファイバセンサの各モード規定解除部が、測定対象液体の液面に対してそれぞれ異なる高さで配置されており、
前記モード規定解除部のいずれかの先端から少なくとも一部を前記測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記測定対象液体の液位を測定する
液位計。
【請求項8】
コア中で光を伝送する光ファイバ部と、
前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部と
を有し、前記モード規定解除部が所定の間隔を開けるように配置されている3本の光ファイバセンサと、
前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、
前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部と、
相対的姿勢を固定して前記各モード規定解除部を内部に収容する容器と、
前記容器に収容された測定対象液体と
を有し、
前記各モード規定解除部の先端から少なくとも一部を前記測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記各モード規定解除部毎の前記測定対象液体の液位を測定し、前記3本の光ファイバセンサに対する前記測定対象液体の液面の傾きを測定する
水準器。
【請求項9】
コア中で光を伝送する光ファイバ部と、
前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部と
を有し、前記モード規定解除部が所定の間隔を開けるように配置されている2本の光ファイバセンサと、
前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、
前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部と、
相対的姿勢を固定して前記各モード規定解除部を内部に収容する容器と、
前記容器に収容された測定対象液体と
を有し、
前記各モード規定解除部の先端から少なくとも一部を前記測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記各モード規定解除部毎の前記測定対象液体の液位を測定して得られる前記2本の光ファイバセンサに対する前記測定対象液体の液位と、前記容器の形状および前記測定対象液体の体積から、前記測定対象液体の液面の傾きを測定する
水準器。
【請求項10】
コア中で光を伝送する光ファイバ部と、
前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部と
を有する光ファイバセンサと、
前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、
前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部と、
前記モード規定解除部を内部に固定して収容する容器と、
前記容器に封入された測定対象液体と
を有し、
前記容器は外部圧力に応じて前記測定対象液体の液面が変動する機構を有し、
前記モード規定解除部の先端から少なくとも一部を前記測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記測定対象液体の液位を測定して、前記外部圧力に換算する
圧力計。
【請求項11】
コア中で光を伝送する光ファイバ部と、
前記光ファイバ部の先端に融着接合される光透過性部材を含み、当該光ファイバ部が伝送する光の少なくとも一部を前記コアの外部に導いて当該光のモードの規定を解除し、モードの規定が解除された光が前記コア中に戻るモード規定解除部と
を有する光ファイバセンサと、
前記光ファイバセンサの前記光ファイバ部側の端部に接続され、当該光ファイバセンサの前記コアに光を出射する光源と、
前記モード規定解除部において前記モード規定解除部の外部との相互作用を受けて前記コアを介して前記光源側に戻ってきた戻り光の直接的な強度を検出する光検出部と、
前記モード規定解除部を内部に固定して収容する容器と、
前記容器に封入され、雰囲気の温度に応じて液面が変動する測定対象液体と
を有し、
前記モード規定解除部の先端から少なくとも一部を前記測定対象液体に浸漬させた状態で前記戻り光の強度を測定することにより、前記測定対象液体の液位を測定して、前記温度に換算する
温度計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−47018(P2006−47018A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226001(P2004−226001)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(800000080)タマティーエルオー株式会社 (255)
【Fターム(参考)】