光分岐挿入装置、これを備えた装置、光分岐挿入装置の制御方法
【課題】 構造が簡単で低コストな光波長分岐/挿入装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つの入出力ポートEと、少なくとも1つの分岐挿入ポートAと、入射光を波長毎に分波する分波作用及び複数の波長の光を合波する合波作用を有する合分波光学系と、複数のミラーを有し、前記合分波光学系で複数の波長に分波されたそれぞれの光を所望の方向へ向かわせるミラーエレメント25と、前記ミラーエレメント25を経たそれぞれの光を前記合分波光学系を介して前記入出力ポートEおよび前記分岐挿入ポートAのいずれかに集光させる光学系と、前記ミラーエレメント25の複数のミラーの向きを独立して変えることにより、少なくとも前記分岐挿入ポートAから入力された所定の波長の光を前記入出力ポートEから出力させ、前記入出力ポートEから入力された前記所定の波長の光を前記分岐挿入ポートAから出力させるミラー駆動手段とを備えた光分岐挿入装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つの入出力ポートEと、少なくとも1つの分岐挿入ポートAと、入射光を波長毎に分波する分波作用及び複数の波長の光を合波する合波作用を有する合分波光学系と、複数のミラーを有し、前記合分波光学系で複数の波長に分波されたそれぞれの光を所望の方向へ向かわせるミラーエレメント25と、前記ミラーエレメント25を経たそれぞれの光を前記合分波光学系を介して前記入出力ポートEおよび前記分岐挿入ポートAのいずれかに集光させる光学系と、前記ミラーエレメント25の複数のミラーの向きを独立して変えることにより、少なくとも前記分岐挿入ポートAから入力された所定の波長の光を前記入出力ポートEから出力させ、前記入出力ポートEから入力された前記所定の波長の光を前記分岐挿入ポートAから出力させるミラー駆動手段とを備えた光分岐挿入装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光分岐挿入装置、これを備えた装置および光分岐挿入装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光分岐挿入装置としては、光波長分岐/挿入装置(OADM:Optical Add Drop Multiplex)(や、光波長交換装置(OXC:Optical cross Connect))がある。
図10(a)、(b)に示すように、光波長分岐/挿入装置3は、例えば、λ1〜λnの波長を含む光が通っているルート1から、λa、λb、λc、λdの光を外部へ分岐し、このルート1に外部からλa’、λb’、λc’、λd’の光を挿入するために使用される。このため、この光波長分岐/挿入装置3は、入力ポートとして、ルート1から光を受け入れる入力ポートの他に、外部から光を受け入れる入力ポートが必要で、出力ポートに関しても、ルート1へ光を出力する出力ポートの他に、外部へ光を出力する出力ポートが必要である。
【0003】
(また、図10に示すように、光波長交換装置4は、例えば、第1のルート1にλ1〜λnの波長を含む光が通っており、第2のルート2にλ1’〜λn’の波長を含む光が通っている場合に、第1のルート1から第2のルート2へλa、λb、λc、λdの光を分岐し、第2のルート2から第1のルート1へλa’、λb’、λc’λd’の光を分岐するために使用される。このため、この光波長交換装置4は、入力ポートとして、第1のルートから光を受け入れる入力ポートと、第2のルートから光を受け入れる入力ポートが必要で、出力ポートに関しても、第1のルートへ光を出力する出力ポートと、第2のルートへ光を出力する出力ポートが必要である。)
従来、以上のように、複数の入力ポート及び複数の出力ポートが必要な光波長分岐/挿入装置(や光波長交換装置)は、以下の特許文献1に記載されている光分岐挿入装置を複数台組み合わせることで、構成している。
【0004】
この特許文献1に記載されている光分岐挿入装置は、1つの入力ポートからの光をグレーティングで複数の波長ごとの光に分波し、各波長ごとの光をマイクロミラーアレイの各ミラーで反射して、各波長ごとの光のうちのいずれかの波長の光を複数の出力ポートへ導くものである。
【0005】
例えば、図10(a)、(b)に示す光波長分岐/挿入装置3では、入力ポートが1つで出力ポートが2つの光分岐挿入装置を2台組み合わせる必要があり、また、図11に示す光波長交換装置4では、光波長分岐/挿入装置3を2台、つまり、入力ポートが1つで出力ポートが2つの光分岐挿入装置を4台組み合わせる必要がある。
【特許文献1】US6,289,145B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、複数の入力ポート及び複数の出力ポートを有する光波長分岐/挿入装置や光波長交換装置を構成するためには、1つの入力ポート及び複数の出力ポートを有する光分岐挿入装置、又は複数の入力ポート及び1つの出力ポートを有する光波長ルートを複数台組み合わせる必要があり、これでは、光分岐挿入装置の台数分だけ、グレーティングやマイクロミラーアレイが必要で、装置サイズが大型化する上に装置コストも嵩んでしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に着目し、複数の入力ポート及び複数の出力ポートを有していても、装置サイズを小型化できると共に、装置コストを抑えることができる光分岐挿入装置、これを備えている装置、光分岐挿入装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本願の請求項1の発明は、少なくとも1つの入出力ポートと、少なくとも1つの分岐挿入ポートと、入射光を波長毎に分波する分波作用及び複数の波長の光を合波する合波作用を有する合分波光学系と、複数のミラーを有し、前記合分波光学系で複数の波長に分波されたそれぞれの光を所望の方向へ向かわせるミラーエレメントと、前記入出力ポートおよび前記分岐挿入ポートから入力された光を前記合分波光学系へ導くとともに前記合分波光学系で分波された波長ごとにそれぞれ前記ミラーエレメントに集光させ、前記ミラーエレメントを経たそれぞれの光を前記合分波光学系を介して前記入出力ポートおよび前記分岐挿入ポートのいずれかに集光させる光学系と、前記ミラーエレメントの複数のミラーの向きを独立して変えることにより、少なくとも前記分岐挿入ポートから入力された所定の波長の光を前記入出力ポートから出力させ、前記入出力ポートから入力された前記所定の波長の光を前記分岐挿入ポートから出力させるミラー駆動手段と、を備えたことを特徴とする光分岐挿入装置を提供する。
入装置。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光分岐挿入装置であって、前記入出力ポートと前記分岐挿入ポートとは前記合分波光学系の波長分散方向と同じ方向に1列に並んでいることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光分岐挿入装置であって、前記分岐挿入ポートは、前記前記分岐挿入ポートから出力された光を出力させる分岐ポートと、前記分岐挿入ポートを介して前記分岐挿入ポートから出力された光と同じ波長の光を入力させる挿入ポートとに、サーキュレータを介して連結されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置であって、前記入出力ポートは、前記複数の波長の光を入力する入力ポートと、前記複数の波長の光のうちの一部の波長の光が交換された光を出力する出力ポートとに、サーキュレータを介して連結されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置であって、前記入出力ポートは、前記複数の波長の光を有する光を入力するとともに、前記分岐挿入ポートから入力された光のみを出力し、前記複数の波長の光のうち分岐挿入ポートに向かわない波長の光のみを出力する出力ポートと、前記出力ポートと前記入出力ポートとに接続され、前記入出力ポートからの光と前記出力ポートからの光とを結合する結合器と、を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置であって、前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数の前記ミラーのそれぞれを複数のチルト状態に切替可能で、前記複数のチルト状態は、所定の入出力ポートから入力した光を前記入出力ポートに向かわせるか、或いは前記分岐挿入ポートの任意の1つに向かわせるとともに、前記分岐挿入ポートからの光を前記入出力ポートに向かわせることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの分岐ポートと、少なくとも1つの挿入ポートと、少なくとも1つの出力ポートと、入射光を波長毎に分波する分波作用及び複数の波長の光を合波する合波作用を有する合分波光学系と、複数のミラーを有し、前記合分波光学系で複数の波長に分波されたそれぞれの光を所望の方向へ向かわせるミラーエレメントと、前記入力ポートおよび前記挿入ポートから入力された光を前記合分波光学系へ導くとともに前記合分波光学系で分波された波長毎にそれぞれ前記ミラーエレメントに集光させ、前記ミラーエレメントを経たそれぞれの光を前記合分波光学系を介して前記出力ポートおよび前記分岐ポートのいずれかに集光させる光学系と、前記ミラーエレメントの複数のミラーの向きを独立して変えることにより、少なくとも前記挿入ポートから入力された所定の波長の光を前記入出力ポートから出力させ、前記入力ポートから入力された所定の波長の光を前記分岐ポートから出力させるミラー駆動手段を備えたことを特徴とする光分岐挿入装置を提供する。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7に記載の光分岐挿入装置であって、前記入出力ポートと前記分岐挿入ポートとは前記合分波光学系の波長分散方向と同じ方向に1列に並んでいることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項7または請求項8に記載の光分岐挿入装置であって、前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数の前記ミラーのそれぞれを複数のチルト状態に切替可能で、前記複数のチルト状態は、入力ポートから入力した光を前記出力ポートに向かわせるか、或いは前記挿入ポートの任意の1つに向かわせることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置であって、前記入力ポート、前記挿入ポート、前記出力ポートおよび前記分岐ポートは、前記ミラーエレメントのミラーに入射する前記入力ポートからの光と前記出力ポートに向かうように前記ミラーを反射される光とがなす角度、および前記ミラーエレメントのミラーに入射する複数の挿入ポートの各々からの光と前記複数の挿入ポートの各々に対応して配置される分岐ポートのそれぞれに向かうように前記ミラーを反射される各々光とがなす角度が全て等しくなるように、且つ、全ての入力ポートと挿入ポートから前記ミラーエレメントに入射した場合に該入射した光のうち隣接する光どうしが形成する角度がすべて等しくなるように配置されることを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置であって、前記ミラーエレメントに入射する入力ポートおよび挿入ポートからの光のうち隣接する光どうしの角度をΔεとしたとき、前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数のミラーのそれぞれをチルト角度のピッチが(±)Δε/2°で、切換段階数が入力ポート数+挿入ポート数−1(または出力ポート数+分岐ポート数−1)段階となるように切り替え可能であることを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、入力ポートから入力された複数の波長の信号光を分波し、波長に応じて異なる角度で射出する波長分散手段と、複数のミラーを有し、前記分散手段で波長ごとに分散された複数の信号光のそれぞれを各ミラーで反射して、波長ごとに所望の方向に反射させる反射手段と、前記反射手段を反射された信号光のうち所定の信号光を分岐する1以上の分岐ポートと、前記分岐ポートから分岐された前記所定の信号光と同じ波長を有する光を入力させる1以上の挿入ポートと、前記挿入ポートから挿入され、前記波長分散手段と前記反射手段とを経て前記波長分散手段に再度入射する光と、前記反射手段で反射された信号光のうち前記分岐ポートに向かわない信号光とを、前記波長分散手段を介して合波して出力させる出力ポートとを有することを特徴とする光分岐挿入装置を提供する。
【0020】
請求項13の発明は、入力ポートから複数の波長の光を入力する第1の工程と、挿入ポートから少なくとも1つの波長の光を入力する第2の工程と、前記入力ポートと前記挿入ポートから入力された光を波長分散手段に入射させて波長ごとに異なる角度で射出する第3の工程と、前記波長分散手段を経た光を波長ごとに設けられた偏向手段に入射して、前記挿入ポートから入力された所定の波長の光を出力ポートに向かわせるとともに、前記入力ポートから入力された複数の波長のうち、少なくとも前記所定の波長の光を分岐ポートに向かわせ、前記分岐ポートに向かわない光を前記出力ポートに向かわせる第4の工程と、前記偏向手段を経た光を入射して前記偏向手段で同じポートに向かう光どうしを合波する第5の工程とを備えることを特徴とする光分岐挿入方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ミラーエレメントを構成する各ミラーで、入出力ポートからのそれぞれの光を、任意の分岐挿入ポートに向わせることができ、さらに、任意の分岐挿入ポートに入射した光の波長に応じた光を該任意のポートから入力するので、ミラーエレメント及び合分波素子は、それぞれ1つずつで足りる。したがって、複数の入力ポート及び複数の出力ポートを備えている光分岐挿入装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施例)
以下、本発明に係る光分岐挿入装置の各種実施形態について説明する。
まず、本発明に係る第一の実施形態としての光分岐挿入装置について、図1、図2を用いて説明する。
【0023】
本実施形態の光分岐挿入装置は、図10に示すように、例えば、λa、λb、λc、λdの波長を含む光λ1〜λnが通っているルート1から、λa、λb、λc、λdの光を外部へ分岐(drop)し、このルート1に外部からλa’、λb’、λc’、λd’の光を挿入(add)する光波長分岐/挿入装置10である。なお、図10では、ルート1にλ1〜λnの波長を含む光が通っているとし、ルート1からλa、λb、λc、λdの光を外部へ分岐し、このルート1に外部からλa’、λb’、λc’、λd’の光を挿入することにしているが、これは以下の説明を簡略化するためであり、例えば、各入出力ポートA〜Dからより多くの波長の光を分岐する装置であっても構わない。なお、本明細書の波長は、特にことわりのない限り、光通信で通常用いる信号光の各波長帯域を表している。
【0024】
図1にはλ1〜λn(λ13)の光の全ての光路を図示し、図2にはλ1〜λnまでの光のうちλa(λ10)、およびλc(λ4)の光路のみを記載した。また、分かり易く説明するために、λb、およびλdの光路については図示を省略している。
【0025】
この光波長分岐/挿入装置10は、図1に示すように、λ1〜λnの波長を含む光を入射する入出力ポートEと、入出力ポートEから入力した光のうち、λaの光を出力して、λa’の光を入力する分岐挿入ポートAと、λbの光を出力してλb’の光を入力する分岐挿入ポートBと、λcの光を出力してλc’の光を入力する分岐挿入ポートCと、λdの光を出力してλd’の光を出力する分岐挿入ポートDと、からなる入出力ポート群と、光を複数の波長毎に分波する分波作用及び複数の波長毎の光を合波する合波作用を有するグレーティング19と、少なくとも入力される波長数と同じ数だけ配置されたマイクロミラーアレイ25を有するMEMS(Micro Electro Mechanical System)20と、複数の入出力ポートA〜Eからの光をMEMS20のマイクロミラーアレイ25に集光させると共に、このマイクロミラーアレイ25を経たグレーティング19からの光を複数の入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dのうちのいずれかのポートに集光させる光学系とからなる波長分割多重装置を備えている。
【0026】
入出力ポートEと、各々の分岐挿入ポートA、B、C、Dは、それぞれ、3つのポートを有するサーキュレータ50で構成されている。各々のサーキュレータ50の3つのポートは、それぞれ1本の入出力ポート(または分岐挿入ポート)と、1本の出力(または分岐)ポートと、1本の入力(または挿入)ポートである。このうち、入出力ポート(または分岐挿入ポート)が波長分割多重装置側に接続されており、前記入力ポート(または挿入)から入力された光は前記入出力ポート(または分岐挿入ポート)を経て波長分割多重装置側に入力されるとともに、波長分割多重装置から出力された光は、前記入出力ポート(または分岐挿入ポート)を経て、前記出力ポート(または分岐ポート)から出力される。
【0027】
また、各々の分岐挿入ポートにサーキュレータ50を介して接続された入力ポートのそれぞれには波長可変レーザ41a〜41d(不図示)が接続されており、この波長可変レーザ光を入出力ポートを経て、波長分割多重装置に入力する。
【0028】
更に、各々の波長可変レーザは、各々の波長可変レーザの出力波長を制御するレーザ波長制御装置40に接続されている。該レーザ波長制御装置40はさらに後述のマイクロミラーアレイ25のミラードライバ26に接続され、ミラードライバ26からのミラー駆動信号を受けて前記各々の波長可変レーザの出力波長が決定される。
【0029】
グレーティング19は、互いに平行な複数の溝を有する反射型グレーティングである。なお、以下の説明の都合上、このグレーティング19の溝が伸びている方向をY方向、このY方向に垂直な方向であって入力ポート11からグレーティング19に向う方向をZ方向、Y方向及びZ方向に垂直な方向をX方向とする。
【0030】
入出力ポートおよび分岐挿入ポートA〜Eは、グレーティング19の溝が伸びている方向に対して垂直なX方向に一列に並んでいる。このようにX方向に一列に並んでいることによって、後述のマイクロレンズ31を1列のレンズアレイとして配置することができ、また、後述のマイクロミラーアレイ25の回転軸を1軸にすることができる。従って、無駄のない光学系や駆動系を構成することが可能となり、精度の高い光分岐挿入装置を構成することが可能となる。
【0031】
MEMS20は、複数のマイクロミラーを1次元的に並べたマイクロミラーアレイ25と、このマイクロミラーアレイ25を構成する各マイクロミラーを個別に駆動させるミラードライバ26を有している。各マイクロミラー25は、全て同じ大きさの平面鏡で、その大きさは、およそ数10μm〜数100μm角である。各マイクロミラーは、それぞれ、入力ポート11から入射する各波長λ1〜λn毎の光を反射する。すなわち、マイクロミラーアレイ25は、λ1〜λnの波長のそれぞれに対応するn個のマイクロミラーを有している。各マイクロミラーは、グレーティング19により光が分波される方向、つまりX方向に一列に並んでいる。
【0032】
光学系30は、各入出力ポート毎に各入出力ポート近傍に配置されているマイクロレンズ31と、マイクロレンズ31の(+)Z側に配置されているフォーカシングレンズ32と、このフォーカシングレンズ32とグレーティング19との間及びMEMS20とグレーティング19との間に配置されているリトローレンズ33とを備えている。
【0033】
入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dの前に配置されている各マイクロレンズ31は、入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dからの入力光を平行光束にするためのコリメートレンズとして機能するとともに、これらの入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dに出力する光を入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dに集光させる集光レンズとして機能する。フォーカシングレンズ32は、各入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dからマイクロレンズ31を介して送られてきた光の幅を広げる機能と、リトローレンズ33から入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dへ送る光を平行光束にする機能とを担っている。リトローレンズ33は、フォーカシングレンズ32により光束の幅が広げられた入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dからの光を平行光束にしてグレーティング19へ送る機能と、グレーティング19から入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dへ送る光束の幅を狭める機能と、グレーティング19からMEMS20への光をマイクロミラーアレイ25に集光させる機能と、マイクロミラーアレイ25からのグレーティング19へ送る光を平行光束にする機能とを担っている。
【0034】
入出力ポートEから入力した複数の波長光(信号光)は、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を通って、グレーティング19に照射されて、回折作用(分波)を受け、λ1〜λnの波長の光ごとに異なる方向に向かう。各波長の光は、リトローレンズ33を通って、MEMS20の波長ごとに対応するマイクロミラーで反射する。また、分岐挿入ポートA〜Dからの光λa’、λb’、λc’、λd’も、同様に、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を通って、グレーティング19に照射されて分波作用を受け各々の波長ごとに異なる方向に進む。波長λa、λb、λc、λdを含む各波長の光λ1〜λn、およびλa’λb’λc’λd’は、リトローレンズ33を通って、MEMS20の波長ごとに対応するマイクロミラーで反射する。MEMS20の各マイクロミラーで反射した各波長の光は、再び、リトローレンズ33を通って、平行光束となり、グレーティング19に照射される。各波長の光は、このグレーティングの合波作用を受けて、合波して、リトローレンズ33、フォーカッシングレンズ32、マイクロレンズ31を通って、入出力ポートEから出力される。
【0035】
ここで、入力ポートEからの光λa、λb、λc、λdを含むλ1〜λnの光と、入出力ポートA〜Dからの光λa’、λb’、λc’、λd’についてそれらがたどるルートを説明する。
【0036】
MEMS20のマイクロミラーアレイ25を構成する各マイクロミラーは、入射した光を各々の入出力ポートA〜Eのいずれかのポートに向かわせるように回転可能である。入出力ポートEから入力したλa、λb、λc、λdを含むλ1〜λnの光は、回折格子19で回折作用(分波作用)をうけて、波長ごとに異なる方向に回折され、リトローレンズ33を経て波長ごとにマイクロミラーに集光する。
【0037】
そして、図1、2に示すように、このうちの例えば波長λ4(=λc)の光は入出力ポートCに向かうよう、波長λ10(=λa)の光は入出力ポートAに向かうようにマイクロミラーの回転角度はミラードライバ26によって所定の角度に傾けられている。(図1、2では説明をわかりやすくするために、ポートAおよびポートCのみに向かう分岐波長光のみ図示しているが、実際には、ポートBおよびポートDにも所定の分岐波長光(λb、λd)が向かう。)
また、これ以外の波長の光は入出力ポートEに戻るように、ミラー面が入射光に対して垂直になるような回転角度を有する様、ミラードライバ26によって制御される。すなわちミラー面がX軸に平行になる(通常、この回転角度がミラーの初期状態となっている場合が多い)。
【0038】
この、ミラードライバ26からの、それぞれのマイクロミラーの回転角度制御情報を受けてレーザ制御装置40が波長可変レーザ41a〜41dの出力制御を行い、レーザ波長設定の制御を行う。
【0039】
波長λ4用のマイクロミラーで反射された波長λ4の光はポートCを出力してポートCの分岐ポートから出力される。また、波長λ10用のマイクロミラーで反射された波長λ10の光はポートAを出力してポートAの分岐ポートから出力される。
【0040】
また、光λ1〜λnのうちλ4、λ10(およびλb、λd)以外の波長の光は、それぞれマイクロミラーを反射してリトローレンズ33を経て回折格子19に入射し、回折格子で前記回折作用とは逆の回折作用(合波作用)を受けてポートEを出力して、ポートEの出力(express)ポートから出力される。
【0041】
一方、入出力ポートCから出力した波長λ4の信号光と同じ波長の光λ4’がポートCの挿入ポートに接続された波長可変レーザ41cから入力され、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を経て回折格子19に入射する。また、入出力ポートAから出力した波長λ10の信号光と同じ波長の光λ10’がポートAの挿入ポートに接続された波長可変レーザ41aから入力され、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を経て回折格子19に入射する。(また、ポートBにサーキュレータ50を介して接続した挿入ポートおよびポートDにサーキュレータ50を介して接続した挿入ポートに接続された波長可変レーザからの不図示の光(λb’、λd’)も入力され、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を経て回折格子19に入射する。)
λ4’、λ10’の光(およびλb’、λd’)は回折格子19により回折作用を受けて、それぞれ波長λ4’λ10’に対応する方向に回折され、λ4’、λ10’(およびλb’、λd’)用のマイクロミラーにそれぞれ入射する。λ4とλ4’、λ10とλ10’とは(およびλbとλb’、λdとλd’)同じ波長を有するので、各々の波長光が入出力ポートCから入力してマイクロミラーに至るまでの光路はすなわち、各々の波長の信号光がマイクロミラーを反射されて入出力ポートCに至るまでの光路を逆にたどったものに等しい。
【0042】
λ4’(λ4)に対応するマイクロミラーは波長λ4の光をポートEからポートCに向かわせるように、λ10’(λ10)に対応するマイクロミラーは波長λ10の光をポートEからポートCに向かわせるようにそれぞれ回転角度が設定されている。従って、λ4’(λ4)用のマイクロミラーを反射された光は、入出力ポートから入力した波長λ4が進んだ光路を逆にたどって進み、また、λ10’(λ10)用のマイクロミラーを反射された光は入出力ポートEをから入力したλ10が進んだ光路を逆にたどって進み、各々回折格子19の同一部分に入射する。回折格子に入射したλ4’、λ10’の光は回折格子19で前記回折作用とは逆の回折作用(合波作用)を受けて前述のλ1〜λnの光うちλ4、λ10以外の波長の光と合波されて、リトローレンズ33、フォーカシングレンズ32、マイクロレンズ31を経て入出力ポートEから出力され、更にサーキュレータ50を経て出力ポートから出力される。もちろん、λb’、λd’の光もλ4、λ10と同様に、λb’(λb)、λd’(λd)用のマイクロミラーを反射されて入出力ポートE、サーキュレータを経て出力ポートから出力される。
【0043】
ここで、例えば、ポートAにλ10が分岐されていたのを、λ7の波長を分岐するように変更する場合について、説明する。この場合、以下の1〜4の順で変更作業が行われる。
1.λ10およびλ7の光と、分岐挿入ポートAにサーキュレータ50を介して接続された挿入ポートの波長可変レーザからの光とがいずれのポートにも到達しないよう、光路を例えばλ10およびλ7の光路に配置した遮断手段等で遮断する(クロストーク防止のため)。
2.λ10およびλ7に対応するマイクロミラーの回転角度を各々、ポートEからポートE、ポートEからポートAに向かうようにミラードライバ26で設定する。
3.ミラードライバ26からの回転角度設定信号に基づいて、ポートAの挿入ポートに接続された波長可変レーザの波長をλ7に設定する。
4.1.の遮蔽手段を取り除く。
【0044】
以上のように、各々のポートを3つのポートを有するサーキュレータ50で構成することによって、入出力ポートおよび分岐挿入ポートからなるポート群、光学系30、回折格子19、マイクロミラーアレイ25とからなる1台の波長多重分光器のみで波長光のアドとドロップとを行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では、分岐および挿入する波長を1つの波長の光としたが、複数の波長の光を有する光信号を分岐および挿入する場合であっても同様の方法で実施できる。この場合には波長を複数選択できる波長可変レーザを用いることが好ましい。
【0046】
なお、本実施形態では入出力ポートが1つと分岐挿入ポートが4つある場合の実施例を示したが、もちろん、更に分岐挿入ポートを増やして、各分岐挿入ポートに対して光が向かうようにMEMSの角度制御を行うようにすれば、より多くの分岐挿入ポートを配置した構成とすることができる。
【0047】
また、本実施形態ではリトローレンズ33として、回折格子19に入射する光と射出する光とに共通の光学系を用いたが、入射側と射出側とでそれぞれ別の光学系を配置してもよい。
【0048】
以上、本実施形態では、1つのマイクロミラーで、入出力ポートEからの光のうちの所定の波長の光を波長ごとにそれぞれ異なる入出力ポートA〜Dへ向かわせて分岐することができるとともに、入出力ポートA〜Dから前記所定の波長を有する光を挿入できるので、入力ポートが1つで出力ポートが複数の光分岐挿入装置と出力ポートが複数で入力ポートが1つの光分岐挿入装置との2台の波長分割多重装置を組み合わせなくても、入出力ポートが1つで分岐挿入ポートが複数の光波長分岐/挿入装置10を構成することができる。すなわち、本実施形態の光波長分岐/挿入装置10は、グレーティング19、MEMS20、光学系30が、それぞれ1つずつで済み、装置の小型化を図ることができると共に、装置コストを抑えることができる。
【0049】
更に、波長分割多重装置1台を経た光の挿入損失は概ね3dBである。したがって、波長分割多重装置を2台経る従来の構成では、光の挿入損失は6dBとなる。これに対して、本実施形態では、波長分割多重装置を1台だけ用いればよいので、サーキュレータでの光の挿入損失1dBを加えたとしても、挿入損失を4dBに抑えることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、反射型グレーティング19を用いたが、この替わりに透過型グレーティングを用いてもよい。この場合、図1、2において、透過型グレーティングを基準として、各ポートが存在する側とは反対側にMEMS20が配置されることは言うまでもない。
【0051】
また、入出力ポートEから入力される光の波長、分岐挿入ポートから出力・入力される光の波長が、予め把握されており、しかも、入出力する光の各波長が変化しない場合には、各マイクロミラーの状態、および挿入ポートから入力される光の波長は固定しておいても不都合がないので、一旦、マイクロミラーの傾きを調整した後は、ミラードライバ26はなくてもよく、波長固定の光源を用いてもよいことはいうまでもない。
(第2の実施例)
次に、本発明に係る第二の実施形態としての光分岐挿入装置について、図3を用いて説明する。
【0052】
本実施例の光分岐挿入装置11においては、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33、および回折格子19の構成や機能は、第1の実施例と同様である。また、それぞれのポートを3本のポートを有するサーキュレータで構成することによって出力用と入力用のポートとを共用とし、各々のサーキュレータの分岐ポートと挿入ポートを使い分けて分岐挿入を行うという原理も同じである。
【0053】
第2の実施例では、第1実施例では1つの入出力ポートEで併用していた入力ポートと出力(express)ポートとを、複数の波長の光を入力し、挿入された信号のみを出力する出力用のポートと、出力(express)出力用のポートに分けるとともに、前記入出力用ポートと出力用ポートのそれぞれまたはどちらか一方にモニタを配置した。
【0054】
図3には、λ1〜λnの全ての波長光の光路を図示し、図4には、λ1〜λnの光のうち、λb(=λ10)、λc(=λ4)の光のみを図示している。
なお、図3、4では、簡易的に説明するために入出力ポートDからの入力光λ1〜λnの光のうちλ4の光がポートCに向かい、λ10の光がポートBに向かうように構成されているが、実際には、ポートAにも所定の波長の光λa(不図示)が分岐され、また所定の波長と同じ波長を有する光λa’(不図示)が挿入されている。
【0055】
図3に示すように、入出力ポートDからの入力光λ1〜λnの光を回折格子19に入射して回折作用(分波作用)を与え、波長ごとに異なる方向に向かわせて、波長ごとに配置したマイクロミラーに入射させる。λ1〜λnまでの波長の光のうち、分岐すべき所定の波長の光が、波長ごとに、分岐挿入ポートA〜Cのうちのいずれかのポートに向かうようミラードライバ26によってマイクロミラーの回転角度が設定され、該マイクロミラーを反射した各々の分岐すべき波長の光は、同じポートに向かう光同士は回折格子19で合波されて、分岐挿入ポートA〜Cの分岐ポートのいずれかから出力される。
【0056】
一方、λ1〜λnまでの波長の光のうち、分岐されない波長の光は、出力(express)ポートに向かうようミラードライバ26によってマイクロミラーの回転角度が設定され、該マイクロミラーを反射した各々の波長の光は、回折格子19で出力(express)ポートに向かう全ての波長の光が合波されて、出力(express)ポートから出力される。
【0057】
また、分岐挿入ポートA〜Cにサーキュレータを介して接続された各挿入ポートからは、各挿入ポートに接続された波長可変レーザから、各分岐ポートから出力された分岐信号と同じ波長の光を有する光が入力されて、実施例1と同様に各々の分岐信号の進む光路と逆の光路をたどって、回折格子19で全ての挿入信号が合波され、入出力ポートDを経て出力ポートEから出力される。
【0058】
出力(express)ポートおよび、入出力ポートDにサーキュレータ50を介して接続された出力(add)ポートEにはそれぞれ、タッパー50が配置され、各タッパーから分岐された信号が、それぞれモニタ51、モニタ52で検出される。ここで、出力(express)信号および出力(add)信号それぞれの光スペクトル(波長、波長強度等)がモニタされる。
【0059】
なお、実施例2では出力(express)信号と出力(add)信号との双方をモニタする例を示したが、もちろん、どちらか一方のみをモニタしてもよい。
また、各々の分岐挿入ポートに、それぞれ1つの波長の光を分岐する場合を説明したが、もちろん複数の波長を有する光を分岐してもよい。この場合は、波長可変レーザに、複数の波長を選択できるものを用いることが好ましい。
【0060】
上記のように、別々のポートから出力された出力(express)信号と出力(add)信号とは、後段に配置されたカプラ(合波器)60に入力して合波される。
以上、本実施形態でも、実施例1と同様に、1つのマイクロミラーで、入出力ポートEからの光のうち所定の波長の光を波長ごとにそれぞれ異なる入出力ポートA〜Dへ向かわせて分岐することができるとともに、入出力ポートA〜Dから前記所定の波長を有する光を挿入できるので、入力ポートが1つで出力ポートが複数の光分岐挿入装置と出力ポートが複数で入力ポートが1つの光分岐挿入装置との2台の波長分割多重装置を組み合わせなくても、入出力ポートが1つで分岐挿入ポートが複数の光波長分岐/挿入装置10を構成することができる。すなわち、本実施形態の光波長分岐/挿入装置10は、グレーティング19、MEMS20、光学系30が、それぞれ1つずつで済み、装置の小型化を図ることができると共に、装置コストを抑えることができる。
【0061】
更に、出力(express)信号と出力(add)信号とを分けて出力するように構成することによって、入力ポートから入力して、分岐挿入ポートに分岐されなかった光信号すなわち出力(express)信号のみ、または、分岐挿入ポートから入力される信号すなわち出力(add)信号のみ、あるいはその両方をそれぞれ独立して各々の信号のスペクトルや光強度をモニタすることができ、モニタ結果を光学系の調整や、マイクロミラーや波長可変レーザ等の制御のために、或いはアッテネータ等にフィードバックをかけることが可能となる。
(第3実施例)
図5〜7は第3の実施例における光分岐挿入装置12の光学系の概要を示す図である。本実施形態においても、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33、および回折格子19の構成や機能は、第1の実施例と同様である。
【0062】
第3の実施例においては、各ポートにはサーキュレータが接続されておらず、各ポートが入力、出力、分岐、挿入のみを行うように構成される。
入力ポートからのλ1〜λnの光のうち、図5には出力ポートに出力される光の光路、図6には、分岐ポートA、Bに出力される光の光路を示した。また、図7には挿入ポートA、Bから挿入され、出力ポートに向かう光の光路を示した。
【0063】
図5、6において、波長λ1〜λnの光を有する入力ポートからの入力光は、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を通って、回折素子19に照射されて回折作用を受け、λ1,λ2,λ3,…、λnの光に分波される。各波長の光は、リトローレンズ33を通って、MEMS20の波長ごとに対応するマイクロミラーで反射される。MEMS20のマイクロミラーは各波長の光ごとに配置され、各波長の光はそれぞれ該マイクロミラーの回転角度(チルト状態)に応じて所望のポートに向かうように構成されている。該マイクロミラーを反射された光は、分岐ポートA、B、出力ポートのいずれかのポートから出力される。図5では入力された光λ1〜λn(λ13)のうち、λ4およびλ10以外の信号光が出力ポートに向かい、図6に示すように、λa(=λ4)の信号光は分岐ポートAから分岐され、λb(=λ10)の信号光は分岐ポートBから分岐される。具体的には、各マイクロミラーの回転角度に応じて各々のマイクロミラーを反射した光は、再び、リトローレンズ33を通って、平行光束となり、グレーティング19に照射される。各波長の光は、同じポートに向かう光どうしがこのグレーティングの合波作用を受けて合波し、リトローレンズ33、フォーカッシングレンズ32、マイクロレンズ31を通って、出力ポートおよび分岐ポートA、Bとのうちのいずれかのポートから出力される。
【0064】
また図7に示すように、挿入ポートAからの光λa’(=λ4’)、挿入ポートBからの光λb’(=λ10’)も、以上と同様に、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を通って、グレーティング19に照射されて、分波作用を受ける(波長に応じて異なる方向に向かう)。前記各波長の光は、リトローレンズ33を通って、MEMS20の各波長光に対応するマイクロミラーで反射され、再び、リトローレンズ33を通って、平行光束となり、グレーティング19に照射される。各波長の光は、同じポートに向かう光どうしがこのグレーティングの合波作用を受けて合波し、出力ポートから出力される。
【0065】
ここで、入力ポートからの光λ1〜λnと、挿入ポート12からの光λ4’,λ10’について、MEMS20の波長ごとに対応するマイクロミラーで反射した以降のルートについて説明する。
【0066】
図5〜7に示すように、MEMS20のマイクロミラーアレイ25を構成する各マイクロミラーは、第1チルト状態と第2チルト状態および第3チルト状態の3つのチルト状態をとることができる。 図5に示すように、入力ポートからの光λ1〜λn用のマイクロミラーアレイ25のうち、第1チルト状態のミラーを反射した波長光は、全て出力ポートに向う方向に反射される。
【0067】
また、図6に示すように、入力ポートからの光λ1〜λn用のマイクロミラーアレイ25のうち、第2チルト状態のミラー(λ4用ミラー)を反射した波長光は、分岐ポートAに向う方向に反射される。また、図7に示すように、挿入ポートAから入力して第2チルト状態のミラーに入射した波長光は出力ポートに向かう方向に反射される。
【0068】
また、図6に示すように、入力ポートからの光λ1〜λn用の各マイクロミラーのうち、第3チルト状態のミラー(λ10用ミラー)を反射した波長光は、分岐ポートBに向かう方向に反射される。また、図7に示すように、挿入ポートBから出力して第3チルト状態にミラーに入射した波長光は出力ポートに向かう方向に反射される。
【0069】
すなわち第1チルト状態にあるマイクロミラーは、対応する波長光を入力ポートから出力ポートに向かわせる役割を有し、第2チルト状態にあるマイクロミラーは、対応する波長光のうち入力ポートから来た光を分岐ポートAに向かわせるとともに挿入ポートAから来た光を出力ポートに向かわせる役割を有し、第3チルト状態にあるマイクロミラーは、対応する波長光のうち入力ポートから来た光を分岐ポートBに向かわせるとともに挿入ポートBから来た光を出力ポートに向かわせる役割を有する。
【0070】
この状態について、挿入ポートA、Bの配置の観点から言及すると、入力ポートからの波長光を分岐ポートAに向わせる第2チルト状態のときに、挿入ポートAからの波長光が出力ポートに向うような位置に挿入ポートAが配置され、入力ポートからの波長光を分岐ポートBに向わせる第3チルト状態のときに、挿入ポートBからの波長光が出力ポートに向うような位置に挿入ポートBが配置されていることになる。
【0071】
ここで、図8(a)〜(c)を用いて、第3チルト状態、および該第3チルト状態に対する第1および第2チルト状態のマイクロミラーの角度、マイクロミラーに対する各ポートの存在方向について、具体的に説明する。入射角は垂線P基準とし、時計回りを(+)方向、反時計回りを(-)方向とする。
【0072】
まず、第1チルト状態について図8(a)を用いて説明する。入力ポートからの光は、仮に、第1チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して-θ( = -30°)の角度でマイクロミラーMに入射するとする。このとき、入力ポートからの光は分岐ポートBに向かうので、分岐ポートBは第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して+θ( = +30°)の方向に存在することになる。
【0073】
このチルト状態で、挿入ポートBからの光は、仮に、第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して-η( = -10°)の角度でマイクロミラーMに入射するとする。このとき、入射ポートからの光は出力ポートに向かうので、出力ポートは第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して+η( = +10°)の方向に存在することになる。
【0074】
また、挿入ポートAからの光は、仮に、第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して-φ( = -20°)の角度でマイクロミラーMに入射するとし、分岐ポートAが第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して+φ( = +20°)の角度の方向に存在するとする。
【0075】
次に、第2チルト状態について図8(b)を用いて説明する。この状態は、入力ポートからの光を分岐ポートAに向かわせるとともに、挿入ポートAからの光を出力ポートに向かわせる状態である。
【0076】
このとき、挿入ポートAと出力ポートとの位置関係が第2チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに関して対称となるように配置される。両ポート間の角度はφ+η( = 30°)であるので、第2チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pからの各々のポートの角度は(φ+η)/2( = 15°)となる。また、チルト角度は、-(φ-η)/2( = 5°)となる。
【0077】
一方、入力ポートと分岐ポートAとの位置関係も第2チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに関して対称となるように配置される。この場合、両ポート間の角度はθ+φ( =50°)であるので、第2チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pと各々のポートの角度は(θ+φ)/2( = 25°)となる。また、チルト角度は、-(θ-φ)/2( = 5°)となる。ここで、チルト角度を表す2つの関係式において、もちろん、φ-ηとθ-φとは等価である必要がある。すなわち、入力ポートから入射する光と挿入ポートAから入射する光とが形成する角度(分岐ポートBに反射される光と分岐ポートAに反射される光とが形成する角度)、および挿入ポートAから入射する光と挿入ポートBから入射する光とが形成する角度(分岐ポートAに反射される光と出力ポートに反射される光とが形成する角度)とを等しく構成することによって、本実施例を実現することが可能となる。
【0078】
次に、第3チルト状態について、図8(c)を用いて説明する。この状態は、入力ポートからの光を出力ポートに向かわせる状態である。
このとき、入力ポートと出力ポートとの位置関係が第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに関して対称となるように配置される。この場合、両ポート間の角度はθ+η( = 40°)であるので、第1チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pと各々のポートの角度は(θ+η)/2( = 20°)となる。また、チルト角度は、-(θ-η)/2( = -10°)となる。
【0079】
ここで、入力ポートから入射する光と挿入ポートAから入射する光とが形成する角度(分岐ポートBに反射される光と分岐ポートAに反射される光とが形成する角度)と、挿入ポートAから入射する光と挿入ポートBから入射する光とが形成する角度(分岐ポートAに反射される光と出力ポートに反射される光とが形成する角度)とは全て等しいので、この角度をΔεとすると、第2チルト状態、第1チルト状態のミラーMの角度は、それぞれ、(±)Δε/2、(±)Δε/2×2( =Δε)で表すことができる。
【0080】
このように、全てのマイクロミラーが同一平面を形成するような状態、すなわち前記ミラーエレメントのミラー面が前記ポートの並び方向に対して平行になる状態(実施形態では第3チルト状態)、でのマイクロミラーMの垂線Pに関して、入射する各々の光と反射する各々の光とが対称になるように光が入力および出力するような位置に、各ポートを配置すること、また、入力ポートから入射する光、挿入ポートAから入射する光、挿入ポートBから入射する光の互いに隣接するポートからミラーMに入射する光の角度、およびミラーMを反射されてそれぞれ互いに隣接するポートに向かう光に向かう光同士の角度をと全て等しくすることによって本実施例を実現可能に構成することができる。
【0081】
ここで、第1チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pにする挿入ポートBおよび出力ポートの角度ηは、必ずしもΔεに設定する必要はない。が、角度ηをΔεとし、隣接する全てのポート同士の間隔を同じに設定することによってポートの配置をよりコンパクトにできる。
【0082】
以上のように、第3チルト状態に対する第1チルト状態のマイクロミラーMの角度および第2チルト状態のマイクロミラーMの角度と、マイクロミラーMに対する各ポートの存在方向を定めることで、前述したように、1つのマイクロミラーMで、第3チルト状態では、入力ポートからの光を分岐ポートBに向かわせると同時に、挿入ポートBからの光を出力ポートに向かわせることができ、第2チルト状態では、入力ポートからの光を分岐ポートAに向かわせると同時に、挿入ポートAからの光を出力ポートに向かわせることができる。また、第1チルト状態では、入力ポートからの光を出力ポートに向かわせることができる。
【0083】
ところで、本実施形態は、前述したように、入力ポートからλ1〜λnの波長を含む光を入射し、挿入ポートAからλ4’の光を入射し、挿入ポートBからλ10’の光を入射し、出力ポートからλ1〜λn(このうちλ4はλ4’に、λ10はλ10’に変換されている)の光を出力し、分岐ポートAからλ4の光をまた、分岐ポートBからλ10の光を出力するものである。このため、本実施形態では、回折格子19により回折作用を受けて分波された入力ポートから各波長の光λ1〜λnに対して、図6、7に示すように、λ4用マイクロミラーを第2チルト状態にし、λ10用マイクロミラーを第1チルト状態にし、それ以外の波長用のマイクロミラーを第3チルト状態にする。この結果、回折格子19により分波された入力ポートからの光λ4は、第2チルト状態のマイクロミラーで反射された後、回折格子19により前記回折作用とは逆の作用(合波作用)を受けて、分岐ポートAから出力される。また、回折格子19により同回折作用を受けた入力ポートからの光λ10は、第1チルト状態のマイクロミラーで反射された後、回折格子19により同合波作用を受けて、分岐ポートBに入射する。また、回折格子19により分波された入力ポートからのλ4およびλ10以外の波長光は第3チルト状態のマイクロミラーで反射された後、挿入ポートAから入力されたλ4’は前記第2チルト状態のマイクロミラーで反射された後、また、挿入ポートBから入力されたλ10’は前記第1チルト状態のマイクロミラーで反射された後に、グレーティング19により合波されて、出力ポートに入射する。
【0084】
本実施例では、分岐ポートA、B、および挿入ポートA、Bのそれぞれ2つのポートがある場合について説明したが、分岐ポートおよび挿入ポートの数は各ポートのピッチおよびミラーの角度可変範囲の許す範囲で任意に設定が可能である。このように、挿入ポートおよび分岐ポートをそれぞれ2つ以上配置する場合でも、ポートの配置を以下の1〜3の条件を満たすことによって本発明を実施することができる。
1.全てのマイクロミラーが同一平面内にあるように設定された状態、すなわち前記ミラーエレメントのミラー面が前記ポートの並び方向に対して平行になる状態(実施形態では第3チルト状態)でのマイクロミラーMの垂線Pに関して、入射する光と射出する光とが対称になるように各ポートを配置する。
2.入力ポートおよび複数の挿入ポートからミラーMに入射される光のうちの互いに隣接する光どうしが形成する角度と、出力ポートおよび複数の分岐ポートに向かうようにミラーMを反射される光のうちの互いに隣接する光どうしが形成する角度とが全て等しくなるように各ポートを配置する。
3.ミラーMに入射する入力ポートからの光とミラーMを反射する出力ポートへの光とが形成する角度と、およびミラーMに入射する複数の挿入ポートからの光と対応して配置された各々の分岐ポートにむかってミラーMを反射する光とが形成する角度各々の角度とが全て等しくなるように各ポートを配置する。
【0085】
また、この場合ミラーMは、1に記載した状態を基準として、チルト角度のピッチが(±)Δε/2°で、段階数が、入力ポート+挿入ポート数−1(または出力ポート+分岐ポート数−1)段階で可変になるように駆動させる。
【0086】
以上、本実施形態では、1つのマイクロミラーで、入力ポートからの異なる波長光をそれぞれ異なる出力ポート、および複数の分岐ポートへ向わせることができるので、例えば、入力ポートが1つで出力ポートが複数の光分岐挿入装置と入力ポートが複数で出力ポートが1つの2つの光分岐挿入装置とを組み合わせなくても、入力ポート1つで1つの出力ポートと複数の分岐ポートとを有する光波長分岐/挿入装置12を構成することができる。すなわち、本実施形態の光波長分岐/挿入装置12は、グレーティング19、MEMS20、光学系30が、それぞれ1つずつで済み、装置の小型化を図ることができると共に、装置コストを抑えることができる。更に、本実施形態では、サーキュレータを用いないので、信号光の挿入損失を、波長分割多重装置起因するもののみ(約3dB)に抑えることができる。
【0087】
なお、以上では、入力ポートからλ1〜λnの波長のうち、波長λ4及びλ10の光をそれぞれ分岐ポートAおよび分岐ポートBから分岐しているが、各々の分岐ポートに複数の波長の光を分岐することが可能であることはいうまでもない。この場合、対応する挿入ポートに接続された波長可変レーザには複数の波長の光を出力できるものであることが好ましい。
【0088】
また、本実施形態では、反射型回折格子19を用いたが、この替わりに透過型グレーティングを用いてもよい。この場合、図5〜7において、透過型グレーティングを基準として、各ポートが存在する側とは反対側にMEMS20が配置されることは言うまでもない。
【0089】
また、入力ポートから入力される光の波長、各挿入ポートから入力される光の波長、出力ポートから出力される光の波長、各分岐ポートから出力される光の波長が、予め把握されており、しかも、入出力する光の各波長が変化しない場合には、各マイクロミラーの状態を固定しておいても不都合がないので、一旦、マイクロミラーの傾きを調整した後は、ミラードライバ26はなくてもよい。また、各挿入ポートに配置された光源は波長固定のものを使用すればよい。
【0090】
以上のように、本実施形態においても、光分岐挿入装置10を1台用いて、光波長交換装置12を構成したので、小型化及び低コスト化を図ることができる。
(第4実施例)
次に、本発明に係る第4実施形態である、光波長交換装置について、図9を用いて説明する。本実施例の光波長交換装置は、前述の第1実施例〜第3実施例に記載の光分岐挿入装置を2台つなげて図11に示すような光波長交換装置を構成するものである。
【0091】
図9には2台の波長分割多重装置について、それぞれの同じ波長用に設けられた分岐ポートと挿入ポートとが接続されている。2つの波長分割多重装置は、例えば、第1実施例の構成を有している。また、ポートの数は、本実施例では、それぞれ入出力ポート1つ、分岐挿入ポート1つの構成である。
【0092】
波長分割多重装置1の入出力ポートから入射したλ1〜λnの信号光は、回折格子19に入射して回折作用を受け、波長ごとに異なる方向に分波される。分波した波長ごとの光は波長ごとに各々配置されたマイクロミラー25のミラーで分岐挿入ポートまたは前記入出力ポートのどちらかに方向付けられる。このうち、分岐挿入ポートに向かう光(図9ではλ4、λ10)は、分岐挿入ポートから分岐されて分岐挿入ポートに接続されたサーキュレータ50を介して波長分割多重装置2の挿入ポートから入力し、サーキュレータ50を介して波長分割多重装置2の分岐挿入ポートから波長分割多重装置2に挿入される。
【0093】
一方、波長分割多重装置2の入出力ポートλ1’〜λn’の信号光は、回折格子19に入射して回折作用を受け、波長ごとに異なる方向に分波される。分波した波長ごとの光は、波長ごとに各々配置されたマイクロミラー25のミラーで分岐挿入ポートまたは前記出力ポートのどちらかに方向付けられる。このうち分岐挿入ポートに向かう光(λ4’、λ10’)は、分岐挿入ポートから分岐されて分岐挿入ポートに接続されたサーキュレータ50を介して波長分割多重装置1の挿入ポートから入力し、サーキュレータ50を介して波長分割多重装置1の分岐挿入ポートから波長分割多重装置1に挿入される。
【0094】
波長分割多重装置1に入力した光のうち、λ4およびλ10以外の信号光はマイクロミラー25のミラーによって波長分割多重装置1の入出力ポートに向かうよう方向づけられ、また、挿入ポートから入力したλ4’およびλ10’も、前記λ4およびλ10が進んだ光路を逆進してλ4およびλ10用のミラーを反射されて入出力ポートに向かうよう方向づけられている。同じポート向かうよう方向づけられた各信号光は回折格子19で今度は合波作用を受け波長分割多重装置1の入出力ポートから出力される。
【0095】
また、波長分割多重装置2に入力した光のうち、λ4’およびλ10’以外の信号光はマイクロミラー25のミラーによって波長分割多重装置2の入出力ポートに向かうよう方向づけられ、また、挿入ポートから入力したλ4およびλ10も、前記λ4’およびλ10’が進んだ光路を逆進してλ4’およびλ10’用のミラーを反射されて入出力ポートに向かうよう方向づけられている。同じポート向かうよう方向づけられた各信号光は回折格子19で今度は合波作用を受け波長分割多重装置2の入出力ポートから出力される。
【0096】
このように、波長分割多重装置1および2で、交換すべき任意の波長用のミラーの回転角度(チルト方向)を入射光が分岐挿入ポートに向かうように設定することによって、任意の波長を交換することができる光波長交換装置を構成することができる。
【0097】
本実施例では、本発明の実施例1の光分岐挿入装置を2台つなげたが、本発明はこれにとらわれず、実施例2および実施例3の光分岐挿入装置を2台つなげる構成としてもよい。
【0098】
これらは、装置1の分岐ポートと装置2の挿入ポートとを、また装置1の挿入ポートと装置2の分岐ポートとを接続することによって実現できる。また、本実施形態では、波長交換のポートを設け、このポートに交換すべき全ての波長の信号光を導くよう波長ごとにミラーの回転角度(チルト角度)を調整すればよいので、特に必要のない限り、分岐挿入ポートは1つ(第3実施形態の場合は1組)配置すればよい。
以上、本実施形態では、第1実施例から第3実施形態に記載した光分岐挿入装置を2台つなげて配置することによって、複数の波長を有する2組の信号光のうち任意の波長のみを交換する光波長交換装置を構成することができるので、入力ポートが1つで出力ポートが複数の光分岐挿入装置と出力ポートが複数で入力ポートが1つの光分岐挿入装置との2台の波長分割多重装置を組み合わせを2組用いなくても、入出力ポートが2つで分岐挿入ポートがそれぞれ1つづつの光波長交換装置を構成することができる。すなわち、本実施形態の光波長分岐/挿入装置10は、グレーティング19、MEMS20、光学系30が、それぞれ2つずつで済み、装置の小型化を図ることができると共に、装置コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る第一の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る第一の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の光路図で、分岐挿入ポートに向かう入力ポートからの光、および出力ポートに向かう分岐挿入ポートからの光の光路図である。
【図3】本発明に係る第二の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の構成を示す説明図である。
【図4】本発明に係る第二の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の光路図で、分岐挿入ポートに向かう入力ポートからの光、および出力ポートに向かう分岐挿入ポートからの光の光路図である。
【図5】本発明に係る第三の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の光路図で、入力ポートから出力ポートに向かう光の光路図である。
【図6】本発明に係る第三の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の光路図で、入力ポートから分岐ポートに向かう光の光路図である。
【図7】本発明に係る第三の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の光路図で、分岐ポートから出力ポートに向かう光の光路図である。
【図8】本発明に係る第三の実施形態としてのマイクロミラーアレイを構成する各マイクロミラーの傾きと、各ポートからの光の光路を示す説明図である。
【図9】本発明に係る第四の実施形態としての光波長交換装置の光路図で、2台の波長分割多重装置間のポート間の光路図である。
【図10】光波長分岐挿入装置の各波長の光のルートを示す説明図である。
【図11】光波長交換装置の各波長の光のルートを示す説明図である。
【符号の説明】
【0100】
10:光分岐/挿入装置、19:グレーティング、20:MEMS、25:マイクロミラーアレイ、26:ミラードライバ、30:光学系、40:レーザ制御装置、41a〜41d:波長可変レーザ、50:サーキュレータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光分岐挿入装置、これを備えた装置および光分岐挿入装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光分岐挿入装置としては、光波長分岐/挿入装置(OADM:Optical Add Drop Multiplex)(や、光波長交換装置(OXC:Optical cross Connect))がある。
図10(a)、(b)に示すように、光波長分岐/挿入装置3は、例えば、λ1〜λnの波長を含む光が通っているルート1から、λa、λb、λc、λdの光を外部へ分岐し、このルート1に外部からλa’、λb’、λc’、λd’の光を挿入するために使用される。このため、この光波長分岐/挿入装置3は、入力ポートとして、ルート1から光を受け入れる入力ポートの他に、外部から光を受け入れる入力ポートが必要で、出力ポートに関しても、ルート1へ光を出力する出力ポートの他に、外部へ光を出力する出力ポートが必要である。
【0003】
(また、図10に示すように、光波長交換装置4は、例えば、第1のルート1にλ1〜λnの波長を含む光が通っており、第2のルート2にλ1’〜λn’の波長を含む光が通っている場合に、第1のルート1から第2のルート2へλa、λb、λc、λdの光を分岐し、第2のルート2から第1のルート1へλa’、λb’、λc’λd’の光を分岐するために使用される。このため、この光波長交換装置4は、入力ポートとして、第1のルートから光を受け入れる入力ポートと、第2のルートから光を受け入れる入力ポートが必要で、出力ポートに関しても、第1のルートへ光を出力する出力ポートと、第2のルートへ光を出力する出力ポートが必要である。)
従来、以上のように、複数の入力ポート及び複数の出力ポートが必要な光波長分岐/挿入装置(や光波長交換装置)は、以下の特許文献1に記載されている光分岐挿入装置を複数台組み合わせることで、構成している。
【0004】
この特許文献1に記載されている光分岐挿入装置は、1つの入力ポートからの光をグレーティングで複数の波長ごとの光に分波し、各波長ごとの光をマイクロミラーアレイの各ミラーで反射して、各波長ごとの光のうちのいずれかの波長の光を複数の出力ポートへ導くものである。
【0005】
例えば、図10(a)、(b)に示す光波長分岐/挿入装置3では、入力ポートが1つで出力ポートが2つの光分岐挿入装置を2台組み合わせる必要があり、また、図11に示す光波長交換装置4では、光波長分岐/挿入装置3を2台、つまり、入力ポートが1つで出力ポートが2つの光分岐挿入装置を4台組み合わせる必要がある。
【特許文献1】US6,289,145B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、複数の入力ポート及び複数の出力ポートを有する光波長分岐/挿入装置や光波長交換装置を構成するためには、1つの入力ポート及び複数の出力ポートを有する光分岐挿入装置、又は複数の入力ポート及び1つの出力ポートを有する光波長ルートを複数台組み合わせる必要があり、これでは、光分岐挿入装置の台数分だけ、グレーティングやマイクロミラーアレイが必要で、装置サイズが大型化する上に装置コストも嵩んでしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に着目し、複数の入力ポート及び複数の出力ポートを有していても、装置サイズを小型化できると共に、装置コストを抑えることができる光分岐挿入装置、これを備えている装置、光分岐挿入装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本願の請求項1の発明は、少なくとも1つの入出力ポートと、少なくとも1つの分岐挿入ポートと、入射光を波長毎に分波する分波作用及び複数の波長の光を合波する合波作用を有する合分波光学系と、複数のミラーを有し、前記合分波光学系で複数の波長に分波されたそれぞれの光を所望の方向へ向かわせるミラーエレメントと、前記入出力ポートおよび前記分岐挿入ポートから入力された光を前記合分波光学系へ導くとともに前記合分波光学系で分波された波長ごとにそれぞれ前記ミラーエレメントに集光させ、前記ミラーエレメントを経たそれぞれの光を前記合分波光学系を介して前記入出力ポートおよび前記分岐挿入ポートのいずれかに集光させる光学系と、前記ミラーエレメントの複数のミラーの向きを独立して変えることにより、少なくとも前記分岐挿入ポートから入力された所定の波長の光を前記入出力ポートから出力させ、前記入出力ポートから入力された前記所定の波長の光を前記分岐挿入ポートから出力させるミラー駆動手段と、を備えたことを特徴とする光分岐挿入装置を提供する。
入装置。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光分岐挿入装置であって、前記入出力ポートと前記分岐挿入ポートとは前記合分波光学系の波長分散方向と同じ方向に1列に並んでいることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光分岐挿入装置であって、前記分岐挿入ポートは、前記前記分岐挿入ポートから出力された光を出力させる分岐ポートと、前記分岐挿入ポートを介して前記分岐挿入ポートから出力された光と同じ波長の光を入力させる挿入ポートとに、サーキュレータを介して連結されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置であって、前記入出力ポートは、前記複数の波長の光を入力する入力ポートと、前記複数の波長の光のうちの一部の波長の光が交換された光を出力する出力ポートとに、サーキュレータを介して連結されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置であって、前記入出力ポートは、前記複数の波長の光を有する光を入力するとともに、前記分岐挿入ポートから入力された光のみを出力し、前記複数の波長の光のうち分岐挿入ポートに向かわない波長の光のみを出力する出力ポートと、前記出力ポートと前記入出力ポートとに接続され、前記入出力ポートからの光と前記出力ポートからの光とを結合する結合器と、を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置であって、前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数の前記ミラーのそれぞれを複数のチルト状態に切替可能で、前記複数のチルト状態は、所定の入出力ポートから入力した光を前記入出力ポートに向かわせるか、或いは前記分岐挿入ポートの任意の1つに向かわせるとともに、前記分岐挿入ポートからの光を前記入出力ポートに向かわせることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの分岐ポートと、少なくとも1つの挿入ポートと、少なくとも1つの出力ポートと、入射光を波長毎に分波する分波作用及び複数の波長の光を合波する合波作用を有する合分波光学系と、複数のミラーを有し、前記合分波光学系で複数の波長に分波されたそれぞれの光を所望の方向へ向かわせるミラーエレメントと、前記入力ポートおよび前記挿入ポートから入力された光を前記合分波光学系へ導くとともに前記合分波光学系で分波された波長毎にそれぞれ前記ミラーエレメントに集光させ、前記ミラーエレメントを経たそれぞれの光を前記合分波光学系を介して前記出力ポートおよび前記分岐ポートのいずれかに集光させる光学系と、前記ミラーエレメントの複数のミラーの向きを独立して変えることにより、少なくとも前記挿入ポートから入力された所定の波長の光を前記入出力ポートから出力させ、前記入力ポートから入力された所定の波長の光を前記分岐ポートから出力させるミラー駆動手段を備えたことを特徴とする光分岐挿入装置を提供する。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7に記載の光分岐挿入装置であって、前記入出力ポートと前記分岐挿入ポートとは前記合分波光学系の波長分散方向と同じ方向に1列に並んでいることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項7または請求項8に記載の光分岐挿入装置であって、前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数の前記ミラーのそれぞれを複数のチルト状態に切替可能で、前記複数のチルト状態は、入力ポートから入力した光を前記出力ポートに向かわせるか、或いは前記挿入ポートの任意の1つに向かわせることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置であって、前記入力ポート、前記挿入ポート、前記出力ポートおよび前記分岐ポートは、前記ミラーエレメントのミラーに入射する前記入力ポートからの光と前記出力ポートに向かうように前記ミラーを反射される光とがなす角度、および前記ミラーエレメントのミラーに入射する複数の挿入ポートの各々からの光と前記複数の挿入ポートの各々に対応して配置される分岐ポートのそれぞれに向かうように前記ミラーを反射される各々光とがなす角度が全て等しくなるように、且つ、全ての入力ポートと挿入ポートから前記ミラーエレメントに入射した場合に該入射した光のうち隣接する光どうしが形成する角度がすべて等しくなるように配置されることを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置であって、前記ミラーエレメントに入射する入力ポートおよび挿入ポートからの光のうち隣接する光どうしの角度をΔεとしたとき、前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数のミラーのそれぞれをチルト角度のピッチが(±)Δε/2°で、切換段階数が入力ポート数+挿入ポート数−1(または出力ポート数+分岐ポート数−1)段階となるように切り替え可能であることを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、入力ポートから入力された複数の波長の信号光を分波し、波長に応じて異なる角度で射出する波長分散手段と、複数のミラーを有し、前記分散手段で波長ごとに分散された複数の信号光のそれぞれを各ミラーで反射して、波長ごとに所望の方向に反射させる反射手段と、前記反射手段を反射された信号光のうち所定の信号光を分岐する1以上の分岐ポートと、前記分岐ポートから分岐された前記所定の信号光と同じ波長を有する光を入力させる1以上の挿入ポートと、前記挿入ポートから挿入され、前記波長分散手段と前記反射手段とを経て前記波長分散手段に再度入射する光と、前記反射手段で反射された信号光のうち前記分岐ポートに向かわない信号光とを、前記波長分散手段を介して合波して出力させる出力ポートとを有することを特徴とする光分岐挿入装置を提供する。
【0020】
請求項13の発明は、入力ポートから複数の波長の光を入力する第1の工程と、挿入ポートから少なくとも1つの波長の光を入力する第2の工程と、前記入力ポートと前記挿入ポートから入力された光を波長分散手段に入射させて波長ごとに異なる角度で射出する第3の工程と、前記波長分散手段を経た光を波長ごとに設けられた偏向手段に入射して、前記挿入ポートから入力された所定の波長の光を出力ポートに向かわせるとともに、前記入力ポートから入力された複数の波長のうち、少なくとも前記所定の波長の光を分岐ポートに向かわせ、前記分岐ポートに向かわない光を前記出力ポートに向かわせる第4の工程と、前記偏向手段を経た光を入射して前記偏向手段で同じポートに向かう光どうしを合波する第5の工程とを備えることを特徴とする光分岐挿入方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ミラーエレメントを構成する各ミラーで、入出力ポートからのそれぞれの光を、任意の分岐挿入ポートに向わせることができ、さらに、任意の分岐挿入ポートに入射した光の波長に応じた光を該任意のポートから入力するので、ミラーエレメント及び合分波素子は、それぞれ1つずつで足りる。したがって、複数の入力ポート及び複数の出力ポートを備えている光分岐挿入装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施例)
以下、本発明に係る光分岐挿入装置の各種実施形態について説明する。
まず、本発明に係る第一の実施形態としての光分岐挿入装置について、図1、図2を用いて説明する。
【0023】
本実施形態の光分岐挿入装置は、図10に示すように、例えば、λa、λb、λc、λdの波長を含む光λ1〜λnが通っているルート1から、λa、λb、λc、λdの光を外部へ分岐(drop)し、このルート1に外部からλa’、λb’、λc’、λd’の光を挿入(add)する光波長分岐/挿入装置10である。なお、図10では、ルート1にλ1〜λnの波長を含む光が通っているとし、ルート1からλa、λb、λc、λdの光を外部へ分岐し、このルート1に外部からλa’、λb’、λc’、λd’の光を挿入することにしているが、これは以下の説明を簡略化するためであり、例えば、各入出力ポートA〜Dからより多くの波長の光を分岐する装置であっても構わない。なお、本明細書の波長は、特にことわりのない限り、光通信で通常用いる信号光の各波長帯域を表している。
【0024】
図1にはλ1〜λn(λ13)の光の全ての光路を図示し、図2にはλ1〜λnまでの光のうちλa(λ10)、およびλc(λ4)の光路のみを記載した。また、分かり易く説明するために、λb、およびλdの光路については図示を省略している。
【0025】
この光波長分岐/挿入装置10は、図1に示すように、λ1〜λnの波長を含む光を入射する入出力ポートEと、入出力ポートEから入力した光のうち、λaの光を出力して、λa’の光を入力する分岐挿入ポートAと、λbの光を出力してλb’の光を入力する分岐挿入ポートBと、λcの光を出力してλc’の光を入力する分岐挿入ポートCと、λdの光を出力してλd’の光を出力する分岐挿入ポートDと、からなる入出力ポート群と、光を複数の波長毎に分波する分波作用及び複数の波長毎の光を合波する合波作用を有するグレーティング19と、少なくとも入力される波長数と同じ数だけ配置されたマイクロミラーアレイ25を有するMEMS(Micro Electro Mechanical System)20と、複数の入出力ポートA〜Eからの光をMEMS20のマイクロミラーアレイ25に集光させると共に、このマイクロミラーアレイ25を経たグレーティング19からの光を複数の入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dのうちのいずれかのポートに集光させる光学系とからなる波長分割多重装置を備えている。
【0026】
入出力ポートEと、各々の分岐挿入ポートA、B、C、Dは、それぞれ、3つのポートを有するサーキュレータ50で構成されている。各々のサーキュレータ50の3つのポートは、それぞれ1本の入出力ポート(または分岐挿入ポート)と、1本の出力(または分岐)ポートと、1本の入力(または挿入)ポートである。このうち、入出力ポート(または分岐挿入ポート)が波長分割多重装置側に接続されており、前記入力ポート(または挿入)から入力された光は前記入出力ポート(または分岐挿入ポート)を経て波長分割多重装置側に入力されるとともに、波長分割多重装置から出力された光は、前記入出力ポート(または分岐挿入ポート)を経て、前記出力ポート(または分岐ポート)から出力される。
【0027】
また、各々の分岐挿入ポートにサーキュレータ50を介して接続された入力ポートのそれぞれには波長可変レーザ41a〜41d(不図示)が接続されており、この波長可変レーザ光を入出力ポートを経て、波長分割多重装置に入力する。
【0028】
更に、各々の波長可変レーザは、各々の波長可変レーザの出力波長を制御するレーザ波長制御装置40に接続されている。該レーザ波長制御装置40はさらに後述のマイクロミラーアレイ25のミラードライバ26に接続され、ミラードライバ26からのミラー駆動信号を受けて前記各々の波長可変レーザの出力波長が決定される。
【0029】
グレーティング19は、互いに平行な複数の溝を有する反射型グレーティングである。なお、以下の説明の都合上、このグレーティング19の溝が伸びている方向をY方向、このY方向に垂直な方向であって入力ポート11からグレーティング19に向う方向をZ方向、Y方向及びZ方向に垂直な方向をX方向とする。
【0030】
入出力ポートおよび分岐挿入ポートA〜Eは、グレーティング19の溝が伸びている方向に対して垂直なX方向に一列に並んでいる。このようにX方向に一列に並んでいることによって、後述のマイクロレンズ31を1列のレンズアレイとして配置することができ、また、後述のマイクロミラーアレイ25の回転軸を1軸にすることができる。従って、無駄のない光学系や駆動系を構成することが可能となり、精度の高い光分岐挿入装置を構成することが可能となる。
【0031】
MEMS20は、複数のマイクロミラーを1次元的に並べたマイクロミラーアレイ25と、このマイクロミラーアレイ25を構成する各マイクロミラーを個別に駆動させるミラードライバ26を有している。各マイクロミラー25は、全て同じ大きさの平面鏡で、その大きさは、およそ数10μm〜数100μm角である。各マイクロミラーは、それぞれ、入力ポート11から入射する各波長λ1〜λn毎の光を反射する。すなわち、マイクロミラーアレイ25は、λ1〜λnの波長のそれぞれに対応するn個のマイクロミラーを有している。各マイクロミラーは、グレーティング19により光が分波される方向、つまりX方向に一列に並んでいる。
【0032】
光学系30は、各入出力ポート毎に各入出力ポート近傍に配置されているマイクロレンズ31と、マイクロレンズ31の(+)Z側に配置されているフォーカシングレンズ32と、このフォーカシングレンズ32とグレーティング19との間及びMEMS20とグレーティング19との間に配置されているリトローレンズ33とを備えている。
【0033】
入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dの前に配置されている各マイクロレンズ31は、入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dからの入力光を平行光束にするためのコリメートレンズとして機能するとともに、これらの入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dに出力する光を入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dに集光させる集光レンズとして機能する。フォーカシングレンズ32は、各入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dからマイクロレンズ31を介して送られてきた光の幅を広げる機能と、リトローレンズ33から入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dへ送る光を平行光束にする機能とを担っている。リトローレンズ33は、フォーカシングレンズ32により光束の幅が広げられた入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dからの光を平行光束にしてグレーティング19へ送る機能と、グレーティング19から入出力ポートEおよび分岐挿入ポートA〜Dへ送る光束の幅を狭める機能と、グレーティング19からMEMS20への光をマイクロミラーアレイ25に集光させる機能と、マイクロミラーアレイ25からのグレーティング19へ送る光を平行光束にする機能とを担っている。
【0034】
入出力ポートEから入力した複数の波長光(信号光)は、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を通って、グレーティング19に照射されて、回折作用(分波)を受け、λ1〜λnの波長の光ごとに異なる方向に向かう。各波長の光は、リトローレンズ33を通って、MEMS20の波長ごとに対応するマイクロミラーで反射する。また、分岐挿入ポートA〜Dからの光λa’、λb’、λc’、λd’も、同様に、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を通って、グレーティング19に照射されて分波作用を受け各々の波長ごとに異なる方向に進む。波長λa、λb、λc、λdを含む各波長の光λ1〜λn、およびλa’λb’λc’λd’は、リトローレンズ33を通って、MEMS20の波長ごとに対応するマイクロミラーで反射する。MEMS20の各マイクロミラーで反射した各波長の光は、再び、リトローレンズ33を通って、平行光束となり、グレーティング19に照射される。各波長の光は、このグレーティングの合波作用を受けて、合波して、リトローレンズ33、フォーカッシングレンズ32、マイクロレンズ31を通って、入出力ポートEから出力される。
【0035】
ここで、入力ポートEからの光λa、λb、λc、λdを含むλ1〜λnの光と、入出力ポートA〜Dからの光λa’、λb’、λc’、λd’についてそれらがたどるルートを説明する。
【0036】
MEMS20のマイクロミラーアレイ25を構成する各マイクロミラーは、入射した光を各々の入出力ポートA〜Eのいずれかのポートに向かわせるように回転可能である。入出力ポートEから入力したλa、λb、λc、λdを含むλ1〜λnの光は、回折格子19で回折作用(分波作用)をうけて、波長ごとに異なる方向に回折され、リトローレンズ33を経て波長ごとにマイクロミラーに集光する。
【0037】
そして、図1、2に示すように、このうちの例えば波長λ4(=λc)の光は入出力ポートCに向かうよう、波長λ10(=λa)の光は入出力ポートAに向かうようにマイクロミラーの回転角度はミラードライバ26によって所定の角度に傾けられている。(図1、2では説明をわかりやすくするために、ポートAおよびポートCのみに向かう分岐波長光のみ図示しているが、実際には、ポートBおよびポートDにも所定の分岐波長光(λb、λd)が向かう。)
また、これ以外の波長の光は入出力ポートEに戻るように、ミラー面が入射光に対して垂直になるような回転角度を有する様、ミラードライバ26によって制御される。すなわちミラー面がX軸に平行になる(通常、この回転角度がミラーの初期状態となっている場合が多い)。
【0038】
この、ミラードライバ26からの、それぞれのマイクロミラーの回転角度制御情報を受けてレーザ制御装置40が波長可変レーザ41a〜41dの出力制御を行い、レーザ波長設定の制御を行う。
【0039】
波長λ4用のマイクロミラーで反射された波長λ4の光はポートCを出力してポートCの分岐ポートから出力される。また、波長λ10用のマイクロミラーで反射された波長λ10の光はポートAを出力してポートAの分岐ポートから出力される。
【0040】
また、光λ1〜λnのうちλ4、λ10(およびλb、λd)以外の波長の光は、それぞれマイクロミラーを反射してリトローレンズ33を経て回折格子19に入射し、回折格子で前記回折作用とは逆の回折作用(合波作用)を受けてポートEを出力して、ポートEの出力(express)ポートから出力される。
【0041】
一方、入出力ポートCから出力した波長λ4の信号光と同じ波長の光λ4’がポートCの挿入ポートに接続された波長可変レーザ41cから入力され、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を経て回折格子19に入射する。また、入出力ポートAから出力した波長λ10の信号光と同じ波長の光λ10’がポートAの挿入ポートに接続された波長可変レーザ41aから入力され、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を経て回折格子19に入射する。(また、ポートBにサーキュレータ50を介して接続した挿入ポートおよびポートDにサーキュレータ50を介して接続した挿入ポートに接続された波長可変レーザからの不図示の光(λb’、λd’)も入力され、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を経て回折格子19に入射する。)
λ4’、λ10’の光(およびλb’、λd’)は回折格子19により回折作用を受けて、それぞれ波長λ4’λ10’に対応する方向に回折され、λ4’、λ10’(およびλb’、λd’)用のマイクロミラーにそれぞれ入射する。λ4とλ4’、λ10とλ10’とは(およびλbとλb’、λdとλd’)同じ波長を有するので、各々の波長光が入出力ポートCから入力してマイクロミラーに至るまでの光路はすなわち、各々の波長の信号光がマイクロミラーを反射されて入出力ポートCに至るまでの光路を逆にたどったものに等しい。
【0042】
λ4’(λ4)に対応するマイクロミラーは波長λ4の光をポートEからポートCに向かわせるように、λ10’(λ10)に対応するマイクロミラーは波長λ10の光をポートEからポートCに向かわせるようにそれぞれ回転角度が設定されている。従って、λ4’(λ4)用のマイクロミラーを反射された光は、入出力ポートから入力した波長λ4が進んだ光路を逆にたどって進み、また、λ10’(λ10)用のマイクロミラーを反射された光は入出力ポートEをから入力したλ10が進んだ光路を逆にたどって進み、各々回折格子19の同一部分に入射する。回折格子に入射したλ4’、λ10’の光は回折格子19で前記回折作用とは逆の回折作用(合波作用)を受けて前述のλ1〜λnの光うちλ4、λ10以外の波長の光と合波されて、リトローレンズ33、フォーカシングレンズ32、マイクロレンズ31を経て入出力ポートEから出力され、更にサーキュレータ50を経て出力ポートから出力される。もちろん、λb’、λd’の光もλ4、λ10と同様に、λb’(λb)、λd’(λd)用のマイクロミラーを反射されて入出力ポートE、サーキュレータを経て出力ポートから出力される。
【0043】
ここで、例えば、ポートAにλ10が分岐されていたのを、λ7の波長を分岐するように変更する場合について、説明する。この場合、以下の1〜4の順で変更作業が行われる。
1.λ10およびλ7の光と、分岐挿入ポートAにサーキュレータ50を介して接続された挿入ポートの波長可変レーザからの光とがいずれのポートにも到達しないよう、光路を例えばλ10およびλ7の光路に配置した遮断手段等で遮断する(クロストーク防止のため)。
2.λ10およびλ7に対応するマイクロミラーの回転角度を各々、ポートEからポートE、ポートEからポートAに向かうようにミラードライバ26で設定する。
3.ミラードライバ26からの回転角度設定信号に基づいて、ポートAの挿入ポートに接続された波長可変レーザの波長をλ7に設定する。
4.1.の遮蔽手段を取り除く。
【0044】
以上のように、各々のポートを3つのポートを有するサーキュレータ50で構成することによって、入出力ポートおよび分岐挿入ポートからなるポート群、光学系30、回折格子19、マイクロミラーアレイ25とからなる1台の波長多重分光器のみで波長光のアドとドロップとを行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では、分岐および挿入する波長を1つの波長の光としたが、複数の波長の光を有する光信号を分岐および挿入する場合であっても同様の方法で実施できる。この場合には波長を複数選択できる波長可変レーザを用いることが好ましい。
【0046】
なお、本実施形態では入出力ポートが1つと分岐挿入ポートが4つある場合の実施例を示したが、もちろん、更に分岐挿入ポートを増やして、各分岐挿入ポートに対して光が向かうようにMEMSの角度制御を行うようにすれば、より多くの分岐挿入ポートを配置した構成とすることができる。
【0047】
また、本実施形態ではリトローレンズ33として、回折格子19に入射する光と射出する光とに共通の光学系を用いたが、入射側と射出側とでそれぞれ別の光学系を配置してもよい。
【0048】
以上、本実施形態では、1つのマイクロミラーで、入出力ポートEからの光のうちの所定の波長の光を波長ごとにそれぞれ異なる入出力ポートA〜Dへ向かわせて分岐することができるとともに、入出力ポートA〜Dから前記所定の波長を有する光を挿入できるので、入力ポートが1つで出力ポートが複数の光分岐挿入装置と出力ポートが複数で入力ポートが1つの光分岐挿入装置との2台の波長分割多重装置を組み合わせなくても、入出力ポートが1つで分岐挿入ポートが複数の光波長分岐/挿入装置10を構成することができる。すなわち、本実施形態の光波長分岐/挿入装置10は、グレーティング19、MEMS20、光学系30が、それぞれ1つずつで済み、装置の小型化を図ることができると共に、装置コストを抑えることができる。
【0049】
更に、波長分割多重装置1台を経た光の挿入損失は概ね3dBである。したがって、波長分割多重装置を2台経る従来の構成では、光の挿入損失は6dBとなる。これに対して、本実施形態では、波長分割多重装置を1台だけ用いればよいので、サーキュレータでの光の挿入損失1dBを加えたとしても、挿入損失を4dBに抑えることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、反射型グレーティング19を用いたが、この替わりに透過型グレーティングを用いてもよい。この場合、図1、2において、透過型グレーティングを基準として、各ポートが存在する側とは反対側にMEMS20が配置されることは言うまでもない。
【0051】
また、入出力ポートEから入力される光の波長、分岐挿入ポートから出力・入力される光の波長が、予め把握されており、しかも、入出力する光の各波長が変化しない場合には、各マイクロミラーの状態、および挿入ポートから入力される光の波長は固定しておいても不都合がないので、一旦、マイクロミラーの傾きを調整した後は、ミラードライバ26はなくてもよく、波長固定の光源を用いてもよいことはいうまでもない。
(第2の実施例)
次に、本発明に係る第二の実施形態としての光分岐挿入装置について、図3を用いて説明する。
【0052】
本実施例の光分岐挿入装置11においては、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33、および回折格子19の構成や機能は、第1の実施例と同様である。また、それぞれのポートを3本のポートを有するサーキュレータで構成することによって出力用と入力用のポートとを共用とし、各々のサーキュレータの分岐ポートと挿入ポートを使い分けて分岐挿入を行うという原理も同じである。
【0053】
第2の実施例では、第1実施例では1つの入出力ポートEで併用していた入力ポートと出力(express)ポートとを、複数の波長の光を入力し、挿入された信号のみを出力する出力用のポートと、出力(express)出力用のポートに分けるとともに、前記入出力用ポートと出力用ポートのそれぞれまたはどちらか一方にモニタを配置した。
【0054】
図3には、λ1〜λnの全ての波長光の光路を図示し、図4には、λ1〜λnの光のうち、λb(=λ10)、λc(=λ4)の光のみを図示している。
なお、図3、4では、簡易的に説明するために入出力ポートDからの入力光λ1〜λnの光のうちλ4の光がポートCに向かい、λ10の光がポートBに向かうように構成されているが、実際には、ポートAにも所定の波長の光λa(不図示)が分岐され、また所定の波長と同じ波長を有する光λa’(不図示)が挿入されている。
【0055】
図3に示すように、入出力ポートDからの入力光λ1〜λnの光を回折格子19に入射して回折作用(分波作用)を与え、波長ごとに異なる方向に向かわせて、波長ごとに配置したマイクロミラーに入射させる。λ1〜λnまでの波長の光のうち、分岐すべき所定の波長の光が、波長ごとに、分岐挿入ポートA〜Cのうちのいずれかのポートに向かうようミラードライバ26によってマイクロミラーの回転角度が設定され、該マイクロミラーを反射した各々の分岐すべき波長の光は、同じポートに向かう光同士は回折格子19で合波されて、分岐挿入ポートA〜Cの分岐ポートのいずれかから出力される。
【0056】
一方、λ1〜λnまでの波長の光のうち、分岐されない波長の光は、出力(express)ポートに向かうようミラードライバ26によってマイクロミラーの回転角度が設定され、該マイクロミラーを反射した各々の波長の光は、回折格子19で出力(express)ポートに向かう全ての波長の光が合波されて、出力(express)ポートから出力される。
【0057】
また、分岐挿入ポートA〜Cにサーキュレータを介して接続された各挿入ポートからは、各挿入ポートに接続された波長可変レーザから、各分岐ポートから出力された分岐信号と同じ波長の光を有する光が入力されて、実施例1と同様に各々の分岐信号の進む光路と逆の光路をたどって、回折格子19で全ての挿入信号が合波され、入出力ポートDを経て出力ポートEから出力される。
【0058】
出力(express)ポートおよび、入出力ポートDにサーキュレータ50を介して接続された出力(add)ポートEにはそれぞれ、タッパー50が配置され、各タッパーから分岐された信号が、それぞれモニタ51、モニタ52で検出される。ここで、出力(express)信号および出力(add)信号それぞれの光スペクトル(波長、波長強度等)がモニタされる。
【0059】
なお、実施例2では出力(express)信号と出力(add)信号との双方をモニタする例を示したが、もちろん、どちらか一方のみをモニタしてもよい。
また、各々の分岐挿入ポートに、それぞれ1つの波長の光を分岐する場合を説明したが、もちろん複数の波長を有する光を分岐してもよい。この場合は、波長可変レーザに、複数の波長を選択できるものを用いることが好ましい。
【0060】
上記のように、別々のポートから出力された出力(express)信号と出力(add)信号とは、後段に配置されたカプラ(合波器)60に入力して合波される。
以上、本実施形態でも、実施例1と同様に、1つのマイクロミラーで、入出力ポートEからの光のうち所定の波長の光を波長ごとにそれぞれ異なる入出力ポートA〜Dへ向かわせて分岐することができるとともに、入出力ポートA〜Dから前記所定の波長を有する光を挿入できるので、入力ポートが1つで出力ポートが複数の光分岐挿入装置と出力ポートが複数で入力ポートが1つの光分岐挿入装置との2台の波長分割多重装置を組み合わせなくても、入出力ポートが1つで分岐挿入ポートが複数の光波長分岐/挿入装置10を構成することができる。すなわち、本実施形態の光波長分岐/挿入装置10は、グレーティング19、MEMS20、光学系30が、それぞれ1つずつで済み、装置の小型化を図ることができると共に、装置コストを抑えることができる。
【0061】
更に、出力(express)信号と出力(add)信号とを分けて出力するように構成することによって、入力ポートから入力して、分岐挿入ポートに分岐されなかった光信号すなわち出力(express)信号のみ、または、分岐挿入ポートから入力される信号すなわち出力(add)信号のみ、あるいはその両方をそれぞれ独立して各々の信号のスペクトルや光強度をモニタすることができ、モニタ結果を光学系の調整や、マイクロミラーや波長可変レーザ等の制御のために、或いはアッテネータ等にフィードバックをかけることが可能となる。
(第3実施例)
図5〜7は第3の実施例における光分岐挿入装置12の光学系の概要を示す図である。本実施形態においても、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33、および回折格子19の構成や機能は、第1の実施例と同様である。
【0062】
第3の実施例においては、各ポートにはサーキュレータが接続されておらず、各ポートが入力、出力、分岐、挿入のみを行うように構成される。
入力ポートからのλ1〜λnの光のうち、図5には出力ポートに出力される光の光路、図6には、分岐ポートA、Bに出力される光の光路を示した。また、図7には挿入ポートA、Bから挿入され、出力ポートに向かう光の光路を示した。
【0063】
図5、6において、波長λ1〜λnの光を有する入力ポートからの入力光は、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を通って、回折素子19に照射されて回折作用を受け、λ1,λ2,λ3,…、λnの光に分波される。各波長の光は、リトローレンズ33を通って、MEMS20の波長ごとに対応するマイクロミラーで反射される。MEMS20のマイクロミラーは各波長の光ごとに配置され、各波長の光はそれぞれ該マイクロミラーの回転角度(チルト状態)に応じて所望のポートに向かうように構成されている。該マイクロミラーを反射された光は、分岐ポートA、B、出力ポートのいずれかのポートから出力される。図5では入力された光λ1〜λn(λ13)のうち、λ4およびλ10以外の信号光が出力ポートに向かい、図6に示すように、λa(=λ4)の信号光は分岐ポートAから分岐され、λb(=λ10)の信号光は分岐ポートBから分岐される。具体的には、各マイクロミラーの回転角度に応じて各々のマイクロミラーを反射した光は、再び、リトローレンズ33を通って、平行光束となり、グレーティング19に照射される。各波長の光は、同じポートに向かう光どうしがこのグレーティングの合波作用を受けて合波し、リトローレンズ33、フォーカッシングレンズ32、マイクロレンズ31を通って、出力ポートおよび分岐ポートA、Bとのうちのいずれかのポートから出力される。
【0064】
また図7に示すように、挿入ポートAからの光λa’(=λ4’)、挿入ポートBからの光λb’(=λ10’)も、以上と同様に、マイクロレンズ31、フォーカシングレンズ32、リトローレンズ33を通って、グレーティング19に照射されて、分波作用を受ける(波長に応じて異なる方向に向かう)。前記各波長の光は、リトローレンズ33を通って、MEMS20の各波長光に対応するマイクロミラーで反射され、再び、リトローレンズ33を通って、平行光束となり、グレーティング19に照射される。各波長の光は、同じポートに向かう光どうしがこのグレーティングの合波作用を受けて合波し、出力ポートから出力される。
【0065】
ここで、入力ポートからの光λ1〜λnと、挿入ポート12からの光λ4’,λ10’について、MEMS20の波長ごとに対応するマイクロミラーで反射した以降のルートについて説明する。
【0066】
図5〜7に示すように、MEMS20のマイクロミラーアレイ25を構成する各マイクロミラーは、第1チルト状態と第2チルト状態および第3チルト状態の3つのチルト状態をとることができる。 図5に示すように、入力ポートからの光λ1〜λn用のマイクロミラーアレイ25のうち、第1チルト状態のミラーを反射した波長光は、全て出力ポートに向う方向に反射される。
【0067】
また、図6に示すように、入力ポートからの光λ1〜λn用のマイクロミラーアレイ25のうち、第2チルト状態のミラー(λ4用ミラー)を反射した波長光は、分岐ポートAに向う方向に反射される。また、図7に示すように、挿入ポートAから入力して第2チルト状態のミラーに入射した波長光は出力ポートに向かう方向に反射される。
【0068】
また、図6に示すように、入力ポートからの光λ1〜λn用の各マイクロミラーのうち、第3チルト状態のミラー(λ10用ミラー)を反射した波長光は、分岐ポートBに向かう方向に反射される。また、図7に示すように、挿入ポートBから出力して第3チルト状態にミラーに入射した波長光は出力ポートに向かう方向に反射される。
【0069】
すなわち第1チルト状態にあるマイクロミラーは、対応する波長光を入力ポートから出力ポートに向かわせる役割を有し、第2チルト状態にあるマイクロミラーは、対応する波長光のうち入力ポートから来た光を分岐ポートAに向かわせるとともに挿入ポートAから来た光を出力ポートに向かわせる役割を有し、第3チルト状態にあるマイクロミラーは、対応する波長光のうち入力ポートから来た光を分岐ポートBに向かわせるとともに挿入ポートBから来た光を出力ポートに向かわせる役割を有する。
【0070】
この状態について、挿入ポートA、Bの配置の観点から言及すると、入力ポートからの波長光を分岐ポートAに向わせる第2チルト状態のときに、挿入ポートAからの波長光が出力ポートに向うような位置に挿入ポートAが配置され、入力ポートからの波長光を分岐ポートBに向わせる第3チルト状態のときに、挿入ポートBからの波長光が出力ポートに向うような位置に挿入ポートBが配置されていることになる。
【0071】
ここで、図8(a)〜(c)を用いて、第3チルト状態、および該第3チルト状態に対する第1および第2チルト状態のマイクロミラーの角度、マイクロミラーに対する各ポートの存在方向について、具体的に説明する。入射角は垂線P基準とし、時計回りを(+)方向、反時計回りを(-)方向とする。
【0072】
まず、第1チルト状態について図8(a)を用いて説明する。入力ポートからの光は、仮に、第1チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して-θ( = -30°)の角度でマイクロミラーMに入射するとする。このとき、入力ポートからの光は分岐ポートBに向かうので、分岐ポートBは第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して+θ( = +30°)の方向に存在することになる。
【0073】
このチルト状態で、挿入ポートBからの光は、仮に、第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して-η( = -10°)の角度でマイクロミラーMに入射するとする。このとき、入射ポートからの光は出力ポートに向かうので、出力ポートは第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して+η( = +10°)の方向に存在することになる。
【0074】
また、挿入ポートAからの光は、仮に、第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して-φ( = -20°)の角度でマイクロミラーMに入射するとし、分岐ポートAが第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに対して+φ( = +20°)の角度の方向に存在するとする。
【0075】
次に、第2チルト状態について図8(b)を用いて説明する。この状態は、入力ポートからの光を分岐ポートAに向かわせるとともに、挿入ポートAからの光を出力ポートに向かわせる状態である。
【0076】
このとき、挿入ポートAと出力ポートとの位置関係が第2チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに関して対称となるように配置される。両ポート間の角度はφ+η( = 30°)であるので、第2チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pからの各々のポートの角度は(φ+η)/2( = 15°)となる。また、チルト角度は、-(φ-η)/2( = 5°)となる。
【0077】
一方、入力ポートと分岐ポートAとの位置関係も第2チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに関して対称となるように配置される。この場合、両ポート間の角度はθ+φ( =50°)であるので、第2チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pと各々のポートの角度は(θ+φ)/2( = 25°)となる。また、チルト角度は、-(θ-φ)/2( = 5°)となる。ここで、チルト角度を表す2つの関係式において、もちろん、φ-ηとθ-φとは等価である必要がある。すなわち、入力ポートから入射する光と挿入ポートAから入射する光とが形成する角度(分岐ポートBに反射される光と分岐ポートAに反射される光とが形成する角度)、および挿入ポートAから入射する光と挿入ポートBから入射する光とが形成する角度(分岐ポートAに反射される光と出力ポートに反射される光とが形成する角度)とを等しく構成することによって、本実施例を実現することが可能となる。
【0078】
次に、第3チルト状態について、図8(c)を用いて説明する。この状態は、入力ポートからの光を出力ポートに向かわせる状態である。
このとき、入力ポートと出力ポートとの位置関係が第3チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pに関して対称となるように配置される。この場合、両ポート間の角度はθ+η( = 40°)であるので、第1チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pと各々のポートの角度は(θ+η)/2( = 20°)となる。また、チルト角度は、-(θ-η)/2( = -10°)となる。
【0079】
ここで、入力ポートから入射する光と挿入ポートAから入射する光とが形成する角度(分岐ポートBに反射される光と分岐ポートAに反射される光とが形成する角度)と、挿入ポートAから入射する光と挿入ポートBから入射する光とが形成する角度(分岐ポートAに反射される光と出力ポートに反射される光とが形成する角度)とは全て等しいので、この角度をΔεとすると、第2チルト状態、第1チルト状態のミラーMの角度は、それぞれ、(±)Δε/2、(±)Δε/2×2( =Δε)で表すことができる。
【0080】
このように、全てのマイクロミラーが同一平面を形成するような状態、すなわち前記ミラーエレメントのミラー面が前記ポートの並び方向に対して平行になる状態(実施形態では第3チルト状態)、でのマイクロミラーMの垂線Pに関して、入射する各々の光と反射する各々の光とが対称になるように光が入力および出力するような位置に、各ポートを配置すること、また、入力ポートから入射する光、挿入ポートAから入射する光、挿入ポートBから入射する光の互いに隣接するポートからミラーMに入射する光の角度、およびミラーMを反射されてそれぞれ互いに隣接するポートに向かう光に向かう光同士の角度をと全て等しくすることによって本実施例を実現可能に構成することができる。
【0081】
ここで、第1チルト状態のマイクロミラーMの垂線Pにする挿入ポートBおよび出力ポートの角度ηは、必ずしもΔεに設定する必要はない。が、角度ηをΔεとし、隣接する全てのポート同士の間隔を同じに設定することによってポートの配置をよりコンパクトにできる。
【0082】
以上のように、第3チルト状態に対する第1チルト状態のマイクロミラーMの角度および第2チルト状態のマイクロミラーMの角度と、マイクロミラーMに対する各ポートの存在方向を定めることで、前述したように、1つのマイクロミラーMで、第3チルト状態では、入力ポートからの光を分岐ポートBに向かわせると同時に、挿入ポートBからの光を出力ポートに向かわせることができ、第2チルト状態では、入力ポートからの光を分岐ポートAに向かわせると同時に、挿入ポートAからの光を出力ポートに向かわせることができる。また、第1チルト状態では、入力ポートからの光を出力ポートに向かわせることができる。
【0083】
ところで、本実施形態は、前述したように、入力ポートからλ1〜λnの波長を含む光を入射し、挿入ポートAからλ4’の光を入射し、挿入ポートBからλ10’の光を入射し、出力ポートからλ1〜λn(このうちλ4はλ4’に、λ10はλ10’に変換されている)の光を出力し、分岐ポートAからλ4の光をまた、分岐ポートBからλ10の光を出力するものである。このため、本実施形態では、回折格子19により回折作用を受けて分波された入力ポートから各波長の光λ1〜λnに対して、図6、7に示すように、λ4用マイクロミラーを第2チルト状態にし、λ10用マイクロミラーを第1チルト状態にし、それ以外の波長用のマイクロミラーを第3チルト状態にする。この結果、回折格子19により分波された入力ポートからの光λ4は、第2チルト状態のマイクロミラーで反射された後、回折格子19により前記回折作用とは逆の作用(合波作用)を受けて、分岐ポートAから出力される。また、回折格子19により同回折作用を受けた入力ポートからの光λ10は、第1チルト状態のマイクロミラーで反射された後、回折格子19により同合波作用を受けて、分岐ポートBに入射する。また、回折格子19により分波された入力ポートからのλ4およびλ10以外の波長光は第3チルト状態のマイクロミラーで反射された後、挿入ポートAから入力されたλ4’は前記第2チルト状態のマイクロミラーで反射された後、また、挿入ポートBから入力されたλ10’は前記第1チルト状態のマイクロミラーで反射された後に、グレーティング19により合波されて、出力ポートに入射する。
【0084】
本実施例では、分岐ポートA、B、および挿入ポートA、Bのそれぞれ2つのポートがある場合について説明したが、分岐ポートおよび挿入ポートの数は各ポートのピッチおよびミラーの角度可変範囲の許す範囲で任意に設定が可能である。このように、挿入ポートおよび分岐ポートをそれぞれ2つ以上配置する場合でも、ポートの配置を以下の1〜3の条件を満たすことによって本発明を実施することができる。
1.全てのマイクロミラーが同一平面内にあるように設定された状態、すなわち前記ミラーエレメントのミラー面が前記ポートの並び方向に対して平行になる状態(実施形態では第3チルト状態)でのマイクロミラーMの垂線Pに関して、入射する光と射出する光とが対称になるように各ポートを配置する。
2.入力ポートおよび複数の挿入ポートからミラーMに入射される光のうちの互いに隣接する光どうしが形成する角度と、出力ポートおよび複数の分岐ポートに向かうようにミラーMを反射される光のうちの互いに隣接する光どうしが形成する角度とが全て等しくなるように各ポートを配置する。
3.ミラーMに入射する入力ポートからの光とミラーMを反射する出力ポートへの光とが形成する角度と、およびミラーMに入射する複数の挿入ポートからの光と対応して配置された各々の分岐ポートにむかってミラーMを反射する光とが形成する角度各々の角度とが全て等しくなるように各ポートを配置する。
【0085】
また、この場合ミラーMは、1に記載した状態を基準として、チルト角度のピッチが(±)Δε/2°で、段階数が、入力ポート+挿入ポート数−1(または出力ポート+分岐ポート数−1)段階で可変になるように駆動させる。
【0086】
以上、本実施形態では、1つのマイクロミラーで、入力ポートからの異なる波長光をそれぞれ異なる出力ポート、および複数の分岐ポートへ向わせることができるので、例えば、入力ポートが1つで出力ポートが複数の光分岐挿入装置と入力ポートが複数で出力ポートが1つの2つの光分岐挿入装置とを組み合わせなくても、入力ポート1つで1つの出力ポートと複数の分岐ポートとを有する光波長分岐/挿入装置12を構成することができる。すなわち、本実施形態の光波長分岐/挿入装置12は、グレーティング19、MEMS20、光学系30が、それぞれ1つずつで済み、装置の小型化を図ることができると共に、装置コストを抑えることができる。更に、本実施形態では、サーキュレータを用いないので、信号光の挿入損失を、波長分割多重装置起因するもののみ(約3dB)に抑えることができる。
【0087】
なお、以上では、入力ポートからλ1〜λnの波長のうち、波長λ4及びλ10の光をそれぞれ分岐ポートAおよび分岐ポートBから分岐しているが、各々の分岐ポートに複数の波長の光を分岐することが可能であることはいうまでもない。この場合、対応する挿入ポートに接続された波長可変レーザには複数の波長の光を出力できるものであることが好ましい。
【0088】
また、本実施形態では、反射型回折格子19を用いたが、この替わりに透過型グレーティングを用いてもよい。この場合、図5〜7において、透過型グレーティングを基準として、各ポートが存在する側とは反対側にMEMS20が配置されることは言うまでもない。
【0089】
また、入力ポートから入力される光の波長、各挿入ポートから入力される光の波長、出力ポートから出力される光の波長、各分岐ポートから出力される光の波長が、予め把握されており、しかも、入出力する光の各波長が変化しない場合には、各マイクロミラーの状態を固定しておいても不都合がないので、一旦、マイクロミラーの傾きを調整した後は、ミラードライバ26はなくてもよい。また、各挿入ポートに配置された光源は波長固定のものを使用すればよい。
【0090】
以上のように、本実施形態においても、光分岐挿入装置10を1台用いて、光波長交換装置12を構成したので、小型化及び低コスト化を図ることができる。
(第4実施例)
次に、本発明に係る第4実施形態である、光波長交換装置について、図9を用いて説明する。本実施例の光波長交換装置は、前述の第1実施例〜第3実施例に記載の光分岐挿入装置を2台つなげて図11に示すような光波長交換装置を構成するものである。
【0091】
図9には2台の波長分割多重装置について、それぞれの同じ波長用に設けられた分岐ポートと挿入ポートとが接続されている。2つの波長分割多重装置は、例えば、第1実施例の構成を有している。また、ポートの数は、本実施例では、それぞれ入出力ポート1つ、分岐挿入ポート1つの構成である。
【0092】
波長分割多重装置1の入出力ポートから入射したλ1〜λnの信号光は、回折格子19に入射して回折作用を受け、波長ごとに異なる方向に分波される。分波した波長ごとの光は波長ごとに各々配置されたマイクロミラー25のミラーで分岐挿入ポートまたは前記入出力ポートのどちらかに方向付けられる。このうち、分岐挿入ポートに向かう光(図9ではλ4、λ10)は、分岐挿入ポートから分岐されて分岐挿入ポートに接続されたサーキュレータ50を介して波長分割多重装置2の挿入ポートから入力し、サーキュレータ50を介して波長分割多重装置2の分岐挿入ポートから波長分割多重装置2に挿入される。
【0093】
一方、波長分割多重装置2の入出力ポートλ1’〜λn’の信号光は、回折格子19に入射して回折作用を受け、波長ごとに異なる方向に分波される。分波した波長ごとの光は、波長ごとに各々配置されたマイクロミラー25のミラーで分岐挿入ポートまたは前記出力ポートのどちらかに方向付けられる。このうち分岐挿入ポートに向かう光(λ4’、λ10’)は、分岐挿入ポートから分岐されて分岐挿入ポートに接続されたサーキュレータ50を介して波長分割多重装置1の挿入ポートから入力し、サーキュレータ50を介して波長分割多重装置1の分岐挿入ポートから波長分割多重装置1に挿入される。
【0094】
波長分割多重装置1に入力した光のうち、λ4およびλ10以外の信号光はマイクロミラー25のミラーによって波長分割多重装置1の入出力ポートに向かうよう方向づけられ、また、挿入ポートから入力したλ4’およびλ10’も、前記λ4およびλ10が進んだ光路を逆進してλ4およびλ10用のミラーを反射されて入出力ポートに向かうよう方向づけられている。同じポート向かうよう方向づけられた各信号光は回折格子19で今度は合波作用を受け波長分割多重装置1の入出力ポートから出力される。
【0095】
また、波長分割多重装置2に入力した光のうち、λ4’およびλ10’以外の信号光はマイクロミラー25のミラーによって波長分割多重装置2の入出力ポートに向かうよう方向づけられ、また、挿入ポートから入力したλ4およびλ10も、前記λ4’およびλ10’が進んだ光路を逆進してλ4’およびλ10’用のミラーを反射されて入出力ポートに向かうよう方向づけられている。同じポート向かうよう方向づけられた各信号光は回折格子19で今度は合波作用を受け波長分割多重装置2の入出力ポートから出力される。
【0096】
このように、波長分割多重装置1および2で、交換すべき任意の波長用のミラーの回転角度(チルト方向)を入射光が分岐挿入ポートに向かうように設定することによって、任意の波長を交換することができる光波長交換装置を構成することができる。
【0097】
本実施例では、本発明の実施例1の光分岐挿入装置を2台つなげたが、本発明はこれにとらわれず、実施例2および実施例3の光分岐挿入装置を2台つなげる構成としてもよい。
【0098】
これらは、装置1の分岐ポートと装置2の挿入ポートとを、また装置1の挿入ポートと装置2の分岐ポートとを接続することによって実現できる。また、本実施形態では、波長交換のポートを設け、このポートに交換すべき全ての波長の信号光を導くよう波長ごとにミラーの回転角度(チルト角度)を調整すればよいので、特に必要のない限り、分岐挿入ポートは1つ(第3実施形態の場合は1組)配置すればよい。
以上、本実施形態では、第1実施例から第3実施形態に記載した光分岐挿入装置を2台つなげて配置することによって、複数の波長を有する2組の信号光のうち任意の波長のみを交換する光波長交換装置を構成することができるので、入力ポートが1つで出力ポートが複数の光分岐挿入装置と出力ポートが複数で入力ポートが1つの光分岐挿入装置との2台の波長分割多重装置を組み合わせを2組用いなくても、入出力ポートが2つで分岐挿入ポートがそれぞれ1つづつの光波長交換装置を構成することができる。すなわち、本実施形態の光波長分岐/挿入装置10は、グレーティング19、MEMS20、光学系30が、それぞれ2つずつで済み、装置の小型化を図ることができると共に、装置コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る第一の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る第一の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の光路図で、分岐挿入ポートに向かう入力ポートからの光、および出力ポートに向かう分岐挿入ポートからの光の光路図である。
【図3】本発明に係る第二の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の構成を示す説明図である。
【図4】本発明に係る第二の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の光路図で、分岐挿入ポートに向かう入力ポートからの光、および出力ポートに向かう分岐挿入ポートからの光の光路図である。
【図5】本発明に係る第三の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の光路図で、入力ポートから出力ポートに向かう光の光路図である。
【図6】本発明に係る第三の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の光路図で、入力ポートから分岐ポートに向かう光の光路図である。
【図7】本発明に係る第三の実施形態としての光波長分岐/挿入装置の光路図で、分岐ポートから出力ポートに向かう光の光路図である。
【図8】本発明に係る第三の実施形態としてのマイクロミラーアレイを構成する各マイクロミラーの傾きと、各ポートからの光の光路を示す説明図である。
【図9】本発明に係る第四の実施形態としての光波長交換装置の光路図で、2台の波長分割多重装置間のポート間の光路図である。
【図10】光波長分岐挿入装置の各波長の光のルートを示す説明図である。
【図11】光波長交換装置の各波長の光のルートを示す説明図である。
【符号の説明】
【0100】
10:光分岐/挿入装置、19:グレーティング、20:MEMS、25:マイクロミラーアレイ、26:ミラードライバ、30:光学系、40:レーザ制御装置、41a〜41d:波長可変レーザ、50:サーキュレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの入出力ポートと、
少なくとも1つの分岐挿入ポートと、
入射光を波長毎に分波する分波作用及び複数の波長の光を合波する合波作用を有する合分波光学系と、
複数のミラーを有し、前記合分波光学系で複数の波長に分波されたそれぞれの光を所望の方向へ向かわせるミラーエレメントと、
前記入出力ポートおよび前記分岐挿入ポートから入力された光を前記合分波光学系へ導くとともに前記合分波光学系で分波された波長ごとにそれぞれ前記ミラーエレメントに集光させ、前記ミラーエレメントを経たそれぞれの光を前記合分波光学系を介して前記入出力ポートおよび前記分岐挿入ポートのいずれかに集光させる光学系と、
前記ミラーエレメントの複数のミラーの向きを独立して変えることにより、少なくとも前記分岐挿入ポートから入力された所定の波長の光を前記入出力ポートから出力させ、前記入出力ポートから入力された前記所定の波長の光を前記分岐挿入ポートから出力させるミラー駆動手段と、
を備えたことを特徴とする光分岐挿入装置。
【請求項2】
前記入出力ポートと前記分岐挿入ポートとは前記合分波光学系の波長分散方向と同じ方向に1列に並んでいることを特徴とする請求項1に記載の光分岐挿入装置。
【請求項3】
前記分岐挿入ポートは、前記前記分岐挿入ポートから出力された光を出力させる分岐ポートと、前記分岐挿入ポートを介して前記分岐挿入ポートから出力された光と同じ波長の光を入力させる挿入ポートとに、サーキュレータを介して連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光分岐挿入装置。
【請求項4】
前記入出力ポートは、
前記複数の波長の光を入力する入力ポートと、前記複数の波長の光のうちの一部の波長の光が交換された光を出力する出力ポートとに、サーキュレータを介して連結されている ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置。
【請求項5】
前記入出力ポートは、前記複数の波長の光を有する光を入力するとともに、前記分岐挿入ポートから入力された光のみを出力し、
前記複数の波長の光のうち分岐挿入ポートに向かわない波長の光のみを出力する出力ポートと、
前記出力ポートと前記入出力ポートとに接続され、前記入出力ポートからの光と前記出力ポートからの光とを結合する結合器と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置。
【請求項6】
前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数の前記ミラーのそれぞれを複数のチルト状態に切替可能で、
前記複数のチルト状態は、所定の入出力ポートから入力した光を前記入出力ポートに向かわせるか、
或いは前記分岐挿入ポートの任意の1つに向かわせるとともに、前記分岐挿入ポートからの光を前記入出力ポートに向かわせることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置。
【請求項7】
少なくとも1つの入力ポートと、
少なくとも1つの分岐ポートと、
少なくとも1つの挿入ポートと、
少なくとも1つの出力ポートと、
入射光を波長毎に分波する分波作用及び複数の波長の光を合波する合波作用を有する合分波光学系と、
複数のミラーを有し、前記合分波光学系で複数の波長に分波されたそれぞれの光を所望の方向へ向かわせるミラーエレメントと、
前記入力ポートおよび前記挿入ポートから入力された光を前記合分波光学系へ導くとともに前記合分波光学系で分波された波長毎にそれぞれ前記ミラーエレメントに集光させ、前記ミラーエレメントを経たそれぞれの光を前記合分波光学系を介して前記出力ポートおよび前記分岐ポートのいずれかに集光させる光学系と、
前記ミラーエレメントの複数のミラーの向きを独立して変えることにより、少なくとも前記挿入ポートから入力された所定の波長の光を前記入出力ポートから出力させ、前記入力ポートから入力された所定の波長の光を前記分岐ポートから出力させるミラー駆動手段を備えたことを特徴とする光分岐挿入装置。
【請求項8】
前記入出力ポートと前記分岐挿入ポートとは前記合分波光学系の波長分散方向と同じ方向に1列に並んでいることを特徴とする請求項7に記載の光分岐挿入装置。
【請求項9】
前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数の前記ミラーのそれぞれを複数のチルト状態に切替可能で、
前記複数のチルト状態は、入力ポートから入力した光を前記出力ポートに向かわせるか、或いは前記挿入ポートの任意の1つに向かわせることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の光分岐挿入装置。
【請求項10】
前記入力ポート、前記挿入ポート、前記出力ポートおよび前記分岐ポートは、前記ミラーエレメントのミラーに入射する前記入力ポートからの光と前記出力ポートに向かうように前記ミラーを反射される光とがなす角度、および前記ミラーエレメントのミラーに入射する複数の挿入ポートの各々からの光と前記複数の挿入ポートの各々に対応して配置される分岐ポートのそれぞれに向かうように前記ミラーを反射される各々光とがなす角度が全て等しくなるように、且つ、全ての入力ポートと挿入ポートから前記ミラーエレメントに入射した場合に該入射した光のうち隣接する光どうしが形成する角度がすべて等しくなるように配置されることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置。
【請求項11】
前記ミラーエレメントに入射する入力ポートおよび挿入ポートからの光のうち隣接する光どうしの角度をΔεとしたとき、前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数のミラーのそれぞれをチルト角度のピッチが(±)Δε/2°で、切換段階数が入力ポート数+挿入ポート数−1(または出力ポート数+分岐ポート数−1)段階となるように切り替え可能であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置。
【請求項12】
入力ポートから入力された複数の波長の信号光を分波し、波長に応じて異なる角度で射出する波長分散手段と、
複数のミラーを有し、前記分散手段で波長ごとに分散された複数の信号光のそれぞれを各ミラーで反射して、波長ごとに所望の方向に反射させる反射手段と、
前記反射手段を反射された信号光のうち所定の信号光を分岐する1以上の分岐ポートと、
前記分岐ポートから分岐された前記所定の信号光と同じ波長を有する光を入力させる1以上の挿入ポートと、
前記挿入ポートから挿入され、前記波長分散手段と前記反射手段とを経て前記波長分散手段に再度入射する光と、前記反射手段で反射された信号光のうち前記分岐ポートに向かわない信号光とを、前記波長分散手段を介して合波して出力させる出力ポートとを有することを特徴とする光分岐挿入装置。
【請求項13】
入力ポートから複数の波長の光を入力する第1の工程と、
挿入ポートから少なくとも1つの波長の光を入力する第2の工程と、
前記入力ポートと前記挿入ポートから入力された光を波長分散手段に入射させて波長ごとに異なる角度で射出する第3の工程と、
前記波長分散手段を経た光を波長ごとに設けられた偏向手段に入射して、前記挿入ポートから入力された所定の波長の光を出力ポートに向かわせるとともに、前記入力ポートから入力された複数の波長のうち、少なくとも前記所定の波長の光を分岐ポートに向かわせ、前記分岐ポートに向かわない光を前記出力ポートに向かわせる第4の工程と、
前記偏向手段を経た光を入射して前記偏向手段で同じポートに向かう光どうしを合波する第5の工程とを備えることを特徴とする光分岐挿入方法。
【請求項1】
少なくとも1つの入出力ポートと、
少なくとも1つの分岐挿入ポートと、
入射光を波長毎に分波する分波作用及び複数の波長の光を合波する合波作用を有する合分波光学系と、
複数のミラーを有し、前記合分波光学系で複数の波長に分波されたそれぞれの光を所望の方向へ向かわせるミラーエレメントと、
前記入出力ポートおよび前記分岐挿入ポートから入力された光を前記合分波光学系へ導くとともに前記合分波光学系で分波された波長ごとにそれぞれ前記ミラーエレメントに集光させ、前記ミラーエレメントを経たそれぞれの光を前記合分波光学系を介して前記入出力ポートおよび前記分岐挿入ポートのいずれかに集光させる光学系と、
前記ミラーエレメントの複数のミラーの向きを独立して変えることにより、少なくとも前記分岐挿入ポートから入力された所定の波長の光を前記入出力ポートから出力させ、前記入出力ポートから入力された前記所定の波長の光を前記分岐挿入ポートから出力させるミラー駆動手段と、
を備えたことを特徴とする光分岐挿入装置。
【請求項2】
前記入出力ポートと前記分岐挿入ポートとは前記合分波光学系の波長分散方向と同じ方向に1列に並んでいることを特徴とする請求項1に記載の光分岐挿入装置。
【請求項3】
前記分岐挿入ポートは、前記前記分岐挿入ポートから出力された光を出力させる分岐ポートと、前記分岐挿入ポートを介して前記分岐挿入ポートから出力された光と同じ波長の光を入力させる挿入ポートとに、サーキュレータを介して連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光分岐挿入装置。
【請求項4】
前記入出力ポートは、
前記複数の波長の光を入力する入力ポートと、前記複数の波長の光のうちの一部の波長の光が交換された光を出力する出力ポートとに、サーキュレータを介して連結されている ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置。
【請求項5】
前記入出力ポートは、前記複数の波長の光を有する光を入力するとともに、前記分岐挿入ポートから入力された光のみを出力し、
前記複数の波長の光のうち分岐挿入ポートに向かわない波長の光のみを出力する出力ポートと、
前記出力ポートと前記入出力ポートとに接続され、前記入出力ポートからの光と前記出力ポートからの光とを結合する結合器と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置。
【請求項6】
前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数の前記ミラーのそれぞれを複数のチルト状態に切替可能で、
前記複数のチルト状態は、所定の入出力ポートから入力した光を前記入出力ポートに向かわせるか、
或いは前記分岐挿入ポートの任意の1つに向かわせるとともに、前記分岐挿入ポートからの光を前記入出力ポートに向かわせることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置。
【請求項7】
少なくとも1つの入力ポートと、
少なくとも1つの分岐ポートと、
少なくとも1つの挿入ポートと、
少なくとも1つの出力ポートと、
入射光を波長毎に分波する分波作用及び複数の波長の光を合波する合波作用を有する合分波光学系と、
複数のミラーを有し、前記合分波光学系で複数の波長に分波されたそれぞれの光を所望の方向へ向かわせるミラーエレメントと、
前記入力ポートおよび前記挿入ポートから入力された光を前記合分波光学系へ導くとともに前記合分波光学系で分波された波長毎にそれぞれ前記ミラーエレメントに集光させ、前記ミラーエレメントを経たそれぞれの光を前記合分波光学系を介して前記出力ポートおよび前記分岐ポートのいずれかに集光させる光学系と、
前記ミラーエレメントの複数のミラーの向きを独立して変えることにより、少なくとも前記挿入ポートから入力された所定の波長の光を前記入出力ポートから出力させ、前記入力ポートから入力された所定の波長の光を前記分岐ポートから出力させるミラー駆動手段を備えたことを特徴とする光分岐挿入装置。
【請求項8】
前記入出力ポートと前記分岐挿入ポートとは前記合分波光学系の波長分散方向と同じ方向に1列に並んでいることを特徴とする請求項7に記載の光分岐挿入装置。
【請求項9】
前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数の前記ミラーのそれぞれを複数のチルト状態に切替可能で、
前記複数のチルト状態は、入力ポートから入力した光を前記出力ポートに向かわせるか、或いは前記挿入ポートの任意の1つに向かわせることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の光分岐挿入装置。
【請求項10】
前記入力ポート、前記挿入ポート、前記出力ポートおよび前記分岐ポートは、前記ミラーエレメントのミラーに入射する前記入力ポートからの光と前記出力ポートに向かうように前記ミラーを反射される光とがなす角度、および前記ミラーエレメントのミラーに入射する複数の挿入ポートの各々からの光と前記複数の挿入ポートの各々に対応して配置される分岐ポートのそれぞれに向かうように前記ミラーを反射される各々光とがなす角度が全て等しくなるように、且つ、全ての入力ポートと挿入ポートから前記ミラーエレメントに入射した場合に該入射した光のうち隣接する光どうしが形成する角度がすべて等しくなるように配置されることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置。
【請求項11】
前記ミラーエレメントに入射する入力ポートおよび挿入ポートからの光のうち隣接する光どうしの角度をΔεとしたとき、前記ミラー駆動手段は、前記ミラーエレメントの複数のミラーのそれぞれをチルト角度のピッチが(±)Δε/2°で、切換段階数が入力ポート数+挿入ポート数−1(または出力ポート数+分岐ポート数−1)段階となるように切り替え可能であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の光分岐挿入装置。
【請求項12】
入力ポートから入力された複数の波長の信号光を分波し、波長に応じて異なる角度で射出する波長分散手段と、
複数のミラーを有し、前記分散手段で波長ごとに分散された複数の信号光のそれぞれを各ミラーで反射して、波長ごとに所望の方向に反射させる反射手段と、
前記反射手段を反射された信号光のうち所定の信号光を分岐する1以上の分岐ポートと、
前記分岐ポートから分岐された前記所定の信号光と同じ波長を有する光を入力させる1以上の挿入ポートと、
前記挿入ポートから挿入され、前記波長分散手段と前記反射手段とを経て前記波長分散手段に再度入射する光と、前記反射手段で反射された信号光のうち前記分岐ポートに向かわない信号光とを、前記波長分散手段を介して合波して出力させる出力ポートとを有することを特徴とする光分岐挿入装置。
【請求項13】
入力ポートから複数の波長の光を入力する第1の工程と、
挿入ポートから少なくとも1つの波長の光を入力する第2の工程と、
前記入力ポートと前記挿入ポートから入力された光を波長分散手段に入射させて波長ごとに異なる角度で射出する第3の工程と、
前記波長分散手段を経た光を波長ごとに設けられた偏向手段に入射して、前記挿入ポートから入力された所定の波長の光を出力ポートに向かわせるとともに、前記入力ポートから入力された複数の波長のうち、少なくとも前記所定の波長の光を分岐ポートに向かわせ、前記分岐ポートに向かわない光を前記出力ポートに向かわせる第4の工程と、
前記偏向手段を経た光を入射して前記偏向手段で同じポートに向かう光どうしを合波する第5の工程とを備えることを特徴とする光分岐挿入方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−30854(P2006−30854A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212973(P2004−212973)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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