説明

光半導体装置用リードフレーム、光半導体装置用リードフレームの製造方法、および光半導体装置

【課題】紫外域から近赤外域における反射率が良好で、かつワイヤボンディング性が良好であり、耐食性に優れるリードフレームおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】リードフレームは、導電性基体上にロジウムまたはロジウム合金からなる反射層の上層に、金またはパラジウムまたは白金またはこれらの合金のいずれかで形成された最表層を少なくともワイヤボンディングが施される箇所に有している。最表層の厚さは、0.001〜0.05μmとすることで、光の反射率に優れ、耐食性も良好であり、よりワイヤボンディング性の信頼性を高められた光半導体装置用リードフレームを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体装置用リードフレームとその製造方法、および光半導体装置に関す
る。
【背景技術】
【0002】
光半導体装置用リードフレームは、例えばLED(Light Emitting D
iode)素子等の光半導体素子(発光素子)を光源に利用した各種表示用・照明用光源
の構成部材として広く利用されている。その光半導体装置は、例えば基板にリードフレー
ムを配し、そのリードフレーム上に発光素子を搭載した後、熱、湿気、酸化等の外部要因
による発光素子やその周辺部位の劣化を防止するため、発光素子とその周囲を樹脂で封止
している。
【0003】
ところで、LED素子を照明用光源として用いる場合、リードフレームの反射材には可
視光波長(400〜700nm)の全領域において反射率が高い(例えば硫酸バリウムや
酸化アルミニウムなどの基準物質に対する反射率が80%以上)ことが求められる。さら
に近年、紫外線を用いる測定・分析機器の光源としてもLED素子が用いられるようにな
り、その反射材には、近紫外域(波長340〜400nm)においても同様に反射率が高
いことが求められてきている。
【0004】
また、白色光を放射するLEDを実現する手法としては、赤(R)、緑(G)、青(B
)のすべての色を出すチップを3個並べる手法、青色LEDチップに黄色の蛍光体を分散
した封止樹脂を用いる手法、さらには紫外から近紫外域の波長を発するLEDチップにそ
れぞれ赤、緑、青の蛍光体を分散した封止樹脂を用いる手法の、主に3つに大別される。
従来は青色チップに黄色の蛍光体を分散した封止樹脂を用いる手法が主流であったが、こ
の方法では特に赤色系統の演色性が不十分であるなどの観点から、近年は発光波長帯に紫
外域を含むLEDチップを用いる手法が注目を集めている。
【0005】
このような要求に応じて、LED素子が実装されるリードフレーム上には、特に可視光
域の光反射率(以下、反射率という)の向上を目的として、銀または銀合金からなる層(
皮膜)が形成されているものが多い。銀の皮膜は、可視光域における反射率が高いことが
知られており、例えば特許文献1のように、銀めっき層を反射面に形成することが知られ
ている。
【0006】
また、銀以外の金属を反射層として利用することも知られており、例えば特許文献2に
示すような、最表面がパラジウム(Pd)で被覆されたリードフレームが検討され、さら
に半田付け性向上のために特許文献3に示すような、パラジウム層の上に金被覆層を設け
たリードフレームが検討されている。
【0007】
また、反射率が紫外から近赤外領域まで比較的良好なロジウム(Rh)を被覆したリー
ドフレームが検討されており、例えば特許文献4に示すような、3層めっき構造のリード
フレームであり、1層目がNiなど、2層目がパラジウムまたはパラジウム合金、最表面
にロジウムを被覆したリードフレームが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−148883号公報
【特許文献2】特開昭59−168659号公報
【特許文献3】特許第2543619号公報
【特許文献4】特開2005−129970公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、各特許文献のリードフレームには、以下のような問題がある。例えば、
特許文献1に記載の技術では、光半導体装置内で反射層が黒変して可視光域の反射率が1
0%近くまで低下する現象が発生することがある。この現象は、封止樹脂とリードフレー
ムとの僅かな隙間がある場合に、大気中の硫黄成分やフラックス残渣中のハロゲン化物な
どがリードフレーム内部に進入し、リードフレーム表面の銀が硫化銀やハロゲン化銀の化
合物となって黒色に変色することが原因で発生すると考えられる。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術では、長期信頼性は特許文献1の銀と比べると優れてい
る一方、最表面のパラジウムは紫外域〜近紫外域の反射率が約35〜45%、また可視光
域の反射率が約45〜65%であり、反射率の低下はないものの反射率が低い点が問題で
ある。特許文献3に記載の技術では、例えばパラジウムめっき0.01μm施したその上
層に金めっきを0.02μm施した際の反射率は波長600〜800nmで70%以上で
あるが、短波長側で反射率が低く、波長400nmにおける反射率が約30%程度であり
、リードフレームの反射率を高めるためには他の技術が必要となる。
【0011】
また、特許文献4に記載の技術では、最表層にRhを形成した場合では、反射率に関し
てはPdおよびAuよりも特に紫外域〜近紫外域の波長300〜340nmにおける反射
率は改善され、約50%以上まで高められる一方、LEDチップとの導通を確保するため
に用いられる金のボンディングワイヤとの間でのボンディング性が悪いという問題がみら
れることがわかってきた。この詳細な要因は不明であるが、AuとRhは状態図から見る
と常温(25℃)近傍では化合物を形成しないため、ワイヤボンディングが難しいものと
考えられる。
【0012】
そこで、本発明は、LED・フォトカプラ・フォトインタラプタなどに使用される光半
導体装置用リードフレームにおいて、紫外域から近赤外域における反射率が良好で、かつ
ワイヤボンディング性が良好であり、耐食性および長期信頼性に優れるリードフレームお
よびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題に鑑み誠意検討を進めた結果、導電性基体上に光反射層としてロジウムまたは
ロジウム合金からなる層が形成された光半導体装置用リードフレームであって、さらにそ
の上層に、金、パラジウム、白金またはこれらの合金からなる厚さ0.001〜0.05
μmの金属層を、少なくともワイヤボンディングが施される部分に被覆することで、紫外
域から近赤外域、具体的には波長300〜800nmの光の反射率に優れ、耐食性も良好
であり、かつワイヤボンディング性に優れた半導体装置用リードフレームが得られること
を見出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。
【0014】
すなわち、上記課題は以下の手段により解決される。
(1)導電性基体上にロジウムまたはロジウム合金からなる反射層が形成された光半導体
装置用リードフレームであって、前記反射層の表面の少なくとも一部に、金、パラジウム
、白金またはこれらの合金からなる厚さ0.001〜0.05μmの最表層が形成されて
いることを特徴とする、光半導体装置用リードフレーム。
(2)前記反射層の厚さが、0.005〜0.5μmであることを特徴とする、(1)記
載の光半導体装置用リードフレーム。
(3)前記反射層を形成するロジウムまたはロジウム合金は、ロジウム、ロジウム−錫合
金、ロジウム−銅合金、ロジウム−コバルト合金、ロジウム−銀合金、ロジウム−アルミ
ニウム合金、ロジウム−インジウム合金、ロジウム−イリジウム合金、ロジウム−ルテニ
ウム合金、ロジウム−パラジウム合金、ロジウム−ニッケル合金、ロジウム−白金合金の
群から選ばれた材料からなることを特徴とする、(1)または(2)に記載の光半導体装
置用リードフレーム。
(4)前記導電性基体と前記反射層との間に1層以上の中間層が設けられており、該中間
層は、ニッケルまたはニッケル合金、コバルトまたはコバルト合金、銅または銅合金、パ
ラジウムまたはパラジウム合金の群から選ばれた金属または合金からなることを特徴とす
る、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光半導体装置用リードフレーム。
(5)前記中間層がニッケルまたはニッケル合金、コバルトまたはコバルト合金、銅また
は銅合金を含むとき、これらの成分からなる層の厚さは、合計で0.2〜2.0μmであ
ることを特徴とする、(4)記載の光半導体用リードフレーム。
(6)前記中間層がパラジウムまたはパラジウム合金を含むとき、前記パラジウムまたは
パラジウム合金からなる層の厚さは、合計で0.005〜0.2μmであることを特徴と
する、(4)記載の光半導体用リードフレーム。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の光半導体装置用リードフレームと、光
半導体素子とを備えた光半導体装置であって、ワイヤボンディングが施される箇所および
その近傍に前記最表層が設けられていることを特徴とする光半導体装置。
(8)さらに前記光半導体素子が搭載される箇所の近傍に前記反射層および最表層が設け
られていることを特徴とする、(7)記載の光半導体装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、波長が300〜800nmの範囲全体で反射率が、形成直後でも環境
試験後でも少なくとも50%以上の優れた反射特性を示し、かつ反射率が経時的に低下す
ることのない、長期信頼性に優れた光半導体用リードフレームが得られる。さらにロジウ
ムまたはロジウム合金では不十分であったワイヤボンディング性が格段に改善された光半
導体装置用リードフレームが得られる。
この結果、初期の反射率は銀または銀合金には及ばないものの、長期使用時の反射率低
下が銀においては硫化変色のため顕著であったのに対し、本発明では耐食性に優れたリー
ドフレームを提供できるため、長期信頼性に優れた光半導体装置用リードフレームとして
好適に用いることができる。また、従来技術では反射率が特に短波長域において30%程
度であったものを50%以上にまで改善でき、かつ従来のロジウムを最表層に形成しただ
けではボンディング性に難があったものを大幅に改善した効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る光半導体装置用リードフレームの第1の実施形態の概略断面図である。
【図2】本発明に係る光半導体装置用リードフレームの第2の実施形態の概略断面図である。
【図3】本発明に係る光半導体装置用リードフレームの第3の実施形態の概略断面図である。
【図4】本発明に係る光半導体装置用リードフレームの第4の実施形態の概略断面図である。
【図5】本発明に係る光半導体装置用リードフレームの第5の実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を説明する。
本発明のリードフレームは、導電性基体上にロジウムまたはロジウム合金からなる反射
層の上層に、金、パラジウム、白金またはこれらの合金で形成された最表層を少なくとも
ワイヤボンディングが施される箇所に有している。最表層の厚さは、0.001〜0.0
5μmとする。最表層の厚さが0.001μmより薄いと、十分なワイヤボンディング強
度が確保できず、好ましくない。一方、最表層の厚さが0.05μmより厚いと、ワイヤ
ボンディング性向上の効果は飽和するだけでなく、最表層の材料となる貴金属使用量が増
加し、被覆するための時間が掛かるため工業的に好ましくない。また、最表層の厚さが0
.05μmより厚いと、光の反射層までの到達量が大幅に減少し、さらに最表層における
反射率が反射層における反射率と比べて劣るため、反射層として用いるロジウムまたはロ
ジウム合金の反射率を有効に活用できず輝度低下の要因となるため、反射層の表面に最表
層を形成する場合にも、その厚さは0.05μm以下とする必要がある。反射率低下を最
小限に抑え、かつワイヤボンディング性を向上させるため、好ましくは0.003〜0.
03μm、さらに好ましくは0.005〜0.02μmとするのが良い。
【0018】
また、最表層を形成する金属(金、パラジウムまたは白金)またはこれらの合金の純度
は、好ましくは90%以上、より好ましくは99%以上とすることで、よりワイヤボンデ
ィング性の信頼性を高めることができる。これは、LEDチップを例えば金のワイヤでリ
ードフレームにワイヤボンディングで接合しようとするとき、封止樹脂の耐熱温度が約1
70℃程度の樹脂が多く利用される関係上、LEDの製造工程上ではワイヤボンディング
の際の温度は約150℃とする場合があるが、最表層を形成する金属の純度を90%以上
とすると、この温度でボンディングしても、接続信頼性を高めることができる。これに対
して、最表層を形成する金属の純度が90%未満の場合、ワイヤボンディングした際の接
合強度が不足したり、ワイヤボンディングのエラー回数が増えて生産効率が低下したりす
るなどの問題が生じることがある。なお、これら金属成分が合金となっている場合は、金
、パラジウムまたは白金の成分純度が合計で90%以上、より好ましくは99%以上であ
ればよく、例えばAu(金)−50%Pt(白金)などでも良好なワイヤボンディング性
が得られる。
【0019】
なお、本発明の光半導体装置用リードフレームの導電性基体としては、例えば銅または
銅合金、鉄または鉄合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金などが好適に用いられる

基体のうち、銅合金の例としては、CDA(Copper Development
Association)規格合金の例として、C19400(Cu−Fe系合金材料:
例えば、Cu−2.3Fe−0.03P−0.15Zn)、C26000(黄銅:Cu−
30Zn)、C26800(黄銅:Cu−35Zn)、C52100(リン青銅:Cu−
8Sn−P)、C77000(洋白:Cu−18Ni−27Zn)、が挙げられる。また
、CDA規格合金のC14410(Cu−0.15Sn:古河電気工業(株)製EFTE
C−3)、C18045(Cu−0.3Cr−0.25Sn−0.2Zn系合金:同社製
EFTEC−64T)、C52180(Cu−8Sn−0.1Fe−0.05Ni−0.
04P:同社製F5218)、C70250(Cu−3.0Ni−0.65Si−0.1
5Mg:同社製EFTEC−7025)なども好適な例として挙げられる。
また、基体のうち、鉄合金の例としては、日本工業規格(JIS G 4305:20
05)規定のステンレス鋼(SUS301、SUS304、SUS401)や、Fe−N
i合金である42アロイ(Fe−42%Ni)などが挙げられる。
また、基体のうち、アルミニウム合金例としては、日本工業規格(JIS H 400
0:2006 など)に規定されるA1100、A2014、A3003、A5052な
どがあげられる。
【0020】
これら基体上には、前記反射層や最表層皮膜を形成するのが容易であり、生産性のよい
リードフレームが提供できる。また、これらの金属を基体とするリードフレームは放熱特
性に優れており、発光体が発光する際に発生する熱エネルギーを、リードフレームを介し
てスムーズに外部に放出することができ、発光素子の長寿命化及び長期にわたる反射率特
性の安定化が見込まれる。これは、基体の導電率に依存するものであり、例えば10%I
ACS(International Annealed Copper Standa
rd)以上であるものが好ましく、50%IACS以上であるものがさらに好ましい。
なお、鉄合金系のSUS304などや42アロイなどは、一般に10%IACS未満で
あるが、リードフレームとしての強度が要求される用途、放熱性が強く要求されない用途
や汎用LED用途であれば、好適に用いることができる。
【0021】
また、導電性基体の板厚や板幅は特に問わないが、LEDにおけるリードフレームのサ
イズとしては、板厚0.05〜1.0mm、板幅10〜200mm程度が一般的であり、
本発明の光半導体装置用リードフレームは、少なくとも上記サイズにおいて諸特性を満足
するものとしている。
【0022】
また、本発明の光半導体装置用リードフレームは、ロジウムまたはロジウム合金からなる
反射層の厚さを0.005μm以上とすることにより、光の反射率の長期信頼性を確保す
ることができる。反射層の厚さは、厚すぎると長期信頼性の効果が飽和するとともに、プ
レス時に割れが発生しやすくなるため、0.5μm以下であることが好ましい。反射層の
厚さは、特性および生産コスト等の観点から、さらに好ましくは0.01〜0.2μmの
範囲でより好適に使用される。
【0023】
また、本発明の光半導体装置用リードフレームにおける反射層を形成するロジウムまた
はロジウム合金は、ロジウム、ロジウム−錫合金、ロジウム−銅合金、ロジウム−コバル
ト合金、ロジウム−銀合金、ロジウム−アルミニウム合金、ロジウム−インジウム合金、
ロジウム−イリジウム合金、ロジウム−ルテニウム合金、ロジウム−パラジウム合金、ロ
ジウム−ニッケル合金、ロジウム−白金合金の群から選ばれた材料からなることにより、
反射率が良好で生産性の良いリードフレームが得られるが、反射率を良好とする観点から
はロジウムを使用することが好ましい。
【0024】
また、本発明の光半導体装置用リードフレームは、導電性基体とロジウムまたはロジウ
ム合金からなる反射層との間に、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅
、銅合金、パラジウム、およびパラジウム合金の群から選ばれた金属または合金からなる
中間層が少なくとも1層以上形成されていることにより、発光素子が発光する際に発生す
る発熱によって導電性基体を構成する材料が反射層へ拡散することによる反射率特性の劣
化を防ぎ、反射率特性が長期にわたって安定したものとなる。中間層が形成されることに
よって、長期信頼性が向上するため、反射層の厚さを本発明の範囲内の厚さにおいて、比
較的薄く形成することが可能となる。また、基体と反射層との密着性も向上する。
【0025】
ここで、当該中間層の厚さは、プレス性、耐熱性、生産性等を考慮して決定される。当
該中間層がニッケルまたはニッケル合金、コバルトまたはコバルト合金、銅または銅合金
を含むとき、これら成分からなる中間層の総厚(厚さの合計)は、0.2〜2.0μmで
あることが好ましく、さらには0.5〜1.0μmが好ましい。また、中間層がパラジウ
ムまたはパラジウム合金を含む場合、特に耐熱性に優れるのでこれら成分の中間層の総厚
は0.005〜0.2μm、さらに好ましくは0.008〜0.1μmが好ましい。また
、中間層が上記二種類以上の混合層からなる場合は、例えばニッケル層およびパラジウム
層の二層からなるとき、ニッケル層の厚さは0.2〜2.0μmであれば良く、パラジウ
ム層の厚さは0.005〜0.2μmであることで要求特性を満足する。さらにパラジウ
ムを中間層として形成する場合は、1層目にニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバル
ト合金のうちいずれかの層を形成した後に形成することにより、より一層の耐食性の効果
が得られる。なお、中間層を複数の層で形成することも可能であるが、通常は生産性を考
慮し、2層以下とすることが好ましい。
【0026】
また、本発明の光半導体装置用リードフレームは、被覆厚さを好適に調整しながら形成
できる手法として、湿式または乾式のめっき法で形成することが好ましい。他の形成方法
としてはクラッド法があるが、サブマイクロメートルオーダーでの厚さの制御を容易にす
る観点からも、湿式または乾式のめっき法が好ましい。
【0027】
また、本発明の光半導体装置用リードフレームを用いて光半導体素子を搭載して形成さ
れた光半導体装置は、少なくとも光半導体素子を搭載する箇所近傍、すなわち光発光素子
とその周囲を封止してなる樹脂の内部に本発明のリードフレームを用いることにより、低
コストで効果的に反射率特性を得ることができる。これは、光半導体素子の搭載部を含め
た箇所近傍にのみロジウムまたはロジウム合金からなる反射層を形成することで、反射率
特性を高めることができるためである。この場合、ロジウムまたはロジウム合金からなる
反射層は部分的に形成されていてもよく、例えばストライプめっきやスポットめっきなど
の部分めっきで形成しても良い。反射層が部分的に形成されるリードフレームを製造する
ことは、反射層が形成されない部分の金属使用量を削減できるので、環境への負荷が少な
い光半導体装置とすることができる。
【0028】
また、本発明の光半導体装置は、さらに少なくともワイヤボンディングが施される箇所
にのみ最表層が形成されたリードフレームを用いることにより、低コストでワイヤボンデ
ィング性が良好な光半導体装置が得られる。これは、ワイヤボンディングが施される箇所
にのみボンディング性に優れた最表層が形成されることで、反射層であるロジウムまたは
ロジウム合金の反射率が大きく低下することなくワイヤボンディング性が向上する効果が
得られる。この場合、リードフレームの全面または部分的に形成された反射層の上層に、
例えばストライプめっきやスポットめっきなどの部分めっきで最表層を形成しても良い。
最表層が部分的に形成されるリードフレームを製造することは、ボンディング性が不要な
箇所における金属使用量を削減できるため、環境への負荷が少ない光半導体装置とするこ
とができる。
【0029】
以下、本発明の光半導体装置用リードフレームの実施の形態を、図面を用いて説明する
。各図において、リードフレームに光半導体素子が搭載されている状態を示す。なお、各
実施形態はあくまでも一例であり、本発明の範囲は各実施形態に限定されるものではない

【0030】
図1は、本発明に係る光半導体装置用リードフレームの第1の実施形態の概略断面図で
ある。本実施形態のリードフレームは、導電性基体1上にロジウムまたはロジウム合金か
らなる反射層2が形成され、反射層2の上層に金、パラジウムまたは白金のいずれかから
なる最表層3が形成され、その上の一部に光半導体素子4が搭載され、最表層3と光半導
体素子4との間にワイヤボンディング5が施されている。本実施形態のリードフレームは
、最表層3の厚さが0.001〜0.05μmで形成されており、ロジウムまたはロジウ
ム合金の反射率がほぼ低下せず、紫外から近赤外域の300〜800nmにおいて反射特
性に優れた光半導体装置用リードフレームとなる。なお、概略断面図には簡略的に破線部
分に絶縁物等を介して回路が形成され、光半導体用途に好適に用いられている様子を示し
ている。
【0031】
図2は、本発明に係る光半導体装置用リードフレームの第2の実施形態の概略断面図で
ある。図2に示す実施形態のリードフレームが、図1に示すリードフレームと異なる点は
、導電性基体1と反射層2との間に、中間層6が形成されていることである。その他の点
については、図1に示すリードフレームと同様である。
【0032】
図3は、本発明に係る光半導体装置用リードフレームの第3の実施形態の概略断面図で
ある。図3は、光半導体素子4が搭載される部分およびその近傍、すなわち光発光素子と
その周囲を封止してなる樹脂の内部を含む部分に反射層2および最表層3が形成されてい
る様子を示している。本発明においては、このように、少なくとも光反射に寄与する部分
にロジウムまたはロジウム合金からなる反射層2を形成することも可能である。
本実施形態において、中間層6は導電性基体1の全面に形成されているが、導電性基体
1と反射層2との間に介在する形態であれば、部分的に形成されていてもよい。
【0033】
図4は、本発明に係る光半導体装置用リードフレームの第4の実施形態の概略断面図で
ある。図4において、光半導体素子4が搭載される部分およびその近傍にのみ反射層2が
形成されており、さらにその上層である最表層3はワイヤボンディングに必要な部分近傍
にのみ形成されている様子を示している。この態様のように、最表層3はワイヤボンディ
ングが必要な部分にのみ形成することも可能である。
【0034】
図5は、本発明に係る光半導体装置用リードフレームの第5の実施形態の概略断面図で
ある。図5において、光半導体素子4が搭載される部分およびその近傍にのみ反射層2が
形成されており、さらにその上層である最表層3は、ワイヤボンディングに必要な箇所を
含めた全面に形成されている様子を示している。このため、例えば図5中の領域Aにおい
ても最表層3が形成されており、その最表層3は金、パラジウムまたは白金またはこれら
の合金からなるため、光半導体装置として形成する際に、領域Aへの半田付けが容易にで
きる。この実施形態のように、最表層3を、半田付け性を付与する目的で全面的に形成す
ることも可能である。
【0035】
半導体装置用リードフレームの製造は任意の方法を用いることができるが、反射層2、
最表層3および中間層6は、湿式または乾式のめっき法で形成することが望ましい。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
実施例1として、厚さ0.3mm、幅50mmの表1に示す導電性基体に以下に示す前
処理を行った後、以下に示す電気めっき処理を施すことにより、表1に示す構成の発明例
1〜68、比較例1〜2、および従来例1〜3のリードフレームを作製した。これらのう
ち、発明例44〜56は、中間層が2層となっていて、導電性基体に近い側から「左/右
」の元素の順に構成されていることを示しており、被覆厚も同じように示した。
導電性基体として用いられた材料のうち、「C14410」、「C18045」、「C
19400」、「C26800」、「C52100」、「C52180」、「C7025
0」、および「C77000」は銅または銅合金の基体を表し、Cの後の数値は前述のC
DA規格による種類を示す。
また、「A1100」、「A2014」、「A3003」、および「A5052」はア
ルミニウムまたはアルミニウム合金の基体を表し、それぞれ日本工業規格(JIS H
4000:2006 など)にその成分が規定されている。
また、「SUS304」、および「42アロイ」は鉄系基体を表し、「SUS304」
は日本工業規格(JIS G 4305:2005)規定のステンレス鋼(クロムを18
質量%、ニッケルを8質量%含有し、残部が鉄と不可避不純物からなる鉄基合金)、「4
2アロイ」はニッケルを42質量%含有し、残部が鉄と不可避不純物からなる合金を表す

なお、基体がアルミニウムのときは電解脱脂・酸洗・亜鉛置換処理の工程を経て、ステ
ンレス鋼のときは電解脱脂・活性化処理の工程を経て、その他の基体の場合は電解脱脂・
酸洗の工程を経た前処理を行った。
【0037】
実施例1において使用した、各前処理の処理液組成と処理条件、および各めっきのめっ
き液組成とめっき条件を以下に示す。
(前処理条件)
[電解脱脂]
脱脂液:NaOH 60g/リットル
脱脂条件:2.5A/dm、温度60℃、脱脂時間60秒
[酸洗]
酸洗液:10%硫酸
酸洗条件:30秒 浸漬、室温
[亜鉛置換]基体がアルミニウムの時に使用
亜鉛置換液:NaOH 500g/リットル、ZnO 100g/リットル、酒石酸(C
) 10g/リットル、FeCl 2g/リットル
処理条件:30秒 浸漬、室温
[活性化処理]基体がステンレス鋼の時に使用
活性化処理液:NiCl 40g/リットル、HCl 400g/リットル
処理条件:1.5A/dm、温度 40℃、処理時間 10秒
【0038】
(中間層のめっき条件)
[Niめっき]
めっき液:Ni(SONH・4HO 500g/リットル、NiCl 30
g/リットル、HBO 30g/リットル
めっき条件:電流密度 5A/dm、温度 50℃
[Coめっき]
めっき液:Co(SONH・4HO 500g/リットル、CoCl 30
g/リットル、HBO 30g/リットル
めっき条件:電流密度 5A/dm、温度 50℃
[Pdめっき]
めっき液:Pd(NHCl 45g/リットル、NHOH 90ミリリットル
/リットル、(NHSO 50g/リットル
めっき条件:電流密度 1A/dm、温度 30℃
[Pd−Niめっき]Pd−20%Niめっき
めっき液:Pd(NH)Cl 40g/リットル、NiSO 45g/リットル、
NHOH 90ミリリットル/リットル、(NH)SO 50g/リットル
めっき条件:電流密度 1A/dm、温度 30℃
[Cuめっき]
めっき液:CuSO・5HO 250g/リットル、HSO 50g/リットル
、NaCl 0.1g/リットル
めっき条件:電流密度 6A/dm、温度 40℃
【0039】
(反射層のめっき条件)
[Rhめっき]
めっき液:RHODEX(商品名、日本エレクトロプレイティングエンジニヤース(株)
製)
めっき条件:1.3A/dm、温度 50℃
[Agめっき] (従来例)
めっき液:AgCN 50g/リットル、KCN 100g/リットル、KCO
0g/リットル
めっき条件:電流密度 0.05〜5A/dm、温度 30℃
[Pdめっき] (従来例)
めっき液:Pd(NHCl 45g/リットル、NHOH 90ミリリットル
/リットル、(NHSO 50g/リットル
めっき条件:電流密度 1A/dm、温度 30℃
【0040】
(最表層のめっき条件)
[Auめっき]
めっき液:KAu(CN) 14.6g/リットル、C 150g/リットル
、K 180g/リットル
めっき条件:電流密度 1A/dm、温度 40℃
[Au−Coめっき]Au−0.3%Coめっき
めっき液:オートロネクスGVC(商品名、日本エレクトロプレイティングエンジニヤー
ス(株)製)
めっき条件:5A/dm、温度 50℃
[Pdめっき]
めっき液:Pd(NHCl 45g/リットル、NHOH 90ミリリットル
/リットル、(NHSO 50g/リットル
めっき条件:電流密度 1A/dm、温度 30℃
[Ptめっき]
めっき液:Pt(NO)(NH 10g/リットル、NaNO 10g/リッ
トル、NHNO 100g/リットル、NH 50ミリリットル/リットル
めっき条件:電流密度 5A/dm、温度 80℃
【0041】
(めっき厚測定)
蛍光X線膜厚測定装置(SFT9400:製品名、エスアイアイ・ナノテクノロジー(
株)製)を用いて、コリメータ径2mmで各めっき厚構成の検量線を作製後、測定を行っ
た。
【0042】
【表1】

【0043】
(評価方法)
上記のようにして得られた、表1の発明例および比較例のリードフレームについて、下
記試験および基準により評価を行った。その結果を表2に示す。
(1)反射率測定:分光光度計(V660(商品名、日本分光(株)製))において、全
反射率を300nm〜800nmにかけて連続測定を実施した。このうち、300nm、
340nm、400nm、600nmおよび800nmにおける全反射率(%)を表2に
示す。評価基準として、波長300〜800nmすべての領域において、反射率が50%
を超えるものを良好とし、光半導体用リードフレームに好適に使用される目安となること
を意味する。
(2)ワイヤボンディング性(WB性):下記のワイヤボンディング条件において、10
点テスト後に接合強度測定を行い、その(強度−3σ)の値が49.0mN以上のものを
「優」と判定して表に「◎」印を付し、29.4mN以上49.0mN未満のものを「良
」と判定して表に「○」印を付し、29.4mN未満であるが接合可能なものを「可」と
判定して表に「△」印を付し、まったく接合しなかったものを「不可」と判定して表に「
×」印を付して、それぞれ表2に示した。
ワイヤボンダ:SWB−FA−CUB−10、(株)新川製
ワイヤ:25μm 金ワイヤ
ボンディング温度:150℃
キャピラリ:1820−17−437GM
1st条件:10msec.、45Bit、45g
2nd条件:10msec.、100Bit、130g
なお、耐熱性評価のため、温度150℃で3時間大気加熱を施したものにおいても同じワ
イヤボンディング性評価を行い、それぞれ「可」以上の評価のものを実用レベルとした。
(3)耐食性:硫化試験(JIS H8502記載)、HS 3ppm、24時間後の
腐食状態について、レイティングナンバー(RN)評価を実施した。結果を表2に示す。
なお、ここで、レイティングナンバーが9以上の場合は、光半導体素子(LED素子)を
10000時間点灯しても輝度の低下が数%程度と小さいことを意味し、長期信頼性が高
いことを示す。
(4)硫化試験後の反射率測定:分光光度計(V−660(商品名、日本分光(株)製)
)において、全反射率を300nm〜800nmにかけて連続測定を実施した。このうち
、400nmにおいて、硫化試験前後の反射率を比較した値(%)を表2に示す。
(5)曲げ加工性:作製したリードフレームにおいて、長さ30mm、幅10mmのサン
プルを、長さ方向が圧延方向と平行になるように切り出し、プレス機(日本オートマチッ
クマシン(株)製)で曲げ半径R=0.5mmで曲げ加工性を調べた。加工した試験片の
最大曲げ加工部をマイクロスコープ((株)キーエンス製)を用いて175倍に拡大して
観察し、曲げ加工性を判定した。最大曲げ加工部を観察した結果、割れが存在しないもの
を「良」と判定して表に「○」印を付し、シワや軽微な割れが存在するものを「良」と判
定して表に「△」印を付し、大きな割れが存在するものを「不可」と判定して表に「×」
印を付して、それぞれ表2に示した。曲げ加工性の評価は、「可」以上の評価のものを実
用レベルとした。
【0044】
【表2】

【0045】
これらの結果から明らかなように、ロジウムの上層に、厚さ0.001〜0.05μm
の金(Au−Co合金はAu−0.3%Co合金)、パラジウム、白金を被覆した発明例
1〜68は、波長300nm〜800nmにおける反射率が、すべての波長で反射率50
%以上を満足した。また、ワイヤボンディング性においてもすべて良好である一方、従来
例2のロジウムが最表層に形成されている場合、ワイヤボンディングができないことが明
らかであり、本発明によってワイヤボンディング性が大きく改善されていることがわかる
。特に発明例7〜17に示すように、金の厚さが0.001〜0.02μmの範囲であれ
ば300〜800nmの領域において反射率がすべて60%以上を示しており、かつ0.
005μm以上においてワイヤボンディング性に優れることがわかる。このため、最表層
厚が0.003〜0.03μmが好ましく、0.005〜0.02μmがより好ましいと
判断される。
さらに、発明例1〜68は、従来例1に記載されている最表面が銀である例と比べても
耐食性が大きく改善されており、この結果は従来の銀めっき品よりも長期信頼性があるこ
とを示唆している。
さらに、発明例1〜68を、従来例3に記載されている最表面がAu/Pdめっき構成
の例と比較すると、反射率が発明例のほうが良好であることから、発明例のリードフレー
ムを用いた光半導体装置(LED)は、従来品よりも高輝度であることが期待される。
さらに、発明例30〜35記載のように、ロジウムの厚さ0.005μmを超えると、
反射率が300〜800nmの領域ですべて60%以上となり、より一層輝度改善の効果
が期待される。一方、厚さが0.5μmを超えると、反射率改善の効果は飽和しているが
、プレス性が悪化している傾向が伺える。
さらに、発明例24〜29記載のように、中間層がNiのとき、厚さが0.2μm以上
あると耐食性がより一層良好になるが、2.0μmを超えると曲げ加工性が悪くなる傾向
がわかる。一方、発明例36〜43記載のように、中間層がPdのとき、厚さが0.00
5μm以上あると耐食性がより一層良好になるが、0.2μmを超えると曲げ加工性が悪
くなる傾向がわかる。また、これらの中間層を2層とした発明例44〜56記載のように
、耐食性が各単層のときよりも格段に向上しているが、Pd厚が0.2μmを超えるとき
やNi層厚が2.0μmを超えるときは、曲げ加工性が悪化する傾向がわかる。
【0046】
また、比較例1のように、最表層厚が本発明範囲よりも薄い場合は、ワイヤボンディン
グのプル強度が低下し、かつ耐熱試験後でのボンディング性が不良となっていることがわ
かる。
また比較例2では、最表層厚が本発明範囲よりも厚い場合は、ワイヤボンディングは保
たれるものの波長300〜400nmにおける反射率が50%を下回ってしまうことがわ
かる。
これらのことから、本発明の適正な被覆厚構成範囲において製造したリードフレームを光
半導体装置に用いることにより、300nmの紫外域から800nmの近赤外域まで反射
率に優れ、かつ長期信頼性に優れた光半導体装置を作製することができることは明白であ
る。
【0047】
(実施例2)
実施例2として、導電性基体として板厚0.3mm、30mm角の古河電気工業(株)
製の銅合金EFTEC−3(Cu−0.15%Sn:CDA規格合金のC14410に相
当)を用い、前記脱脂工程および酸洗工程を経た後、全面に中間層としてNiめっきを0
.5μm、反射層としてRhめっきを0.02μm、最表層としてAuめっきを0.01
μmに形成したものを作製し、全面めっき品として発明例69を作製した。一方、めっき
構成は同じくして、最表層のAuめっき被覆部のみを基体の中央部に3mm角に部分的に
形成したものを作製し、部分めっき品として発明例70を作製した。部分めっき品は、め
っきを施さない部分において、反射層形成後に絶縁性のマスキングテープ(#631S;
製品名、(株)寺岡製作所製)を貼ることでマスキングを行った。なお、すべての前処理
条件、めっき条件は、実施例1と同様の条件で行った。
【0048】
(評価方法)
上記のようにして得られた全面めっき品および部分めっき品について、以下の評価を行
った。
(1)反射率測定:分光光度計(V660(商品名、日本分光(株)製))において、全
反射率を300nm〜800nmにかけて連続測定を実施した。測定面積は、試験片中央
の20mm角の面積とした。これは、全面めっき品は最表層が反射率測定領域を完全に覆
っているのに対し、部分めっき品は3mm角の部分のみ最表層が形成されており、反射層
が露出している箇所が存在していることを意味する。
300nm、340nm、400nm、600nmおよび800nmにおける全反射率
(%)を表3に示す。評価基準として、波長300〜800nmすべての領域において、
反射率が50%を超えるものを良好とし、光半導体用リードフレームに好適に使用される
目安となることを意味する。
(2)ワイヤボンディング性(WB性):下記のワイヤボンディング条件において、10
点テスト後に接合強度測定を行い、その(強度−3σ)の値が49.0mN以上のものを
「優」と判定して表に「◎」印を付し、29.4mN以上49.0mN未満のものを「良
」と判定して表に「○」印を付し、29.4mN未満であるが接合可能なものを「可」と
判定して表に「△」印を付し、まったく接合しなかったものを「不可」と判定して表に「
×」印を付して、それぞれ表3に示した。なお、ワイヤボンディング領域は1st側およ
び2nd側ともに最表層が形成されている部分に実施した。
ワイヤボンダ:SWB−FA−CUB−10、(株)新川製
ワイヤ:25μm 金ワイヤ
ボンディング温度:150℃
キャピラリ:1820−17−437GM
1st条件:10msec.、45Bit、45g
2nd条件:10msec.、100Bit、130g
また、耐熱性評価のため、温度150℃で3時間の大気加熱を施したものにおいても同
じワイヤボンディング性評価を行った。
(3)最表層被覆率:最表層めっき面積から、全面めっき時および部分めっき時の最表層
貴金属の被覆率を計算した。被覆率は、最表層めっきの被覆面積を被めっき物の面積の割
合をパーセントで表記した。
【0049】
【表3】

【0050】
この結果から、双方の発明例ともに全波長域で反射率50%以上、および優れたワイヤ
ボンディング性を示しているが、部分めっき品のほうが全面めっき品よりも特に300〜
600nmの波長域において反射率がやや良好であり、純粋なRhの反射率に近いあるい
はほぼそれと同じであることが伺える。これは、ワイヤボンディングに必要な箇所にのみ
最表層を形成することにより、反射率低下を最小限に抑えて反射層の反射率を最大限生か
せている結果であり、最表層が部分的に形成されることがより好ましいことがわかる。ま
た、最表層の貴金属被覆率は、部分めっき品のほうが100分の1にまで抑制されており
、この結果最表層に関する貴金属使用量が100分の1に低減できるため、環境負荷を軽
減できることがわかる。これらのことから、全面に最表層を被覆するよりも、ワイヤボン
ディングが必要な箇所にのみ被覆を施したリードフレームのほうが、より特性にも製造コ
ストにも優れていることがわかる。
【符号の説明】
【0051】
1 導電性基体
2 反射層
3 最表層
4 光半導体素子
5 ワイヤ(ボンディングワイヤ)
6 中間層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体上にロジウムまたはロジウム合金からなる反射層が形成された光半導体装置
用リードフレームであって、前記反射層の表面の少なくとも一部に、金、パラジウム、白
金またはこれらの合金からなる厚さ0.001〜0.05μmの最表層が形成されている
ことを特徴とする、光半導体装置用リードフレーム。
【請求項2】
前記反射層の厚さが、0.005〜0.5μmであることを特徴とする、請求項1記載
の光半導体装置用リードフレーム。
【請求項3】
前記反射層を形成するロジウムまたはロジウム合金は、ロジウム、ロジウム−錫合金、
ロジウム−銅合金、ロジウム−コバルト合金、ロジウム−銀合金、ロジウム−アルミニウ
ム合金、ロジウム−インジウム合金、ロジウム−イリジウム合金、ロジウム−ルテニウム
合金、ロジウム−パラジウム合金、ロジウム−ニッケル合金、ロジウム−白金合金の群か
ら選ばれた材料からなることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか1項に記
載の光半導体装置用リードフレーム。
【請求項4】
前記導電性基体と前記反射層との間に1層以上の中間層が設けられており、該中間層は
、ニッケルまたはニッケル合金、コバルトまたはコバルト合金、銅または銅合金、パラジ
ウムまたはパラジウム合金の群から選ばれた金属または合金からなることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光半導体装置用リードフレーム。
【請求項5】
前記中間層がニッケルまたはニッケル合金、コバルトまたはコバルト合金、銅または銅
合金を含むとき、これらの成分からなる層の厚さは、合計で0.2〜2.0μmであるこ
とを特徴とする、請求項4記載の光半導体用リードフレーム。
【請求項6】
前記中間層がパラジウムまたはパラジウム合金を含むとき、前記パラジウムまたはパラ
ジウム合金からなる層の厚さは、合計で0.005〜0.2μmであることを特徴とする
、請求項4記載の光半導体用リードフレーム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の光半導体装置用リードフレームと、光半導体素子
とを備えた光半導体装置であって、ワイヤボンディングが施される箇所およびその近傍に
前記最表層が設けられていることを特徴とする光半導体装置。
【請求項8】
さらに前記光半導体素子が搭載される箇所の近傍に前記反射層および最表層が設けられ
ていることを特徴とする、請求項7記載の光半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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