説明

光受容体転写ベルトおよびその製造方法

【課題】電子写真転写過程の最適化のための正確な転写制御およびリアルタイムのフィードバックを実現することができる転写システムを提供する。
【解決手段】転写システム5は、転写ベルト10を含む。転写ベルト10は、光透過性ポリマーベースの複合材と、1つ以上の導電性充填剤であって、1つ以上のイオン伝導性充填剤をさらに含む、導電性充填剤と、1つ以上の電子伝導体と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受容体転写ベルトおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置は、光受容体ベルトを使用してベース媒体(例えば紙)にトナー塊(toner mass)を供給する状態で存在する。そのベース媒体に供給されるトナー塊の量を正確に制御するために、これらの装置は、光受容体ベルトに転写し、そのベルトによって運ばれるトナー塊の量を決定する転写システムを含むことができる。多数の印刷装置のそれぞれに対して、その転写システムの使用および制御を通して電子写真性能を高めることが望ましい。
【0003】
反射率測定により転写したトナー塊の量を検出するための光学センサーが知られており、印刷システムにおいて使用されている。例えば米国特許出願公開第2008/0089708号は、トナー塗布表面に存在するトナー塊の量を決定するための反射出力を発生させて計算する光反射式センサーの使用を開示している。しかしながら、これらのセンサーには、重大な制限がある。特に、現行の反射式光学センサーは、一定量を超える塊を測定することができず、転写前後の画像についての微細なまたは超微細な細部を提供することが不可能である。その上、かかるセンサーを使用するそのシステムは、磨耗によって起こる光受容体ベルトおよび/または印刷装置のその他の要素に対する変化に敏感であり、影響を受け易い傾向がある。例えば、該光受容体ベルトの表面は、時間と共に劣化し、その結果、そのベルトの表面は、より反射しなくなったり、より不均一になったりなどする。これにより、ベルトに向けられる光(例えば、存在するトナー塊の量を測定するなどのための)が、システムにおいて吸収、散乱および/または透過によって「失われる」可能性がある。印刷装置のベルトおよび/またはその他の要素における不完全さによって引き起こされる光の損失は、比較的複雑で時間のかかる手順を使用するその装置の比較的頻繁な較正が必要となり得る。転写設定点が、強力に作用する上記の主要な時間的に変化する「ノイズ」の要因であり、例えば、ベルト材料特性、紙の状態、および環境変動等であることは周知である。残念ながら、これらはそれぞれ、複雑で制御するのが困難な様態で相互作用する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0089708号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、転写ベルト上のトナー塊の正確な検知を実現する新規で有効な方法は、トナー転写および全般的な電子写真性能の今後の向上に対して重要である。これに関連して、リアルタイムの測定および重要な電子写真制御パラメータまたは変数のフィードバックを実現することができる転写システムが非常に望ましい。これまでのところ、電子写真転写過程の最適化のための正確な転写制御およびリアルタイムのフィードバックを実現することができる転写システムは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に示されている態様によれば、トナー転写システム用の転写ベルトであって、光透過性ポリマーベースの複合材と、1つ以上の導電性充填剤であって、該1つ以上の導電性充填剤が、1つ以上のイオン伝導性充填剤をさらに含む、導電性充填剤と、1つ以上の電子伝導体とを含む、転写ベルトが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態による転写ベルトシステムの概略側面図である。
【図2】本発明の実施形態によるもう1つの転写ベルトシステムの概略側面図である。
【図3】中間体転写ベルト上のトナー塊の機能としての光強度の検出における透過式センサーの反応を説明しているグラフである。
【図4】中間体転写ベルト上のトナー塊の機能としての光強度の検出における反射式センサーの反応を説明しているグラフである。
【図5】中間体転写ベルトのトナーのない側面に焦点を当てたときの中間体転写ベルト上のトナー塊の機能としての光強度の検出における反射式センサーの反応を説明しているグラフである。
【図6】中間体転写ベルト上のトナー塊に基づく透過式センサー信号出力および反射式センサー信号出力の差異を説明しているグラフである。
【図7】様々な検知モードに基づき、システムの様々な場所に置かれているセンサーからの信号出力の差異を説明しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、全体的に、トナー塗布表面に存在しているトナー塊の量を決定するためのシステムおよび方法、ならびにそのシステムにおける電子写真転写性能を制御するパラメータのリアルタイムの調整に関する。本発明の実施形態は、また、トナー塊の量を決定するためのシステムにおいて使用される光透過性転写ベルトおよびそのベルトを製造するための方法も対象とする。以下の実施形態は、ドラム式またはベルト式の両方の光受容体に対してと、中間体転写ベルト(ITB)システムおよびバイアス転写ベルト(BTB)システムおよびバイアス転写ロール(BTR)システムにおいて使用できることを認識すべきである。
【0009】
透過式センサーの性能は、一般に反射式センサーよりも優れており、より正確な計測を提供する。例えば、透過式センサーは、局部的なトナー塊の変化の意味のある検知を実現することができるノイズ比に対してより良好な信号により機能する。しかしながら透過式方法を採用するためには光透過性ベルトが必要である。したがって、本発明の実施形態は、透過式センサーによりトナー塊量を決定する転写システムにおいて使用するのに適した特定の組成を有する、澄んだまたは透明なまたは少なくとも半透明な転写ベルトもまた提供する。その転写ベルトは、中間体転写ベルト(ITB)システムおよびバイアス転写ベルト(BTB)システムおよびバイアス転写ロール(BTR)システムのいずれにおいても使用することができる。
【0010】
さらなる実施形態においては、本発明の転写システム用に適する光透過性転写ベルトが提供される。その転写ベルトは、導電率がイオン伝導性充填剤を用いて適当な範囲に調整されているDynaox Inc.(日本国、兵庫県)から市販されている光学的に透明なポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでいる。例えば、その中間体転写ベルトは、電気伝導度の数学的逆数として本明細書で規定されるバルク抵抗率が約1×102Ωcm〜約10×1012Ωcm、または約1×109Ωcm〜約10×1012Ωcmであり得て、その結果、転写、洗浄および/またはその他のどの電場駆動機能も十分にそのベルトにより行いかつ/またはその表面全域で消散または払拭することができる。バイアス転写ベルトまたは中間体転写ベルトおよび該ベルトの表面および大きな抵抗率を採用する印刷システムの印刷品質とプロセススピードとの間には機能的相互依存が存在する事実のために、現代の印刷システムに対して特に有用な範囲のバルク抵抗率は、約1×107Ωcm〜約10×1011Ωcmの範囲に低下する。1分間に約50〜300の印刷物を生産する現代の高速画像複製印刷エンジンは、バルク低効率が約1×1010Ωcm〜10×1012Ωcmの範囲に入る転写ベルトを使用する。
【0011】
規定のバルク抵抗率の値を得るためには、適当なイオンおよび/または電子伝導性充填剤が、ベルトコンポーネント用に選択されるポリマーに添加およびブレンドされる。ホストポリマーへのイオン性またはその他の充填剤の添加によって、複合体が形成され、そのバルクまたは体積抵抗率は、使用される充填剤のタイプおよび量ならびにその充填剤を該ホストポリマーに混合して分散し、転写ベルトコンポーネントを形成するために採用されるプロセスによって変動する。望ましい特性を有する充填されたポリマー複合体の形成をもたらすホストポリマー中へのかかる充填剤の選択および処理は、当業者には既知である。しかしながら、ホストポリマーの光透過特性を維持するために、複数の実施形態において、小さい負荷の導電性のまたは導電率を高める充填剤の使用がなされる。これらの充填剤は、導電性充填剤、例えば、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、ナノ粒子の銀、金、白金、パラジウム、銅、スズ、亜鉛およびそれらの混合物等のナノサイズの金属または金属酸化物などからなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物であることができ、かつ/またはイオン伝導性の充填剤、例えば、イオン性無機塩または有機塩、例えば、テトラヘキシルアンモニウムブロミドおよびテトラヘキシルアンモニウムクロリド等のテトラヘキシルアンモニウムハロゲン化物塩など、テトラヘプチルアンモニウムクロリドおよびブロミド等のテトラヘプチルアンモニウムハロゲン化物、ならびに、塩化カリウム、臭化カリウム、およびそれらの混合物等の無機金属ハロゲン化物を含むことができる。加えて、電子およびイオン伝導機構の両方を発揮する金属浸透有機塩等の混成物も使用することができる。実施形態において、該導電性の1または複数の充填剤は、該複合体の形の抵抗率を、充填されていないポリマーのそれから望ましい値に調整するのに適した量で存在することができ、約0.01〜約20質量パーセントの範囲に入ることができる。一般的に、透明または機能的に透明なホストポリマー、例えば、本明細書に列挙されているものなどは、本質的に電気絶縁性である。その他の充填されていないホストポリマーは、一定の条件下例えば高湿または高温においてはある水準の抵抗率を示すことがあり得るが、一般に、十分に低い水準の抵抗率、または十分に役立つ用途が必要とする条件下で十分に安定である水準を有していない。ほとんどのホストポリマーは、不安定であるか、前に記したように約1×1014Ωcmと同等以上の程度にあるバルク抵抗率を有するので、得られた複合体の十分な電気的安定性、機能透明性(functional transparency)、および機械的強度を維持しながら最低の充填剤の濃度で該ホストポリマーのバルク抵抗率を低下する導電率修正充填剤は、この用途のために使用されるものである。
【0012】
機能透明性との用語は、電磁スペクトル全域で選択される任意の波長からの電磁エネルギー、例えば、可視光、紫外線、赤外線、X線および/またはα線および/または音響エネルギー等が、転写ベルト部材の1つの表面から少なくとも1つの他の表面まで通過して十分なエネルギー強度で出現し、それが出現した表面で検出されることを意味するように本明細書では規定され使用される。電磁スペクトルの任意の部分からのエネルギーを本発明の転写部材による検知機能のために使用することができる。該エネルギーの周波数または波長は、広域もしくは狭スペクトルまたは混合周波数でさえあり得る。そのエネルギーは、センサー適用の特定の要件によって連続的またはパルス状であり得る。一般に、エネルギーの種類、強度、および周波数は、光透過ベルト部材の伝達特性と対応するように選択する。言い換えると、大量の入射エネルギーが、例えば、該ベルト部材によって吸収され、かつ/または熱に転換されることによって失われず、効果的に該ベルト中を伝達し、検知機能に使用可能であることを確実にする。同様に、該エネルギー特性は、一般に、トナー層および/または該ベルトの表面に運び込まれた汚染物の検出特性を高めるかまたは最大にするように選択される。該ベルトによるエネルギーの透過挙動と該トナーおよび/または汚染物によるエネルギーの透過挙動との間のエネルギー特性を選択するときにはしばしばバランスが追及される。
【0013】
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVF2)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、それらの混合物およびコポリマーなどのホストポリマーは、薄層フィルムに形成されたとき非常に安定で強度があり、場合によっては柔軟性がある。一般に、熱可塑性ポリマーおよび熱硬化性ポリマーを含めた任意の機能透明性のフィルム形成性ポリマーを主題用途において使用することができる。実施形態において、その選択されたポリマーは、選択された波長のエネルギーがこれに伴う転写ベルト要素の厚さの通過を許容するように、光透過性、例えば、光学的にまたはさもなければ機能的に透明である。一般に、導電率修正充填剤は、ホストポリマーおよびその複合体への加工に適合し、透明性またはその他の、例えば、機械的または熱的特性に対して悪影響を殆んど有さずに該ベルト部材のバルクおよび表面抵抗率を特定の値に調整するものを選択および採用する。
【0014】
適当な充填剤は、ホストポリマーに、該ポリマーが溶融(すなわち、液体)状態の中または適当な溶媒中に溶解されて溶液を形成している中のいずれかに添加される。かかる溶媒の例は、脂肪族溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等の脂肪族ケトン、シクロへキサンなど、または、トルエン等の芳香族溶媒、またはそれらの混合物などである。注型またはシーティング工程(溶液注型、スピンコーティング、回転注型(rotary casting)、および/またはフィルム注型による)が次に採用され、場合によって機械的伸張および/または熱アニールが後に続き、該ポリマー/充填剤複合体による機能透明性の複合体フィルムが生成し、それによりその注型フィルムは、充填されていないポリマーと比較して顕著に増加した電気伝導度を有する。その導電率は、それが電子写真の中間体転写ベルト(ITB)および/またはバイアス転写ベルト(BTB)および/またはバイアス転写ロール(BTR)として有用である領域にそれが入るように調整することができる。該ベルト部材の二次的であるが機能的に重要な特性、例えば、酸または塩基、あるいは任意の反応性の気体、固体、または液体の種に対するその耐化学性、例えば、オゾンの攻撃に対する酸化抵抗、その熱安定性および/または寸法安定性、その可燃性、有孔性、引張りおよび曲げ弾性率、摩擦、汚れまたは汚染に対する耐性などを修正および/または安定化する追加の充填剤を使用してもよい。該複合体の光学特性を修正または高める充填剤、例えば光沢を高める充填剤も使用することができる。これらの目的に対してかかる充填剤を使用することは一般に既知であるが、本発明のベルト要素を修正するための特定の使用については本明細書で開示される。
【0015】
言及したように、該ベルト要素の表面またはバルク抵抗の電界依存もしくは静電界依存ならびに温度および部屋湿度(RH)依存は、適当な導電性充填剤の添加によって調整することができる。実際には、バルク抵抗率に加えて複数の特性を修正または制御するような充填剤が使用される。実施形態において、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブ等の電子の充填剤は約0.1〜約5.0質量パーセントの量で存在させることができる。電子伝導体、例えば、小粒子カーボン充填剤、カーボンナノチューブ、ナノ粒子金属、それらの混合物などを使用することができる。例えば、1つ以上の充填剤は、約1.0〜約3.0質量パーセントの範囲の少なくとも1つのカーボンナノチューブであるかまたはハロゲン化第四級アンモニウム塩、例えば、テトラヘプチルアンモニウムブロミド(THAB)、テトラヘプチルアンモニウムクロリド(THAC)等のポリマー可溶性のイオン性塩などであり得る。
【0016】
該ポリマー複合体材料は、適切な厚さ範囲に加工される連続薄膜に形成され、超音波継ぎ合わせ、熱溶接、化学結合、機械的連結(mechanical interlocking)、またはその他の適当な継ぎ合わせ方法によりベルトに形成することができる。別法では、所望の外周、幅、および厚さを有する連続ベルト部材を、例えば回転注型により、溶液、融液または溶融相、あるいは重合前の状態等の液相中で始まるポリマー複合材料から、結果として得られるベルト要素の所望の寸法を確立する適当な型またはその他の容器を用いて注型することができる。フィルム注型法、例えば、スピンコーティング、回転注型などは、本発明のベルト要素を加工する適当な方法である。任意の厚さの複合体を組み立てることができるが、一般的に転写ベルト部材は、薄くて柔軟であることを特徴的とし、約10μm〜約1000μmの範囲の厚さを有する。より薄いベルトほど一般により少ない材料およびより少ないエネルギーを必要とするため、約20〜100μmの範囲の厚さが使用される可能性がある。
【0017】
反射式センサーは、転写ベルトの表面から反射される入射エネルギーからの電磁強度を測定する。該転写ベルト上にトナー塊がないと、反射されるエネルギー、例えば可視光エネルギーは、一般にすべて正反射性である。しかしながら、転写ベルト上にトナー塊が多くあると、反射光はより乱反射になる傾向がある。完全に透明なベルト層が単層以上のトナー塊に一旦覆われると、反射エネルギーまたは屈折エネルギーの強度は著しく低下する可能性があり、非常に低いレベル、例えば、0または検出するのが困難かもしれないレベルまで低下し得る。対照的に、透過式センサーは、転写ベルトならびに任意のトナーまたはその他の塊、例えば、該転写ベルト上に存在する微粒子の形をした汚染物質を通過するエネルギーを測定する。印刷システムにおいて光透過性転写ベルトを採用する本発明の実施形態においては、この方式の透過式センサーの使用を可能にする。透過式センサーは、一般的に検出されるエネルギーに非常に敏感であり、反射式センサーよりはるかに高い飽和点を多くの場合有しており、したがって、飽和に到達する前に、1つより多くのトナー単層を通るエネルギー強度を検出し続けることができる。センサー部材まで透過する前に吸収されるエネルギーは、トナー層の厚さおよび均一性によるばかりでなく転写ベルト上で運ばれる特定の色を含めたトナー配合物(例えば「暗さ」)によっても変動する。したがって、透過式センサーは、反射式センサーとは違って、トナー塊の量の正確な検知を、その量がトナーおよび/またはその他の塊、例えば、粒子または液体の形をしていてもよい汚染物質の複数の層を含むときでさえも可能にする。しばしば、トナー中で使用される非常に小さい粒径の添加剤、例えば、加工助剤、滑剤、電荷制御剤など、または紙もしくはその他の発生源からの破片は、転写部材の表面に移されてそこに留まり、それによってその表面を汚染する場合がある。実施形態において、センサーは、汚染を測定することができ、一方、例えば転写領域および/または洗浄領域に対する適当な制御方法を、かかる汚染による何らかの望ましくない影響を最小限にするかまたは排除するために採用することができる。該透過式センサーは、また、リアルタイムの転写最適化を決めるために転写システムで使用される細かい画像の詳細な検知を実現することも可能である。
【0018】
図1には、適当な光受容体1と共に用いる本発明の実施形態の転写システム5が提供されている。光受容体1は、ドラム型またはベルト型のいずれかであり得る。転写システム5は、光透過性転写ベルト10を含み、その上にトナー塊15が転写される。転写システム5は、広域タイプまたは狭域タイプのデバイスであり、広域スペクトルまたは単色エネルギー断面のような狭スペクトルを採用した光透過性転写ベルト10の一方面に位置している絶え間なく続く光27を供給する光源25を有する光透過センサー20と、そのベルトおよび光源25の反対側に位置するレシーバー30とを含む。センサーの光源25およびレシーバー30は、対向位置に置かれている。センサー20は、転写ベルト10の表面にトナー塊がある場合とない場合の光透過32の差異を計算する測定および制御回路35と接続している。センサー20は、したがって、デジタル信号またはアナログ信号等の適当な出力信号を、受け取り、処理し、表示し、かつ/または測定および制御回路35に伝達する。転写システム5は、また、転写ベルト10の裏面に電荷を供給するための適当な電圧または電流源42と連結しているバイアス転写バックアップローラー40も含む。
【0019】
図1は、一次像の媒体への転写前および/または転写後のいずれかのベルトの表面に存在することができる様々な着色トナー塊およびそれらの複数の層を検知することができる1つの実施形態を表す。前に述べたように、光エネルギーまたはこの場合は光線の周波数が、きれいで透明な窓ガラスを通る太陽光の輝きと同じようにそれが殆んど遮断されずに通過するように選択される場合、そのエネルギーの吸収は実質的に起こらない。そのエネルギーは、基本的に入射ビームと同じ波長、輝度および波形を有してそのベルトの中を移動して出て行く。トナーの層が、一旦該ベルトの作業面に堆積されると、そのエネルギーの特性、特に波長および帯域幅は、該トナー層によって吸収されるように選択される。例えば、黒色トナーの厚い層は、白色光の透過を効果的に遮断して防ぐことができる。様々な着色トナーが、それらの吸収係数と呼ばれるそれらの吸収特性によって、様々な輝度の様々な周波数の波長を遮断または伝達する。したがって、光の特性が、ベルト部材では透過性であり、トナー層では吸収性であるものを選択することによって、該トナー層の特性を、以下でより詳細に説明するように、識別することができる。図1は、光源が転写ベルトの機能および画像を有する側(例えば上側)の上部に取り付けられており、センサーレシーバーが画像を有していない側の下にある単一モード(例えば、透過モードのみ)のセンサーであるセンサーを示す。光は、転写ベルトの上側に直接入射するように当てられる。透過した光の周波数および輝度は、黒を含めた様々な着色トナーの検出を最適化するために、主要パラメータ、例えば、以下に限定はされないが、最大検出輝度、色域などを追跡するフィードバックループの分析に基づいてリアルタイムで選択および調整することができる。着色したトナーは、スペクトルフィルターと同様に振舞うので、該トナーはそれらの固有色と一致するかまたは類似している光スペクトルの一部を吸収することができる。したがって、広域スペクトル光は、着色したトナー層を通過するとき一部の特定の波長をそのトナーによる吸収によって失う。該検知システムは、それによって、転写ベルト部材の表面に存在するトナー層の特定の色およびその他の重要な特性を見つけるために、この選択的吸収を採用することができる。
【0020】
さらに、光源とセンサーの位置は、特定のシステムデザインの要件によっては逆にしてもよい。
【0021】
中間体ベルトシステムについて、トナーが転写ベルトに転写されて(例えば最初の転写中に)透過センサーの視界に入るとき、トナー塊の色または色の混合物等の量またはその他の重要な特性は、光透過がトナー塊および吸収特性の強い作用であるので、リアルタイムで示される。制御アルゴリズムを測定および制御回路によって実施して決定的に重要な第1および第2の転写設定点(transfer set point(s))を調整する。見本となる第2の転写の後、その転写システムの全体的な性能を最適化するために、その第1および第2の転写設定点に対してさらなる調整が行われるように残留トナーを測定する。リアルタイムで得られる測定とこれまでは正確さを伴って得ることができなかった上質な画像の詳細を提供することによってこの最適化が可能となる。既に述べたように、この転写システムは、中間体転写ベルトシステムならびにバイアス転写ベルトシステムおよびバイアス転写ロールシステムの両方に適用することができる。
【0022】
さらに、特定の用途によって必要となり得るより複雑な検知プロトコルを示すために、複数のセンサーを転写部材の周辺に沿った様々な位置で使用することができる。一実施形態においては、透過式センサーおよび反射式センサーの組合せを使用する転写システムが提供される。多重モードの検知形態の使用は、転写過程中の欠陥または異常を検出および矯正するための別の方法を可能にする。すなわち、上記の形態は、トナー塊転写の一般的な欠陥および異常だけでなく、転写中のトナー層内部に現れるリアルタイムの欠陥および異常の、リアルタイムの検出および矯正を可能にする。
【0023】
図2は、図1に示されているものと類似の透過式センサー50(透過光源55および透過レシーバー60を有する)を採用する転写システム45における別の実施形態を説明しており、それは反射式センサー65(反射光源70および反射レシーバー75を有する)と一体となっており、光透過性転写ベルト80と共に使用することができる多重モードセンサーである。その透過式センサー50および反射式センサー65は、それぞれ、光線52T,52Rを中間体転写ベルト80に供給する。該透過式センサーは、光を転写ベルトの上面に対して直接入射でかつ基本的に直角に当てるが、反射式センサー50は、光を斜めに当てる。実施形態において、その角度は、約1度から約89度までである。反射式エネルギー源およびセンサーの入射角は、一般に、興味があるかまたは制御すべきベルトの表面およびトナー層の特別な特徴を最も能率的かつ効果的に表す出力信号を提供するように選択する。例えば、その対物レンズが、転写後および洗浄後のベルトの表面の特徴である低い表面密度での極めて低いトナー塊を正確に検出しなければならない場合、比較的低い入射角、例えば、該ベルトの表面に対して10〜20度で構成された比較的高い入射エネルギー源を選択することができる。そして、そうしている中で、該ベルトの表面によって対象となる表面上のトナー粒子のまばらな集合の分布により起こるかすかな摂動としてのベルト表面の反射によって示される差異を観察することに集中する。一般に、低い入射角は、そのベルトの表面の特徴およびその表面の粒子との詳細な界面を見るために使用することができる。他方で、トナー層の重なりの高さの均一性またはトナーの表面層における不規則性のいずれかを調べることを目的とする場合、より大きな入射角、例えば、40〜60度を選択することができ、そうする中で、トナーの粒子状および不規則な表面からのエネルギーのリフラクタンス(refractance)に焦点を合わせ、それによってより厚く、より密度のあるトナー堆積物のトポグラフィおよび均一性の洞察を確保する傾向がある。前述のことは、例として与えられているだけであり、何らの特定の操作理論に束縛されることはなく、実際には、実験により本明細書で提供されている範囲内であり得るかまたは該用途の特定の要件によっては異なるかもしれない反射/屈折する起点エネルギーおよびセンサーを確立することができる。それぞれのセンサー50,65は、転写ベルト80の表面にトナー塊85があるときとないときの光透過率54Tの違いと光反射率54Rの違いとを計算することができる測定および制御回路72,74につながれている。図1におけるのと同様に、図2に示されている転写システム45は、適当な光受容体90と共に使用される。その光受容体90は、ドラムまたはベルトのいずれかの形をしていることができる。転写システム45は、また、転写ベルト80の裏面に電荷を供給するための適当な電圧または電流源97と連結しているバイアス転写バックアップローラー95も含む。
【0024】
図2に示されている形態において、広域または狭域の範囲を提供することができ、広域スペクトルまたは狭域スペクトルであり得る該透過式光源は、選択された周波数、パルス長、および輝度の光を透過させるように最適化する。同じかまたは異なるエネルギー周波数および強度を使用してもよい第2のエネルギー源は、転写ベルトの画像を有する面または上面に存在するトナー塊から反射した光を供給および検出するように適合させた反射式センサーと共に使用する。実施形態において、光透過性転写ベルトに当てられる透過エネルギーは、電磁エネルギースペクトル内のどこから選択される波長をも有することができ、特に紫外から赤外までにわたるか、または、約10nm〜約10,000nm、または、約700nm〜約3,000nmの光のスペクトルの中に入ることができる。光透過性転写ベルトに当てられる透過光の輝度は、約0から約1000ルーメンまでの任意のレベルであり得る。
【0025】
時間型出力信号または位置型出力信号は、各センサーから得られ、印刷品質またはシステム最適化と関係するトナー塊の特性、例えばベルト上の質量(mass on belt、MOB)または密度、均一性、粒状性、斑点、スノー、筋などを計算するために使用される。2つの検知デバイス、例えば、透過型センサーおよび反射型センサーの使用は、図のように、既知の単一モードの形態における著しい改良を提供する新規な多重モードのトナー検知形態を含む。センサーは、転写後の位置(例えば、最初の転写の下流)に示されているが、そのセンサーは、以下に限定されないが、転写後、転写前、転写前と転写後の両方、洗浄前および洗浄後などを含めた転写ベルトに沿ったどこでも使用することができる。その上に、多重モード検知(2つ1組もしくはグループ分けでの単一の多重モードセンサーまたは異なる光強度および/または周波数を採用しているセンサーのいずれか)の使用は、センサーのグループ分けまたはペアからの出力信号のコンピュータによる差別化を可能にし、それにより検知トナー塊のより大きい正確さを提供する差動出力信号が提供される。その差別化された信号は、状況が、例えばオフラインまたはオンラインのどちらかで、重要であるかまたは制御が必要であり得る該トナー塊のいくつかの巨視的または微視的態様を特定し、定量化することを必要とするときに使用することができる。
【0026】
本発明の実施形態において同様に提供されるのは、トナーの転写性能をリアルタイムで検出および調整するための方法である。特定の実施形態において、その方法は、トナー塊を転写すべき光透過性(バイアス)転写ベルトの位置に絶え間なく続く透過エネルギーを供給する工程と、その光透過性転写ベルトを透過したエネルギーを受け取る工程と、該光透過性転写ベルトを通して受け取った透過エネルギーの強度または周波数の変化の少なくとも1つを測定し、トナー塊がある場合とない場合の該光透過性転写ベルトを通して受け取った透過の輝度の違いを確定する工程と、トナー転写性能を調整するために使用することができる転写パラメータを計算する工程と、その計算した転写パラメータに応答可能なようにトナー転写性能を調整し、それによって上記のトナー転写性能を最適化する工程と、を含む。さらなる実施形態において、その方法は、さらに、絶え間なく続く可視光のような反射性エネルギーを、トナー塊を転写すべき光透過性転写ベルト上の位置に供給する工程と、その光透過性転写ベルトから反射した光を受け取る工程と、その光透過性転写ベルトから受け取った反射光の輝度を測定し、トナー塊がある場合とない場合のその光透過性転写ベルトから受け取った反射光の輝度の違いを確定する工程と、を含むことができる。上記の実施形態において、トナーの転写性能を調整するために使用することができる転写パラメータの計算は、確定された透過光の輝度の違いおよび反射光の輝度の違いに基づく。複数の実施形態において、その計算された転写パラメータは、最大の検出輝度、色域、周波数の変化、およびスペクトル分散からなる群から選択することができる。
【実施例】
【0027】
以下の本明細書に示す実施例は、本発明の実施形態の実行において使用することができる様々な組成物および条件を説明するものである。すべての割合は、別段の指摘がない限り質量基準である。しかしながら、本発明の実施形態が、多くのタイプの組成物により実行でき、上記の開示に合致し、下記で指摘するような多くの様々な用途を有することは明らかである。
【0028】
PVDF複合体フィルムの試料を依頼され、信用がある仕入先(Dynaox、日本)から入手し、機能するために極めて重要と思われる特性について、その特性を明らかにした。表1に示すように、一連の表面抵抗率の測定をPVDF試料の様々な領域について行い、それは転写ベルト性能と関係する既知の臨界パラメータを示し、適用された場に応じてなされて、約8.6〜9.8×1010Ω/sq.の間であることが見出された。その表面抵抗率測定結果が約1010〜1011Ω/sq.のオーダーであることが示されているので、これにより主題のPVDF試料について確定した値をしっかりと多くの転写ベルト適用の操作領域を決める所定の範囲の中に入れる。
【0029】
【表1】

【0030】
[実施例1]
物理学の第一原理に基づく数理モデルが構成され、光透過性転写ベルトの光学的および電気的特性を統合することによって得た様々な検知シナリオを調査するために採用した。図3、図4は、図2に示されている透過式(透過モード)および反射式(反射モード)センサーの表面のトナー塊が0から約2グラム/cm2まで変化するときの仮説に基づいた反応を示している。図3に示されているグラフは、トナー塊の作用としての透過モードの可視光出力強度を表しており、一方、図4に示されているグラフは、トナー塊の作用としての反射モードの光強度を反映している。両方のモードにおいて、光強度は光の進路にあるトナーの量によって変化することが示されている。わずかなトナー塊(例えば、約単一層未満または約1グラム/cm2未満)では、かなり異なって進むことが示されており、それは分離した粒子に基づく不連続層の吸収特性と反射特性の間の違いが主因である。反応は両方とも、最終的な相対強度は異なるけれども、トナー塊が単一のトナー層を超える高さに一旦到達すると、飽和状態になることが示されている。わずかなトナー塊とは、通常、約1mg/cm2未満の密度範囲に入り、裸眼に明らかであり、ノイズ等の印刷品質の問題を引き起こすには十分である部分的な単一層を意味する。ごくわずかなトナー塊は、検出するためおよび/または見るためには拡大を必要とし、すぐには印刷品質問題を引き起こさないが、長期間にわたる電子写真性能には影響を及ぼし得る。
【0031】
印刷品質欠陥、例えば、筋または斑点などと関係する比較的厚い(1を超える単一層)トナーの積み重ねで起こり得る凹凸は、上面反射信号に沿ったどこかの凹凸(ノイズではない)として検出することができる。これは、透過モードにおいては、その層が一旦出力を飽和させる十分な厚さになると、筋が透過モードにおける飽和点であるほぼ1より多い単一層の下に入るほど十分に深くない限り、不可能である。
【0032】
[実施例2]
図5は、光透過性転写ベルトの色無調整の面または裏面に取り付けられており、トナーベルト表面の接合部分の下面に焦点が当てられている反射モードセンサー(図2に示されているものと類似している)の仮説に基づいた挙動を説明するために生み出したモデルによるグラフ結果を示している。入射光および反射光の角度は、例えば、転写ベルトの厚さおよび機能透明性ならびにベルト上にトナーのない場合の望ましい初期の信号応答に適合するように調整する。図3および図4と比較すると、関心があり重要な様々なパラメータの変化が観察される。例えば、ベースライン強度における微妙な変化が存在し(50対60の恣意的な単位の強度)、それは光線が転写ベルトの厚さを通して移動することによる輝度のロスが原因である。このパラメータは、その光源の輝度を適切に調整することによって補正することができる。加えて、ベースラインデータのかかる変化は、ベルトを使用し、それが汚染されるようになるか、またはそれが、例えば、該ベルト中に応力亀裂が形成されることによる障害に近づくときのそのベルトに対する変化を監視するために使用することができる。加えて、光挙動の、それが固定されていない表面とは対照的に固定された表面(例えば、トナー層の底部は、転写ベルトの表面によって固定されているかまたは束縛されており、一方、最上のトナー層の表面は基本的に固定されていない)から反射するときの変化が原因のようである飽和点における重大な変化ならびに最初の領域および遷移領域の両方の傾斜の減少を観察することができる。
【0033】
[実施例3]
図6は、簡単な差別化をトナー塊中で起こり得る特定の遷移の出現および/またはそれに由来する電子信号を増幅するために使用することができ、精密制御に改良することができる概念をさらに説明するための上記のモデルからのもう1つのグラフ結果を示している。図6は、転写ベルトの表面に置かれている透過モードのセンサーおよび反射モードのセンサーの両方を有する形態からくる結果を示している。透過モードの出力信号から反射モードのそれを差し引くことにより、その結果としての信号強度の差が与えられる。図3、図4の図6に対する比較において、屈折点の前と後の曲線の臨界部分の形状が著しく異なることが見て取れる。図6においては差別化した信号強度は、トナー塊と共に急激に増大するように描かれている。その曲線の最初の部分の傾斜は、トナー層が単一層未満である領域を表し、光の飽和が起こると思われる単一層とより高いトナー塊のせいである過飽和の点との間の転移を示している。傾斜の減少がより緩やかであり単調である屈折後の領域は、彩度、積み重ねの全体の高さなどの印刷品質の態様を制御する転写ベルト上の転写前のトナー塊を定量化するために使用することができる。最後に、図6における、図3および4においては起こらない信号強度に対する負の値は、数学のアーチファクト(artifact of the mathematics)であり得るが、この領域は、また、全体の光飽和が起こる臨界多重層の形成と関係する曲線を表すものでもあり得る。転写を最適化するために、もしこの特定のトナーの最高質量(highest mass)が主題の印刷で起こっていることを知るときは、飽和が起こる前に転写能力の障害または損失を避けることができるように、リアルタイムの転写制御に対する徹底した調整を行う好機とすることが可能であろう。
【0034】
[実施例4]
図7は、様々な多重モードのセンサーからの信号を処理する信号から生じ得る差異の特徴を示すグラフである。図7は、様々な検知モードに基づいており、システムの様々な場所に位置しているセンサーからの信号出力の違いをプロットしている。これらの結果は、それぞれのシステムに対する最適な形態を示すため、および、電子写真方式の様々な態様のよりよい制御を提供するために使用することができる。
【0035】
要約して言えば、独特の光透過性バイアス転写ベルト部材に基づく多重モードセンサー形態および制御スキームの様々な典型的な実施形態が本明細書に記載されている。本発明の実施形態は、かかる実施形態が臨界転写プロセスパラメータに対するリアルタイムの制御およびより広範囲の調整を実現するので、パーケージ基板(packaging substrates)についての様々なデータのより効果的な電子写真印刷を得るために使用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1,90 光受容体、5,45 転写システム、10,80 転写ベルト、15,85 トナー塊、20,50,65 センサー、25 光源、27 光、30 レシーバー、32 光透過、35,72,74 測定および制御回路、40,95 バイアス転写バックアップローラー、42,97 電圧または電流源、52R,52T、 光線、54R,54T 光反射率、55 透過光源、60 透過レシーバー、70 反射光源、75 反射レシーバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー転写システム用の転写ベルトであって、
光透過性ポリマーベースの複合材と、
1つ以上の導電性充填剤であって、該1つ以上の導電性充填剤が、1つ以上のイオン伝導性充填剤をさらに含む、導電性充填剤と、
1つ以上の電子伝導体と、
を含むことを特徴とする転写ベルト。
【請求項2】
請求項1に記載の転写ベルトであって、
前記ポリマーが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVF2)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする転写ベルト。
【請求項3】
請求項1に記載の転写ベルトであって、
前記導電性充填剤が、カーボンナノチューブ、ナノサイズの金属粒子または金属酸化物粒子、イオン性無機塩または有機塩、テトラヘプチルアンモニウムハロゲン化物、無機金属ハロゲン化物、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする転写ベルト。
【請求項4】
請求項1に記載の転写ベルトであって、前記電子伝導体が、小粒子カーボン充填剤、カーボンナノチューブ、金属、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする転写ベルト。
【請求項5】
請求項1に記載の転写ベルトであって、前記光透過性ポリマーベースの複合材が透明であることを特徴とする転写ベルト。
【請求項6】
トナー転写システム用の転写ベルトを製造する方法であって、
ある量の溶融状態または溶液の光透過性ポリマーを準備するステップと、
前記光透過性ポリマーの伝導度を特定の電気伝導度に調整するステップであって、該光透過性ポリマーの伝導度を特定の電気伝導度に調整するステップが、1つ以上のイオン伝導性充填剤を含む1つ以上の導電性充填剤を前記光透過性ポリマー中に添加して混合すること、および、特定のバルク抵抗率が得られるように1つ以上の電子伝導体を前記光透過性ポリマー中に添加して混合すること、をさらに含む、ステップと、
前記調整した光透過性ポリマーを1つ以上のシートに注型するステップと、
前記光透過性ポリマーの前記1つ以上のシートを延伸または熱的にアニールして前記ポリマー/充填剤ブレンドに由来する機能的に透明な複合フィルムを生成させ、それによって前記複合フィルムのバルク抵抗率が、前記光透過性ポリマー単独と比較して顕著に増加するステップと、
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−211204(P2010−211204A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48617(P2010−48617)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】