説明

光学活性化合物の製造方法

(a)最初にキラルアルコールと反応させ、(b)(a)の生成物を酸と反応させて第1の環化を起こさせ、(c)(b)の生成物を還元剤と反応させてアルコールを生成し、(d)(c)の生成物を酸と反応させて第2の環化を起こさせることによって、(E,E)‐ホモファルシル酸または(E)‐モノシクロホモファルシル酸から、鏡像異性体的に富化された3a,6,6,9a‐テトラメチル‐ドデカヒドロ‐ナフト[2,1‐b]フランを製造する方法。このプロセスの生成物は、1つの過剰を含む、両方の鏡像異性体の混合物をもたらす。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性3a,6,6,9a‐テトラメチル‐ドデカヒドロ‐ナフト[2,1‐b]フランの製造方法、およびこの方法によって製造される光学活性3a,6,6,9a‐テトラメチル‐ドデカヒドロ‐ナフト[2,1‐b]フランに関する。
【背景技術】
【0002】
(−)‐(3aR,5aS,9aS,9bR)‐3a,6,6,9a‐テトラメチル‐ドデカヒドロ‐ナフト[2,1‐b]フランは、香料製造において幅広く使用されている天然産出のアンバーグリース(ambergris)香気物質である。便宜上、以下ではこの化合物を「TDNF」と呼び、それの異なる異性体を、(+)‐TDNF、(−)‐TDNF、および(rac)‐TDNFと称する。(−)‐TDNFは、天然産出物スクラレオール(sclareol)(Perfumer & Flavorist 2004, Vol. 29, March/April, p. 34)の化学変換によって得ることができる。この製品は、収穫による供給変動があり、不足すると価格上昇を招く。このことから、(−)‐TDNFの製造の完全な合成過程が探索されることになった。
(rac)‐TDNFの完全合成過程、例えば、ジヒドロ‐β‐イオノンから出発する合成、が記載されている(G. Buechi, H. Wueest, Helv. Chim. Acta 1989, 72, 996)。
【0003】
(−)‐TDNFは、(+)‐TDNFよりもアンバー臭があり(ambery)、かつ2〜3倍強力であると記載されているので(Perfumer & Flavorist 2004, Vol. 29, March/April, p. 34)、(−)‐TDNFが富化されたTDNF品質をもたらす合成過程は非常に重要である。これは、キラルアミン類を分割剤として使用して、ラセミ[(1R,S,2R,S,4aS,R,8aS,R)‐2‐ヒドロキシ‐2,5,5,8a‐テトラメチルデカヒドロナフタレン‐1‐イル]酢酸の古典的な光学分割(optical resolution)によって達成されている。Asanumaらは、1‐アリール‐エチルアミン類を光学分割剤として使用する光学分割について記載しており(G. Asanuma, Y. Tamai, Eur. Pat. Appl. 550889 (1993))、Kogaらは、1,3‐アミノ‐アルコール類を分割剤として使用し(Tetrahedron Asymmetry 1998, 9, 3819)、Hubouxは、(R,R)‐プソイドエフェドリンをキラル補助剤として応用している(A. Huboux、PCT国際出願WO2004013069、2004年12月2日)。
【発明の開示】
【0004】
しかしながら、分離された(+)‐TDNFは香料原料としては魅力に欠けるので、これらの処理過程には、(−)‐TDNFの収量が低い、すなわち最高50%である、という欠点がある。したがって、光学的に富化されたTDNFを供給することのできる、より効率的な処理過程に対するニーズがある。
【0005】
今回、所望の異性体、特に望ましい(−)‐異性体を50%を超えて有するTDNFを製造することが可能であることが判明した。したがって本発明は、50%を超える比率の1種の異性体を有するTDNF混合物の製造方法を提供するものであり、この方法は以下に示すステップを含む:
1.(E,E)‐ホモファルシル酸(homofarnesic acid)および(E)‐モノシクロホモファルシル酸から選択される化合物を、式ROHのキラルアルコールと反応させるステップ;
2.ステップ1の成果物を酸と反応させて、式V:
【化1】

の化合物の1種を形成するステップ;
3.ステップ2の成果物を還元剤と反応させて、アルコールを形成するステップ;および
4.ステップ3のアルコールを酸で処理して、式VIおよび式VII:
【化2】

の化合物を形成するステップ。
【0006】
本発明はさらに、異性体の1種の比率が50%を超える、TDNF混合物を提供する。
(E,E)‐ホモファルシル酸[(E,E)‐4,8,12‐トリメチル‐トリデカ‐3,7,11‐トリエン酸]は、例えば、K. Ishihara, H. Ishibashi, H. Yamamoto, Hisashi, J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 3647-3655、およびA. Saito, H. Matsushita, H. Kaneko, Chem. Lett. 1984, 4, 591-594に記載されているように、調製することができる。
(E)‐モノシクロホモファルシル酸[(E)‐4‐メチル‐6‐(2、6、6‐トリメチル‐シクロヘキサ‐1‐エニル)‐ヘキサ‐3‐エノン酸]は、例えば、R.L. Snowden, J.C. Eichenberger, W. Giersch, W. Thommen, K.H. Schulte-Elte, Helv. Chim. Acta 1993, 76, 1608-1618に記載されているように、調製することができる。
【0007】
キラルアルコールROHは、当業者に知られている任意のキラルアルコールでよい。これらの処理過程の特性は、基Rは大きすぎてはならないことを示しており、当業者は適当な基Rを容易に選択することができる。本発明において使用するための好ましいキラルアルコール類は、次の一般式:
【化3】

を有し、式中:
、R、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルケニル、アルキルシクロアルケニル、アリール、アルキルアリール、アルケニルアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、およびN、O、S、Siなどの少なくとも1つの異種原子をさらに含むこれらの種類の環状部分、から個別に選択され、R、R、Rは、OH、CHO、COH、CO、CONH、CONHR、CONR、NO、CNなどの少なくとも1つの置換基によって置換され、R、R、Rは独立にC〜Cアルキルであり、残基R、R、Rは異なるものであることを条件とする。最も好ましくは、R=Hであり、RおよびRは上記の意味を有する。
【0008】
(E,E)‐ホモファルシル酸および(E)‐モノシクロホモファルシル酸と式ROHのキラルアルコールとの反応生成物の一部は、上述したように、それ自体において新規化合物であることが判明した。したがって本発明はまた、式IIIおよび式IV:
【化4】

の化合物からなる群から選択される化合物も提供し、式中で、RはキラルアルコールROHの残基である。そのような化合物の代表的な例としては、以下の例1、2、6、7において調製されたものがある。
【0009】
本発明はまた、(−)‐TDNFの比率が50%を超えるTDNFの混合物を製造するための中間体としての、式IIIまたは式IVの化合物の使用も提供する。本発明はさらに、(+)‐TDNFの比率が50%を超えるTDNFの混合物を製造するための中間体としての、式IIIまたは式IVの化合物の使用も提供する。
【0010】
結果として得られるエステルの環化は、酸との反応によってもたらされる。好適な環化剤の例としては、鉱酸、有機酸およびルイス酸がある。好適な鉱酸の例としては、リン酸、硫酸および過塩素酸、H[P(W10]などのヘテロポリ酸、Dowex(登録商標)50またはAmberlyst(登録商標)などの酸性樹脂類がある。好適なプロトン酸(protonic acid)の例としては、塩化水素および臭化水素などのハロゲン化水素酸がある。有機酸の例としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸およびクロロスルホン酸がある。これらの列挙した酸は、純粋に例証としてのものである。上述した酸の混合物を使用することも可能である。
【0011】
好適なルイス酸の非限定の例としては、AlCl、TiCl、SnClおよびMeAlClなどの生成物がある。
環化は不活性有機溶媒中で実施される。好適な溶媒の選択は、当該技術分野においてはよく知られているが、好適な例としては、石油エーテル、クロロホルム、ジクロロメタンおよびトリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエンおよびニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、メチル‐t‐ブチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどのエーテル類、エステル類、ニトロメタン、ニトロプロパンおよびアセトニトリルなどの窒素含有炭化水素がある。
【0012】
第2ステップから得られるキラルエステルのアルコールへの変換は、還元剤を用いて実施される。所望の変換を実行することのできる任意の還元剤を使用することができ、当業者は好適な還元剤を容易に識別することができるであろう。好適な還元剤の非限定の例としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム(sodium borohydride)、赤アルミニウム(Red−Al)およびシラン類がある。還元は、不活性溶媒中で実施され、その溶媒の選択は当業者には明白であろう。
【0013】
TDNFを形成するのに必要な第2の環化は、最初に上記した第1の環化の生成物を還元剤と反応させてアルコールを生成し、次にこのアルコールを酸と反応させて環化を発生させることによって実施される。好適な環化剤の例としては、鉱酸および有機酸がある。好適な鉱酸の例としては、リン酸、硫酸および過塩素酸、H[P(W10]などのヘテロポリ酸、Dowex(登録商標)50またはAmberlyst(登録商標)などの酸性樹脂類がある。好適なプロトン酸の例としては、塩化水素および臭化水素などのハロゲン化水素酸がある。有機酸の例としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸およびクロロスルホン酸がある。これらの列挙した酸は、純粋に例証としてのものである。上述の酸の混合物を使用することも可能である。
【0014】
反応方式は以下に示すとおりである。
【化5】

【0015】
反応は、緩やかな条件下で容易に実施することができる。上述したように、この反応には、VIの比率が50%を超える、VIとVIIの異性体の混合物を生成するという、さらなる利点がある。望ましい場合には、VIIの比率が50%を超える、VIとVIIの異性体の混合物を調製することができる。
次いで、好ましい態様を記述する以下の非限定の例と、添付の図面とを参照して本発明を説明するが、これらの図面は、それぞれキラルカラム(Hydrodex‐β‐6TBDM、25m×0.25mm、170℃等温、60kPa H、スプリット1:50)を使用して実施されるガスクロマトグラム(GC)である。
【0016】
例1: (E,E)‐4,8,12‐トリメチル‐トリデカ‐3,7,11‐トリエノン酸(R)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステルの合成
【化6】

100mlのメチル‐t‐ブチルエーテル(MTBE)中に12.5g(50mmol)の(E,E)‐4,8,12‐トリメチル‐トリデカ‐3,7,11‐トリエノン酸(異性体純度95%)の溶液(K. Ishihara et al., J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 3647-3655)に、8.35g(50mmol)の(R)‐(−)‐マンデル酸メチルエステル、[α]=−147.3(c=1.0、MeOH)、および1.5gの4‐ジメチルアミノピリジン(DMAP)を室温で添加した。28℃で15分間攪拌した後に、10.5g(51mmol)のN,N’‐ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を添加し、この間に温度を35℃に上げた。反応混合物を、38〜40℃で1.5時間攪拌し、室温まで冷却して、濾過した。得られた溶液を真空中で濃縮した。残留物(23.1g)を、100gシリカゲル上で精製し、生成物をヘキサン/MTBE1:1で溶出させた。真空中での集めた留分の濃縮、および高真空中(50℃/0.08Torr)での生成物の乾燥によって、19.5g(97%)の(E,E)‐4,8,12‐トリメチル‐トリデカ‐3,7,11‐トリエノン酸(R)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(1)が、無色の油分の形態で得られた。
【0017】
【表1】

【0018】
例2: (E,E)‐4,8,12‐トリメチル‐トリデカ‐3,7,11‐トリエノン酸(S)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステルの合成
【化7】

100mlのメチル‐t‐ブチルエーテル(MTBE)中に12.5g(50mmol)の(E,E)‐4,8,12‐トリメチル‐トリデカ‐3,7,11‐トリエノン酸(異性体純度95%)の溶液(K. Ishihara et al., J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 3647-3655)に、8.4g(50mmol)の(S)‐(+)‐マンデル酸メチルエステル、[α]=+144.9(c=1.04、MeOH)、および1.5gのDMAPを室温で添加した。15分間攪拌した後に、10.5g(51mmol)DCCを添加し、この間に温度を35℃に上げた。反応混合物を、35℃で4時間攪拌し、室温に冷却して、濾過した。得られた溶液を真空中で約50mlの体積に濃縮して、100gのシリカゲルで濾過した。生成物は、約600mlのヘキサン/MTBW1:1で溶出させた。真空中での集めた留分の濃縮、および高真空中(50℃/0.08Torr)での生成物の乾燥によって、19.8g(98%)の(E,E)‐4,8,12‐トリメチル‐トリデカ‐3,7,11‐トリエノン酸(S)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(2)が、無色の油分の形態で得られた。
【0019】
【表2】

【0020】
例3:
ステップ1) (R)‐フェニル‐[(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐3,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐アセトキシ]‐酢酸メチルエステル(3)および(R)‐フェニル‐[(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐1,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐アセトキシ]‐酢酸メチルエステル(4)の合成
【化8】

【0021】
アルゴン雰囲気下で、例1に記述した異性体純度85%のホモファルシル酸から調製した、4.14g(10.4mmol)の(E,E)‐4,8,12‐トリメチル‐トリデカ‐3,7,11‐トリエノン酸(R)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(1)を、30mlのCHCl中に溶解させた。この溶液を−90℃まで冷却し、液体窒素で冷却しながら、2.33ml(35mmol)のクロロスルホン酸を、反応温度が−80℃を超えないように添加した。完全に添加した後に、反応混合物を、−85℃で30分間保持し、次いで100mlのHOにすばやく注いだ。この混合物を、固体KHCOの添加によって中和し、MTBEで2度、抽出した。この集めた有機相を食塩水で2度、洗浄し、MgSO上で乾燥させて、真空中で濃縮した。粗残留物(3.9g)を、フラッシュクロマトグラフィ(70シリカゲル、ヘキサン/MTBE1:1)によって精製して、1g(24%)のエステル3とエステル4の4:1混合物(NMR分析)が得られた。
【0022】
ステップ2) (4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐3,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐エタノール(5)、および(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐1,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐エタノール(6)の合成
【化9】

【0023】
20mlのTHF中に0.5g(13mmol)のLiAlHの懸濁液に、20℃で20mlのTHF中に溶解した1.0g(2.5mmol)のエステル混合物3/4(例3、ステップ1)の溶液を添加し、この間に温度を40℃に上げた。反応混合物を、30分間還流させながら加熱し、40℃まで冷却して、0.5mlのHOで注意深く加水分解させた。次いで、0.5mlの15%NaOH溶液を添加して、混合物を5分間攪拌した。1.5mlのHOを添加した後、30分間、攪拌を続けて、混合物を濾過した。残留物をMTBEで洗浄して、集めた有機相をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、アルコール5/6(約30%の1‐フェニル‐エタン‐1,2‐ジオールを含む)の混合物として0.93gの粗生成物を得て、これは次のステップにおいてさらに精製することなく直接使用した。
【0024】
【表3】

【0025】
ステップ3) (−)‐TDNF(7)および(+)‐TDNF(8)の合成
【化10】

15mlのCHCl中に0.93gのアルコール混合物5/6(ステップ2の例3)の溶液に、室温かつ窒素雰囲気下で0.3mlのメタンスルホン酸を添加した。15分間の攪拌の後に、さらに0.3ml部分のメタンスルホン酸を添加した。15分間、攪拌を継続して、混合物を50mlの飽和KHCO溶液に注いだ。水性相をMTBEで2度、抽出して、集めた有機相を飽和KHCOで洗浄し、MgSO上で乾燥して、真空中で濃縮した。粗生成物(0.9g)をフラッシュクロマトグラフィ(50gシリカゲル、ヘキサン/MTBE49:1)で精製して、0.43g(70%)の白色固体が得られた。キラルカラム(Hydrodex−B−6−TBDM、25m×0.25mm、170℃等温、60kPa H、スプリット1:50)を使用する分析は、(−)‐TDNF(7)と(+)‐TDNF(8)の44:56混合物であることを示したが、これは12%の鏡像異性体過剰率に等しい。
【0026】
例4:
ステップ1) (S)‐フェニル‐[(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐3,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐アセトキシ]‐酢酸メチルエステル(9)および(S)‐フェニル‐[(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐1,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐アセトキシ]‐酢酸メチルエステル(10)の合成。
【化11】

【0027】
アルゴン雰囲気下で、例2に記述した異性体純度85%のホモファルシル酸から調製した5.5g(14mmol)の(E,E)‐4,8,12‐トリメチル‐トリデカ‐3,7,11‐トリエノン酸(S)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(2)を、100mlのCHCl中に溶解させた。この溶液を−90℃まで冷却し、液体窒素で冷却しながら、3.3ml(2.5当量)のクロロスルホン酸を、反応温度が−85℃を超えないように添加した。添加を完了した後に、反応混合物を、−80℃で30分間保持し、次いで50mlのHOにすばやく注いだ。この混合物を、50mlの飽和KHCOの添加によって中和し、ヘキサンで2度、抽出した。この集めた有機相を食塩水で2度、洗浄し、MgSO上で乾燥させて、真空中で濃縮した。粗残留物(4.2g)を、フラッシュクロマトグラフィ(100シリカゲル、ヘキサン/MTBE8:2)によって精製して、エステル9とエステル10の4:1混合物(NMR分析)、1.8g(32%)が得られた。
【0028】
ステップ2) (4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐3,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐エタノール(5)、および(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐1,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐エタノール(6)の合成
【化12】

50mlのTHF中に1.0g(25mmol)のLiAlHの懸濁液に、50mlのTHF中に溶解した1.8g(4.5mmol)のエステル混合物9/10(例4、ステップ1)の溶液を20℃で添加し、この間に温度を40℃に上げた。反応混合物を還流させながら1時間加熱し、40℃まで冷却して、1mlのHOで注意深く加水分解させた。次いで、1mlの15%NaPH溶液を添加して、混合物を5分間攪拌した。3mlのHOを添加した後、30分間、攪拌を続けて、混合物を濾過した。残留物をMTBEで洗浄して、集めた有機相をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、5/6(約30%の1‐フェニル‐エタン‐1,2‐ジオールを含む)の混合物として1.45gの粗生成物を得て、これは次のステップにおいてさらに精製することなく直接、使用した。
【0029】
ステップ3) (−)‐TDNF(7)および(+)‐TDNF(8)の合成
【化13】

15mlのCHCl中に1.45mgアルコール混合物5/6の溶液に、室温かつ窒素雰囲気下で1mlのメタンスルホン酸を添加した。混合物を15分間、攪拌して、50mlの飽和KHCO溶液に注いだ。水性相をMTBEで2度,抽出して、集めた有機相を飽和KHCOで洗浄し、MgSO上で乾燥して、真空中で濃縮した。粗生成物(1.3g)をフラッシュクロマトグラフィ(50gシリカゲル、ヘキサン/MTBE49:1)で精製して、0.4g(39%、2ステップ)の白色固体が得られた。キラルカラム(Hydrodex−B−6−TBDM、25m×0.25mm、170℃等温、60kPa H、スプリット1:50)を使用する分析は、(−)‐TDNF(7)と(+)‐TDNF(8)の56:44混合物であることを示したが、これは12%の鏡像異性体過剰率に等しい。
【0030】
例5:
アルゴン雰囲気下で、例1に記述した異性体純度95%のホモファルシル酸から調製した6.0g(15mmol)の(E,E)‐4,8,12‐トリメチル‐トリデカ‐3,7,11‐トリエノン酸(R)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(1)を、80mlのCHClおよび3mlトルエン中に溶解させた。この溶液を−75℃まで冷却し、液体窒素で冷却しながら、10mlのCHCl中の3.5ml(x 当量)クロロスルホン酸の−70℃冷溶液を、3分以内に添加した。反応混合物を、−70℃で10分間攪拌して、100mlの氷冷HOで急冷して、300mlのMTBEで希釈した。有機相を分離、HOで3度、20%KHPOで1度水洗し、MgSO上で乾燥させて、真空中で濃縮した。粗残留物(5.8g)を高真空で乾燥させ、10mlのTHFに溶解して、40mlのTHF中に1.5gLiAlHの懸濁液に、温度が35〜40℃に維持されるようにして、室温で添加した。反応混合物を、40℃で30分間攪拌して、1.5mlのHO、1.5mlの15%NaOHおよび4.5mlのHO用いて、0〜10℃で加水分解させた。この混合物を35℃で1時間攪拌して、濾過し、残留物をTHFで洗浄した。有機相はMgSO上で乾燥させて、真空中で濃縮した。
【0031】
残留物、4.79gの粘性のある油を、フラッシュクロマトグラフィ(120シリカゲル、ヘキサン/MTBE1:1)で精製して、4:1混合物(NMR分析)としての0.83g(25%、2ステップ)のアルコール5/6が得られた。10mlのCHCl中に0.7g(3mmol)の精製アルコール混合物5/6の溶液に、0.2ml(3mmol)メタンスルホン酸を、室温で添加した。この混合物を1.5時間攪拌して、20mlのMTBEおよび20mlの飽和KHCO溶液で希釈した。水性相をヘキサンで2度、抽出し、集めた有機相を飽和HKCO溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥させて、真空中で濃縮した。粗生成物(0.69g)を、バルブ・ツー・バルブ(bulb to bulb distillation)蒸留によって精製して(110℃/0.05Torr)、0.49gの白色固体が得られた。キラルカラム(Hydrodex−B−6−TBDM、25m×0.25mm、170℃等温、60kPa H、スプリット1:50)を使用する分析は、(−)‐TDNF(7)と(+)‐TDNF(8)の46:54混合物であることを示したが、これは8%の鏡像異性体過剰率に等しい(図3を参照)。
【0032】
例6: 4‐メチル‐6‐(2,6,6‐トリメチル‐シクロヘキサ‐1‐エニル)‐ヘキサ‐3‐エノン酸(S)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(11)
【化14】

100mlのMTBE中に、異性体純度95%の、10.0g(40mmol)の(E)4‐メチル‐6‐(2,6,6‐トリメチル‐シクロヘキサ‐1‐エニル)‐ヘキサ‐3‐エノン酸(S)の溶液(H.S. Corey, J.R.D. Cormick, W.E. Swensen, J. Am. Chem. Soc. 1964, 86, 1884)に、6.64g(40mmol)の(S)‐(+)‐マンデル酸メチルエステル、[α]=+144.9(c=1.04、MeOH)、および1.0gのDMAPを室温で添加した。次いで、MTBE100ml中にDDC8.24g(40mmol)の溶液を添加して、反応混合物を2時間攪拌した。1mlのMeOHおよび1mlのHTDNFを添加した後に、混合物を30分間攪拌して、濾過し、残留物をMTBEで洗浄した。集めた有機相を、真空中で濃縮して、残留物(18.0g)をフラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/MTBE9:1)によって精製して、無色の油分の形態で、14.0g(88%)の4‐メチル‐6‐(2,6,6‐トリメチル‐シクロヘキサ‐1‐エニル)‐ヘキサ‐3‐エノン酸(S)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(11)が得られた。
【0033】
【表4】

【0034】
例7: 4‐メチル‐6‐(2,6,6‐トリメチル‐シクロヘキサ‐1‐エニル)‐ヘキサ‐3‐エノン酸(R)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(12)
【化15】

100mlのMTBE中に10.0g(40mmol)の(E)4‐メチル‐6‐(2,6,6‐トリメチル‐シクロヘキサ‐1‐エニル)‐ヘキサ‐3‐エノン酸(H.S. Corey, J.R.D. Cormick, W.E. Swensen, J. Am. Chem. Soc. 1964, 86, 1884)の溶液に、6.64g(40mmol)(R)‐(−)‐マンデル酸メチルエステル、[α]=−144.9(c=1.04、MeOH)、および1.0gのDMAPを室温で添加した。次いで、MTBE100ml中に8.24g(40mmol)のDDCの溶液を添加して、反応混合物を3時間攪拌して、濾過し、残留物をMTBEで洗浄した。集めた有機相を真空中で濃縮して、残留物(17.6g)を、フラッシュクロマトグラフィ(250gシリカゲル、ヘキサン/MTBE9:1)によって精製して、無色の油分の形態で、12.2g(88%)の4‐メチル‐6‐(2,6,6‐トリメチル‐シクロヘキサ‐1‐エニル)‐ヘキサ‐3‐エノン酸(R)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(12)が得られた。
【0035】
【表5】

【0036】
例8:
ステップ1) (S)‐フェニル‐[(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐3,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐アセトキシ]‐酢酸メチルエステル(9)、および(S)‐フェニル‐[(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐1,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐アセトキシ]‐酢酸メチルエステル(10)の合成
【化16】

【0037】
アルゴン雰囲気下で、例6に記述した異性体純度91%のホモファルシル酸から調製した、7.0g(17.6mmol)の(E)‐4‐メチル‐6‐(2,6,6‐トリメチル‐シクロヘキサ‐1‐エニル)‐ヘキサ‐3‐エノン酸(S)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(11)を、100mlのCHCl中に溶解させた。この溶液を−90℃まで冷却し、液体窒素で冷却しながら、4.2ml(3.7当量)のクロロスルホン酸を、反応温度が−80℃を超えないようにして添加した。完全に添加した後に、反応混合物を、−85℃で30分間保持し、次いで飽和KHCOにすばやく注いだ。この混合物をMTBEで2度、抽出して、集めた有機相を飽和KHCO溶液で2度、洗浄して、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物(6.34g)を、フラッシュクロマトグラフィ(200シリカゲル、ヘキサン/MTBE9:1)によって精製して、5.0g(71%)のエステル9/10の混合物が得られ、これは、次のステップにおいて直接使用した。
【0038】
ステップ2) (4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐3,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐エタノール(5)および(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐1,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐エタノール(6)
【化17】

【0039】
50mlのTHF中に1.0g(26mmol)のLiAlHの懸濁液に、10mlのTHF中に溶解させた5.0g(12.6mmol)のエステル混合物3/4(例8、ステップ1)の溶液を20℃で添加し、この間に温度を40℃に上げた。この反応生成物を、40℃で1時間保持して、1mlのHOで注意深く加水分解させた。次いで、1mlの15%NaPH溶液を添加して、混合物を5分間攪拌した。2mlのHOを添加した後、20分間、攪拌を続けて、混合物を濾過した。残留物をMTBEで洗浄して、集めた有機相をMgSO上で乾燥させて、真空中で濃縮した。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/MTBE9:1)によって精製して、2.2gのアルコール混合物5/6(5:1、GC分析)が得られ、これは次のステップにおいて直接的に使用した。
【0040】
ステップ3) (−)‐TDNF(7)および(+)‐TDNF(8)の合成
【化18】

【0041】
20mlのCHCl中に1.9gのアルコール混合物5/6(例8、ステップ2)の溶液に、室温かつ窒素雰囲気下で1mlのメタンスルホン酸を添加した。この混合物を30分間攪拌して、100mlの飽和KHCO溶液に注いだ。水性相をMTBEで2度、抽出して、集めた有機相を飽和KHCO溶液で1度、食塩水で1度、洗浄し、MgSO4上で乾燥させて、真空中で濃縮した。粗生成物(1.84g)を、フラッシュクロマトグラフィ(50gシリカゲル、ヘキサン/MTBE49:1)で精製して、1.13gの白色固体が得られた。キラルカラム(Hydrodex−B−6−TBDM、25m×0.25mm、170℃等温、60kPa H、スプリット1:50)を使用する分析は、(−)‐TDNF(7)と(+)‐TDNF(8)の47:53混合物であることを示したが、これは6%の鏡像異性体過剰率に等しい。
【0042】
例9:
ステップ1) (S)‐フェニル‐[(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐3,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐アセトキシ]‐酢酸メチルエステル(9)および(S)‐フェニル‐[(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐1,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐アセトキシ]‐酢酸メチルエステル(10)の合成
【化19】

【0043】
アルゴン雰囲気下で、例6に記述した、91%異性体純度のモノシクロホモファルシル酸から調製された6.0g(15.0mmol)の‐4‐メチル‐6‐(2,6,6‐トリメチル‐シクロヘキサ‐1‐エニル)‐ヘキサ‐3‐エノン酸(S)‐メトキシカルボニル‐フェニル‐メチルエステル(11)を、45mlのCHCl中に溶解させた。この溶液を−35℃まで冷却し、冷却しながら、1.5ml(1.75当量)のHSOconc.を、反応温度が−30℃を超えないようにして添加した。添加の完了後に、反応混合物を、−25℃に30分間保持し、次いで100mlのKHCO溶液にすばやく注いだ。混合物をMTBEで2度、抽出して、集めた有機相を飽和KHCO溶液で1度、洗浄して、MgSO上で乾燥させて、真空中で濃縮した。粗残留物(5.46g)を、フラッシュクロマトグラフィ(200シリカゲル、ヘキサン/MTBE9:1)で精製して、3.2g(53%)のエステル混合物9/10が得られ、これを次のステップで直接的に使用した。
【0044】
ステップ2) (4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐3,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐エタノール(5)、および(4aS,8aS)‐2‐(2,5,5,8a‐テトラメチル‐1,4,4a,5,6,7,8,8a‐オクタヒドロ‐ナフタレン‐1‐イル)‐エタノール(6)
【化20】

【0045】
40mlTHF中に1.0g(26mmol)のLiAlHの懸濁液に、10mlのTHF中に溶解した3.0g(7.5mmol)エステル混合物3/4(例9、ステップ1)の溶液を20℃で添加し、この間に温度を40℃まで上げた。この反応混合物を40℃で1時間保持して、1mlのHOで注意深く加水分解させた。次いで、1mlの15%NaOH溶液を添加して、混合物を5分間攪拌した。2mlのHOを添加した後、20分間、攪拌を続けて、混合物を濾過した。残留物をMTBEで洗浄して、集めた有機相をMgSO上で乾燥させて、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/MTBE9:1)によって精製して、1.1gの5/6のアルコール混合物(4:1、GC分析)が得られ、これは次のステップで直接使用した。
【0046】
ステップ3) (−)‐TDNF(7)および(+)‐TDNF(8)の合成
【化21】

10mlのCHCl中に0.7gアルコール混合物5/6(例9、ステップ2)の溶液に、室温の窒素雰囲気下で1mlのメタンスルホン酸を添加した。この混合物を2時間攪拌して、20mlの飽和KHCO溶液に注いだ。水性相をMTBEで2度、抽出して、集めた有機相を飽和KHCOで1度、食塩水で1度、洗浄して、MgSO上で乾燥させて、真空中で濃縮した。粗生成物(0.5g)をGC(キラルカラムHydrodex‐β‐6‐TBDM、25m×0.25mm、170℃等温、60kPa H、スプリット1:50)によって分析し、その結果は、(−)‐TDNF(7)と(+)‐TDNF(8)の44:56混合物であることを示したが、これは12%の鏡像異性体超過に等しい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ジボダン社(Givaudan SA, Vernier, Switzerland)市販の(−)‐TDNFのガスクロマトグラフ(GC)を示す図である。
【図2】フィルメニッヒ社(Firmenich SA, Switzerland)よりCetalox(登録商標)として市販されている、(rac)‐TDNFのGCを示す図である。
【図3】例5で記述した46:54混合物として得られた、(−)‐TDNF(7)および(+)‐TDNF(8)のGCを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
50%を超える比率の1種の異性体を有する、(±)‐3a,6,6,9a‐テトラメチル‐ドデカヒドロ‐ナフト[2,1‐b]フラン(TDNF)混合物の製造方法であって、
1)(E,E)‐ホモファルシル酸および(E)‐モノシクロホモファルシル酸から選択される化合物を、式ROHのキラルアルコールと反応させるステップ;
2)ステップ1の成果物を酸と反応させて、式V:
【化1】

の化合物の1種を形成するステップ;
3)ステップ2の成果物を還元剤と反応させてアルコールを形成するステップ;および
4)ステップ3のアルコールを酸で処理して、式VIおよび式VII:
【化2】

の化合物を形成するステップ、
を含む前記方法。
【請求項2】
(−)‐TDNFの比率が50%を超える、TDNFの合成混合物。
【請求項3】
(+)‐TDNFの比率が50%を超える、TDNFの合成混合物。
【請求項4】
キラルアルコールROHが式:
【化3】

である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
式中:
,RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルケニル、アルキルシクロアルケニル、アリール、アルキルアリール、アルケニルアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、および好ましくはN、O、S、Si、から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むこれらのタイプの環状部分、から個別に選択され、R、RおよびRは任意選択で、好ましくはOH、CHO、COH、CO、CONH、CONHR、CONR、NO、CNから選択される少なくとも1つの置換基をさらに含み;R、RおよびRは独立にC〜Cアルキルであり;残基R、RおよびRは異なるものであることを条件とする。
【請求項5】
式IIIおよび式IV:
【化4】

式中、RはキラルアルコールROHの残基である、
の化合物からなる群から選択される、化合物。
【請求項6】
キラルアルコールが式:
【化5】

の化合物から選択される、請求項5に記載の化合物。
式中、
,RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルケニル、アルキルシクロアルケニル、アリール、アルキルアリール、アルケニルアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、および好ましくはN、O、S、Siから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むこれらのタイプの環状成分、から個別に選択され;R、RおよびRは、任意選択で、好ましくはOH、CHO、COH、CO、CONH、CONHR、CONR、NO、CNから選択される少なくとも1つの置換基をさらに含み;R、RおよびRは独立にC〜Cアルキルであり;残基R、RおよびRは異なるものであることを条件とする。
【請求項7】
(−)‐TDNFの比率が50%を超えるTDNFの混合物を製造するための中間体としての、請求項5に記載の化合物の使用。
【請求項8】
(+)‐TDNFの比率が50%を超えるTDNFの混合物を製造するための中間体としての、請求項5に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−508193(P2008−508193A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522896(P2007−522896)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000442
【国際公開番号】WO2006/010287
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】