説明

光学装置及び光学機器

【課題】操作性が向上した光学装置及び光学機器を提供する。
【解決手段】本発明の光学装置10は、光学系の外側に備えられる第1部材11と、前記第1部材11の外周に対向する対向部21Aと、支持部材2が取付けられる支持部22とを有し、前記第1部材11と相対的に回転する第2部材21と、前記第1部材11と前記対向部21Aとの間に備えられ、前記第1部材11と前記第2部材21との相対的な回転に伴って回転する回転部材30とを含む光学装置10であって、前記第1部材11は、前記回転部材30を介して前記第2部材21に保持され、前記回転部材30は、外周面に備えられた第1部分40、及び、前記第1部分40よりも前記光学系の像側の前記外周面に備えられた第2部分50が、前記第1部材11及び前記対向部21Aの少なくとも一方と接触していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置及び光学機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学装置、例えばレンズ鏡筒において、三脚に固定するための三脚座が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。また、レンズ鏡筒を装着した状態で、撮影状態に応じてカメラの位置を例えば横位置から縦位置に変更して撮影を行う場合がある。このような場合に対応するために三脚座は、三脚に固定された状態でその三脚座に保持された光学系を、カメラとともに相対回転させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−227535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、操作性が向上した光学装置及び光学機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1に記載の発明は、光学系の外側に備えられる第1部材(11)と、前記第1部材(11)の外周に対向する対向部(21A)と、支持部材(2)が取付けられる支持部(22)とを有し、前記第1部材(11)と相対的に回転する第2部材(20)と、前記第1部材(11)と前記対向部(21A)との間に備えられ、前記第1部材(11)と前記第2部材(20)との相対的な回転に伴って回転する回転部材(30)とを含む光学装置(10)であって、前記第1部材(11)は、前記回転部材(30)を介して前記第2部材(20)に保持され、前記回転部材(30)は、外周面に備えられた第1部分(40)、及び、前記第1部分(40)よりも前記光学系の像側の前記外周面に備えられた第2部分(50)が、前記第1部材(11)及び前記対向部(21A)の少なくとも一方と接触していることを特徴とする光学装置(10)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された光学装置(10)であって、前記回転部材(30)は、円柱形状の側面を有し、前記光学系の光軸と略平行な軸を中心に回転することを特徴とする光学装置(10)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載された光学装置(10)であって、前記回転部材(30)は、前記第2部材(20)と一体に備えられ、前記第1部材(11)は、前記第2部材(20)及び前記回転部材(30)と着脱可能であることを特徴とする光学装置(10)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までの何れか1項に記載された光学装置(10)であって、前記第1部材(11)は、前記光学系を含むレンズ鏡筒(10)の筒状の部材であり、前記回転部材(30)は、前記レンズ鏡筒(10)の周方向において、互いに間隔を隔てて3つ以上備えられていることを特徴とする光学装置(10)である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載された光学装置(10)であって、前記回転部材(30)のうちの少なくとも2つは、前記支持部(22)を挟んで対称な位置に備えられていることを特徴とする光学装置(10)である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載された光学装置(10)であって、前記支持部(22)を挟んで対称な位置に備えられた少なくとも2つの前記回転部材(30)は、前記支持部(22)の近傍に備えられていることを特徴とする光学装置(10)である。
請求項7に記載の発明は、請求項2から請求項6までの何れか1項に記載された光学装置(10)であって、前記回転部材(30)の縁部は、前記第1部材(11)の外周面及び前記第2部材(20)の内周面と非接触であること、を特徴とする光学装置(10)である。
請求項8に記載の発明は、請求項2から請求項7までの何れか1項に記載された光学装置(10)であって、該光学装置(10)が着脱可能な光学機器(1)と接続するためのマウント部(10M)を有し、該マウント部(10M)から前記第2部材(20)が配置されている位置までの距離が長いほど、前記回転部材(30)の長さが長いこと、を特徴とする光学装置(10)である。
請求項9に記載の発明は、光学系の外側に備えられる筒状部材(12)と、円柱形状の側面を有し、前記筒状部材(12)の外周面に備えられ、前記光学系の光軸と略平行な軸を中心に回転する回転部材(30)とを含むことを特徴とする光学装置(10)である。
請求項10に記載の発明は、光学系を有するレンズ鏡筒(10)の外周に取付け可能な環状の環状部(20)と、前記環状部(20)に備えられ、支持部材(2)が取付けられる支持部(22)と、前記環状部(20)に備えられ、前記レンズ鏡筒(10)と前記環状部(20)との相対的な回転に伴って回転する回転部材(30)とを含む光学装置(10)であって、前記回転部材(30)は、外周面に備えられた第1部分(40A)、及び、前記第1部分(40A)よりも前記光学系の像側の前記外周面に備えられた第2部分(40B)が前記レンズ鏡筒(10)と接触可能であることを特徴とする光学装置(10)である。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載された光学装置(10)であって、前記回転部材(30)は、円柱形状の側面を有し、前記光学系の光軸と略平行な軸を中心に回転することを特徴とする光学装置(10)である。
請求項12に記載の発明は、請求項1から請求項11までの何れか1項に記載された光学装置(10)を含むことを特徴とする光学機器(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作性が向上した光学装置及び光学機器を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願発明の一実施形態であるレンズ鏡筒が三脚によって支持された状態を示す斜視図である。
【図2】レンズ鏡筒の外観図である。
【図3】図2のA−A断面に相当する三脚座における光軸と直交する断面図である。
【図4】図3のB−B断面に相当する光軸を含む断面図である。
【図5】図4のC−C断面図である。
【図6】ローラピンの変形形態を示した図であり、(a)は断面が矩形パルス状、(b)は波状、(c)は糸巻き状のローラピンを示した図である。
【図7】本発明の変形形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸OAを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラの位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。この被写体に向かうZプラス側を被写体側、Zマイナス側を像側とも呼称する。Z軸方向は、光軸OA方向と等しい。
【0010】
図1は、本願発明の一実施形態であるレンズ鏡筒10が三脚2によって支持された状態を示す斜視図である。図2は、レンズ鏡筒10の外観図である。
レンズ鏡筒10は、その像側の端部にレンズマウント10Mを備えており、このレンズマウント10Mを介してカメラボディ1に着脱可能に装着される、いわゆる交換レンズである。レンズ鏡筒10は、図示しないが内部に複数のレンズ群を備えており、当該レンズ群によって、カメラボディ1が備える撮像素子またはフィルム等の撮像面に被写体像を結像させる。
なお、本実施形態におけるレンズ鏡筒10は、焦点距離がたとえば400mm等の長焦点で比較的重量の大きな交換レンズである。
【0011】
レンズ鏡筒10は、鏡筒本体11に三脚座20を備えており、この三脚座20を介して三脚2(または一脚等の支持部材)に支持されるようになっている。鏡筒本体11に対する三脚座20の位置は、当該レンズ鏡筒10をカメラボディ1に装着した状態における略重心位置に設定されている。
【0012】
三脚座20は、リング部21と、装着座部22とを備える。
リング部21は、レンズ鏡筒10における光軸OA方向に所定の幅を有する円環状であって、鏡筒本体11の外周に、光軸OA方向には移動不能且つ光軸OAを中心として回転可能に装着されている。また、リング部21は、鏡筒本体11に対して固定する固定ネジ21Sを備えている。この固定ネジ21Sを締め込むことによって、リング部21が(すなわち三脚座20が)鏡筒本体11に対して回転不能に固定されるようになっている。
【0013】
装着座部22は、細長い矩形の座面22Pを有している。座面22Pは、その長辺方向がリング部21の鏡筒本体11に対する回転中心(すなわち光軸OA)と平行に形成されている。
また、装着座部22は、座面22Pに図示しないが固定メネジを備えている。この固定メネジに雲台等の固定ネジを締め込むことで、図2に示すように座面22Pに雲台等の支持面Tが密着する。これにより、図1に示すように、三脚座20が三脚2に固定され、レンズ鏡筒10は三脚座20を介して三脚2に支持される。
三脚座20は、前述したように鏡筒本体11に対して相対回転可能であるため、三脚2に固定された三脚座20に対して鏡筒本体11を光軸OA回りに回転させることで、カメラボディ1における画面構図を縦位置および横位置に自由に変更することができる。
【0014】
つぎに、三脚座20と鏡筒本体11との相対回転部位の構成を、前述した図1および図2に加えて図3〜図5を参照してより詳細に説明する。
図3は、図2のA−A断面に相当する三脚座20における光軸OAと直交する断面図である。図4は、図3のB−B断面に相当する光軸OAを含む断面図である。図5は、図4のC−C断面図である。
【0015】
三脚座20は、前述したように、リング部21と、装着座部22とにより構成されている。
リング部21は、鏡筒本体11の光軸OA方向に所定の幅を有し、鏡筒本体11の外筒外周部分に形成された被装着部12の外周に外挿されている。リング部21と被装着部12の間には、複数(本実施形態では3本)のローラピン30が介設されている。リング部21は、鏡筒本体11に固定された固定環13によって、光軸OA方向には移動不能として、被装着部12に装着されている。
【0016】
鏡筒本体11における被装着部12は、所定の外径で、光軸OA方向に所定の幅を有している。
鏡筒本体11は、被装着部12を挟んで被写体側が大径化する階段状に形成されおり、被装着部12の被写体側は当該被装着部12から外周側に立ち上がる被写体側壁面11Aとなっている。また、被装着部12の像側には、当該被装着部12から内周側に小径となる像側壁面11Bとなっている。被写体側壁面11Aおよび像側壁面11Bは、共に光軸OA(Z軸)と直交し像側を向く面である。
【0017】
被装着部12における被写体側壁面11Aと隣接する角部には、光軸OA方向に所定幅の被写体側逃げ部12Bが形成されている。また、被装着部12における像側壁面11Bと隣接する角部には、光軸OA方向に所定幅の像側逃げ部12Cが形成されている。これらの逃げ部12B,12Cは、それぞれ、鏡筒本体11の周方向に連続している。被装着部12における逃げ部12B,12Cを除いた部位が、後述するローラピン30に当接する領域であり、その光軸OA方向における幅は、装着部当接幅:iである。
【0018】
鏡筒本体11における像側壁面11Bより像側の小径部14には、ネジ14Aが形成されており、このネジ14Aに固定環13が螺合している。
固定環13は、所定幅の環状で、両端はその中心軸と直交する平面状に形成されている。固定環13の内周には、鏡筒本体11における小径部14に螺合するネジ13Bが形成されている。また、固定環13の外周は、リング部21の像側の端部が遊嵌可能な外径となっている。固定環13は、鏡筒本体11のネジに像側からねじ込まれ、その端面13Aが鏡筒本体11における像側壁面11Bに当接している。固定環13の外径は、鏡筒本体11における被装着部12の外径より大きい。これにより、固定環13の端面13Aと、鏡筒本体11における被写体側壁面11Aとの間に、リング部21を収容する被装着空間を形成している。
【0019】
リング部21は、円環状であって、その内周には嵌合内周部21Aが形成されている。嵌合内周部21Aは、鏡筒本体11における被装着部12に、所定の間隔を有して嵌め込まれる径に設定されている。嵌合内周部21Aの像側には、固定環13の外周に嵌め込まれる重合部21Dが、光軸OA方向に延設されている。
【0020】
嵌合内周部21Aの光軸OA方向における幅は、固定環13の端面13Aと鏡筒本体11における被写体側壁面11Aとの間隔より小さく設定されている。
嵌合内周部21Aの被写体側の端面と、鏡筒本体11の被写体側壁面11Aとの間には、被写体側スペーサ15Aが配置されている。また、嵌合内周部21Aの像側の端面と固定環13の端面13Aとの間には、像側スペーサ15Bが配置されている。
【0021】
被写体側スペーサ15Aおよび像側スペーサ15Bは、それぞれ所定厚さのリング状で、被装着部12と嵌合内周部21Aとの光軸OA方向における隙間を埋めて、被装着部12(鏡筒本体11)に対する嵌合内周部21A(リング部21すなわち三脚座20)のガタ付きを防いでいる。なお、これらのスペーサ15A,15Bは、複数種類の厚さの異なるものが用意されており、組立時に適当なものを選択して用いることで各構成要素の製造誤差を吸収して最適な組立状態となるようになっている。
【0022】
この、被写体側スペーサ15Aにおける像側の面と、像側スペーサ15Bの被写体側の面との、光軸OA方向における間隔が、後述する装着空間幅:mである。また、被写体側逃げ部12Bの幅から被写体側スペーサ15Aの厚さを減じた幅が、後述する(図4中に示す)鏡筒本体11における被写体側逃げ幅:pである。さらに、像側逃げ部12Cの幅から像側スペーサ15Bの厚さを減じた幅が、鏡筒本体11における像側逃げ幅:qである。
【0023】
リング部21における嵌合内周部21Aの被写体側の角部には、光軸OA方向に所定幅:rの被写体側逃げ部21Bが形成されている。また、嵌合内周部21Aにおける像側の角部には、光軸OA方向に所定幅:sの像側逃げ部21Cが形成されている。また、嵌合内周部21Aにおけるこれらの逃げ部21B,21Cに挟まれた領域は、内径部21Fとなっている。この内径部21Fの径は、逃げ部21B,21Cより小径となっている。この内径部21Fの光軸OA方向における幅は、後述するローラピン30を回転可能に支持するに支持部幅:hである。
【0024】
内径部21Fの内周面には、図5に示すように、保持溝21Eが形成されている。保持溝21Eは、断面形状が所定角度の略V字状で、光軸OAと平行に延設されており、その内部にローラピン30が収容される。保持溝21Eに収容されたローラピン30は、保持溝21Eの両内壁と光軸OAと平行な線状で当接し、回転可能に支持される。ローラピン30は、内径部21Fの内周面より内周側に突出し、鏡筒本体11における被装着部12の外周面に当接するように設定されている。
【0025】
ローラピン30は、所定長さ:gの円柱状の部材であって、例えば、金属またはカーボンによって形成されている。ローラピン30の軸端の端面31A,31Bの角部は、それぞれRを設けて形成されている。ただし、これに限定されず、ローラピン30の軸端の端面31A,31Bの角部は面取りしても良く、また端面31A,31B全体を丸みをつけて球の一部として形成しても良い。ローラピン30は、リング部21における内径部21Fに形成された保持溝21Eに、その中心軸を光軸OAと平行として保持されている。そして、鏡筒本体11における被装着部12の外周面に当接している。
【0026】
リング部21の周方向におけるローラピン30の配置は、図3に示すように、装着座部22における座面22Pの中心と光軸OAとを通るY軸方向の中心線(鉛直中心線VC)上で、且つ、光軸OAを通り鉛直中心線VCと直交するX軸方向の水平線(水平中心線HC)より図中上側に1カ所、水平中心線HCより装着座部22の側の領域(装着座側領域)に2カ所となっている。装着座側領域における2カ所のローラピン30は、鉛直中心線VCを挟んで対称位置に配設されている。さらに、装着座側領域における2カ所のローラピン30は、装着座部22における座面22Pを鉛直中心線VCと平行に投影した領域内(鉛直中心線VC側,座面投影領域)に配設されている。
【0027】
このようなローラピン30の配置により、装着座部22を重力方向下側として三脚等に装着する基本的な使用状態において、鏡筒本体11の重量を下側の2カ所のローラピン30で受けることができる。上側の一カ所のローラピン30は、鏡筒本体11がガタ無く安定して回転するように保持する。
【0028】
ここで、上記各構成要素における光軸OA方向における寸法は、下記の条件を満たすように設定されている。
すなわち、図4中に示すように、
ローラピン30の長さ:g
リング部21における嵌合内周部21Aの支持部幅:h
鏡筒本体11における被装着部12の装着部当接幅:i
ローラピン30の端面31Aと被写体側スペーサ15Aとの隙間:j
ローラピン30の端面31Bと像側スペーサ15Bとの隙間:k
被写体側スペーサ15Aと像側スペーサ15Bと間の装着空間幅:m
鏡筒本体11における被写体側逃げ幅:p
鏡筒本体11における像側逃げ幅:q
リング部21における被写体側逃げ部21Bの幅:r
リング部21における像側逃げ部21Cの幅:s
として、
【0029】
g>h
g>i
かつ、
m=g+j+k
さらに、
p>j+k
q>j+k
r>j+k
s>j+k
【0030】
上記のような設定により、
ローラピン30の端面31Aと被写体側スペーサ15Aの間には隙間:jが設定され、端面31Bと像側スペーサ15Bとの間には隙間:kが設定されている。このため、ローラピン30の回転を妨げることがない。
【0031】
また、ローラピン30における端部(端面31A,31B)のエッジは、リング部21における嵌合内周部21Aおよび鏡筒本体11における被装着部12に当接しない。このため、ローラピン30のエッジが嵌合内周部21Aおよび被装着部12に当接することに起因する傷や摩耗粉等の発生が無く、長期に渡って円滑な回転が可能となる。
【0032】
上記のように構成されたレンズ鏡筒10は、鏡筒本体11と三脚座20とがローラピン30の転動によって円滑に相対回転する。
図1に示すように、レンズ鏡筒10は、三脚座20によって三脚2等の支持部材に安定的に支持される。そして、固定ネジ21Sを緩めて三脚座20に対して鏡筒本体11を回転可能とし、鏡筒本体11を光軸OA中心回りに回転させることで、装着されたカメラボディ1における画面構図を縦位置および横位置に自由に変更することができる。
【0033】
この鏡筒本体11を回転させてカメラボディ1における画面構図を変更する際において、たとえば、カメラボディ1のグリップを握って操作すると、図2中に矢印で示すように三脚座20に当該三脚座20を支点として揺動させる方向の力が作用する場合がある。この揺動力は、三脚座20からカメラボディ1までの距離(図2においてLで示す)に応じたモーメントで鏡筒本体11を三脚座20に対してこじる(傾ける)ように作用する。本構成では、光軸方向に長いローラピン30が、このこじる力に抗するため、このような場合でも円滑に回転させることができる。
なお、ローラピン30の光軸OA方向の長さは、三脚座20からカメラボディ1までの距離:Lに応じて設定する。すなわち、距離:Lが大きければ、ローラピン30を長くする。これにより、円滑な回転が可能となる。
【0034】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)例えば当該部位に球状のボールが配置されている場合、鏡筒本体とボールとは点接触で、三脚座とボールとも点接触になるため、こじり力が働くと、三脚座に対して鏡筒本体が傾いて、鏡筒本体が移動しずらくなる。
しかし、本実施形態では、鏡筒本体11と三脚座20におけるリング部21との間に、光軸方向に細長いローラピン30が介設されている。鏡筒本体11とローラピン30の外周面は線接触している(すなわち、1点でなく、少なくとも、図4に示す第1部分40、及び、その第1部分40よりも像側の前記外周面に備えられた第2部分50で接触している)。これにより、鏡筒本体11にこじるような力が作用しても、鏡筒本体11の三脚座20に対する傾きは少なく、鏡筒本体11と三脚座20との円滑な相対回転が可能となる。
【0035】
(2)ローラピン30は、鉛直中心線VC上に1カ所、水平中心線HCより装着座部22の側の領域に鉛直中心線VCを挟んで対称位置に2カ所、合計3カ所配設されている。そして、鏡筒本体11の重量を下側の2カ所のローラピン30で受け、上側のローラピン30で鏡筒本体11をガタ無く保持する。これにより、鏡筒本体11と三脚座20とが安定して相対回転するように構成できる。
【0036】
(3)ローラピン30における端部(端面31A,31B)のエッジが、リング部21における嵌合内周部21Aおよび鏡筒本体11における被装着部12に当接しない。このため、ローラピン30のエッジが嵌合内周部21Aおよび被装着部12に当接することに起因する傷や摩耗粉等の発生が無く、長期に渡って円滑な回転が可能となる。
【0037】
(4)ローラピン30の端面31A,31Bと、被写体側スペーサ15Aおよび像側スペーサ15Bとの間には隙間:j,kを有し、ローラピン30の回転に抵抗を生じない。また、万一ローラピン30の位置が光軸方向にずれて一方に当接しても、ローラピン30の端面31A,31Bは円弧状に形成されているために点接触となり、回転抵抗を極めて少なく抑えることができる。
【0038】
(5)ローラピン30は、三脚座20におけるリング部21に形成された保持溝21Eに保持されている。このため、鏡筒本体11を回転させても、ローラピン30の三脚座20に対する位置は変化せず、鏡筒本体11を常に安定して保持することができる。
【0039】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)上述のローラピン30は、円柱状のものについて説明したが、本発明はこれに限定されない。図6はローラピンの変形形態を示した図であり、図6(a)は断面におけるローラピン30Aの輪郭が矩形パルス状の形態を示した図である。この場合も、ローラピン30Aと鏡筒本体11とは、1点でなく、少なくとも、図6(a)に示す第1部分40A、及び、その第1部分40Aよりも像側の前記外周面に備えられた第2部分50Aで接触する。これにより、鏡筒本体11にこじるような力が作用しても、鏡筒本体11の三脚座20に対する傾きは少なく、鏡筒本体11と三脚座20との円滑な相対回転が可能となる。
【0040】
図6(b)は断面におけるローラピン30Bの輪郭が波状の形態を示した図である。この場合も、ローラピン30Bと鏡筒本体11とは、1点でなく、少なくとも、図6(b)に示す第1部分40B、及び、その第1部分40Bよりも像側の前記外周面に備えられた第2部分50Bで接触する。これにより、鏡筒本体11にこじるような力が作用しても、鏡筒本体11の三脚座20に対する傾きは少なく、鏡筒本体11と三脚座20との円滑な相対回転が可能となる。
【0041】
図6(c)はローラピンが糸巻き状の場合を示した図である。この場合も、ローラピン30Bと鏡筒本体11とは、1点でなく、図6(c)に示す第1部分40C、及び、その第1部分40Cよりも像側の前記外周面に備えられた第2部分50Cで接触する。これにより、鏡筒本体11にこじるような力が作用しても、鏡筒本体11の三脚座20に対する傾きは少なく、鏡筒本体11と三脚座20との円滑な相対回転が可能となる。
【0042】
(2)さらに、図7に示すように、鏡筒本体11の被装着部12における被写体側壁面11Aと像側壁面11Bとの間に軸部材60を配置し、一方、ローラピン30Dに貫通孔30Eを設け、その貫通孔30Eに軸部材60を挿通させるようにしてしても良い。ローラピン30DAは、リング部21と接触し、鏡筒本体11とは、接触していない。
また、同様に、リング部に回転軸を固定するようにしてもよい。この場合、ローラピンは、鏡筒本体と接触し、リング部とは、接触させないようにする。
ここで、図7に示すように、ローラピンが鏡筒本体と接触するとき、ローラピンの回転軸は、鏡筒本体の外周面(接触面)と平行であることが好ましい。
同様に、ローラピンがリング部と接触するとき、ローラピンの回転軸は、リング部の内周面(接触面)と平行であることが好ましい。
さらに、第1部分と第2部分とを結ぶ直線がローラピンの回転軸と平行であることが好ましい。
同様に、ローラピンが鏡筒本体及びリング部と接触するとき、ローラピンの回転軸は、鏡筒本体及びリング部の接触面と平行であることが好ましい。より好ましくは、ローラピンの回転軸は光軸に平行である。
【0043】
(3)本実施形態では、ローラピンを3カ所設けた。しかし、これに限らず、3カ所以上であればよい。
(4)また、ローラピンの配設位置も、上記実施形態に限定されず、適宜設定可能なである。
(5)ローラピンは、リング部と一体に備えられ、鏡筒本体は、リング部及びローラピンと着脱可能であってもよいし、ローラピンは、鏡筒本体と一体に備えられ、リング部は、鏡筒本体及びローラピンと着脱可能であってもよいし、さらにローラピンは、鏡筒本体及びリング部と別体に備えられ、鏡筒本体、リング部及びローラピンは着脱不可能であってもよい。
(6)上述の実施形態では、レンズ鏡筒について説明したが、本発明はこれに限定されず、スチルカメラ、ビデオカメラ、カメラボディ、携帯電話にも適用可能である。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0044】
1:カメラボディ、2:三脚、10:レンズ鏡筒、10M:レンズマウント、11:鏡筒本体、12:被装着部、15A:被写体側スペーサ、15B:像側スペーサ、20:三脚座、21:リング部、21A:嵌合内周部、21E:保持溝、22:装着座部、30:ローラピン、31A,31B:端面、OA:光軸、VC:鉛直中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系の外側に備えられる第1部材と、
前記第1部材の外周に対向する対向部と、支持部材が取付けられる支持部とを有し、前記第1部材と相対的に回転する第2部材と、
前記第1部材と前記対向部との間に備えられ、前記第1部材と前記第2部材との相対的な回転に伴って回転する回転部材とを含む光学装置であって、
前記第1部材は、前記回転部材を介して前記第2部材に保持され、
前記回転部材は、外周面に備えられた第1部分、及び、前記第1部分よりも前記光学系の像側の前記外周面に備えられた第2部分が、前記第1部材及び前記対向部の少なくとも一方と接触していることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載された光学装置であって、
前記回転部材は、円柱形状の側面を有し、前記光学系の光軸と略平行な軸を中心に回転することを特徴とする光学装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された光学装置であって、
前記回転部材は、前記第2部材と一体に備えられ、
前記第1部材は、前記第2部材及び前記回転部材と着脱可能であることを特徴とする光学装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記第1部材は、前記光学系を含むレンズ鏡筒の筒状の部材であり、
前記回転部材は、前記レンズ鏡筒の周方向において、互いに間隔を隔てて3つ以上備えられていることを特徴とする光学装置。
【請求項5】
請求項4に記載された光学装置であって、
前記回転部材のうちの少なくとも2つは、前記支持部を挟んで対称な位置に備えられていることを特徴とする光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載された光学装置であって、
前記支持部を挟んで対称な位置に備えられた少なくとも2つの前記回転部材は、前記支持部の近傍に備えられていることを特徴とする光学装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記回転部材の縁部は、前記第1部材の外周面及び前記第2部材の内周面と非接触であること、
を特徴とする光学装置。
【請求項8】
請求項2から請求項7までの何れか1項に記載された光学装置であって、
該光学装置が着脱可能な光学機器と接続するためのマウント部を有し、
該マウント部から前記第2部材が配置されている位置までの距離が長いほど、前記回転部材の長さが長いこと、
を特徴とする光学装置。
【請求項9】
光学系の外側に備えられる筒状部材と、
円柱形状の側面を有し、前記筒状部材の外周面に備えられ、前記光学系の光軸と略平行な軸を中心に回転する回転部材とを含むことを特徴とする光学装置。
【請求項10】
光学系を有するレンズ鏡筒の外周に取付け可能な環状の環状部と、
前記環状部に備えられ、支持部材が取付けられる支持部と、
前記環状部に備えられ、前記レンズ鏡筒と前記環状部との相対的な回転に伴って回転する回転部材とを含む光学装置であって、
前記回転部材は、外周面に備えられた第1部分、及び、前記第1部分よりも前記光学系の像側の前記外周面に備えられた第2部分が前記レンズ鏡筒と接触可能であることを特徴とする光学装置。
【請求項11】
請求項10に記載された光学装置であって、
前記回転部材は、円柱形状の側面を有し、前記光学系の光軸と略平行な軸を中心に回転することを特徴とする光学装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までの何れか1項に記載された光学装置を含むことを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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