説明

光源モジュール、液晶表示装置および光源モジュールの製造方法

【課題】赤青緑のLEDを搭載し、レンズで密閉する構造の光源モジュールにおいて、樹脂封入孔から透明封止樹脂を充填する方法では気泡の発生によって量産歩留まりが低下する問題があった。また、充填した透明封止樹脂の加熱硬化工程に於いて、封止部が密閉構造のため透明封止樹脂の熱膨張によるレンズ剥離などの障害が生じていた。
【解決手段】LEDを搭載した基板と、LEDの周囲を取り囲むウォールと、この上に被せられるレンズキャップと、上記で形成される空間に充填された透明封止樹脂と、から構成される光源モジュールとした。これにより透明封止樹脂をLEDの上方より滴下することを可能とし、気泡の脱泡処理、封止工程の簡単化を実現する。また、透明封止樹脂を開放した製造方法により加熱硬化工程における不具合を解消した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源モジュール、液晶表示装置および光源モジュールの製造方法に関し、特に液晶パネルを背面から導光板を用いて照明するエッジライト方式のLEDバックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置の構成について図7を用いて説明する。従来の液晶表示装置の光源には、発光効率の高い小型の冷陰極蛍光管が用いられている。冷陰極蛍光管から出た光は、直接または背面の反射板で反射されて透明な樹脂材料で成型された導光板に入射する。入射光は導光板内で反射を繰り返して導光板各部に到達する。導光板は液晶パネルに向かって背面側に白色塗料の印刷や反射溝が形成され、光の乱反射を促して液晶パネル方向に光を出射する。ここで、導光板の白色塗料や溝の密度を調整して、液晶パネル方向の光量の均一性を得る事が行なわれている。また、導光板と液晶パネル間にプリズムシートや拡散シートなどの光学シートが設けられる。このような手段で均一化された光によって液晶パネル全面を照明して表示を行なう構成となっている。
【0003】
近年、光源の更なる小型化と、冷陰極蛍光管に使われる水銀の環境規制の動向などから、冷陰極蛍光管に代わる光源の利用が進められている。冷陰極蛍光管に代わる有力な方式として、LED(発光ダイオード)を用いる方式がある。例えば、特許文献1のような方法が知られている。特許文献1では、複数の白色LEDを長手方向に配置し、導光板に光を入射する構造が開示されている。このように白色LEDを利用することにより、LED発光特性の指向性による光利用効率の向上が期待できる。また、駆動電圧を低電圧化できるので、冷陰極蛍光管駆動用の高電圧回路が不要となり、小型化が実現できる。
【0004】
一方、LEDを用いた液晶表示装置に付加価値を付与する方法として、赤青緑のLEDを用いた光源を採用した液晶表示装置が知られている。赤青緑のLEDを搭載する利点として、液晶でフルカラー表示したときに色再現範囲が広くできることが挙げられる。白色LEDは、青色系のLEDと青色光の一部を黄色近傍光に変換する蛍光体で構成されているため、発光スペクトルが青色と黄色近傍にピークがある。このため、フルカラー液晶パネルに設けられている赤青緑のカラーフィルタ通過時に赤と緑は黄色近傍光の分離によって得られるので色純度が悪く、色再現性を広くできなかった。これに対して、赤青緑のLEDを用いた場合は、各色の色純度を保ったままカラーフィルタを通過できるので色再現範囲が広くできる。しかし、赤青緑のLEDを用いた構成では、各色LEDの位置関係や輝度ばらつきによって色むらや輝線が生じるため、赤青緑の光を混色して白色光を合成する必要がある。赤青緑のLEDから白色光を合成する例として、特許文献2のような光源装置が知られている。特許文献2では、赤青緑のLEDを搭載した光源モジュールと導光板の間に、透光性樹脂(メタクリル樹脂等)に光拡散材料(マイカ)を分散した棒状板の光混合部材を設け、白色混合を行なう構造が開示されている。このように、赤青緑の混合を行なうためには、光源から導光板に至る経路上にある程度の距離を設ける構造が必要である。
【0005】
LEDを液晶表示装置の光源に用いる場合、充分な光量を確保するために高輝度のLEDが用いられている。高輝度LEDは、現在のところ発光効率が低いため、投入電力の半分程度が発熱となっている。LEDの特性として、温度上昇に伴ってさらに発光効率が下がるため、効率よく放熱を行なう構造が必要である。このようなことから、LEDは熱伝導率の高い金属基板上に搭載される。金属基板に搭載されたLEDは、振動などに対する機械的な保護や、水分や酸化などによる腐食を防ぐために、半導体パッケージと同様に樹脂による封止が行なわれる。LEDの封止に用いられる樹脂は、LEDに使われているサファイヤ基板からの光の取り出し効率を向上するために、屈折率が1.5前後の透明樹脂が用いられている。さらに、透明封止樹脂は、内部で光の吸収が起きないように、光透過率の高い材料が用いられている。透明封止樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが一般的に使われている。これらの透明封止樹脂は、150度程度の加熱処理を行なうことによって硬化する熱硬化樹脂であり、組立時には流動的な液体として取り扱うことができる。
【0006】
液晶表示装置のように長期信頼性を求められる用途では、透明封止樹脂の光学的な信頼性を確保する必要がある。特に、白色LED、青色LEDはエネルギー密度の高い近紫外領域の光を発するため、封止樹脂の分子的な結合を変化させ、劣化を促進する恐れがある。砲弾型のLEDに使われているエポキシ樹脂は、長期間の使用によって黄変劣化し、色調の変化が現れることが知られている。エポキシ樹脂の黄変劣化の原因としては、エポキシ樹脂の光透過特性がわずかに近紫外領域の光を吸収してしまうことが考えられている。このようなことから、近紫外領域の透過率が良好なシリコーン樹脂が長期信頼性を求められる用途に適している。しかしながら、シリコーン樹脂はエポキシ樹脂に比べ数倍のコストがかかる材料であるため、封止に用いる容量ができる限り少なくなるように構造を設計する必要がある。
【0007】
LED光源モジュールの製造方法として、特許文献3に示す方法が知られている。特許文献3では、セラミックス基板上にLEDを搭載後、LEDおよび接続部が収まる必要最小限の空間と樹脂注入孔が形成されているガラスレンズを被せ接着を行ない、その後、ガラスレンズの樹脂注入孔から透明シリコーン樹脂を注入し、熱硬化によって完成させる製造方法が開示されている。このように、ガラスレンズと必要最小限の透明封止樹脂で構成する場合、ガラスレンズに比較して高価な透明封止樹脂の使用量を少なくできるのでコスト低減に効果がある。
【0008】
【特許文献1】特開2002−75038号
【特許文献2】特開2001−143516号
【特許文献3】特開2004−207660号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献3に示される透明封止樹脂を密閉するレンズを有する光源モジュールの構造を赤青緑のLEDの光源モジュールに適用する場合、光源モジュールは赤青緑のLEDを少なくとも1つ以上サブマウント上に搭載するため、LEDおよび接続部を収めるガラスレンズの空間が大容量化する傾向がある。前記ガラスレンズの空間を充填する透明封止樹脂は高価であるため、ガラスレンズの空間の高さをできる限り低くするとともに、LEDおよび接続部の高密度実装を行なって封止量の低減を行なう必要がある。しかしながら、このような構造においてガラスレンズの樹脂封入孔から透明封止樹脂を封入すると、LEDチップや配線部の裏側に透明封止樹脂が回り込みにくく、気泡が発生しやすい問題がある。発生した気泡の除去は非常に困難であるため、量産歩留まりを低下させる原因となっている。
【0010】
また、透明封止樹脂を熱硬化させる加熱工程においても量産歩留まりを低下させる問題がある。透明封止樹脂を硬化させる加熱工程では、光源モジュールごと硬化温度への加熱、常温への冷却を行なう。このとき、透明封止樹脂は温度変化に伴って熱膨張と熱収縮を生じる。特許文献3のような密閉構造では、透明封止樹脂の熱変形が拘束されるため各部に熱応力が発生する。熱膨張過程では、ガラスレンズの空間を形成するガラスレンズとメタルコア基板の内面に一様な圧力が加わり、この圧力による力が前記2つの材料間の接合部に集中し、大きな引張応力を生じる。この引張応力により、ガラスレンズが剥がれる不具合があった。また、樹脂注入孔から膨張した透明封止樹脂が溢れ出て硬化するため、これの除去工程が必要であった。一方、熱収縮過程では、透明封止樹脂の体積が小さくなるため、ガラスレンズ、LEDと透明封止樹脂の間に剥離が生じて光学的な結合を損なう問題があった。さらには、LEDがサブマウントから引き剥がされる故障を生じる問題があった。
【0011】
さらに、赤青緑のLEDを用いた光源モジュールでは、高密度に実装されたLEDにより発熱が大きいため、レンズキャップ、透明封止樹脂、メタルコア基板がそれぞれの線膨張係数の差により熱膨張を生じ、各部材の界面に熱応力が発生して接合面の剥離や材料のクラックなどの不良を生じることがあった。このため、熱応力が大きくならないように、レンズキャップおよびメタルコア基板を個片に分割し、短尺の個片モジュールを複数個並べて1つの光源モジュールとすることが行なわれてきた。しかし、個片モジュールを連結した光源モジュールは、少数の長尺モジュールで構成される光源モジュールの製造コストに比べ割高となる上、個片モジュール間の空隙の影響で光の混合が損なわれて輝線などを生じ、画質劣化を招くことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その構成は次の構成である。赤青緑のLEDチップと、前記赤青緑のLEDチップを搭載するサブマウント基板と、前記サブマウント基板を囲む配線基板と、前記サブマウント基板と前記配線基板を搭載するメタルコア基板と、前記サブマウント基板の周囲を取り囲むとともに前記配線基板の上に設けられたウォールと、前記赤青緑のLEDチップ及び前記ウォールの上に設けられた透明材料からなるレンズキャップと、前記赤青緑のLEDチップと前記レンズキャップとの間の空間に充填された透明封止樹脂と、から光源モジュールを構成する。前記光源モジュールは、赤青緑のLEDチップを準備する工程と、前記赤青緑のLEDチップをサブマウント基板に搭載する工程と、配線基板を準備する工程と、前記配線基板をメタルコア基板に搭載する工程と、前記サブマウント基板を前記メタルコア基板上であって前記配線基板で囲まれた領域に搭載する工程と、前記サブマウント基板の周囲を取り囲むウォールを前記配線基板の上に設ける工程と、前記赤青緑のLEDチップを前記ウォールで囲んだ空間に透明封止樹脂を充填する工程と、前記ウォール及び前記透明封止樹脂の上に透明材料からなるレンズキャップを設ける工程によって製造する。
【0013】
このようにすることにより、透明封止樹脂を赤青緑のLEDの上方より滴下して簡易に封止作業が行なえるようになる。万一、封止作業に於いて気泡が発生した場合でも、真空脱泡による除去が容易に実現できる構成とした。また、透明封止樹脂の熱硬化処理による熱変形に対しては、上方を塞がない開放構造にすることにより透明封止樹脂が変形自由となるため、密閉構造で問題となっていた各部接合部にかかる熱応力を回避することができる。上記のように製造工程で生じる不良率を低減することができるので製造上の信頼性を飛躍的に向上することができる。
【0014】
本発明では、さらにレンズキャップとウォール、ウォールとメタルコア基板との接着を弾性接着材で接合する。さらには、ウォールを弾性材料で構成する。これにより、LED点灯消灯時の発熱によってレンズキャップ、透明封止樹脂、メタルコア基板の各接合界面に発生する熱応力を弾性接着剤およびウォールの変形により緩和する。また、熱応力によって制限を受けていたレンズキャップの長尺化を可能とし、低コストで画質劣化の少ない光源モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液晶表示装置およびその製造方法は、封止工程の簡素化および信頼性を高めることができ、製造コストの低減に効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1、図2は本発明の実施例1に係る光源モジュールの構成を示した断面図および平面図である。
【0018】
光源モジュール2は、LED21と、サブマウント基板22と、配線基板23と、メタルコア基板24と、ウォール25と、レンズキャップ26と、透明封止樹脂27と、ヒートシンク28とから構成される。LED21は、赤色LED21Rと、青色LED21Bと、緑色LED21Gとから構成される。これらのLEDは発光強度の高い高輝度LEDを用いるのが好ましい。また、各色の光量を調節して白色化するために、同色を2個以上搭載する構成としても良い。
【0019】
前記の各色LEDはサブマウント基板22上にワイヤーボンディングやはんだ接合、超音波接合、ダイボンドなどにより接合される。サブマウント基板22上の各色LEDの配置はできるだけ近接させて高密度実装するほうが白色化を促進でき、混色に必要な混合距離を短くすることにつながる。サブマウント基板22は、LED21の発熱を効率よくメタルコア基板23側へ伝導するために、熱伝導率の高いシリコン基板、セラミック基板がよい。金属製のリードフレームをサブマウント基板22の代わりに使用し、リードから放熱する構造としても良い。メタルコア基板24は、銅やアルミニウムなどの熱伝導率の高い金属板の上に、FR4などのガラスエポキシでできた配線基板23が接着された構造とする。サブマウント基板22は、配線基板23が形成されていないメタルコア基板24の金属が剥き出しになっている部位に熱伝導率の高いダイボンド材を用いて搭載される。ダイボンド剤は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂に熱伝導率の高い銀などのフィラーを混ぜ、熱伝導率1W/mK以上としたものが好ましい。
【0020】
LED21の回路網は、サブマウント基板22と配線基板23の間をワイヤボンディングなどによって電気的に接合を行なって形成される。メタルコア基板24は、背面にヒートシンク28を接合し、ヒートシンクの冷却機能によりLED21の熱を放熱する構造である。ヒートシンク28は、櫛歯状に加工したアルミ材で構成し、必要に応じてファンやヒートパイプを用いて冷却性能を向上させる構造とする。メタルコア基板24および配線基板23の上にはウォール25が接着される。ウォール25は、サブマウント基板22とその周辺の配線を取り囲む開口部をもつ板状の部材である。ウォール25は、透明封止樹脂27と共に加熱工程に入れられ、透明封止樹脂27の流出を防止するダムの働きを求められるため、透明封止樹脂27の硬化温度に耐える耐熱性材料を使用する。
【0021】
たとえば、アルミニウムやステンレスなどの金属材料や、セラミクス、ガラスなどの無機材料、ポリイミド樹脂などの耐熱性に優れる有機材料が使用できる。既に硬化済みの透明封止樹脂を用いることもできる。また、透明封止樹脂27にゲル状、エラストマ状のシリコーン樹脂を選定すれば、硬化温度を80℃程度に低温化することができるので、ウォール25の材料にアクリルやポリカーボネートなど耐熱性が100℃付近の各種プラスチック材料を用いることができるようになる。ウォール25は、アクリルやポリカーボネート、ガラスなどの透明材料とすることにより、LED21の光を損失することなくレンズキャップ26へ導光することができる。また、ウォール25を形成する透明材料中にシリカなどの光を乱反射する部材を混入して、赤青緑のLEDの光混合を促進する構造としても良い。
【0022】
さらには、光学反射膜を表面に形成した各種部材やアルミニウムなどの光反射部材とすることによって、レンズキャップ26へ導光する構成としても良い。レンズキャップ26は、ガラス、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィンなどの光透過性に優れた透明材料を用いる。レンズキャップ26に使われる透明材料は、ウォール25に使われる材料のように耐熱性を有する部材でなくて良い。レンズキャップ26は、射出成型で安価に製造する方法もあるが、できれば表面を切削研磨することが望ましい。レンズキャップ26とウォール25の接着、および配線基板23とウォール25の接着には、両面テープやエポキシ系、シリコーン系、アクリル系、シアノアクリレート、紫外線硬化型の接着剤を用いる。透明封止樹脂27は、エポキシ系の樹脂やシリコーン系の透明樹脂を用いる。透明封止樹脂27は、LEDからの光取り出し効率を向上するために、屈光折率1.4以上が好ましい。また、光透過率は可視領域で90%以上が好ましい。前記、エポキシ樹脂は青色LED21Bの近紫外発光を僅かに吸収し黄変劣化することが知られているので、できるならばシリコーン系樹脂を用いるのが好ましい。また、透明封止樹脂27は、ヤング率10MPa以下の弾性を有するエラストマ状またはゲル状の樹脂を用いても良い。
【0023】
図3は、本発明の実施例1に係る光源モジュールの製造方法を示した図である。
【0024】
第1工程(a)では、赤色LED21Rと、青色LED21Bと、緑色LED21Gがサブマウント基板22上に搭載される。第2工程(b)では、あらかじめ配線基板23が接着されているメタルコア基板24上に、第1工程で形成したLED搭載のサブマウント基板22が搭載される。そして、ワイヤボンディング、はんだ接合、超音波接合、ダイボンドにより、LED22とサブマウント基板22と配線基板23の接合が行われる。第3工程(c)では、ウォール25が搭載される。第4工程(d)では、メタルコア基板24とウォール25で形成された凹形状のキャビティーに透明封止樹脂27が充填される。第5工程(e)では、透明封止樹脂27の充填時に混入した気泡の脱泡工程と、透明封止樹脂27の加熱硬化処理工程が行なわれる。ここで、透明封止樹脂27の表面を研磨しウォール25の上面の高さに合わせる作業工程を行なっても良い。第6工程(f)では、ウォール25および透明封止樹脂27にレンズキャップ26を覆い被せる接着工程が行なわれる。
【0025】
図4は本発明の実施例1に係る光源モジュールを用いた液晶表示装置の構成を示す図である。
【0026】
液晶表示装置1は、前記の工程によって形成された光源モジュール2と、導光板3と、反射シート4と、光学シート5と、液晶パネル6と、から構成される。光源モジュール2は青赤緑のLED22を搭載し、各色所定の混合比率で光量調整され、白色に混合された光を出射する。この白色光は、板状の導光板3の側面から内部に入射し、反射を繰り返して隅々まで行き渡るように構成されている。導光板3は、光のロスが少ない光透過率の高い透明材料(メタクリル樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィンなど)で形成されている。また、導光板3は、反射シート4側の面に、導光板3内部を反射してきた光を乱反射させる目的で酸化チタンなどの白色塗料が任意のパターンで塗られている。乱反射の手段は、導光板3の反射シート4側面に溝や粗面処理をして光の進行方向を変える構造としても良い。また、導光板3内部にシリカなど光散乱部材を混入した構造としても良い。導光板3から外部に出射される光のうち、背面側の光は、反射シート4によって反射され再び導光板に戻され有効活用される。反射シート4は、アルミ箔や、銀紙、白色板のように反射光のスペクトルが全可視光領域で高いものを用いる。導光板3から液晶パネル6方向に出射した光は、縦および横のプリズムシートや拡散シートなどの光学シート5を通過して均一化される。液晶パネル6は、画素毎に赤青緑のカラーフィルタを設けたフルカラー液晶パネルである。導光板3から到達した光は、各画素で液晶の配向状態によって通過・遮断が選択され、任意のカラー画像となって外部に照射される。
【実施例2】
【0027】
図5は、本発明の実施例2に係る光源モジュールの構成を示した断面図である。
光源モジュール2は、実施例1と同じ構成であるが、メタルコア基板24とウォール25、ウォール25とレンズキャップ26の接着剤に弾性接着剤29を用いている。弾性接着剤29としては、ヤング率10MPa以下のシリコーン系の接着剤、アクリル系の接着剤を選択することができる。シリコーン接着剤は、硬化後にゲル状やゴム状になるものがあり、弾性が容易に得られる接着剤である。弾性接着剤29は透明タイプを選択することにより、LEDの光を吸収せずにレンズ方向へほぼ100%導光することができる。ここで、弾性接着剤29中にシリカや白色顔料を混ぜることにより、LEDの発する光を乱反射して赤青緑の混合促進を行なうこともできる。シリコーン接着剤は、LEDの固定に用いられるアンダーフィル剤を兼用することによって、LED固定とウォール25の接着を同時に実現することも可能である。アクリル系の接着剤は、テープ状に加工された両面テープを用いることができる。アクリル系接着剤は、光の透過率が非常に高いため、LEDの光の損失が極めて少ない。また、常温下での両面テープの貼り付け作業で済むことから作業性の向上が得られる。
【0028】
このように、弾性接着剤29を用いることによって、ウォール25およびレンズキャップ26は柔軟性を得ることができる。この柔軟性により、LED発光時の発熱による透明封止樹脂27の熱膨張はウォール25を固定する弾性接着剤29の伸張によって吸収される。また、メタルコア基板24とウォール25、ウォール25とレンズキャップ26の線膨張係数の差によって生じる材料界面の熱応力を弾性接着剤29の変形によって応力緩和できる長所がある。さらに、光源モジュール2を構成するレンズキャップ26、透明封止樹脂27、メタルコア基板24がLED22発熱によって各部材界面に熱応力を生じても弾性接着剤29により緩和することができる。これにより、光源モジュール2の長尺化が可能となり、製造コストの低減と、個片モジュール間の空隙の影響で起きていた輝線の発生を防止することができる。
【実施例3】
【0029】
図6は、本発明の実施例3に係る光源モジュールの構成を示した図である。
【0030】
光源モジュール2は、実施例1と同じ構成であるが、ウォール25に弾性部材が用いられている。ウォール25の弾性部材として、ヤング率10MPa以下のシリコーンゴム、耐熱性のゴム剤が使用できる。シリコーンゴムの場合は、透明封止樹脂27と同じ材料とすることもできる。ウォール25の弾性部材は、透明ゴム、シリカ混入した乱反射ゴム、白色ゴムとすることにより光特性の向上がはかれる。また、ウォール25の側面に光反射機能を持たせることもできる。このようなウォール25は、弾性部材からなるシート状ゴムを成型やプレスなどによって加工して得られ、封止用の空間および外形を形成する。シート状ゴムが半硬化状態であれば、接着剤なしに配線基板23およびレンズキャップ26と接着することができる。また、透明封止樹脂27と共に完全硬化させることで、透明封止樹脂27とウォール25の弾性樹脂の接合強度が得られる。
【0031】
このように、ウォール25を弾性部材で形成することにより、熱応力の問題を解決することができる。製造時の加熱硬化処理による透明封止樹脂27の膨張・収縮は、ウォール25の変形により応力緩和することができる。また、LED点灯消灯時のレンズキャップ26、メタルコア基板24の熱変形による界面応力も、ウォール25の変形により応力緩和することができる。応力緩和の効果は、実施例2の弾性接着剤を用いる場合よりも大きな効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、液晶プロジェクタなどの光源モジュールに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1に係る光源モジュールの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る光源モジュールの構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る光源モジュールの製造方法を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る光源モジュールを用いた液晶表示装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例2に係る光源モジュールの構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例3に係る光源モジュールの構成を示す断面図である。
【図7】従来の液晶表示装置の構成を示す図である
【符号の説明】
【0034】
1…液晶表示装置、2…光源モジュール、21…LED、21R…赤色 LED、21G…青色LED、21G…緑色LED、22…サブマウント基板、23…配線基板、24…メタルコア基板、25…ウォール、26…レンズキャップ、27…透明封止樹脂、28…ヒートシンク、29…弾性接着剤、3…導光板、4…反射シート、5…光学シート、6…液晶パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤青緑のLEDチップと、前記赤青緑のLEDチップを搭載するサブマウント基板と、前記サブマウント基板を囲む配線基板と、前記サブマウント基板と前記配線基板を搭載するメタルコア基板と、前記サブマウント基板の周囲を取り囲むとともに前記配線基板の上に設けられたウォールと、前記赤青緑のLEDチップ及び前記ウォールの上に設けられた透明材料からなるレンズキャップと、前記赤青緑のLEDチップと前記レンズキャップとの間の空間に充填された透明封止樹脂と、を有する光源モジュール。
【請求項2】
請求項1において、前記ウォールに透明材料を用いることを特徴とする光源モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の光源モジュールと、赤青緑の複数の画素を有する液晶パネルと、前記光源モジュールから入射した光を拡散して前記液晶表示パネルに照明する導光板と、を有する液晶表示装置。
【請求項4】
赤青緑のLEDチップを準備する工程と、前記赤青緑のLEDチップをサブマウント基板に搭載する工程と、配線基板を準備する工程と、前記配線基板をメタルコア基板に搭載する工程と、前記サブマウント基板を前記メタルコア基板上であって前記配線基板で囲まれた領域に搭載する工程と、前記サブマウント基板の周囲を取り囲むウォールを前記配線基板の上に設ける工程と、前記赤青緑のLEDチップを前記ウォールで囲んだ空間に透明封止樹脂を充填する工程と、前記ウォール及び前記透明封止樹脂の上に透明材料からなるレンズキャップを設ける工程と、を有する光源モジュールの製造方法。
【請求項5】
請求項4において、前記ウォールに前記透明封止樹脂の硬化温度以上の耐熱性を有する材料を用いることを特徴とする光源モジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項4において、前記ウォールに透明材料を用いることを特徴とする光源モジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項4において、前記ウォールに弾性材料を用いることを特徴とする光源モジュールの製造方法。
【請求項8】
請求項4において、前記ウォールと前記レンズキャップとの接着、乃至前記ウォールと前記配線基板との接着に弾性接着剤を用いることを特徴とする光源モジュールの製造方法。
【請求項9】
請求項8において、前記ウォールと前記レンズキャップとの接着、乃至前記ウォールと前記配線基板との接着に透明接着剤を用いることを特徴とする光源モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−269079(P2006−269079A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80834(P2005−80834)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】