説明

光硬化性インクジェット用インク

【課題】室温にてインクジェット吐出ができて、かつ加熱を要せず光照射のみで硬化し、得られた硬化膜が充分な耐熱性や絶縁性を有する光硬化性のインクジェット用インクが求められている。
【解決手段】特定の単官能重合性モノマー、多官能重合性モノマー、および光重合開始剤を含有する光硬化性インクジェット用インクであって、365nmの波長をもつ紫外線を1000mJ/cm照射して硬化させた該インクの硬化物の、熱重量分析による5%重量減少温度が200℃以上である光硬化性インクジェット用インクにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット用インクに関し、具体的には、液晶表示素子、有機EL表示素子、プリント配線基板や電子部品などを製造するために用いられる光硬化性インクジェット用インクに関する。さらに本発明は、光硬化性インクジェット用インクを用いた硬化膜形成方法、及び硬化膜が形成された電子回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット法をはじめとした印刷法を利用し、微細な回路パターンを直接描画してプリント配線基板などの各種電子部品を形成する手法が注目を浴びている。これはインクジェット法が、電子回路基板などの製造において、パターン化された硬化膜を形成する方法として、設備投資金額が少なく、材料の使用効率が高い等の長所を持つためである。近年、インクジェット法及びこれに使用する組成物(インクジェット用インク)が提案されている(例えば、国際公開第2004/099272号パンフレット(特許文献1)等を参照)。
【0003】
一方、電子、電気用途で用いられる耐熱性プラスチックの短期的耐熱性の目安は200℃以上といわれている。これを下回る材料を一部でも電気、電子部品に用いた場合、該部品の絶縁性、信頼性、及び安全性を損なう原因となる恐れがある。該インクの硬化膜に求められる耐熱性の指標を、熱重量分析による5%重量減少温度として考えた場合、該温度は少なくとも200℃であると考えられる。従来の光硬化性インクジェット用インクを用いた光照射のみで形成される硬化膜でこのような耐熱性を有するものはなかった。また、インクジェット装置で室温にて安定して吐出するためには、該インクの室温での粘度を30mPa・s以下にする必要がある。従来のインクジェット用インクでは、室温での粘度が30mPa・s以下を実現したとしても、その光照射のみで形成される硬化膜の耐熱性や絶縁性などが、まだ十分ではなかった(例えば、特開2008−37898(特許文献2)、特開2008−63556(特許文献3)、特開2008−133335(特許文献4)、特開2008−214607(特許文献5)等を参照)。
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/099272号パンフレット
【特許文献2】特開2008−37898
【特許文献3】特開2008−63556
【特許文献4】特開2008−133335
【特許文献5】特開2008−214607
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェット装置で安定して吐出するために必要な、吐出温度にて十分に低い粘度と、加熱を要せず光照射のみで硬化し、得られた硬化膜が十分な耐熱性や絶縁性を有する光硬化性のインクジェット用インク、および十分な耐熱性や絶縁性を有する硬化膜が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記状況に鑑みて、特定の単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーを含有するインクジェット用インクが安定してインクジェット吐出ができ、かつ、加熱を要せず光照射のみで硬化膜を形成することができ、該インクの硬化膜が充分な耐熱性と絶縁性を有することを見出し、本発明を完成した。本発明は以下のようなインクジェット用インク等を提供する。
【0007】
[1]単官能重合性モノマー(A)、多官能重合性モノマー(B)、および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性インクジェット用インクであって、波長365nmの紫外線を1000mJ/cm照射して硬化させた該インクの硬化物の、熱重量分析による5%重量減少温度が200℃以上である光硬化性インクジェット用インク。
【0008】
[2]単官能重合性モノマー(A)が、環状構造を有していることを特徴とする項[1]に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0009】
[3]単官能重合性モノマー(A)が、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1つ以上である項[1]または[2]に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0010】
[4]多官能重合性モノマー(B)が、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1つ以上である、項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0011】
[5]多官能重合性モノマー(B)が、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及びε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートからなる群から選ばれる1以上である、項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0012】
[6]光重合開始剤(C)が、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1つである、項[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0013】
[7]さらに、架橋性化合物(D)を含有する、項[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0014】
[8]架橋性化合物(D)が、下記式(1)で表されるビスアリルナジイミド化合物(D1)である、項[7]に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式中、R1は炭素数2〜18のアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基または炭素数7〜18のアラルキレン基を示す。)
【0015】
[9]式(1)において、Rが式(1−a)で表される、項[8]に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式(1−a)中、m1〜m3は独立に0〜6の整数であり、n1およびn2は独立に0または1であり、環Aおよび環Bは独立して1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンであり、n1=n2=0のとき、m1+m2+m3は2〜18の整数であり、n1およびn2のどちらかが1であり他方が0のとき、m1+m2+m3は0〜12の整数であり、n1=n2=1のとき、m1+m2+m3は0〜6の整数である。)
【0016】
[10]架橋性化合物(D)が、オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(D2)である、項[7]に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0017】
[11]化合物(D2)が、下記式(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)で表される化合物である、項[10]に記載の光硬化性インクジェット用インク。


(式(2)、(4)、(5)及び(6)中、nは0〜10の整数である。)
【0018】
[12]架橋性化合物(D)が、下記式(7)で表される化合物(D3)である、項[7]に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式(7)中、Rは炭素数6〜100のテトラカルボン酸二無水物残基であり、Rは炭素数1〜40の有機基である。)
【0019】
[13]式(7)において、Rがオキセタン、オキシラン、シクロヘキセン又は二重結合を有している、項[12]に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0020】
[14]化合物(D3)が、下記式(8)、(9)、(10)、(11)又は(12)で表される化合物である、請求項[13]に記載のインクジェット用インク。



(式(8)、(9)、(10)及び(11)中、Rは炭素数6〜100のテトラカルボン酸二無水物残基であり、式(8)中、Rは水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、Rは炭素数1〜3のアルキレンであり、式(9)、(10)及び(11)中、Rは炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり環構造又は酸素を含んでいてもよい。式(12)中、Rは炭素数6〜100のテトラカルボン酸二無水物残基であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり環構造又は酸素を含んでいてもよく、Rは水素又はメチルである。)
【0021】
[15]式(8)、(9)、(10)、(11)又は(12)において、Rが下記式(7a)〜(7i)のいずれかであり、式(8)中、Rが水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、Rが炭素数1〜3のアルキレンであり、式(9)、(10)及び(11)中、Rが環構造又は酸素を含んでいてもよい炭素数1〜10のアルキレンであり、式(12)中、Rが環構造又は酸素を含んでいてもよい炭素数1〜10のアルキレンであり、Rが水素またはメチルである、項[14]に記載のインクジェット用インク。


【0022】
[16]架橋性化合物(D)が、下記式(13)で表される化合物あるいはその縮合物である化合物(D4)である、項[7]に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式(13)中、R〜R11は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいフェニルである。)
【0023】
[17]R〜R11の少なくとも1つが下記一般式(14)で表される基である、項
【0024】
[16]に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式(14)中、R12、R13は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜5のアルキル、アクリロイル、メタクリロイル、または置換されていてもよいフェニルである。)
【0025】
[18]R〜R11の全てが上記一般式(14)で表される基であり、かつR12、R13は、それぞれ独立して、水素、またはメチルである、項[17]に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0026】
[19]R12、R13がともにメチルである、項[16]に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0027】
[20]架橋性化合物(D)が、項[11]に記載の式(3)で表される化合物(D2)から選ばれた少なくとも1つおよび項[14]に記載の式(8)で表される化合物(D3)から選ばれた少なくとも1つである、項[7]に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0028】
[21]さらに着色剤(E)を含有している、項[1]〜[20]のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
【0029】
[22]着色剤(E)が顔料である、項[21]に記載のインクジェット用インク。
【0030】
[23]着色剤(E)がカーボンブラックである、項[21]に記載のインクジェット用インク。
【0031】
[24]項[1]〜[23]のいずれか1項に記載のインクジェット用インクから形成された硬化膜。
【0032】
[25]項[24]に記載の硬化膜が形成された電子回路基板。
【0033】
[26]項[25]に記載の電子回路基板を有する、電子部品。
【0034】
[27]項[26]に記載の電子部品を有する、表示素子。
【0035】
なお、本明細書中、アクリレートとメタクリレートの両者を示すために「(メタ)アクリレート」のように表記することがある。
【発明の効果】
【0036】
本発明の好ましい態様に係る光硬化性インクジェット用インクは、室温にて安定してインクジェット吐出ができ、かつ、加熱を要せず光照射のみで、充分な耐熱性と絶縁性を有する硬化膜を形成することができ、特に、プラスチックなどの比較的耐熱性の低い基板上に電子回路等を形成する用途として最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
1 本発明のインクジェット用インク
本発明のインクジェット用インクは、少なくとも単官能重合性モノマー(A)または多官能重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含むインクジェット用インクである。本発明のインクジェット用インクは、無色であっても有色であってもよい。
本発明のインクジェット用インクは、単官能重合性モノマー(A)または多官能重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含めば特に限定されないが、必要に応じて、さらに架橋性化合物(D)を含んでもよい。有色のインクが求められる時は、さらに着色剤(E)を含有する。
【0038】
1.1.単官能重合性モノマー(A)
単官能重合性モノマー(A)は、ラジカル重合性を1つ有している化合物であれば特に限定されないが、環状構造を有する単官能性重合性モノマーであると多官能重合性モノマー(B)との相溶性にすぐれ、かつ、インクジェット用インクとして必要な特性であるジェッティング性が良好であるので特に好ましい。
【0039】
環状構造を有する単官能性重合性モノマーの具体例としては、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタン−3−イルメチルエーテル、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ビニルトルエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ケイ皮酸、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、N−アクリロイルモルホリン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドを挙げることができる。中でも、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートは多官能重合性モノマー(B)との相溶性にすぐれ、かつ、インクジェット用インクとして必要な特性であるジェッティング性が良好である。また、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートを用いた硬化膜は耐熱性にすぐれる。
【0040】
単官能重合性モノマー(A)としては、環状構造を有しない単官能重合性モノマーも使用することができる。
【0041】
環状構造を有しない単官能重合性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。これらの中でも、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートはインクジェット用インクとして必要な特性であるジェッティング性にすぐれる。
【0042】
1.2.多官能重合性モノマー(B)
多官能重合性モノマー(B)は、ラジカル重合性を2つ以上有している化合物であれば特に限定されない。
【0043】
多官能重合性モノマーの具体例としては、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ/トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ/トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ/トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。中でも、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレート、を用いた光硬化性インクジェット用インクはジェッティング性が良好であるとともに、紫外線に対して高感度になり、紫外線照射のみで形成した該インクの硬化膜は充分な耐熱性や絶縁性を有する。特に、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレートを用いれば柔軟な硬化膜を形成することができる。
【0044】
単官能重合性モノマー(A)または多官能重合性モノマー(B)は、1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
【0045】
1.3 光重合開始剤(C)
光重合開始剤(C)は、光の照射によりラジカルを発生する性質を有する限り特に限定されない。
【0046】
光重合開始剤(C)の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、下記式(15)で表される化合物、又は下記式(16)で表される化合物が挙げられる。



(式(15)中、R14はそれぞれ独立して炭素数1〜13のアルキルであり、Xはそれぞれ独立して−O−、−O−O−、又はNH−である。)



(式(16)中、R15はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜5のアルキルであり、R16は炭素数1〜15のアルキルである。)
【0047】
ここで、式(15)で表される化合物の具体例として、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、又は4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンが挙げられる。また、式(16)で表される化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)が挙げられる。これらの光重合開始剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
【0048】
これらの中でも、光重合開始剤(C)が、式(15)で表される化合物、式(16)で表される化合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1から選ばれる1つ以上であることが好ましい。これらの化合物(単数又は複数)を光重合開始剤(C)の全重量に対して20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上含有すると、得られる光硬化性インクジェットインクが高感度となる。この2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドの具体例としては、「DAROCURE TPO」、また、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1の具体例としては、「IRGACURE 369」(何れも商品名:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)として市販されている。
【0049】
<化合物(A)、(B)及び(C)の含有量>
光硬化性インクジェット用インクは、上述した単官能重合性モノマー(A)、多官能重合性モノマー(B)、および光重合開始剤(C)を含有する。
【0050】
光硬化性インクジェット用インク中の単官能重合性モノマー(A)の濃度は、溶媒を除く全重量に対して、10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がさらに好ましく、30〜70重量%が特に好ましい。単官能重合性モノマー(A)の濃度をこれらの範囲にすると、得られる光硬化性インクジェットインクのジェッティング性と感度、硬化膜の耐熱性等とのバランスが良好となる。
【0051】
光硬化性インクジェット用インク中の多官能重合性モノマー(B)の濃度は、溶媒を除く全重量に対して、5〜80重量%が好ましく、10〜70重量%がさらに好ましく、10〜60重量%が特に好ましい。多官能重合性モノマー(B)の濃度をこれらの範囲にすると、得られる光硬化性インクジェットインクが高感度となり、硬化膜の耐熱性等が高くなる。
【0052】
また、単官能重合性モノマー(A)100重量部に対して、多官能重合性モノマー(B)を好ましくは10〜500重量部、より好ましくは20〜400重量部、さらに好ましくは20〜300重量部使用すると高感度である。
【0053】
光重合開始剤(C)は、単官能重合性モノマー(A)と多官能重合性モノマー(B)の合計100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部使用すると高感度である。
【0054】
1.4 架橋性化合物(D)
架橋性化合物(D)は、架橋性を有する限り特に限定されない。好ましい架橋性化合物(D)としては、式(1)で表されるビスアリルナジイミド化合物(D1)、オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(D2)、式(7)で表される化合物(D3)、式(13)で表される化合物あるいはその縮合物である化合物(D4)などが挙げられる。架橋性化合物(D)は、1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。好ましい混合物の例としては、式(3)で表される化合物(D2)および式(8)で表される化合物(D3)の混合物が挙げられる。
【0055】
1.4.1 式(1)で表されるビスアリルナジイミド化合物(D1)
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、式(1)で表されるビスアリルナジイミド化合物(D1)を含有することにより、形成される硬化膜の耐熱性と絶縁性を高めることができる。好ましいRは式(1−a)で表される。このビスアリルナジイミドの具体例としては、「BANI−M」又は「BANI−X」(それぞれ商品名:丸善石油化学(株)製)として市販されている。ここで、BANI−Mは式(1−a)においてn1=n2=1、m1=m3=0、m2=1であり、環Aおよび環Bが1,4−フェニレンである化合物であり、BANI−Xは式(1−a)においてn1=0、m1=0、n2=1、m2=m3=1であり、環Bが1,3−フェニレンである化合物である。



(式(1−a)中、m1〜m3は独立に0〜6の整数であり、n1およびn2は独立に0または1であり、環Aおよび環Bは独立して1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンであり、n1=n2=0のとき、m1+m2+m3は2〜18の整数であり、n1およびn2のどちらかが1であり他方が0のとき、m1+m2+m3は0〜12の整数であり、n1=n2=1のとき、m1+m2+m3は0〜6の整数である。)
【0056】
光硬化性インクジェット用インク中のビスアリルナジイミド化合物の濃度は、溶媒を除く全重量に対して、5〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がさらに好ましく、5〜30重量%が特に好ましい。ビスアリルナジイミド化合物の濃度をこれらの範囲にすると、耐熱性及び絶縁性が高く、また他の特性とのバランスが取れた硬化膜を形成することができる。
【0057】
1.4.2 オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(D2)
オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(D2)としては、オキシランやオキセタンを2つ以上有すれば特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂を選択すると、例えば耐薬品性の高い硬化膜を得ることができる。
【0058】
このエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキシランを有するモノマーの重合体、及び、オキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0059】
これらのエポキシ樹脂としては、「jER 152」、「jER 154」、「jER 807」、「jER 815」、「jER 827」、「jER 828」、「jER 871」、「jER 1004」、「jER 1007」、「jER 1256」又は「jER YX8000」(それぞれ商品名:ジャパンエポキシレジン(株)製);「EOCN−102S」、「EOCN−104S」、「EPPN−201」又は「NC−3000」(それぞれ商品名:日本化薬(株)製);「テクモアVG3101L」(商品名:三井化学(株)製)などとして市販されている。中でも式(2)で表される化合物「jER 828」、式(3)で表される化合物「テクモアVG3101L」、式(4)で表される化合物、式(5)で表される化合物「jER 152」、又は式(6)で表される化合物「NC−3000」は、耐熱性、絶縁性が高いので好ましい。なお、式(2)、(4)、(5)及び(6)中、nは0〜10であるが、好ましくは0〜8であり、より好ましくは0〜6である。


【0060】
光硬化性インクジェット用インク中の化合物(D2)の濃度は、溶媒を除く全重量に対して、5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がさらに好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。化合物(D2)の濃度をこれらの範囲にすると、耐薬品性が高く、また他の特性とのバランスが取れた硬化膜を形成することができる。化合物(D2)は1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0061】
1.4.3 式(7)で表される化合物(D3)
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、式(7)で表される化合物(D3)を含有することにより、形成される硬化膜の耐熱性と絶縁性を高めることができる。インクジェット用インク中の化合物(D3)の濃度は、溶媒を除く全重量に対して、5〜70重量%が好ましく、5〜50重量%がさらに好ましく、5〜30重量%が特に好ましい。化合物(D3)の濃度をこれらの範囲にすると、耐熱性及び絶縁性が高く、また他の特性とのバランスが取れた硬化膜を形成することができる。



式(7)中、Rは炭素数6〜100の酸無水物残基であり、好ましくは炭素数6〜60の酸無水物残基であり、より好ましくは炭素数6〜40の酸無水物残基であり、さらに好ましくは炭素数6〜20の酸無水物残基である。また、酸無水物残基としては、テトラカルボン酸二無水物残基であることが好ましい。
【0062】
酸無水物残基の具体例としては、以下の式(7a)〜(7i)の構造が挙げられる。


【0063】
式(7)中、Rは炭素数1〜100の有機基であり、好ましくは炭素数1〜70の有機基であり、より好ましくは炭素数1〜40の有機基である。
【0064】
上記「有機基」としては、具体的には、置換基を有していてもよい炭化水素、置換基を有していてもよいアルコキシ、置換基を有していてもよいアリールオキシ、置換基を有していてもよいアルキルチオ(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいアルキルを示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいアルキルを示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいアリールを示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいアリールを示す。)、置換基を有していてもよいアミノ、置換基を有していてもよいシリルが挙げられる。
【0065】
これらの基における「置換基」としては、例えば、トリメチルシリル、アミノ、ホスホニル、ニトロ、スルホ、ハロゲノ、及びアルコキシを挙げることができる。置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個、より好ましくは1個〜2個、さらに好ましくは1個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0066】
これらの基において、任意の−CH−は、例えば、エステル、アルキン、アミド、カルボニル、イミノまたは、チオにより置き換えられてもよい。
【0067】
上記「炭化水素」は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。炭化水素が非環式の場合には、直鎖状でもよいし、枝分かれでもよい。「炭化水素」には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルジエニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、及びシクロアルケニル等が含まれる。
【0068】
上記「アルキル」の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びドデシルを挙げることができる。
【0069】
上記「アルケニル」の例としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、及び2−ブテニルを挙げることができる。
【0070】
上記「アルキニル」の例としては、エチニル、プロピニル、及びブチニルを挙げることができる。
【0071】
上記「アルキルジエニル」の例としては、1,3−ブタジエニルを挙げることができる。
【0072】
上記「アリール」の例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、及びフェナントリルを挙げることができる。
【0073】
上記「アルキルアリール」の例としては、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、及びメシチルを挙げることができる。
【0074】
上記「アリールアルキル」の例としては、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、及び5−フェニルペンチルを挙げることができる。
【0075】
上記「シクロアルキル」の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを挙げることができる。
【0076】
上記「シクロアルケニル」の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニルを挙げることができる。
【0077】
上記「アルコキシ」の例としては、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びペンチルオキシがある。
【0078】
上記「アリールオキシ」の例としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、及びビフェニルオキシを挙げることができる。
【0079】
上記「アルキルチオ(−SY、式中、Yは置換基を有してもよいアルキルを示す。)」及び上記「アルキルスルホニル(−SO、式中、Yは置換基を有してもよいアルキルを示す。)」において、Y及びYのアルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びドデシルを挙げることができる。
【0080】
上記「アリールチオ(−SY、式中、Yは置換基を有してもよいアリールを示す。)」及び上記「アリールスルホニル(−SO、式中、Yは置換基を有してもよいアリールを示す。)」において、Y及びYのアリールの例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、及びフェナントリルを挙げることができる。
【0081】
上記「置換基を有してもよいアミノ」の例としては、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、及びフェニルアミノを挙げることができる。
【0082】
上記「置換基を有していてもよいシリル」の例としては、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、及びメチルメトキシフェニルを挙げることができる。
【0083】
式(7)中、Rがオキセタン、オキシラン、シクロヘキセン又は二重結合を有する基であることが、特に好ましい。
【0084】
1.4.3.1 オキセタン、オキシラン又はシクロヘキセンを有する化合物(D3)
上述した、式(7)におけるRとしての「有機基」は、「オキセタン」、「オキシラン」又は「シクロヘキセン」を有していてもよい。「シクロヘキセン」としては、以下の構造を含む。


【0085】
化合物(D3)としては、例えば、上記式(8)、(9)、(10)又は(11)で表される化合物が挙げられる。
式(8)中のRは、水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、例えばメチル、エチル、プロピルなどがあげられる。また、Rは炭素数1〜3のアルキレンであり、例えばメチレン、エチレン、プロピレンなどがあげられる。また、式(9)、(10)及び(11)中のRは、炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり、この「有機鎖」としては、1価の基として説明した上記「有機基」の説明を援用して、さらに価数を1つ増やした基(2価の基)として説明することができる。この「有機鎖」は、環構造又は酸素を含んでいてもよく、環構造としては、フェニル、シクロヘキシル、ナフチル、シクロヘキセニル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルなどが挙げられる。好ましいRとしてはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、エチレンオキシメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン等が挙げられる。
【0086】
1.4.3.2 二重結合を有する化合物(D3)
上述した、式(7)におけるRとしての「有機基」は、「二重結合」、特に「ラジカル重合性二重結合」を有していてもよく、そのような化合物(D3)としては、例えば、上記式(12)で表される化合物が挙げられる。「ラジカル重合性二重結合」とは、光が当たることで発生したフリーラジカルにより重合を開始する二重結合である。
式(12)中のRは、炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり、この「有機鎖」としては、1価の基として説明した上記「有機基」の説明を援用して、さらに価数を1つ増やした基(2価の基)として説明することができる。この「有機鎖」は、環構造又は酸素を含んでいてもよく、環構造としては、フェニル、シクロヘキシル、ナフチル、シクロヘキセニル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルなどが挙げられる。好ましいRとしてはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、1、4−シクロヘキサンジメチレン等が挙げられる。また、式(12)中のRは、水素又はメチルである。
【0087】
1.4.3.3 化合物(D3)の製造方法
式(7)で表される化合物(D3)は、例えば、ヒドロキシルを有するオキセタン化合物(a1-1)、ヒドロキシルを有するオキシラン化合物(a1-2)、ヒドロキシルを有するシクロヘキセン化合物(a1-3)、又はヒドロキシル及び二重結合を有する化合物(a1-4)と、テトラカルボン酸二無水物(a2)とを反応させて製造することができる。
テトラカルボン酸二無水物を1モルに対して、前者の4つの化合物(a1-1)〜(a1-4)の合計を1.9〜2.1モル用いることが好ましく、前者の4つの化合物の合計を1.95〜2.05モル用いることがさらに好ましく、前者の4つの化合物の合計を2モル用いることが特に好ましい。なお、式(7)で表される化合物(D3)の2つのRは、それぞれ異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0088】
また、式(7)で表される化合物(D3)は、例えば、ヒドロキシル及び二重結合を有する化合物(a1-4)と、テトラカルボン酸二無水物(a2)とを反応させた後、得られた化合物の二重結合部分を酸化させてエポキシ基にすることにより、製造することができる。
テトラカルボン酸二無水物(a2)を1モルに対して、前者の化合物(a1-4)の合計を1.9〜2.1モル用いることが好ましく、前者の化合物の合計を1.95〜2.05モル用いることがさらに好ましく、前者の化合物の合計を2モル用いることが特に好ましい。
【0089】
1.4.3.4 化合物(D3)を製造する原料
ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物(a1-1)としては、例えば、2−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−オキセタンメタノール及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどが挙げられる。
【0090】
ヒドロキシル基を有するオキシラン化合物(a1-2)としては、例えば、グリシドールなどが挙げられる。
【0091】
ヒドロキシルを有するシクロヘキセン化合物(a1-3)としては、例えば、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−オール、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−メタノール、及び3−シクロヘキサン−1−オールや3−シクロヘキセン−1−メタノールなどが挙げられる。
【0092】
ヒドロキシル及び二重結合を有する化合物(a1-4)としては、例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0093】
テトラカルボン酸二無水物(a2)としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)などが挙げられる。
【0094】
1.4.3.5 化合物(D3)の製造に使用する溶媒など
たとえば、化合物(D3)を合成するために用いられる溶媒は、当該化合物(D3)が合成できれば特に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドを挙げることができる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドンは、化合物(D3)の溶解性が高いので好ましい。これらの反応溶媒は単独でも、2種以上の混合溶媒としても使用できる。また、上記反応溶媒以外に他の溶媒を混合して用いることもできる。
【0095】
溶媒は、化合物(D3)を製造する原料の合計100重量部に対し50重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。反応温度は80℃〜130℃で、反応時間は2〜8時間が好ましい。
また、反応原料の反応系への添加順序に特に限定されない。すなわち、化合物(a1-1)〜(a1-4)とテトラカルボン酸二無水物(a2)とを同時に反応溶媒に加える、テトラカルボン酸二無水物(a2)を反応溶媒中に溶解させた後に化合物(a1-1)〜(a1-4)を添加する、化合物(a1-1)〜(a1-4)を反応溶媒中に溶解させた後にテトラカルボン酸二無水物(a2)を添加する、等いずれの方法も用いることができる。
【0096】
1.4.4 式(13)で表される化合物あるいはその縮合物である化合物(D4)
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、上記式(13)で表される化合物あるいはその縮合物である架橋性化合物(D4)を含有することにより、形成される硬化膜の耐薬品性を高めることができる。ここで、R〜R11の少なくとも2つは重合性を有する基である。上記式(13)で表される化合物またはその縮合物である化合物(D4)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。上記式(13)で表される化合物の縮合物とは、例えば、R〜R11の少なくとも1つが、例として上記式(14)で表されるような縮合性官能基(式(14)ではアルコキシ)を有していて、該官能基が縮合反応してできた縮合物である。したがって、R〜R11のいずれもが縮合性官能基を有さない場合には、「縮合物」との選択肢は除かれる。




【0097】
上記式(13)のR〜R11における、「置換されていてもよいアミノ」とは、アミノの任意の水素が独立に、置換基で置き換えられていてもよいものをいう。置換基が2個である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0098】
「置換されていてもよいアミノ」における置換基の例としては、制限するわけではないが、炭素数1〜10の炭化水素(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル)、炭素数1〜10のアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、炭素数6〜10のアリールオキシ(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ)、末端以外の任意のメチレンが酸素原子に置き換わった炭素数1〜10の炭化水素、ヒドロキシを有する炭素数1〜10の炭化水素、ヒドロキシ、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリルなどを挙げることができる。
【0099】
上記式(13)のR〜R11における、「置換されていてもよいフェニル」とは、フェニルの任意の水素が独立に、置換基で置き換えられていてもよいものをいう。水素が置換基で置き換えられている場合、好ましい置換基数は1〜4であり、より好ましい置換基数は2〜3であり、置換基数が2以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0100】
「置換されていてもよいフェニル」における置換基の例としては、制限するわけではないが、炭素数1〜10の炭化水素(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル)、炭素数1〜10のアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、炭素数6〜10のアリールオキシ(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ)、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリルなどを挙げることができる。
【0101】
上記式(13)のR〜R11における「置換されていてもよいアミノ」として、好ましいものは、「末端以外の任意のメチレンが酸素原子に置き換わった炭素数1〜10の炭化水素」で置換されたアミノであり、中でも、上記式(14)で表されるアミノである。
【0102】
上記式(14)のR12,R13における「炭素数1〜5のアルキル」の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチルを挙げることができる。
【0103】
上記式(14)のR12,R13における「置換されていてもよいフェニル」とは、上記式(13)のR〜R11における「置換されていてもよいフェニル」と同じものがあげられ、同じものが好ましい。
【0104】
上記式(13)で表される化合物またはその縮合物である化合物(D4)の具体例としては、メラミン、メチロールメラミン、エーテル化メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、メチロールベンゾグアナミン、エーテル化メチロールベンゾグアナミン、およびそれらの縮合物を挙げることができる。
【0105】
中でも、得られる硬化膜の耐薬品性が良好であることから、エーテル化メチロールメラミンが好ましく、さらに、上記式(13)においてR〜R11の全てが上記式(14)で表される基であり、かつR12、R13がともにメチルである化合物が特に好ましい。そのような化合物およびその縮合物の混合物は、三和ケミカル(株)製のニカラック(商品名)MW−30Mとして市販されている。
【0106】
上記式(13)で表される化合物またはその縮合物である化合物(D4)は、光硬化性インクジェット用インク中に2〜40重量%含まれると、得られる硬化膜の耐薬品性が高いので好ましく、5〜30重量%であるとより好ましい。
【0107】
1.5 着色剤(E)
着色剤(E)は、顔料であっても染料であってもよい。インク原料の相溶性の点からは染料が好ましいが、インクから形成される硬化膜の耐熱性を考慮すると、着色剤は顔料であることが好ましい。顔料である場合、インク全重量に対して、着色剤を1〜50重量%程度用いると、光硬化性インクジェット用インクから形成される硬化膜の状態を検査する際に、基板との識別を容易にすることができる。
【0108】
着色剤(E)に用いられる顔料としては、C.I.ピグメント レッド 177、C.I.ピグメント レッド 178、C.I.ピグメント レッド 202、C.I.ピグメント レッド 209、C.I.ピグメント レッド 254、C.I.ピグメント レッド 255、C.I.ピグメント グリーン 7、C.I.ピグメント グリーン 36、C.I.ピグメント ブルー 15、C.I.ピグメント ブルー 15:3、C.I.ピグメント ブルー 15:4、C.I.ピグメント ブルー15:6、C.I.ピグメント ブルー16、C.I.ピグメント イエロー 83、C.I.ピグメント イエロー 128、C.I.ピグメント イエロー 138、C.I.ピグメント イエロー 139、C.I.ピグメント イエロー 150、C.I.ピグメント バイオレット 23、C.I.ピグメント バイオレット 37、C.I.ピグメント オレンジ 43、C.I.ピグメント オレンジ 71、C.I.ピグメント ブラック 1、C.I.ピグメント ブラック 6、C.I.ピグメント ブラック 7、C.I.ピグメント ブラック 8、C.I.ピグメント ブラック 9、C.I.ピグメント ブラック 10、C.I.ピグメント ブラック11、C.I.ピグメント ブラック31、C.I.ピグメント ホワイト 6、及びチタンブラックなどを挙げることができる。
【0109】
1.6 その他の成分
光硬化性インクジェット用インクは、インクの吐出特性、保存安定性や、得られる硬化膜の耐久性等を向上させるために、溶媒、重合禁止剤、アルカリ可溶性ポリマー、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマーなどの添加剤を含むことができる。これらの成分は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
なお、光硬化性インクジェット用インク中の水分量は特に限定されないが、10,000ppm以下が好ましく、5,000ppm以下がさらに好ましい。これらの水分量であると、光硬化性インクジェット用インクの粘度変化が少なく保存安定性に優れるので好ましい。
【0110】
1.6.1 溶媒
光硬化性インクジェット用インクは、インクの吐出特性を向上させるために溶媒を含んでもよい。光硬化性インクジェット用インクに含まれる溶媒としては沸点が100℃以上の溶媒が好ましい。溶媒は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
【0111】
沸点が100℃以上である溶媒の具体例としては、水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンが挙げられる。
【0112】
これらの溶媒の中でもジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等を用いると、インクの吐出が安定するので好ましい。
【0113】
なお、光硬化性インクジェット用インクに含まれる溶媒としては、化合物(D3)の製造に使用した溶媒をそのまま利用してもよい。この場合、化合物(D3)の製造に適した溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンを利用する場合には、該溶媒が一般的なインクジェットプリントヘッド(インクが吐出する部分)材料を腐食させる可能性がある溶媒であるため、例えば、溶媒耐性が改善されたヘッド材料を併用することが好ましい。
【0114】
本発明の光硬化性インクジェット用インクにおいて、溶媒は固形分濃度が20重量%以下にならない程度に含まれることが好ましい。
【0115】
さらに、光硬化性インクジェット用インクの塗布性にインクの表面張力が大きく影響するため、インクの表面張力を好ましくは20〜45mN/m、より好ましくは27〜42mN/m、さらに好ましくは30〜40mN/mに調整する。表面張力が20〜45mN/mの範囲であればインク吐出口におけるインクメニスカスが安定になり、インクの吐出は良好となる。
表面張力を20〜45mN/mの範囲に調整するには、溶媒選定が重要である。表面張力が20〜45mN/mの範囲にある1種の溶媒を用いてもよいが、表面張力の大きな溶媒(例えば、γ−ブチロラクトン:43mN/m)及び表面張力の小さな溶媒(例えば、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル:24mN/m、あるいはエチレングリコールモノブチルエーテル:32mN/m)を混合して用いると溶媒組成で表面張力を微調整できるので好ましい。
【0116】
1.6.2 重合禁止剤
光硬化性インクジェット用インクにおいて、保存安定性を向上させるために重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
【0117】
重合禁止剤の具体例としては、4−メトキシフェノール、ヒドロキノン、フェノチアジンを挙げることができる。これらの中でも、ジェッティング時にインクジェットヘッドを加熱した場合のインクの粘度変化が小さい点から、重合禁止剤としてフェノチアジンを用いることが好ましい。
【0118】
インクの保存安定性と高感度とを両立させるという点から、重合禁止剤は、単官能重合性モノマー(A)及び多官能重合性モノマー(B)の合計100重量部に対して、0.01〜1重量部程度、添加することが好ましい。
【0119】
1.6.3 アルカリ可溶性ポリマー
光硬化性インクジェット用インクは、アルカリ可溶性ポリマーを含んでもよい。
アルカリ可溶性ポリマーを含む光硬化性インクジェット用インクは、例えば、パターニングをインクジェットで行い、パターン以外の部分をエッチング等で処理した後に、パターンをアルカリで剥離する使用方法(エッチングレジスト)として使用することができる。
【0120】
アルカリ可溶性ポリマーとしては、5重量%のNaOH水溶液100g(50℃)に0.1g以上溶解するポリマーであれば特に限定しないが、カルボキシルを有するラジカル重合性モノマーの重合体、又は、カルボキシルを有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーの共重合体が好ましい。
【0121】
アルカリ可溶性ポリマーの具体例としては、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、ベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、ベンジルメタクリレート/5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体の開環物が挙げられる。これらの中でも、ベンジルメタクリレート/5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体を添加したインクジェット用インクは、当該インクから形成される硬化膜の耐酸性が高く、かつ、アルカリ液で容易に除去可能であるから、電子回路基板を製作するためのエッチングレジスト用のインクジェット用インクとして好ましい。
【0122】
インクから形成される硬化膜の耐酸性が高く、かつ、アルカリ液で除去可能とする性質を付与するためには、光硬化性インクジェット用インクは、インク全重量(溶媒を除く)に対して、アルカリ可溶性ポリマーを1〜80重量%程度含むことが好ましい。
【0123】
1.6.4 界面活性剤
光硬化性インクジェット用インクの塗布性の向上を望むときには、かかる目的に沿った界面活性剤を添加できる。界面活性剤の具体例としては、商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビック・ケミー(株)製)等のシリコン系界面活性剤;商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361」(ビック・ケミー(株)製)等のアクリル系界面活性剤、商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」(ネオス(株)製)等のフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤は、下地基板への濡れ性、レベリング性、又は塗布性を向上させるために使用するものであり、光硬化性インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
【0124】
1.6.5 帯電防止剤
帯電防止剤は、特に限定されるものではなく、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物などの金属酸化物や四級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの帯電防止剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
帯電防止剤は、帯電を防止するために使用するものであり、光硬化性インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
【0125】
1.6.6 カップリング剤
カップリング剤は、特に限定されるものではなく、公知のカップリング剤を用いることができる。添加されるカップリング剤はシランカップリング剤が好ましく、具体的には、トリアルコキシシラン化合物又はジアルコキシシラン化合物などを挙げることができる。好ましくは、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが例示できる。これらの中でも、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのカップリング剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
カップリング剤は、光硬化性インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜3重量部添加して用いられることが好ましい。
【0126】
1.7 光硬化性インクジェット用インクの調製方法
光硬化性インクジェット用インクは、必要な成分を混合して得られた溶液を、ろ過することにより調整するのが好ましい。ろ過には、例えばフッ素樹脂製のメンブレンフィルターなどが用いられる。
【0127】
1.8 光硬化性インクジェット用インクの粘度
光硬化性インクジェット用インクの粘度は特に限定されないが、25℃における粘度が3〜300mPa・sであると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する点で好ましい。より好ましくは5〜200mPa・s、さらに好ましくは10〜150mPa・sである。
25℃における粘度が30mPa・sを超える場合は、インクジェットヘッドを加熱して吐出時の粘度を下げると、より安定した吐出が可能になる。インクジェットヘッドを加熱してジェッティングを行う場合は、加熱温度(好ましくは40〜120℃)におけるインクジェット用インクの粘度は3〜30mPa・sが好ましく、5〜25mPa・sであればさらに好ましく、10〜20mPa・sが特に好ましい。
なお、インクジェットヘッドを加熱せずに安定して吐出する場合は、25℃における粘度を30mPa・s以下にしなければならないが、インク調製時に用いる単官能重合性モノマー(A)と多官能重合性モノマー(B)の種類と重量比を調整することにより、インクの粘度を30mPa・s以下に調製することができる。また、上述したように、安定した吐出のために特に好ましい粘度は10〜20mPa・sであり、気温の変動に関わらずこの粘度を実現するために、たとえ30mPa・s以下に粘度が調製されたインクであっても、ヘッドを一定温度に加熱する場合がある。
ここで、インクジェット用インクの粘度は、E型粘度計(東機産業(株)製 TV−22)を用いて計測されたものである。
【0128】
1.9 光硬化性インクジェット用インクの保存
光硬化性インクジェット用インクは、−20〜20℃で保存すると粘度変化が小さく、保存安定性が良好である。
【0129】
2 インクジェット方法による光硬化性インクジェット用インクの塗布
光硬化性インクジェット用インクは、公知のインクジェット方法で塗布する工程を有するインクジェット塗布方法に用いることができる。インクジェット塗布方法としては、例えば、インクに力学的エネルギーを作用させてインクを塗布させる方法、及び、インクに熱エネルギーを作用させてインクを塗布させる塗布方法がある。インクジェット塗布方法を用いることにより、光硬化性インクジェット用インクを予め定められたパターン状に塗布することができる。これによって、必要な箇所だけにインクを塗布でき、コストの削減となる。
【0130】
光硬化性インクジェット用インクを用いて塗布を行うのに好ましい塗布ユニットは、例えば、これらのインクを収容するインク収容部と、塗布ヘッドとを備えた塗布ユニットが挙げられる。塗布ユニットとしては、例えば、塗布信号に対応した熱エネルギーをインクに作用させ、前記エネルギーによりインク液滴を発生させる塗布ユニットが挙げられる。
塗布ヘッドとしては、例えば、金属及び/又は金属酸化物を含有する発熱部接液面を有するものである。前記金属及び/又は金属酸化物の具体例は、例えば、Ta、Zr、Ti、Ni、Al等の金属、及び、これらの金属の酸化物が挙げられる。
【0131】
光硬化性インクジェット用インクを用いて塗布を行うのに好ましい塗布装置としては、例えば、インクが収容されるインク収容部を有する塗布ヘッドの室内のインクに、塗布信号に対応したエネルギーを与え、前記エネルギーによりインク液滴を発生させる装置が挙げられる。
【0132】
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが分離されているものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いるものでもよい。また、インク収容部は塗布ヘッドに対し分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
【0133】
3 硬化膜の形成
光硬化性インクジェット用インクの場合、硬化膜は、インクジェット印刷等、公知の方法を用いて基板の表面にインクを塗布した後に、該インクに紫外線や可視光線等の光を照射して得られる。光が照射された部分のインクは、例えばアクリルモノマーの重合により三次元化架橋体となって硬化し、インクの広がりを効果的に抑えられる。したがって、本発明の光硬化性インクジェット用インクを用いると、高精細なパターンの描画が可能になる。光硬化性インクジェット用インクの組成に依存するが、照射する光として紫外線を用いた場合には、照射する紫外線の量は、ウシオ電機(株)製の受光器UVD−365PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定して、10〜1,000mJ/cm程度が好ましい。
【0134】
また、必要に応じて、基板の表面に吐出され光が照射されたインクをさらに加熱・焼成してもよく、特に、120〜250℃で10〜60分間加熱することが好ましい。
【0135】
本明細書中、「基板」は、本発明の光硬化性インクジェット用インクが塗布される対象となり得るものであれば特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
【0136】
また、使用できる基板の材質は特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックフィルム、セロハン、アセテート、金属箔、ポリイミドと金属箔の積層フィルム、目止め効果があるグラシン紙、パーチメント紙、あるいはポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシメチルセルロース(CMC)などで目止め処理した紙、ガラスなどを挙げることができる。なお、これらの基板を構成する物質には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、さらに、顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び/又は電磁波防止剤等の添加剤を含んでもよい。
【0137】
上記の基板の厚さは、特に限定されないが、通常、10μm〜2mm程度であり、使用する目的により適宜調整されるが、15〜500μmが好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。上記の基板の硬化膜を形成する面には、必要によりコロナ処理、プラズマ処理、ブラスト処理等の易接着処理を施したり、易接着層を設けてもよい。
【実施例】
【0138】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0139】
実施例または比較例では、以下の化合物については、記号で表すことにする。
単官能重合性モノマー(A)
a1:テトラヒドロフルフリルメタアクリレート
a2:シクロヘキシルメタアクリレート
a3:イソボルニルメタアクリレート
a4:4−ヒドロキシブチルアクリレート
a5:ジジクロペンタニルメタアクリレート
多官能重合性モノマー(B)
b1:ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート
b2:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
b3:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、
b4:イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート
b5:ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート
【0140】
実施例および比較例で得られたインクや硬化膜の評価方法は以下の通りである。
【0141】
(インク外観)
光硬化性インクジェット用インクは、表1に示す配合割合で各配合成分を混合溶解させて調整するが、各成分が溶解したか否かを、目視によって確認する。確認結果を以下に従って表2に示す。
○:調製後、24時間経過した時点で、透明かつ未溶解分が確認されないこと。
×:調製後、24時間経過した時点でも、溶解していないこと。
【0142】
(粘度)
JIS K−7117−2に準拠して各光硬化性インクジェット用インクの粘度を測定した。なお、測定温度は25℃である。
(露光による硬化状況)
光硬化させて得た各光硬化性インクジェット用インクの硬化膜を指で触れ、硬化状況を確認する。確認結果を以下に従って、表2に示す。
○:膜が変形せず、べたつきもないこと。
△:膜は変形しないが、べたつきがあること。
×:膜が変形すること。
【0143】
(5%重量減少温度)
JIS−K−7120に準拠して、熱重量分析装置を用い、各光硬化性インクジェット用インクの硬化膜を昇温加熱した際の5%重量減少時の温度を測定した。なお、30℃から昇温開始し、10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温加熱した。
【0144】
(硬化膜のめっき液に対する耐性の評価)
硬化膜のめっき液に対する耐性を評価するために、後述する手順により作製した試験基板を30℃のパラジウム水溶液(商品名:KAT−450、Pd濃度12mg/L、上村工業(株)製)に1分浸漬して水洗した後に、80℃の無電解ニッケルめっき液(商品名:ニムデンNPR−4、Ni濃度4.5g/L、上村工業(株)製)中に30分浸漬させて水洗を行い、続いて80℃の無電解金めっき液(商品名:ゴブライトTAM−55、Au濃度1g/L、上村工業(株)製)中に10分浸漬させて水洗することでめっき皮膜を形成した。この工程中においてめっき液の硬化膜内部への浸入や硬化膜の剥離が生じなかった場合を「○」、めっき液の硬化膜内部への浸入や硬化膜の剥離が生じた場合を「×」とした。
【0145】
(硬化膜のはんだ耐熱性の評価)
硬化膜のはんだ耐熱性を評価するために、後述する手順により作製した試験基板の硬化膜表面にロジン系フラックス(商品名:NS−829、(株)日本スペリア社製)を塗布して、260℃のはんだ浴中に30秒浸漬させ、剥離や膨れが生じたか否かを調べた。剥離と膨れが全く生じなかった場合を「○」、剥離又は膨れが僅かでも生じた場合を「×」とした。
【0146】
[実施例1〜5及び比較例1〜5]
各実施例及び比較例において、表1に示す配合割合(重量部)で各配合成分を混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(0.5μm)でろ過し、光硬化性インクジェット用インクを調製した。
【0147】
【表1】

【0148】
この光硬化性インクジェット用インクを用い、インクジェット印刷装置を用いて、以下の条件で基板(厚さ0.7mm)上に描画し、次いで光硬化させて試験基板を作製した。
【0149】
(インクジェット印刷装置による描画条件):
印刷装置:DMP−2831(商品名;FUJIFILM Dimatix社製)
諸設定値:ヘッド温度(30℃、ただし比較例5のみ50℃)、ピエゾ電圧(19V)、駆動周波数(5kHz)
【0150】
(光硬化の条件):
露光装置:TME−400PRC(商品名;(株)トプコン製)
諸設定値:露光紫外線波長(365nm)、露光量(500mJ/cm
【0151】
上記のようにして作製した光硬化性インクジェット用インク及び硬化膜を形成した試験基板について、表2に示す各特性について試験・評価した。結果を表2に示す。
【0152】
【表2】

【0153】
表2に示されるように、実施例1〜5の光硬化性インクジェット用インクは、室温での粘度が20mPa・s以下で、インクジェットヘッドを加熱せずとも室温にて安定して吐出ができ、かつ、光照射のみで得た硬化膜の熱重量分析による5%重量減少温度はいずれも200℃以上であった。これに対し、比較例1〜5の組成では、光照射のみでは完全な硬化膜は得られず、光照射のみで得た硬化膜の熱重量分析による5%重量減少温度はいずれも200℃未満であった。
【0154】
[実施例6〜8及び比較例6]
各実施例及び比較例において、表3に示す配合割合(重量部)で各配合成分を混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(5.0μm)でろ過し、光硬化性インクジェット用インクを調製した。尚、表3に示されるBANI−MとBANI−Xは化合物(D1)に、VG3101Lは化合物(D2)に該当する。
【0155】
【表3】

【0156】
この光硬化性インクジェット用インクを用い、インクジェット印刷装置を用いて、以下の条件で基板(厚さ0.7mm)上に描画し、次いで光硬化の後、熱硬化させて試験基板を作製した。
【0157】
(インクジェット印刷装置による描画条件):
印刷装置:DMP−2831(商品名;FUJIFILM Dimatix社製)
諸設定値:ヘッド温度(70℃、ただし比較例6のみ50℃)、ピエゾ電圧(19V)、駆動周波数(5kHz)
【0158】
(光硬化の条件):
露光装置:TME−400PRC(商品名;(株)トプコン製)
諸設定値:露光紫外線波長(365nm)、露光量(40mJ/cm
(熱硬化の条件):
オーブン内にて230℃×30分加熱
【0159】
上記のようにして作製した光硬化性インクジェット用インク及び硬化膜を形成した試験基板について、表4に示す各特性について試験・評価した。結果を表4に示す。
【0160】
【表4】

【0161】
表4に示されるように、比較例6の組成に対し、実施例6〜8の組成では何れも、硬化膜の5%重量減少温度が向上しており、架橋性化合物(D)として、ビスアリルナジイミド化合物(D1)またはオキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(D2)を添加することにより、硬化膜の耐熱性が向上することを示すものである。
【0162】
[合成例1](化合物(d3−1)の合成)
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(以下、「OXT−101」という)15.49g、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(以下、「ODPA」という)20.68g、及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル(以下、「EDM」という)54.26gを115℃で4.5時間加熱攪拌し、化合物(D3)である化合物(d3−1)を含む合成液1を得た。合成液1の25℃での粘度は14mPa・sであった。


【0163】
[実施例9、10及び比較例7]
各実施例及び比較例において、表5に示す配合割合(重量部)で各配合成分を混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(0.5μm)でろ過し、光硬化性インクジェット用インクを調製した。
【0164】
【表5】

【0165】
この光硬化性インクジェット用インクを用い、インクジェット印刷装置を用いて、以下の条件で基板(厚さ0.7mm)上に描画し、次いで乾燥、光硬化の後、熱硬化させて試験基板を作製した。
【0166】
(インクジェット印刷装置による描画条件):
印刷装置:DMP−2831(商品名;FUJIFILM Dimatix社製)
諸設定値:ヘッド温度(30℃、ただし実施例9のみ40℃)、ピエゾ電圧(19V)、駆動周波数(5kHz)
【0167】
(乾燥条件):
ホットプレート上にて80℃×3分加熱
(光硬化の条件):
露光装置:TME−400PRC(商品名;(株)トプコン製)
諸設定値:露光紫外線波長(365nm)、露光量(100mJ/cm
(熱硬化の条件):
オーブン内にて230℃×30分加熱
【0168】
上記のようにして作製した光硬化性インクジェット用インク及び硬化膜を形成した試験基板について、表6に示す各特性について試験・評価した。結果を表6に示す。
【0169】
【表6】

【0170】
表6に示されるように、比較例7の組成に対し、実施例9、10の組成では何れも硬化膜の5%重量減少温度が向上しているが、架橋性化合物(D)として、オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(D2)であるVG3101Lを単独で添加するよりも、化合物(D3)を共に添加することにより、さらに硬化膜の耐熱性が向上することを示すものである。
【0171】
[実施例11及び比較例8]
各実施例及び比較例において、表7に示す配合割合(重量部)で各配合成分を混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(5.0μm)でろ過し、光硬化性インクジェット用インクを調製した。表7中のMW−30Mは、式(13)で表される化合物あるいはその縮合物である化合物(D4)である。
【0172】
【表7】

【0173】
この光硬化性インクジェット用インクを用い、インクジェット印刷装置を用いて、以下の条件で基板(銅箔をポリイミド上に積層した基板(厚さ35μm))[(東洋紡績(株)製)バイロフレックス(商品名)]上に描画し、次いで光硬化の後、熱硬化させて試験基板を作製した。
【0174】
(インクジェット印刷装置による描画条件):
印刷装置:DMP−2831(商品名;FUJIFILM Dimatix社製)
諸設定値:ヘッド温度(70℃)、ピエゾ電圧(19V)、駆動周波数(5kHz)
硬化膜の膜厚:30μm
【0175】
(光硬化の条件):
露光装置:TME−400PRC(商品名;(株)トプコン製)
諸設定値:露光紫外線波長(365nm)、露光量(40mJ/cm
(熱硬化の条件):
オーブン内にて190℃×30分加熱
【0176】
上記のようにして作製した光硬化性インクジェット用インク及び硬化膜を形成した試験基板について、表8に示す各特性について試験・評価した。結果を表8に示す。
【0177】
【表8】

【0178】
表8に示されるように、比較例8の組成に対し、実施例11の組成では硬化膜のめっき液に対する耐性、及びはんだ耐熱性が共に向上しており、架橋性化合物(D)として、式(13)で表される化合物あるいはその縮合物である化合物(D4)であるMW−30Mを添加することにより、めっき液に対する耐性、及びはんだ耐性が向上することを示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0179】
以上説明したように、本発明の光硬化性インクジェット用インクは、加熱を要せず光照射のみで硬化膜が得られ、その硬化膜は絶縁膜や保護膜として充分な耐熱性を有する。例えば、硬化にあたり加熱を要さないことから、プラスチックなどの、比較的耐熱性の低い材料を基板に用いた電子回路や半導体パッケージに使用される絶縁膜や保護膜、及びこれらを用いた電子部品に使用することができる。また、集積度の高い半導体や、半導体を高密度に実装した電子回路などの発熱が顕著な部分の絶縁膜や保護膜としても使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単官能重合性モノマー(A)、多官能重合性モノマー(B)、および光重合開始剤(C)を含有する光硬化性インクジェット用インクであって、波長365nmの紫外線を1000mJ/cm照射して硬化させた該インクの硬化物の、熱重量分析による5%重量減少温度が200℃以上である光硬化性インクジェット用インク。
【請求項2】
単官能重合性モノマー(A)が、環状構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項3】
単官能重合性モノマー(A)が、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1つ以上である請求項1または2に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項4】
多官能重合性モノマー(B)が、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1つ以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項5】
多官能重合性モノマー(B)が、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及びε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートからなる群から選ばれる1以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項6】
光重合開始剤(C)が、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項7】
さらに、架橋性化合物(D)を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項8】
架橋性化合物(D)が、下記式(1)で表されるビスアリルナジイミド化合物(D1)である、請求項7に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式中、R1は炭素数2〜18のアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基または炭素数7〜18のアラルキレン基を示す。)
【請求項9】
式(1)において、Rが式(1−a)で表される、請求項8に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式(1−a)中、m1〜m3は独立に0〜6の整数であり、n1およびn2は独立に0または1であり、環Aおよび環Bは独立して1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンであり、n1=n2=0のとき、m1+m2+m3は2〜18の整数であり、n1およびn2のどちらかが1であり他方が0のとき、m1+m2+m3は0〜12の整数であり、n1=n2=1のとき、m1+m2+m3は0〜6の整数である。)
【請求項10】
架橋性化合物(D)が、オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(D2)である、請求項7に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項11】
化合物(D2)が、下記式(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)で表される化合物である、請求項10に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式(2)、(4)、(5)及び(6)中、nは0〜10の整数である。)
【請求項12】
架橋性化合物(D)が、下記式(7)で表される化合物(D3)である、請求項7に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式(7)中、Rは炭素数6〜100のテトラカルボン酸二無水物残基であり、Rは炭素数1〜40の有機基である。)
【請求項13】
式(7)において、Rがオキセタン、オキシラン、シクロヘキセン又は二重結合を有している、請求項12に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項14】
化合物(D3)が、下記式(8)、(9)、(10)、(11)又は(12)で表される化合物である、請求項13に記載のインクジェット用インク。



(式(8)、(9)、(10)及び(11)中、Rは炭素数6〜100のテトラカルボン酸二無水物残基であり、式(8)中、Rは水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、Rは炭素数1〜3のアルキレンであり、式(9)、(10)及び(11)中、Rは炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり環構造又は酸素を含んでいてもよい。式(12)中、Rは炭素数6〜100のテトラカルボン酸二無水物残基であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり環構造又は酸素を含んでいてもよく、Rは水素又はメチルである。)
【請求項15】
式(8)、(9)、(10)、(11)又は(12)において、Rが下記式(7a)〜(7i)のいずれかであり、式(8)中、Rが水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、Rが炭素数1〜3のアルキレンであり、式(9)、(10)及び(11)中、Rが環構造又は酸素を含んでいてもよい炭素数1〜10のアルキレンであり、式(12)中、Rが環構造又は酸素を含んでいてもよい炭素数1〜10のアルキレンであり、Rが水素またはメチルである、請求項14に記載のインクジェット用インク。


【請求項16】
架橋性化合物(D)が、下記式(13)で表される化合物あるいはその縮合物である化合物(D4)である、請求項7に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式(13)中、R〜R11は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアミノ基、または置換されていてもよいフェニルである。)
【請求項17】
〜R11の少なくとも1つが下記一般式(14)で表される基である、請求項16に記載の光硬化性インクジェット用インク。



(式(14)中、R12、R13は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜5のアルキル、アクリロイル、メタクリロイル、または置換されていてもよいフェニルである。)
【請求項18】
〜R11の全てが上記一般式(14)で表される基であり、かつR12、R13は、それぞれ独立して、水素、またはメチルである、請求項17に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項19】
12、R13がともにメチルである、請求項18に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項20】
架橋性化合物(D)が、請求項11に記載の式(3)で表される化合物(D2)から選ばれた少なくとも1つおよび請求項14に記載の式(8)で表される化合物(D3)から選ばれた少なくとも1つである、請求項7に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項21】
さらに着色剤(E)を含有している、請求項1〜20のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
【請求項22】
着色剤(E)が顔料である、請求項21に記載のインクジェット用インク。
【請求項23】
着色剤(E)がカーボンブラックである、請求項21に記載のインクジェット用インク。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載のインクジェット用インクから形成された硬化膜。
【請求項25】
請求項24に記載の硬化膜が形成された電子回路基板。
【請求項26】
請求項25に記載の電子回路基板を有する、電子部品。
【請求項27】
請求項26に記載の電子部品を有する、表示素子。

【公開番号】特開2010−143982(P2010−143982A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320402(P2008−320402)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】