光線路監視装置及び光線路監視システム及び光線路監視方法
【課題】本発明は、光パルスのパルス幅を変更することなくフレネル反射及びレイリー散乱の両方を測定することができる光線路監視装置及び光線路監視方法の提供を目的とする。
【解決手段】本願発明の光線路監視装置101は、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスPfを発生して被測定光ファイバ100に出力する光パルス発生部11と、光パルス発生部11からの光パルスが被測定光ファイバ100で反射された戻り光Pbを、幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域で受光する受光部13と、を備える。
【解決手段】本願発明の光線路監視装置101は、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスPfを発生して被測定光ファイバ100に出力する光パルス発生部11と、光パルス発生部11からの光パルスが被測定光ファイバ100で反射された戻り光Pbを、幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域で受光する受光部13と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線路監視装置及び光線路監視方法に関し、特にOTDRを用いた光線路監視装置及び光線路監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバからなる光線路の損失又は破断点を検出するためのOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のOTDRは、光パルスを光ファイバに出力し、光ファイバで反射された戻り光を受光する。このとき、光ファイバの測定波形が一定以上のSN比で得られるように、光パルスの波高値及びパルス幅を自動設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−174666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
OTDRでは、フレネル反射のように高いレベルの反射光を測定する場合とレイリー散乱のように低いレベルの反射光を測定する場合がある。距離分解能を高くするにはパルス幅を狭くする必要があるが、レイリー散乱のような低いレベルでは必要なS/N比を確保できない。このようにフレネル反射を測定する際に適した光パルスのパルス幅と、レイリー散乱を測定する際に適した光パルスのパルス幅とは異なる。
【0005】
特許文献1のOTDRを光線路監視装置に用いた場合は、フレネル反射の測定のときとレイリー散乱の測定のときとで、光パルスのパルス幅を変更しなければならない。光パルスのパルス幅を変更するためには、光パルスを発生するための回路が複雑になる。
【0006】
また、後述のように、PON(Passive Optical Network)では、フレネル反射より高い反射率を有する反射用WDMフィルタが光線路に組み込まれており、測定する対象光ごとの光強度レベルが桁違いに異なる。このためパルス幅の調整時間が長くなって全体の測定時間が長くなり、光線路監視装置のように速報性が要求される用途では大きな問題となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、光パルスのパルス幅を変更することなく反射用WDMフィルタからの反射からレイリー散乱までの桁違いにレベルが異なる測定対象光の光強度を短時間で測定することができる光線路監視装置、光線路監視システム及び光線路監視方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明の光線路監視装置及び光線路監視方法は、
ピーク形状を有する光パルスを用い、光パルスが光ファイバで反射された戻り光を、光パルスのピーク形状を維持する第1の周波数帯域及び第1の周波数帯域よりも狭い第2の周波数帯域で受光することを特徴とする。
【0009】
受光部がピーク形状を維持する第1の周波数帯域で受光することで、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を測定することができる。受光部が第2の周波数帯域で受光することで、レイリー散乱を測定することができる。これにより、本願発明の光線路監視装置は、光パルスのパルス幅を変更することなく反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0010】
具体的には、本願発明の光線路監視装置は、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスを発生して被測定光ファイバ(100)に出力する光パルス発生部(11)と、前記光パルス発生部からの光パルスが前記被測定光ファイバで反射された戻り光を、前記幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び前記幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域の両方で受光する受光部(13)と、を備える。
【0011】
第1の周波数帯域で受光するため、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射を測定することができる。第2の周波数帯域で受光するため、レイリー散乱を測定することができる。これにより、光パルスのパルス幅を変更することなく反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0012】
本願発明の光線路監視装置では、前記光パルス発生部の発生する前記光パルスは、ピークから裾に向けてパルス幅が階段状に拡大する形状を有し、前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域であってもよい。
本発明により、パルス幅の異なる複数の矩形パルスを合成した光パルスを用いて、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0013】
本願発明の光線路監視装置では、前記光パルス発生部の発生する前記光パルスは、ピークから波高値が漸減する形状を有し、前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域であってもよい。
本発明により、単パルス光の裾を広がらせた光パルスを用いて、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0014】
本願発明の光線路監視装置では、前記受光部は、前記戻り光を受光する受光器(31)と、前記受光器からのアナログ信号を2つに分配及び少なくとも片方の信号を前記第1の周波数帯域で増幅する高周波信号分配・増幅器(32)と、を備えてもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0015】
本願発明の光線路監視装置では、前記受光部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で受光する受光系を備えてもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0016】
本願発明の光線路監視装置では、前記受光部は、前記戻り光を前記第1の周波数帯域で受光する受光器(31)と、前記受光器からのアナログ信号を前記第1の周波数帯域で増幅する増幅器(33)と、前記増幅器からのアナログ信号をデジタル信号に変換するADC(Analog Digital Converter)(35)と、前記ADCからのデジタル信号より前記第1の周波数帯域の成分と前記第2の周波数帯域の成分をそれぞれ抽出するデジタル演算回路(34)と、を備えてもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0017】
本願発明の光線路監視装置では、前記受光部が前記第1の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める第1演算処理部(14−1)と、前記第1演算処理部の求めたOTDR波形を、前記第1演算処理部がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する第1記憶部(17−1)と、前記第1記憶部の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第1判定部(18−1)と、を備えてもよい。
本発明により、所定距離におけるフレネル反射の反射レベルが低下したか否かを判定することができる。これにより、被測定光線路がPONである場合に、いずれの光ファイバで損失又は破断点が生じているのかを判定することができる。
【0018】
本願発明の光線路監視装置では、前記受光部が前記第2の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める第2演算処理部(14−2)と、前記第2演算処理部の求めたOTDR波形を、前記第2演算処理部がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する第2記憶部(17−2)と、前記第2記憶部の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第2判定部(18−2)と、を備えてもよい。
本発明により、レイリー散乱の反射レベルが低下した距離を判定することができる。これにより、被測定光線路がPONである場合に、損失又は破断点が生じている距離を特定することができる。
【0019】
具体的には、本願発明の光線路監視システムは、本願発明に係る光線路監視装置(101)と、1本の光ファイバ(21)が光スプリッタ(22)で複数本の光ファイバ(23−1〜23−N)に分岐されているPON(Passive Optical Network)の前記1本の光ファイバに挿入され、前記光線路監視装置からの光パルスを前記1本の光ファイバに合波するとともに、前記複数本の光ファイバで反射された前記戻り光を前記光線路監視装置に分波する挿入用WDM(Wavelength Division Multiplexing)フィルタ(93)と、前記PONの前記複数本の各光ファイバに挿入され、前記光線路監視装置からの光パルスを反射する反射用WDMフィルタ(94−1〜94−N)と、を備える。
【0020】
本発明により、光線路監視装置からの光パルスをPONの上流に入力し、下流の各反射用WDMフィルタで反射させることができる。これにより、複数本の各光ファイバを監視することができる。ここで、本願発明の光線路監視装置を用いているため、本願発明の光線路監視システムは、複数本の各光ファイバの反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0021】
具体的には、本願発明の光線路監視方法は、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスを発生して被測定光ファイバ(100)に出力する光パルス出力手順(S101)と、前記光パルス出力手順で出力した前記光パルスが前記被測定光ファイバで反射された戻り光を、前記幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び前記幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域の両方で受光する戻り光受光手順(S102)と、を順に有する。
【0022】
戻り光受光手順において第1の周波数帯域で受光するため、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を測定することができる。戻り光受光手順において第2の周波数帯域で受光するため、レイリー散乱を測定することができる。これにより、本願発明の光線路監視方法を実行することで、光パルスのパルス幅を変更することなく反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0023】
本願発明の光線路監視方法では、前記光パルス出力手順において発生する前記光パルスは、ピークから裾に向けてパルス幅が階段状に拡大する形状を有し、前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域であってもよい。
本発明により、パルス幅の異なる複数の矩形パルスを合成した光パルスを用いて、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0024】
本願発明の光線路監視方法では、前記光パルス出力手順において発生する前記光パルスは、ピークから波高値が漸減する形状を有し、前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域であってもよい。
本発明により、単パルス光の裾を広がらせた光パルスを用いて、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0025】
本願発明の光線路監視方法では、前記戻り光受光手順において、前記戻り光を受光して光電変換し、光電変換後のアナログ信号を分配し、分配した少なくとも一方のアナログ信号を前記第1の周波数帯域で増幅してもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0026】
本願発明の光線路監視方法では、前記戻り光受光手順において、前記戻り光を、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で同時に受光してもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0027】
本願発明の光線路監視方法では、前記戻り光受光手順において、前記戻り光を前記第1の周波数帯域で受光して光電変換し、光電変換後のアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号から前記第1の周波数帯域の周波数成分及び前記第2の周波数帯域の周波数成分をそれぞれ抽出してもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0028】
本願発明の光線路監視方法では、前記戻り光受光手順において前記第1の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求めてOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶し、記憶したOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第1判定手順(S111)を前記戻り光受光手順の後にさらに有してもよい。
本発明により、被測定線路がPONである場合に、所定距離における反射用WDMフィルタからの反射の反射レベルが低下したか否かを判定することができる。これにより、各ONUが接続されたいずれの光ファイバで損失又は破断点が生じているのかを判定することができる。
【0029】
本願発明の光線路監視方法では、前記戻り光受光手順において前記第2の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求めてOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶し、記憶したOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び前記最新以外のOTDR波形を比較する第2判定手順(S112)を前記戻り光受光手順の後にさらに有してもよい。
本発明により、レイリー散乱の反射レベルが低下した距離を判定することができる。これにより、被測定光ファイバがPONである場合に、損失または破断の発生位置をより明確に検出することができる。
【0030】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、光パルスのパルス幅を変更することなく反射用WDMフィルタからの反射からレイリー散乱までの桁違いにレベルが異なる測定対象光の光強度を短時間で測定することができる光線路監視装置、光線路監視システム及び光線路監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態1に係る光線路監視システムの一例を示す。
【図2】実施形態1に係る光線路監視装置の一例を示す。
【図3】表示部での表示例であり、(a)は受光部が第1の周波数帯域で受光した場合を示し、(b)は受光部が第2の周波数帯域で受光した場合を示す。
【図4】光パルスPfの形状の一例を示し、(a)は光パルスPfの形状の第1例を示し、(b)は光パルスPfの形状の第2例を示し、(c)は光パルスPfの形状の第3例を示す。
【図5】光パルスPfの形状の第1例であり、(a)は第1のパルスを示し、(b)は第2のパルスを示し、(c)は第1のパルス及び第2のパルスを合成した光パルスPfの形状を示す。
【図6】第1のパルスの配置例であり、(a)は第1の配置例を示し、(b)は第2の配置例を示し、(c)は第3の配置例を示す。
【図7】光パルスPfの形状の第2例であり、(a)は第1のパルスを示し、(b)は第2のパルスを示し、(c)は第1のパルス及び第2のパルスを合成した光パルスPfの形状を示す。
【図8】受光部の第1例を示す。
【図9】受光部の第1例の別形態を示す。
【図10】実施形態1に係る光線路監視方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】判定手順S103の具体例を示す説明図である。
【図12】受光部の第2例を示す。
【図13】受光部の第3例を示す。
【図14】別形態のデジタル演算回路を備える受光部の第3例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0034】
(実施形態1)
図1に、実施形態1に係る光線路監視システムの一例を示す。本実施形態に係る光線路監視システムは、OLT(Optical Line Terminal)91と、ONU(Optical Network Unit)92−1〜92−Nと、OLT91及びONU92−1〜92−Nを接続する被測定光ファイバ100と、挿入用WDM(Wavelength Division Multiplexing)フィルタ93と、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nと、光線路監視装置101と、を備える。被測定光ファイバ100は、例えば、1本の光ファイバ21が光スプリッタ22でN本(Nは2以上の整数。)の光ファイバ23−1〜23−Nに分岐されているPONである。光スプリッタ22の分岐数Nは、例えば、8であってもよいし、128であってもよい。
【0035】
挿入用WDMフィルタ93は、1本の光ファイバ21に挿入され、光線路監視装置101からの光パルスPfを1本の光ファイバ21に合波するとともに、光ファイバ23−1〜23−Nで反射された戻り光Pbを光線路監視装置101に分波する。反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nは、各光ファイバ23−1〜23−Nに挿入され、光線路監視装置101からの光パルスPfを反射する。例えば、反射用WDMフィルタ94−1は光ファイバ23−1のONU92−1側の端部に挿入され、反射用WDMフィルタ94−Nは光ファイバ23−NのONU92−N側の端部に挿入される。
【0036】
光線路監視装置101は、光パルスPfを発生して被測定光ファイバ100に出力し、光パルスPfが被測定光ファイバ100で反射された戻り光Pbを受光することでOTDR測定を行う。このとき、光線路監視装置101はOLT91からの信号光の波長とは異なる監視用波長を用いて監視を行う。ONU92−1〜92−Nではこの監視用信号によって信号品質が劣化しないよう、監視用波長阻止フィルタとしての機能を有する反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nが取り付けられている。このフィルタはFBG(Fiber Bragg Grating)または誘電体多層膜などで構成されており、監視用波長に対して高い反射率を持っている。
【0037】
また、各ONU92−1〜92−Nの設置においてファイバ長を調整することにより、基準点Loからの各ONU92−1〜92−Nまでの距離はそれぞれ異なっている。よって設置工事時における光ファイバ23−1〜23−Nのファイバ長情報と実際の反射点までの距離によって、各反射点が具体的にどのONU92−1〜92−Nを表しているか判るようになっている。
【0038】
光ファイバ23−1〜23−Nの長さの違いは数m程度の場合もあり、この違いを検出するため、光パルスPfには幅の狭いパルスを有する。まず敷設後など正常時に測定してOTDR波形を保存する。監視開始後は得られたOTDR波形をこの正常時のOTDR波形と比較し、両者に差異が生じた場合は、異常発生と判断し、異常が発生したONU92−1〜92−Nの番号を求める。図1の例ではONU92−1の光線路中に損失が発生した例を示している。
【0039】
実際に異常が発生した位置についてはレイリー散乱の不連続点から求めるが、これは反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nで反射された戻り光Pbの光強度よりもはるかに低いレベルにある。このため、OTDR波形を測定する平均化時間を長くするか、光パルスPfの有するパルス幅を広くするか、或いは平均化時間を長くしかつ光パルスPfの有するパルス幅を広くしたりすることにより求める。
【0040】
ここで、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射とレイリー散乱とを個別に求めると以下のような問題が生じる。
(第1の問題点)例えば、Nが小さい場合の反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射の測定時には平均化時間は5秒程度の場合も有るが、障害が検出されてレイリー散乱測定に切り替えた場合の平均化時間は144秒である。レイリー散乱測定中に反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射が求められないとすれば、この間は新たな障害の発生を検出することができなくなる。ここでPONの分岐数が多い場合、その分岐損の増加にあわせてこのレイリー散乱測定時の平均化時間を長く取らなければならず、例えば60分の場合もある。従って、PONの分岐数が多い場合、新たな障害の発生を監視できない時間が増えてしまうという問題がある。
【0041】
(第2の問題点)段落0038で述べた様に、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射の正常時の波形測定は監視開始前に一度行われるのみとした場合、監視期間が数ヶ月以上になると、季節による温度変化などで基準点から反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nまでの距離が変化してくる。また、ファイバ架設の張力も変わり若干ながら光レベルも変化する。従って、数ヶ月以上前の正常時波形と比較するためには、これらの変動を考慮する必要があり、アルゴリズムの複雑化、或いは、精度の低下を招く。
【0042】
(第3の問題点)例えば、広いパルス幅及び/又は長い平均化時間による測定時には、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nの大きな反射によるデッドゾーンや反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nでの反射折り返しによるゴースト波形が重層する。このため、分岐数Nが増えると、レイリー散乱測定による反射点の検出は困難となる。特に破断ではなく曲げ損失などではさらに検出が困難となる。
【0043】
そこで、光線路監視装置101は、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスPfを用い、光パルスが被測定光ファイバ100で反射された戻り光Pbを、幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域の両方で同時に受光することを特徴とする。これにより、障害発生の監視不能時間を無くし、障害検出の精度や障害位置の特定精度を向上することで、上記第1の問題点を解決する。これと第1の記憶部を組み合わせることで第2の問題点を、さらに第2記憶部を備えることで第3の問題点を解決する。
【0044】
図2に、光線路監視装置101の一例を示す。本実施形態に係る光線路監視装置101は、光パルス発生部11と、サーキュレータ12と、受光部13と、第1演算処理部14−1と、第2演算処理部14−2と、第1記憶部17−1と、第2記憶部17−2と、第1判定部18−1と、第2判定部18−2と、表示部15と、光入出力端子16と、を備える。
【0045】
光入出力端子16は、被測定光ファイバ100に接続される。光パルス発生部11は、光パルスPfを発生する。サーキュレータ12は、光パルス発生部11からの光パルスPfを光入出力端子16に出力する。これにより、光パルスPfが被測定光ファイバ100に出力される。光パルスPfの波形は一定である。
【0046】
光パルスPfが被測定光ファイバ100で反射されて戻り光Pbが発生する。戻り光Pbは光入出力端子16に入力される。サーキュレータ12は、戻り光Pbを受光部13に出力する。受光部13は、複数の周波数帯域で戻り光Pbを受光する。ここで、複数の周波数帯域は、例えば第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域である。第1の周波数帯域は第2の周波数帯域よりも広い。
【0047】
第1演算処理部14−1は、受光部13が第1の周波数帯域で受光した戻り光Pbの時間及び光量を用いてOTDR波形を求める。第1記憶部17−1は、第1演算処理部14−1の求めたOTDR波形を、第1演算処理部14−1がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する。これにより、幅の狭いパルスにおける正常時データを常時更新することができる。第1判定部18−1は、第1記憶部17−1の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、最新のOTDR波形の所定距離における波高値が最新以外のOTDR波形の所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する。これにより、光ファイバ23−1〜23−Nのいずれかで損失が生じた場合に、損失の生じた光ファイバを特定することができる。
【0048】
第2演算処理部14−2は、受光部13が第2の周波数帯域で受光した戻り光Pbの時間及び光量を用いてOTDR波形を求める。第2記憶部17−2は、第2演算処理部14−2の求めたOTDR波形を、第2演算処理部14−2がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する。これにより、幅の広いパルスにおける正常時データを常時更新することができる。第2判定部18−2は、第2記憶部17−2の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形以外のOTDR波形を取得し、最新のOTDR波形の所定距離における波高値が最新以外のOTDR波形の所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する。これにより、光ファイバ23−1〜23−Nのいずれかで損失が生じた場合に、損失の生じた距離を特定することができる。
【0049】
図3は、表示部での表示例であり、(a)は受光部が第1の周波数帯域で受光した場合を示し、(b)は受光部が第2の周波数帯域で受光した場合を示す。受光部13が第1の周波数帯域で戻り光Pbを受光する場合、パルス幅の狭いパルスを受光するため、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nでの戻り光を高分解能かつ短時間で測定することができる。これにより、光ファイバ23−1において曲げ損失が発生した場合に、図3(a)に示すように、反射用WDMフィルタ94−1からの反射レベルが低下したことを高分解能かつ短時間で測定することができる。
【0050】
受光部13が第2の周波数帯域で戻り光Pbを受光する場合、受光部13は、パルス幅の広いパルスを受光するため、レイリー散乱を、高SN比で測定することができる。これにより、光ファイバ23−1の距離L1−Lossにおいて曲げ損失が発生した場合に、図3(b)に示すように、距離L1−Lossで反射レベルが低下したことを高SN比で測定することができる。
【0051】
光パルスPfは、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する。光パルスPfの最大値における形状は矩形波形状であってもよいし正弦波形状であってもよい。
【0052】
図4は、光パルスPfの形状の一例を示し、(a)は光パルスPfの形状の第1例を示し、(b)は光パルスPfの形状の第2例を示し、(c)は光パルスPfの形状の第3例を示す。光パルスPfの形状の第1例は、図4(a)に示すように、ピークから裾に向けてパルス幅が階段状に拡大する形状を有する。光パルスPfの形状の第2例は、図4(b)に示すように、ピークから波高値が漸減する形状を有する。光パルスPfの形状の第3例は、図4(c)に示すように、ピークから裾に向けてパルス幅が単調に拡大する形状を有する。光パルスPfは、裾幅がピーク形状の半値幅の2倍よりも広いことが好ましい。これにより、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を高分解能で測定しかつレイリー散乱を高SN比で測定することができる。
【0053】
光パルスPfは、パルス幅の異なる複数のパルスを合成した形状を有していてもよい。光パルスPfは、例えば、第1のパルスと、第1のパルスよりもパルス幅の広い第2のパルスと、を合成した形状を有する。この場合、第1のパルスを用いて反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を測定する。第2のパルスを用いてレイリー散乱を測定する。これにより、1つの光パルスPfを用いて、フレネル反射及びレイリー散乱の両方を高SN比で測定することができる。なお、複数のパルスは、2つのパルスに限らず、3つ以上のパルスであってもよい。
【0054】
図5は、光パルスPfの形状の第1例であり、(a)は第1のパルスを示し、(b)は第2のパルスを示し、(c)は第1のパルス及び第2のパルスを合成した光パルスPfの形状を示す。第1のパルスは、図5(a)に示すように、パルス幅W1を有する矩形波である。第2のパルスは、図5(b)に示すように、パルス幅W2を有する矩形波である。光パルスPfの形状の第1例は、第1のパルス及び第2のパルスを合成したパルス形状を有する。
【0055】
光パルスPfの形状の第1例を有するパルスは、電子回路を用いて生成することができる。連続光を光パルスPfの形状の第1例を有するパルスで強度変調することで、光パルスPfの形状の第1例を有する光パルスPfを発生させることができる。
【0056】
光パルスPfのうちのパルス幅W1の部分は、パルス幅が狭く、波高値の高いパルスとなっている。光パルスPfを被測定光ファイバ100に出力し、パルス幅W1に応じた周波数帯域で受光することで、図3(a)に示すOTDR測定を行うことができる。これにより、被測定光ファイバ100での反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を高分解能かつ短時間で測定することができる。
【0057】
光パルスPfのうちのパルス幅W2の部分は、パルス幅が広く、波高値の低いパルスとなっている。光パルスPfを被測定光ファイバ100に出力し、パルス幅W2に応じた周波数帯域で受光することで、図3(b)に示すOTDR測定を行うことができる。これにより、被測定光ファイバ100でのレイリー散乱を高SN比で測定することができる。
【0058】
光パルスにおける第1のパルスの位置は限定しない。図6は、第1のパルスの配置例であり、(a)は第1の配置例を示し、(b)は第2の配置例を示し、(c)は第3の配置例を示す。第1の配置例は、第1のパルスがパルスの前方に配置されている。第2の配置例は、第1のパルスがパルスの中央に配置されている。第3の配置例は、第1のパルスがパルスの後方に配置されている。第1のパルスが光パルスにおけるいずれの位置にある場合であっても、パルス幅に応じた周波数帯域で受光することで、図3(a)及び図3(b)に示すOTDR測定を行うことができる。
【0059】
図7は、光パルスPfの形状の第2例であり、(a)は第1のパルスを示し、(b)は第2のパルスを示し、(c)は第1のパルス及び第2のパルスを合成した光パルスPfの形状を示す。光パルスPfの形状の第2例は、図7(c)に示すように、ピークから波高値が漸減する形状を有する。光パルスPfの形状の第2例を有する光パルスは、図6(a)に示す第1のパルスの形状を有する光を光ファイバ増幅器に通過させることで生成することができる。
【0060】
受光部13は、光パルス発生部11からの光パルスPfが被測定光ファイバ100で反射された戻り光Pbを、複数の周波数帯域で受光する。複数の周波数帯域は、例えば、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域である。
【0061】
第1の周波数帯域は、光パルスPfのピーク形状を維持する周波数帯域である。例えば、第1の周波数帯域は、戻り光Pbのピーク形状のパルス幅に応じた周波数帯域である。光パルスPfが図5及び図7に示す光パルスPfである場合、パルス幅W1に応じた周波数帯域である。これにより、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を高分解能かつ短時間で測定することができる。
【0062】
第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域よりも狭い周波数帯域である。例えば、第2の周波数帯域は、戻り光Pbの最大のパルス幅に応じた周波数帯域である。光パルスPfが図5及び図7に示す光パルスPfである場合、パルス幅W2に応じた周波数帯域である。これにより、レイリー散乱を高SN比で測定することができる。
【0063】
図8に、受光部の第1例を示す。受光部の第1例は、1つの受光器に対し、複数の周波数帯域を持つ電気回路を備える。具体的には、受光部の第1例は、受光器31と、高周波信号分配・増幅器32と、第2の増幅器33−2と、ADC(Analog Digital Converter)35−1とADC35−2と、を備える。
【0064】
受光器31は、戻り光Pbを受光し光電変換して電気信号を出力する。受光器31は、例えば、PD(Photo Diode)又はAPD(Avalanche Photo Diode)である。ここでこの受光器は第1の周波数帯域を満足するものである。高周波信号分配・増幅器32は、受光器31からの電気信号を分配後、すくなくとも片方を第1の増幅器により第1の周波数帯域で増幅する。なお、図9に示すように、高周波信号分配・増幅器32は、第1の増幅器により第1の周波数帯域で増幅後、分配してもよい。
【0065】
ADC35−1は、高周波信号分配・増幅器32の増幅したアナログ信号をデジタル信号Db−1に変換して第1演算処理部14−1に出力する。これにより、図3(a)に示すOTDR測定を行うことができる。
【0066】
第2の増幅器33−2は、高周波信号分配・増幅器32からの電気信号を、第2の周波数帯域で増幅する。ADC35−2は、第2の増幅器33−2の増幅したアナログ信号をデジタル信号Db−2に変換して第2演算処理部14−2に出力する。これにより、図3(b)に示すOTDR測定を行うことができる。
【0067】
光線路監視装置101は、本実施形態に係る光線路監視方法を実行する。図10は、本実施形態に係る光線路監視方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る光線路監視方法は、光パルス出力手順S101と、戻り光受光手順S102と、判定手順S103と、を順に有する。
【0068】
光パルス出力手順S101では、光パルス発生部11が、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスPfを発生して被測定光ファイバ100に出力する。戻り光受光手順S102では、光パルスPfが被測定光ファイバ100で反射された戻り光Pbを、受光部13が、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で受光する。
【0069】
本実施形態では、戻り光受光手順S102において、受光器31が戻り光Pbを受光して光電変換し、高周波信号分配・増幅器32が光電変換後のアナログ信号を分配し、分配した少なくとも一方のアナログ信号を第1の周波数帯域で増幅する。そして、一方のアナログ信号を、ADC35−1がアナログ信号をデジタル信号Db−1に変換する。第1の増幅器が分配したもう一方のアナログ信号を前記第2の周波数帯域で増幅し、ADC35−2がアナログ信号をデジタル信号Db−2に変換する。これにより、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射を高分解能かつ短時間で測定することができる。
【0070】
図1に示す光ファイバ23−1に曲げ損失Lが生じると、図3(a)に示す距離L1における反射レベルは減衰する。そこで、図1に示す光ファイバ23−1〜23−Nに損失Lが生じているか否かを判定するため、判定手順S103を実行する。
【0071】
判定手順S103は、戻り光記憶手順S113と、第1判定手順S111と、表示手順S114と、第2判定手順S112と、を順に有する。判定手順S103において、第1判定手順S111又は第2判定手順S112のいずれかのみを行ってもよい。
【0072】
図11は、判定手順S103の具体例を示す説明図である。
戻り光記憶手順S113では、第1演算処理部14−1が、戻り光受光手順S102において第1の周波数帯域で受光した戻り光Pbの時間及び光量を用いてOTDR波形を求める。次に、第1記憶部17−1が、第1演算処理部14−1の求めたOTDR波形を、第1演算処理部14−1のOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する。例えば、第1演算処理部14−1が、デジタル信号Db−1を用いてOTDR波形を求めて第1記憶部17−1に記憶する。このとき、デジタル信号Db−1を平均化することが好ましく、平均化する第1の平均化時間M1は例えば3分とする。
【0073】
ここで、後述のように第2の周波数成分についても正常時と異常時の比較を行う場合は以下の手順も並行して行う。第2演算処理部14−2が、戻り光受光手順S102において第2の周波数帯域で受光した戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める。次に、第2記憶部17−2が、第2演算処理部14−2の求めたOTDR波形を、第2演算処理部14−2のOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する。例えば、第2演算処理部14−2が、デジタル信号Db−2を用いてOTDR波形を求めて第2記憶部17−2に記憶する。
【0074】
次に、第1判定手順S111を行う。第1判定部18−1が、第1記憶部17−1の記憶したOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、最新のOTDR波形の所定距離における波高値が最新以外のOTDR波形の所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する。例えば、第1判定部18−1が、第1演算処理部14−1が求めたばかりのOTDR波形と、I分前に第1記憶部17−1に記憶したOTDR波形とを比較する。最新の波高値がI分前の波高値よりも許容値以上で変動していない場合は正常であることが分かる。I分前の波高値よりも許容値以上で変動していなかった最新の波高値を、正常時のOTDR波形として第1記憶部17−1に記録する。なお、このI分は第1の平均化時間M1より大きい値であれば良い。第1の周波数帯域信号であるデジタル信号Db−1の正常時の信号を常に更新することによって、長期間に亘る測定であっても障害発生の検出が容易になる。
【0075】
最新の波高値がI分前の波高値よりも予め定めておいた許容値以上で変動している場合は異常発生として、その表示手順S114を行うと共に第2判定手順S112を開始する。異常発生の表示手順S114については、監視対象がPONの場合は、波高値が変動した反射点についてその位置と予めONU設置工事時に得ておいた各反射用WDMフィルタまでの距離から、どのONUが設置されたファイバで不具合が発生したか表示する。
【0076】
第2判定手順S112では、第2演算処理部14−2が、戻り光受光手順S102において第2の周波数帯域で受光した戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める。次に、第2記憶部17−2が、第2演算処理部14−2の求めたOTDR波形を、第2演算処理部14−2のOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する。例えば、第2演算処理部14−2が、デジタル信号Db−2を用いてOTDR波形を求めて第2記憶部17−2に記憶する。このとき、デジタル信号Db−2を平均化することが好ましく、平均化する第2の平均化時間M2は例えば60分とする。ここで求めたOTDR波形を表示し、レイリー散乱の不連続点から損失、或いは破断など不具合が発生している位置を特定する。
【0077】
第2判定手順S112開始後は戻り光記憶手順S113に戻り、第1の周波数帯域の信号におけるOTDR波形の比較を再開する。これにより光線路監視の不能時間をパルス幅を切り替える方式に比べて短くすることが出来る。
【0078】
さらに第2の周波数帯域信号であるデジタル信号Db−2においても正常時と異常時の比較を行うことによって、障害発生位置の検出を容易にし、精度を改善できる。常時、測定を行い、測定結果を(M2+I)分記憶しておく。第1判定手順S111で異常を検知した場合、その時点より第2の平均化時間M2にわたり測定し、これと(M2+I)分前からI分前までを平均化した正常時の波形とを比較する。両者の比較によって障害発生位置が単独の波形よりも判りやすくなる。
【0079】
以上説明したように、光線路監視装置101は、本実施形態に係る光線路監視方法を実行することで、1つの光パルスPfを用いて被測定光ファイバ100における反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱の全てを高SN比で測定することができる。
【0080】
(実施形態2)
実施形態2に係る光線路監視装置は、実施形態1で説明した受光部の第1例に代えて受光部の第2例を備える。図12に、受光部の第2例を示す。受光部13の第2例は、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で受光する受光系を備える。これにより、戻り光Pbを複数の周波数帯域で同時に受光する。
【0081】
具体的には、受光部13の第2例は、光カプラ36と、第1の受光器31−1と、第2の受光器31−2と、第1の増幅器33−1と、第2の増幅器33−2と、第1のADC35−1と、第2のADC35−2と、を備える。
【0082】
光カプラ36は、戻り光Pbを分岐する。第1の受光器31−1は、光カプラ36からの戻り光Pbを、第1の周波数帯域で受光し光電変換する。第1の増幅器33−1は、第1の受光器31−1からの出力信号を第1の周波数帯域で増幅する。第1のADC35−1は、第1の増幅器33−1からのアナログ信号をデジタル信号Db−1に変換する。
【0083】
第2の受光器31−2は、光カプラ36からの戻り光Pbを、第2の周波数帯域で受光し光電変換する。第2の増幅器33−2は、第2の受光器31−2からの出力信号を第2の周波数帯域で増幅する。第2のADC35−2は、第2の増幅器33−2からのアナログ信号をデジタル信号Db−2に変換する。
【0084】
第1の受光器31−1及び第2の受光器31−2は、例えば、PD又はAPDである。それぞれ第1の周波数帯域、第2の周波数帯域に合わせて最適化を行えば、より性能が向上する。
【0085】
受光部13がデジタル信号Db−1を出力することで、図3(a)に示すOTDR測定を行うことができる。受光部13がデジタル信号Db−2を出力することで、図3(b)に示すOTDR測定を行うことができる。
【0086】
実施形態2に係る光線路監視装置は、本実施形態に光線路監視方法を実行する。本実施形態に係る光線路監視方法は、実施形態1に光線路監視方法と図10に示す戻り光受光手順S102が異なる。
【0087】
実施形態2に係る光線路監視方法では、戻り光受光手順S102において、受光部13が、戻り光Pbを、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で同時に受光する。例えば、第1の受光器31−1及び第2の受光器31−2が、同時に戻り光Pbを受光する。これにより、受光部13は、デジタル信号Db−1及びデジタル信号Db−2を同時に出力する。したがって、受光部13の第2例は、1つの光パルスPfを用いて被測定光ファイバ100における反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射とレイリー散乱の両方を同時に測定することができる。
【0088】
(実施形態3)
実施形態3に係る光線路監視装置は、実施形態1で説明した受光部の第1例に代えて受光部の第3例を備える。図13に、受光部の第3例を示す。受光部13の第3例は、受光器31と増幅器33を第1の周波数帯域に対応させて各1つとし、アナログ−デジタル変換後、デジタル処理によって第1の周波数帯域の信号及び第2の周波数帯域の信号に分離する。これにより、戻り光Pbを複数の周波数帯域で同時に受光する。
【0089】
具体的には、受光部13の第3例は、受光器31と、増幅器33と、ADC35と、デジタル演算回路34と、を備える。受光器31は、戻り光Pbを受光し、光電変換して、光電変換後の電気信号を出力する。増幅器33は、受光器31からのアナログ信号を前記第1の周波数帯域で増幅する。ADC35は、増幅器33からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル演算回路34は、CPUとメモリーに貯えられた計算プログラム、あるいはFPGAである。デジタル演算回路34の演算内容は、ADC35からのデジタル信号より第1の周波数帯域の成分と第2の周波数帯域の成分をそれぞれデジタルフィルタによって抽出し、前者をデジタル信号Db−1として出力し、後者をデジタル信号Db−2として出力する。
【0090】
受光部13がデジタル信号Db−1を出力することで、図3(a)に示すOTDR測定を行うことができる。受光部13がデジタル信号Db−2を出力することで、図3(b)に示すOTDR測定を行うことができる。
【0091】
デジタル演算回路34は、例えば、ADC35からのデジタル信号より第1の周波数帯域の成分と第2の周波数帯域の成分を分配するデジタル信号分配器と、デジタル信号分配器からのデジタル信号を第1の周波数帯域の成分を抽出する第1のデジタルフィルタと、デジタル信号分配器からのデジタル信号を第2の周波数帯域の成分を抽出する第2のデジタルフィルタと、を備える。
【0092】
図14に、別形態のデジタル演算回路を備える受光部の第3例を示す。デジタル演算回路34は、例えば、ADC35からのデジタル信号より第1の周波数帯域の成分を抽出する第1のデジタルフィルタと、第1のデジタルフィルタからのデジタル信号を分配するデジタル信号分配器と、デジタル信号分配器からのデジタル信号を第2の周波数帯域の成分を抽出する第2のデジタルフィルタと、を備えていてもよい。
【0093】
実施形態3に係る光線路監視装置は、本実施形態に光線路監視方法を実行する。本実施形態に係る光線路監視方法は、実施形態1に係る光線路監視方法と図10に示す戻り光受光手順S102が異なる。
【0094】
実施形態3に係る光線路監視方法では、戻り光受光手順S102において、受光部13が、戻り光Pbを、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で同時に受光する。例えば、戻り光を第1の周波数帯域で受光して光電変換し、光電変換後のアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号から第1の周波数帯域の周波数成分及び第2の周波数帯域の周波数成分をそれぞれ抽出する。
【0095】
これにより、受光部13は、デジタル信号Db−1及びデジタル信号Db−2を同時に出力する。したがって、受光部13の第3例は、1つの光パルスPfを用いて被測定光ファイバ100における反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射とレイリー散乱の両方を同時に測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の光線路監視装置及び光線路監視方法は、OTDR測定を行うことができるため、情報通信産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
11:光パルス発生部
12:サーキュレータ
13:受光部
14−1:第1演算処理部
14−2:第2演算処理部
15:表示部
16:光入出力端子
17−1:第1記憶部
17−2:第2記憶部
18−1:第1判定部
18−2:第2判定部
21:1本の光ファイバ
22:光スプリッタ
23−1、23−3、23−5、23−N:複数本の光ファイバ
31:受光器
31−1:第1の受光器
31−2:第2の受光器
32:高周波信号分配・増幅器
33:増幅器
33−1:第1の増幅器
33−2:第2の増幅器
34:デジタル演算回路
35:ADC
35−1:第1のADC
35−2:第2のADC
36:光カプラ
91:OLT
92−1、92−3、92−5、92−N:ONU
93:挿入用WDMフィルタ
94−1、94−3、94−5、94−N:反射用WDMフィルタ
100:被測定光ファイバ
101:光線路監視装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線路監視装置及び光線路監視方法に関し、特にOTDRを用いた光線路監視装置及び光線路監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバからなる光線路の損失又は破断点を検出するためのOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のOTDRは、光パルスを光ファイバに出力し、光ファイバで反射された戻り光を受光する。このとき、光ファイバの測定波形が一定以上のSN比で得られるように、光パルスの波高値及びパルス幅を自動設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−174666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
OTDRでは、フレネル反射のように高いレベルの反射光を測定する場合とレイリー散乱のように低いレベルの反射光を測定する場合がある。距離分解能を高くするにはパルス幅を狭くする必要があるが、レイリー散乱のような低いレベルでは必要なS/N比を確保できない。このようにフレネル反射を測定する際に適した光パルスのパルス幅と、レイリー散乱を測定する際に適した光パルスのパルス幅とは異なる。
【0005】
特許文献1のOTDRを光線路監視装置に用いた場合は、フレネル反射の測定のときとレイリー散乱の測定のときとで、光パルスのパルス幅を変更しなければならない。光パルスのパルス幅を変更するためには、光パルスを発生するための回路が複雑になる。
【0006】
また、後述のように、PON(Passive Optical Network)では、フレネル反射より高い反射率を有する反射用WDMフィルタが光線路に組み込まれており、測定する対象光ごとの光強度レベルが桁違いに異なる。このためパルス幅の調整時間が長くなって全体の測定時間が長くなり、光線路監視装置のように速報性が要求される用途では大きな問題となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、光パルスのパルス幅を変更することなく反射用WDMフィルタからの反射からレイリー散乱までの桁違いにレベルが異なる測定対象光の光強度を短時間で測定することができる光線路監視装置、光線路監視システム及び光線路監視方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明の光線路監視装置及び光線路監視方法は、
ピーク形状を有する光パルスを用い、光パルスが光ファイバで反射された戻り光を、光パルスのピーク形状を維持する第1の周波数帯域及び第1の周波数帯域よりも狭い第2の周波数帯域で受光することを特徴とする。
【0009】
受光部がピーク形状を維持する第1の周波数帯域で受光することで、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を測定することができる。受光部が第2の周波数帯域で受光することで、レイリー散乱を測定することができる。これにより、本願発明の光線路監視装置は、光パルスのパルス幅を変更することなく反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0010】
具体的には、本願発明の光線路監視装置は、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスを発生して被測定光ファイバ(100)に出力する光パルス発生部(11)と、前記光パルス発生部からの光パルスが前記被測定光ファイバで反射された戻り光を、前記幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び前記幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域の両方で受光する受光部(13)と、を備える。
【0011】
第1の周波数帯域で受光するため、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射を測定することができる。第2の周波数帯域で受光するため、レイリー散乱を測定することができる。これにより、光パルスのパルス幅を変更することなく反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0012】
本願発明の光線路監視装置では、前記光パルス発生部の発生する前記光パルスは、ピークから裾に向けてパルス幅が階段状に拡大する形状を有し、前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域であってもよい。
本発明により、パルス幅の異なる複数の矩形パルスを合成した光パルスを用いて、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0013】
本願発明の光線路監視装置では、前記光パルス発生部の発生する前記光パルスは、ピークから波高値が漸減する形状を有し、前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域であってもよい。
本発明により、単パルス光の裾を広がらせた光パルスを用いて、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0014】
本願発明の光線路監視装置では、前記受光部は、前記戻り光を受光する受光器(31)と、前記受光器からのアナログ信号を2つに分配及び少なくとも片方の信号を前記第1の周波数帯域で増幅する高周波信号分配・増幅器(32)と、を備えてもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0015】
本願発明の光線路監視装置では、前記受光部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で受光する受光系を備えてもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0016】
本願発明の光線路監視装置では、前記受光部は、前記戻り光を前記第1の周波数帯域で受光する受光器(31)と、前記受光器からのアナログ信号を前記第1の周波数帯域で増幅する増幅器(33)と、前記増幅器からのアナログ信号をデジタル信号に変換するADC(Analog Digital Converter)(35)と、前記ADCからのデジタル信号より前記第1の周波数帯域の成分と前記第2の周波数帯域の成分をそれぞれ抽出するデジタル演算回路(34)と、を備えてもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0017】
本願発明の光線路監視装置では、前記受光部が前記第1の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める第1演算処理部(14−1)と、前記第1演算処理部の求めたOTDR波形を、前記第1演算処理部がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する第1記憶部(17−1)と、前記第1記憶部の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第1判定部(18−1)と、を備えてもよい。
本発明により、所定距離におけるフレネル反射の反射レベルが低下したか否かを判定することができる。これにより、被測定光線路がPONである場合に、いずれの光ファイバで損失又は破断点が生じているのかを判定することができる。
【0018】
本願発明の光線路監視装置では、前記受光部が前記第2の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める第2演算処理部(14−2)と、前記第2演算処理部の求めたOTDR波形を、前記第2演算処理部がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する第2記憶部(17−2)と、前記第2記憶部の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第2判定部(18−2)と、を備えてもよい。
本発明により、レイリー散乱の反射レベルが低下した距離を判定することができる。これにより、被測定光線路がPONである場合に、損失又は破断点が生じている距離を特定することができる。
【0019】
具体的には、本願発明の光線路監視システムは、本願発明に係る光線路監視装置(101)と、1本の光ファイバ(21)が光スプリッタ(22)で複数本の光ファイバ(23−1〜23−N)に分岐されているPON(Passive Optical Network)の前記1本の光ファイバに挿入され、前記光線路監視装置からの光パルスを前記1本の光ファイバに合波するとともに、前記複数本の光ファイバで反射された前記戻り光を前記光線路監視装置に分波する挿入用WDM(Wavelength Division Multiplexing)フィルタ(93)と、前記PONの前記複数本の各光ファイバに挿入され、前記光線路監視装置からの光パルスを反射する反射用WDMフィルタ(94−1〜94−N)と、を備える。
【0020】
本発明により、光線路監視装置からの光パルスをPONの上流に入力し、下流の各反射用WDMフィルタで反射させることができる。これにより、複数本の各光ファイバを監視することができる。ここで、本願発明の光線路監視装置を用いているため、本願発明の光線路監視システムは、複数本の各光ファイバの反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0021】
具体的には、本願発明の光線路監視方法は、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスを発生して被測定光ファイバ(100)に出力する光パルス出力手順(S101)と、前記光パルス出力手順で出力した前記光パルスが前記被測定光ファイバで反射された戻り光を、前記幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び前記幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域の両方で受光する戻り光受光手順(S102)と、を順に有する。
【0022】
戻り光受光手順において第1の周波数帯域で受光するため、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を測定することができる。戻り光受光手順において第2の周波数帯域で受光するため、レイリー散乱を測定することができる。これにより、本願発明の光線路監視方法を実行することで、光パルスのパルス幅を変更することなく反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0023】
本願発明の光線路監視方法では、前記光パルス出力手順において発生する前記光パルスは、ピークから裾に向けてパルス幅が階段状に拡大する形状を有し、前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域であってもよい。
本発明により、パルス幅の異なる複数の矩形パルスを合成した光パルスを用いて、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0024】
本願発明の光線路監視方法では、前記光パルス出力手順において発生する前記光パルスは、ピークから波高値が漸減する形状を有し、前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域であってもよい。
本発明により、単パルス光の裾を広がらせた光パルスを用いて、反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱を測定することができる。
【0025】
本願発明の光線路監視方法では、前記戻り光受光手順において、前記戻り光を受光して光電変換し、光電変換後のアナログ信号を分配し、分配した少なくとも一方のアナログ信号を前記第1の周波数帯域で増幅してもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0026】
本願発明の光線路監視方法では、前記戻り光受光手順において、前記戻り光を、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で同時に受光してもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0027】
本願発明の光線路監視方法では、前記戻り光受光手順において、前記戻り光を前記第1の周波数帯域で受光して光電変換し、光電変換後のアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号から前記第1の周波数帯域の周波数成分及び前記第2の周波数帯域の周波数成分をそれぞれ抽出してもよい。
本発明により、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射の測定とレイリー散乱の測定を同時に行うことができる。
【0028】
本願発明の光線路監視方法では、前記戻り光受光手順において前記第1の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求めてOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶し、記憶したOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第1判定手順(S111)を前記戻り光受光手順の後にさらに有してもよい。
本発明により、被測定線路がPONである場合に、所定距離における反射用WDMフィルタからの反射の反射レベルが低下したか否かを判定することができる。これにより、各ONUが接続されたいずれの光ファイバで損失又は破断点が生じているのかを判定することができる。
【0029】
本願発明の光線路監視方法では、前記戻り光受光手順において前記第2の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求めてOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶し、記憶したOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び前記最新以外のOTDR波形を比較する第2判定手順(S112)を前記戻り光受光手順の後にさらに有してもよい。
本発明により、レイリー散乱の反射レベルが低下した距離を判定することができる。これにより、被測定光ファイバがPONである場合に、損失または破断の発生位置をより明確に検出することができる。
【0030】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、光パルスのパルス幅を変更することなく反射用WDMフィルタからの反射からレイリー散乱までの桁違いにレベルが異なる測定対象光の光強度を短時間で測定することができる光線路監視装置、光線路監視システム及び光線路監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態1に係る光線路監視システムの一例を示す。
【図2】実施形態1に係る光線路監視装置の一例を示す。
【図3】表示部での表示例であり、(a)は受光部が第1の周波数帯域で受光した場合を示し、(b)は受光部が第2の周波数帯域で受光した場合を示す。
【図4】光パルスPfの形状の一例を示し、(a)は光パルスPfの形状の第1例を示し、(b)は光パルスPfの形状の第2例を示し、(c)は光パルスPfの形状の第3例を示す。
【図5】光パルスPfの形状の第1例であり、(a)は第1のパルスを示し、(b)は第2のパルスを示し、(c)は第1のパルス及び第2のパルスを合成した光パルスPfの形状を示す。
【図6】第1のパルスの配置例であり、(a)は第1の配置例を示し、(b)は第2の配置例を示し、(c)は第3の配置例を示す。
【図7】光パルスPfの形状の第2例であり、(a)は第1のパルスを示し、(b)は第2のパルスを示し、(c)は第1のパルス及び第2のパルスを合成した光パルスPfの形状を示す。
【図8】受光部の第1例を示す。
【図9】受光部の第1例の別形態を示す。
【図10】実施形態1に係る光線路監視方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】判定手順S103の具体例を示す説明図である。
【図12】受光部の第2例を示す。
【図13】受光部の第3例を示す。
【図14】別形態のデジタル演算回路を備える受光部の第3例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0034】
(実施形態1)
図1に、実施形態1に係る光線路監視システムの一例を示す。本実施形態に係る光線路監視システムは、OLT(Optical Line Terminal)91と、ONU(Optical Network Unit)92−1〜92−Nと、OLT91及びONU92−1〜92−Nを接続する被測定光ファイバ100と、挿入用WDM(Wavelength Division Multiplexing)フィルタ93と、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nと、光線路監視装置101と、を備える。被測定光ファイバ100は、例えば、1本の光ファイバ21が光スプリッタ22でN本(Nは2以上の整数。)の光ファイバ23−1〜23−Nに分岐されているPONである。光スプリッタ22の分岐数Nは、例えば、8であってもよいし、128であってもよい。
【0035】
挿入用WDMフィルタ93は、1本の光ファイバ21に挿入され、光線路監視装置101からの光パルスPfを1本の光ファイバ21に合波するとともに、光ファイバ23−1〜23−Nで反射された戻り光Pbを光線路監視装置101に分波する。反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nは、各光ファイバ23−1〜23−Nに挿入され、光線路監視装置101からの光パルスPfを反射する。例えば、反射用WDMフィルタ94−1は光ファイバ23−1のONU92−1側の端部に挿入され、反射用WDMフィルタ94−Nは光ファイバ23−NのONU92−N側の端部に挿入される。
【0036】
光線路監視装置101は、光パルスPfを発生して被測定光ファイバ100に出力し、光パルスPfが被測定光ファイバ100で反射された戻り光Pbを受光することでOTDR測定を行う。このとき、光線路監視装置101はOLT91からの信号光の波長とは異なる監視用波長を用いて監視を行う。ONU92−1〜92−Nではこの監視用信号によって信号品質が劣化しないよう、監視用波長阻止フィルタとしての機能を有する反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nが取り付けられている。このフィルタはFBG(Fiber Bragg Grating)または誘電体多層膜などで構成されており、監視用波長に対して高い反射率を持っている。
【0037】
また、各ONU92−1〜92−Nの設置においてファイバ長を調整することにより、基準点Loからの各ONU92−1〜92−Nまでの距離はそれぞれ異なっている。よって設置工事時における光ファイバ23−1〜23−Nのファイバ長情報と実際の反射点までの距離によって、各反射点が具体的にどのONU92−1〜92−Nを表しているか判るようになっている。
【0038】
光ファイバ23−1〜23−Nの長さの違いは数m程度の場合もあり、この違いを検出するため、光パルスPfには幅の狭いパルスを有する。まず敷設後など正常時に測定してOTDR波形を保存する。監視開始後は得られたOTDR波形をこの正常時のOTDR波形と比較し、両者に差異が生じた場合は、異常発生と判断し、異常が発生したONU92−1〜92−Nの番号を求める。図1の例ではONU92−1の光線路中に損失が発生した例を示している。
【0039】
実際に異常が発生した位置についてはレイリー散乱の不連続点から求めるが、これは反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nで反射された戻り光Pbの光強度よりもはるかに低いレベルにある。このため、OTDR波形を測定する平均化時間を長くするか、光パルスPfの有するパルス幅を広くするか、或いは平均化時間を長くしかつ光パルスPfの有するパルス幅を広くしたりすることにより求める。
【0040】
ここで、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射とレイリー散乱とを個別に求めると以下のような問題が生じる。
(第1の問題点)例えば、Nが小さい場合の反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射の測定時には平均化時間は5秒程度の場合も有るが、障害が検出されてレイリー散乱測定に切り替えた場合の平均化時間は144秒である。レイリー散乱測定中に反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射が求められないとすれば、この間は新たな障害の発生を検出することができなくなる。ここでPONの分岐数が多い場合、その分岐損の増加にあわせてこのレイリー散乱測定時の平均化時間を長く取らなければならず、例えば60分の場合もある。従って、PONの分岐数が多い場合、新たな障害の発生を監視できない時間が増えてしまうという問題がある。
【0041】
(第2の問題点)段落0038で述べた様に、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射の正常時の波形測定は監視開始前に一度行われるのみとした場合、監視期間が数ヶ月以上になると、季節による温度変化などで基準点から反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nまでの距離が変化してくる。また、ファイバ架設の張力も変わり若干ながら光レベルも変化する。従って、数ヶ月以上前の正常時波形と比較するためには、これらの変動を考慮する必要があり、アルゴリズムの複雑化、或いは、精度の低下を招く。
【0042】
(第3の問題点)例えば、広いパルス幅及び/又は長い平均化時間による測定時には、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nの大きな反射によるデッドゾーンや反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nでの反射折り返しによるゴースト波形が重層する。このため、分岐数Nが増えると、レイリー散乱測定による反射点の検出は困難となる。特に破断ではなく曲げ損失などではさらに検出が困難となる。
【0043】
そこで、光線路監視装置101は、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスPfを用い、光パルスが被測定光ファイバ100で反射された戻り光Pbを、幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域の両方で同時に受光することを特徴とする。これにより、障害発生の監視不能時間を無くし、障害検出の精度や障害位置の特定精度を向上することで、上記第1の問題点を解決する。これと第1の記憶部を組み合わせることで第2の問題点を、さらに第2記憶部を備えることで第3の問題点を解決する。
【0044】
図2に、光線路監視装置101の一例を示す。本実施形態に係る光線路監視装置101は、光パルス発生部11と、サーキュレータ12と、受光部13と、第1演算処理部14−1と、第2演算処理部14−2と、第1記憶部17−1と、第2記憶部17−2と、第1判定部18−1と、第2判定部18−2と、表示部15と、光入出力端子16と、を備える。
【0045】
光入出力端子16は、被測定光ファイバ100に接続される。光パルス発生部11は、光パルスPfを発生する。サーキュレータ12は、光パルス発生部11からの光パルスPfを光入出力端子16に出力する。これにより、光パルスPfが被測定光ファイバ100に出力される。光パルスPfの波形は一定である。
【0046】
光パルスPfが被測定光ファイバ100で反射されて戻り光Pbが発生する。戻り光Pbは光入出力端子16に入力される。サーキュレータ12は、戻り光Pbを受光部13に出力する。受光部13は、複数の周波数帯域で戻り光Pbを受光する。ここで、複数の周波数帯域は、例えば第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域である。第1の周波数帯域は第2の周波数帯域よりも広い。
【0047】
第1演算処理部14−1は、受光部13が第1の周波数帯域で受光した戻り光Pbの時間及び光量を用いてOTDR波形を求める。第1記憶部17−1は、第1演算処理部14−1の求めたOTDR波形を、第1演算処理部14−1がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する。これにより、幅の狭いパルスにおける正常時データを常時更新することができる。第1判定部18−1は、第1記憶部17−1の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、最新のOTDR波形の所定距離における波高値が最新以外のOTDR波形の所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する。これにより、光ファイバ23−1〜23−Nのいずれかで損失が生じた場合に、損失の生じた光ファイバを特定することができる。
【0048】
第2演算処理部14−2は、受光部13が第2の周波数帯域で受光した戻り光Pbの時間及び光量を用いてOTDR波形を求める。第2記憶部17−2は、第2演算処理部14−2の求めたOTDR波形を、第2演算処理部14−2がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する。これにより、幅の広いパルスにおける正常時データを常時更新することができる。第2判定部18−2は、第2記憶部17−2の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形以外のOTDR波形を取得し、最新のOTDR波形の所定距離における波高値が最新以外のOTDR波形の所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する。これにより、光ファイバ23−1〜23−Nのいずれかで損失が生じた場合に、損失の生じた距離を特定することができる。
【0049】
図3は、表示部での表示例であり、(a)は受光部が第1の周波数帯域で受光した場合を示し、(b)は受光部が第2の周波数帯域で受光した場合を示す。受光部13が第1の周波数帯域で戻り光Pbを受光する場合、パルス幅の狭いパルスを受光するため、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nでの戻り光を高分解能かつ短時間で測定することができる。これにより、光ファイバ23−1において曲げ損失が発生した場合に、図3(a)に示すように、反射用WDMフィルタ94−1からの反射レベルが低下したことを高分解能かつ短時間で測定することができる。
【0050】
受光部13が第2の周波数帯域で戻り光Pbを受光する場合、受光部13は、パルス幅の広いパルスを受光するため、レイリー散乱を、高SN比で測定することができる。これにより、光ファイバ23−1の距離L1−Lossにおいて曲げ損失が発生した場合に、図3(b)に示すように、距離L1−Lossで反射レベルが低下したことを高SN比で測定することができる。
【0051】
光パルスPfは、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する。光パルスPfの最大値における形状は矩形波形状であってもよいし正弦波形状であってもよい。
【0052】
図4は、光パルスPfの形状の一例を示し、(a)は光パルスPfの形状の第1例を示し、(b)は光パルスPfの形状の第2例を示し、(c)は光パルスPfの形状の第3例を示す。光パルスPfの形状の第1例は、図4(a)に示すように、ピークから裾に向けてパルス幅が階段状に拡大する形状を有する。光パルスPfの形状の第2例は、図4(b)に示すように、ピークから波高値が漸減する形状を有する。光パルスPfの形状の第3例は、図4(c)に示すように、ピークから裾に向けてパルス幅が単調に拡大する形状を有する。光パルスPfは、裾幅がピーク形状の半値幅の2倍よりも広いことが好ましい。これにより、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を高分解能で測定しかつレイリー散乱を高SN比で測定することができる。
【0053】
光パルスPfは、パルス幅の異なる複数のパルスを合成した形状を有していてもよい。光パルスPfは、例えば、第1のパルスと、第1のパルスよりもパルス幅の広い第2のパルスと、を合成した形状を有する。この場合、第1のパルスを用いて反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を測定する。第2のパルスを用いてレイリー散乱を測定する。これにより、1つの光パルスPfを用いて、フレネル反射及びレイリー散乱の両方を高SN比で測定することができる。なお、複数のパルスは、2つのパルスに限らず、3つ以上のパルスであってもよい。
【0054】
図5は、光パルスPfの形状の第1例であり、(a)は第1のパルスを示し、(b)は第2のパルスを示し、(c)は第1のパルス及び第2のパルスを合成した光パルスPfの形状を示す。第1のパルスは、図5(a)に示すように、パルス幅W1を有する矩形波である。第2のパルスは、図5(b)に示すように、パルス幅W2を有する矩形波である。光パルスPfの形状の第1例は、第1のパルス及び第2のパルスを合成したパルス形状を有する。
【0055】
光パルスPfの形状の第1例を有するパルスは、電子回路を用いて生成することができる。連続光を光パルスPfの形状の第1例を有するパルスで強度変調することで、光パルスPfの形状の第1例を有する光パルスPfを発生させることができる。
【0056】
光パルスPfのうちのパルス幅W1の部分は、パルス幅が狭く、波高値の高いパルスとなっている。光パルスPfを被測定光ファイバ100に出力し、パルス幅W1に応じた周波数帯域で受光することで、図3(a)に示すOTDR測定を行うことができる。これにより、被測定光ファイバ100での反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を高分解能かつ短時間で測定することができる。
【0057】
光パルスPfのうちのパルス幅W2の部分は、パルス幅が広く、波高値の低いパルスとなっている。光パルスPfを被測定光ファイバ100に出力し、パルス幅W2に応じた周波数帯域で受光することで、図3(b)に示すOTDR測定を行うことができる。これにより、被測定光ファイバ100でのレイリー散乱を高SN比で測定することができる。
【0058】
光パルスにおける第1のパルスの位置は限定しない。図6は、第1のパルスの配置例であり、(a)は第1の配置例を示し、(b)は第2の配置例を示し、(c)は第3の配置例を示す。第1の配置例は、第1のパルスがパルスの前方に配置されている。第2の配置例は、第1のパルスがパルスの中央に配置されている。第3の配置例は、第1のパルスがパルスの後方に配置されている。第1のパルスが光パルスにおけるいずれの位置にある場合であっても、パルス幅に応じた周波数帯域で受光することで、図3(a)及び図3(b)に示すOTDR測定を行うことができる。
【0059】
図7は、光パルスPfの形状の第2例であり、(a)は第1のパルスを示し、(b)は第2のパルスを示し、(c)は第1のパルス及び第2のパルスを合成した光パルスPfの形状を示す。光パルスPfの形状の第2例は、図7(c)に示すように、ピークから波高値が漸減する形状を有する。光パルスPfの形状の第2例を有する光パルスは、図6(a)に示す第1のパルスの形状を有する光を光ファイバ増幅器に通過させることで生成することができる。
【0060】
受光部13は、光パルス発生部11からの光パルスPfが被測定光ファイバ100で反射された戻り光Pbを、複数の周波数帯域で受光する。複数の周波数帯域は、例えば、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域である。
【0061】
第1の周波数帯域は、光パルスPfのピーク形状を維持する周波数帯域である。例えば、第1の周波数帯域は、戻り光Pbのピーク形状のパルス幅に応じた周波数帯域である。光パルスPfが図5及び図7に示す光パルスPfである場合、パルス幅W1に応じた周波数帯域である。これにより、反射用WDMフィルタからの反射及びフレネル反射を高分解能かつ短時間で測定することができる。
【0062】
第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域よりも狭い周波数帯域である。例えば、第2の周波数帯域は、戻り光Pbの最大のパルス幅に応じた周波数帯域である。光パルスPfが図5及び図7に示す光パルスPfである場合、パルス幅W2に応じた周波数帯域である。これにより、レイリー散乱を高SN比で測定することができる。
【0063】
図8に、受光部の第1例を示す。受光部の第1例は、1つの受光器に対し、複数の周波数帯域を持つ電気回路を備える。具体的には、受光部の第1例は、受光器31と、高周波信号分配・増幅器32と、第2の増幅器33−2と、ADC(Analog Digital Converter)35−1とADC35−2と、を備える。
【0064】
受光器31は、戻り光Pbを受光し光電変換して電気信号を出力する。受光器31は、例えば、PD(Photo Diode)又はAPD(Avalanche Photo Diode)である。ここでこの受光器は第1の周波数帯域を満足するものである。高周波信号分配・増幅器32は、受光器31からの電気信号を分配後、すくなくとも片方を第1の増幅器により第1の周波数帯域で増幅する。なお、図9に示すように、高周波信号分配・増幅器32は、第1の増幅器により第1の周波数帯域で増幅後、分配してもよい。
【0065】
ADC35−1は、高周波信号分配・増幅器32の増幅したアナログ信号をデジタル信号Db−1に変換して第1演算処理部14−1に出力する。これにより、図3(a)に示すOTDR測定を行うことができる。
【0066】
第2の増幅器33−2は、高周波信号分配・増幅器32からの電気信号を、第2の周波数帯域で増幅する。ADC35−2は、第2の増幅器33−2の増幅したアナログ信号をデジタル信号Db−2に変換して第2演算処理部14−2に出力する。これにより、図3(b)に示すOTDR測定を行うことができる。
【0067】
光線路監視装置101は、本実施形態に係る光線路監視方法を実行する。図10は、本実施形態に係る光線路監視方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る光線路監視方法は、光パルス出力手順S101と、戻り光受光手順S102と、判定手順S103と、を順に有する。
【0068】
光パルス出力手順S101では、光パルス発生部11が、幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスPfを発生して被測定光ファイバ100に出力する。戻り光受光手順S102では、光パルスPfが被測定光ファイバ100で反射された戻り光Pbを、受光部13が、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で受光する。
【0069】
本実施形態では、戻り光受光手順S102において、受光器31が戻り光Pbを受光して光電変換し、高周波信号分配・増幅器32が光電変換後のアナログ信号を分配し、分配した少なくとも一方のアナログ信号を第1の周波数帯域で増幅する。そして、一方のアナログ信号を、ADC35−1がアナログ信号をデジタル信号Db−1に変換する。第1の増幅器が分配したもう一方のアナログ信号を前記第2の周波数帯域で増幅し、ADC35−2がアナログ信号をデジタル信号Db−2に変換する。これにより、反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射を高分解能かつ短時間で測定することができる。
【0070】
図1に示す光ファイバ23−1に曲げ損失Lが生じると、図3(a)に示す距離L1における反射レベルは減衰する。そこで、図1に示す光ファイバ23−1〜23−Nに損失Lが生じているか否かを判定するため、判定手順S103を実行する。
【0071】
判定手順S103は、戻り光記憶手順S113と、第1判定手順S111と、表示手順S114と、第2判定手順S112と、を順に有する。判定手順S103において、第1判定手順S111又は第2判定手順S112のいずれかのみを行ってもよい。
【0072】
図11は、判定手順S103の具体例を示す説明図である。
戻り光記憶手順S113では、第1演算処理部14−1が、戻り光受光手順S102において第1の周波数帯域で受光した戻り光Pbの時間及び光量を用いてOTDR波形を求める。次に、第1記憶部17−1が、第1演算処理部14−1の求めたOTDR波形を、第1演算処理部14−1のOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する。例えば、第1演算処理部14−1が、デジタル信号Db−1を用いてOTDR波形を求めて第1記憶部17−1に記憶する。このとき、デジタル信号Db−1を平均化することが好ましく、平均化する第1の平均化時間M1は例えば3分とする。
【0073】
ここで、後述のように第2の周波数成分についても正常時と異常時の比較を行う場合は以下の手順も並行して行う。第2演算処理部14−2が、戻り光受光手順S102において第2の周波数帯域で受光した戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める。次に、第2記憶部17−2が、第2演算処理部14−2の求めたOTDR波形を、第2演算処理部14−2のOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する。例えば、第2演算処理部14−2が、デジタル信号Db−2を用いてOTDR波形を求めて第2記憶部17−2に記憶する。
【0074】
次に、第1判定手順S111を行う。第1判定部18−1が、第1記憶部17−1の記憶したOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、最新のOTDR波形の所定距離における波高値が最新以外のOTDR波形の所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する。例えば、第1判定部18−1が、第1演算処理部14−1が求めたばかりのOTDR波形と、I分前に第1記憶部17−1に記憶したOTDR波形とを比較する。最新の波高値がI分前の波高値よりも許容値以上で変動していない場合は正常であることが分かる。I分前の波高値よりも許容値以上で変動していなかった最新の波高値を、正常時のOTDR波形として第1記憶部17−1に記録する。なお、このI分は第1の平均化時間M1より大きい値であれば良い。第1の周波数帯域信号であるデジタル信号Db−1の正常時の信号を常に更新することによって、長期間に亘る測定であっても障害発生の検出が容易になる。
【0075】
最新の波高値がI分前の波高値よりも予め定めておいた許容値以上で変動している場合は異常発生として、その表示手順S114を行うと共に第2判定手順S112を開始する。異常発生の表示手順S114については、監視対象がPONの場合は、波高値が変動した反射点についてその位置と予めONU設置工事時に得ておいた各反射用WDMフィルタまでの距離から、どのONUが設置されたファイバで不具合が発生したか表示する。
【0076】
第2判定手順S112では、第2演算処理部14−2が、戻り光受光手順S102において第2の周波数帯域で受光した戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める。次に、第2記憶部17−2が、第2演算処理部14−2の求めたOTDR波形を、第2演算処理部14−2のOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する。例えば、第2演算処理部14−2が、デジタル信号Db−2を用いてOTDR波形を求めて第2記憶部17−2に記憶する。このとき、デジタル信号Db−2を平均化することが好ましく、平均化する第2の平均化時間M2は例えば60分とする。ここで求めたOTDR波形を表示し、レイリー散乱の不連続点から損失、或いは破断など不具合が発生している位置を特定する。
【0077】
第2判定手順S112開始後は戻り光記憶手順S113に戻り、第1の周波数帯域の信号におけるOTDR波形の比較を再開する。これにより光線路監視の不能時間をパルス幅を切り替える方式に比べて短くすることが出来る。
【0078】
さらに第2の周波数帯域信号であるデジタル信号Db−2においても正常時と異常時の比較を行うことによって、障害発生位置の検出を容易にし、精度を改善できる。常時、測定を行い、測定結果を(M2+I)分記憶しておく。第1判定手順S111で異常を検知した場合、その時点より第2の平均化時間M2にわたり測定し、これと(M2+I)分前からI分前までを平均化した正常時の波形とを比較する。両者の比較によって障害発生位置が単独の波形よりも判りやすくなる。
【0079】
以上説明したように、光線路監視装置101は、本実施形態に係る光線路監視方法を実行することで、1つの光パルスPfを用いて被測定光ファイバ100における反射用WDMフィルタからの反射、フレネル反射及びレイリー散乱の全てを高SN比で測定することができる。
【0080】
(実施形態2)
実施形態2に係る光線路監視装置は、実施形態1で説明した受光部の第1例に代えて受光部の第2例を備える。図12に、受光部の第2例を示す。受光部13の第2例は、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で受光する受光系を備える。これにより、戻り光Pbを複数の周波数帯域で同時に受光する。
【0081】
具体的には、受光部13の第2例は、光カプラ36と、第1の受光器31−1と、第2の受光器31−2と、第1の増幅器33−1と、第2の増幅器33−2と、第1のADC35−1と、第2のADC35−2と、を備える。
【0082】
光カプラ36は、戻り光Pbを分岐する。第1の受光器31−1は、光カプラ36からの戻り光Pbを、第1の周波数帯域で受光し光電変換する。第1の増幅器33−1は、第1の受光器31−1からの出力信号を第1の周波数帯域で増幅する。第1のADC35−1は、第1の増幅器33−1からのアナログ信号をデジタル信号Db−1に変換する。
【0083】
第2の受光器31−2は、光カプラ36からの戻り光Pbを、第2の周波数帯域で受光し光電変換する。第2の増幅器33−2は、第2の受光器31−2からの出力信号を第2の周波数帯域で増幅する。第2のADC35−2は、第2の増幅器33−2からのアナログ信号をデジタル信号Db−2に変換する。
【0084】
第1の受光器31−1及び第2の受光器31−2は、例えば、PD又はAPDである。それぞれ第1の周波数帯域、第2の周波数帯域に合わせて最適化を行えば、より性能が向上する。
【0085】
受光部13がデジタル信号Db−1を出力することで、図3(a)に示すOTDR測定を行うことができる。受光部13がデジタル信号Db−2を出力することで、図3(b)に示すOTDR測定を行うことができる。
【0086】
実施形態2に係る光線路監視装置は、本実施形態に光線路監視方法を実行する。本実施形態に係る光線路監視方法は、実施形態1に光線路監視方法と図10に示す戻り光受光手順S102が異なる。
【0087】
実施形態2に係る光線路監視方法では、戻り光受光手順S102において、受光部13が、戻り光Pbを、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で同時に受光する。例えば、第1の受光器31−1及び第2の受光器31−2が、同時に戻り光Pbを受光する。これにより、受光部13は、デジタル信号Db−1及びデジタル信号Db−2を同時に出力する。したがって、受光部13の第2例は、1つの光パルスPfを用いて被測定光ファイバ100における反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射とレイリー散乱の両方を同時に測定することができる。
【0088】
(実施形態3)
実施形態3に係る光線路監視装置は、実施形態1で説明した受光部の第1例に代えて受光部の第3例を備える。図13に、受光部の第3例を示す。受光部13の第3例は、受光器31と増幅器33を第1の周波数帯域に対応させて各1つとし、アナログ−デジタル変換後、デジタル処理によって第1の周波数帯域の信号及び第2の周波数帯域の信号に分離する。これにより、戻り光Pbを複数の周波数帯域で同時に受光する。
【0089】
具体的には、受光部13の第3例は、受光器31と、増幅器33と、ADC35と、デジタル演算回路34と、を備える。受光器31は、戻り光Pbを受光し、光電変換して、光電変換後の電気信号を出力する。増幅器33は、受光器31からのアナログ信号を前記第1の周波数帯域で増幅する。ADC35は、増幅器33からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル演算回路34は、CPUとメモリーに貯えられた計算プログラム、あるいはFPGAである。デジタル演算回路34の演算内容は、ADC35からのデジタル信号より第1の周波数帯域の成分と第2の周波数帯域の成分をそれぞれデジタルフィルタによって抽出し、前者をデジタル信号Db−1として出力し、後者をデジタル信号Db−2として出力する。
【0090】
受光部13がデジタル信号Db−1を出力することで、図3(a)に示すOTDR測定を行うことができる。受光部13がデジタル信号Db−2を出力することで、図3(b)に示すOTDR測定を行うことができる。
【0091】
デジタル演算回路34は、例えば、ADC35からのデジタル信号より第1の周波数帯域の成分と第2の周波数帯域の成分を分配するデジタル信号分配器と、デジタル信号分配器からのデジタル信号を第1の周波数帯域の成分を抽出する第1のデジタルフィルタと、デジタル信号分配器からのデジタル信号を第2の周波数帯域の成分を抽出する第2のデジタルフィルタと、を備える。
【0092】
図14に、別形態のデジタル演算回路を備える受光部の第3例を示す。デジタル演算回路34は、例えば、ADC35からのデジタル信号より第1の周波数帯域の成分を抽出する第1のデジタルフィルタと、第1のデジタルフィルタからのデジタル信号を分配するデジタル信号分配器と、デジタル信号分配器からのデジタル信号を第2の周波数帯域の成分を抽出する第2のデジタルフィルタと、を備えていてもよい。
【0093】
実施形態3に係る光線路監視装置は、本実施形態に光線路監視方法を実行する。本実施形態に係る光線路監視方法は、実施形態1に係る光線路監視方法と図10に示す戻り光受光手順S102が異なる。
【0094】
実施形態3に係る光線路監視方法では、戻り光受光手順S102において、受光部13が、戻り光Pbを、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で同時に受光する。例えば、戻り光を第1の周波数帯域で受光して光電変換し、光電変換後のアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号から第1の周波数帯域の周波数成分及び第2の周波数帯域の周波数成分をそれぞれ抽出する。
【0095】
これにより、受光部13は、デジタル信号Db−1及びデジタル信号Db−2を同時に出力する。したがって、受光部13の第3例は、1つの光パルスPfを用いて被測定光ファイバ100における反射用WDMフィルタ94−1〜94−Nからの反射とレイリー散乱の両方を同時に測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の光線路監視装置及び光線路監視方法は、OTDR測定を行うことができるため、情報通信産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
11:光パルス発生部
12:サーキュレータ
13:受光部
14−1:第1演算処理部
14−2:第2演算処理部
15:表示部
16:光入出力端子
17−1:第1記憶部
17−2:第2記憶部
18−1:第1判定部
18−2:第2判定部
21:1本の光ファイバ
22:光スプリッタ
23−1、23−3、23−5、23−N:複数本の光ファイバ
31:受光器
31−1:第1の受光器
31−2:第2の受光器
32:高周波信号分配・増幅器
33:増幅器
33−1:第1の増幅器
33−2:第2の増幅器
34:デジタル演算回路
35:ADC
35−1:第1のADC
35−2:第2のADC
36:光カプラ
91:OLT
92−1、92−3、92−5、92−N:ONU
93:挿入用WDMフィルタ
94−1、94−3、94−5、94−N:反射用WDMフィルタ
100:被測定光ファイバ
101:光線路監視装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスを発生して被測定光ファイバ(100)に出力する光パルス発生部(11)と、
前記光パルス発生部からの光パルスが前記被測定光ファイバで反射された戻り光を、前記幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び前記幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域の両方で受光する受光部(13)と、
を備える光線路監視装置。
【請求項2】
前記光パルス発生部の発生する前記光パルスは、ピークから裾に向けてパルス幅が階段状に拡大する形状を有し、
前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、
前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域である
ことを特徴とする請求項1に記載の光線路監視装置。
【請求項3】
前記光パルス発生部の発生する前記光パルスは、ピークから波高値が漸減する形状を有し、
前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、
前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域である
ことを特徴とする請求項1に記載の光線路監視装置。
【請求項4】
前記受光部は、
前記戻り光を受光する受光器(31)と、
前記受光器からのアナログ信号を2つに分配及び少なくとも片方の信号を前記第1の周波数帯域で増幅する高周波信号分配・増幅器(32)と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光線路監視装置。
【請求項5】
前記受光部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で受光する受光系を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光線路監視装置。
【請求項6】
前記受光部は、
前記戻り光を前記第1の周波数帯域で受光する受光器(31)と、
前記受光器からのアナログ信号を前記第1の周波数帯域で増幅する増幅器(33)と、
前記増幅器からのアナログ信号をデジタル信号に変換するADC(Analog Digital Converter)(35)と、
前記ADCからのデジタル信号より前記第1の周波数帯域の成分と前記第2の周波数帯域の成分をそれぞれ抽出するデジタル演算回路(34)と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光線路監視装置。
【請求項7】
前記受光部が前記第1の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める第1演算処理部(14−1)と、
前記第1演算処理部の求めたOTDR波形を、前記第1演算処理部がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する第1記憶部(17−1)と、
前記第1記憶部の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第1判定部(18−1)と、
を備える請求項1から6のいずれかに記載の光線路監視装置。
【請求項8】
前記受光部が前記第2の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める第2演算処理部(14−2)と、
前記第2演算処理部の求めたOTDR波形を、前記第2演算処理部がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する第2記憶部(17−2)と、
前記第2記憶部の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第2判定部(18−2)と、
を備える請求項1から7のいずれかに記載の光線路監視装置。
【請求項9】
請求項1から5のいずれかに記載の光線路監視装置(101)と、
1本の光ファイバ(21)が光スプリッタ(22)で複数本の光ファイバ(23−1〜23−N)に分岐されているPON(Passive Optical Network)の前記1本の光ファイバに挿入され、前記光線路監視装置からの前記光パルスを前記1本の光ファイバに合波するとともに、前記複数本の光ファイバで反射された前記戻り光を前記光線路監視装置に分波する挿入用WDM(Wavelength Division Multiplexing)フィルタ(93)と、
前記PONの前記複数本の各光ファイバに挿入され、前記光線路監視装置からの光パルスを反射する反射用WDMフィルタ(94−1〜94−N)と、
を備える光線路監視システム。
【請求項10】
幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスを発生して被測定光ファイバ(100)に出力する光パルス出力手順(S101)と、
前記光パルス出力手順で出力した前記光パルスが前記被測定光ファイバで反射された戻り光を、前記幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び前記幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域の両方で受光する戻り光受光手順(S102)と、
を順に有する光線路監視方法。
【請求項11】
前記光パルス出力手順において発生する前記光パルスは、ピークから裾に向けてパルス幅が階段状に拡大する形状を有し、
前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、
前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域である
ことを特徴とする請求項10に記載の光線路監視方法。
【請求項12】
前記光パルス出力手順において発生する前記光パルスは、ピークから波高値が漸減する形状を有し、
前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、
前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域である
ことを特徴とする請求項10に記載の光線路監視方法。
【請求項13】
前記戻り光受光手順において、前記戻り光を受光して光電変換し、光電変換後のアナログ信号を分配し、分配した少なくとも一方のアナログ信号を前記第1の周波数帯域で増幅することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の光線路監視方法。
【請求項14】
前記戻り光受光手順において、前記戻り光を、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で同時に受光することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の光線路監視方法。
【請求項15】
前記戻り光受光手順において、前記戻り光を前記第1の周波数帯域で受光して光電変換し、光電変換後のアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号から前記第1の周波数帯域の周波数成分及び前記第2の周波数帯域の周波数成分をそれぞれ抽出することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の光線路監視方法。
【請求項16】
前記戻り光受光手順において前記第1の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求めてOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶し、記憶したOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第1判定手順(S111)を
前記戻り光受光手順の後にさらに有することを特徴とする請求項10から15のいずれかに記載の光線路監視方法。
【請求項17】
前記戻り光受光手順において前記第2の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求めてOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶し、記憶したOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び前記最新以外のOTDR波形を比較する第2判定手順(S112)を
前記戻り光受光手順の後にさらに有することを特徴とする請求項10から16のいずれかに記載の光線路監視方法。
【請求項1】
幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスを発生して被測定光ファイバ(100)に出力する光パルス発生部(11)と、
前記光パルス発生部からの光パルスが前記被測定光ファイバで反射された戻り光を、前記幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び前記幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域の両方で受光する受光部(13)と、
を備える光線路監視装置。
【請求項2】
前記光パルス発生部の発生する前記光パルスは、ピークから裾に向けてパルス幅が階段状に拡大する形状を有し、
前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、
前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域である
ことを特徴とする請求項1に記載の光線路監視装置。
【請求項3】
前記光パルス発生部の発生する前記光パルスは、ピークから波高値が漸減する形状を有し、
前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、
前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域である
ことを特徴とする請求項1に記載の光線路監視装置。
【請求項4】
前記受光部は、
前記戻り光を受光する受光器(31)と、
前記受光器からのアナログ信号を2つに分配及び少なくとも片方の信号を前記第1の周波数帯域で増幅する高周波信号分配・増幅器(32)と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光線路監視装置。
【請求項5】
前記受光部は、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で受光する受光系を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光線路監視装置。
【請求項6】
前記受光部は、
前記戻り光を前記第1の周波数帯域で受光する受光器(31)と、
前記受光器からのアナログ信号を前記第1の周波数帯域で増幅する増幅器(33)と、
前記増幅器からのアナログ信号をデジタル信号に変換するADC(Analog Digital Converter)(35)と、
前記ADCからのデジタル信号より前記第1の周波数帯域の成分と前記第2の周波数帯域の成分をそれぞれ抽出するデジタル演算回路(34)と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光線路監視装置。
【請求項7】
前記受光部が前記第1の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める第1演算処理部(14−1)と、
前記第1演算処理部の求めたOTDR波形を、前記第1演算処理部がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する第1記憶部(17−1)と、
前記第1記憶部の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第1判定部(18−1)と、
を備える請求項1から6のいずれかに記載の光線路監視装置。
【請求項8】
前記受光部が前記第2の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求める第2演算処理部(14−2)と、
前記第2演算処理部の求めたOTDR波形を、前記第2演算処理部がOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶する第2記憶部(17−2)と、
前記第2記憶部の記憶するOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第2判定部(18−2)と、
を備える請求項1から7のいずれかに記載の光線路監視装置。
【請求項9】
請求項1から5のいずれかに記載の光線路監視装置(101)と、
1本の光ファイバ(21)が光スプリッタ(22)で複数本の光ファイバ(23−1〜23−N)に分岐されているPON(Passive Optical Network)の前記1本の光ファイバに挿入され、前記光線路監視装置からの前記光パルスを前記1本の光ファイバに合波するとともに、前記複数本の光ファイバで反射された前記戻り光を前記光線路監視装置に分波する挿入用WDM(Wavelength Division Multiplexing)フィルタ(93)と、
前記PONの前記複数本の各光ファイバに挿入され、前記光線路監視装置からの光パルスを反射する反射用WDMフィルタ(94−1〜94−N)と、
を備える光線路監視システム。
【請求項10】
幅の狭いパルス及び幅の広いパルスを有する光パルスを発生して被測定光ファイバ(100)に出力する光パルス出力手順(S101)と、
前記光パルス出力手順で出力した前記光パルスが前記被測定光ファイバで反射された戻り光を、前記幅の狭いパルスのパルス幅に応じた第1の周波数帯域及び前記幅の広いパルスのパルス幅に応じた第2の周波数帯域の両方で受光する戻り光受光手順(S102)と、
を順に有する光線路監視方法。
【請求項11】
前記光パルス出力手順において発生する前記光パルスは、ピークから裾に向けてパルス幅が階段状に拡大する形状を有し、
前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、
前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域である
ことを特徴とする請求項10に記載の光線路監視方法。
【請求項12】
前記光パルス出力手順において発生する前記光パルスは、ピークから波高値が漸減する形状を有し、
前記第1の周波数帯域は、前記光パルスのうちの前記ピークのパルス幅に応じた周波数帯域であり、
前記第2の周波数帯域は、前記光パルス全体のパルス幅に応じた周波数帯域である
ことを特徴とする請求項10に記載の光線路監視方法。
【請求項13】
前記戻り光受光手順において、前記戻り光を受光して光電変換し、光電変換後のアナログ信号を分配し、分配した少なくとも一方のアナログ信号を前記第1の周波数帯域で増幅することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の光線路監視方法。
【請求項14】
前記戻り光受光手順において、前記戻り光を、前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域で同時に受光することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の光線路監視方法。
【請求項15】
前記戻り光受光手順において、前記戻り光を前記第1の周波数帯域で受光して光電変換し、光電変換後のアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号から前記第1の周波数帯域の周波数成分及び前記第2の周波数帯域の周波数成分をそれぞれ抽出することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の光線路監視方法。
【請求項16】
前記戻り光受光手順において前記第1の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求めてOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶し、記憶したOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び最新以外のOTDR波形を取得し、前記最新のOTDR波形の所定距離における波高値が前記最新以外のOTDR波形の前記所定距離における波高値よりも低下したか否かを判定する第1判定手順(S111)を
前記戻り光受光手順の後にさらに有することを特徴とする請求項10から15のいずれかに記載の光線路監視方法。
【請求項17】
前記戻り光受光手順において前記第2の周波数帯域で受光した前記戻り光の時間及び光量を用いてOTDR波形を求めてOTDR波形を求めた時刻と関連付けて記憶し、記憶したOTDR波形のうちの最新のOTDR波形及び前記最新以外のOTDR波形を比較する第2判定手順(S112)を
前記戻り光受光手順の後にさらに有することを特徴とする請求項10から16のいずれかに記載の光線路監視方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−196686(P2011−196686A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60291(P2010−60291)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】
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