説明

光走査ユニット、画像読取装置および画像書込装置

【課題】より好適に正立等倍レンズアレイを光走査ユニットのハウジングに取り付ける。
【解決手段】光走査ユニット10は、正立等倍レンズアレイプレート11と、ハウジング12とを備える。ハウジング12は、正立等倍レンズアレイプレート11が載置される底面37と、正立等倍レンズアレイプレート11からの光を通過させるために、底面37に形成された孔部35と、フック係合部36Lおよび36Rと、底面37に設けられた凸部38Lおよび38Rとを備える。正立等倍レンズアレイプレート11は、フック部33Lおよび33Rと、凹部34Lおよび34Rとを備える。フック部33Lおよび33Rがフック係合部36Lおよび36Rに係合することにより正立等倍レンズアレイプレート11がハウジング12に固定されたときに、凹部34Lおよび34Rと凸部38Lおよび38Rとが嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置や画像書込装置に用いられる光走査ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ等の画像読取装置に例えばCIS(Contact Image Sensor)等の光走査ユニットが用いられている。このような光走査ユニットは、一般的に、ライン状光源と、正立等倍レンズアレイと、ラインイメージセンサから構成される。正立等倍レンズアレイを用いた正立等倍結像光学系を採用することにより、縮小結像光学系の場合よりも光走査ユニットをコンパクトにすることができる。
【0003】
光走査ユニットにおける正立等倍レンズアレイとしては、従来、正立等倍像を結像可能なロッドレンズアレイが用いられてきたが、近年では、両面に複数の微小凸レンズを規則的に配列したレンズアレイプレートを、個々の凸レンズの光軸が一致するように複数枚積層した正立等倍レンズアレイプレートが提案されている(たとえば特許文献1参照)。このような正立等倍レンズアレイプレートは、射出成形などの方法により形成できるため、正立等倍レンズアレイを比較的安価に製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−352429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、正立等倍レンズアレイを光走査ユニットのハウジングに取り付ける方法として、ハウジングの所定の位置に接着剤を用いて固定する方法がある。
【0006】
しかしながら、接着剤を用いて固定する場合、固定時に専用の治具などで正立等倍レンズアレイが動かないよう保持しておく必要があり、組立作業性が悪いという問題がある。また、スキャナ等に用いられる光走査ユニットのハウジングは一般に、樹脂で成形された細長い形状であるため、検査時や実装時に予期せぬ力が印加されて光走査ユニットが捻れ、接着剤の一部が剥離する虞もある。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、より好適にレンズアレイを光走査ユニットのハウジングに取り付けることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光走査ユニットは、レンズアレイと、該レンズアレイを収容するハウジングとを備える。ハウジングは、レンズアレイが載置される載置面と、レンズアレイからの光を通過させるために載置面に形成された孔部と、フック係合部と、載置面に設けられた凸部とを備える。レンズアレイは、フック係合部と係合するフック部と、凸部と嵌合する凹部とを備える。フック部がフック係合部に係合することにより正立等倍レンズアレイがハウジングに固定されたときに、凹部と凸部とが嵌合する。
【0009】
凸部は、孔部を挟むように設けられた第1凸部および第2凸部とを含んでもよい。凹部は、第1凸部および第2凸部とそれぞれ嵌合する第1凹部および第2凹部を含んでもよい。
【0010】
凹部および凸部は、少なくとも主走査方向中央部に形成されてもよい。
【0011】
フック部は、レンズアレイの高さ方向略中央部に設けられてもよい。
【0012】
レンズアレイは、両面に複数のレンズが形成された第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとが対向するように配置された正立等倍レンズアレイプレートであり、第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートの間に、迷光を除去するための中間遮光部材が設けられており、フック部は、中間遮光部材の副走査方向端部に設けられてもよい。
【0013】
本発明の別の態様は、画像読取装置である。この装置は、上述の光走査ユニットを備える。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、画像書込装置である。この装置は、上述の光走査ユニットを備える。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より好適にレンズアレイを光走査ユニットのハウジングに取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る光走査ユニットを用いた画像読取装置の概略断面図である。
【図2】図1に示す画像読取装置における正立等倍レンズアレイプレート周辺の拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光走査ユニットを用いた画像書込装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る光走査ユニットを用いた画像読取装置の概略断面図である。図1において、横方向が副走査方向であり、奥行き方向が主走査方向である。
【0019】
図1に示すように、画像読取装置100は、原稿Gを載置する原稿台としてのガラス板14と、原稿Gを走査して読み取るための光走査ユニット10と、光走査ユニット10を移動させる駆動機構(図示せず)と、光走査ユニット10によって読み取られたデータを処理する画像処理部(図示せず)とを備える。
【0020】
光走査ユニット10は、ガラス板14上に載置された原稿Gに光を照射するライン状光源16と、原稿Gからの反射光を集光する正立等倍レンズアレイプレート11と、正立等倍レンズアレイプレート11により集光された光を受けるラインイメージセンサ20と、ライン状光源16、正立等倍レンズアレイプレート11およびラインイメージセンサ20を収容するハウジング12とを備える。光走査ユニット10は、その長手方向が主走査方向に、短手方向が副走査方向に一致するように画像読取装置100に装着される。
【0021】
ハウジング12は、基部12aと、基部12aの上面に形成された光源取付用凹部12bと、基部12aの上面に形成されたレンズアレイ取付用凹部12cと、基部12aの下面に形成されたセンサ取付用凹部12dとを備える。ハウジング12は、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂などの樹脂材料により射出成形される。
【0022】
ライン状光源16は、略直線状の光を出射する光源である。ライン状光源16は、その光軸が、正立等倍レンズアレイプレート11の光軸Axとガラス板14の上面との交点を通るように光源取付用凹部12b内に固定される。
【0023】
正立等倍レンズアレイプレート11は、上方に位置する原稿Gから反射された略直線状の光を受けて、下方に位置する像面、すなわちラインイメージセンサ20の受光面に正立等倍像を形成する。正立等倍レンズアレイプレート11の詳細な構造、および正立等倍レンズアレイプレート11のレンズアレイ取付用凹部12c内への固定方法については後述する。
【0024】
正立等倍レンズアレイプレート11の下方には、ラインイメージセンサ20が設けられる。ラインイメージセンサ20は、上方に位置する正立等倍レンズアレイプレート11から受光した光を電気信号に変換する。該電気信号は、基板22に設けられた配線を介して該信号を図示しない画像処理部に送られる。
【0025】
画像読取装置100においては、ライン状光源16からの出射光がガラス板14を通して原稿Gに当てられ、原稿Gからの反射光を正立等倍レンズアレイプレート11を介してラインイメージセンサ20にて検出することで原稿Gを読み取る。ガラス板14に対して光走査ユニット10を副走査方向に走査することにより、原稿Gの所望の領域の読み取りを行うことができる。
【0026】
図2は、図1に示す画像読取装置における正立等倍レンズアレイプレート周辺の拡大図である。図2において、横方向が副走査方向であり、奥行き方向が主走査方向である。
【0027】
まず最初に、正立等倍レンズアレイプレート11の構造について説明する。正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26とが対向するように配置されたものである。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、長方形状のプレートであり、その両面には複数の凸レンズが配列形成されている。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、ホルダ30により保持されている。
【0028】
第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、射出成形により形成される。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26の材質は、射出成形に使用可能で、必要な波長帯域の光に対して光透過性が高く、吸水性の低いものが望ましい。望ましい材質としては、シクロオレフィン系樹脂や、オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネートなどを例示することができる。
【0029】
第1レンズアレイプレート24の外側面(原稿側面)上には、複数の第1レンズ24aが、第1レンズアレイプレート24の長手方向(主走査方向)に沿って一列に配列されている。また、第1レンズアレイプレート24の内側面(第2レンズアレイプレート26と対向する面)上には、複数の第2レンズ24bが、第1レンズアレイプレート24の長手方向に沿って一列に配列されている。
【0030】
第2レンズアレイプレート26の内側面(第1レンズアレイプレート24と対向する面)上には、複数の第3レンズ26aが、第2レンズアレイプレート26の長手方向(主走査方向)に沿って一列に配列されている。また、第2レンズアレイプレート26の外側面(ラインイメージセンサ側面)上には、複数の第4レンズ26bが、第2レンズアレイプレート26の長手方向に沿って一列に配列されている。
【0031】
第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応する第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26a、第4レンズ26bの組が共軸のレンズ系を構成するように内側面同士を対向させて積層される。言い換えると、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応する第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26a、第4レンズ26bの光軸が一致するように積層される。
【0032】
ホルダ30は、中空の四角柱形状であり、上面部30aと、下面部30bと、左側面部30Lと、右側面部30Rとを備える。第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、上面部30a、下面部30b、左側面部30Lおよび右側面部30Rにより形成される空間内に保持されている。ホルダ30は、たとえば黒色のABS樹脂などの遮光性材料を用いて、射出成形などの方法により形成される。
【0033】
本実施形態において、ホルダ30の上面部30aおよび下面部30bは、結像に寄与しない迷光を遮光する機能を有する。よって、以下においては適宜、上面部30aおよび下面部30bをそれぞれ「第1遮光部材30a」および「第2遮光部材30b」と称する。
【0034】
第1レンズアレイプレート24の外側面は、プレート状の第1遮光部材30aにより覆われている。この第1遮光部材30aには、複数の第1貫通孔30dが形成されている。第1貫通孔30dは、第1遮光部材30aの長手方向(主走査方向)に沿って一列に、第1レンズアレイプレート24の第1レンズ24aと対応するように形成されている。第1遮光部材30aは、各第1貫通孔30dが対応する第1レンズ24aの正面に位置するように設けられる。
【0035】
第2レンズアレイプレート26の外側面は、プレート状の第2遮光部材30bにより覆われている。この第2遮光部材30bには、複数の第2貫通孔30eが形成されている。第2貫通孔30eは、第2遮光部材30bの長手方向(主走査方向)に沿って一列に、第2レンズアレイプレート26の第4レンズ26bと対応するように形成されている。第2遮光部材30bは、各第2貫通孔30eが対応する第4レンズ26bの正面に位置するように設けられる。
【0036】
図2に示すように、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間には中間遮光部材32が設けられている。この中間遮光部材32もまた、結像に寄与しない迷光を遮光する機能を有する。
【0037】
中間遮光部材32は、遮光性材料によって形成されたプレート状の遮光部材であり、複数の中間貫通孔32aが形成されている。中間貫通孔32aは、中間遮光部材32の長手方向(主走査方向)に沿って一列に、第2レンズ24bと第3レンズ26aと対応するように形成されている。中間遮光部材32は、各中間貫通孔32aが対応する第2レンズ24bおよび第3レンズ26aの正面に位置するように設けられる。中間遮光部材32は、ホルダ30の左側面部30Lおよび右側面部30Rにより保持されている。
【0038】
本実施形態において、中間遮光部材32は、副走査方向の端部がホルダ30の外側に延びるように形成されている。そして、該端部にはフック部が設けられている。すなわち、図2に示すように、中間遮光部材32の副走査方向左端部は、ホルダ30の左側面部30Lから外方に延びており、左側面部30Lから所定距離離間した位置で垂直下方に折り曲げられて左フック部33Lとされている。下方に折り曲げられた部分全てが左フック部33Lである。また、中間遮光部材32の副走査方向右端部は、ホルダ30の右側面部30Rから外方に延びており、右側面部30Rから所定距離離間した位置で垂直下方に折り曲げられて右フック部33Rとされている。下方に折り曲げられた部分全てが右フック部33Rである。
【0039】
また本実施形態においては、左フック部33Lと左側面部30Lとの間に左凹部34Lが形成されており、右フック部33Rと右側面部30Rとの間に右凹部34Rが形成されている。
【0040】
次に、上記のような正立等倍レンズアレイプレート11が取り付けられるハウジング12の構造について説明する。図2に示すように、正立等倍レンズアレイプレート11は、ハウジング12の上面に形成されたレンズアレイ取付用凹部12c内に固定される。
【0041】
正立等倍レンズアレイプレート11の載置面としてのレンズアレイ取付用凹部12cの底面37には、当該光走査ユニットの主走査方向に延びる細長い孔部35が形成されている。この細長い孔部35は、正立等倍レンズアレイプレート11からの光をラインイメージセンサに通過させるために設けられている。
【0042】
また、レンズアレイ取付用凹部12cの左側壁12eには、正立等倍レンズアレイプレート11の左フック部33Lを係合するための左フック係合部36Lが形成されており、レンズアレイ取付用凹部12cの右側壁12fには、正立等倍レンズアレイプレート11の右フック部33Rを係合するための右フック係合部36Rが形成されている。
【0043】
さらに、レンズアレイ取付用凹部12cの底面37には、孔部35を挟むように左凸部38Lと、右凸部38Rとが設けられている。左凸部38Lおよび右凸部38Rは、主走査方向に延びるように形成されている。左凸部38Lおよび右凸部38Rは、主走査方向に互いに平行に延びる2本の「レール」と呼ぶこともできる。
【0044】
次に、正立等倍レンズアレイプレート11のハウジング12への取り付けについて説明する。正立等倍レンズアレイプレート11は、上方の開口部からレンズアレイ取付用凹部12c内に挿入される。正立等倍レンズアレイプレート11の第2遮光部材30bがレンズアレイ取付用凹部12cの底面37に当接するまで正立等倍レンズアレイプレート11をレンズアレイ取付用凹部12cに押し込むと、左フック部33Lおよび右フック部33Rがそれぞれ左フック係合部36Lおよび右フック係合部36Rに係合する。これにより、正立等倍レンズアレイプレート11がハウジング12に固定される。またこのとき、左凹部34Lおよび右凹部34Rがそれぞれ左凸部38Lおよび右凸部38Rに嵌合する。
【0045】
ハウジング12は、樹脂成形された細長い形状であり、また主走査方向に延びる細長い孔部35が設けられていることから剛性がそれ程高くない。従って、ハウジング12は、力が印加されると変形しやすい。具体的には、孔部35の副走査方向幅が狭くなるように変形したり、孔部35の副走査方向幅が広くなるように変形する。このハウジングの変形により、例えば接着剤で正立等倍レンズアレイプレート11とハウジング12を固定した場合には、接着剤が剥離する虞がある。
【0046】
一方、本実施形態においては、上記のように正立等倍レンズアレイプレート11がハウジング12に固定されたときに、左凹部34Lおよび右凹部34Rがそれぞれ左凸部38Lおよび右凸部38Rに嵌合する構成としたことにより、ハウジング12の変形が抑制される。具体的には、例えばハウジング12に対して外側から内側に向かう力が印加された場合、左凸部38Lおよび右凸部38Rはそれぞれ正立等倍レンズアレイプレート11の左側面部30Lおよび右側面部30Rから外側に向かう反力を受ける。これにより、ハウジング12の変形が抑制される。また、例えばハウジング12に対して内側から外側に向かう力が印加された場合、左凸部38Lおよび右凸部38Rはそれぞれ正立等倍レンズアレイプレート11の左フック部33Lおよび右フック部33Rから内側に向かう反力を受ける。これにより、ハウジング12の変形が抑制される。
【0047】
また、本実施形態においては、正立等倍レンズアレイプレート11とハウジング12との固定にフック構造を用いているので、力が印加された際にハウジング12が多少変形したとしても、力が印加がなくなれば再び元の固定状態に戻る。これに対し、接着剤で正立等倍レンズアレイプレート11とハウジング12を固定した場合には、力の印加により一度接着剤が剥離すると、力の印加がなくなっても元の固定状態に戻ることはない。
【0048】
本実施形態によれば、フック構造を採用したことにより、正立等倍レンズアレイプレート11をレンズアレイ取付用凹部12cにはめ込むだけで取付が完了するという利点を有する。接着剤を用いた場合のように専用の治具に正立等倍レンズアレイプレートを固定する工程や、接着剤の硬化を待つ工程がなくなるので、組立作業性が向上し、製造コストを低減できる。また、接着剤を用いていないので、当然ながらレンズに接着剤が付着するといった事態を回避できる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11とハウジング12の取付構造は、接着剤を用いた取付構造と比較して非常に多くの利点を有する。
【0050】
左凸部38Lおよび右凸部38Rと、左凹部34Lおよび右凹部34Rは、光走査ユニット10の主走査方向両端部にかけて連続的に設けられてもよいし、断続的に設けられていてもよい。断続的に設けられる場合、一般的にハウジング12の変形は主走査方向中央部において最も大きくなるので、左凸部38Lおよび右凸部38Rと、左凹部34Lおよび右凹部34Rは、少なくとも光走査ユニット10の主走査方向中央部に設けられることが望ましい。
【0051】
上述の実施形態では、左フック部33Lおよび右フック部33Rを正立等倍レンズアレイプレート11の高さ方向略中央に位置する中間遮光部材32に設ける構成とした。本実施形態のように、左フック部33Lおよび右フック部33Rを正立等倍レンズアレイプレート11の高さ方向略中央に配置することにより、ハウジング12の原稿面側に対して副走査方向両外側に向かう力が作用した場合と、ハウジング12のラインイメージセンサ側に対して副走査方向両外側に向かう力が作用した場合の両方において、好適にハウジング12の変形を抑制できる。
【0052】
左フック部33Lおよび左フック係合部36Lと、右フック部33Rおよび右フック係合部36Rは、組立時の安定性を優先する場合は、主走査方向において異なる位置に形成されることが望ましい。両者を主走査方向において同じ位置に形成した場合、フック部の係合を左右同時に行う必要が生じ、ハウジング12の変形や係合の不具合などが発生する可能性が高まるからである。
【0053】
また、左フック係合部36Lや右フック係合部36Rのような形状を射出成形で作る場合、アンダーカット構造が必要となる。アンダーカット構造を採用した場合、アンダーカット部の入れ子が抜けるスペースが必要となるが、両者を主走査方向において同じ位置に形成した場合、このスペースの確保が難しくなる。従って、実際の製造の観点からも、左フック部33Lおよび左フック係合部36Lと、右フック部33Rおよび右フック係合部36Rとは、主走査方向異なる位置に形成されることが望ましい。例えば、左フック部33Lおよび左フック係合部36Lと、右フック部33Rおよび右フック係合部36Rは、主走査方向に交互に並ぶように配置されてよい。
【0054】
しかしながら、正立等倍レンズアレイプレート11の光学特性を優先する場合には、左フック部33Lおよび左フック係合部36Lと、右フック部33Rおよび右フック係合部36Rとは、主走査方向において同じ位置に形成されてもよい。この場合、正立等倍レンズアレイプレート11が主走査方向に関して対称な位置でハウジング12に接合されるので、レンズ系の光軸曲がりが生じにくいためである。
【0055】
上述の実施形態では、レンズアレイとして正立等倍レンズアレイプレートを採用したが、レンズアレイはこれに限定されず、たとえば複数のロッドレンズを列状に配置した構造のレンズアレイを採用してもよい。また、レンズアレイは正立等倍結像光学系のものに限定されず、例えば縮小結像光学系のレンズアレイであってもよい。
【0056】
また、上述の実施形態では、ホルダ30を中空の四角柱形状としたが、中間遮光部材32を第1遮光部材30aと第2遮光部材30bとで挟む構造としてもよい。
【0057】
図3は、本発明の実施形態に係る光走査ユニットを用いた画像書込装置の概略断面図である。図3に示すように、画像書込装置200は、光走査ユニット220と、光走査ユニット220から出射された光を受光する感光体ドラム208と、制御部202と、上記構成要素を収容する筐体210とを備える。光走査ユニット220は、複数のLEDがアレイ状に配列されたLEDアレイ206と、LEDアレイ206が搭載された基板204と、LEDアレイ206から出射された光を集光する正立等倍レンズアレイプレート11と、上記構成要素を収容するハウジング212とを備える。LEDアレイ206の発光は、制御部202により制御される。なお、図3においては、感光体ドラム208の周辺に設けられる現像装置、転写装置などについては図示を省略している。
【0058】
画像書込装置200は、LEDを光源に用いた所謂LEDプリントヘッド方式の画像書込装置である。LEDプリントヘッド方式は、画素と発光源が1対1に対応しており、走査機構が不要である。従って、レーザ光源とポリゴンミラーを組み合わせたレーザROS(Raster Output Scanner)方式と比べて、装置を小型且つ軽量化できる。
【0059】
本実施形態においても、正立等倍レンズアレイプレート11とハウジング12とは、図1および図2に示す光走査ユニット10と同様のフック構造により固定される。また、図1および図2に示す光走査ユニット10と同様の凹凸嵌合構造によりハウジング12の変形が抑制される。
【0060】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0061】
10、220 光走査ユニット、 11 正立等倍レンズアレイプレート、 12、212 ハウジング、 14 ガラス板、 16 ライン状光源、 20 ラインイメージセンサ、 22 基板、 24 第1レンズアレイプレート、 26 第2レンズアレイプレート、 30 ホルダ、 32 中間遮光部材、 33L 左フック部、 33R 右フック部、 34L 左凹部、 34R 右凹部、 35 孔部、 36L 左フック係合部、 36R 右フック係合部、 38L 左凸部、 38R 右凸部、 100 画像読取装置、 200 画像書込装置、 202 制御部、 206 LEDアレイ、 208 感光体ドラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズアレイと、該レンズアレイを収容するハウジングとを備える光走査ユニットであって、
前記ハウジングは、
前記レンズアレイが載置される載置面と、
前記レンズアレイからの光を通過させるために、前記載置面に形成された孔部と、
フック係合部と、
前記載置面に設けられた凸部と、を備え、
前記レンズアレイは、
前記フック係合部と係合するフック部と、
前記凸部と嵌合する凹部と、を備え、
前記フック部が前記フック係合部に係合することにより前記レンズアレイが前記ハウジングに固定されたときに、前記凹部と前記凸部とが嵌合することを特徴とする光走査ユニット。
【請求項2】
前記凸部は、前記孔部を挟むように設けられた第1凸部および第2凸部とを含み、
前記凹部は、前記第1凸部および前記第2凸部とそれぞれ嵌合する第1凹部および第2凹部を含むことを特徴とする請求項1に記載の光走査ユニット。
【請求項3】
前記凹部および前記凸部は、少なくとも主走査方向中央部に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の光走査ユニット。
【請求項4】
前記フック部は、前記レンズアレイの高さ方向略中央部に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光走査ユニット。
【請求項5】
前記レンズアレイは、両面に複数のレンズが形成された第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとが対向するように配置された正立等倍レンズアレイプレートであり、
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートの間に、迷光を除去するための中間遮光部材が設けられており、
前記フック部は、前記中間遮光部材の副走査方向端部に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光走査ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の光走査ユニットを備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の光走査ユニットを備えることを特徴とする画像書込装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−185317(P2012−185317A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48216(P2011−48216)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】