説明

光走査型光電スイッチ

【課題】不慣れな者でも確実にカバーを取り付けることのできる光走査型光電スイッチを提供する。
【解決手段】光走査手段及び光電変換素子を収容し、軸線に直交する断面が略U字状の開口が形成された筐体1と、筐体1に対し取り付け取り外し可能に設けられ、筐体1の開口を覆うためのカバー4と、筐体1とカバー4との間に設けられる弾性変形可能なシール部材6とを備え、カバー4を筐体1に取り付ける取付方向Fにシール部材6を圧縮した状態でカバー4が筐体1に係合するためにカバー4および筐体1に形成された係合手段41,62と、カバー4が筐体1に係合した状態で取付方向Fとは異なる方向Sにシール部材6を圧縮する固定具40を受け入れ可能に形成された固定部43とを備えている。。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光走査型光電スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザ等の光を用いて予め設定された所定領域内に物体が存在するか否かの検出を行う走査装置が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平4−310890号(要約書)
【特許文献2】特開平3−175390号(第1図)
【特許文献3】USP 5,455,669(図4)
【0003】
光走査型光電スイッチは、いわゆる安全スキャナやセーフティレーザスキャナと呼ばれるもので、レーザ等の光で検出領域を走査し、検出領域内で反射した走査光を受光し、投光タイミングと受光タイミングの差、つまり、時間差と既知の光速とから物体までの距離を測定し、所定方位毎の距離から物体の位置を特定し、動作許可/動作不許可を示す安全信号を出力して、必要に応じて当該機器の機能を無効化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図16は従来の光走査型光電スイッチの一例を示す。
図16において、光走査型の光電スイッチは、気密の要請から筐体100とフロントカバー101との間にパッキン102が設けられている。
一方、フロントカバー101は消耗品であり、機器の構造に詳しくない不慣れなユーザがフロントカバー101を交換する。本スイッチでは、フロントカバー101がU字状になっている関係上、フロントカバー101の固定ビスの取り付け順序によっては、片締めとなって気密不良となることがあった。
【0005】
たとえば、両側方S1,S2についてビスを締め付けた後に、斜め前方F1,F2についてビスを締め付けた場合、先に締め付けた側方S1,S2のビスによりU字状のカバー101の両端が筐体100に固定されてしまうので、後に斜め前方F1,F2からビスを締め付けてもパッキン102を圧縮することができなくなる。この場合、気密不良となることがあった。特に、光走査型光電スイッチのサイズが小さくなると、使用するパッキン102の厚みや幅が小さくなるため、気密不良が発生しやすい。
【0006】
したがって、本発明の目的は、不慣れな者がカバーの交換を行っても気密不良の生じにくい光走査型光電スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の光走査型光電スイッチは、所定の軸線を中心に回転し走査光で検出領域を走査する光走査手段と、前記検出領域内の物体で反射された前記走査光を受光し、それに応じた受光信号を生成する光電変換素子と、前記受光した走査光の照射方位を算出すると共に、当該照射方位についての前記受光信号に基づいて前記物体までの距離を算出し、前記照射方位および前記距離から前記物体の位置を認識する認識手段と、予め設定された保護領域内に物体が存在するか否かを判別し、当該判別の結果に基づいて安全信号を出力する判別手段と、前記光走査手段及び前記光電変換素子を収容し、前記光走査手段から前記検出領域に至るまでの前記走査光の光路を含み、前記軸線に直交する断面が略U字状の開口が形成された筐体と、前記筐体に対し取り付け取り外し可能に設けられ、前記筐体の前記開口を覆うためのカバーと、前記筐体と前記カバーとの間に設けられる弾性変形可能なシール部材とを備え、前記カバーを前記筐体に取り付ける取付方向に前記シール部材を圧縮した状態で前記カバーが前記筐体に係合するために前記カバーおよび前記筐体に形成された係合手段と、前記カバーが前記筐体に係合した状態で前記取付方向とは異なる方向に前記シール部材を圧縮する固定具を受け入れ可能に形成された固定部とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カバーを筐体に装着すると、係合手段によりカバーが筐体に対し取り付け方向に係合し、カバーの取付方向にシール部材がカバーと筐体との間で圧縮された状態となる。この状態でカバーの取付方向とは異なる第2の方向に固定具でカバーを締め付けると、シール部材が前記第2の方向にカバーと筐体との間で圧縮される。このように、本発明によれば、シール部材を2方向に圧縮できる上、固定具を取付方向に締結する必要がないので、固定具の締付順序を間違うことがなく、固定具による片締めを防止することができる。
また、係合手段を設けたことによりカバーを取付方向に確実に位置決めすることができる。
したがって、不慣れな者でもカバーの交換を確実に行うことができる。
【0009】
なお、前記検出領域とは、物体で反射された走査光を受光して物体の存在を検出できる物体までの距離と走査光を走査する範囲によって定まる領域であり、予め、機器ごとにユーザにより設定されている。この検出領域内において本スイッチを用いる現場ごとに前記保護領域が予め設定されて所定の記憶部に記憶される。
つまり、検出領域は物体の存在を確実に認識可能な限界により定まり、一方、保護領域は作業者や外部機器の安全を確保する必要のある領域といえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において、前記カバーは前記断面において略半円状の正面部と前記正面部に連なる一対の側面部とを包含し、前記係合手段が前記側面部に形成されているのが好ましい。 本態様によれば、側面部に形成された係合手段により、シール部材を前記取付方向に圧縮してカバーを仮止めすることが可能になる。
【0011】
本発明において、前記固定部は前記側面部に形成されているのが好ましい。
本態様によれば、側面部に形成された固定部に固定具をねじ込むことにより、シール部材を取付方向と異なる方向に圧縮して固定することが可能になる。
【0012】
本発明において、前記断面において前記カバーは略U字状に形成され、前記略U字状の両端の近傍に前記固定部が形成されているのが好ましい。
本態様によれば、略U字状に形成されたカバーの両端の近傍に固定部を形成することにより、固定部による圧縮がシール部材に働き易く、また、固定部を形成するスペースを設け易くなる。
【0013】
本発明において、前記カバーを前記固定具で固定していない状態において、前記カバーの両側面部が前記シール部材に前記異なる方向に圧接するようにしてもよい。
本態様によれば、固定具で固定していない状態において、カバーの両側面部がシール部材に圧接しているので、固定具でカバーの固定を行う際に、固定具の片締めが更に防止され、不慣れな者でも確実にカバーを固定具で容易に固定することができる。
【0014】
本発明において、前記カバーにおける前記軸線方向の第1および第2縁またはその近傍には、それぞれ、前記側面部の曲げ剛性を高める第1および第2鍔部が形成され、前記鍔部またはその近傍の前記側面部が切り欠かれて前記カバーに前記係合手段の一部が形成されているのが好ましい。
本態様によれば、第1および第2鍔部を形成することにより、側面部が切り欠かれることによるカバーの強度低下を防止することができる。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
本実施例の光走査型光電スイッチは、たとえば、ロボットなどの外部機器に接続され、接続された外部機器の動作許可/動作不許可等を示す安全信号を前記外部機器に出力するものである。たとえば、本光電スイッチは、所定のモードにおいて、図2(b)の人体などの物体Mを予め設定された保護領域A2内において検出した場合、動作不許可の信号を出力して本光電スイッチに接続された外部機器の動作を禁止する(無効化させる)。なお、保護領域A2は検出領域A1内において予め設定されて記憶される。
【0016】
光路:
本光電スイッチは、たとえば、レーザ光などの光を走査して前記物体Mの検出を行うが、まず、光学系について説明する。
【0017】
光照射手段;
図1に示すように、投光素子LDから出射されたレーザ光からなる光L1は、投光レンズ10を通り、投光第1および第2ミラー(反射鏡)11,12により偏向されて、所定の第1の軸線Zに沿って照射される。したがって、投光レンズ10、投光第1および第2ミラー11,12は、前記第1の軸線Zに沿って光L1を照射する光照射手段を構成している。
【0018】
光走査手段2;
前記投光第2ミラー12によって反射された光L1は、光走査手段2に向って照射される。前記光走査手段2は、前記第1の軸線Zを中心に回転し、当該第1の軸線Zに対して略45°傾けて設置されたミラーからなる。光走査手段2は、図7に示すモータ8によって回転駆動されることにより、図2(b)の破線で示すように、前記照射手段から照射された光L1を第1の軸線Zに直交する面内に向けて偏向と共に走査する。光走査手段2によって偏向された走査光L1は、該光走査手段2が回転駆動されることにより、図2(b)に示す検出領域A1において走査されて照射される。
【0019】
光走査手段2は、前記検出領域A1内に物体Mが存在する場合には、図1に示すように、当該物体Mで反射された走査光L1(以下、「反射光L2」という)を前記第1の軸線Zに沿った方向に偏向する。
【0020】
受光反射体21,光電変換素子22;
前記光走査手段2によって偏向された反射光L2は、受光レンズ20によって集光される。前記受光レンズ20は、第1の軸線Zと一致する光軸を有しており、受光レンズ20によって集光された反射光L2は受光反射体21によって偏向され、光電変換素子22に集光される。
【0021】
前記受光反射体21は、第1の軸線Zに対して略45°傾けて設置され、前記受光レンズ20により集光された反射光L2の光軸を、第1の軸線Zに対して略直交する第2の軸線Yに沿って偏向し、光電変換素子22に集光させる。
【0022】
前記光電変換素子22は、受光反射体21により偏向された反射光L2を受光し、当該受光した反射光L2を光電変換して、受光信号を生成する。
【0023】
機器構成:
図2(a)に示すように、前記投光素子LDおよび光電変換素子22は、制御手段30に接続されている。
【0024】
前記制御手段30には、図3に示すように、本光電スイッチの種々の状態を表示するための液晶表示器38aおよびLED(Light Emitting Diode)38bと、前記保護領域A2などの設定を行うための操作部39が接続されている。
一方、図2の制御手段30には、第1コネクタ5が接続されている。前記第1コネクタ5には前記外部機器に接続される第2コネクタ付のケーブル5Aが接続される。第2コネクタ付のケーブル5Aはケーブル部分51の端部に第2コネクタ50を有する。
【0025】
前記制御手段30は、距離算出手段31、方位算出手段32、位置認識手段33、判別手段34、確認手段35、信号生成手段36および表示制御手段37などを備えている。
【0026】
方位算出手段32;
方位算出手段32は、前記投光および受光において、光走査手段2により前記検出領域A1に向けて偏向された走査光L1の照射方位(偏向方位)と物体Mからの反射光L2が入光する方位とを算出する。
【0027】
ここで、図7に示すモータ8の回転軸には、たとえば、光電式のロータリエンコーダ8aが設けられている。光L1,L2の偏向方位は、前記ロータリエンコーダ8aからの出力に基づき、光走査手段2の回転角度を算出することで求められる。
【0028】
距離算出手段31;
距離算出手段31は、前記各偏向方位について、光電変換素子22からの受光信号に基づいて物体Mまでの距離を算出する。すなわち、投光素子LDからの走査光L1の投光タイミングと、物体Mによって反射された反射光L2を受光した光電変換素子22の受光タイミングの差に、既知の光速を乗算して物体までの距離を算出する。前記投受光タイミングに基づく距離の算出は、所定の微小時間ごとに繰り返し行われる。
【0029】
位置認識手段33;
図2(a)に示す位置認識手段33は、物体Mの位置の認識を行う。すなわち、位置認識手段33は、前記投受光タイミング毎に、前記方位算出手段32により算出された偏向方位と、当該偏向方位において距離算出手段31が算出した物体Mまでの距離とに基づいて、当該物体Mの位置を算出することにより、該物体Mの位置を認識する。
前記距離算出手段31、方位算出手段32および位置認識手段33は、本発明の認識手段を構成する。
【0030】
判別手段34;
判別手段34は、位置認識手段33により算出された物体Mの位置に基づいて、予め設定された保護領域A2内に物体Mが存在するか否かを判別する。
【0031】
第1および第2光学素子71,72;
ここで、本光電スイッチの筐体1には、前記走査光L1および反射光L2を透過する図3の透明なフロントカバー4が装着されている。たとえば、カバー4が汚れ等で曇っている場合には、図2(a)の光電変換素子22に入射する反射光L2の光量が低下し、物体Mの位置検出の感度が低下する。
なお、ここで「透明」とは、走査光L1の波長に対して透過可能であることを意味しており、走査光L1が赤外光である場合には、フロントカバー4はこの赤外光の波長に対して透過性を有している。
【0032】
そこで、図2(a)に示す前記カバー4の状態を監視するための複数個の第1および第2光学素子71,72を設け、カバー4の状態を常時監視している。第1および第2光学素子71,72は、カバー4を挟んで対向配置され、第1光学素子71からの光がカバー4を通って第2光学素子72に入射し、光路の一部としてのカバー4の状態を第2光学素子72が制御手段30に送信する。
【0033】
確認手段35;
確認手段35は、前記第2光学素子72からのカバー4の状態を含む自己の状態を監視し、自己の状態が安全な状態であることを確認する。すなわち、確認手段35は、本光電スイッチが故障しているか否かの検出を行う故障検出手段、つまり、所期の検出等を行うことができる安全な状態か否かを確認する手段を構成している。本光電スイッチが故障していると確認手段35が判断した場合には、液晶表示器38aやLED38bに当該状態を表示させると共に、信号生成手段36を介して、動作不許可の信号を外部機器に向けて送信する。
また、第2光学素子72からの信号に基づきカバー4が劣化し、交換時期であると確認手段35が判断した場合、液晶表示器38aやLED38bに当該状態を制御手段30が表示させる。
なお、第1光学素子と第2光学素子がカバー4を挟んで対峙して配置される場合について説明したが、本件発明はこれに限らず、たとえば、第3の光学素子である鏡を第2光学素子72と置き換えて配置し、第2光学素子72を第1光学素子71の近傍に配置する。この場合、第1光学素子71から投射された光はカバー4を通過して第3の光学素子である鏡で反射し、この反射光が再びカバー4を通過して第2光学素子72で受光される。
【0034】
信号生成手段36;
信号生成手段36は判別手段34の判別結果に基づいて安全信号を生成する。たとえば、所定のモードにおいて、本スイッチの正常な動作が確認でき、かつ、保護領域A2内に物体Mが存在しないと判別手段34が判別した場合には、信号生成手段36は安全信号として機能有効化信号を生成する。前記生成された当該信号は、制御手段30から第1コネクタ5を介して外部機器に向けて送信され、外部機器の動作が許容される。
【0035】
筐体1:
図3および図4(a),(b)に示すように、本光電スイッチは、筐体1、表示操作盤3およびカバー4を備えている。
【0036】
図5に示すように、本光電スイッチは、前述した光学系を含む構成機器からなる機器本体9および前記筐体1の一部としての裏蓋1bを備えている。前記機器本体9は、筐体1内に装填され、該筐体1内に固定されると共に、裏蓋1bにより背面が密閉される。
【0037】
図6(および図11)に示すように、筐体1には開口1dが形成されている。開口1dは光走査手段2から前記検出領域A1(図2(b))に至るまでの光路を含み、前記第1の軸線Z(図7)に直交する横断面において略U字状に形成されている。
【0038】
前記開口1dには、筐体1に取り外し可能に設けられ、該筐体1の開口1dを覆う前記カバー4が設けられている。前記筐体1とカバー4との間には、弾性変形可能なシール部材6が介挿される。
【0039】
機器本体9;
図7に示すように、前記光走査手段2の下方には、第1の軸線Zを中心に該光走査手段2を回転させるための前記モータ8が設けられている。図8に示すように、モータ8の回転軸には前記ロータリエンコーダ8aが設けられている。
【0040】
図9に示すように、前記受光反射体21は、第1の軸線Zに対して略45°傾けて設置されている。前記受光レンズ20により集光された反射光L2の光軸は、反射光L2の立体角の中心を第1の軸線Zに対して略直交する第2の軸線Yに沿った方向に偏向され、機器本体9の背面方向B側に設けられた光電変換素子22に集光される。
図10(a),(b)に示すように、投光第2ミラー12は、受光レンズ20の軸線Zの略中心に取り付けられている。
【0041】
カバー4:
図15(b)に示すように、前記カバー4は、横断面(軸線Zに直交する断面)において略半円状の正面部4Fと、前記正面部4Fに連なる一対の側面部4Sとを包含しており、前記横断面において略U字状に形成されている。なお、カバー4は弾性変形可能で、かつ、透明な合成樹脂で形成されている。
【0042】
図11に示すように、前記カバー4における軸線方向Zの第1縁および第2縁41e,42eの近傍には、前記カバー4の曲げ剛性を高める第1および第2鍔部41h,42hがそれぞれ形成されている。前記第1鍔部41hは、図6および図11に示す前記側面部4Sから正面部4Fに渡って連続して設けられている。
図11に示す前記第2鍔部42hは部分的に切り欠かれており、後述する係合手段の一部が形成されている。
【0043】
係合手段:
図6に示すカバー4の第1の軸線方向Zの上端部(第1縁41e)には、図12に拡大して示すように、カバー4の側面部4Sが切り欠かれて形成された第1被係合部41が形成されている。第1被係合部41の下部には、ネジ部材(固定具)40(図3)が挿入されるネジ挿通孔43が第1被係合部41の前記切り欠きに連なって形成されている。
【0044】
一方、筐体1の前記第1被係合部41に対応する位置には、該第1被係合部41が係合する第1係合部61が突設されている。前記筐体1には、前記ネジ部材40が前記ネジ挿通孔43を通って筐体1に螺合する雌ネジ63が形成されている。
したがって、ネジ挿通孔43および雌ネジ63は、ネジ部材40(図3)を受け入れ可能とするための固定部を構成している。
【0045】
図11に示すカバー4の第1の軸線方向Zの下端部(第2縁42e)には、図13に拡大して示すように、第2鍔部42hと切り欠かれて形成された第2被係合部42が形成されている。前記カバー4は第2被係合部42の近傍において切り欠かれており、ネジ部材40(図3)が挿入されるネジ挿通孔43が形成されている。
【0046】
一方、筐体1の前記第2被係合部42に対応する位置には、該第2被係合部42が係合する第2係合部62が突設されている。前記筐体1には、ネジ部材40が前記ネジ挿通孔43を通って螺合する雌ネジ64が形成されている。
したがって、ネジ挿通孔43および雌ネジ64は、ネジ部材40(図3)を受け入れ可能とするための固定部を構成している。
【0047】
図12および図13に示す第1被係合部41、第2被係合部42およびネジ挿通孔43,43は、カバー4の両側面部4S,4Sにそれぞれ形成されている。図15(b)に示すように、前記ネジ挿通孔43および雌ネジ63,64は略U字状に形成されたカバー4の両端近傍に形成されている。
【0048】
カバー4の取付方法:
図15(a)に示す筐体1にカバー4を取り付けるには、まず、図15(b)に示すように、筐体1の取付方向Fにカバー4を押し込む。
【0049】
前記カバー4を取付方向Fに押し込むと、U字状のカバー4の両側面部4Sが樹脂弾性により若干拡開しながら、取付方向Fに進み、やがて、図14(a)に示す第1被係合部41が第1係合部61に係合すると共に、図14(b)に示す第2被係合部42が第2係合部62に係合する。前記第1被係合部41および第2被係合部42は、カバー4の側面部4Sの両側に設けられているので、筐体1の両側に形成された第1係合部61および第2係合部62にそれぞれ係合する。そのため、図15(b)に示すように、カバー4の正面部4Fが、該カバー4を筐体1に取り付ける取付方向Fにシール部材6を圧縮した状態で、つまり、シール部材6に密着した状態で筐体1に当接する。
【0050】
したがって、第1被係合部41、第1係合部61、第2被係合部42、第2係合部62は、係合手段を構成しており、この係合手段により、カバー4を筐体1に取り付ける取付方向Fにシール部材6を圧縮した状態で前記カバー4が筐体1に係合する。
【0051】
前記係合後、ネジ挿通孔43にネジ部材40を挿入し、筐体1の両側面にそれぞれ形成された雌ネジ63,64に該ネジ部材40を螺合させて、図15(c)に示すように、取付方向Fに略直交する側方Sからカバー4を締め付けることにより、筐体1とカバー4との間でシール部材6が圧縮される。
【0052】
ところで、前記実施例では図11の係合手段41,42,61,62をU字状のカバー4の両端近傍に設けたが、前記係合手段は側面部4Sの任意の位置に設けることもできるし、正面部4Fの両端近傍に設けることもできる。
【0053】
また、前記係合手段として、カバー4に凸部を形成し、一方、筐体1に凹部を形成してもよい。また、カバー4の両端部が裏蓋1bに係合するようにすれば、筐体に凹部を形成する必要もない。
【0054】
前記実施例では、図3のカバー4の取付方向Fに直交する側方Sからネジ部材40を挿入して圧縮したが、前記ネジ部材40の挿入および圧縮方向は前記取付方向Fと異なる方向であればよい。また、固定部および固定具を上下に一対設ける必要もない。たとえば、図3のカバー4の両端近傍の斜め部分の符号400で示す部位において、斜め前方の側方からネジ部材40を挿入し、カバー4を筐体1に固定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、光走査型光電スイッチに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例1にかかる光走査型光電スイッチの光学系を示す概略斜視図である。
【図2】図2(a)は同光走査型光電スイッチを示す概略構成図、図2(b)は光走査型光電スイッチの検出領域および保護領域を示す概略平面図である。
【図3】光走査型光電スイッチを示す概略斜視図。
【図4】図4(a)は光走査型光電スイッチを示す概略右側面図、図4(b)は右下からの概略斜視図である。
【図5】光走査型光電スイッチの分解斜視図である。
【図6】カバーおよびシール部材を分解した状態で示す光走査型光電スイッチの概略斜視図である。
【図7】光走査型光電スイッチの概略縦断面図である。
【図8】光走査型光電スイッチの機器本体を示す概略右側面図である。
【図9】光走査型光電スイッチの機器本体の概略縦断面図である。
【図10】図10(a)は下方から見た機器本体上部を示す概略断面図、図10(b)は同機器本体上部のXB−XB線断面図である。
【図11】カバーおよびシール部材を分解した状態で示す下方から見た光走査型光電スイッチの概略斜視図である。
【図12】係合手段および固定部を部分的に示す拡大概略斜視図である。
【図13】係合手段および固定部を部分的に示す拡大概略斜視図である。
【図14】カバーと筐体との係合状態を示す概略断面図である。
【図15】カバーの取付方法を示す概略平面断面図である。
【図16】従来の光走査型光電スイッチおよびパッキンの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1:筐体
1d:開口
2:光走査手段
4:カバー
4F:正面部
4S:側面部
6:シール部材
22:光電変換素子
33:位置認識手段
34:判別手段
40:ネジ部材(固定具)
41:第1被係合部(係合手段)
41h:第1鍔部
42:第2被係合部(係合手段)
42h:第2鍔部
43:ネジ挿通孔(固定部)
61:第1係合部(係合手段)
62:第2係合部(係合手段)
63,64:雌ネジ(固定部)
A1:検出領域
F:取付方向
L1:走査光
M:物体
Z:軸線方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸線を中心に回転し走査光で検出領域を走査する光走査手段と、
前記検出領域内の物体で反射された前記走査光を受光し、それに応じた受光信号を生成する光電変換素子と、
前記受光した走査光の照射方位を算出すると共に、当該照射方位についての前記受光信号に基づいて前記物体までの距離を算出し、前記照射方位および前記距離から前記物体の位置を認識する認識手段と、
予め設定された保護領域内に物体が存在するか否かを判別し、当該判別の結果に基づいて安全信号を出力する判別手段と、
前記光走査手段及び前記光電変換素子を収容し、前記光走査手段から前記検出領域に至るまでの前記走査光の光路を含み、前記軸線に直交する断面が略U字状の開口が形成された筐体と、
前記筐体に対し取り付け取り外し可能に設けられ、前記筐体の前記開口を覆うためのカバーと、
前記筐体と前記カバーとの間に設けられる弾性変形可能なシール部材とを備え、
前記カバーを前記筐体に取り付ける取付方向に前記シール部材を圧縮した状態で前記カバーが前記筐体に係合するために前記カバーおよび前記筐体に形成された係合手段と、
前記カバーが前記筐体に係合した状態で前記取付方向とは異なる方向に前記シール部材を圧縮する固定具を受け入れ可能に形成された固定部とを備えた光走査型光電スイッチ。
【請求項2】
請求項1において、前記カバーは前記断面において略半円状の正面部と前記正面部に連なる一対の側面部とを包含し、前記係合手段が前記側面部に形成されている光走査型光電スイッチ。
【請求項3】
請求項2において、前記固定部が前記側面部に形成されている光走査型光電スイッチ。
【請求項4】
請求項2もしくは3において、前記断面において前記カバーは略U字状に形成され、前記略U字状の両端の近傍に前記固定部が形成されている光走査型光電スイッチ。
【請求項5】
請求項2、3もしくは4において、前記カバーを前記固定具で固定していない状態において、前記カバーの両側面部が前記シール部材に前記異なる方向に圧接することを特徴とする光走査型光電スイッチ。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれか1項において、前記カバーにおける前記軸線方向の第1および第2縁またはその近傍には、それぞれ、前記カバーの曲げ剛性を高める第1および第2鍔部が形成され、前記鍔部またはその近傍の前記側面部が切り欠かれて前記カバーに前記係合手段の一部が形成されている光走査型光電スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−276160(P2009−276160A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126625(P2008−126625)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】