説明

光送信器、光送信部品及び光送信機の制御方法

【課題】光波長多重通信を行う光送信器の消費電力を低減する。
【解決手段】光送信器10は、駆動回路50A〜50Dから電流の供給を受けて、それぞれ異なる発振波長のレーザー光を発光する複数の発光素子22A〜22Dと、複数の発光素子22A〜22Dのそれぞれにより発光されたレーザー光を、送信データに応じてそれぞれ変調する光変調部24A〜24Dと、光変調部24A〜24Dによりそれぞれ変調されたレーザー光を合波した合波光を出力する光合波器30と、駆動回路50A〜50Dから発光素子22A〜22Dのうち少なくとも1つに供給される電流を、所定の周波数で発振させる発振器60と、光合波器30により出力された合波光を受光して得られる信号のうち、所定の周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて、駆動回路50A〜50Dから発光素子22A〜22Dに供給する電流を制御する制御回路40を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信器、光送信部品及び光送信器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速データ通信網の構築に光通信が用いられている。光通信においては、送信される光信号の出力を安定させるために、発光素子からの光出力を制御することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。また、通信を高速化させるために、1波長のレーザー光だけでなく、複数の異なる波長のレーザー光を多重化させて通信を行う光波長多重通信技術が開発されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3828706号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光波長多重通信では、多重化する複数の発光素子毎に出力の制御を行う必要があり、そのための受光素子、制御回路を波長毎に設けると光送信器の消費電力やサイズが大きくなってしまうという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、光波長多重通信を行う際の消費電力を低減することができる光送信器、光送信部品及び光送信機の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る光送信器は、駆動回路から電流の供給を受けて、それぞれ異なる発振波長のレーザー光を発光する複数の発光素子と、前記複数の発光素子のそれぞれにより発光されたレーザー光を、送信データに応じてそれぞれ変調する光変調部と、前記光変調部によりそれぞれ変調されたレーザー光を合波した合波光を出力する光出力部と、前記駆動回路から前記複数の発光素子のうち少なくとも1つに供給される電流を、所定の周波数で発振させる発振部と、前記光出力部により出力された合波光を受光して得られる信号のうち、前記所定の周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて、前記駆動回路から前記発光素子に供給する電流を制御する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の他の一態様に係る光送信器では、前記発振部は、前記複数の発光素子への電流供給路のうちいずれかに接続を切り替える切り替え手段を有し、前記切り替え手段は、前記制御部により制御される駆動回路と接続される電流供給路に接続を切り替えることとする。
【0008】
また、本発明の他の一態様に係る光送信器では、前記発振部は、前記複数の発光素子への各電流供給路に接続され、それぞれ発振周波数が異なる複数の発振器を含み、前記制御部は、前記複数の発光素子毎に、当該発光素子に供給される電流を、前記合波光を受光して得られる信号のうち、当該発光素子に供給される電流に重畳される発振周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて制御することとする。
【0009】
また、本発明の他の一態様に係る光送信器では、前記光出力部により出力される合波光を二方向に分割する分割部と、前記分割部により分割された一方の合波光を受光する受光素子と、をさらに含み、前記制御部は、前記受光素子により受光して得られる信号のうち、前記所定の周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて、前記駆動回路から前記発光素子に供給する電流を制御することとする。
【0010】
また、本発明の一態様に係る光送信部品は、駆動回路から電流の供給を受けて、それぞれ異なる発振波長のレーザー光を発光する複数の発光素子と、前記複数の発光素子のそれぞれにより発光されたレーザー光を、送信データに応じてそれぞれ変調する光変調部と、前記光変調部によりそれぞれ変調されたレーザー光を合波した合波光を出力する光出力部と、を含み、前記駆動回路から前記複数の発光素子のうち少なくとも1つに供給される電流が、所定の周波数で発振され、前記光出力部により出力された合波光を受光して得られる信号のうち、前記所定の周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて、前記駆動回路から前記発光素子に供給する電流が制御されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る光送信器の制御方法は、駆動回路から電流の供給を受けて、それぞれ異なる発振波長のレーザー光を発光する複数の発光素子のうち少なくとも1つに供給される電流を、所定の周波数で発振させるステップと、前記複数の発光素子のそれぞれにより発光されたレーザー光を、送信データに応じてそれぞれ変調する光変調ステップと、前記光変調ステップでそれぞれ変調されたレーザー光を合波した合波光を出力する光出力ステップと、前記光出力ステップで出力された合波光を受光して得られる信号のうち、前記所定の周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて、前記駆動回路から前記発光素子に供給する電流を制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、光波長多重通信を行う光送信器において発光素子の出力制御を選択的に行うことで消費電力を低減することができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、光波長多重通信を行う光送信器において少なくとも1つの発振部と制御部との組により全発光素子の出力制御を行うことができる。
【0014】
本発明の一態様によれば、光波長多重通信を行う光送信器において全発光素子の出力制御を同時に行うことができる。
【0015】
本発明の一態様によれば、光波長多重通信を行う光送信器において受光素子の数を1つにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る光送信器の構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る光送信器における発光素子の出力制御処理のフローチャートである。
【図3】第2の実施形態に係る光送信器の構成図である。
【図4】光波長多重通信方式における光送信器の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態(以下、実施形態)を説明する前に、まず光波長多重通信において一般に用いられる構成について説明する。
【0018】
図4には、光波長多重通信方式における光送信器510の一構成例を示した。図4に示された光送信器510は、4波長多重の光送信器510であり、光送信器510にはそれぞれ異なる波長のレーザー光を変調出力する4つの光アセンブリ520A,520B,520C,520Dが搭載されている。以下、光アセンブリ520A,520B,520C,520Dに共通する内容については符号A,B,C,Dを除いた形式で記述する。なお、他の符号についても同様の規則を適用することとする。
【0019】
光アセンブリ520は、駆動回路550(550A〜550D)から供給される駆動電流(レーザー電流)に従ってレーザー光を発光する発光素子522(522A〜522D)と、発光素子522から発光されたレーザー光を送信データに応じて変調する変調器524(524A〜524D)と、発光素子522から発光されたレーザー光を受光する受光素子526(526A〜526D)とを備える光送信部品である。変調器524には、電解吸収型光変調器(EA)を用いることとしてよく、例えば25Gbit/sで発光素子522からの前方出射光を変調するものとしてよい。また、受光素子526は発光素子522からの後方出射光を受光することとしてよい。
【0020】
発光素子522はそれぞれ異なる波長を発振するレーザーダイオード(LD)であり、例えば、発光素子522の発振波長は1.3μm帯において800GHz間隔で4波長を選択することとしてよい。
【0021】
4つの光アセンブリ520から出力されたレーザー光は、光合波器530に入力されて合波された後に、当該合波された合波光が光送信器510と接続された光ファイバー5を介して外部装置に出力される。
【0022】
駆動回路550は発光素子522毎に設けられるドライバ(LDD)であり、駆動回路550からそれぞれ対応する発光素子522に供給される駆動電流の大きさは制御回路540により制御される。
【0023】
制御回路540は、各光アセンブリ520の受光素子526により受光された光出力の信号に基づいて、各光アセンブリ520からの光出力が所定の強度となるように、各駆動回路550から対応する発光素子522に供給する駆動電流の大きさを変化させる。
【0024】
図4に示された光送信器510では、多重化する波長の数に応じて光アセンブリ520、制御回路540、駆動回路550の組が増えていくこととなるため、光送信器510の小型化が困難であり、消費電力も増えてしまう。
【0025】
次に、図4に示した光波長多重通信方式の光送信器510が抱える課題を解決した、本発明の第1の実施形態に係る光送信器について説明する。
【0026】
図1には、第1の実施形態に係る光送信器10の構成図を示した。図1に示されるように、光送信器10は、光アセンブリ20、バンドパスフィルタ34、制御回路40、駆動回路50(50A〜50D)、及び発振器60を備える。
【0027】
光アセンブリ20は、それぞれ異なる波長のレーザー光を発光する発光素子22(22A〜22D)と、各発光素子22により発光されるレーザー光を送信データに応じてそれぞれ変調する光変調器24(24A〜24D)と、変調された各レーザー光を合波する光合波器30と、光合波器30により合波された合波光を2方向に分割するビームスプリッター32(ハーフミラー)と、ビームスプリッター32により分割された一方の合波光を受光する受光素子26(フォトダイオード)を備える光送信部品である。
【0028】
発光素子22はそれぞれ異なる波長を発振するレーザーダイオード(LD)であり、例えば、発光素子22の発振波長は1.3μm帯において800GHz間隔で多重波長数(例えば4つ)の波長を選択することとしてよい。各発光素子22にはそれぞれ対応する駆動回路50から駆動電流が供給される。
【0029】
駆動回路50は、制御回路40による設定に応じて、それぞれ対応する発光素子22に駆動電流を供給する回路(LDドライバ)である。駆動回路50から発光素子22に駆動電流を供給する電流供給路には、それぞれ発振器60により生成された波長信号と駆動電流とを混合して発振させる混合器70(70A〜70D)が設けられている。
【0030】
発振器60は、光変調器24による変調波長とは異なる所定波長の信号を出力する回路である。例えば、発振器60の発振波長は、光変調器24の変調波長に対して長いこととしてよい。また、発振器60は混合器70との接続を切り替えるスイッチ62を有しており、制御回路40からの制御信号に基づいて選択された混合器70に接続される。
【0031】
発光素子22は、駆動回路50から供給された駆動電流に従ってレーザー光を発光する。この際に、発振器60が接続された電流供給路から供給される駆動電流は、発振器60に固有の発振波長で発振した状態となっている。そして、光変調器24にはそれぞれ図示しない駆動部から送信データに応じて電圧が印加され、発光素子22から前方に出射されるレーザー光を吸収し変調する。
【0032】
光変調器24でそれぞれ変調されたレーザー光は光合波器30で合波された後、ビームスプリッター32により光ファイバー側と、受光素子26側の二方向に分割される。ここで、受光素子26で受光された光出力の信号はバンドパスフィルタ34に入力される。なお、光アセンブリ20から出力される光信号には、光変調器24による変調周期と発振器60による発振周期とが重畳されているが、変調周期と発振周期とはスペクトル中心が異なっているため、駆動電流を発振させなかった場合に比べても光出力の信号特性が劣らない。
【0033】
バンドパスフィルタ34は、発振器60の発振波長に応じた帯域の信号を選択的に透過させるフィルタである。例えばバンドパスフィルタ34を、発振器60の発振波長をピークとして信号を透過させるように構成することとしてよい。本実施形態では、バンドパスフィルタ34により、4波長が多重化された光信号を受光して得た電気信号のうち、発振器60により発振された駆動電流に基づいて出力された光信号に対応する電気信号が選択的に透過される。バンドパスフィルタ34を透過した信号は制御回路40に入力される。
【0034】
制御回路40は、バンドパスフィルタ34から入力される信号に基づいて、発光素子22の出力制御を行う回路である。本実施形態では、制御回路40は出力制御対象の発光素子22を選択し、当該選択した発光素子22に駆動電流を供給する駆動回路50と接続するようにスイッチ42を切り替えると共に、発振器60に上記選択した駆動回路50に対応する混合器70にスイッチ62を切り替えるように制御信号を出力する。そして、制御回路40は、上記各スイッチ42,スイッチ62の切り替え後にバンドパスフィルタ34から入力される信号を目標値と比較し、その差分を埋め合わせるように駆動回路50から発光素子22に供給される駆動電流の大きさを制御するものである。
【0035】
例えば発光素子22のレーザー効率劣化もしくは光アセンブリ20内の部品搭載状態の変化などにより光学的な結合効率が変化して光合波器30からの出力が変動する場合には、バンドパスフィルタ34を介して制御回路40に入力される信号の出力振幅は発光素子22のレーザー効率劣化や光アセンブリ20内の光学的な結合効率と線形な関係があると考えられる。例えばレーザー効率が劣化する場合には、バンドパスフィルタ34を介して制御回路40に入力される信号の出力振幅は減少する。この場合、制御回路40は入力信号の振幅減少分に相応する分だけ発光素子22の光出力を大きくするように駆動回路50を制御すればよい。同様に光アセンブリ20内の部品搭載状態の変化などにより光学的な結合効率が変化して光合波器30からの出力が減少する場合には、制御回路40は入力信号の振幅変動分に相応する分だけ発光素子22の光出力を大きくするように駆動回路50を制御すればよい。逆に制御回路40は入力信号の振幅が増大する場合には発光素子22の光出力を小さくするように駆動回路50を制御すればよい。もちろんバンドパスフィルタ34から入力される受光素子26の出力には発振器60による発振周期の他にも光変調器24による変調周期が重畳されているが、光変調器24による変調周期のスペクトル中心と発振器60による発信周期のスペクトルの中心とは異なることから、バンドパスフィルタ34を透過した信号においては光変調器24による変調周期の影響は無視できる。
【0036】
制御回路40は、出力制御の対象とする発光素子22を所定の条件に応じて順次切り替えることとしてよい。例えば、制御回路40は所定の時間間隔毎に出力制御の対象とする発光素子22を切り替えることとしてもよいし、出力制御の対象としている発光素子22の出力と目標値との差分が所定の範囲内に収まっている場合に出力制御の対象とする発光素子22を切り替えることとしてもよい。
【0037】
図2には、第1の実施形態に係る光送信器10における発光素子22の出力制御処理のフローチャートを示した。
【0038】
図2に示されるように、制御回路40は出力を制御する対象の発光素子22を選択し(S101)、当該選択した発光素子22に駆動電流を供給する駆動回路50と制御回路40を接続すると共に、当該選択した発光素子22に供給される駆動電流を発振するように発振器60と混合器70を接続するように、スイッチ42,62を切り替える(S102)。
【0039】
各駆動回路50は発光素子22に駆動電流を出力し(S103)、発振器60は選択された駆動回路50から出力される駆動電流を発振させる(S104)。発光素子22はそれぞれ入力された駆動電流に応じて波長の異なるレーザー光を発光し(S105)、光変調器24は送信データに応じてレーザー光を吸収し変調する(S106)。光合波器30では、光変調器24により変調された波長の異なる各レーザー光を合波して出力する(S107)。
【0040】
受光素子26は、光合波器30から出力された合波光を受光し(S108)、その光出力に基づく信号をバンドパスフィルタ34に透過させる(S109)。制御回路40は、バンドパスフィルタ34を透過して抽出された制御対象の発光素子22からの光出力に対応した信号に基づいて、制御対象の発光素子22に供給する駆動電流量を制御する(S110)。制御回路40は、例えば制御対象の発光素子22を変更するタイミングが到来したか否か等の条件に基づいて、制御対象を変更するか否かを判断し(S111)、制御対象を変更すると判定する場合には(S111:Y)、処理S101に戻って新たな制御対象の発光素子22を選択してそれ以降の処理を繰り返し、制御対象を変更しないと判定する場合には(S111:N)、処理S103に戻ってそれ以降の処理を繰り返すこととしてよい。
【0041】
以上説明した、第1の実施形態に係る光送信器10によれば、図4に示した光送信器510に比べて、制御回路40及び受光素子26の数を低減できるため、光送信器10の小型化の点で有利となり、さらに消費電力を低減させる点でも有利となる。
【0042】
次に、本発明を実施するための第2の実施形態を図面に従って説明する。
【0043】
図3には、第2の実施形態に係る光送信器10の構成図を示した。図3に示されるように、光送信器10は、光アセンブリ20、バンドパスフィルタ34(34A〜34D)、制御回路40(40A〜40D)、駆動回路50(50A〜50D)、及び発振器60(60A〜60D)を備える。第1の実施形態に係る光送信器10からの相違点は、第2の実施形態に係る光送信器10は、発振器60、制御回路40(40A〜40D)及びバンドパスフィルタ34(34A〜34D)が発光素子22(22A〜22D)毎に設けられていることにある。なお、光アセンブリ20は第1の実施形態に係る光送信器10におけるものと同じであるため説明を省略する。
【0044】
駆動回路50は、制御回路40による設定に応じて、それぞれ対応する発光素子22に駆動電流を供給する回路である。駆動回路50から発光素子22に駆動電流を供給する電流供給路には、それぞれ発振器60により生成された波長信号と駆動電流とを混合して発振させる混合器70(70A〜70D)が設けられている。
【0045】
発振器60(60A〜60D)は、光変調器24(24A〜24D)による変調波長とは異なる所定波長の信号を出力する回路であり、各発振器60の発振波長はそれぞれ異なるように構成されている。例えば、発振器60の発振波長は、光変調器24の変調波長に対して長くなるようにしてよい。
【0046】
発光素子22は、駆動回路50から供給された駆動電流に基づいてレーザー光を発光する。この際に、各駆動回路50から供給される駆動電流は、対応する発振器60に固有の発振波長により発振した状態となっている。そして、光変調器24にはそれぞれ図示しない駆動部から送信データに応じて電圧が印加され、発光素子22から前方に出射されるレーザー光を吸収し変調する。
【0047】
光変調器24でそれぞれ変調されたレーザー光は光合波器30で合波された後、ビームスプリッター32により光ファイバー5側と、受光素子26側の二方向に分割される。ここで、受光素子26で受光された光出力に基づく信号はバンドパスフィルタ34に入力される。なお、光送信器10からの光出力には、光変調器24による変調周期と発振器60による発振周期とが重畳された状態となるが、変調周期と発振周期とはスペクトル中心が異なっているため、駆動電流を発振させなかった場合に比べても光出力の信号特性が劣らない。
【0048】
バンドパスフィルタ34は、各発振器60の発振波長に応じた帯域の信号を選択的に透過させるフィルタである。各バンドパスフィルタ34はそれぞれ、いずれかの発振器60の発振波長に対応していることとする。例えば、バンドパスフィルタ34は、発振器60の発振波長をピークとして信号を透過させるように構成することとしてよい。本実施形態では、各バンドパスフィルタ34により、多重化された波長毎の光信号を受光して得た信号がそれぞれ選択的に透過され、対応する制御回路40に入力する。
【0049】
制御回路40は、バンドパスフィルタ34から入力される信号に基づいて、それぞれ発光素子22の出力制御を行う回路である。例えば制御回路40は、制御回路40に入力されるバンドパスフィルタ34の出力振幅が減少した場合には、入力信号の振幅減少分に相応する分だけ発光素子22の光出力を大きくするように駆動回路50を制御し、入力信号の振幅が増大する場合には発光素子22の光出力を小さくするように駆動回路50を制御することとしてよい。
【0050】
以上説明した、第2の実施形態に係る光送信器10によれば、図4に示した光送信器510に比べて、受光素子26の数を低減させることができるため、光送信器10の小型化の点で有利となり、さらに消費電力を低減させる点でも有利となる。
【0051】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、第1の実施形態において、発振器60と制御回路40を1つずつ設けることとしたが、発振器60と制御回路40をそれぞれ複数(光波長多重数に満たない数)設け、発振器60と制御回路40の各スイッチ42,62をそれぞれ同期させて切り替えるようにしても構わない。上記以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、この分野の通常の知識を有する当業者によって多様な変更、変形又は置換が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0052】
5 光ファイバー、10 光送信器、20 光アセンブリ、22(22A〜22D) 発光素子、24(24A〜24D) 光変調器、26(26A〜26D) 受光素子、30 光合波器、32 ビームスプリッター、34(34〜34D) バンドパスフィルタ、40(40A〜40D) 制御回路、42 スイッチ、50(50A〜50D) 駆動回路、60(60A〜60D) 発振器、62 スイッチ、70(70A〜70D) 混合器、510 光送信器、520(520A〜520D) 光アセンブリ、522(522A〜522D) 発光素子、524(524A〜524D) 光変調器、526(526A〜526D) 受光素子、530 光合波器、540(540A〜540D) 制御回路、550(550A〜550D) 駆動回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路から電流の供給を受けて、それぞれ異なる発振波長のレーザー光を発光する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれにより発光されたレーザー光を、送信データに応じてそれぞれ変調する光変調部と、
前記光変調部によりそれぞれ変調されたレーザー光を合波した合波光を出力する光出力部と、
前記駆動回路から前記複数の発光素子のうち少なくとも1つに供給される電流を、所定の周波数で発振させる発振部と、
前記光出力部により出力された合波光を受光して得られる信号のうち、前記所定の周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて、前記駆動回路から前記発光素子に供給する電流を制御する制御部と、を含む
ことを特徴とする光送信器。
【請求項2】
前記発振部は、前記複数の発光素子への電流供給路のうちいずれかに接続を切り替える切り替え手段を有し、
前記切り替え手段は、前記制御部により制御される駆動回路と接続される電流供給路に接続を切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
前記発振部は、前記複数の発光素子への各電流供給路に接続され、それぞれ発振周波数が異なる複数の発振器を含み、
前記制御部は、前記複数の発光素子毎に、当該発光素子に供給される電流を、前記合波光を受光して得られる信号のうち、当該発光素子に供給される電流に重畳される発振周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項4】
前記光出力部により出力される合波光を二方向に分割する分割部と、
前記分割部により分割された一方の合波光を受光する受光素子と、をさらに含み、
前記制御部は、前記受光素子により受光して得られる信号のうち、前記所定の周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて、前記駆動回路から前記発光素子に供給する電流を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光送信器。
【請求項5】
駆動回路から電流の供給を受けて、それぞれ異なる発振波長のレーザー光を発光する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれにより発光されたレーザー光を、送信データに応じてそれぞれ変調する光変調部と、
前記光変調部によりそれぞれ変調されたレーザー光を合波した合波光を出力する光出力部と、を含み、
前記駆動回路から前記複数の発光素子のうち少なくとも1つに供給される電流が、所定の周波数で発振され、
前記光出力部により出力された合波光を受光して得られる信号のうち、前記所定の周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて、前記駆動回路から前記発光素子に供給する電流が制御される
ことを特徴とする光送信部品。
【請求項6】
駆動回路から電流の供給を受けて、それぞれ異なる発振波長のレーザー光を発光する複数の発光素子のうち少なくとも1つに供給される電流を、所定の周波数で発振させるステップと、
前記複数の発光素子のそれぞれにより発光されたレーザー光を、送信データに応じてそれぞれ変調する光変調ステップと、
前記光変調ステップでそれぞれ変調されたレーザー光を合波した合波光を出力する光出力ステップと、
前記光出力ステップで出力された合波光を受光して得られる信号のうち、前記所定の周波数に応じた周波数帯域を透過させて得た信号に基づいて、前記駆動回路から前記発光素子に供給する電流を制御する制御ステップと、を含む
ことを特徴とする光送信器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−217165(P2011−217165A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84134(P2010−84134)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】