説明

光透過性導電材料

【課題】静電容量方式を用いたタッチパネルの透明電極として好適な視認性の低い光透過性導電材料を提供する。
【解決手段】基材2上に導電部11と非導電部12を隣接して有する光透過性導電材料1であって、該導電部11と非導電部12が網目状金属パターンからなり、該非導電部12の網目状金属パターンは、該パターンの一部が断線した網目状金属パターンであって、かつ導電部11と非導電部12の開口率の差が1%以内であることを特徴とする光透過性導電材料1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル、有機EL材料、太陽電池などに用いられる光透過性導電材料に関し、特に投影型静電容量方式タッチパネルに好適に用いられる光透過性導電材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ノートPC、OA機器、医療機器、あるいはカーナビゲーションシステム等の電子機器においては、これらのディスプレイに入力手段としてタッチパネルが広く用いられている。
【0003】
タッチパネルには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などがある。抵抗膜方式のタッチパネルは、光透過性導電材料と透明導電体層付ガラスとがスペーサーを介して対向配置されており、光透過性導電材料に電流を流し光透過性導電層付ガラスに於ける電圧を計測するような構造となっている。一方、静電容量方式のタッチパネルは、基材上に透明導電体層を有するものを基本的構成とし、可動部分がないことが特徴であり、高耐久性、高透過率を有するため、例えば車載用途等において適用されている。
【0004】
タッチパネル用途の透明電極(光透過性導電材料)としては、一般にITOからなる光透過性導電膜が基材上に形成されたものが使用されてきた。しかしながらITO導電膜は屈折率が大きく、光の表面反射が大きいため、全光線透過率が低下する問題や、可撓性が低いため屈曲した際にITO導電膜に亀裂が生じて電気抵抗値が高くなる問題があった。
【0005】
ITOに代わる透明導電材料として、基板上に薄い触媒層を形成し、その上にレジストパターンを形成した後、めっき法によりレジスト開口部に金属層を積層し、最後にレジスト層およびレジスト層で保護された下地金属を除去することにより、導電性パターンを形成するセミアディティブ方法が、例えば特開2007−287994号公報、特開2007−287953号公報などに開示されている。
【0006】
また近年、銀塩拡散転写法を用いた銀塩写真感光材料を導電性材料前駆体として用いる方法も提案されている。例えば特開2003−77350号公報、特開2005−250169号公報や特開2007−188655号公報等では、基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を少なくともこの順に有する導電性材料前駆体に、可溶性銀塩形成剤および還元剤をアルカリ液中で作用させて、金属銀パターンを形成させる技術が開示されている。この方式によるパターニングは均一な線幅を再現することができることに加え、銀は金属の中で最も導電性が高いため、他方式に比べ、より細い線幅で高い導電性を得ることができる。さらにこの方法で得られた銀パターン膜はITO導電膜よりも可撓性が高く折り曲げに強いという利点がある。
【0007】
投影型静電容量方式を用いたタッチパネルは、複数の電極が同一平面上にパターニングされた光透過性導電材料を2枚貼り合わせることでタッチセンサーを製造している。タッチパネルは通常作業者が画面を凝視し操作するため、導電部と非導電部との差が目に映ってしまう(視認性が高い)という問題があった。特に、光透過性導電材料として網目状金属パターンを用いる場合、金属パターン自体が目に映るという問題もあり、さらに網目状金属パターンからなる光透過性導電材料を用いて上記投影型静電容量方式のタッチパネルを作製した場合、導電部と非導電部が目に映ってしまう(視認性が高い)という問題がとりわけ顕著に現れる。
【0008】
この問題に対し、特開2006−344163号公報(特許文献1)ではスリットにより網目状金属細線パターンを区切ることで導電部を設けるが、その際にスリット幅を20μm以上かつ網目の最大寸法以下にし、なおかつスリットが網目の交点を通らないようすることで、視認性を下げようとしている。しかしながら、スリット幅が20μmであっても輪郭は視認され、またスリットが交点を通らないようにしても、視認性を十分に下げることはできなかった。また特開2011−59771号公報(特許文献2)では直線的な輪郭(スリット)の視認性を下げるため、輪郭を直線的に作らないよう工夫することが提案されているが、視認性についてはやはり不十分であった。さらに特開2011−59772号公報(特許文献3)では同じ網目状金属パターンを2つ準備し、一方の網目状パターンから所望の形状を切り取り、同じ形状を他方の網目状パターンから切り取り、ただし、2つの切り取った網目状パターンは、両者をちょうど重ねた時に、パターン模様が重ならないようするなどの手順によって確定される網目状パターンが提案されている。しかしながら、この方法は非常に複雑な手順をとるために、パターンの設計に手間がかかる上に、輪郭部分で網目状構造が変わる点で違和感が残ることもあり、視認性の問題の解決とはならなかった。
【0009】
一方、特開2010−198799号公報(特許文献4)においては、網目状金属メッシュの一部を断線し、抵抗膜式タッチパネルに好適な光透過性導電材料に用いる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−344163号公報
【特許文献2】特開2011−59771号公報
【特許文献3】特開2011−59772号公報
【特許文献4】特開2010−198799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、静電容量方式を用いたタッチパネルの透明電極として好適な、視認性の低い光透過性導電材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記課題は、以下の発明によって達成される。
(1)基材上に導電部と非導電部を隣接して有する光透過性導電材料であって、該導電部と非導電部が網目状金属パターンからなり、該非導電部の網目状金属パターンは、該パターンの一部が断線した網目状金属パターンであって、かつ導電部と非導電部の開口率の差が1%以内であることを特徴とする光透過性導電材料。
(2)上記導電部の網目状金属パターンの線間隔が非導電部の網目状金属パターンの線間隔の80〜120%であることを特徴とする(1)記載の光透過性導電材料。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、静電容量方式を用いたタッチパネルの透明電極として好適な、視認性の低い光透過性導電材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の光透過性導電材料の一例
【図2】単位図形が正方形である網目状パターンの一例
【図3】単位図形が正方形である網目状パターンの一例
【図4】単位図形が六角形でかつ単位図形が10×10並んだ網目状パターンの一例
【図5】実施例で使用した透過原稿
【図6】実施例で使用した透過原稿
【図7】実施例11で使用した導電部の断線網目パターン
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光透過性導電材料は基材上に網目状金属パターンを有している。網目状金属パターンとしては公知の形状を用いることができ、例えば正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた模様でありこれらの単位の単独の繰り返しあるいは2種類以上の組み合わせパターンなどを用いることができる。また、辺が直線でなくとも例えばジグザグ線、波線などで構成されていても良い。さらに特開2002−223095号公報で開示されているような、ストライプ状、煉瓦積み模様状のパターンも用いることができる。本発明ではこれらいずれの形状も用いることができるが、好ましくは正方形、正三角形、正六角形である。
【0016】
本発明の光透過性導電材料の説明をするにあたり、図を用いて説明する。図1は本発明の光透過性導電材料の一例である。本発明の光透過性導電材料1は基材2の上に少なくとも前述の網目状金属パターンからなる導電部11と、同じく網目状金属パターンからなる非導電部12を隣接して有する。さらに導電部以外にもパターンのない非画像部13やベタ部からなる配線部14、15なども有することもできる。非導電部12は該網目状パターンに断線部が入ることで静電容量タッチパネルの電極全体として電気が流れなくなる。該網目状パターンは前述の通り、幾何模様の繰り返しから構成され(以下この幾何模様を単位図形と称す)、断線部は単位図形の角部(交点部)および、辺部いずれに入れても良いが、導電性材料を製造する際の開口率に対する影響が少ない角部(交点部)に断線部を設けることが好ましい。また断線部の長さはパターンの線幅の半分〜10倍の長さであることが好ましい。
【0017】
本発明の光透過性導電材料の導電部11と非導電部12の開口率の差は1%以内、好ましくは0.78%以内である。より好ましくは0.5%以内である。本発明において開口率とは一つの連続した導電部、もしくは非導電部の面積に対する金属パターンのない部分の面積の割合をいう。例えば図1においては、7つの導電部11と一つの非導電部12から形成されており、開口率はそれぞれについて求めることとなる。このように導電部と非導電部が複数ある場合、導電部間の開口率の差が1%以内である導電部の面積の和が、全ての導電部の面積の和の80%以上を占め、また非導電部間の開口率の差が1%以内である非導電部の面積の和が、全ての非導電部の面積の和の80%以上を占めることが好ましく、全ての導電部の開口率が等しく、かつ全ての非導電部の開口率が等しいことがより好ましい。また、このように複数の導電部と非導電部がある場合であっても、本発明における導電部と非導電部の開口率は、隣接する導電部と非導電部どうしで比較するものとする。また、開口率の算出においては、網目状金属パターン中に恣意的に設けたロゴ部分などは除くものとする。
【0018】
本発明においては非導電部12を電極全体として電気の流れない非導電部分とするため、網目状金属パターンには断線部を設ける。導電部11と非導電部12で同じ形状単位図形を用い、非導電部12の網目状金属パターンに断線部を設けると、開口率は非導電部12の方が高くなる。導電部11と非導電部12との開口率の差を1%以内にするには、非導電部12の断線部分の割合を減らして、断線部による開口部の面積率の上昇を抑える方法や、あるいは導電部11と非導電部12の単位図形を変え、導電部11の方が開口率の高い単位図形を持つ網目状金属パターンを用い、非導電部の断線による開口率の上昇を補償する方法などを用いることで達成される。
【0019】
本発明の光透過性導電材料には断線部の入った非導電部12を有する。本発明では断線部の作製方法にも好ましい態様があり、このための単位図形に入れる断線部の程度の計算方法を説明する。図2は単位図形が正方形の網目状パターンの一例である。断線部の程度は単位図形1ヶあたり、断線部の長さに関係なく、断線部が入る個数を割合として出し、これを断線部の程度とする。第二に断線部が複数の単位図形にわたって入る場合、断線部の個数はその断線部を共有する単位図形の個数で割って計算する。図2aは断線部のない、網目状パターンである。図2bの場合、断線部22は単位図形(正方形)に2ヶ存在するが、この断線部はどちらも二つの単位図形に共有されているので1つあたり1/2個となり、断線部の程度としては(1/2)×2=100%となる。図2cの場合、断線部22は四つの単位図形に共有されているので1つあたり1/4個となり、単位図形の角4カ所に存在するので(1/4)×4=100%となる。第三に断線部が全ての単位図形に均等に入らない場合、断線部を含めた単位図形が繰り返される最小単位での平均した断線の程度をその非導電部の断線の程度とする。例えば図2dのように5×5の単位図形となる正方形から網目状パターンは形成されてはいるが、断線部22は単位図形全て同じではなく、図2dの太線で囲った正方形部分23の繰り返しとなっている。この場合は単位図形4個あたり1/4個の断線部が4ヶと1個の断線部が1ヶあるので、(1/4×4+1×1)÷4=50%となる。図3は同じく単位図形が正方形の網目状パターンの一例であり、断線パターンも含めると8×8の繰り返し構造31を取っている(図に太線で示した部分31)。この場合の断線の程度は(1/4×4+1/2×12+1×15)÷64=34.375%となる。
【0020】
本発明において非導電部とは隣接する単位図形10×10からなる網目状パターンにおいて、外縁部の任意の一点とその一点に相対する外縁部に位置するもう一点とを選んだ時、その点間に導通が取れない状態の網目状パターンのことをいう。例えば前述した図3においては二重線で囲った10×10の繰り返し構造32において、例えば任意の点Aを選び、それに相対する任意の点Bを選ぶと、A−B間には必ず断線部があるので、この図形は非導電部となる。図4は単位図形が六角形でかつ単位図形が10×10並んだ網目状パターンの一例である。図4においては外縁部の任意の点としてCと相対するDを選ぶとここでは導通は取れないが、EとFを選ぶと導通が取れるので、これは非導電部にはならない。
【0021】
本発明において非導電部の断線の程度は20%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50〜200%、より好ましくは80〜120%である。また、非導電部のシート抵抗はJIS K7134の四端子法(端子間隔5mm)で測定した際の値で10KΩ/□以上であり、より好ましくは1MΩ/□以上であり、さらに好ましくは1GΩ/□以上であって、所謂絶縁体といわれる領域にあるものが好ましい。
【0022】
本発明において線間隔は単位図形が正方形の場合、その正方形の1辺の長さとする。また単位図形が正方形でない場合は、その単位図形と同じ面積になる正方形を算出し、その1辺の長さをその単位図形での線間隔とする。本発明において非導電部の網目状パターンの線間隔は300μm以下が好ましい。また非導電部の網目状パターンの線幅は20μm以下が好ましく、より好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは1〜10μmである。また開口率は80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
【0023】
本発明において導電部は前述の通り、網目状金属パターンからなる。導電部においても断線部は入っていても良いが、断線部は少なくとも10%以下とするのが好ましく、全くないのがさらに好ましい。
【0024】
本発明において導電部11の網目状パターンの線間隔は300μm以下が好ましい。また導電部11の網目状パターンの線幅は20μm以下が好ましく、より好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは1〜10μmである。また、本発明において導電部と非導電部は同じ形状の単位図形から構成されていることが好ましい。また導電部の線間隔は非導電部の線間隔の80〜120%であることが好ましく、さらに好ましくは90〜110%である。導電部のシート抵抗はJIS K7134の四端子法(端子間隔5mm)で測定した際の値で500Ω/□以下であり、より好ましくは200Ω/□以下であり、さらに100Ω/□以下が好ましい。
【0025】
本発明において網目状パターンは金属、特に金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、およびこれらの複合材からなることが好ましい。これら網目状金属パターンを形成する方法としては、銀塩感光材料を用いる方法、同方法を用いさらに得られた銀画像に無電解めっきや電解めっきを施す方法、スクリーン印刷法を用いて銀ペーストなどの導電性インキを印刷する方法、銀インクなどの導電性インクをインクジェット法で印刷する方法、無電解めっき等で銅などの金属からなる導電性層を形成する方法、あるいは蒸着やスパッタなどで導電性層を形成し、その上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法、銅箔などの金属箔を貼り、さらにその上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法など、公知の方法を用いることができる。中でも製造される金属パターンの厚みが薄くでき、さらに極微細な金属パターンも容易に形成できる銀塩拡散転写法を用いることが好ましい。これらの手法で作製した網目状金属パターンの厚みは厚すぎると後工程が困難になる場合があり、また薄すぎるとタッチパネルとして必要な導電性を確保し難くなる。よって、その厚みは0.05〜5μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
【0026】
投影型静電容量タッチパネルのように複数枚の光透過性導電材料を用いる場合、1枚の光透過性導電材料の中で、導電部と非導電部の開口率の差が1%以内であれば本発明の目的は達成できる。複数の光透過性導電材料の全ての導電部と非導電部の開口率の差が1%以内に収まっていることが好ましいが、別の光透過性導電材料に設けられた導電部と非導電部の開口率の差が1%以上あっても良い。
【0027】
本発明の光透過性導電材料に用いる基材としては、プラスチック、ガラス、ゴム、セラミックス等が好ましく用いられる。これら基材は全光線透過率が60%以上であるものが好ましい。プラスチックの中でも、フレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で好適に用いられる。基材として使用される樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ50〜300μmの樹脂フィルムが挙げられる。基材には易接着層など公知の層が設けられていても良い。
【0028】
本発明の光透過性導電材料は基材とその上に位置する網目状パターン以外にも、ハードコート層、反射防止層、粘着層、防眩層など公知の層を網目状パターンの上(基材から遠い側)、あるいは基材の網目状パターンとは反対の側に設けることができる。また、基材と網目状パターンとの間に、物理現像核層、易接着層、接着剤層など公知の層を設けることができる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
<実施例1>
基材として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。なおこの基材の全光線透過率は91%であった。
【0031】
次に下記処方に従い、物理現像核層塗液を作製し、基材上に塗布、乾燥して物理現像核層を設けた。
【0032】
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
【0033】
<物理現像核層塗液の調製>各1mあたり
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%グリオキザール水溶液 0.2ml
界面活性剤(S−1) 4mg
デナコールEX−830 50mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)
10質量%SP−200水溶液 0.5mg
((株)日本触媒製ポリエチレンイミン;平均分子量10,000)
【0034】
続いて、基材に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、および保護層を上記物理現像核液層の上に塗布、乾燥して、銀塩感光材料1を得た。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
【0035】
<中間層組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
染料1
【0036】
【化1】

【0037】
【化2】

【0038】
<ハロゲン化銀乳剤層1組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
ハロゲン化銀乳剤 3.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
【0039】
<保護層1組成/1mあたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
【0040】
このようにして得た銀塩感光材料1と、図5と図6のパターンを同一平面上に有する透過原稿を密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介して露光した。なお、図5、図6のパターンは導電部11、非導電部12ともに線幅7μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、導電部11の断線の程度は0%、非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは10μmとした(交点部から全ての辺に対し5μmの長さの断線部を有する)。
【0041】
その後、下記拡散転写現像液中に20℃で60秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、および保護層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。こうして図5と図6の形状を持つ銀パターンを有する光透過性導電材料1を得た。なお、得られた光透過性導電材料の線幅、線間隔は透過原稿と全く同じ形状、線幅の画像になっていた。金属パターンの膜厚は共焦点顕微鏡で調べ、0.1μmであった。
【0042】
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000ml
pH=12.2に調整する。
【0043】
<実施例2>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11、非導電部12ともに線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、導電部の断線の程度は0%、非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは14μm(交点部から全ての辺に対し7μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料2を得た。
【0044】
<実施例3>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11、非導電部12ともに線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、導電部の断線の程度は0%、非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは20μm(交点部から全ての辺に対し10μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料3を得た。
【0045】
<実施例4>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11、非導電部12ともに線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、導電部の断線の程度は0%、非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは27.5μm(交点部から全ての辺に対し13.75μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料4を得た。
【0046】
<実施例5>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11、非導電部12ともに線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、導電部の断線の程度は0%、非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは40μm(交点部から全ての辺に対し20μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料5を得た。
【0047】
<実施例6>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11、非導電部12ともに線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、導電部の断線の程度は0%、非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは50μm(交点部から全ての辺に対し25μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料6を得た。
【0048】
<比較例1>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11、非導電部12ともに線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、導電部の断線の程度は0%、非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは60μm(交点部から全ての辺に対し30μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして比較光透過性導電材料1を得た。
【0049】
<実施例7>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11は線幅10μm、線間隔230μmの単位図形が正方形、断線の程度は0%の格子メッシュからなり、非導電部12は線幅14μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、かつ非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは23μm(交点部から全ての辺に対し11.5μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料7を得た。
【0050】
<実施例8>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11は線幅10μm、線間隔240μmの単位図形が正方形、断線の程度は0%の格子メッシュからなり、非導電部は線幅13μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、かつ非導電部12は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは21μm(交点部から全ての辺に対し10.5μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料8を得た。
【0051】
<実施例9>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11は線幅10μm、線間隔270μmの単位図形が正方形、断線の程度は0%の格子メッシュからなり、非導電部12は線幅12μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、かつ非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは24μm(交点部から全ての辺に対し12μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料9を得た。
【0052】
<実施例10>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11は線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形、断線の程度は0%の格子メッシュからなり、非導電部は線幅10μm、線間隔273μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、かつ非導電部12は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは25μm(交点部から全ての辺に対し12.5μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料10を得た。
【0053】
<実施例11>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11は線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形、断線の程度は0%の格子メッシュからなり、非導電部12は線幅9μm、線間隔250μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、かつ非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは19μm(交点部から全ての辺に対し9.5μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料11を得た。
【0054】
<実施例12>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11は線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形、断線の程度は0%の格子メッシュからなり、非導電部12は線幅9μm、線間隔240μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、かつ非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは33μm(交点部から全ての辺に対し16.5μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料12を得た。
【0055】
<比較例2>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11、非導電部12に相当する部分ともに線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、導電部ならびに非導電部に相当する部分、共に断線の程度は0%とし、導電部の輪郭部分に幅30μmのスリット(スリット部分にはメッシュは存在しない)を入れた透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして比較光透過性導電材料2を得た。
【0056】
<比較例3>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11、非導電部12に相当する部分ともに線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、導電部の断線の程度は0%、非導電部は図2cで示すような正方形の4つ角全てを断線部とした断線の程度100%とし、断線長さは20μm(交点部から全ての辺に対し10μmの長さの断線部を有する)とし、さらに導電部の輪郭部分に幅30μmのスリット(スリット部分にはメッシュは存在しない)を入れた透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして比較光透過性導電材料3を得た。
【0057】
<実施例13>
図5と図6のパターンを有する透過原稿であるが、導電部11は線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形であり、かつ図7のように5×5の正方形が並んで、その中で2カ所14μmの断線の入った断線の程度は92%の格子メッシュからなり、一方非導電部12は線幅10μm、線間隔300μmの単位図形が正方形の格子メッシュからなり、かつ非導電部は図2dで示すような断線部とした断線の程度50%とし、断線長さは14μm(交点部から全ての辺に対し7μmの長さの断線部を有する)とした透過原稿を用いる以外は実施例1と同様にして光透過性導電材料13を得た。
【0058】
実施例1〜13、比較例1、2で作製した光透過性導電材料の導電部のシート抵抗を測定した。結果を表1に記載する。また、導電部と非導電部の開口率の計算は、例えば実施例1で作製した光透過性導電材料においては、導電部は線間隔300μm、面積90000μmの単位図形中に4151μmの網目状パターンが存在するので、(90000−4151)÷90000=95.39%となる。これらの計算結果も表1に記載する。また非導電部は断線部があるので、網目状パターン面積は4060μmとなり、開口率は同様の計算をして95.49%となる。次に、実施例1〜13、比較例1、2で作製した光透過性導電材料の図5と図6のパターンを切り出し、それぞれを重ね、視認性を確認した。導電部と非導電部の差がはっきり判るものを1、少し見れば判るものを2、良く見れば判るものを3、注視しないと判らないものを4、全く判らないものを5とした。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
表1の結果から、静電容量方式を用いたタッチパネルの透明電極として好適な、視認性の低い光透過性導電材料が得られることが判る。
【0061】
<実施例14>
実施例1で作製した図5のパターンと実施例2で使用した図6のパターンを重ね、その視認性を評価したところ、5の評価であった。
【符号の説明】
【0062】
1 光透過性導電材料
2 基材
11 導電部
12 非導電部
13 非画像部
14、15 配線部
21 金属パターン
22 断線部
23 正方形部
31 8×8の繰り返し構造
32 10×10の繰り返し構造
A〜F 任意の点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に導電部と非導電部を隣接して有する光透過性導電材料であって、該導電部と非導電部が網目状金属パターンからなり、該非導電部の網目状金属パターンは、該パターンの一部が断線した網目状金属パターンであって、かつ導電部と非導電部の開口率の差が1%以内であることを特徴とする光透過性導電材料。
【請求項2】
導電部の網目状金属パターンの線間隔が非導電部の網目状金属パターンの線間隔の80〜120%であることを特徴とする請求項1記載の光透過性導電材料。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図1】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−30378(P2013−30378A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166240(P2011−166240)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】