説明

入浴装置及び入浴システム

【課題】入浴装置において質感の異なる二種類の泡層を楽しむことができるようにする。
【解決手段】浴槽3の浴湯面Ba上を泡剤を含む泡層で覆うことができる入浴装置において、泡層が、細泡dからなる細泡層Dと、泡径が細泡dより小さい微細泡eからなる微細泡層Eとに別かれさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の浴湯面を温泡の泡層で覆う入浴装置及び入浴システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽に張った浴湯が冷えないようにする浴槽装置としては、浴槽の浴湯面上に泡を供給して浴湯面を泡層で覆うための泡供給手段を設けたものがある(特許文献1)。
【0003】
また、泡で入浴ができる泡式入浴システムとしては、浴槽と、浴槽に温かな泡(以下、「温泡」と言う。)を供給する温泡供給装置と、浴槽内に向けて温泡を吐出させる吐出口と、温泡供給装置と吐出口を連通させる温泡供給路(ダクト)とを備えたものがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−22658号公報
【特許文献2】特開2003−116730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記浴槽装置に前記泡式入浴システムを適用して、浴槽の浴湯面上に外径の略等しい温泡を供給して一層の泡層で浴湯面上を覆った入浴装置にして、温泡の泡層で入浴を楽しむようにすることが考えられる。
【0006】
しかし、外径の略等しい温泡からなる一層の泡層のみでは、泡層の質感が一種類のみであり楽しむ範囲も限られる。
【0007】
そこで、本発明は、楽しむ範囲を広げられるように、質感の異なる二種類の泡層を楽しむことができる入浴装置及び入浴システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
質感の異なる二種類の泡層を楽しむことができるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、図1(A)及び図4(A)(B)に示す如く、浴槽3の浴湯面Ba上を泡剤を含む泡層で覆うことができる入浴装置において、泡層が、細泡d(f)からなる細泡層D(F)と、泡径が細泡d(f)より小さい微細泡eからなる微細泡層Eとに別れていることを特徴とする入浴装置1(41)である。
【0009】
質感の異なる二種類の泡層を楽しむことができるようにするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、図4(A)(B)及び図5に示す如く、浴槽3の浴湯面Baに対して泡供給装置43により生成した泡を吐出し、浴湯面Ba上を泡層で覆う入浴システムにおいて、泡層は泡径が異なり、細泡fで細泡層Fを生成する細泡生成装置47と、細泡fより泡径が小さい微細泡eで微細泡層Eを生成する微細泡生成装置14とを備えたことを特徴とする入浴システム42である。
【0010】
浴槽内の浴湯を有効利用するために請求項3記載の本発明が採用した手段は、図5に示す如く、細泡生成装置47と微細泡生成装置14の少なくとも一方は、浴槽内3aの浴湯Bを用いて、浴湯Bを加熱することにより温泡を生成するものであることを特徴とする請求項2に記載の入浴システム42である。
【0011】
システムをコンパクトするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、図6及び図7に示す如く、浴槽3の浴湯面Baに対して泡供給装置53により生成した泡を吐出し、浴湯面Ba上を泡層で覆う入浴システムにおいて、泡層は泡径が異なり、細泡fで細泡層Fを生成すると共に細泡fより泡径が小さい微細泡eで微細泡層Eを生成するものであって、浴槽内3aの浴湯Bを用いて貯留した貯留水23を加熱し、空気を弁64の切替により貯留水に供給することで細泡f又は微細泡eの温泡を生成する泡生成装置54を備えたことを特徴とする入浴システム52である。
【0012】
質感の異なる二種類の泡層を楽しむことができるようにするために請求項5記載の本発明が採用した手段は、図1(A)及び図2に示す如く、浴湯Bを張ることができる浴槽3と、浴槽内3aの浴湯面Baより下方へ細泡dを吐出する気泡式ジェット装置4と、浴槽内3aの浴湯面Baより上方へ泡径が細泡dより小さい泡剤を含む微細泡eを吐出する微細泡供給装置5とを備えたことを特徴とする入浴システム2である。
【0013】
請求項5記載の本発明にあっては、図1(A)に示す如く、浴槽3に張った浴湯Bへ気泡式ジェット装置4から吐出した細泡dが、浴湯B内を浮上して浴湯面Ba上に細泡層Dを形成すると共に、微細泡供給装置5から浴槽内3aへ吐出した微細泡eが、細泡層Dの上に微細泡層Eを形成する。
【0014】
質感の異なる二種類の泡層を楽しむことができるようにするために請求項6記載の本発明が採用した手段は、図4乃至図6に示す如く、浴湯Bを張ることができる浴槽3と、浴槽内3aの浴湯面Baより上方へ泡剤を含む細泡fと泡径が細泡fより小さい泡剤を含む微細泡eとを選択的に吐出できる泡供給装置43(53)とを備えたことを特徴とする入浴システム42(52)である。
【0015】
請求項6記載の本発明にあっては、図4に示す如く、浴湯Bの張った浴槽3の浴湯面Ba上に、泡供給装置43(53)から先に細泡f又は微細泡eの何れか一方を吐出して下層の泡層を形成し、その後に、泡供給装置43から他方の微細泡e又は細泡fを吐出して上層の泡層を形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載に係る入浴装置は、細泡層と微細泡層とでは質感が異なるため、入浴者が質感の異なる泡層を楽しむことが可能となり、楽しむ範囲を広げることができる。
【0017】
請求項2記載に係る入浴システムは、細泡生成装置で生成した細泡及び微細泡生成装置で生成した微細泡を浴槽の浴湯面に吐出して細泡層と微細泡層に別れた質感の異なる二種類の泡層を楽しむことが可能となり、入浴の楽しむ範囲を広げることができる。
【0018】
請求項3記載に係る入浴システムは、浴槽内の浴湯を温泡を生成するための湯水に用いることで、温泡を生成する湯水を得るための給湯器等を省略することが可能となり、システムをコンパクにすることができる。
【0019】
請求項4記載に係る入浴システムは、空気を弁の切替で貯留水に供給して細泡及び微細泡の温泡を泡生成装置で生成するため、細泡生成装置と微細泡生成装置とを別個に備える場合に比べてシステムをコンパクトすることができる。
【0020】
請求項5記載に係る入浴システムは、浴湯面上に下層の細泡層及び上層の微細泡層を形成することができ、形成した細泡層と微細泡層とでは質感が異なるため、入浴者が質感の異なる泡層を楽しむことが可能となり、楽しむ範囲を広げることができる。また、浴湯面より上方へ微細泡を吐出するので、微細泡が浴槽内の浴湯で潰されることがなくなると共に、浴槽内の浴湯で微細泡の水分分離が促進されることもない。更に、細泡は微細泡よりも効率的に発生させることができるため、下方に細泡層があることにより素早く泡量を確保できる。
【0021】
請求項6記載に係る入浴システムは、浴湯面上に細泡層及び微細泡層の二層を形成することができ、形成した細泡層と微細泡層とでは質感が異なるため、入浴者が好みや気分に合わせて質感の異なる泡層を楽しむことが可能となり、楽しむ範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る入浴装置1及び入浴システム2を示すものであって、図(A)は浴槽3を断面した側面図、図(B)は平面図である。
【図2】前記入浴システム2の全体を示す概略図である。
【図3】前記入浴システム2を構成する微細泡生成装置14を示す概略図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る入浴装置41及び入浴システム42を示すものであって、図(A)(B)は泡層の異なる積層状態を示すものである。
【図5】前記入浴システム42の全体を示す概略図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る入浴システム52の全体を示す概略図である。
【図7】前記入浴システム52を構成する泡生成装置54を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る入浴装置及び入浴システム(以下、「本発明入浴装置」及び「本発明入浴システム」という)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1乃至図3は第1の実施の形態の本発明入浴装置1及び本発明入浴システム2を示すものである。本実施の形態に係る本発明入浴システム2は、図1及び図2に示す如く、浴湯Bを張ることができる浴槽3と、浴槽内3aの設定される浴湯面Baより下方へ細泡dを湯水bと共に吐出する気泡式ジェット装置4と、浴槽内3aの浴湯面Baより上方へ泡径が細泡dより小さい微細泡eを吐出する微細泡供給装置5とを備えている。
【0025】
前記気泡式ジェット装置4は、図2に示す如く、浴槽3に取付けた吸引口具6及び吐出口具7からなる口具の二組と、各組の吐出口具7に付設した細泡発生具8と、各組の吸引口具6と吐出口具7とを連結する二系統の配管9A,9Bと、二系統の配管9A,9Bの途中に設けたポンプ10と、ポンプ10を起動・停止させるリモコン付き制御部11とを備えている。二系統の配管9A,9Bは、一台のポンプ10の部分で合流及び分流している。気泡式ジェット装置4は、起動したポンプ10で浴槽内3aの浴湯Bを各組の吸引口具6を介して吸引し、二系統の配管9A,9Bを通じて各組の吐出口具7へ湯水bとして圧送し、各吐出口具7の細泡発生具8に設けられているエゼクタ部を通過する湯水bの動圧で空気を吸引して多数の細泡dを発生させ、多数の細泡dを湯水bと共に各組の吐出口具7から浴槽内3aの浴湯B内へ吐出するようにしてある。気泡式ジェット装置4は、細泡dの平均外径が1.0〜2.0mmの範囲で選択できるように、細泡発生具8のエゼクタ部を調整してある。
【0026】
前記一方の系統の配管9Aは、ポンプ10と吐出口具7を連結する途中に第1の三方弁12を設け、ポンプ10から圧送される湯水bの供給先を、吐出口具7又は微細泡供給装置5の後述する微細泡生成装置14に切り替えられるようにしてある。また、前記他方の系統の配管9Bは、ポンプ10と吐出口具7を連結する途中に第2の三方弁13を設け、ポンプ10から圧送される湯水bの供給先を、吐出口具7又は後述する吐出具15の湯水用流路15bに切り替えられるようにしてある。
【0027】
前記微細泡供給装置5は、図2に示す如く、前記ポンプ10から第1の三方弁12及び一方の湯水用分岐管16を介して湯水bの供給を受ける微細泡生成装置14と、浴槽内3aの設定される浴湯面Baより上方の高さ位置から浴槽内3aへ向かって吐出する吐出具15と、微細泡生成装置14と吐出具15とを連結する微細泡用配管18と、微細泡生成装置14を起動・停止させるリモコン付き制御部11とを備えている。吐出具15は、内部に微細泡用流路15a及び湯水用流路15bが独立して設けられ、微細泡用流路15aの上流端に微細泡用配管18を接続すると共に下流端に二個又は一個の吐出口を開設してある。吐出具15の湯水用流路15bは、上流端に他方の湯水用分岐管17を介して前記第2の三方弁13に接続すると共に、下流端に二個又は一個の吐出口を開設してある。なお、本例では、図1に示す如く、吐出具15の吐出口の高さ位置を、浴槽3の上端リム部3bより上方にしてある。
【0028】
前記微細泡生成装置14は、図3に示す如く、泡発生部20、空気供給部21及び泡剤供給部22と、これらを制御するリモコン付き制御部11(図2参照)とを備えている。泡発生部20は、泡剤入りの貯留水23を貯留する容器体24と、温水23をバブリングするためのノズル25と、温水23を設定温度に加熱する電気ヒータ等からなる加熱具26と、容器体24内の温水23の液量(水位)を検知する液面センサ27を備えている。泡剤供給部22は、上流端を前記一方の湯水用分岐管16に接続すると共に下流端を容器体24に開口した引込み配管28と、引込み配管28の途中に設けた泡剤混合部29と、引込み配管28における泡剤混合部29より上流の途中に設けた開閉弁30とを備え、前記ポンプ10(図2参照)から供給される湯水bに、泡の発生を促進すると共に消泡し難くして泡の維持を図るための泡剤(例えば、糖質液,オイル又は洗剤液等)を設定割合で混入して泡剤入りの温水23を調製しつつ、液面センサ27の検出信号に基づいて開閉弁30を開閉制御して温水23を容器体24内に供給して、温水23の水面23aが設定水位となるようにしてある。
【0029】
前記微細泡生成装置14は、容器体24の上部に、発生した温泡である微細泡eを放出する泡放出口24aを有し、泡放出口24aと吐出具15の微細泡用流路15a(図2参照)とを微細泡用配管18で連結してある。前記バブリング用ノズル25は、空気噴出孔25aが分散して設けられ、空気供給部21のコンプレッサから供給された圧縮空気を空気噴出孔25aから噴出する際に、泡剤入りの温水23内に泡を発生させる(バブリング)。泡発生部20は、ノズル25と空気供給部21の間に設けた圧縮空気用開閉弁31の開閉操作で微細泡eの発生又は停止を行なうようにしてある。微細泡生成装置14は、微細泡eの平均外径が100〜300μmの範囲で設定できるように、バブリング用ノズル25の空気噴出孔25aの孔径寸法値を設定する共に供給される圧縮空気の圧力値を調節できるようにしてある。
【0030】
なお、前記微細泡生成装置14は、ポンプ10で圧送される湯水bを用いる以外に、給湯器等(図示略)から供給される新しい湯水を用いて入浴に適した温度の微細泡eを生成するように構成することも可能である。この場合には、泡剤供給部22の引込み配管28の上流端に、給湯器等の湯水供給管を接続するとよい。また、微細泡生成装置14は、水道管等(図示略)から供給される冷水を用いて微細泡eからなる冷泡を生成するように構成して、夏場に対応できるようにすることも可能である。更に、微細泡生成装置14は、給湯器と水道管等に上流側を接続した湯水混合水栓から供給される入浴に適した温度の温水乃至冷水を用いて微細泡eを生成するように構成することもある。
【0031】
前記浴槽3は、図1に示す如く、給湯器(図示略)から給湯された湯水を吐出口具7又は水栓(図示略)から浴槽内3aへ吐出させるように配管され(図示略)、浴湯Bを張ることができるようにしてある。
【0032】
本発明入浴システム2で浴槽内3aへ微細泡eを供給させる運転態様のときには、図2に示す如く、浴槽3に浴湯Bを張った状態でポンプ10を起動させ、気泡式ジェット装置4の吐出口具7から湯水bと共に吐出する多数の細泡dを浴湯B内で浮上させて、図1(A)に示すように浴湯面Ba上に温泡である細泡dからなる細泡層Dを形成すると共に、起動した微細泡供給装置5の吐出具15から浴槽3a内へ吐出する微細泡eを細泡層D上に積層させて、細泡層D上に温泡である微細泡eからなる微細泡層Eを形成して、本発明入浴装置1を得ることができる。
【0033】
入浴者は、微細泡層Eの層厚みが所望寸法(例えば、20〜100mm)となったならば微細泡供給装置5を停止させ、微細泡eの消泡で微細泡層Eの層厚みが小さくなったならば微細泡供給装置5を再起動させるとよい。また、入浴者は、浴湯Bに含有する泡剤の成分が少ないときには細泡層Dの細泡dが消泡し易いので、気泡式ジェット装置4のポンプ10を連続又は断続的に運転させるとよい。
【0034】
本発明入浴システム2で得た本発明入浴装置1は、図1(A)に示す如く、浴槽3の浴湯面Ba上を覆う泡剤を含む泡層が、細泡dからなる細泡層Dと泡径が細泡dより小さい微細泡eからなる微細泡層Eとの二層からなり、細泡層Dと微細泡層Eとでは質感が異なるため、入浴者が好みや気分に合わせて質感の異なる泡層を楽しむことが可能となり、入浴者の楽しむ範囲を広げることができる。
【0035】
本発明入浴システム2は、浴槽内3aへの微細泡eの供給を停止させる運転態様のときには、図2に示す如く、第1の三方弁12を切り替えて、微細泡供給装置5の微細泡生成装置14への湯水bの供給を停止させると共に、ポンプ10で圧送される湯水bを一方の配管9Aを介して吐出口具7から浴槽3の浴湯B内へ細泡dと共に吐出させ、更に、第2の三方弁13を切り替えて、他方の湯水用分岐管17を介して吐出具15の湯水用流路15の吐出口から浴槽内3aへ向けて湯水bを吐出させることができる。
【0036】
本発明入浴システム2は、以下に示す効果もある。例えば、浴槽3の湯面Ba上に細泡層Dのみを生成した場合には冬場等の場合には外気より冷たくなり易いが、細泡層Dの上に加熱により温められ、熱を持った微細泡層Eを生成することにより、微細泡fの熱がその下の細泡層Dに伝わっていき、冷たくなり難い快適な泡入浴が実現可能となる。
【0037】
また、微細泡生成装置14の微細泡eの生成能力が十分でない場合であっても、細泡dを効率よく発生できる気泡式ジエット装置4で素早く細泡層Dを生成して水位をかせぎ、その上に微細泡層Eを生成することで、所望の水位にまで短時間で細泡dおよび微細泡eを発生させての入浴が可能となる。このような泡発生を行なうと、コンパクトで安価な微細泡生成装置14により実現が可能となる。
【0038】
(第2の実施の形態)
図4及び図5は第2の実施の形態の本発明入浴装置41及び本発明入浴システム42のを示すものである。本実施の形態に係る本発明入浴システム42は、図5に示す如く、浴湯Bを張ることができる浴槽3と、浴槽内3aの浴湯面Baより上方へ細泡eと泡径が細泡eより小さい微細泡fとを選択的に吐出できる泡供給装置43とを備えている。
【0039】
前記泡供給装置43は、浴槽内3aの設定される浴湯面Baより上方の高さ位置から浴槽内3aへ向かって吐出する吐出具15と、浴槽3に取付けた吸引口具46と、吐出具15と吸引口具46とを連結する一方の系統の配管9C及び泡用配管48と、配管9Cの途中に上流側から下流側へ向かって順番に設けたポンプ10,開閉弁44及び第3の三方弁45と、第3の三方弁45と泡用配管48の間に設けた微細泡生成装置14及び細泡生成装置47とを備えている。微細泡生成装置14及び細泡生成装置47は、各々の上流側を三方弁45の異なる分配ポートに分岐配管9Ca,9Cbを介して接続すると共に、各々の下流側を吐出具15の泡用流路15aに泡用配管48を介して接続してある。吸引口具46で吸引してポンブ10で圧送される湯水bは、三方弁45の選択した分配ポートを介して微細泡生成装置14又は細泡生成装置47へ供給される。
【0040】
前記吐出具15及び微細泡生成装置14は、前記第1の実施の形態に係る吐出具15及び微細泡生成装置14の組合せと実質的に同一であり、泡の平均外径が100〜300μmの範囲で設定した微細泡eを生成して吐出具15の泡用流路15aへ供給するように構成してある。前記細泡生成装置47は、前記第1の実施の形態に係る微細泡生成装置14と同様に構成され、泡の平均外径が1.0〜2.0mmの範囲で設定した細泡fを生成して吐出具15の泡用流路15aへ供給するように、図3に示すバブリング用ノズル25の空気噴出孔25aの孔径寸法値及びノズル25へ供給する圧縮空気の圧力値を調整してある。微細泡生成装置14及び細泡生成装置47は、各泡剤供給部22の泡剤混合部29で混合する泡剤を異なる種類のものにして、異なる質感や香りの微細泡e及び細泡fが得られようにすることもある。
【0041】
本発明入浴システム42は、微細泡生成装置14及び細泡生成装置47を停止させた使用態様のときに、細泡dの混入した湯水bを浴槽3の浴湯Bへ吐出させることができるようにするために、第1の実施の形態と同様に、浴槽3に取付けた吸引口具6及び吐出口具7と、吐出口具7に付設した細泡発生具8と、吸引口具6と吐出口具7とを連結する他の系統の配管9Bと、配管9Bの途中に設けたポンプ10とからなる気泡式ジェット装置50を備えている。気泡式ジェット装置50は、配管9Bにおけるポンプ10より下流側の部分に開閉弁49及び第2の三方弁13を設け、ポンプ10が圧送する湯水bを吐出具15の湯水用流路15b若しくは吐出口具7へ供給又は停止できるようにしてある。開閉弁49は、閉にすることで、微細泡生成装置14及び細泡生成装置47の運転中に、吐出具15及び吐出口具7から湯水を吐出させないようにすることができる。なお、本発明入浴システム42は、気泡式ジェット装置48を省略することもある。
【0042】
前記微細泡生成装置14及び細泡生成装置47の一方又は両方は、ポンプ10で圧送される浴湯からなる湯水bを用いて温泡を生成する以外に、給湯器等(図示略)から供給される新しい湯水を用いて入浴に適した温度の微細泡e及び細泡fを生成するように構成することも可能である。この場合には、第3の三方弁45に入口ポートに給湯器等の湯水供給管を接続するとよい。また、微細泡生成装置14及び細泡生成装置47の一方又は両方は、水道管等(図示略)から供給される冷水を用いて微細泡e又は細泡dからなる冷泡を生成するように構成して、夏場に対応できるようにすることも可能である。更に、微細泡生成装置14及び細泡生成装置47の一方又は両方は、給湯器と水道管等に上流側を接続した湯水混合水栓から供給される入浴に適した温度の温水乃至冷水を用いて微細泡e又は細泡dを生成するように構成することもある。
【0043】
本発明入浴システム42で浴槽内3aへ細泡f及び微細泡eを選択的に供給させる運転態様のときには、図5に示す開閉弁の44を開くと共に気泡式ジェット装置50の開閉弁49を閉じ、浴槽3に浴湯Bを張った状態でポンプ10を起動させ、第3の三方弁45の切替で湯水bが先に供給される細泡生成装置47及び微細泡生成装置14の一方を起動させると共に他方を停止させ、図4(A)(B)に示すよう吐出具15から細泡f又は微細泡eを吐出させて下層の細泡層F又は微細泡層Eを所望厚み(例えば、20〜100mm)形成し、その後に、細泡生成装置47及び微細泡生成装置14の起動・停止を切替て、吐出具15から微細泡e又は細泡fを吐出させて上層の微細泡層E又は細泡層Fを所望厚み(例えば、20〜100mm)形成して、本発明入浴装置41を得ることができる。
【0044】
本発明入浴システム42で得た本発明入浴装置41は、浴槽3の浴湯面Ba上を覆った泡層が、細泡fからなる細泡層Fと、泡径が細泡fより小さい微細泡eからなる微細泡層Eとの二層からなり、細泡層Fと微細泡層Eとでは質感が異なるため、入浴者が質感の異なる泡層を楽しむことが可能となり、入浴者の楽しむ範囲を広げることができる。
【0045】
本発明入浴システム42は、浴槽内3aへの細泡f及び微細泡eの供給を停止させる運転態様のときには、図5に示す開閉弁の44を閉じると共に気泡式ジェット装置50の開閉弁49を開き、ポンプ10で圧送される湯水bを第2の三方弁13の切り替えで、吐出口具7から浴槽3の浴湯B内へ細泡dと共に吐出させる態様と、吐出具15の湯水用流路15の吐出口から浴槽内3aへ向かって湯水bを吐出させる態様とを選択することができる。
【0046】
(第3の実施の形態)
図6及び図7は第3の実施の形態の本発明入浴システム52を示すものである。本実施の形態に係る本発明入浴システム52は、泡供給装置53を一台の泡生成装置54で細泡eと泡径が細泡eより小さい微細泡fとを選択的に生成できるようにしことが前記第2の実施の形態の本発明入浴システム42(図5参照)と大きく異なり、その他の部分については第2の実施の形態と実質的に同一であり、図6において図5と同一符号は相当部分を示す。
【0047】
本実施の形態に係る本発明入浴システム52は、図6に示す如く、浴湯Bを張ることができる浴槽3と、浴槽内3aの浴湯面Baより上方へ細泡eと泡径が細泡eより小さい微細泡fとを選択的に吐出できる泡供給装置53とを備えている。
【0048】
前記泡供給装置53は、浴槽内3aの設定される浴湯面Baより上方の高さ位置から浴槽内3aへ向かって吐出する吐出具15と、浴槽3に取付けた吸引口具46と、吐出具15と吸引口具46とを連結する一方の系統の配管9C及び泡用配管56と、配管9Cの途中に上流側から下流側へ向かって順番に設けたポンプ10及び開閉弁44と、開閉弁44と泡用配管56の間に設けた泡生成装置54とを備えている。
【0049】
前記泡生成装置54は、図7に示す如く、泡発生部57、空気供給部61及び泡剤供給部22と、これらを制御するリモコン付き制御部11(図2参照)とを備えている。泡発生部57は、泡剤入りの貯留水23を貯留する容器体24と、貯留水23をバブリングするためのノズル25及びノズル55の二組と、貯留水23を設定温度に加熱する電気ヒータ等からなる加熱具26と、容器体24内の貯留水23の液量(水位)を検知する液面センサ27を備えている。泡剤供給部22は、前記第1の実施の形態(図3参照)と実質的に同一であるため説明を省略する。貯留水23は、第1及び第2の実施の形態と同様に、浴槽3内の浴湯Bを用いる以外に、給湯器及び/又は水道管から供給される入浴に適した温度の温水乃至冷水を用いるようにすることもある。
【0050】
前記バブリング用ノズル25は、微細泡eを発生させるものであり、空気噴出孔25aが分散して設けられ、空気供給部61から供給された圧縮空気を空気噴出孔25aから噴出する際に、泡剤入りの貯留水23内に微細泡eを発生させる。また、バブリング用ノズル55は、細泡fを発生させるものであり、空気噴出孔55aが分散して設けられ、空気供給部61から供給された圧縮空気を空気噴出孔55aから噴出する際に、泡剤入りの貯留水23内に細泡fを発生させる。
【0051】
前記空気供給部61は、ノズル25,55とコンプレッサ62との間に三方弁等からなる弁64及び圧力調節具65,65を設け、コンプレッサ62から供給される圧縮空気を弁64で切替えてノズル25又はノズル55へ供給するようになっている。ノズル25は、微細泡eの平均外径が100〜300μmの範囲で設定できるように、空気噴出孔25aの孔径寸法値を設定すると共に、圧力調節具65で調節された圧縮空気が供給されるようになっている。また、ノズル55は、細泡fの平均外径が1.0〜2.0mmの範囲で設定できるように、空気噴出孔55aの孔径寸法値を設定すると共に、圧力調節具65で調節された圧縮空気が供給されるようになっている。
【0052】
本発明入浴システム52で浴槽内3aへ細泡f及び微細泡eを選択的に供給させる運転態様のときには、図6に示す開閉弁の44を開くと共に気泡式ジェット装置50の開閉弁49を閉じ、浴槽3に浴湯Bを張った状態でポンプ10を起動させて湯水bを泡生成装置54へ供給する。続けて、本発明入浴システム52は、図7に示す如く、泡生成装置54の空気供給部61の弁(本例では三方弁)64の切替で微細泡用ノズル25及び細泡用ノズル55の何れか一方へ圧力調節済みの圧縮空気を供給して、微細泡e及び細泡fの何れか一方を先に生成し、図4(A)(B)に示すよう吐出具15から微細泡e又は細泡fを吐出させて下層の微細泡層E又は細泡層Fを所望厚み(例えば、20〜100mm)形成し、その後に、弁64を切替えて微細泡用ノズル25及び細泡用ノズル55の他方へ圧力調節済みの圧縮空気を供給して、微細泡e及び細泡fの他方を吐出させて上層の細泡層F又は微細泡層Eを所望厚み(例えば、20〜100mm)形成して、本発明入浴装置41を得ることができる。
【符号の説明】
【0053】
3…浴槽、3a…浴槽内、4…気泡式ジェット装置、5…微細泡供給装置、6…吸引口具、7…吐出口具、8…細泡発生具、9A…一方の系統の配管、9B…他方の系統の配管、9Ca…分岐管、9Cb…分岐管、10…ポンプ、11…リモコン付き制御部、12…第1の三方弁、13…第2の三方弁、14…微細泡生成装置、15…吐出具、15a…微細泡用流路、15b…湯水用流路、16…一方の湯水用分岐管、17…他方の湯水用分岐管、18…微細泡用配管、20…泡発生部、21…空気供給部、22…泡剤供給部、23…貯留水、23a…水面、24…容器体、24a…泡放出口、25…ノズル、25a…空気噴出孔、26…加熱具、27…液面センサ、28…引込み配管、29…泡剤混合部、30…開閉弁、31…圧縮空気用開閉弁、43…泡供給装置、44…開閉弁、45…第3の三方弁、46…吸引口具、47…細泡生成装置、48…泡用配管、49…開閉弁、50…気泡式ジェット装置、52…本発明入浴システム、53…泡供給装置、54…泡生成装置、55…ノズル、55a…空気噴出孔、56…泡用配管、57…泡発生部、58…空気調整部、61…空気供給部、62…空気源、63…空気調整部、64…弁、65…圧力調節具、B…浴湯、Ba…浴湯面、b…湯水、D…細泡層、d…細泡、E…微細泡層、e…微細泡、F…細泡層、f…細泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の浴湯面上を泡剤を含む泡層で覆うことができる入浴装置において、泡層が、細泡からなる細泡層と、泡径が細泡より小さい微細泡からなる微細泡層とに別れていることを特徴とする入浴装置。
【請求項2】
浴槽の浴湯面に対して泡供給装置により生成した泡を吐出し、浴湯面上を泡層で覆う入浴システムにおいて、泡層は泡径が異なり、細泡で細泡層を生成する細泡生成装置と、細泡より泡径が小さい微細泡で微細泡層を生成する微細泡生成装置とを備えたことを特徴とする入浴システム。
【請求項3】
細泡生成装置と微細泡生成装置の少なくとも一方は、浴槽内の浴湯を用いて、浴湯を加熱することにより温泡を生成するものであることを特徴とする請求項2に記載の入浴システム。
【請求項4】
浴槽の浴湯面に対して泡供給装置により生成した泡を吐出し、浴湯面上を泡層で覆う入浴システムにおいて、泡層は泡径が異なり、細泡で細泡層を生成すると共に細泡より泡径が小さい微細泡で微細泡層を生成するものであって、浴槽内の浴湯を用いて貯留した貯留水を加熱し、空気を弁の開閉により貯留水に供給するこで細泡又は微細泡の温泡を生成する泡生成装置を備えたことを特徴とする入浴システム。
【請求項5】
浴湯を張ることができる浴槽と、浴槽内の浴湯面より下方へ細泡を吐出する気泡式ジェット装置と、浴槽内の浴湯面より上方へ泡径が細泡より小さい泡剤を含む微細泡を吐出する微細泡供給装置とを備えたことを特徴とする入浴システム。
【請求項6】
浴湯を張ることができる浴槽と、浴槽内の浴湯面より上方へ泡剤を含む細泡と泡径が細泡より小さい泡剤を含む微細泡とを選択的に吐出できる泡供給装置とを備えたことを特徴とする入浴システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−130912(P2011−130912A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292906(P2009−292906)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】