入浴装置
【課題】
入浴介助者が介助作業を行う際に、介助作業の妨げとならない担架脱落防止機構を有する入浴装置を提供すること。
【解決手段】
入浴者が横たわる担架5を載置する搬送車6と、所定区間を昇降可能であるとともに内部に担架5を支持する架台12が固設される浴槽2と、浴槽2の側壁2b上面に突没可能に設けられ搬送車6と架台12間で担架5の移動を行うときに担架5の脱落を防止する脱落防止部材24を有する担架脱落防止機構23を備える入浴装置1において、搬送車6が浴槽2の所定位置に接合されたときに担架5を搬送車6と架台12間で移動可能となるように脱落防止部材24を側壁2b上面に対して没入操作する第一の操作機構25と、浴槽2が所定位置に上昇したときに脱落防止部材24を側壁2b上面に対して没入操作する第二の操作機構40とを備えた。
入浴介助者が介助作業を行う際に、介助作業の妨げとならない担架脱落防止機構を有する入浴装置を提供すること。
【解決手段】
入浴者が横たわる担架5を載置する搬送車6と、所定区間を昇降可能であるとともに内部に担架5を支持する架台12が固設される浴槽2と、浴槽2の側壁2b上面に突没可能に設けられ搬送車6と架台12間で担架5の移動を行うときに担架5の脱落を防止する脱落防止部材24を有する担架脱落防止機構23を備える入浴装置1において、搬送車6が浴槽2の所定位置に接合されたときに担架5を搬送車6と架台12間で移動可能となるように脱落防止部材24を側壁2b上面に対して没入操作する第一の操作機構25と、浴槽2が所定位置に上昇したときに脱落防止部材24を側壁2b上面に対して没入操作する第二の操作機構40とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行困難な身体障害者又は高齢者を担架に横たわらせた状態で入浴させる入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の担架脱落防止装置が設けられる入浴装置として、例えば、特許文献1に開示される構成が知られている。この入浴装置における担架脱落防止装置は、ストレッチャー5が浴槽6に横付けされない状態では、ストッパー39(継手レール8)が両レール3・4にクロスする方向になるとともに両レール3・4に対して段差のある上昇した状態に維持され、ストレッチャー5上から架台上への担架の移動を阻止し、ストレッチャー5が浴槽6に横付けされた状態では、ストレッチャー5が横付けされる側のストッパー39(継手レール8)が両レール3・4に合致する高さになるとともに両レール3・4に一致する同一方向になり、担架の移動を可能にするものである。
【0003】
しかしながら、前記の担架脱落防止装置は、浴槽6を上昇させた際にストレッチャー5を横付けする側と反対側の浴槽6の縁部に設けられるストッパー39が縁部から突出した状態に維持される為、特に、入浴介助者が、ストレッチャー5が横付けされる側と反対側の方向から入浴介助を行う際には、当該ストッパー39が介助作業の妨げになるといった問題点を有していた。
【特許文献1】実用新案登録第2595389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決すべくなされたものであって、入浴介助者が介助作業を行う際に、介助作業の妨げとならない担架脱落防止機構を有する入浴装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を実現する為に、請求項1記載の発明は、入浴者が横たわる担架を載置する搬送車と、所定区間を昇降可能であるとともに内部に前記担架を支持する架台が固設される浴槽と、該浴槽の側壁上面に突没可能に設けられ前記搬送車と前記架台間で前記担架の移動を行うときに前記担架の脱落を防止する脱落防止部材を有する担架脱落防止機構を備える入浴装置であって、前記搬送車が前記浴槽の所定位置に接合されたときに前記担架を前記搬送車と前記架台間で移動可能となるように前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第一の操作機構と、前記浴槽が所定位置に上昇したときに前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第二の操作機構とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、第一の操作機構が、一端が脱落防止部材に止着される線状部材と、該線状部材の他端が止着されるとともに搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときに回転し前記脱落防止部材が没入する方向へ前記線状部材を引張る回転板と、該回転板を回転操作する操作体とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、脱落防止部材が互いに対向する浴槽側壁のそれぞれに配設され、第二の操作機構は少なくとも搬送車が接合される側と反対側の浴槽側壁に設けられる前記脱落防止部材を浴槽上昇時に没入操作することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、第一の操作機構が、一端が脱落防止部材に止着されるリンク又は一端が線状部材を介して脱落防止部材に止着されるリンクと、該リンクの他端側に設けられ搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときに前記脱落防止部材が没入する方向へ前記リンクを作動させるリンク作動体と、該リンク作動体を作動操作する操作体とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、入浴者が横たわる担架を載置する搬送車と、所定区間を昇降可能であるとともに内部に前記担架を支持する架台が固設される浴槽と、該浴槽の側壁上面に突没可能に設けられ前記搬送車と前記架台間で前記担架の移動を行うときに前記担架の脱落を防止する脱落防止部材を有する担架脱落防止機構を備える入浴装置であって、前記搬送車が前記浴槽の所定位置に接合されたときに前記担架を前記搬送車と前記架台間で移動可能となるように前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第一の操作と、前記浴槽が所定位置に上昇したときに前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第二の操作の両操作を行う操作機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、搬送車と浴槽とが所定位置に接合されていないときは浴槽の側壁上面に突出した脱落防止部材により搬送車と架台間における担架の移動が規制され、搬送車が浴槽の所定位置に接合されているときのみ、第一の操作機構によって脱落防止部材が側壁上面に対して没入操作され担架の移動が可能となるので、入浴介助者が搬送車を浴槽の所定位置に接合していないときに担架の移動操作を誤って行い担架を搬送車上或いは架台上から転落させることはなく、入浴介助者は安全に担架の移動操作を行える。
【0011】
浴槽を所定位置に上昇させると、第二の操作機構によって脱落防止部材が側壁上面に対して没入操作されるので、入浴介助作業を行う際に、脱落防止部材が入浴介助者の上肢部等に接触することはなく当該作業の妨げとなることがない。又、入浴介助者が脱落防止部材に誤って衝突し怪我をするといった不都合な事態を回避でき安全に入浴介助作業が行える。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときにのみ回転板が操作体により回転操作され、回転板が線状部材を介して脱落防止部材を没入操作するから、入浴介助者が搬送車を浴槽の所定位置に接合していないときに担架の移動操作を誤って行い担架を搬送車上或いは架台上から転落させることはなく、入浴介助者は安全に担架の移動操作を行える。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、浴槽を所定位置に上昇させると、第二の操作機構によって搬送車が接合される側と反対側の浴槽側壁に設けられる脱落防止部材が没入操作されるので、搬送車が接合される側と反対側の浴槽側壁の方向から入浴介助者が入浴介助作業を行う際に、脱落防止部材が入浴介助者の上肢部等に接触することはなく、入浴介助作業の妨げとならず好適である。
【0014】
請求項4記載の発明のように、搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときにのみリンク作動体を操作体で操作し、リンクを介して脱落防止部材を没入操作するように構成しても前述した請求項2記載の発明と同様の効果が得られる。
【0015】
請求項5記載の発明のように、搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときに担架を搬送車と架台間で移動可能となるように脱落防止部材を側壁上面に対して没入操作する第一の操作と、浴槽が所定位置に上昇したときに脱落防止部材を側壁上面に対して没入操作する第二の操作の両操作を行う操作機構を備えるようにしても、前述した請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1を図1乃至5を参照して説明する。図1は入浴装置1を示す平面図、図2は担架脱落防止機構23を示す部分側断面図、図3は第一の操作機構25を示す部分平断面図、図4は第二の操作機構40を示す部分側断面図、図5は入浴装置1の部分側断面図である。
【0018】
図1に示すように本発明の入浴装置1は、平面視略長方形状の浴槽2と、該浴槽2の入浴部3内に設けられる架台12と、入浴者を仰臥姿勢に横たわらせる担架5と、該担架5を載置し搬送する搬送車6とを主たる構成要素としている。
【0019】
まず、図5を用いて浴槽2の構成を説明する。図5に示すように浴槽2は浴室床面7に複数の脚を介して載置される略コ字状の基フレーム8の底板部8a上に載置されており、浴槽2は底板部8aと浴槽2の底壁2a下部とにわたって介装される浴槽昇降手段9によって所定区間を上下昇降可能になされている。
【0020】
浴槽昇降手段9は、底板部8aと底壁2a下面との間であって浴槽2短辺方向に平行状に配設され開閉脚自在のX字状のパンタグラフ10・10と、不図示のロッド部先端部が両パンタグラフ10・10を連結する連結杵45の所定箇所に軸着されると共にピストン部11aが底板蔀8aに軸着される油圧シリンダ11と、該油圧シリンダ11の前記ロッド部をピストン部11aに対して伸長又は収縮させることによりパンタグラフ10・10を閉脚方向又は開脚方向に駆動させる不図示の油圧ユニットとから構成される。
【0021】
前記油圧ユニットとピストン部11aとは配管接続されており、前記油圧ユニットを駆動させ、前記ロッドを伸長させるとパンタグラフ10・10が同期して閉脚方向に駆動することによって浴槽2が上昇し、逆に前記ロッドを収縮させるとパンタグラフ10・10が同期して開脚方向に駆動し浴槽2が下降する。
【0022】
また、浴槽2内部には底板部8a上に一端部が固着されると共に底壁2aの略中心部を貫通して鉛直状に延設される支柱部12aと、該支柱部12aの他端部に担架5を支持する平面視略長方形状の支持板部12bとからなる架台12が設けられている。支柱部12aが貫通される底壁2aと支柱12a外周面とは封止部材13で液密にシールされ、入浴部3内に貯溜される湯水を入浴部3外へ漏出させない処置が施されている。
【0023】
支持板部12b上面の長手方向の左右位置には搬送車6から移動される担架5を支持板部12b上の所定位置に案内する架台側案内レール14・14が所定の間隔を有して平行に配設されている。支持板部12bの中央部には架台12と担架5とがロックされていることを検知する近接センサ15が固着される(図1参照)。
【0024】
次に、図5を用いて搬送車6の構成を簡略に説明する。搬送車6は担架5と、該担架5を支持する台車部18とから構成される。台車部18は下端部の四隅にキャスター16を有するフレーム17を有しており、該フレーム17上部には長辺方向に向かって搬送車側案内レール19・19が架台側案内レール14・14と同間隔にて平行に配置されている。台車部18上に載置される担架5の担架フレーム20下面にはローラフレーム21が取着され、該ローラフレーム21に複数輪のローラ22が転動自在に取着されている。
【0025】
次に、一搬送車6と架台12間で担架5の移動を行うときに担架5の脱落を防止する担架脱落防止機構23の構成について説明する。担架脱落防止機構23は浴槽2の長辺側壁2b・2bに対してそれぞれ突没可能に設けられる脱落防止部材24・24と、一方(図1中、下方向)の脱落防止部材24を突没操作する第一の操作機構25とを有している。
【0026】
図1に示すように両脱落防止部材24・24は一方(図1中、左方向)の架台側案内レール14の軸線上に配置されるようにそれぞれの長辺側壁2b・2bに設けられている。両脱落防止部材24・24は互いに同一構成であるので、以下、一方の脱落防止部材24の構成を例にして説明する。
【0027】
図4に示すように脱落防止部材24は、具体的には棒状部材であり、軸部24aと、該軸部24aより大径の大径棒状部24bとから構成される。脱落防止部材24は図4に示すように長辺側壁2bの内周壁に固着される固定部材28を介して側壁2bに埋設された保持筒29に内嵌して設けられている。保持筒29上方部は側壁2b上面から僅かに突出している。軸部24a外周には、大径棒状部24bを保持筒29上面から上方に突出する方向に付勢するバネ46が介装されている。
【0028】
搬送車6が横付け接合される側の脱落防止部材24(大径棒状部24b)が長辺側壁2b(保持筒29)上面に対して突出状態になされているとき、担架5を台車部18上から架台12方向へ移動させようとすると、ローラ22が脱落防止部材24に当接し担架5の移動が規制され、又、架台12上から台車部18上へ担架5を移動させようとした場合も同様にローラ22が脱落防止部材24に当接し担架5の移動が規制される。
【0029】
次に、図2、図3及び図5を用いて長辺側壁2b上面に対する脱落防止部材24の突没操作を行う第一の操作機構25について説明する。実施例1では図5に示すように一方の長辺側壁2b側(図5中、右側の長辺側壁2b)にのみ第一の操作機構25を設けている。尚、浴槽2が所定下限位置にあり且つ搬送車6が浴槽2の長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されていないとき、脱落防止部材24は図2に示すように長辺側壁2bの上面から一部分が突出した状態に維持されている。
【0030】
図2及び図3に示すように第一の操作機構25は、脱落防止部材24の軸部24a下端に一端が取着される線状部材47としての可撓管付きワイヤー26と、該ワイヤー26の他端が止着されるとともに水平方向に回転することによりワイヤー部26aを引張る回転板33と、該回転板33を回転操作する操作体35とから構成されている。
【0031】
可撓管付きワイヤー26は、ワイヤー部26aが可撓管26bに挿通されて構成され、浴槽2の上昇移動によって脱落防止部材24の突出状態に影響を及ぼさないように充分な長さ寸法を有しており、ワイヤー26の中途2箇所位置は基フレーム8の起曲側面8bに一端部が固着され上方に向かって垂設される支持部材27にて支持されている(図2参照)。
【0032】
一端が脱落防止部材24の軸部24a下端に挿通される軸48に取着されたワイヤー部26aは、基フレーム8の底板部8aを貫通され、他端が後述する回転板33の一端側の軸34に取着されている。又、可撓管26bの一端は固定部材28の適宜位置に取着されるとともに、他端は後述する回転板33を取り付ける取付部材31の適宜位置に取着されている。
【0033】
回転板33は、基フレーム8の底板部8a下面から浴槽2の長辺側壁2b側方に水平に張り出すとともに中途部において上方向に起曲された側面視略L字形状の張出部材30(図5参照)に螺着された平面視略L字形状の取付部材31(図3参照)に形成される突出部31aに回転軸32を支点として水平方向に回転自在に設けられている。
【0034】
可撓管26bの固定位置と反対側位置の取付部材31には浴槽2短辺方向に対して進退動自在に操作体35が設けられている。操作体35は先端がワイヤー部26aの止着側と反対側方向の回転板33側方部に当接する棒状部35aと、該棒状部35a後端に直交するように形成される板状部35bとから形成され略T字形状をなしている。
【0035】
搬送車6が長辺側壁2bの所定位置に横付け接合され、搬送車6のフレーム17下方であって短辺方向に突出状に設けられるガイドローラ36が板状部35bに当接し、該ガイドローラ36によって浴槽2内方向(図3中、左方向)に操作体35が押圧操作されると、回転板33が反時計回りに回転する。この回転板33の回転によって脱落防止部材24を上方付勢しているバネ46の付勢力に抗してワイヤー部26aが引張られ、脱落防止部材24が長辺側壁2bに対して没入操作される。これによって台車部18上から架台12上への担架5の移動が可能となる。
【0036】
搬送車6が長辺側壁2bから離間すると、バネ46の弾性力によってワイヤー部26aが引き戻され、脱落防止部材24が長辺側壁2b上面から突出する。このワイヤー部26aの引き戻しによって、回転板33は時計回りに回転し、操作体35は浴槽2外方向(図3中、右方向)に退動させられる。図3中、一点鎖線で示す回転板33等の位置は操作体35によって押圧操作されていない状態を示す。
【0037】
図3及び図5に示すように張出部材30の起曲部30a側面に沿って入浴介助者の長辺側壁2b側面方向への接近及び接触を防止する防止板37が立設されている。防止板37の側面には台車部18のガイドローラ36を沿わせることで搬送車6を浴槽2の長辺側壁2bの所定位置に誘導案内する案内部材38が形成されている。
【0038】
台車部18のフレーム17下方には搬送車6が長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されたときに搬送車6と浴槽2とをロックするための係止部材39が設けられ、案内部材38長辺方向の中央位置には係止部材39が係合する被係止溝4が欠切形成されている。
【0039】
次に、図4を用いて浴槽2が所定位置に上昇したときに脱落防止部材24を長辺側壁2b上面に対して没入操作する第二の操作機構40の構成について説明する。第二の操作機構40は両長辺側壁2b内部に設けられるが、互いに同一の機構であるので、以下、一方の第二の操作機構40を例にして説明する。
【0040】
第二の操作機構40は一端が軸部24a下端に挿通される軸48に取着されるワイヤー41と、該ワイヤー41他端に一端が引掛けられると共に他端が基フレーム8の起曲側面8bに水平方向に突出固着されるバネポスト42に引掛けられる引張コイルバネ43とから構成される。ワイヤー41の中途位置は脱落防止部材24の保持筒29を固定する固定部材28下方に取着されたワイヤーガイド44に沿わされている。図4中の一点鎖線部分は浴槽2が所定位置に上昇し脱落防止部材24が長辺側壁2b上面に対して没入した状態を示す図である。
【0041】
次に、本発明の入浴装置1の使用方法について説明する。入浴を開始する場合は、不図示の給湯手段を用いて湯水を浴槽2内に貯溜した後、入浴者を横たわらせた担架5を載置する搬送車6を浴槽2の一方(図1中、下方向)の長辺側壁2bに接近させる。ガイドローラ36を案内部材38側面に沿わせながら搬送車6を移動させ、搬送車6を長辺側壁2bの所定位置へ至らせる。
【0042】
搬送車6が長辺側壁2bの所定位置に至ると、係止部材39が案内部材38の被係止溝4に自動的に嵌入し、浴槽2と搬送車6とがロックされ、一対の架台側案内レール14と搬送車側案内レール19とが同一直線上に配列される。
【0043】
同時に、ガイドローラ36によって操作体35の板状部35bが押圧され、棒状部35a先端にて回転板33が押され反時計回り方向に回転する。この回転板33の回転によってワイヤー部26aが引張られ、搬送車6が接合された長辺側壁2b(図5中、右方向の長辺側壁2b)に設けられる脱落防止部材24が長辺側壁2b上面に対して没入し、担架3を架台12方向へ移動させることが可能となる。
【0044】
担架5と台車部18とにわたって介装される不図示のロック手段を手動解除し、担架5を架台12方向へ移動させる。このとき、台車部18が接合される側と反対側の長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24は長辺側壁2b上面に対して突出した状態に維持されており、入浴介助者が移動操作を誤り台車部18が接合されない方向(図5中、左方向)へ担架5を移動させた場合であっても、担架5の移動は当該脱落防止部材24によって阻止され、転落が防止される。
【0045】
また、図示は省略するが、担架5と架台12との間には担架5が架台12上の所定位置に至ると自動的にロックがなされるようにロック手段が介装されている。担架5が架台12上でロックされると、近接センサ15がON作動し、不図示の入浴装置1の制御装置に信号を送信し、浴槽2の上昇移動が許容されるようになっている。
【0046】
次に、台車部18を長辺側壁2bに接合した状態で浴槽2を上昇させる。浴槽2を上昇させる場合は、浴槽昇降手段9の有する油圧シリンダ11を伸長させパンタグラフ10を閉脚方向に作動させる。このパンタグラフ10の作動によって浴槽2が上昇移動し入浴者は入浴可能状態となる。浴槽2の上昇移動は所定上限位置に到達した段階で自動停止する。
【0047】
台車部18が接合される側と反対側の長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24は、浴槽2の上昇移動の初期段階では第二の操作機構40の有する引張コイルバネ43の伸長力によって長辺側壁2b上面から突出した状態を維持しているが、浴槽2が所定距離だけ上昇移動し、引張コイルバネ43の伸長力が消滅した段階で長辺側壁2b上面に対して没入し始める。
【0048】
脱落防止部材24は浴槽2が所定位置(例えば、所定上限位置)に到達した段階で、長辺側壁2b上面に対して没入状態(図4中の一点鎖線部分)となるように引張コイルバネ43の調整がなされている。
【0049】
従って、浴槽2を所定位置に上昇させた後、台車部18が接合される側と反対側の長辺側壁2b方向から入浴介助者が入浴介助作業を行う際に、脱落防止部材24が入浴介助者の上肢部等に接触することはなく、入浴介助作業の妨げとならず好適である。
【0050】
尚、浴槽2の上昇に際して、台車部18が接合される長辺側壁2b側の脱落防止部材24は第一の操作機構25の作用によって当該側壁2b上面に対する没入状態が継続維持されている。
【0051】
入浴を完了する場合は、油圧シリンダ11を収縮させパンタグラフ10を開脚方向に作動させることにより、浴槽2を下降させる。浴槽2の下降移動は、所定下限位置に到達した段階で自動停止する。浴槽2が所定下限位置に至ると、台車部18が接続される側と反対側の長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24は長辺側壁2b上面に対して突出状態となり、台車部18が接合される側の長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24は第一の操作機構25の作用によって没入状態が維持される。
【0052】
担架5と架台12間のロックを手動解除し、担架5を台車部18方向へ移動させ、入浴を完了する。尚、浴槽2が所定上限位置から所定下限位置にまで下降した際に、台車部18が浴槽2の所定位置に接合されていない場合は、両長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24はともに突出状態に維持されており、架台12上から両長辺側壁2b方向への担架5の移動は規制される。
【実施例2】
【0053】
次に、図6乃至8を参照して本発明の実施例2を説明する。尚、図6乃至8において、図1乃至5と同一又は同等の構成要素については、同一符号を付記して、特に説明を要する場合を除いて構成要素の説明は省略する。図6は第一の操作機構25の要部と第二の操作機構40を示す部分側断面図、図7は第一の操作機構25の一部を示す部分平面図、図8は第二の操作機構40の作用を説明する部分側断面図である。
【0054】
実施例2は第一の操作機構25を、一端が脱落防止部材24の軸部24a下端に止着されるリンク55と、このリンク55他端側に設けられ搬送車6が長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されたときに脱落防止部材24が長辺側壁2b上面に対して没入する方向へリンク55を作動させるリンク作動体51と、このリンク作動体51を作動操作する操作体56とを備える構成としたものである。
【0055】
図6に示すように前記軸部24a下端には略直状のリンク片49の一端が連結軸57にて軸着され、このリンク片49他端に側面視で略くの字状に屈曲形成されたリンク片50の一端が連結軸58にて回転自在に連結されている。リンク片49とリンク片50とでリンク55を構成している。
【0056】
前記リンク片50の屈曲部が、浴槽2を支持する上フレーム61上面から上方へ突出するように上フレーム61に固着される側面視略正方形状の支持板59の上方中央部に支軸60にて回転自在に軸着支持されている。リンク片50の他端にはリンクローラ62が取着されている。
【0057】
前記リンクローラ62近傍の基フレーム8側面部には略L型のブラケット63が固着され、このブラケット63の起立面部63a左上部に側面視で略L型の第一のレバー材52が図6中、一点鎖線で示す方向に自重で回転可能に設けられるとともに、水平面部63bには平面視略L型の第二のレバー材53がその屈曲位置に挿通される回転支軸64で水平双方向に回転自在に設けられている。尚、第一のレバー材52を自重回転ではなく、不図示の捻りバネを介して上記同方向に付勢回転させるように設けてもよく、また、第二のレバー材53を回転支軸64に介装する不図示の捻りバネによって図7中、時計回り方向(一点鎖線で示す第二のレバー材53の方向)に付勢回転させるように構成しても勿論よい。
【0058】
第二のレバー材53は一方辺部53aが基フレーム8に接近する方向に延在し、他方辺部53bが水平右方向(図7右方向)に延在する態様で設けられている。一方辺部53aの先端部において一方辺部53aに直交する鉛直上方向に延在するように設けられた取付部材の先端にレバーローラ65が設けられている。第一のレバー材52と第二のレバー材53とレバーローラ65とでリンク作動体51が構成される。
【0059】
図7に示すように他方辺部53b先端側面部には略正方形板状の当接受面部54が一体形成されており、この当接受面部54には後述するリンク作動体51の作動操作を行う操作体56の先端部が当接される。
【0060】
図6に示すように浴槽2が所定の下降位置にあるとき、一方辺部52aはリンクローラ62に、他方辺部52bはレバーローラ65にそれぞれ当接している。
【0061】
操作体56は、台車部18の長辺側の下部フレームに水平外方向に向かって突出固着される突出ピン66(搬送車側操作体)と、基フレーム8長辺に対して接近・離間するように進退動自在に案内部材38と防止板37を貫通状に設けられる平面視略T字状の進退ピン67(浴槽側操作体)とで構成される。
【0062】
進退ピン67は、ピン軸部67bが案内部材38後面と防止板37とを貫通するとともに防止板37後面に固着される筒部材84に挿通され、ピン軸67bの尖頭部が第二のレバー材53の当接受面部54に当接するように設けられている。突出ピン66は搬送車6が浴槽2の長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されたときに、案内部材38前面位置に形成される嵌入孔68に嵌入し進退ピン67の頭部67aに当接するように台車部18の下部フレームに設けられている。
【0063】
第二の操作機構40を構成する引張コイルバネ43の一端(上端)は一端がリンク片49の上下中間位置より下方の位置に連結軸70で軸着されるバネステー69他端に形成される円孔に引掛けられ、引張コイルバネ43他端(下端)はバネポスト42に引掛けられている。
【0064】
次に、第一の操作機構25の作用について説明する。浴槽2が所定下限位置にあるとき、搬送車6(台車部18)が浴槽2の長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されると、突出ピン66により進退ピン67が基フレーム8に接近する方向に進出動し第二のレバー材53の他方辺部53bが図7中、反時計回り方向に回転する。この第二のレバー材53の回転により第一のレバー材52の他方辺部52bがレバーローラ65により押圧され、第一のレバー材52が図6中、時計回り方向に回転する。
【0065】
この第一のレバー材52の回転によりリンクローラ62が押圧されリンク片50全体が支軸60を支点として図6中、反時計回り方向に回転し、リンク片49が下方向に引張られるように移動する結果、搬送車6が横付け接合された側の脱落防止部材24が、その先端上面が長辺側壁2b(保持筒29)上面と略面一となる位置まで没入操作される。尚、搬送車6が横付け接合される側と反対側の長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24は長辺側壁2b上面から突出した状態に維持されている。
【0066】
台車部18上の担架5を架台12上に移動させた後、浴槽昇降手段9を介して浴槽2の上昇を開始すると、浴槽2が所定距離だけ上昇した段階でリンクローラ62が第一のレバー材52から離間し非当接となるに伴って第一の操作機構25が作用しなくなり、バネ46の弾性力により暫時的に搬送車6が横付け接合された側の脱落防止部材24は長辺側壁2b上面に対して突出した状態になるが、浴槽2が更に上昇し引張コイルバネ43の伸長力が消滅(第二の操作機構40が作用)すると、脱落防止部材24が長辺側壁2b上面に対して没入操作され始める。
【0067】
浴槽2が所定上限位置と所定下限位置の間の所定位置にまで上昇したとき、脱落防止部材24は、その先端上面が長辺側壁2b(保持筒29)上面と略面一となる位置まで没入し、以降、浴槽2が所定上限位置に到達するまでその没入状態が維持される。
【0068】
搬送車6が接合される側と反対側の脱落防止部材24も上述した第二の操作機構40の作用によって、浴槽2が所定上限位置と所定下限位置の間の所定位置にまで上昇したときに、脱落防止部材24先端の上面が長辺側壁2b(保持筒29)上面と略面一となる位置まで没入し、以降、浴槽2が所定上限位置に到達するまでその没入状態が維持される(図8参照)。
【0069】
浴槽2が所定上限位置から下降するとき、搬送車6が横付け接合された側の脱落防止部材24は上述した浴槽2が上昇するときの動きと逆の動きをし、所定下限位置に浴槽2が到達した段階で第一の操作機構25によって脱落防止部材25が長辺側壁2b上面に対して没入状態となるよう操作される。
【0070】
尚、浴槽2が下降し所定下限位置に到達したときであって、浴槽2を上昇させるときに横付け接合されていた搬送車6が存在しない場合は、第一のレバー材52が図6中、一点鎖線で示す状態に自重回転し、この第一のレバー材52の自重回転により第二のレバー材53が図7中、一点鎖線で示す状態に押され回転させられ、進退ピン67は図7中、一点鎖線で示す位置に退出動しており、第一の操作機構25は作用しておらず、故に脱落防止部材24は長辺側壁2b上面から突出した状態となる。
【0071】
搬送車の接合側と反対側の脱落防止部材24は、浴槽2が上昇するときの動きと逆の動きをし、浴槽2が所定下限位置に到達すると図8の一点鎖線で示すように長辺側壁2b上面に対して没入状態となるよう操作される。
【実施例3】
【0072】
次に、図9を参照して本発明の実施例3を説明する。尚、図9において、図6と同一又は同等の構成要素については、同一符号を付記して、特に説明を要する場合を除いて構成要素の説明は省略する。図9は第一の操作機構25の要部と第二の操作機構40を示す部分側断面図である。
【0073】
実施例3は、実施例2における第二の操作機構40の引張コイルバネ43を適切な長さ寸法に増大変更するとともに、一端に引張コイルバネ43の一端(上端)が引掛けられるバネステー69の他端を、連結軸57を介して脱落防止部材24の軸部24aに軸着したものであって、実施例3おける第一の操作機構25及び第二の操作機構40は前述した実施例2におけるそれぞれの操作機構と同等の作用を奏するものである。
【実施例4】
【0074】
次に、図10乃至13を参照して本発明の実施例4を説明する。尚、図10乃至12において、図1乃至9と同一又は同等の構成要素については、同一符号を付記して、特に説明を要する場合を除いて構成要素の説明は省略する。図10は操作機構71の要部を示す部分側断面図、図11は操作機構71の一部を示す部分平面図、図12は操作機構71の第二の操作の作用を説明する部分側断面図、図13は図12におけるA−A矢視方向の部分拡大側断面図である。
【0075】
実施例4は、搬送車6が浴槽2の所定位置に横付け接合されたときに担架5を搬送車6と架台12間で移動可能となるように脱落防止部材24を長辺側壁2b上面に対して没入操作する第一の操作と、浴槽2が所定位置に上昇したときに脱落防止部材24を長辺側壁2b上面に対して没入操作する第二の操作の両操作を一つの操作機構71で実現したものである。
【0076】
以下、この操作機構71の構成について説明する。図10に示すように脱落防止部材24の軸部24aに一端が軸着されたリンク片49の他端にリンク片73の一端が軸着され、リンク片73の他端側には円弧状屈曲部73aが形成されている。リンク片73は実施例2における形状と少し異なる支持板59の左上端位置に形成される凸部に支軸74にて回転自在に設けられている。
【0077】
また、支持板59の右上方位置には、図10に示すように一端側(リンク片73側)が側面視で略くの字状に屈曲形成されるとともに、他端側が図13に示すように上フレーム61方向に屈曲形成されたリンク片75がくの字の屈曲位置に挿通される支軸76にて回転自在に設けられている。実施例4におけるリンク72は前記の3個のリンク片49・73・75から構成されている。
【0078】
リンク片75の一端にはリンクローラ77が軸着されており、このリンクローラ77は対向する円弧状屈曲部73aと当接可能に配置されている。リンク片75の他端にはリンクローラ78が軸着されている。図10、13に示すように、リンク片75の一方面には略L型に屈曲形成されたL型金具80の起立側面部80aが固着されている。リンク片75は、リンク片75と支持板59間の支軸76に介装される不図示の捻りバネによって図10中、反時計回り方向(一点鎖線で示すリンク片75の方向)に付勢されている。
【0079】
図11に示すように、防止板37後面の左右中央部において略L型のブラケット63を介して略L型のレバー材79が水平方向に回転自在に軸着されている。レバー材79は、レバー材79とブラケット63との間の回転支軸64に介装される不図示の捻りバネによって図11中、時計回り方向(一点鎖線で示すレバー材79の方向)に付勢されている。レバー材79の一方辺部79a先端部においてこの一方辺部79aに直交して鉛直上方向に延在するように固着された取付部材の先端にレバーローラ81が設けられ、このレバーローラ81は浴槽2が所定下限位置にあるとき前記L型金具80の下面部80bの下面に常時当接している(図10、12参照)。
【0080】
レバー材79とレバーローラ81は、搬送車6の台車部18が浴槽2の所定位置に接合されたときにリンク72を作動させ、脱落防止部材24を長辺側壁2b上面に対して没入させるリンク作動体82を構成する。
【0081】
搬送車6の台車部18が浴槽2の所定位置に接合されたときにリンク作動体82の作動操作を行う突出ピン66及び進退ピン67からなる操作体56の構成は実施例2と同等の為、ここでの説明は省略する。また、浴槽2が所定位置に上昇したときは、リンク作動体82及び操作体56は作用せず、その代替として浴槽2を支持する上フレーム61下面に貼着される補強板85面に摺接し転動するパンタグラフ10のローラ83がリンク作動体82と操作体56の両方の役割を果たす(図12参照)。
【0082】
以下、前述した操作機構71の作用について説明する。浴槽2が所定下限位置にあるとき、搬送車6(台車部18)が浴槽2の長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されると、突出ピン66により進退ピン67が基フレーム8に接近する方向に進出動しレバー材79の他方辺部79bが図11中、反時計回り方向に回転する。このレバー材79の回転によりL型金具80がレバーローラ81により押圧されリンク片75が支軸76を支点として図10中、時計回り方向に僅かに回転する。
【0083】
このリンク片75の回転によってリンクローラ77がリンク片73を押圧し、リンク片73が支軸74を支点として反時計回り方向に回転する。このリンク片73の回転によりリンク片49が下方へ移動し、脱落防止部材24が長辺側壁2b上面に対して没入操作される(第一の操作)。尚、このとき、脱落防止部材24は、その先端上面が長辺側壁2b(保持筒29)上面と略面一となる位置まで没入操作されている。(図10参照)。脱落防止部材24が没入操作されたとき、リンクローラ77は円弧状屈曲部73aの円弧面に当接している。
【0084】
次に、浴槽2が所定位置に上昇したときに搬送車6が横付け接合された側の脱落防止部材24を長辺側壁2b上面に対して没入操作(第二の操作)する操作機構71の作用を説明する。
【0085】
パンタグラフ10を開脚作動させると浴槽2が上昇を開始する。浴槽2が僅かな距離だけ上昇すると、L型金具80の下面部80bからレバーローラ81が離間し非当接となるに伴い、不図示の捻りバネによってリンク片75が図10中、反時計回り方向(一点鎖線方向)に付勢回転する。このリンク片75の回転はL型金具80の下面部80b上面が補強板85に接触した時点で規制される。リンク片75が回転し、リンク片73とリンク片49がバネ46の弾性力により上方向に引っ張られる結果、脱落防止部材24が長辺側壁2b上面から暫時的に突出した状態になる。
【0086】
浴槽2が更に上昇するにつれて図12中、右上方向に位置するパンタグラフ10のローラ83が右から左方向へ補強板85面を摺接転動する。浴槽2が所定下限位置から所定距離だけ上昇したある所定位置でローラ83がリンク片75他端のリンクローラ78に当接することで、リンク片75が押圧され支軸76を支点として時計回り方向に回転する。
【0087】
このリンク片75の回転によって、リンク片73が押され支軸74を支点として反時計回り方向に回転する。このリンク片73の回転によりリンク片49が下方へ移動し、脱落防止部材24が長辺側壁2b(保持筒29)上面と略面一となる位置まで没入操作される(第二の操作)。
【0088】
リンク片75は脱落防止部材24が没入操作された以降も、ローラ83の左方向への転動により回転し、リンクローラ77が当該円弧面に沿って移動するが、リンクローラ77が円弧状屈曲部73aの円弧面に当接したとき、円弧面の中心が支軸76の軸心線上に配置されるように設計されているので、浴槽2が前記の所定位置(脱落防止部材24が没入操作されたときの位置)から所定上限位置に上昇するまでの間、リンク片73は殆ど回転せず、従って、脱落防止部材24は長辺側壁2b上面と略面一となる位置に維持される。
【0089】
搬送車6が横付け接合されていない側の脱落防止部材24も上述したローラ83によってリンク72(リンク片49・73・75)が回転操作され、浴槽2が所定下限位置と所定上限位置との間の所定位置に上昇した段階で長辺側壁2b上面と略面一となる位置まで没入操作される。
【0090】
本発明は実施例1乃至4で述べた実施態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更できることは言うまでもない。例えば、前述した実施例1では第一の操作機構25を一方の長辺側壁2b内部にのみ設けた態様を説明したが、同一の操作機構25を他方の長辺側壁2b内部にも設け、いずれの長辺側壁2b方向からも台車部18と架台12の相互間で担架5の移動が行えるように入浴装置1を構成しても勿論良い。
【0091】
また、リンク片、レバー材の形状等は実施例2乃至4において述べたものに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。また、図示は省略するが、例えば、実施例2において脱落防止部材24下端に直接止着しているリンクを、例えばワイヤー等の線状部材を介して脱落防止部材24に止着するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、歩行困難な身体障害者又は高齢者を担架に横たわらせた状態で入浴させる入浴装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施例1に係る入浴装置を示す平面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る担架脱落防止機構を示す部分側断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る第一の操作機構を示す部分平断面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る第二の操作機構を示す部分側断面図である。
【図5】本発明の実施例1に係る入浴装置の部分側断面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る第一の操作機構の要部と第二の操作機構を示す部分側断面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る第一の操作機構の一部を示す部分平面図である。
【図8】本発明の実施例2に係る第二の操作機構の作用を説明する部分側断面図である。
【図9】本発明の実施例3に係る第一の操作機構の要部と第二の操作機構を示す部分側断面図である。
【図10】本発明の実施例4に係る操作機構の要部を示す部分側断面図である。
【図11】本発明の実施例4に係る操作機構の一部を示す部分平面図である。
【図12】本発明の実施例4に係る操作機構の第二の操作の作用を説明する部分側断面図である。
【図13】図12におけるA−A矢視方向の部分側断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 入浴装置
2 浴槽
2b 側壁
5 担架
6 搬送車
12 架台
23 担架脱落防止機構
24 脱落防止部材
25 第一の操作機構
33 回転板
35 操作体
40 第二の操作機構
47 線状蔀材
51 リンク作動体
55 リンク
56 操作体
71 操作機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行困難な身体障害者又は高齢者を担架に横たわらせた状態で入浴させる入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の担架脱落防止装置が設けられる入浴装置として、例えば、特許文献1に開示される構成が知られている。この入浴装置における担架脱落防止装置は、ストレッチャー5が浴槽6に横付けされない状態では、ストッパー39(継手レール8)が両レール3・4にクロスする方向になるとともに両レール3・4に対して段差のある上昇した状態に維持され、ストレッチャー5上から架台上への担架の移動を阻止し、ストレッチャー5が浴槽6に横付けされた状態では、ストレッチャー5が横付けされる側のストッパー39(継手レール8)が両レール3・4に合致する高さになるとともに両レール3・4に一致する同一方向になり、担架の移動を可能にするものである。
【0003】
しかしながら、前記の担架脱落防止装置は、浴槽6を上昇させた際にストレッチャー5を横付けする側と反対側の浴槽6の縁部に設けられるストッパー39が縁部から突出した状態に維持される為、特に、入浴介助者が、ストレッチャー5が横付けされる側と反対側の方向から入浴介助を行う際には、当該ストッパー39が介助作業の妨げになるといった問題点を有していた。
【特許文献1】実用新案登録第2595389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決すべくなされたものであって、入浴介助者が介助作業を行う際に、介助作業の妨げとならない担架脱落防止機構を有する入浴装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を実現する為に、請求項1記載の発明は、入浴者が横たわる担架を載置する搬送車と、所定区間を昇降可能であるとともに内部に前記担架を支持する架台が固設される浴槽と、該浴槽の側壁上面に突没可能に設けられ前記搬送車と前記架台間で前記担架の移動を行うときに前記担架の脱落を防止する脱落防止部材を有する担架脱落防止機構を備える入浴装置であって、前記搬送車が前記浴槽の所定位置に接合されたときに前記担架を前記搬送車と前記架台間で移動可能となるように前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第一の操作機構と、前記浴槽が所定位置に上昇したときに前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第二の操作機構とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、第一の操作機構が、一端が脱落防止部材に止着される線状部材と、該線状部材の他端が止着されるとともに搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときに回転し前記脱落防止部材が没入する方向へ前記線状部材を引張る回転板と、該回転板を回転操作する操作体とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、脱落防止部材が互いに対向する浴槽側壁のそれぞれに配設され、第二の操作機構は少なくとも搬送車が接合される側と反対側の浴槽側壁に設けられる前記脱落防止部材を浴槽上昇時に没入操作することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、第一の操作機構が、一端が脱落防止部材に止着されるリンク又は一端が線状部材を介して脱落防止部材に止着されるリンクと、該リンクの他端側に設けられ搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときに前記脱落防止部材が没入する方向へ前記リンクを作動させるリンク作動体と、該リンク作動体を作動操作する操作体とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、入浴者が横たわる担架を載置する搬送車と、所定区間を昇降可能であるとともに内部に前記担架を支持する架台が固設される浴槽と、該浴槽の側壁上面に突没可能に設けられ前記搬送車と前記架台間で前記担架の移動を行うときに前記担架の脱落を防止する脱落防止部材を有する担架脱落防止機構を備える入浴装置であって、前記搬送車が前記浴槽の所定位置に接合されたときに前記担架を前記搬送車と前記架台間で移動可能となるように前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第一の操作と、前記浴槽が所定位置に上昇したときに前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第二の操作の両操作を行う操作機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、搬送車と浴槽とが所定位置に接合されていないときは浴槽の側壁上面に突出した脱落防止部材により搬送車と架台間における担架の移動が規制され、搬送車が浴槽の所定位置に接合されているときのみ、第一の操作機構によって脱落防止部材が側壁上面に対して没入操作され担架の移動が可能となるので、入浴介助者が搬送車を浴槽の所定位置に接合していないときに担架の移動操作を誤って行い担架を搬送車上或いは架台上から転落させることはなく、入浴介助者は安全に担架の移動操作を行える。
【0011】
浴槽を所定位置に上昇させると、第二の操作機構によって脱落防止部材が側壁上面に対して没入操作されるので、入浴介助作業を行う際に、脱落防止部材が入浴介助者の上肢部等に接触することはなく当該作業の妨げとなることがない。又、入浴介助者が脱落防止部材に誤って衝突し怪我をするといった不都合な事態を回避でき安全に入浴介助作業が行える。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときにのみ回転板が操作体により回転操作され、回転板が線状部材を介して脱落防止部材を没入操作するから、入浴介助者が搬送車を浴槽の所定位置に接合していないときに担架の移動操作を誤って行い担架を搬送車上或いは架台上から転落させることはなく、入浴介助者は安全に担架の移動操作を行える。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、浴槽を所定位置に上昇させると、第二の操作機構によって搬送車が接合される側と反対側の浴槽側壁に設けられる脱落防止部材が没入操作されるので、搬送車が接合される側と反対側の浴槽側壁の方向から入浴介助者が入浴介助作業を行う際に、脱落防止部材が入浴介助者の上肢部等に接触することはなく、入浴介助作業の妨げとならず好適である。
【0014】
請求項4記載の発明のように、搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときにのみリンク作動体を操作体で操作し、リンクを介して脱落防止部材を没入操作するように構成しても前述した請求項2記載の発明と同様の効果が得られる。
【0015】
請求項5記載の発明のように、搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときに担架を搬送車と架台間で移動可能となるように脱落防止部材を側壁上面に対して没入操作する第一の操作と、浴槽が所定位置に上昇したときに脱落防止部材を側壁上面に対して没入操作する第二の操作の両操作を行う操作機構を備えるようにしても、前述した請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1を図1乃至5を参照して説明する。図1は入浴装置1を示す平面図、図2は担架脱落防止機構23を示す部分側断面図、図3は第一の操作機構25を示す部分平断面図、図4は第二の操作機構40を示す部分側断面図、図5は入浴装置1の部分側断面図である。
【0018】
図1に示すように本発明の入浴装置1は、平面視略長方形状の浴槽2と、該浴槽2の入浴部3内に設けられる架台12と、入浴者を仰臥姿勢に横たわらせる担架5と、該担架5を載置し搬送する搬送車6とを主たる構成要素としている。
【0019】
まず、図5を用いて浴槽2の構成を説明する。図5に示すように浴槽2は浴室床面7に複数の脚を介して載置される略コ字状の基フレーム8の底板部8a上に載置されており、浴槽2は底板部8aと浴槽2の底壁2a下部とにわたって介装される浴槽昇降手段9によって所定区間を上下昇降可能になされている。
【0020】
浴槽昇降手段9は、底板部8aと底壁2a下面との間であって浴槽2短辺方向に平行状に配設され開閉脚自在のX字状のパンタグラフ10・10と、不図示のロッド部先端部が両パンタグラフ10・10を連結する連結杵45の所定箇所に軸着されると共にピストン部11aが底板蔀8aに軸着される油圧シリンダ11と、該油圧シリンダ11の前記ロッド部をピストン部11aに対して伸長又は収縮させることによりパンタグラフ10・10を閉脚方向又は開脚方向に駆動させる不図示の油圧ユニットとから構成される。
【0021】
前記油圧ユニットとピストン部11aとは配管接続されており、前記油圧ユニットを駆動させ、前記ロッドを伸長させるとパンタグラフ10・10が同期して閉脚方向に駆動することによって浴槽2が上昇し、逆に前記ロッドを収縮させるとパンタグラフ10・10が同期して開脚方向に駆動し浴槽2が下降する。
【0022】
また、浴槽2内部には底板部8a上に一端部が固着されると共に底壁2aの略中心部を貫通して鉛直状に延設される支柱部12aと、該支柱部12aの他端部に担架5を支持する平面視略長方形状の支持板部12bとからなる架台12が設けられている。支柱部12aが貫通される底壁2aと支柱12a外周面とは封止部材13で液密にシールされ、入浴部3内に貯溜される湯水を入浴部3外へ漏出させない処置が施されている。
【0023】
支持板部12b上面の長手方向の左右位置には搬送車6から移動される担架5を支持板部12b上の所定位置に案内する架台側案内レール14・14が所定の間隔を有して平行に配設されている。支持板部12bの中央部には架台12と担架5とがロックされていることを検知する近接センサ15が固着される(図1参照)。
【0024】
次に、図5を用いて搬送車6の構成を簡略に説明する。搬送車6は担架5と、該担架5を支持する台車部18とから構成される。台車部18は下端部の四隅にキャスター16を有するフレーム17を有しており、該フレーム17上部には長辺方向に向かって搬送車側案内レール19・19が架台側案内レール14・14と同間隔にて平行に配置されている。台車部18上に載置される担架5の担架フレーム20下面にはローラフレーム21が取着され、該ローラフレーム21に複数輪のローラ22が転動自在に取着されている。
【0025】
次に、一搬送車6と架台12間で担架5の移動を行うときに担架5の脱落を防止する担架脱落防止機構23の構成について説明する。担架脱落防止機構23は浴槽2の長辺側壁2b・2bに対してそれぞれ突没可能に設けられる脱落防止部材24・24と、一方(図1中、下方向)の脱落防止部材24を突没操作する第一の操作機構25とを有している。
【0026】
図1に示すように両脱落防止部材24・24は一方(図1中、左方向)の架台側案内レール14の軸線上に配置されるようにそれぞれの長辺側壁2b・2bに設けられている。両脱落防止部材24・24は互いに同一構成であるので、以下、一方の脱落防止部材24の構成を例にして説明する。
【0027】
図4に示すように脱落防止部材24は、具体的には棒状部材であり、軸部24aと、該軸部24aより大径の大径棒状部24bとから構成される。脱落防止部材24は図4に示すように長辺側壁2bの内周壁に固着される固定部材28を介して側壁2bに埋設された保持筒29に内嵌して設けられている。保持筒29上方部は側壁2b上面から僅かに突出している。軸部24a外周には、大径棒状部24bを保持筒29上面から上方に突出する方向に付勢するバネ46が介装されている。
【0028】
搬送車6が横付け接合される側の脱落防止部材24(大径棒状部24b)が長辺側壁2b(保持筒29)上面に対して突出状態になされているとき、担架5を台車部18上から架台12方向へ移動させようとすると、ローラ22が脱落防止部材24に当接し担架5の移動が規制され、又、架台12上から台車部18上へ担架5を移動させようとした場合も同様にローラ22が脱落防止部材24に当接し担架5の移動が規制される。
【0029】
次に、図2、図3及び図5を用いて長辺側壁2b上面に対する脱落防止部材24の突没操作を行う第一の操作機構25について説明する。実施例1では図5に示すように一方の長辺側壁2b側(図5中、右側の長辺側壁2b)にのみ第一の操作機構25を設けている。尚、浴槽2が所定下限位置にあり且つ搬送車6が浴槽2の長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されていないとき、脱落防止部材24は図2に示すように長辺側壁2bの上面から一部分が突出した状態に維持されている。
【0030】
図2及び図3に示すように第一の操作機構25は、脱落防止部材24の軸部24a下端に一端が取着される線状部材47としての可撓管付きワイヤー26と、該ワイヤー26の他端が止着されるとともに水平方向に回転することによりワイヤー部26aを引張る回転板33と、該回転板33を回転操作する操作体35とから構成されている。
【0031】
可撓管付きワイヤー26は、ワイヤー部26aが可撓管26bに挿通されて構成され、浴槽2の上昇移動によって脱落防止部材24の突出状態に影響を及ぼさないように充分な長さ寸法を有しており、ワイヤー26の中途2箇所位置は基フレーム8の起曲側面8bに一端部が固着され上方に向かって垂設される支持部材27にて支持されている(図2参照)。
【0032】
一端が脱落防止部材24の軸部24a下端に挿通される軸48に取着されたワイヤー部26aは、基フレーム8の底板部8aを貫通され、他端が後述する回転板33の一端側の軸34に取着されている。又、可撓管26bの一端は固定部材28の適宜位置に取着されるとともに、他端は後述する回転板33を取り付ける取付部材31の適宜位置に取着されている。
【0033】
回転板33は、基フレーム8の底板部8a下面から浴槽2の長辺側壁2b側方に水平に張り出すとともに中途部において上方向に起曲された側面視略L字形状の張出部材30(図5参照)に螺着された平面視略L字形状の取付部材31(図3参照)に形成される突出部31aに回転軸32を支点として水平方向に回転自在に設けられている。
【0034】
可撓管26bの固定位置と反対側位置の取付部材31には浴槽2短辺方向に対して進退動自在に操作体35が設けられている。操作体35は先端がワイヤー部26aの止着側と反対側方向の回転板33側方部に当接する棒状部35aと、該棒状部35a後端に直交するように形成される板状部35bとから形成され略T字形状をなしている。
【0035】
搬送車6が長辺側壁2bの所定位置に横付け接合され、搬送車6のフレーム17下方であって短辺方向に突出状に設けられるガイドローラ36が板状部35bに当接し、該ガイドローラ36によって浴槽2内方向(図3中、左方向)に操作体35が押圧操作されると、回転板33が反時計回りに回転する。この回転板33の回転によって脱落防止部材24を上方付勢しているバネ46の付勢力に抗してワイヤー部26aが引張られ、脱落防止部材24が長辺側壁2bに対して没入操作される。これによって台車部18上から架台12上への担架5の移動が可能となる。
【0036】
搬送車6が長辺側壁2bから離間すると、バネ46の弾性力によってワイヤー部26aが引き戻され、脱落防止部材24が長辺側壁2b上面から突出する。このワイヤー部26aの引き戻しによって、回転板33は時計回りに回転し、操作体35は浴槽2外方向(図3中、右方向)に退動させられる。図3中、一点鎖線で示す回転板33等の位置は操作体35によって押圧操作されていない状態を示す。
【0037】
図3及び図5に示すように張出部材30の起曲部30a側面に沿って入浴介助者の長辺側壁2b側面方向への接近及び接触を防止する防止板37が立設されている。防止板37の側面には台車部18のガイドローラ36を沿わせることで搬送車6を浴槽2の長辺側壁2bの所定位置に誘導案内する案内部材38が形成されている。
【0038】
台車部18のフレーム17下方には搬送車6が長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されたときに搬送車6と浴槽2とをロックするための係止部材39が設けられ、案内部材38長辺方向の中央位置には係止部材39が係合する被係止溝4が欠切形成されている。
【0039】
次に、図4を用いて浴槽2が所定位置に上昇したときに脱落防止部材24を長辺側壁2b上面に対して没入操作する第二の操作機構40の構成について説明する。第二の操作機構40は両長辺側壁2b内部に設けられるが、互いに同一の機構であるので、以下、一方の第二の操作機構40を例にして説明する。
【0040】
第二の操作機構40は一端が軸部24a下端に挿通される軸48に取着されるワイヤー41と、該ワイヤー41他端に一端が引掛けられると共に他端が基フレーム8の起曲側面8bに水平方向に突出固着されるバネポスト42に引掛けられる引張コイルバネ43とから構成される。ワイヤー41の中途位置は脱落防止部材24の保持筒29を固定する固定部材28下方に取着されたワイヤーガイド44に沿わされている。図4中の一点鎖線部分は浴槽2が所定位置に上昇し脱落防止部材24が長辺側壁2b上面に対して没入した状態を示す図である。
【0041】
次に、本発明の入浴装置1の使用方法について説明する。入浴を開始する場合は、不図示の給湯手段を用いて湯水を浴槽2内に貯溜した後、入浴者を横たわらせた担架5を載置する搬送車6を浴槽2の一方(図1中、下方向)の長辺側壁2bに接近させる。ガイドローラ36を案内部材38側面に沿わせながら搬送車6を移動させ、搬送車6を長辺側壁2bの所定位置へ至らせる。
【0042】
搬送車6が長辺側壁2bの所定位置に至ると、係止部材39が案内部材38の被係止溝4に自動的に嵌入し、浴槽2と搬送車6とがロックされ、一対の架台側案内レール14と搬送車側案内レール19とが同一直線上に配列される。
【0043】
同時に、ガイドローラ36によって操作体35の板状部35bが押圧され、棒状部35a先端にて回転板33が押され反時計回り方向に回転する。この回転板33の回転によってワイヤー部26aが引張られ、搬送車6が接合された長辺側壁2b(図5中、右方向の長辺側壁2b)に設けられる脱落防止部材24が長辺側壁2b上面に対して没入し、担架3を架台12方向へ移動させることが可能となる。
【0044】
担架5と台車部18とにわたって介装される不図示のロック手段を手動解除し、担架5を架台12方向へ移動させる。このとき、台車部18が接合される側と反対側の長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24は長辺側壁2b上面に対して突出した状態に維持されており、入浴介助者が移動操作を誤り台車部18が接合されない方向(図5中、左方向)へ担架5を移動させた場合であっても、担架5の移動は当該脱落防止部材24によって阻止され、転落が防止される。
【0045】
また、図示は省略するが、担架5と架台12との間には担架5が架台12上の所定位置に至ると自動的にロックがなされるようにロック手段が介装されている。担架5が架台12上でロックされると、近接センサ15がON作動し、不図示の入浴装置1の制御装置に信号を送信し、浴槽2の上昇移動が許容されるようになっている。
【0046】
次に、台車部18を長辺側壁2bに接合した状態で浴槽2を上昇させる。浴槽2を上昇させる場合は、浴槽昇降手段9の有する油圧シリンダ11を伸長させパンタグラフ10を閉脚方向に作動させる。このパンタグラフ10の作動によって浴槽2が上昇移動し入浴者は入浴可能状態となる。浴槽2の上昇移動は所定上限位置に到達した段階で自動停止する。
【0047】
台車部18が接合される側と反対側の長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24は、浴槽2の上昇移動の初期段階では第二の操作機構40の有する引張コイルバネ43の伸長力によって長辺側壁2b上面から突出した状態を維持しているが、浴槽2が所定距離だけ上昇移動し、引張コイルバネ43の伸長力が消滅した段階で長辺側壁2b上面に対して没入し始める。
【0048】
脱落防止部材24は浴槽2が所定位置(例えば、所定上限位置)に到達した段階で、長辺側壁2b上面に対して没入状態(図4中の一点鎖線部分)となるように引張コイルバネ43の調整がなされている。
【0049】
従って、浴槽2を所定位置に上昇させた後、台車部18が接合される側と反対側の長辺側壁2b方向から入浴介助者が入浴介助作業を行う際に、脱落防止部材24が入浴介助者の上肢部等に接触することはなく、入浴介助作業の妨げとならず好適である。
【0050】
尚、浴槽2の上昇に際して、台車部18が接合される長辺側壁2b側の脱落防止部材24は第一の操作機構25の作用によって当該側壁2b上面に対する没入状態が継続維持されている。
【0051】
入浴を完了する場合は、油圧シリンダ11を収縮させパンタグラフ10を開脚方向に作動させることにより、浴槽2を下降させる。浴槽2の下降移動は、所定下限位置に到達した段階で自動停止する。浴槽2が所定下限位置に至ると、台車部18が接続される側と反対側の長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24は長辺側壁2b上面に対して突出状態となり、台車部18が接合される側の長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24は第一の操作機構25の作用によって没入状態が維持される。
【0052】
担架5と架台12間のロックを手動解除し、担架5を台車部18方向へ移動させ、入浴を完了する。尚、浴槽2が所定上限位置から所定下限位置にまで下降した際に、台車部18が浴槽2の所定位置に接合されていない場合は、両長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24はともに突出状態に維持されており、架台12上から両長辺側壁2b方向への担架5の移動は規制される。
【実施例2】
【0053】
次に、図6乃至8を参照して本発明の実施例2を説明する。尚、図6乃至8において、図1乃至5と同一又は同等の構成要素については、同一符号を付記して、特に説明を要する場合を除いて構成要素の説明は省略する。図6は第一の操作機構25の要部と第二の操作機構40を示す部分側断面図、図7は第一の操作機構25の一部を示す部分平面図、図8は第二の操作機構40の作用を説明する部分側断面図である。
【0054】
実施例2は第一の操作機構25を、一端が脱落防止部材24の軸部24a下端に止着されるリンク55と、このリンク55他端側に設けられ搬送車6が長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されたときに脱落防止部材24が長辺側壁2b上面に対して没入する方向へリンク55を作動させるリンク作動体51と、このリンク作動体51を作動操作する操作体56とを備える構成としたものである。
【0055】
図6に示すように前記軸部24a下端には略直状のリンク片49の一端が連結軸57にて軸着され、このリンク片49他端に側面視で略くの字状に屈曲形成されたリンク片50の一端が連結軸58にて回転自在に連結されている。リンク片49とリンク片50とでリンク55を構成している。
【0056】
前記リンク片50の屈曲部が、浴槽2を支持する上フレーム61上面から上方へ突出するように上フレーム61に固着される側面視略正方形状の支持板59の上方中央部に支軸60にて回転自在に軸着支持されている。リンク片50の他端にはリンクローラ62が取着されている。
【0057】
前記リンクローラ62近傍の基フレーム8側面部には略L型のブラケット63が固着され、このブラケット63の起立面部63a左上部に側面視で略L型の第一のレバー材52が図6中、一点鎖線で示す方向に自重で回転可能に設けられるとともに、水平面部63bには平面視略L型の第二のレバー材53がその屈曲位置に挿通される回転支軸64で水平双方向に回転自在に設けられている。尚、第一のレバー材52を自重回転ではなく、不図示の捻りバネを介して上記同方向に付勢回転させるように設けてもよく、また、第二のレバー材53を回転支軸64に介装する不図示の捻りバネによって図7中、時計回り方向(一点鎖線で示す第二のレバー材53の方向)に付勢回転させるように構成しても勿論よい。
【0058】
第二のレバー材53は一方辺部53aが基フレーム8に接近する方向に延在し、他方辺部53bが水平右方向(図7右方向)に延在する態様で設けられている。一方辺部53aの先端部において一方辺部53aに直交する鉛直上方向に延在するように設けられた取付部材の先端にレバーローラ65が設けられている。第一のレバー材52と第二のレバー材53とレバーローラ65とでリンク作動体51が構成される。
【0059】
図7に示すように他方辺部53b先端側面部には略正方形板状の当接受面部54が一体形成されており、この当接受面部54には後述するリンク作動体51の作動操作を行う操作体56の先端部が当接される。
【0060】
図6に示すように浴槽2が所定の下降位置にあるとき、一方辺部52aはリンクローラ62に、他方辺部52bはレバーローラ65にそれぞれ当接している。
【0061】
操作体56は、台車部18の長辺側の下部フレームに水平外方向に向かって突出固着される突出ピン66(搬送車側操作体)と、基フレーム8長辺に対して接近・離間するように進退動自在に案内部材38と防止板37を貫通状に設けられる平面視略T字状の進退ピン67(浴槽側操作体)とで構成される。
【0062】
進退ピン67は、ピン軸部67bが案内部材38後面と防止板37とを貫通するとともに防止板37後面に固着される筒部材84に挿通され、ピン軸67bの尖頭部が第二のレバー材53の当接受面部54に当接するように設けられている。突出ピン66は搬送車6が浴槽2の長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されたときに、案内部材38前面位置に形成される嵌入孔68に嵌入し進退ピン67の頭部67aに当接するように台車部18の下部フレームに設けられている。
【0063】
第二の操作機構40を構成する引張コイルバネ43の一端(上端)は一端がリンク片49の上下中間位置より下方の位置に連結軸70で軸着されるバネステー69他端に形成される円孔に引掛けられ、引張コイルバネ43他端(下端)はバネポスト42に引掛けられている。
【0064】
次に、第一の操作機構25の作用について説明する。浴槽2が所定下限位置にあるとき、搬送車6(台車部18)が浴槽2の長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されると、突出ピン66により進退ピン67が基フレーム8に接近する方向に進出動し第二のレバー材53の他方辺部53bが図7中、反時計回り方向に回転する。この第二のレバー材53の回転により第一のレバー材52の他方辺部52bがレバーローラ65により押圧され、第一のレバー材52が図6中、時計回り方向に回転する。
【0065】
この第一のレバー材52の回転によりリンクローラ62が押圧されリンク片50全体が支軸60を支点として図6中、反時計回り方向に回転し、リンク片49が下方向に引張られるように移動する結果、搬送車6が横付け接合された側の脱落防止部材24が、その先端上面が長辺側壁2b(保持筒29)上面と略面一となる位置まで没入操作される。尚、搬送車6が横付け接合される側と反対側の長辺側壁2bに設けられる脱落防止部材24は長辺側壁2b上面から突出した状態に維持されている。
【0066】
台車部18上の担架5を架台12上に移動させた後、浴槽昇降手段9を介して浴槽2の上昇を開始すると、浴槽2が所定距離だけ上昇した段階でリンクローラ62が第一のレバー材52から離間し非当接となるに伴って第一の操作機構25が作用しなくなり、バネ46の弾性力により暫時的に搬送車6が横付け接合された側の脱落防止部材24は長辺側壁2b上面に対して突出した状態になるが、浴槽2が更に上昇し引張コイルバネ43の伸長力が消滅(第二の操作機構40が作用)すると、脱落防止部材24が長辺側壁2b上面に対して没入操作され始める。
【0067】
浴槽2が所定上限位置と所定下限位置の間の所定位置にまで上昇したとき、脱落防止部材24は、その先端上面が長辺側壁2b(保持筒29)上面と略面一となる位置まで没入し、以降、浴槽2が所定上限位置に到達するまでその没入状態が維持される。
【0068】
搬送車6が接合される側と反対側の脱落防止部材24も上述した第二の操作機構40の作用によって、浴槽2が所定上限位置と所定下限位置の間の所定位置にまで上昇したときに、脱落防止部材24先端の上面が長辺側壁2b(保持筒29)上面と略面一となる位置まで没入し、以降、浴槽2が所定上限位置に到達するまでその没入状態が維持される(図8参照)。
【0069】
浴槽2が所定上限位置から下降するとき、搬送車6が横付け接合された側の脱落防止部材24は上述した浴槽2が上昇するときの動きと逆の動きをし、所定下限位置に浴槽2が到達した段階で第一の操作機構25によって脱落防止部材25が長辺側壁2b上面に対して没入状態となるよう操作される。
【0070】
尚、浴槽2が下降し所定下限位置に到達したときであって、浴槽2を上昇させるときに横付け接合されていた搬送車6が存在しない場合は、第一のレバー材52が図6中、一点鎖線で示す状態に自重回転し、この第一のレバー材52の自重回転により第二のレバー材53が図7中、一点鎖線で示す状態に押され回転させられ、進退ピン67は図7中、一点鎖線で示す位置に退出動しており、第一の操作機構25は作用しておらず、故に脱落防止部材24は長辺側壁2b上面から突出した状態となる。
【0071】
搬送車の接合側と反対側の脱落防止部材24は、浴槽2が上昇するときの動きと逆の動きをし、浴槽2が所定下限位置に到達すると図8の一点鎖線で示すように長辺側壁2b上面に対して没入状態となるよう操作される。
【実施例3】
【0072】
次に、図9を参照して本発明の実施例3を説明する。尚、図9において、図6と同一又は同等の構成要素については、同一符号を付記して、特に説明を要する場合を除いて構成要素の説明は省略する。図9は第一の操作機構25の要部と第二の操作機構40を示す部分側断面図である。
【0073】
実施例3は、実施例2における第二の操作機構40の引張コイルバネ43を適切な長さ寸法に増大変更するとともに、一端に引張コイルバネ43の一端(上端)が引掛けられるバネステー69の他端を、連結軸57を介して脱落防止部材24の軸部24aに軸着したものであって、実施例3おける第一の操作機構25及び第二の操作機構40は前述した実施例2におけるそれぞれの操作機構と同等の作用を奏するものである。
【実施例4】
【0074】
次に、図10乃至13を参照して本発明の実施例4を説明する。尚、図10乃至12において、図1乃至9と同一又は同等の構成要素については、同一符号を付記して、特に説明を要する場合を除いて構成要素の説明は省略する。図10は操作機構71の要部を示す部分側断面図、図11は操作機構71の一部を示す部分平面図、図12は操作機構71の第二の操作の作用を説明する部分側断面図、図13は図12におけるA−A矢視方向の部分拡大側断面図である。
【0075】
実施例4は、搬送車6が浴槽2の所定位置に横付け接合されたときに担架5を搬送車6と架台12間で移動可能となるように脱落防止部材24を長辺側壁2b上面に対して没入操作する第一の操作と、浴槽2が所定位置に上昇したときに脱落防止部材24を長辺側壁2b上面に対して没入操作する第二の操作の両操作を一つの操作機構71で実現したものである。
【0076】
以下、この操作機構71の構成について説明する。図10に示すように脱落防止部材24の軸部24aに一端が軸着されたリンク片49の他端にリンク片73の一端が軸着され、リンク片73の他端側には円弧状屈曲部73aが形成されている。リンク片73は実施例2における形状と少し異なる支持板59の左上端位置に形成される凸部に支軸74にて回転自在に設けられている。
【0077】
また、支持板59の右上方位置には、図10に示すように一端側(リンク片73側)が側面視で略くの字状に屈曲形成されるとともに、他端側が図13に示すように上フレーム61方向に屈曲形成されたリンク片75がくの字の屈曲位置に挿通される支軸76にて回転自在に設けられている。実施例4におけるリンク72は前記の3個のリンク片49・73・75から構成されている。
【0078】
リンク片75の一端にはリンクローラ77が軸着されており、このリンクローラ77は対向する円弧状屈曲部73aと当接可能に配置されている。リンク片75の他端にはリンクローラ78が軸着されている。図10、13に示すように、リンク片75の一方面には略L型に屈曲形成されたL型金具80の起立側面部80aが固着されている。リンク片75は、リンク片75と支持板59間の支軸76に介装される不図示の捻りバネによって図10中、反時計回り方向(一点鎖線で示すリンク片75の方向)に付勢されている。
【0079】
図11に示すように、防止板37後面の左右中央部において略L型のブラケット63を介して略L型のレバー材79が水平方向に回転自在に軸着されている。レバー材79は、レバー材79とブラケット63との間の回転支軸64に介装される不図示の捻りバネによって図11中、時計回り方向(一点鎖線で示すレバー材79の方向)に付勢されている。レバー材79の一方辺部79a先端部においてこの一方辺部79aに直交して鉛直上方向に延在するように固着された取付部材の先端にレバーローラ81が設けられ、このレバーローラ81は浴槽2が所定下限位置にあるとき前記L型金具80の下面部80bの下面に常時当接している(図10、12参照)。
【0080】
レバー材79とレバーローラ81は、搬送車6の台車部18が浴槽2の所定位置に接合されたときにリンク72を作動させ、脱落防止部材24を長辺側壁2b上面に対して没入させるリンク作動体82を構成する。
【0081】
搬送車6の台車部18が浴槽2の所定位置に接合されたときにリンク作動体82の作動操作を行う突出ピン66及び進退ピン67からなる操作体56の構成は実施例2と同等の為、ここでの説明は省略する。また、浴槽2が所定位置に上昇したときは、リンク作動体82及び操作体56は作用せず、その代替として浴槽2を支持する上フレーム61下面に貼着される補強板85面に摺接し転動するパンタグラフ10のローラ83がリンク作動体82と操作体56の両方の役割を果たす(図12参照)。
【0082】
以下、前述した操作機構71の作用について説明する。浴槽2が所定下限位置にあるとき、搬送車6(台車部18)が浴槽2の長辺側壁2bの所定位置に横付け接合されると、突出ピン66により進退ピン67が基フレーム8に接近する方向に進出動しレバー材79の他方辺部79bが図11中、反時計回り方向に回転する。このレバー材79の回転によりL型金具80がレバーローラ81により押圧されリンク片75が支軸76を支点として図10中、時計回り方向に僅かに回転する。
【0083】
このリンク片75の回転によってリンクローラ77がリンク片73を押圧し、リンク片73が支軸74を支点として反時計回り方向に回転する。このリンク片73の回転によりリンク片49が下方へ移動し、脱落防止部材24が長辺側壁2b上面に対して没入操作される(第一の操作)。尚、このとき、脱落防止部材24は、その先端上面が長辺側壁2b(保持筒29)上面と略面一となる位置まで没入操作されている。(図10参照)。脱落防止部材24が没入操作されたとき、リンクローラ77は円弧状屈曲部73aの円弧面に当接している。
【0084】
次に、浴槽2が所定位置に上昇したときに搬送車6が横付け接合された側の脱落防止部材24を長辺側壁2b上面に対して没入操作(第二の操作)する操作機構71の作用を説明する。
【0085】
パンタグラフ10を開脚作動させると浴槽2が上昇を開始する。浴槽2が僅かな距離だけ上昇すると、L型金具80の下面部80bからレバーローラ81が離間し非当接となるに伴い、不図示の捻りバネによってリンク片75が図10中、反時計回り方向(一点鎖線方向)に付勢回転する。このリンク片75の回転はL型金具80の下面部80b上面が補強板85に接触した時点で規制される。リンク片75が回転し、リンク片73とリンク片49がバネ46の弾性力により上方向に引っ張られる結果、脱落防止部材24が長辺側壁2b上面から暫時的に突出した状態になる。
【0086】
浴槽2が更に上昇するにつれて図12中、右上方向に位置するパンタグラフ10のローラ83が右から左方向へ補強板85面を摺接転動する。浴槽2が所定下限位置から所定距離だけ上昇したある所定位置でローラ83がリンク片75他端のリンクローラ78に当接することで、リンク片75が押圧され支軸76を支点として時計回り方向に回転する。
【0087】
このリンク片75の回転によって、リンク片73が押され支軸74を支点として反時計回り方向に回転する。このリンク片73の回転によりリンク片49が下方へ移動し、脱落防止部材24が長辺側壁2b(保持筒29)上面と略面一となる位置まで没入操作される(第二の操作)。
【0088】
リンク片75は脱落防止部材24が没入操作された以降も、ローラ83の左方向への転動により回転し、リンクローラ77が当該円弧面に沿って移動するが、リンクローラ77が円弧状屈曲部73aの円弧面に当接したとき、円弧面の中心が支軸76の軸心線上に配置されるように設計されているので、浴槽2が前記の所定位置(脱落防止部材24が没入操作されたときの位置)から所定上限位置に上昇するまでの間、リンク片73は殆ど回転せず、従って、脱落防止部材24は長辺側壁2b上面と略面一となる位置に維持される。
【0089】
搬送車6が横付け接合されていない側の脱落防止部材24も上述したローラ83によってリンク72(リンク片49・73・75)が回転操作され、浴槽2が所定下限位置と所定上限位置との間の所定位置に上昇した段階で長辺側壁2b上面と略面一となる位置まで没入操作される。
【0090】
本発明は実施例1乃至4で述べた実施態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更できることは言うまでもない。例えば、前述した実施例1では第一の操作機構25を一方の長辺側壁2b内部にのみ設けた態様を説明したが、同一の操作機構25を他方の長辺側壁2b内部にも設け、いずれの長辺側壁2b方向からも台車部18と架台12の相互間で担架5の移動が行えるように入浴装置1を構成しても勿論良い。
【0091】
また、リンク片、レバー材の形状等は実施例2乃至4において述べたものに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。また、図示は省略するが、例えば、実施例2において脱落防止部材24下端に直接止着しているリンクを、例えばワイヤー等の線状部材を介して脱落防止部材24に止着するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、歩行困難な身体障害者又は高齢者を担架に横たわらせた状態で入浴させる入浴装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施例1に係る入浴装置を示す平面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る担架脱落防止機構を示す部分側断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る第一の操作機構を示す部分平断面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る第二の操作機構を示す部分側断面図である。
【図5】本発明の実施例1に係る入浴装置の部分側断面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る第一の操作機構の要部と第二の操作機構を示す部分側断面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る第一の操作機構の一部を示す部分平面図である。
【図8】本発明の実施例2に係る第二の操作機構の作用を説明する部分側断面図である。
【図9】本発明の実施例3に係る第一の操作機構の要部と第二の操作機構を示す部分側断面図である。
【図10】本発明の実施例4に係る操作機構の要部を示す部分側断面図である。
【図11】本発明の実施例4に係る操作機構の一部を示す部分平面図である。
【図12】本発明の実施例4に係る操作機構の第二の操作の作用を説明する部分側断面図である。
【図13】図12におけるA−A矢視方向の部分側断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 入浴装置
2 浴槽
2b 側壁
5 担架
6 搬送車
12 架台
23 担架脱落防止機構
24 脱落防止部材
25 第一の操作機構
33 回転板
35 操作体
40 第二の操作機構
47 線状蔀材
51 リンク作動体
55 リンク
56 操作体
71 操作機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴者が横たわる担架を載置する搬送車と、所定区間を昇降可能であるとともに内部に前記担架を支持する架台が固設される浴槽と、該浴槽の側壁上面に突没可能に設けられ前記搬送車と前記架台間で前記担架の移動を行うときに前記担架の脱落を防止する脱落防止部材を有する担架脱落防止機構を備える入浴装置であって、前記搬送車が前記浴槽の所定位置に接合されたときに前記担架を前記搬送車と前記架台間で移動可能となるように前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第一の操作機構と、前記浴槽が所定位置に上昇したときに前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第二の操作機構とを備えることを特徴とする入浴装置。
【請求項2】
第一の操作機構には、一端が脱落防止部材に止着される線状部材と、該線状部材の他端が止着されるとともに搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときに回転し前記脱落防止部材が没入する方向へ前記線状部材を引張る回転板と、該回転板を回転操作する操作体とが備えられることを特徴とする請求項1記載の入浴装置。
【請求項3】
脱落防止部材は互いに対向する浴槽側壁のそれぞれに配設され、第二の操作機構は少なくとも搬送車が接合される側と反対側の浴槽側壁に設けられる前記脱落防止部材を浴槽上昇時に没入操作することを特徴とする請求項1記載の入浴装置。
【請求項4】
第一の操作機構には、一端が脱落防止部材に止着されるリンク又は一端が線状部材を介して脱落防止部材に止着されるリンクと、該リンクの他端側に設けられ搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときに前記脱落防止部材が没入する方向へ前記リンクを作動させるリンク作動体と、該リンク作動体を作動操作する操作体とが備えられることを特徴とする請求項1記載の入浴装置。
【請求項5】
入浴者が横たわる担架を載置する搬送車と、所定区間を昇降可能であるとともに内部に前記担架を支持する架台が固設される浴槽と、該浴槽の側壁上面に突没可能に設けられ前記搬送車と前記架台間で前記担架の移動を行うときに前記担架の脱落を防止する脱落防止部材を有する担架脱落防止機構を備える入浴装置であって、前記搬送車が前記浴槽の所定位置に接合されたときに前記担架を前記搬送車と前記架台間で移動可能となるように前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第一の操作と、前記浴槽が所定位置に上昇したときに前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第二の操作の両操作を行う操作機構を備えることを特徴とする入浴装置。
【請求項1】
入浴者が横たわる担架を載置する搬送車と、所定区間を昇降可能であるとともに内部に前記担架を支持する架台が固設される浴槽と、該浴槽の側壁上面に突没可能に設けられ前記搬送車と前記架台間で前記担架の移動を行うときに前記担架の脱落を防止する脱落防止部材を有する担架脱落防止機構を備える入浴装置であって、前記搬送車が前記浴槽の所定位置に接合されたときに前記担架を前記搬送車と前記架台間で移動可能となるように前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第一の操作機構と、前記浴槽が所定位置に上昇したときに前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第二の操作機構とを備えることを特徴とする入浴装置。
【請求項2】
第一の操作機構には、一端が脱落防止部材に止着される線状部材と、該線状部材の他端が止着されるとともに搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときに回転し前記脱落防止部材が没入する方向へ前記線状部材を引張る回転板と、該回転板を回転操作する操作体とが備えられることを特徴とする請求項1記載の入浴装置。
【請求項3】
脱落防止部材は互いに対向する浴槽側壁のそれぞれに配設され、第二の操作機構は少なくとも搬送車が接合される側と反対側の浴槽側壁に設けられる前記脱落防止部材を浴槽上昇時に没入操作することを特徴とする請求項1記載の入浴装置。
【請求項4】
第一の操作機構には、一端が脱落防止部材に止着されるリンク又は一端が線状部材を介して脱落防止部材に止着されるリンクと、該リンクの他端側に設けられ搬送車が浴槽の所定位置に接合されたときに前記脱落防止部材が没入する方向へ前記リンクを作動させるリンク作動体と、該リンク作動体を作動操作する操作体とが備えられることを特徴とする請求項1記載の入浴装置。
【請求項5】
入浴者が横たわる担架を載置する搬送車と、所定区間を昇降可能であるとともに内部に前記担架を支持する架台が固設される浴槽と、該浴槽の側壁上面に突没可能に設けられ前記搬送車と前記架台間で前記担架の移動を行うときに前記担架の脱落を防止する脱落防止部材を有する担架脱落防止機構を備える入浴装置であって、前記搬送車が前記浴槽の所定位置に接合されたときに前記担架を前記搬送車と前記架台間で移動可能となるように前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第一の操作と、前記浴槽が所定位置に上昇したときに前記脱落防止部材を前記側壁上面に対して没入操作する第二の操作の両操作を行う操作機構を備えることを特徴とする入浴装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−75588(P2007−75588A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109101(P2006−109101)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】
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