説明

内容物移し替え用のジョイント部材

【課題】内容物を移し替える際に、内容物の漏れをより確実に抑制すること。
【解決手段】口部を有する容器から口部を有する他の容器に内容物を移し替える内容物移し替え用のジョイント部材20である。ジョイント部材20は、管状に形成され、両端部が口部を挿入接続可能に形成された管本体部22と、管本体部22内に設けられ、管本体部22の両端部のそれぞれに挿入接続された2つの口部の先端周縁部に密着した状態で、それら2つの口部間に介在可能な管状の密着部30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チューブの内容物等を移し替える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、チューブからチューブへ内容物を移し替えるジョイント部材が開示されている。特許文献1には、略管状部材の内部壁にチューブの口部のネジ山と係合可能なネジ溝が形成されたジョイント部材が開示されている。そして、ジョイント部材の2つの開口それぞれに、チューブの口部を取り付けることで、それらチューブの口部同士が密着するようになっている。これにより、一方のチューブの内容物を他方のチューブに移し替えることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、ジョイント部材内部でチューブの口部の先端部同士が突合わされる。このため、内容物の移し替え時等に、内容物が、2つの口部の突き合せ部分間を通って漏出する恐れがある。そして、漏れ出た内容物が、チューブの口部を汚してしまったり、キャップの開け閉め動作に不都合を生じさせたりすることがある。
【0005】
そこで、本発明は、内容物を移し替える際に、内容物の漏れをより確実に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1の態様は、口部を有する容器から口部を有する他の容器に内容物を移し替える内容物移し替え用のジョイント部材であって、管状に形成され、両端部が口部を挿入接続可能に形成された管本体部と、前記管本体部内に設けられ、前記管本体部の両端部のそれぞれに挿入接続された2つの前記口部の先端周縁部に密着した状態で、それら2つの前記口部間に介在可能な管状の密着部とを備える。
【0007】
第2の態様は、第1の態様に係る内容物移し替え用のジョイント部材であって、前記密着部は、前記管本体部の軸方向中間部の内周周りに形成された環状張出し部と、前記環状張出し部の軸方向両端部に配設された一対の環状弾性リングとを有する。
【0008】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る内容物移し替え用のジョイント部材であって、前記管本体部の少なくとも一方の端部に、ねじ溝が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
第1の態様によると、管本体部内に、前記管本体部の両端部のそれぞれに挿入接続された2つの前記口部の先端周縁部に密着した状態で、それら2つの前記口部間に介在可能な管状の密着部が設けられているため、口部と口部とが、隙間をなるべく抑制した状態で密着部を介して連結され、ある容器の口部から他の容器の口部に内容物を移し替える際に、内容物の漏れをより確実に抑制することができる。
【0010】
第2の態様によると、前記管本体部の軸方向中間部の内周周りに環状張出し部を形成し、この環状張出し部の軸方向両端部に一対の環状弾性リングを配設すればよいため、比較的容易にジョイント部材を製造することができる。
【0011】
第3の態様によると、前記管本体部の端部の内周部に、ねじ溝が形成されていると、ねじ山を有する口部をより強く密着部に押付けることができると共に、その状態をより確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る内容物移し替え用のジョイント部材を示す分解斜視図である。
【図2】ジョイント部材を示す断面図である。
【図3】ジョイント部材の使用例を示す説明図である。
【図4】ジョイント部材の使用例を示す説明図である。
【図5】2つの口部をジョイント部材に連結した状態を示す図である。
【図6】2つの口部をジョイント部材に連結した状態を示す部分拡大断面図である。
【図7】変形例に係るジョイント部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に係る内容物移し替え用のジョイント部材について説明する。図1はジョイント部材20を示す分解斜視図であり、図2はジョイント部材20を示す断面図であり、図3及び図4はジョイント部材20の使用例を示す説明図であり、図5は2つの口部14をジョイント部材20に連結した状態を示す図であり、図6は2つの口部14をジョイント部材20に連結した状態を示す部分拡大図である。
【0014】
このジョイント部材20は、ある容器10から他の容器10に内容物を移し替える部材として構成されている。
【0015】
ここでは、容器10として、いわゆるチューブ状の容器を想定しており、この容器10内には、内容物18として練り歯磨、ペースト状食品等が充填される(図3参照)。より具体的には、容器10は、内容物18が充填される容器本体12と、内容物が押出される口部14とを備えている。
【0016】
容器本体12は、可撓性を有するフィルム状材料により形成され、扁平な筒状形状を有している。容器本体12の長手方向の一端部は、中間部に口部14を配設した状態で直線状に重ね合され、熱溶着等により閉じ合わされている。また、容器本体12の長手方向の他端部は、熱溶着等により直線状に閉じられている。容器本体12は、ポリエチレン等の弾力性のあるプラスチック材料で構成されることが好ましい。
【0017】
口部14は、管状の部材であり、一方の端部は容器本体12の内部空間と繋がり、他方の端部は外部に開口している。この口部14の外周部には、口部14の開口を塞ぐキャップを取付固定するためのねじ山15が形成されている。この口部14も、ポリエチレン等の弾力性のあるプラスチック材料で構成することができる。
【0018】
上記容器本体12内に内容物18が充填された状態では、容器本体12は断面略円形状に膨らんでいる。この状態で、容器本体12を人手等で押圧すると、内容物18が口部14を通って押出される。また、上記容器本体12内に内容物18が空になった状態では、容器本体12は扁平形状となっている。この状態で、口部14を通じて内容物を容器本体12内に押込むと、容器本体12が断面略円形状に膨らんでその内部に内容物18が充填されるようになる。
【0019】
なお、本実施形態では、容器10が上記のようなチューブである例で説明するが、当該例に限られない。容器10としては、その他、液体或は粉体等を収納可能なプラスチック製或はガラス製の容器であってもよい。つまり、容器10としては、内容物を出し入れする口部を有する構成であればよい。
【0020】
ジョイント部材20は、管本体部22と、密着部30とを備えている。
【0021】
管本体部22は、管状に形成されており、その両端部それぞれに口部14を挿入接続可能に構成されている。すなわち、管本体部22は、口部14を挿入接続可能な管状、より具体的には、内径が口部14の外径とほぼ同じである管状に形成されている。また、管本体部22の内周部の両端部それぞれに、口部14に形成されたねじ山15と螺合可能なねじ溝23が形成されている。管本体部22の両端部に形成されたねじ溝23の向きは対象となる口部14の向きに応じて形成される。
【0022】
なお、管本体部22の内周部の両端部にねじ溝23が形成されていることは必須ではなく、また、口部14にねじ山が形成されていることも必須ではない。管本体部の内周部に1つ又は複数の突起が形成され、この突起に口部の外周部に形成された突起部分が係止することで、口部が管本体部の端部に挿入接続される構成であってもよい。また、管本体部の端部が拡縮変形可能な弾性を有し、口部が管本体部の端部に挿入されると、管本体部の端部が弾性により口部に締付けられて、口部が管本体部の端部に挿入接続される構成であってもよい。すなわち、管本体部の端部内に口部を挿入した状態で、管本体部の端部と口部とがその軸方向に位置決めできる構成であればよい。また、管本体部の両端部で、口部を挿入接続するための構成が異なっていてもよい。
【0023】
密着部30は、上記管本体部22内に設けられており、上記管本体部22の両端部それぞれに口部14を挿入接続した状態で、2つの口部14の先端周縁部に密着しつつ、当該2つの口部14間に介在可能に構成されている。
【0024】
ここでは、密着部30は、鍔状張出し部32と一対の環状弾性リング34とを有している。
【0025】
鍔状張出し部32は、管本体部22の軸方向中間部の内周全体に環状に突出するように形成されている。ここでは、管本体部22と鍔状張出し部32とは、樹脂等によって一体形成されている。鍔状張出し部32の内径は、口部14の内径と略同じに設定されることが好ましい。
【0026】
環状弾性リング34は、ゴム、軟質樹脂等のエラストマー、コルク等の弾性材料によって形成された環状部材である。環状弾性リング34としては、いわゆるゴム製のOリングを用いることができる。環状弾性リング34の外径は、管本体部22の内径と略同じに設定されることが好ましく、また、環状弾性リング34の内径は口部14の内径と略同じに設定されることが好ましい。この環状弾性リング34は、鍔状張出し部32の環状端面に当接させた状態で、管本体部22内に挿入保持されている。環状弾性リング34は、自己の弾性力によって管本体部22の内周面に押付けられて当該管本体部22内に保持される構成であってもよいし、管本体部22の内周面に形成された環状溝に嵌め込まれて位置決め保持される構成であってもよいし、その他、接着剤等で管本体部22内に位置決めされる構成であってもよい。
【0027】
また、管本体部22内の軸方向における鍔状張出し部32の環状端面及び環状弾性リング34の位置は、管本体部22の端部に口部14を挿入接続した状態で、口部14の先端周縁部が環状弾性リング34を圧縮変形させつつ当該環状弾性リング34に密着可能な位置に設定されている。
【0028】
上記したように、管本体部22の端部に対して口部14がねじ締め固定される構成である場合、口部14を最も奥にねじ締めした状態よりも手前の状態で、口部14の先端周縁部が環状弾性リング34に当接するように、鍔状張出し部32の環状端面及び環状弾性リング34の位置を設定しておくとよい。
【0029】
また、管本体部22の端部に対して口部14が係止構造等によって一定位置で固定される構成である場合、口部14を管本体部22の端部に位置決め固定した状態で、口部14の先端周縁部が環状弾性リング34を若干圧縮変形させつつ当該環状弾性リング34に当接するように、鍔状張出し部32の環状端面及び環状弾性リング34の位置を設定しておくとよい。
【0030】
上記のように構成されたジョイント部材20の使用方法について説明する。
【0031】
まず、空の容器10と、内容物18が充填されている容器10とを準備する。そして、空の容器10の口部14をジョイント部材20の一端部内に挿入し、ジョイント部材20及び空の容器10の少なくとも一方を回転させて、口部14とジョイント部材20の一端部とをねじ締め固定する。そして、口部14の先端周縁部を一方側の環状弾性リング34に密着させる。次に、内容物18が充填されている容器10の口部14をジョイント部材20の他端部内に挿入し、ジョイント部材20及び内容物が充填されている容器10の少なくとも一方を回転させて、口部14とジョイント部材20の他端部とをねじ締め固定する。そして、口部14の先端周縁部を他方側の環状弾性リング34に密着させる。これにより、2つの口部14の内周部が一対の環状弾性リング34の内周部及び鍔状張出し部32の内周部を通じて連なるようになる。この状態では、口部14の先端周縁部は、環状弾性リング34に押付けられているため、口部14の先端周縁部と環状弾性リング34との間、鍔状張出し部32と環状弾性リング34との間には、内容物18が漏出するような隙間の発生は抑制されている。
【0032】
上記状態で、内容物18が充填されている容器10を人手等で押圧すると、内容物18が口部14を通って押出される。押出された内容物18は、内容物18が充填されている容器10側の環状弾性リング34の内周部、鍔状張出し部32の内周部、空の容器10側の環状弾性リング34の内周部を通り、空の容器10側の口部14を通ってその容器本体12内に進入し、当該容器本体12内に充填される。これにより、内容物18が充填された容器10から空の容器10に内容物18が移し替えられる。なお、内容物18の移し替えは、上記のように押出の力によって行う他、内容物18の性質によっては重力等の力を利用して行われてもよい。
【0033】
以上のように構成されたジョイント部材20によると、管本体部22内に、管本体部22の両端部のそれぞれに挿入接続された2つの口部14の先端周縁部に密着した状態で当該2つの口部14間に介在可能な管状の密着部30が設けられているため、口部14と口部14とが、隙間をなるべく抑制した状態で密着部30を介して連結される。このため、内容物18が充填されている容器10から空の容器10に内容物18を移し替える際に、内容物18の漏れをより確実に抑制することができる。
【0034】
また、容器10を押圧することによって押出された内容物18が、そのままの状態で空気に触れることなく移し替えられるので、空気の混入を抑制しつつ内容物18の移し替えを行うことができる。これにより、移し替え後の容器10における内容物18の劣化等を抑制することができる。
【0035】
また、管本体部22内の内周部に鍔状張出し部32を形成し、この鍔状張出し部32の軸方向両端部に一対の環状弾性リング34を配設すればよいため、比較的容易にジョイント部材20を製造することができる。
【0036】
さらに、管本体部22内の端部の内周部にねじ溝23が形成されており、ねじ山15を有する口部14を管本体部22の端部にねじ締め固定しているため、口部14の先端周縁部を比較的強く密着部30に押付けることができる。これにより、口部14と密着部30との隙間をより確実に塞いで、内容物18の漏れをより確実に抑制することができる。また、ジョイント部材20と口部14との接続状態をより確実に維持することができ、内容物18を移し替える作業中におけるジョイント部材20からの口部14の脱落等を抑制できる。
【0037】
{変形例}
なお、上記実施形態では、密着部30が鍔状張出し部32と一対の環状弾性リング34とを備える構成である例で説明したが、必ずしもその必要はない。
【0038】
例えば、図7に示すジョイント部材120のように、密着部130が、ゴム、軟質樹脂等のエラストマー、コルク等の弾性材料によって形成された単一の管状部材として形成され、この密着部130が、上記管本体部22に相当する管本体部122の内周部の軸方向中間部に設けられていてもよい。この場合、密着部130は、管本体部122に対してインサート成型されていてもよいし、或は、別途形成されていてもよい。後者の場合、密着部130を上記管本体部22内に圧入固定してもよいし、接着剤等で固定してもよい。
【0039】
また、ジョイント部材の全体が弾性を有する材料によって形成されている場合には、管本体部及び密着部の全体が樹脂金型成型等によって単一の部材として一体形成されていてもよい。
【0040】
さらに、上記実施形態において、ジョイント部材20の内径及び外径は、その両端部で同じである必要はない。特に、ジョイント部材20の内径は、移し替え対象となる容器10の口部14の外径に合わせて適宜設定することができる。ジョイント部材20の内径を両端部で異ならせた場合、当該両端の内径に合わせて密着部30の内周部をテーパー状に形成するとよい。
【0041】
また、上記管本体部22の中間部、特に、鍔状張出し部32を形成した部分がL字状等に曲っていてもよい。
【0042】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 容器
12 容器本体
14 口部
18 内容物
20、120 ジョイント部材
22、122 管本体部
23 ねじ溝
30、130 密着部
32 鍔状張出し部
34 環状弾性リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を有する容器から口部を有する他の容器に内容物を移し替える内容物移し替え用のジョイント部材であって、
管状に形成され、両端部が口部を挿入接続可能に形成された管本体部と、
前記管本体部内に設けられ、前記管本体部の両端部のそれぞれに挿入接続された2つの前記口部の先端周縁部に密着した状態で、それら2つの前記口部間に介在可能な管状の密着部と、
を備える内容物移し替え用のジョイント部材。
【請求項2】
請求項1記載の内容物移し替え用のジョイント部材であって、
前記密着部は、
前記管本体部の軸方向中間部の内周周りに形成された環状張出し部と、前記環状張出し部の軸方向両端部に配設された一対の環状弾性リングとを有する、内容物移し替え用のジョイント部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の内容物移し替え用のジョイント部材であって、
前記管本体部の少なくとも一方の端部に、ねじ溝が形成されている、内容物移し替え用のジョイント部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−62103(P2012−62103A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209020(P2010−209020)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(506095526)
【Fターム(参考)】