説明

内燃機関用消音装置

【課題】耐熱性や耐腐食性に優れてコストが安く、しかも消音効果の優れた内燃機関用消音装置を提供する。
【解決手段】入口管と出口管とを有する消音器の内部に前記入口管と出口管と連通する連通管が内設され、前記消音器の外筒と前記連通管の間には吸音材が充填された内燃機関用消音装置において、複数の小孔が穿設された前記連通管の外周に打抜金網を巻回した構成とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、自動車等の内燃機関に使用される消音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車等に使用される内燃機関(以下エンジンという)用消音装置においては、エンジンの出力を低下させないように排気ガスを遮断せず、しかも消音を行う共鳴式マフラと呼ばれる消音装置がある。
この共鳴式マフラの従来例を図4に示す。同図において、マフラボディ10の中心部に周囲に多数の小孔11aが形成された円筒形の連通管11が貫通しており、この連通管11とマフラボディ10の間は膨張室12を形成しており、この膨張室12には吸音のために耐熱性のグラスウール13が充填されている。
【0003】
また、連通管11の周囲には、グラスウール13が連通管11の小孔11aより連通管11内に入り込み排気ガスと一緒に飛散するのを防止するため、図5に示すように、毛糸状にした細いステンレス線をロープ状に編んだステンレスロープ14が巻き付けられている。
エンジンから排出される排気ガスと一緒に排気音は、連通管11を通過する時に連通管11の孔11aより膨張室12のグラスウール13の中に拡散され消音されるものである。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の消音装置においては、連通管11に巻き付けられたステンレスロープ14の密度が高いため、排気ガスおよびその排気音がステンレスロープ14に遮断されてしまい吸音材のグラスウール13の中に十分拡散せず、消音効果が低下してしまうという問題点があった。
また、このステンレスロープ14は、耐熱性や耐腐食性に優れているがコストが高いので、結局消音装置が高価になってしまうという問題点もあった。
【0005】
本考案は、上記した従来の問題点に鑑みなされたもので、耐熱性や耐腐食性に優れてコストが安く、しかも消音効果の優れた内燃機関用消音装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本考案は、入口管と出口管とを有する消音器の内部に前記入口管と出口管と連通する連通管が内設され、前記消音器の外筒と前記連通管の間には吸音材が充填された内燃機関用消音装置において、 複数の小孔が穿設された前記連通管の外周に打抜金網を巻回した構成とするものである。
【0007】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本考案の内燃機関用消音装置を示す断面図、図2は、図1の内燃機関用消音装置の連通管の外周に打抜金網を巻回した図、図3は、図1の内燃機関用消音装置の打抜金網の孔の形状の例を示す正面図である。
【0008】
本考案の内燃機関用消音装置は、図1に示すように、消音器Aの円筒状の外筒1と、この外筒1の一方の端面1aに接続されている入口管である排気管2と、他方の端面1bに接続されている出口管である排気筒3、および消音器1の中心部を貫通する連通管4から構成されており、この連通管4にはパンチングにより多数の小孔4aが穿設されている。
【0009】
また、外筒1と連通管4により形成される空間は消音室5に形成され、この消音室5には吸音材として耐熱性のグラスウール6が充填され、このグラスウール6が連通管4の小孔4aより連通管4内に入り込み排気ガスと一緒に飛散しないように、連通管4の周囲に打ち抜き金網7が巻かれている。
【0010】
この打抜金網7は、耐熱性があり、しかもコストの安い鉄板等の薄い金属板に所定の形状の多数の小孔をパンチングしたもので、その小孔の形状も、図3(a)に示すようなメッシュ状の孔7a、図3(b)に示す円孔7b、図3(c)に示す十字形の孔7c、図3(d)に示す方形孔7d、或いは図3(e)に示す扇形の孔7e等種々の形状に加工することができ、さらに孔の大きさを変えることにより排気ガスの透過率を必要に応じて適切に選ぶことができるものである。
【0011】
また、この打抜金網7は消音装置以外に種々の用途にも使用することができるので、コスト低減のため大量生産してしておき、必要に応じて所定の消音装置に適合する寸法に切断して使用することができ、一般的なバンド取り付けや溶接により簡単に連通管4へ取り付けができるものである。
【0012】
このように構成された消音装置Aは、図示しないエンジンより排出された高温、高圧の排気ガスが排気管2を経由して消音装置Aの連通管4に流入する。この連通管4内は狭いので、排気ガスは連通管4の小孔4aより打抜金網7の網の目を通り膨張室5のグラスウール6の中へ拡散する。すると排気ガスの音のエネルギーもグラスウール6により弱められるので、排気ガスは消音されて排気筒3より排出される。
【0013】
また、排気ガスが連通管4の小孔4aより膨張室5へ拡散する場合は、打抜金網7の網の目が小さく数多く形成されているので、排気ガスが効率よく通過することができるが、膨張室5内のグラスウール6は打抜金網7の網の目により阻止されて、連通管4の中に飛散することはない。
【0014】
上記した実施の形態においては、自動車の内燃機関用消音装置について説明したが、本考案は自動車に限定されるものではなく、二輪車、建設機械、農業用機械等内燃機関を備える機械装置に使用できることは勿論である。
また、打抜金網のパンチングする孔の形状は、図3に例示した以外のものであっても使用可能なことは勿論である。
【0015】
【考案の効果】
以上に述べたように本考案は、消音器の連通管に複数の孔が形成され、前期消音器内に充填された吸音材により消音を行う共鳴式の内燃機関用消音装置において、前記連通管の外周に打抜金網を巻回したことにより、 打抜金網の網目より音のエネルギーが十分透過して、音のエネルギーが吸音材に吸収され、消音効果が向上する。
また、打抜金網は従来のステンレスロープに比較するとコストが安く、消音装置のコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の内燃機関用消音装置を示す断面図である。
【図2】図1の内燃機関用消音装置の連通管に打抜金網を巻いた斜視図である。
【図3】図1の内燃機関用消音装置の打抜金網の孔の形状を示す正面図である。
【図4】従来の内燃機関用消音装置を示す断面図である。
【図5】従来の内燃機関用消音装置の連通管にステンレスロープを巻いた状態の斜視図である。
【符号の説明】
A 消音器
1 外筒
1a 端面
1b 端面
2 排気管
3 排気筒
4 連通管
4a 小孔
5 消音室
6 グラスウール
7 打抜金網
7a〜7e 孔

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 入口管と出口管とを有する消音器の内部に前記入口管と出口管と連通する連通管が内設され、前記消音器の外筒と前記連通管の間には吸音材が充填された内燃機関用消音装置において、複数の小孔が穿設された前記連通管の外周に打抜金網を巻回した構成を特徴とする内燃機関用消音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3041470号
【登録日】平成9年(1997)7月2日
【発行日】平成9年(1997)9月19日
【考案の名称】内燃機関用消音装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−1693
【出願日】平成9年(1997)3月14日
【出願人】(391011858)株式会社ユーメックス (16)
【出願人】(397006852)日建ラス工業株式会社 (1)
【出願人】(397006863)株式会社フリーエム (1)
【出願人】(000002129)住友商事株式会社 (42)