説明

内視鏡洗浄消毒装置

【課題】ユーザーが洗浄槽内の内視鏡と蓋部の接触を容易に知ることができ、内視鏡と蓋部の接触を確実に防止して内視鏡を洗浄槽内に接液して十分な洗浄消毒を行う。
【解決手段】内視鏡洗浄消毒装置1は、装置本体2と上部に開閉自在に接続された蓋部4とにより構成され、装置本体上面2aには、その底面5aに洗浄消毒のために内視鏡90を載置して収納自在で、蓋部4を開閉することにより開閉される槽型の洗浄槽5が配設されている。洗浄槽5と蓋部4との接触圧を検知する接触圧検知部が接触センサ111として設けられ、制御回路63は、接触センサ111で検知した接触圧力に基づいて、洗浄槽5に配置した内視鏡90と蓋部4との接触を判断する。制御回路63が、内視鏡90と蓋部4とが接触していると判断した場合は、操作パネル9上に内視鏡90と蓋部4との接触を報知する表示を行ったり、又は、聴覚的な報知手段を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄槽内に内視鏡を蓋部を閉じて収容して洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療分野において使用される内視鏡は、内視鏡検査を行う毎に内視鏡洗浄消毒装置により洗浄、消毒が行われる。このような内視鏡洗浄消毒装置は、洗浄槽内に内視鏡を蓋部を閉じて収容して洗浄消毒するようになっており、洗浄槽内に収容された内視鏡は、できるだけ他と接触することなく洗浄液、消毒液と接触することが好ましい。しかし、洗浄槽への内視鏡の収容の仕方によっては、洗浄槽の蓋部の内面に内視鏡が接してしまい、内視鏡の洗浄消毒が十分に行われなくなる虞があるため、ユーザーは、収容された内視鏡が蓋部の内面に接することのないように確認・作業する必要があった。例えば、特開2009−225813号公報(以下、特許文献1)では、消毒液供給ノズルと洗浄槽の一部とを覆うノズルカバー部と、該ノズルカバー部に接する側が高くなるように傾斜されて内視鏡と点状に接触する複数の上面突起が設けられ、洗浄槽に嵌合して洗浄槽内に貯えられている消毒液に接する接液面を有するトップカバー(蓋部)を備え、接液面の下に滞留している気泡を、上面突起と内視鏡との間に生じた空間を利用して、自身の浮力によりノズルカバー部に移動させるようにした内視鏡洗浄消毒装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−225813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗浄消毒を行う内視鏡は、洗浄槽内に蓋部と接することなく接液されていれば、蓋部と内視鏡との間に気泡が溜まって、洗浄消毒の妨げになることもなく、また、蓋部と内視鏡との接触部に洗浄、消毒液が廻り難いという問題も改善される。上述の特許文献1では、収容される内視鏡と蓋部とがあくまでも接触(点状接触ではあるものの)しても洗浄消毒を行うという技術であるため、内視鏡と蓋部とが接する部分で洗浄消毒が十分に行えなくなる虞がある。また、内視鏡と蓋部とが接触することにより、内視鏡や蓋部に余分な応力を生じ、こうした状況で洗浄・消毒を行うことは、好ましくない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ユーザーが洗浄槽内の内視鏡と蓋部との接触を容易に知ることができ、内視鏡と蓋部とが接触することを確実に防止して内視鏡を洗浄槽内に接液して十分な洗浄消毒を行うことが可能な内視鏡洗浄消毒装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内視鏡洗浄消毒装置の一態様は、底面に内視鏡を載置自在な槽型の洗浄槽と、上記洗浄槽に薬液を供給する薬液供給部と、上記洗浄槽を覆う蓋部と、上記洗浄槽に配置した内視鏡が上記蓋部の内面に接触していることを検知する接触検知部とを備えた。
【発明の効果】
【0007】
本発明による内視鏡洗浄消毒装置によれば、ユーザーが洗浄槽内の内視鏡と蓋部との接触を容易に知ることができ、内視鏡と蓋部とが接触することを確実に防止して内視鏡を洗浄槽内に接液して十分な洗浄消毒を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の第1形態による、内視鏡洗浄消毒装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の第1形態による、内視鏡が洗浄槽内に蓋部と接触するように載置された状態での内視鏡洗浄消毒装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施の第1形態による、内視鏡洗浄消毒装置の機能部分の構成の概略説明図である。
【図4】本発明の実施の第1形態による、内視鏡洗浄消毒装置の内部回路の構成の概略を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の第1形態による、蓋部を開状態とした際の洗浄槽と蓋部の構造の概略を説明する、図1中のX方向断面図である。
【図6】本発明の実施の第1形態による、蓋部のロック機構の構成を説明する要部断面図である。
【図7】本発明の実施の第1形態による、内視鏡を洗浄槽に載置して蓋部を閉じた状態の断面説明図であり、図7(a)は内視鏡が蓋部と接することなく蓋部を閉状態とした際の断面説明図で、図7(b)は内視鏡が蓋部と接した状態で蓋部を閉状態とした際の断面説明図である。
【図8】本発明の実施の第1形態による、内視鏡の操作パネルの表示部の説明図であり、図8(a)は通常の表示部を示し、図8(b)は内視鏡が蓋部と接した状態を表示する一例を示し、図8(c)は内視鏡が蓋部と接した状態を表示する図8(b)とは異なる表示の一例を示す。
【図9】本発明の実施の第2形態による、内視鏡を洗浄槽に載置して蓋部を閉じた状態の断面説明図であり、図9(a)は内視鏡が蓋部と接することなく蓋部を閉状態とした際の断面説明図で、図9(b)は内視鏡が蓋部と接した状態で蓋部を閉状態とした際の断面説明図である。
【図10】本発明の実施の第3形態による、内視鏡を洗浄槽に載置して蓋部を閉じた状態の断面説明図であり、図10(a)は内視鏡が蓋部と接することなく蓋部を閉状態とした際の断面説明図で、図10(b)は内視鏡が蓋部と接した状態で蓋部を閉状態とした際の断面説明図である。
【図11】本発明の実施の第4形態による、内視鏡を洗浄槽に載置して蓋部を閉じた状態の断面説明図であり、図11(a)は内視鏡が蓋部と接することなく蓋部を閉状態とした際の断面説明図で、図11(b)は内視鏡が蓋部と接した状態で蓋部を閉状態とした際の断面説明図である。
【図12】内視鏡洗浄消毒装置に用いる流体容器ユニットの構造説明図である。
【図13】内視鏡洗浄消毒装置に用いる保護カバーを備えた流体容器ユニットの構造説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の第1形態を説明する。
図1において、符号1は内視鏡洗浄消毒装置を示し、この内視鏡洗浄消毒装置1の主要な構成は、装置本体2と、上部にヒンジ3を介して開閉自在に接続された蓋部4である。
【0010】
装置本体2の上面(以下「本体上面」と称する)2aには、その底面5aに洗浄消毒のために内視鏡90を載置して収納自在な槽型の洗浄槽(洗浄消毒槽とも云う)5が配設されている。この洗浄槽5は、上述の蓋部4を開閉することにより開閉される。
【0011】
そして、装置本体2の洗浄槽5に内視鏡90を収容し、蓋部4を閉じた際に、該蓋部4と内視鏡90とが接触することが無く、内視鏡90が洗浄槽5内に適切に収容された場合には、後述するロック機構6を備えたラッチ7が蓋部4のハンドル8をロックして蓋部4の閉状態が維持されるようになっている。
【0012】
逆に、蓋部4を閉じた際に、該蓋部4と内視鏡90とが接触しており、内視鏡90が洗浄槽5内に適切に収容されていない場合(図2参照)には、ロック機構6による蓋部4のロックが作動せず、蓋部4が上方に開状態となる、或いは、ロック機構6が作動してラッチ7が装置本2体内に押し込まれることが阻止されて蓋部4が閉じられることが防止されるようになっている。尚、装置本体2の洗浄槽5に内視鏡90を収容し、蓋部4を閉じた際の上述の各動作については、後に詳述する。
【0013】
また、本体上面2aには、例えば、図8(a)に示すような、表示機能付きのタッチパネルで構成された操作パネル9が設けられている。尚、この操作パネル9は、装置本体2の側面や、蓋部4に設けられているものであっても良い。
【0014】
更に、本体上面2aには、後述する洗剤ノズル11、消毒液ノズル12、給水・循環ノズル13が配設されている。
【0015】
また、装置本体2の任意の側面には、後述する側面扉2bが配設されている。更に、装置本体2の下部には、洗浄槽5内の洗浄液、消毒液等を排出する排水ホース14が連設されている。また、装置本体2には、洗浄槽5内に給水を行う後述する給水コネクタ15(図3参照)が設けられている。
【0016】
洗浄槽5は、本体上面2aの開口部分の縁部が略全周に亘って段状の段状部分16が形成されている。そして、蓋部4の内面の、この段状部分16と対向する部分には、この段状部分16の形状に沿って、蓋部4を閉じた際に蓋部4と洗浄槽5とを水密にシールすると共に、蓋部4を閉じる際のクッション性を保つためのパッキン部材17が設けられている。
【0017】
尚、蓋部4は、該蓋部4を閉じた際に洗浄槽5内が見えるように、中央の部位が透明の樹脂、ガラス材等で形成されている。
【0018】
次に、内視鏡洗浄消毒装置1の機能部分の構成の概略について説明する。
図3に示すように、装置本体2の内部に、洗浄水を貯留する液体洗剤を貯留する洗剤タンク21、所定濃度に希釈された消毒液を貯留する消毒液タンク22、アルコールを貯留するアルコールタンク23、水道栓から供給される水道水を濾過する水フィルタ24、及びエアフィルタ25が配設されている。消毒液タンク22は装置本体2内に固定されている。尚、符号22aは消毒液ドレーン口であり、通常は閉じられている。
【0019】
また、洗剤タンク21、アルコールタンク23、水フィルタ24、エアフィルタ25は、各々トレー21a、23a〜25aに載置されている。また、各トレー21a、23a〜25aは、装置本体2の側面扉2b(図1参照)を開放することで、側方へ引き出し自在にされており、所定に液体を補充し、或いは、部品を交換することが自在となっている。
【0020】
本実施の形態では、消毒液タンク22に消毒液を補充するに際しては、例えば、装置本体2の側面扉2bを開放し、装置内部に固設されているボトルコネクタ26に対して、消毒液が充填されている消毒液ボトル27を接続することで行う。
【0021】
また、その際、希釈弁28を介して、水フィルタ24によって濾過された水道水が消毒液タンク22に供給される。従って、消毒液タンク22には所定濃度に希釈された消毒液が貯留される。尚、図3には、各トレー21a、23a〜25aが引き出された状態が示されている。
【0022】
洗浄槽5は、前述の如く内視鏡90を収容自在であり、底面5aに排水口30が設けられている。更に、洗浄槽5の外周壁面の一側面に循環口31が設けられている。また、本体上面2aの給水コネクタ15が配設されている側の角部に洗剤ノズル11、消毒液ノズル12、給水・循環ノズル13が配設されている。
【0023】
洗剤ノズル11は、洗剤タンク21に洗剤ポンプ37を介して連通されており、消毒液ノズル12は、薬液ポンプ38を介して消毒液タンク22に連通されている。また、給水・循環ノズル13は、三方弁39を介して水フィルタ24と流液ポンプ40とに選択的に接続自在になっている。
【0024】
給水・循環ノズル13が、三方弁39を介して水フィルタ24側に接続された状態では、給水・循環ノズル13から水フィルタ24によって濾過された水道水が洗浄槽5に吐出される。
【0025】
一方、給水・循環ノズル13が、三方弁39を介して流液ポンプ40に接続された状態では、循環口31から取り入れた洗浄槽5に貯留されている洗浄水、或いは、消毒液が、再度、洗浄槽5に吐出されて循環される。
【0026】
尚、図示しないが給水・循環ノズル13と三方弁39との間に高圧ノズルが高圧ポンプを介して接続されており、この高圧ノズルからも給水・循環ノズル13と同様の液体(水道水、洗浄水)が高圧で洗浄槽5に噴出される。
【0027】
この高圧ノズル、及び、給水・循環ノズル13から吐出される液体により洗浄槽5内に水流が発生し、この水流により内視鏡90の外表面が、洗浄工程においては洗浄され、すすぎ工程においては洗浄液、或いは、消毒液が洗い流される。
【0028】
洗浄槽5の外周壁面の他側面に、内視鏡90に設けた図示しない管路コネクタ部に接続するコネクタ受け部41が設けられている。コネクタ受け部41に、1本の洗浄消毒チューブ51aが分岐接続されており、この洗浄消毒チューブ51aが四方弁から成るチャンネルブロック52の吐出口に連通されている。
【0029】
また、チャンネルブロック52の3つに分岐された各流入口には、循環口31とアルコールタンク23とコンプレッサ54とが各々連通されている。また、循環口31とチャンネルブロック52との間に、循環口31から流体(水道水、洗浄水、消毒液)を吸引するチャンネルポンプ53が介装されている。
【0030】
更に、アルコールタンク23とチャンネルブロック52との間に、流路を開閉するアルコール弁55、アルコールタンク23に貯留されているアルコールを吸引するアルコールポンプ45が介装されている。また、コンプレッサ54とチャンネルブロック52との間にエアフィルタ25が介装されている。
【0031】
チャンネルブロック52を切換え動作させて、各流入口を吐出口に対し選択的に連通させることで、内視鏡90に、洗浄槽5に貯留されている液体(水道水、洗浄水、消毒液)、或いは、アルコールタンク23に貯留されているアルコール、或いは、コンプレッサ54からのエアが供給される。
【0032】
また、コネクタ受け部41に、漏水検知チューブ51bを介して漏水検知ポンプ56が接続されており、この漏水検知チューブ51bに締切り弁57が介装されている。内視鏡90の外表面に小さな孔、亀裂等が開いているか否かを検知するに際しては、先ず、締切り弁57を開放し、漏水検知ポンプ56からのエアを内視鏡90の内部に供給し、内圧を所定に高める。
【0033】
その後、締切り弁57を閉弁させて、内視鏡90の内圧を保持させる。そして、その間の内視鏡90の内圧の変化から、内視鏡90の外表面に小さな孔、亀裂等が開いているか否かを調べる。尚、符号58は排気弁であり開弁することで、漏水検知ポンプ56及びコンプレッサ54からのエアを外部に逃がすことができる。
【0034】
また、洗浄槽5に、超音波振動子59、吸水管消毒用コネクタ60、洗浄ケース61等が所定に配設され、更に、排水口30に切換弁62が配設されている。超音波振動子59は、洗浄槽5に貯留される洗浄水、あるいは水道水に振動を与えて、内視鏡90の外表面を超音波洗浄、或いは、濯ぐものである。
【0035】
吸水管消毒用コネクタ60は、これに消毒液ノズル12をホース等を介して接続し、水フィルタ24に連通する給水管に消毒液を供給し、この給水管を消毒するものである。また、洗浄ケース61は、これに内視鏡90の各スコープスイッチのボタン等、内視鏡90に併設されている取り外し可能な部品を収容して、内視鏡90と一緒に洗浄、消毒させるものである。
【0036】
更に、排水口30に配設されている切換弁62は、排水時の排水路を切換えるもので、洗浄槽5に水道水あるいは洗浄水が貯留されている場合は、排水口30を排水ホース14側に連通させて、排水ポンプ44を駆動させて、強制的に排水させる。
【0037】
一方、洗浄槽5に消毒液が貯留されている場合は、排水口30を消毒液タンク22側に連通させて、消毒済みの消毒液を消毒液タンク22に回収する。従って、消毒液は繰り返し利用される。
【0038】
各弁39、52、55、62の切換え動作及び各種ポンプ37、38、40、53、56の動作は、装置本体2に内蔵されている制御回路63にて制御される。
【0039】
この制御回路63には、図3、4に示すように、後述する洗浄槽5に配置した内視鏡90が蓋部4の内面に接触していることを検知する接触検知部としての接触センサ111や、内視鏡90の内圧を検出する圧力センサ、洗浄槽5の水位を検出する水位センサ、洗浄槽5に収納された内視鏡90の位置を検出する位置検知センサ、内視鏡90の水漏れを検知する水漏れセンサ等の他の各センサ類112を含むセンサ系110が接続されている。
【0040】
また、制御回路63には、各種ポンプ37、38、40、53、56、及び、各弁39、52、55、62、及び、前述のロック機構6等の駆動系120、操作パネル9、電源部130等が接続されている。電力供給手段である電源部130は、ACコンセントと接続されており、外部からの電力を制御回路63、及び、その他の回路に供給する。尚、センサ系110は、駆動系120を兼ねていてもよい。
【0041】
尚、実際には、制御回路63に、内視鏡90とデータを無線通信するための送受信アンテナを有する送受信ユニット、内視鏡90に設けた図示しない管路コネクタ部に接続するコネクタ受け部を有する電源送受信ユニット、内視鏡90を洗浄消毒槽5に固定するための電磁石ユニット等が接続されているが、周知であるため、その詳しい説明は省略する。
【0042】
次に、内視鏡洗浄消毒装置1の、装置本体2上部の洗浄槽5、及び、蓋部4周辺の構成と、接触センサ111による内視鏡90と蓋部4との接触検知システムについて詳しく説明する。
【0043】
図5は、蓋部4を開状態とした際の装置本体2上部の洗浄槽5部分と蓋部4の構造の概略を示し、装置本体2上部にヒンジ3を介して開閉自在に設けられた蓋部4は、所定の大きな角度で開くことが可能となっている。そして、蓋部4を一定角度以上開けると、開く方向に弱い付勢力が作用して、開いた状態を維持し、洗浄槽5内に内視鏡90が容易に載置自在となっている。この付勢力は、蓋部4を一定角度よりも閉じた場合には、閉じる方向に弱く作用して、蓋部4の閉じた状態を維持するようになっている。
【0044】
また、蓋部4が開けられた状態では、蓋部4のハンドル8に対応して設けられたラッチ7は外側に向けて先端が突出した状態となっている。すなわち、図6に示すように、装置本体2上部の洗浄槽5部分に設けられるロック機構6は、ラッチ7が、電磁ロックスイッチ6aから突出されたロッド6bにより、常時、外側に向けて押圧付勢されて、ラッチ7の先端が突出されている。
【0045】
そして、この蓋部4が開いた状態から、図7(a)に示すように、蓋部4を閉じようとすると、蓋部4のハンドル8の移動により、ラッチ7が付勢力に抗して内側に押し込まれ、ハンドル8の先端側に形成された孔部8aがラッチ7の略先端に達した際に、再びラッチ7は、このハンドル8の孔部8aから外側に向けて突出する。そして、制御回路63により、電磁ロックスイッチ6aが作動されてロッド6bが固定されてラッチ7の先端がハンドル8の孔部8aから外側に向けて突出された状態で固定されてハンドル8がロックされ、蓋部4の閉じた状態が確実に維持されるようになっている。
【0046】
また、蓋部4のハンドル8とパッキン部材17との間の下面4aと対向する、洗浄槽5の縁部の上面部位には、上記下面4aと接触自在で、洗浄槽5と蓋部4との接触圧を検知する接触圧検知部が接触センサ111として設けられている。
【0047】
そして、図5に示すような、蓋部4が開いた状態から、図1に示すように、内視鏡90を洗浄槽5に載置して蓋部4を閉め、載置した内視鏡90と蓋部4との内面が接触していない状態では、図7(a)に示すように、接触センサ111には、蓋部4の自重や、蓋部4の閉状態を維持させようとする付勢力等が作用して、これらの合計値が洗浄槽5と蓋部4との接触圧Fa1として検出されることになる。
【0048】
これに対し、図2に示すように、内視鏡90を洗浄槽5に載置して蓋部4を閉め、載置した内視鏡90と蓋部4との内面が接触した状態では、図7(b)に示すように、接触センサ111には、上述の接触圧Fa1に加え、該接触圧Fa1とは反対方向(蓋部4を開けようとする方向)の力Fb1が作用することになる。すなわち、接触センサ111で検出される圧力は、(Fa1−Fb1)となり、Fa1より小さな圧力値となる。
【0049】
従って、制御回路63は、接触センサ111で検出した接触圧力が、設定圧(予め実験、計算等により誤差等も考慮して設定しておいた接触圧Fa1よりも低い圧力)以下となる時間が、例えば、設定時間継続して検出される場合に、洗浄槽5に配置した内視鏡90が蓋部4の内面に接触していると判断するようになっている。
【0050】
尚、接触センサ111は、蓋部4のハンドル8とパッキン部材17との間の下面4aと対向する、洗浄槽5の縁部の上面部位の1カ所にのみ取り付けた例を説明しているが、他の蓋部4と洗浄槽5との接触する部位に設けても良く、又は、複数箇所設けるようにしても良い。特に、複数箇所設けるようにすれば、洗浄槽5と蓋部4との各部位の接触圧を検知することができるため、蓋部4と洗浄槽5との接触を、より精度良く検知することができ、更に、検知した接触センサの位置から、接触部位のおおまかな位置を特定することも可能である。
【0051】
こうして、制御回路63が、接触センサ111からの信号に基づいて内視鏡90と蓋部4との接触を判断した場合は、上述の図6に示すロック機構6において、ラッチ7が押し込まれていない状態においては、電磁ロックスイッチ6aを作動させてロッド6bを固定して、ラッチ7が中に押し込まれることを禁止し、蓋部4のハンドル8が下降されることを防止して蓋部4が閉じられることを防止するようになっている。すなわち、制御回路63が洗浄槽5に配置した内視鏡90が蓋部4の内面に接触していると判断した場合、ロック機構6を作動させて、内視鏡90と蓋部4とが接触したまま洗浄槽5内に収納されることが未然に防止される。
【0052】
また、既に、ラッチ7が押し込まれていた状態においては、電磁ロックスイッチ6aは作動されずに、蓋部4のハンドル8がロックされることが禁止されるようになっている。すなわち、内視鏡90と蓋部4とが接触したまま洗浄槽5内に収納されてロックされることが確実に防止されるようになっている。
【0053】
また、制御回路63が、接触センサ111からの信号に基づいて内視鏡90と蓋部4との接触を判断した場合は、ユーザーに対して、例えば、以下のようにして、内視鏡90と蓋部4との接触を報知する。
【0054】
例えば、本実施の第1形態による表示機能付きのタッチパネルで構成された操作パネル9は、図8(a)に示すように、メイン画面では、例えば、薬液が何回使用されているか等の消耗品情報の表示や、内視鏡90と無線通信して得たスコープIDの表示、洗浄槽5に収容された内視鏡90の漏水検知の実施有無の表示や、スタート指示ボタンの表示、各種工程内容の表示、洗浄消毒工程開始後の経過時間の表示、洗浄消毒工程後、内視鏡管路内の乾燥を促進させるアルコール注入の実施有無を指示するアルコールフラッシュ(AF)ボタンの表示等が行われる。このようなメイン画面で、制御回路63が、接触センサ111からの信号に基づいて内視鏡90と蓋部4との接触を判断した場合、図8(b)に示すように、異常コード(例えば、「Error Code 8888」)を大きく表示してユーザーに報知する。
【0055】
また、例えば、接触センサ111が複数設けられており、検知した接触センサの位置から、接触部位のおおまかな位置を特定することが可能な場合は、図8(c)に示すように、メイン画面からサブ画面に遷移して、内視鏡90と蓋部4との接触部位を交互に表示するようにしても良い。尚、このような操作パネル9は、あくまでのその一例にすぎず、他の表示の仕方で、ユーザーに報知するようにしても良い。すなわち、操作パネル9は、報知手段として設けられている。
【0056】
更に、制御回路63が、接触センサ111からの信号に基づいて内視鏡90と蓋部4との接触を判断した場合は、予め備えたブザーや音声発生装置等の聴覚的な報知手段を作動させて、ユーザーに対して報知するようにしても良い。
【0057】
また、制御回路63が、接触センサ111からの信号に基づいて内視鏡90と蓋部4との接触を判断した場合は、接触との判断が解除されるまでは、ユーザーの洗浄消毒工程開始の操作を受け付けないようにしても良い。
【0058】
このように、本発明の実施の第1形態による内視鏡洗浄消毒装置1によれば、洗浄槽5と蓋部4との接触圧を検知する接触圧検知部を接触センサ111として設け、制御回路63は、例えば、接触センサ111で検出した接触圧力が、設定圧以下となる時間が、設定時間継続して検出される場合に、洗浄槽5に配置した内視鏡90が蓋部4の内面に接触していると判断するようになっている。このため、接触センサ111からの信号により、制御回路63が、内視鏡90と蓋部4とが接触していると判断した場合は、操作パネル9上に内視鏡90と蓋部4との接触を報知する表示を行ったり、又は、聴覚的な報知手段を作動させることにより、ユーザーが洗浄槽5内の内視鏡90と蓋部4との接触を容易に知ることができる。このため、内視鏡90と蓋部4とが接触した状態で洗浄槽5内に内視鏡90が収納されてしまうことが確実に防止され、内視鏡90や内視鏡洗浄消毒装置1側に不要な力が作用することもなく、内視鏡90を洗浄槽5内に接液して、十分な洗浄消毒を行うことが可能となる。
【0059】
尚、本発明の実施の第1形態では、接触センサ111からの信号に基づいて、制御回路63が内視鏡90と蓋部4との接触を判断した場合には、ロック機構6の作動による蓋部4のロック制御の制限と、操作パネル9での表示、聴覚的な報知手段による報知等を行うように説明したが、これらは、全ての機能を行う事無く、それらの内の一つ、或いは、それらの内の幾つかを組み合わせて行うようにしても良い。また、これら、表示、聴覚的な報知手段、ロック機構の構成は、本実施の形態で説明した構成のものに限るものでは無く、他の公知の構成であっても良いことは云うまでもない。
【0060】
次に、図9に基づいて、本発明の実施の第2形態を説明する。尚、本実施の第2形態は、前述の第1形態とは、接触センサ111の構成のみが異なり、他の構成、作用効果は同一であるので、同じ構成には同じ符号を記し、詳しい説明は省略する。
【0061】
すなわち、図9(a)に示すように、蓋部4のパッキン部材17の内側の対向する部位には、蓋部4の内面の直下部で、赤外線やレーザー光等の電磁波を送信する発光素子等で構成した電磁波送信部151と、該電磁波送信部151から発信された電磁波を受信する受光素子等で構成した電磁波受信部152とが設けられ、この電磁波送信部151と電磁波受信部152とで接触センサ111が構成されている。
【0062】
そして、蓋部4が開いた状態から、図1に示すように、内視鏡90を洗浄槽5に載置して蓋部4を閉め、載置した内視鏡90と蓋部4との内面が接触していない状態では、図9(a)に示すように、電磁波送信部151からの電磁波は電磁波受信部152に到達して電磁波受信部152が電磁波を検知する。
【0063】
これに対し、図2に示すように、内視鏡90を洗浄槽5に載置して蓋部4を閉め、載置した内視鏡90と蓋部4との内面が接触した状態では、図9(b)に示すように、電磁波送信部151からの電磁波は内視鏡90により遮断され、電磁波受信部152に到達することがない。従って、制御回路63は、電磁波受信部152での電磁波の非検出が生じた場合に、洗浄槽5に配置した内視鏡90が蓋部4の内面に接触していると判断するようになっている。
【0064】
そして、制御回路63は、洗浄槽5に配置した内視鏡90が蓋部4の内面に接触していると判断した場合には、前述の第1形態と同様、ロック機構6の作動による蓋部4のロック制御の制限と、操作パネル9での表示、聴覚的な報知手段による報知等を行う。これらは、前述の第1形態と同様、全ての機能を行う事無く、それらの内の一つ、或いは、それらの内の幾つかを組み合わせて行うようにしても良い。
【0065】
このように接触センサ111を、電磁波送信部151と電磁波受信部152とで構成することにより、本実施の第2形態による内視鏡洗浄消毒装置1によっても、前述の第1形態で説明した効果と略同様の効果を奏することが可能である。
【0066】
尚、本実施の第2形態による電磁波送信部151と電磁波受信部152は、複数対設けるようにし、それぞれの電磁波送信部151と電磁波受信部152対毎に内視鏡90が蓋部4の内面に接触していることが検出できるようにして、蓋部4と洗浄槽5との接触を、より精度良く検知して、また、接触を検知した電磁波送信部151と電磁波受信部152対の位置から、接触部位のおおまかな位置を特定できるようにしても良い。
【0067】
また、電磁波送信部151と電磁波受信部152対とを設ける位置は、蓋部4の内面の直下部で、電磁波が直接送受信できる位置であればどのようなであっても良く、例えば、前後(奥行き)方向で電磁波が直接送受信できる位置に設けても良く、幅方向で電磁波が直接送受信できる位置に設けても良く、或いは、右(左)から左(右)の斜め方向で電磁波が直接送受信できる位置に設けても良い。
【0068】
更に、本実施の第2形態では、電磁波送信部151と電磁波受信部152は、共に蓋部4側に設けた例で説明したが、共に洗浄槽5側に設けるようにしても良く、或いは、どちらか一方を蓋部側4側に設け、他方を洗浄槽5側に設けるようにしても良い。
【0069】
次に、図10に基づいて、本発明の実施の第3形態を説明する。尚、本実施の第3形態は、前述の第1形態とは、接触センサ111の構成のみが異なり、他の構成、作用効果は同一であるので、同じ構成には同じ符号を記し、詳しい説明は省略する。
【0070】
すなわち、図10(a)に示すように、蓋部4の上面の全面には、該蓋部4の歪みを検知する歪み検知部161が設けられている。
【0071】
そして、蓋部4が開いた状態から、図1に示すように、内視鏡90を洗浄槽5に載置して蓋部4を閉め、載置した内視鏡90と蓋部4との内面が接触していない状態では、図10(a)に示すように、歪み検知部161は、蓋部4に生じる歪みを検出することはない。
【0072】
これに対し、図2に示すように、内視鏡90を洗浄槽5に載置して蓋部4を閉め、載置した内視鏡90と蓋部4との内面が接触した状態では、図10(b)に示すように、蓋部4と内視鏡90の接触面に応力が作用して蓋部4に歪みが生じる。すると、歪み検知部161は、この歪みを検出して、この信号により、制御回路63は、洗浄槽5に配置した内視鏡90が蓋部4の内面に接触していると判断するようになっている。
【0073】
そして、制御回路63は、洗浄槽5に配置した内視鏡90が蓋部4の内面に接触していると判断した場合には、前述の第1形態と同様、ロック機構6の作動による蓋部4のロック制御の制限と、操作パネル9での表示、聴覚的な報知手段による報知等を行う。これらは、前述の第1形態と同様、全ての機能を行う事無く、それらの内の一つ、或いは、それらの内の幾つかを組み合わせて行うようにしても良い。
【0074】
このように接触センサ111を、歪み検知部161で構成することにより、本実施の第3形態による内視鏡洗浄消毒装置1によっても、前述の第1形態で説明した効果と略同様の効果を奏することが可能である。
【0075】
尚、歪み検知部161は、蓋部4の全面に大きな歪み検知部として設けるものではなく、蓋部4に複数に分割して設け、それぞれの歪み検知部毎に内視鏡90が蓋部4の内面に接触していることが検出できるようにして、蓋部4と洗浄槽5との接触を、より精度良く検知して、また、接触を検知した歪み検知部の位置から、接触部位のおおまかな位置を特定できるようにしても良い。
【0076】
また、歪み検知部161は、蓋部4の上面ではなく、蓋部4の下面や、蓋部4の内部に埋設するようにしても良い。
【0077】
次に、図11に基づいて、本発明の実施の第4形態を説明する。尚、本実施の第4形態は、前述の第1形態とは、接触センサ111の構成のみが異なり、他の構成、作用効果は同一であるので、同じ構成には同じ符号を記し、詳しい説明は省略する。
【0078】
すなわち、図11(a)に示すように、蓋部4の下面の全面には、該蓋部4の下面に加えられた圧力を検知するタッチパッド状の圧力検知部171が設けられている。
【0079】
そして、蓋部4が開いた状態から、図1に示すように、内視鏡90を洗浄槽5に載置して蓋部4を閉め、載置した内視鏡90と蓋部4との内面が接触していない状態では、図11(a)に示すように、圧力検知部171は、圧力を検知することはない。
【0080】
これに対し、図2に示すように、内視鏡90を洗浄槽5に載置して蓋部4を閉め、載置した内視鏡90と蓋部4との内面が接触した状態では、図11(b)に示すように、蓋部4と内視鏡90の接触面(圧力検知部171)に圧力が作用して、圧力検知部171からこの圧力値が出力されることになる。制御回路63は、この圧力値の信号により、洗浄槽5に配置した内視鏡90が蓋部4の内面に接触していると判断するようになっている。
【0081】
そして、制御回路63は、洗浄槽5に配置した内視鏡90が蓋部4の内面に接触していると判断した場合には、前述の第1形態と同様、ロック機構6の作動による蓋部4のロック制御の制限と、操作パネル9での表示、聴覚的な報知手段による報知等を行う。これらは、前述の第1形態と同様、全ての機能を行う事無く、それらの内の一つ、或いは、それらの内の幾つかを組み合わせて行うようにしても良い。
【0082】
このように接触センサ111を、圧力検知部171で構成することにより、本実施の第4形態による内視鏡洗浄消毒装置1によっても、前述の第1形態で説明した効果と略同様の効果を奏することが可能である。
【0083】
次に、内視鏡洗浄消毒装置1で用いられる流体容器ユニットについて、図12、及び、図13を基に説明する。すなわち、上述の実施の各形態で例示するような内視鏡洗浄消毒装置1の中には、消毒液ボトル27を蓋部4等に直接セットして用いるタイプのものがある。このようなタイプの内視鏡洗浄消毒装置1に用いられる消毒液ボトル27の流体容器ユニット201としては、例えば、本出願人が、特許第4559540号で提案するものがある。この流体容器ユニット201は、図12に示すように、種類の異なる流体をそれぞれ貯留する第1容器210Aと第2容器210Bとを、各容器210A,210Bの長手方向(図12における上下方向)の中心線が実質的に平行となるように並列配置した状態で、一体的に組み立ててユニット化して構成されている。
【0084】
この流体容器ユニット201の第1容器210A,第2容器210Bには、内視鏡90の消毒処理に用いる消毒液の第1剤(例えば、原液),第2剤(例えば、安定剤)がそれぞれ貯えられている。これら第1剤,第2剤は、混合することによって適切な消毒・殺菌力を発現するものであり、十分に混合させた状態で用いられる。
【0085】
そして、流体容器ユニット201は、保管時や輸送時を含む非使用時には、通常、各容器210A,210Bの底面219を下方にノズル筒部231の先端を上方に向けて置かれる(図12(a)、及び、図12(b)参照)。一方、使用時、内視鏡洗浄消毒装置1に取り付ける際には、ノズル筒部231の先端が下方に向けられるように上下を逆向きにして(図12(c)参照)、或いは、ノズル筒部231の先端を斜め下方に向けて、用いられる
より具体的には、この流体容器ユニット201は、第1容器210Aの一端側に位置する第1給排口216と第2容器210Bの一端側に位置する第2給排口216とを連結する容器連結具220と、ノズル筒部231を有する単一のノズル部材230とを備えている。また、この流体容器ユニット201は、一端側にノズル部材230の基部234を保持し、他端側が容器連結具220の外周部に嵌合して、容器連結具220の一側を覆う連結キャップ240と、第1給排口216及び前記第2給排口216にそれぞれ対向する一対の押圧子258を備え、連結キャップ240内にてノズル筒部231の長手軸に沿った方向に移動可能に保持される中間アダプタ250とを備えている。更に、この流体容器ユニット201は、中間アダプタ250を容器連結具220側へ移動させ、一対の押圧子258により第1給排口216及び第2給排口216を開栓する(開栓シール218を開栓する)給排口開栓機構を備えて構成されている。
【0086】
そして、この構成において、図12(c)に示すように、流体容器ユニット201を、ノズル筒部231を下に向けた状態で、内視鏡洗浄消毒装置1の所定の位置に取り付けた状態で、中間アダプタ250が連結キャップ240内にてノズル筒部231の長手軸に沿って容器連結具220側に移動することで、中間アダプタ250に設けた一対の押圧子258により第1給排口216及び第2給排口216が開栓されて、第1容器210A及び第2容器210B内の流体が同時に排出され、混合状態で内視鏡洗浄消毒装置1に流入されるようになっている。
【0087】
このような、構成の流体容器ユニット201とすることで、第1容器210Aの一端側に位置する第1給排口216と第2容器210Bの一端側に位置する第2給排口216とを容器連結具220で連結したことにより、第1容器210Aと第2容器210Bとを堅固に一体化して組み立てることができる。また、給排口開栓機構を設けたことにより、連結キャップ240内にて中間アダプタ250をノズル筒部231の長手軸に沿って容器連結具220側に移動させて、中間アダプタ250に設けた一対の押圧子258で第1給排口216及び第2給排口216を開栓させ、第1容器210A及び第2容器210B内の流体を同時に排出させて内視鏡洗浄消毒装置1へ注入することができる。更に、流体容器ユニット201の一端側(注入側)には単一のノズル部材230が設けられているだけであり、この単一のノズル部材230を介して第1容器210A及び第2容器210B内の流体が内視鏡洗浄消毒装置1へ注入されるので、2つの注ぎ口が並んでいる場合に比して、内視鏡洗浄消毒装置1への取付作業をより簡単かつ迅速に行えるようになり、その作業性が大いに向上する。また更に、第1給排口210A及び第2給排口210Bから同時に排出された第1容器及210Aび第2容器210B内の流体は、単一のノズル部材230を介して送出される過程で混合され、この混合状態で内視鏡洗浄消毒装置1へ注入されるので、より良好な混合状態を得ることも可能になる。また更に、流体容器ユニット201の注入側には単一のノズル部材230が設けられているだけであるので、内視鏡洗浄消毒装置1もこの単一のノズルを受け合うだけでよく、2つの注ぎ口を受け合う場合に比して、内視鏡洗浄消毒装置1の注入部をよりコンパクトにすることができる。
【0088】
しかしながら、このような優れた効果を奏する流体容器ユニット201であっても、先端の単一のノズル部材230が突出した形状となっているため、ユーザーが、ノズル部材230側を床面側にして、流体容器ユニット201を誤って落下させてしまった際には、ノズル部材230により中間アダプタ250が押し込まれて、一対の押圧子258が開栓して、第1容器210A及び第2容器210B内の流体が漏れてしまう虞がある。
【0089】
このような課題を解決するために、図13に示すように、ノズル部材230を保護する保護カバー270を設けるようにした。
【0090】
この保護カバー270は、円筒状に形成されており、流体容器ユニット201の連結キャップ240の中央段部240aに装着自在で、該中央段部240aに装着した状態での高さが、ノズル部材230のノズル筒部231の先端位置よりも所定以上高くなるような長さに形成されている。
【0091】
そして、保護カバー270は、その内径が連結キャップ240の中央段部240aの外径よりも僅かに小さく形成されて、ユーザーが消毒液を調合する直前に、簡単に取り外すことが自在な嵌め込み式の寸法に形成されている。
【0092】
このような保護カバー270を採用することにより、たとえ、ユーザーが、ノズル部材230側を床面側にして、流体容器ユニット201を誤って落下させてしまったとしても、保護カバー270が床面にあたるのみで、ノズル部材230が押し込まれることがなく、流体の漏れが確実に防止される。このため、流体容器ユニット201の取り扱いが、一層、容易なものとなる。
【符号の説明】
【0093】
1 内視鏡洗浄消毒装置
2 装置本体
4 蓋部
5 洗浄槽
5a 底面
6 ロック機構
6a 電磁ロックスイッチ
7 ラッチ
8 ハンドル
8a 孔部
9 操作パネル(報知手段)
11 洗剤ノズル
12 消毒液ノズル(薬液供給部)
13 給水・循環ノズル
17 パッキン部材
21 洗剤タンク
22 消毒液タンク(薬液供給部)
26 ボトルコネクタ
27 消毒液ボトル
30 排水口
31 循環口
37 洗剤ポンプ
38 薬液ポンプ(薬液供給部)
63 制御回路
90 内視鏡
110 センサ系
111 接触センサ(接触圧検知部、接触検知部)
112 各センサ類
120 駆動系
130 電源部
151 電磁波送信部(接触検知部)
152 電磁波受信部(接触検知部)
161 歪み検知部(接触検知部)
171 圧力検知部(接触検知部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に内視鏡を載置自在な槽型の洗浄槽と、
上記洗浄槽に薬液を供給する薬液供給部と、
上記洗浄槽を覆う蓋部と、
上記洗浄槽に配置した内視鏡が上記蓋部の内面に接触していることを検知する接触検知部と、
を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項2】
上記接触検知部は、少なくとも、上記洗浄槽と上記蓋部との接触圧を検知する接触圧検知部を備えたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項3】
上記接触検知部は、少なくとも、上記洗浄槽の上記蓋部側部位と上記蓋部のどちらか一方に配置されて電磁波を送信する電磁波送信部と、該電磁波送信部に略対向して上記蓋部側部位と上記蓋部のどちらか一方に配置され、上記電磁波送信部から送信された電磁波を受信する電磁波受信部とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項4】
上記接触検知部は、少なくとも、上記蓋部の歪みを検知する歪み検知部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項5】
上記接触検知部は、少なくとも、上記蓋部の内面に加わる圧力を検出する圧力検知部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項6】
上記接触検知部により上記洗浄槽に配置された内視鏡が上記蓋部の内面に接触していることが検知された場合には、該接触していることを報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項7】
上記接触検知部により上記洗浄槽に配置された内視鏡が上記蓋部の内面に接触していることが検知された場合には、洗浄消毒工程開始の操作を受け付けなくすることと上記蓋部の上記洗浄増への閉操作を行えなくすることの少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一つに記載の内視鏡洗浄消毒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−103017(P2013−103017A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249910(P2011−249910)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】