説明

円錐状包装体

【課題】簡易な構成で円錐先端部の形状保持性を高めて円錐先端部におけるシール部の剥離を防止することにより、外観不良等の発生しない円錐状包装体を提供する。
【解決手段】包装体10の円錐状の側端部には、開封用の摘み部2を形成するとともに、摘み部2を挟むようにして第1破断切線3及び第2破断切線4が設けられている。一点鎖線Mよりも左側の領域は、円錐状の周壁を巻回構成する場合の貼着部11であり、扇形の他端側に形成された接着部12に接着剤を塗布した後に貼着部11を重ね合わせることで、包装材10の表面側と裏面側が接着される。円錐状の周壁の先端部を構成する貼着部11のシール終端部11aには、複数の折曲切線13が円錐頂点8を中心として放射状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてコーン型アイスクリーム用の包装体として用いられる、扇形の両端縁部を重ね合わせてシール部を形成してなる円錐状包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、個食用のアイスクリームとしては、カップ型、モナカ型、スティック型等の種々の形態のものが開発され、提案されているが、それらの一つにコーン型のアイスクリームがある。このコーン型のアイスクリームは、紙基材を主材とする扇形の包装材(ブランク)を製造し、次いで扇形の包装材の両端縁部を重ね合わせ、その重ね合わせ部分にホットメルト接着剤等を介してシール部を形成して円錐状のアイスクリーム用包装体を構成し、この円錐状包装体内に、コーン、アイスクリームを充填包装したものである。そして、コーン型のアイスクリームを食する場合には、円錐状の包装体を構成する包装材料を上方から引き剥がしてアイスクリームを剥き出しながら、これをコーンと共に食する。
【0003】
従来、円錐状包装体を作製するのに使用する包装材としては、例えば、印刷層/アルミニウム箔/紙/ポリエチレンからなる構成のものが一般的に使用されており、包装材がアルミニウム箔を使用した構成であるので、内容物を包装する際に異物混入防止のために金属探知機を使用することができなかった。また、アルミニウム箔を含むので包装体の焼却時に焼却残渣が発生し、廃棄物処理の面で問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1に記載されているように、アルミニウム箔を使用しない包装材で形成された円錐状包装容器が提案されている。包装材の構成としては、例えば、2軸延伸プラスチックフイルム/印刷層/紙/ポリエチレンのように、アルミニウム箔を2軸延伸プラスチックフイルムに置き換えた構成のものが考えられる。この構成の場合にはアルミニウム箔を含まないため、異物混入防止のために金属探知機を使用することができ、廃棄物処理の観点からも好ましい。
【0005】
しかし、アルミニウム箔を使用しない包装材では、円錐状に巻き上げたときの形状保持性が低下するため、特に反発力が高く、腰の強い紙基材等を主材として使用する場合、図9に示すように、円錐状包装体100の貼着部101の下端部102が剥離し易くなり、その結果、矢印Yで示すように、下端部102が開いて内容物の漏れ、外観不良等の問題点を引き起こす。特に、円錐状包装体100の円錐の角度αが鋭角になると、円錐状の下端部102の接着の不安定性が著しく増大するため、先端部の開きによる不良品の発生頻度が増加して良品率が極度に低下するという問題点がある。
【0006】
このような問題点を解決するために、例えば、扇形の包装材の端縁部にホットメルト接着剤を塗布してシールするに際し、接着剤の塗布量、あるいは塗布位置、接着剤の粘度、シール条件等を種々に改良することが試みられる。しかしながら、例えば、上記の接着剤の塗布量を増大させても、下端部の接着強度は増すが、逆に、シール部から接着剤がはみ出し、これが包装体を重ねたときのブロッキング(固着)等の問題を発生させ、その生産性、安定性を阻害する原因となって好ましくない。また、接着剤の塗布位置、接着剤の粘度、シール条件等を検討する場合でも、生産現場で、その条件を一定にして良品を安定的に生産することが極めて困難であり、十分に満足するものを得られないというのが実状である。
【0007】
特許文献2には、包装材にアルミニウム箔を使用した構成ではあるが、円錐状包装体の下端部を構成するシール部に相当する領域部分の包装材料に複数の傷痕を刻設することにより、包装材の下端部の反発性やコシを低下させて形状保持性を向上させた円錐状包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−278545号公報
【特許文献2】特開平10−59469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2の方法では、形状保持性を向上させるために傷痕を密に刻設すると包装材の割れが発生してしまうという問題点があり、包装材の割れを発生させずに円錐先端部の形状保持性を高める手法の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み、簡易な構成で円錐先端部の形状保持性を高めて円錐先端部におけるシール部の剥離を防止することにより、外観不良等の発生しない円錐状包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、最外層である基材フィルム層と、紙層と、最内層である熱可塑性樹脂層とを含む略扇形の包装材を円錐状に巻き上げた後、外側の側端部に沿って形成された貼着部を内側の側端部に沿って形成された接着部に重ね合わせて接着することにより形成される円錐状包装体であって、円錐状の先端部を構成する前記貼着部のシール終端部に、複数の折曲切線が円錐頂点を中心として放射状に形成されていることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の円錐状包装体において、隣接する前記折曲切線のなす角度が1°以上10°以下であることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の円錐状包装体において、隣接する前記折曲切線のなす角度は、前記シール終端部の上側に比べて前記シール終端部の先端側の方が小さいことを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の円錐状包装体において、前記折曲切線は、前記シール終端部の円錐頂点側の端縁と間隔を隔てて形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、円錐状の先端部を構成する貼着部のシール終端部に、複数の折曲切線を、円錐頂点を中心として放射状に形成することで、接着部から剥がれ易いシール終端部の反発力やコシが折曲切線によって弱められるとともに、折曲切線で折り曲げることでシール終端部に円錐状の周壁に沿った折りぐせを付けることができる。従って、アルミニウム箔を使用しない包装材を用いて円錐状包装体を形成する場合であっても、シール終端部の剥がれを効果的に防止することができる。
【0016】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の円錐状包装体において、隣接する折曲切線のなす角度を1°以上10°以下とすることにより、シール終端部の反発力やコシを十分に弱めることができ、且つ包装材の割れも抑制することができる。
【0017】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の円錐状包装体において、隣接する折曲切線のなす角度を、シール終端部の上側よりもシール終端部の先端側において小さくすることにより、シール終端部の先端側で折曲切線が密に形成されるため、接着部から剥がれ易いシール終端部の先端側の反発力やコシをより弱めることができ、シール終端部の剥がれを一層効果的に防止することができる。
【0018】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の円錐状包装体において、シール終端部の円錐頂点側の端縁と間隔を隔てて折曲切線を形成することにより、折曲切線が密集して破れ易いシール終端部の円錐頂点側の端縁が円錐状包装体の製造時に破れるおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の円錐状包装体1の外観斜視図
【図2】図1の円錐状包装体1に使用する包装材10の展開図
【図3】図2の包装材10の積層構成の一例を示す断面図
【図4】シート状の原反15に面付けした包装材10を打ち抜く様子を示す平面図
【図5】包装材10の貼着部11のシール終端部11a付近の部分拡大図
【図6】包装材10を巻き上げて形成した円錐状包装体1の下端部周辺の拡大斜視図
【図7】パターンの異なる折曲切線13が形成されたシール終端部11a付近の部分拡大図
【図8】ハーフカットラインの折曲切線13が形成されたシール終端部11a付近の部分拡大図
【図9】従来の円錐状包装体の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の円錐状包装体について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る円錐状包装体1の斜視図である。この円錐状包装体1は、図2に示した略扇形の包装材(ブランク)10を円錐状に巻回して両側端部を接着するとともに、ほぼ等間隔で放射状に形成された複数(ここでは3本)の接合部7で大径側を封止して構成される(上方封止部6)。
【0021】
円錐状包装体1の円錐状の周壁には、開封用の摘み部2を形成するとともに、摘み部2を挟むようにして、2つの破断切線が設けられている。すなわち、円錐頂点8に近い側の第1破断切線3と、図1及び図2中において上側に位置する大径側の第2破断切線4である。第1破断切線3は、円錐頂点8を中心とする円弧状に形成されている。一方、第2破断切線4は、摘み部2から離れるにつれて、第1破断切線3から徐々に離れるように略螺旋状に形成されている。
【0022】
また、図2中、一点鎖線Mよりも左側の領域は、円錐状の周壁を巻回構成する場合の貼着部11であり、扇形の他端側に形成された接着部12に接着剤を塗布した後に貼着部11を重ね合わせることで、包装材10の表面側と裏面側が接着されることとなる。円錐状の周壁の先端部を構成する貼着部11の下端部(以下、シール終端部という)11aには、複数の折曲切線13が形成されている。
【0023】
円錐状包装体1を作製するための包装材10の積層構成は、図3に示すように、例えば基材フィルム20の片面に印刷層21を形成し、アンカーコート層22、接着性樹脂層23を介して紙層24を積層し、さらに熱可塑性樹脂層25を積層して積層体を構成したものである。
【0024】
なお、第1破断切線3、第2破断切線4は基材フィルム20を貫通し、紙層24の中間まで切り込まれた状態で形成されている。すなわち、各破断切線3、4は、包装材10の全体を貫通しているのではなく、ハーフカットの状態とされている。ハーフカットの状態とすることで、内部の食品を外部から遮断することができ、衛生上好ましいとともに、不用意に破断する危険性を減じることができる。熱可塑性樹脂層25は比較的引き裂き強度が小さいので、基材フィルム20から紙層24の中間までを貫通させておけば、各切線に沿って容易に引き裂くことができる。この場合、第1破断切線3、第2破断切線4はミシン目状に形成しても良いし、連続する直線状に形成しても良い。また、円錐状包装体1の密封性を考慮しなければ、各破断切線3、4は、包装材10の全体を貫通するミシン目としても良い。
【0025】
次に、包装材10を構成する各層について詳細に説明する。基材フィルム20は、包装袋1を構成する基本素材となること、更に、金属または金属酸化物の薄膜からなるバリア層(後述)を設ける場合、バリア層を保持する基材となること等から、それらの形成、加工等の条件に耐え、かつ、その特性を損なうことなくそれらを良好に保持することができ、更に、包装体の製造に際し、加工作業性、耐熱性、滑り性、耐ピンホール性、水蒸気またはガスバリア性、その他の諸物性において優れたものであることが好ましい。
【0026】
本発明に用いられる基材フィルム20としては、一軸または二軸延伸ナイロンフィルム、一軸または二軸延伸ポリプロピレンフィルム、一軸または二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム等の単体ないしそれらの積層体が用いられ、一軸または二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムが特に好適に用いられる。ポリエステル系樹脂フィルムの具体的な材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン−2、6−ナフタレート樹脂、ポリブチレン−2、6−ナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂等の各種のポリエステル系樹脂を使用することができる。
【0027】
一軸または二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムは、例えば、上記のポリエステル系樹脂の1種ないし2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、或いは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を製膜化する前に予め混合して製膜化する方法等により、ポリエステル系樹脂フィルムを製造し、更に、例えばテンター方式、或いはチューブラー方式等を利用して一軸ないし二軸方向に延伸してなる二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを使用することができる。基材フィルム20の膜厚としては、3〜50μm程度、より好ましくは、9〜30μm程度が望ましい。
【0028】
なお、基材フィルム20の製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、ごく微量から数十%まで、その目的に応じて任意に添加することができる。上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0029】
なお、静電気の発生に伴う不具合を防止して、ラミネート適性、製袋性、充填包装適性等を向上させるために、基材フィルム20の表面に帯電防止コート層を設けても良い。帯電防止コート層の形成方法としては、例えば、樹脂をビヒクルの主成分とし、これに帯電防止剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、充填剤、着色剤等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、溶剤・希釈剤等で十分に混練して樹脂組成物を調製する。次いで、該樹脂組成物を使用し、これを基材フィルム20の表面に、通常のコーティング法、或いは、印刷法等を用いて、コーティングないし印刷して、帯電防止コート層を形成する。
【0030】
帯電防止剤としては、例えば、陰イオン系活性剤、陽イオン系活性剤、非イオン系活性剤、両性表面活性剤等の界面活性剤、金属粉やカーボン等の無機系帯電防止剤、シリコーン系帯電防止剤、高級脂肪酸およびそのエステル類、酸アミド類、塩類、パラフィン系炭化水素類、ワックス類等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。
【0031】
ビヒクル樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。
【0032】
なお、基材フィルム20の原料であるポリエステル系樹脂のペレットに、上記のような帯電防止剤の1種ないし2種以上を添加し、これを十分に混練した後、製膜することにより、基材フィルム20に帯電防止性を付与することもできる。
【0033】
印刷層21は、基材フィルム20と紙層24との間に文字、図形、記号、模様等の所望の印刷模様を形成するものである。印刷層21の形成方法としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤の1種または2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整する。そして、このインキ組成物を用いてグラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等の印刷方式により基材フィルム20の裏面に所望の印刷模様を印刷して印刷層21を形成する。
【0034】
アンカーコート層22は、印刷層21と接着性樹脂層23との接着強度を高めるために印刷層21の裏面を化学的に処理するものであり、アンカーコート層22に接着性樹脂層23を介して紙層24が積層される。アンカーコート層は、基材層20の裏面アンカーコート層の厚さは、通常、0.1〜2.0μm程度が好ましい。アンカーコート層を構成するアンカーコート剤としては、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコート剤を使用することができる。
【0035】
接着性樹脂層23は、基材フィルム20と紙層24の層間接着強度を高めるために積層される。接着性樹脂層23としては、熱によって溶融して基材フィルム20と紙層24とを相互に熱接着可能な樹脂であれば良く、後述する熱可塑性樹脂層25と同様の樹脂が使用できる。
【0036】
なお、接着性樹脂層23に代えてドライラミネート層を積層しても良い。ドライラミネート層を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
【0037】
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。ドライラミネート層の形成方法としては、積層する両者の一方の面に、上記のラミネート用接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法或いは印刷法等によって塗布し、次いで溶剤等を乾燥させて形成することができ、そのコーティングないし印刷量としては、乾燥状態で0.1〜10g/m2程度が望ましい。
【0038】
紙層24は、基材フィルム20と共に包装材10を構成する基本素材となる。紙層24としては、例えば片アート紙やコート紙等が使用される。
【0039】
熱可塑性樹脂層25は、内容物を充填した後に上方封止部6を形成する際に、熱によって溶融して包装材10の内面同士を相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。
【0040】
熱可塑性樹脂層25の形成方法としては、上記の熱可塑性樹脂を溶融押出し法により積層する方法や、熱可塑性の単層ないし多層フィルムを積層する方法が用いられる。熱可塑性樹脂層25の層厚としては、ヒートシール性等を考慮すると、10μm〜100μm程度、特に15μm〜50μm程度であることが好ましい。
【0041】
また、例えば加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度その他を改良、改質する目的で、熱可塑性樹脂層25を構成する溶融押し出し樹脂に、前述の帯電防止剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、その製膜化に際して、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を挙げることができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0042】
本発明の円錐状包装体1に用いられる包装材10の代表的な構成を例示するならば、一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/印刷層21/アンカーコート層22/直鎖状低密度ポリエチレン層(15μm)/片アート紙(目付量84.9g/m2)/直鎖状低密度ポリエチレン層(20μm)を挙げることができる。
【0043】
次に、本発明の円錐状包装体1の製造方法について説明する。先ず、基材フィルム20、印刷層21、アンカーコート層22、接着性樹脂層23、紙層24、及び熱可塑性樹脂層25が順次積層された広幅のロール状の原反15を製造する。次に、図4に示すように、包装材10が原反15の流れ方向に直線状に配列されるように面付けし、所定の位置にて原反15をシート状に裁断し、扇形状に打ち抜くことにより包装材10を作製する。なお、第1破断切線3、第2破断切線4、折曲切線13(いずれも図2参照)の形成は、打ち抜き工程の前に、原反15表面に切線を形成するための微細な切刃が形成されたロールにて加圧する周知の方法にて行われる。
【0044】
図5は、包装材10の貼着部11のシール終端部11a付近(図2の円S内)の部分拡大図である。図5に示すように、折曲切線13は、円錐頂点8(ここでは包装材10を円錐状に巻き上げたときの円錐頂点8となる位置)を中心として放射状に形成されたミシン目である。折曲切線13は、第1破断切線3、第2破断切線4と同様に基材フィルム20を貫通し、紙層24の中間まで切り込まれたハーフカットの状態に形成されているが、包装材10の全体を貫通するミシン目としても良い。
【0045】
包装材10の接着部12にホットメルト接着剤を塗布した後、折曲切線13を形成したシール終端部11aが上側にくるように円錐状に巻き上げ、貼着部11を接着部12に接着することにより、上部が開口した円錐状包装体1の半製品が得られる。得られた円錐状包装体1の半製品は、複数枚を重ね合わせて保管、輸送される。
【0046】
図6は、円錐状包装体1の下端部周辺の拡大斜視図である。図6に示すように、シール終端部11aに形成された折曲切線13は、円錐状包装体1の円錐頂点8から放射状に配置される。
【0047】
この構成により、接着部12から剥がれ易いシール終端部11aの反発力やコシが折曲切線13によって弱められるとともに、折曲切線13で折り曲げることでシール終端部11aを円錐状の周壁に沿って巻き上げ方向に円滑に折り曲げることができる。
【0048】
また、円錐状包装体1の半製品を複数枚重ね合わせた場合、内側に重なる半製品は外側に重なる半製品によって円錐形状が保持されることになる。このとき、シール終端部11aに放射状の折曲切線13が形成されているため、内側に重なる半製品に円錐形状に沿った十分な折りぐせを付けることができる。
【0049】
従って、図3に示したようなアルミニウム箔を使用しない包装材10の積層構成であっても、シール終端部11aの剥がれを効果的に防止することができる。また、ホットメルト接着剤を接着部12に多量に塗布する必要がないため、ホットメルト接着剤のはみ出しによる円錐状包装体1の半製品同士のブロッキングを防止することができる。
【0050】
なお、隣接する折曲切線13のなす角度θが小さいほど折曲切線13の間隔が密になるため、シール終端部11aの反発力やコシを弱めることができるが、折曲切線13を密に形成しすぎると包装材10の割れが発生するおそれがある。従って、角度θは1°以上10°以下が好ましい。ここでは、各折曲切線13のなす角度θを5°としている。また、折曲切線13の切り込み部のピッチa、連結部のピッチbについても任意に設定可能である。ここではピッチaを5mm、ピッチbを1.5mmとしている。
【0051】
また、シール終端部11aの円錐頂点8側の端縁11aaでは折曲切線13が密集するため、包装材10を円錐状に巻き上げたときに割れや破れが発生し易い。そこで、製造時における包装材10の割れや破れを防止するために、各折曲切線13を円錐頂点8側の端縁11aaから間隔cを隔てて形成することが好ましい。ここでは、間隔cを1mmとしている。さらに、包装材10の割れや破れをより確実に防止するために、円錐頂点8側の端縁11aaのみでなく反対側の端縁11abにも間隔cを設けても良い。
【0052】
その後、得られた円錐状包装体1の半製品の開口部からコーン(図示せず)を充填し、更にコーンの中にアイスクリーム(図示せず)を充填した後、上部の開口部の内面を対向させてヒートシールして3本の接合部7を形成し、開口部を封止する。また、円錐頂点8の孔を熱可塑性樹脂層25の熱融着によって塞ぐことにより、図1に示した円錐状包装体1を製造する。
【0053】
上記のようにして製造した円錐状包装体1を開封する方法について説明すると、円錐状包装体1の摘み部2を摘んで第1破断切線3と第2破断切線4の間の周壁部分を破り取り、分離された第2破断切線4よりも上の部分を取り外すことで容易に開封できる。そして、露出したアイスクリームを食し、更に円錐状包装体1の先端部8を含む残余部分からコーンを抜き取り、残りのアイスクリームをコーンと共に食することができる。
【0054】
図7は、パターンの異なる折曲切線13が形成されたシール終端部11a付近の部分拡大図である。図7においては、隣接する折曲切線13のなす角度が一定ではなく、シール終端部11aの上側における角度θ1に比べて先端側における角度θ2の方が小さくなっている。ここでは角度θ1を5°、角度θ2を1.5°としている。
【0055】
この構成によれば、シール終端部11aの先端側で折曲切線13が密に形成されるため、接着部12から剥がれ易いシール終端部11aの先端側の反発力やコシをより弱めることができるため、シール終端部11aの剥がれを一層効果的に防止することができる。また、図5と同様に各折曲切線13を円錐頂点8側の端縁11aaから間隔cを隔てて形成することにより、製造時における包装材10の割れや破れを防止することができる。
【0056】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、図3に示した包装材10の積層構造は好ましい一例であり、少なくとも紙層24を主材料とする積層構造であれば良い。
【0057】
また、上記実施形態では折曲切線13をミシン目で構成したが、図8に示すように、ミシン目に代えて折曲切線13を複数の連続する直線状のハーフカットラインで構成しても良い。
【0058】
また、上記の円錐状包装体1の製造方法は好ましい一例に過ぎず、例えば包装材10を製造する際の原反15の製造方法として、通常の包装材料を製造するときに使用する積層法、例えば、ウエットラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、共押出ラミネーション法、インフレーション法、その他の方法を用いることもできる。
【0059】
また、必要ならば上記各層の積層を行う際に、被積層基材の表面に、例えばアンカーコート処理、コロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理、ブラスト処理等の前処理を任意に施すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、主としてコーン型アイスクリーム用の包装体として用いられる円錐状包装体に利用可能である。本発明の利用により、簡易な構成で円錐先端部におけるシール部の剥離を効果的に防止することができ、外観不良や積層時のブロッキング等の発生しない低コストな円錐状包装体を提供することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 円錐状包装体
2 摘み部
3 第1破断切線
4 第2破断切線
6 上方封止部
7 接合部
8 円錐頂点
10 包装材
11 貼着部
11a シール終端部
12 接着部
13 折曲切線
15 原反
20 基材フィルム
21 印刷層
22 アンカーコート層
23 接着性樹脂層
24 紙層
25 熱可塑性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外層である基材フィルム層と、紙層と、最内層である熱可塑性樹脂層とを含む略扇形の包装材を円錐状に巻き上げた後、外側の側端部に沿って形成された貼着部を内側の側端部に沿って形成された接着部に重ね合わせて接着することにより形成される円錐状包装体であって、
円錐状の先端部を構成する前記貼着部のシール終端部に、複数の折曲切線が円錐頂点を中心として放射状に形成されていることを特徴とする円錐状包装体。
【請求項2】
隣接する前記折曲切線のなす角度が1°以上10°以下であることを特徴とする請求項1に記載の円錐状包装体。
【請求項3】
隣接する前記折曲切線のなす角度は、前記シール終端部の上側に比べて前記シール終端部の先端側の方が小さいことを特徴とする請求項2に記載の円錐状包装体。
【請求項4】
前記折曲切線は、前記シール終端部の円錐頂点側の端縁と間隔を隔てて形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の円錐状包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−131538(P2012−131538A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285731(P2010−285731)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】