説明

再生葉書用用紙

【課題】古紙を多配合しても、用紙の波うちが小さく、オフセット印刷時の欠陥の発生が少なく、作業性に優れ、さらに葉書の投函後の自動区分機で、カールによる給紙不良や紙剥けが発生しない再生葉書用用紙を提供する。
【解決手段】古紙パルプを40質量%以上含有する再生葉書用用紙であって、該再生葉書用用紙は、少なくとも表層、中層、裏層の3層を有する多層抄き合わせにより抄造され、表層はLBKPを含んでおり、中層は古紙パルプを含んでおり、表層よりも中層が古紙パルプを多く含んでなり、坪量が170〜300g/m、JAPAN TAPPI No.18で規定される内部結合強度が500kPa以上、JIS P 8125で規定されるテーバー剛度が2.5mN・m以上、且つ、用紙水分がJIS P 8127で規定される測定値で、6.0〜8.0%であることを特徴とする再生葉書用用紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙パルプを40質量%以上含有する再生葉書用用紙に関するものである。葉書用用紙は、その片面(宛名面)に、オフセット印刷で郵便番号欄や切手マークなどが印刷されて、その後、葉書の大きさに断裁処理がなされ、葉書となる。本発明は、オフセット印刷前の葉書用用紙に関するものである
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保持の観点から、古紙パルプの使用が重要なテーマになってきており、葉書においても古紙より再生した古紙パルプを用いた葉書が要求されている。現在、牛乳パック由来の古紙パルプを用い、古紙パルプ100%の再生葉書を製造する活動も小規模ながら実施されているが、主に手抄きで製造されるものであり、大量生産は困難であり、また、均質な製品を製造することは出来ない。機械抄きで製造されている再生葉書もあるが、各種印刷適性、筆記適性、白色度等の要求を満足するためには、古紙配合の配合量を少量に止める必要があった。
【0003】
葉書用用紙に、古紙パルプを配合する場合、少量であれば、白色度の低下も許容される範囲となるが、古紙パルプを40質量%以上含有するような場合、古紙に含まれる塵のため、白色度の低下が著しく、葉書として許容されるような葉書用用紙は得られない。古紙パルプを漂白処理、除塵処理の能力を高めると、白色度が向上した葉書用用紙となる。しかし、古紙パルプには塵以外に、一般の脱墨工程を含む古紙処理では除去できない蛍光物質が多く含まれるため、葉書の仕分け作業で使用するステルスバーコードの誤認を生じやすくなる。ステルスバーコードとは、集められた葉書の宛名面に、視認できないインクで付与されるバーコードであり、そのバーコードを自動区分機で読みとり、選別しているが、葉書の宛名面の蛍光反応の強いと、誤認をするケースが多くなる。蛍光物質の殆ど残存しない古紙パルプは極めて量が少なく、このようなパルプを寄り集めて40質量%以上にすると、白色度、自動読取機の適性とも許容できるが、特殊な古紙パルプのみを選りすぐることは地球環境保持の観点からも好ましくない。
【0004】
古紙パルプを配合した葉書について、いろいろな技術が開示されているが、古紙パルプを40質量%以上とした葉書は、実施に至っていないのが現状である。例えば、3層以上の多層抄き合わせにより抄造され、内部に古紙パルプを用いた葉書用用紙についての提案があるが(特許文献1、2参照)、記載された葉書用用紙は、古紙パルプの配合量が用紙の30質量%以下のものであり、葉書としての評価は印刷適性のみが記載されている。しかし、古紙パルプを40質量%以上配合したときの、様々な問題について、何も開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2763868号公報
【特許文献2】特許第3253259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
古紙パルプを用紙中に古紙パルプを40質量%以上含有した再生葉書用用紙を製造したところ、宛名面のオフセット印刷の際に、給紙ができなくなったり、印字不良が生じたりするトラブルがあったり、自動区分機による選別中に、給紙不良があったり、紙剥けが生じたりするトラブルがあったりすることが判った。再生葉書用用紙より得られた葉書が、インクジェット記録の際に記録適性を有することも必要である。本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成及び物性を満足することにより達成できることを見出した。
【0008】
「再生葉書用用紙の構成について」
本発明は、古紙パルプを40質量%以上含有する再生葉書用用紙であり、少なくとも表層、中層、裏層の3層を有する多層抄き合わせにより抄造される。少なくとも表層、中層、裏層の3層とは、例えば、表層、表下層、中層、裏下層、裏層の5層を有する多層抄き合わせにより抄造したものなど、3層以上の抄き合わせによって抄造されたものも含まれる。3層以上の多層抄きを採用し、表層がLBKPを必須とし、中層に古紙パルプを必須とし、且つ表層よりも中層が古紙パルプを多く含む条件を満足することにより、古紙パルプを40質量%以上配合しても、古紙パルプ中に残存する塵や蛍光物質の影響を低減した葉書用用紙とすることができる。
【0009】
表層は、LBKPを含む必要がある。LBKPを含むことにより、自動読取機適性が向上する。
中層は、古紙パルプを含有し、且つ表層よりも古紙パルプを多く含むことになる。LBKPを必須成分とする表層を採用しているため、中層に用いる古紙パルプは、塵が含んでいても、蛍光物質が含んでいても構わない。
また、表下層、裏下層といった、表層、裏層以外の内部の層は、中層と同様に古紙パルプを用いると、古紙パルプの配合量を高くした葉書用用紙となるため好ましい。
裏層は、パルプの配合について特に限定しないが、表層と同じ紙料を用いることが、カールの発生を防ぐことができ、好ましい。
【0010】
「再生葉書用用紙の物性について」
本発明の再生葉書用用紙は、上記のような3層以上の紙基材を用いるが、更に、坪量が170〜300g/m、JAPAN TAPPI No.18で規定される内部結合強度が500kPa以上、JIS P 8125で規定されるテーバー剛度が2.5mN・m以上、且つ、用紙水分がJIS P 8127で規定される測定値で、6.0〜8.0%であることを満足する必要がある。
【0011】
坪量は、葉書としての質量感、風合い、インクジェットプリンターの給紙適性の為に、170〜300g/mである必要がある。この条件を満足するように、表層、中層、裏層をはじめとする各層の坪量を調節することとなる。また、中層に古紙パルプを多く含んでいるので、蛍光物質や塵、低い白色度の影響を受けない程度に表層の坪量を調整する必要がある。
【0012】
内部結合強度は、500kPa以上であることが必要である。再生葉書用用紙を多層抄きにより製造しているため、各層間の接着強度が不十分であったり、また、古紙パルプを40質量%以上も用いているため、古紙パルプ由来の微細な繊維成分や灰分が多く含んでいたりするためか、断裁加工の際の紙粉、オフセット印刷や自動区分機の処理の際の紙剥けが発生することが多くなる。本発明では、内部結合強度を500kPa以上とすることにより、これらを解決することができる。なお、内部結合強度の上限は特に限定しないが、700kPa以下が好ましい。700kPaを超える場合は、層内並びに層間の接着剤コストが高くなり実用的でない。
【0013】
また、抄紙マシン流れ方向(MD方向)のJIS P 8125で規定されるテーバー剛度は、2.5mN・m以上である必要がある。一般的に葉書の縦方向が抄紙マシン流れ方向(MD方向)になっている。テーバー剛度が2.5mN・m未満の場合、投函時や配達の途中で、葉書が容易に折れてしまう可能性がある。上限は特に限定しないが、4.5mN・mを超える場合は、自動区分機内での搬送不良が発生するおそれがあるため、4.5mN・m以下であることが好ましい。特に古紙パルプを多く配合した剛度が低下する傾向にある。剛度の調整する方法としては、表層以外の古紙の配合量、灰分量、微細繊維量を調整することにより、剛度の低下を抑制することができる。さらには、紙力増強剤の配合、抄紙時のJ/W比、インレット濃度の調整等により抄紙マシンの流れ方向(MD)の剛度を調整することができる。
【0014】
しかし、坪量、内部結合強度、テーバー剛度の条件を満足している再生葉書用用紙であっても、郵便番号欄や切手マークなどをオフセット印刷する際に、給紙の工程での紙の送り不良、印刷の版との密着不良などが発生し、操業性の著しい低下や、印刷品質の不十分となる場合がわかった。原因を追究したところ、再生葉書用用紙が波打ちを発生した場合、このようなトラブルが生じることが判った。波打ちは、紙基材が急激な吸湿により、紙基材を構成しているパルプ繊維が吸湿、膨潤し、特に、抄紙マシン流れ方向(MD方向)とは直角方向(横方向:CD方向)へ、大きな伸びが発生し、波打ちとして現れる。通常、オフセット印刷を行なう際に、波打ちが発生しないように湿度等に注意して行なわれており、現に、古紙パルプの配合量の少ない再生葉書用用紙ではオフセット印刷が問題なく施すことができる。しかし、40質量%以上配合された再生葉書用用紙では、古紙パルプの配合量が多いためか、波打ちが発生し易く、印刷の際のトラブルが発生する傾向は顕著である。
【0015】
40質量%以上配合された再生葉書用用紙について、23℃−50%R.H〜28℃−85%R.Hの用紙の平衡水分を測定したところ、23℃−50%R.Hでは約6.0%、28℃−85%R.Hでは約11%と変化することが判った。そこで、オフセット印刷を実施する印刷会社で、種々用紙の波打ちのテストを行った結果、用紙水分が6.0〜8.0%であれば、再生葉書用用紙の波打ちが、小さく抑えられ、トラブルも防ぐことができることを突き止めた。なお、用紙水分が8.0%を超えると、用紙の乾燥が不十分であり、オフセット印刷で宛名面の表面強度が弱く、パイリングが発生する。
【0016】
「本発明について」
本発明は、上記の構成と物性を満足する必要がある。即ち、本発明は、次のとおりである。
(1)古紙パルプを40質量%以上含有する再生葉書用用紙であって、該再生葉書用用紙は、少なくとも表層、中層、裏層の3層を有する多層抄き合わせにより抄造され、表層はLBKPを含んでおり、中層は古紙パルプを含んでおり、表層よりも中層が古紙パルプを多く含んでなり、坪量が170〜300g/m、JAPAN TAPPI No.18で規定される内部結合強度が500kPa以上、JIS P 8125で規定されるテーバー剛度が2.5mN・m以上、且つ、用紙水分がJIS P 8127で規定される測定値で、6.0〜8.0%であることを特徴とする再生葉書用用紙。
(2)古紙パルプを50質量%以上含有する(1)記載の再生葉書用用紙。
(3)古紙パルプを60質量%以上含有する(1)又は(2)記載の再生葉書用用紙。
(4)中層が、雑誌古紙、新聞古紙、雑紙古紙由来の古紙パルプを含む(1)〜(3)のいずれか一項に記載の再生葉書用用紙。
(5)表層に接する層が、ケント古紙由来の古紙パルプを含む(1)〜(4)のいずれか一項に記載の再生葉書用用紙。
(6)裏層の表面に記録層を有する(1)〜(5)のいずれか一項に記載の再生葉書用用紙。
【発明の効果】
【0017】
本発明の葉書用用紙は、古紙パルプが多く配合された用紙でありながら、宛名面のオフセット印刷を問題なく行うことができ、また、良好な自動区分機での選別性を有するものである。更に、再生葉書用用紙より得られた葉書が、インクジェット記録の際に記録適性を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の再生葉書用用紙は、古紙パルプを40質量%以上含有し、少なくとも表層、中層、裏層の3層を有する多層抄き合わせにより抄造され、表層はLBKPを含んでおり、中層は古紙パルプを含んでおり、表層よりも中層が古紙パルプを多く含んでなり、坪量が170〜300g/m、JAPAN TAPPI No.18で規定される内部結合強度が500kPa以上、JIS P 8125で規定されるテーバー剛度が2.5mN・m以上、且つ、用紙水分がJIS P 8127で規定される測定値で、6.0〜8.0%であることを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記の構成及び物性を満足するものであれば、使用する材料等は特に限定するものではない。再生葉書用用紙の坪量、厚さ、各層の地合い、原料配合、付け量等で多層抄きの層数が決められ、各層は原料パルプ配合、フリーネス及びサイズ剤、硫酸バンド、填料等薬品の種類および添加率を変えることができるので、表面・裏面の品質特性を変えることができる。例えば、表層,中層,裏層の3層では主として中層に、表層,表下層,中層,裏下層,裏層の5層では主として表下層,中層,裏下層の各層に古紙パルプを夫々配合して、再生葉書用用紙中に40質量%以上、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上含有させることができる。
【0020】
古紙パルプの原料としては、各種古紙を使用することが可能であり、例えば、上白、罫白など一度使用されているが印刷部の極めて少ないもの、また、カード、模造、色上、ケント、白アート等の印刷物や色づけされ一度は使用された紙類、印刷用塗工紙、飲料用パック、オフィスペーパー等使用済みの上質系古紙、更には特上切、中質反古、ケントマニラ等の事業系中質古紙、新聞、雑誌、雑紙等の一般中質古紙、切茶、無地茶、雑袋、段ボール等の茶系古紙等から得られる。
【0021】
古紙パルプの製造方法は、公知の方法が採用され、特に限定するものではないが、例えば、上記のような古紙を、水あるいは水酸化ナトリウムのようなアルカリ成分を含んだ水溶液で混合・離解し、その後除塵工程(クリーナーまたはスクリーン)で、パルプ繊維以外の異物を取り除かれ、フローテーターと呼ばれるインキ分離工程後に所望の白色度にするために漂白工程を行った後に、二―ダーやディスパーザーと呼ばれる分散機により細かく分散する分散工程を経て得ることができる。また、この工程中のいずれかの箇所に、洗浄工程を設けることもできる。洗浄工程には、例えば、DNTウオッシャー、コンパクトウオッシャー、ホールウオッシャー、バリオスプリット、SPフィルター、DPコスモ、キャップウオッシャー等の洗浄装置を適宜使用することができる。
【0022】
表層は、LBKPを含む必要がある。LBKPを含むことにより、自動読取機適性が向上する。LBKPの使用は、平滑性が向上し、地合いが優れるためにパルプ成分の主成分として用いることが好ましく、LBKPを100質量%配合することが好ましい。表層には、本発明の効果を損なわない範囲で、古紙パルプ、NBKP、SP等化学パルプ、SGP、RGP、BCTMP、CTMP等の機械パルプや、あるいはケフナ、竹、藁、麻等のような非木材パルプ、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリノジック繊維等の有機合成繊維、さらにはガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機質繊維も併用することもできる。古紙パルプを併用する場合、配合量を自動読取機に支障をきたさない範囲に止める必要があるが、蛍光物質を含む古紙パルプを蛍光消色処理した古紙パルプや、蛍光物質を含まない或いは含んでも微量の古紙由来の古紙パルプは、配合量を多くすることができるので好ましい古紙パルプである。
【0023】
ここでいう古紙パルプの蛍光消色処理とは、脱墨処理後の古紙パルプをチオ硫酸ナトリウム五水和物(ハイポ)、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウムのいずれかをパルプ濃度10%以上で添加率1%以上、温度40度以上、反応時間60分以上で処理することである。中でも作業環境の安全性から二酸化塩素が好ましい。前記処理により、古紙パルプの蛍光強度を90%以上下げられ、表層にも古紙パルプを配合することが可能となり、古紙パルプの配合率を上げることが可能となる。但し、古紙100%では自動区分処理機で剛度不足による問題が発生する恐れがあるので現状では古紙パルプは80質量%程度が上限と考える。
【0024】
蛍光消色処理の方法は上記以外にも、多価金属処理、酵素処理、過酸化物処理、オゾン処理、マスキング処理などがあり、本発明では、いずれの処理も使用できる。具体的には、多価金属処理は、古紙パルプスラリーに、例えばアルミニウム箔を挿入し、20℃で24時間処理することで、蛍光を消すことが出きる。酵素処理は、レドックスメディエーターの存在化pH2〜12、および常温〜70℃の範囲の温度で、ラッカーゼを更に含有することで、蛍光増白剤を分解できる。過酸化物処理は、2%濃度の古紙パルプスラリーに、過硫酸アンモニウム1%と硫酸鉄0.2%を配合し、反応温度60℃以上、反応時間2時間以上、pH8以下の条件で反応させると、酸化分解で蛍光が消される。オゾン処理は、パルプ濃度0.5〜3重量%のスラリーをpH9〜11.5に保持した状態で、オゾンの存在下で、スラリーを攪拌することで、脱色できる。マスキング処理は、約1%濃度の古紙スラリーのpHを7以下に保持した状態で、ポリアルキレンポリアミン・ジカルボン酸縮合物のポリアルキル4級アンモニウム塩を適量添加、攪拌することにより蛍光を消すことが出きる。
【0025】
裏層は、パルプの配合について特に限定しないが、表層と同じ紙料を用いることが、カールの発生を防ぐことができ、好ましい。なお、裏層にLBKPを含む場合、裏層も自動読取機適性を示すことができ、裏層を宛名面、表層を通信面とする場合も、本発明の実施態様の一つである。
【0026】
中層は、古紙パルプを含有し、且つ、表層よりも古紙パルプを多く含むことになる。LBKPを必須成分とする表層を採用しているため、中層に用いる古紙パルプは、塵が含んでいても、蛍光物質が含んでいても構わない。脱墨剤、漂白剤による地球環境の負荷が小さい新聞、雑誌、雑紙等の一般中質古紙などを由来とする古紙パルプを積極的に使用することが出来るので好ましい。なお、表層に、中層で使用する古紙パルプの塵や蛍光物質の影響を及ぼす場合には、中層に他の古紙パルプや非古紙パルプを併用してもよい。勿論、表層で例示する蛍光消色処理した古紙パルプ、蛍光物質を含まない古紙由来のパルプ、蛍光物質の微量の古紙由来の古紙パルプも使用可能である。
中層には、LBKP、NBKP、SP等化学パルプ、SGP、RGP、BCTMP、CTMP等の機械パルプや、あるいはケフナ、竹、藁、麻等のような非木材パルプ、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリノジック繊維等の有機合成繊維、さらにはガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機質繊維を適宜配合することもできる。
【0027】
また、表下層、裏下層といった、表層、裏層以外の内部の層は、中層と同様に古紙パルプを用いると、古紙パルプの配合量を高くした葉書用用紙となるため好ましい。なお、中層と表下層、裏下層は、同じ紙料である必要はなく、古紙パルプの配合量が異なっていてもよく、使用する古紙パルプの種類が異なっていても良い。例えば、塵の含有量の多い古紙パルプを中層に、少ない古紙パルプを表下層、裏下層に用いると、表層及び裏層への影響を抑えることができ、雑誌古紙由来のこれまで葉書用用紙に使用し難かった古紙パルプを用いることも可能となる。中層、表下層や裏下層には、葉書用用紙のクッション性を高めるために、機械パルプを配合することもできる。
【0028】
表層に接する層(三層抄き合せの場合は中層、五層抄き合せの場合は表下層)は、0.1mm以下の微細繊維を8%以上20%以下含有することが好ましい。表層は品質の良いLBKPを多く含んでおり、表層に接する層には多くの古紙パルプを多く含んでいるため、その抄き合わせ部分の層間の強度が低下しやすくなる。表層に接する層の古紙パルプ中の0.1mm以下の微細繊維を8〜20%にすることにより、表層と表下層、または中層の繊維が絡み合い、内部結合強度の低下を抑えることが可能となる。
ここでいう微細繊維は、JAPAN TAPPI No.52で規定された光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験方法により測定した繊維長の数平均算出時の繊維長分布において0.1mm以下の割合を規定したもので、kajaani社製の繊維長分布測定機「Fiber Lab」にて測定したときの0.1mm以下の測定値をいう。
【0029】
微細繊維の量は前記分散工程および、洗浄工程により調整することも可能であるが、古紙処理工程後の叩解処理でも調整できる。叩解機には特に限定はなく、ビーター、ジョルダン、デラックス・ファイナー(DF)、ダブル・ディスク・レファイナー(DDR)等種々の叩解機が使用される。古紙パルプはカナダスタンダードフリーネスで250〜450mlに処理して使用することが好ましい。450ml以下とすることにより、内部結合強度が低下することを防ぎ、また、250ml以上の範囲となるように叩解をとどめるとパルプの歩留の低下、原紙の高密度化を防ぐことができる。
【0030】
また、表層に接する層は、灰分が5%以上15%以下であることが好ましい。5%以上とすることにより、クッション性が向上し、15%以下とすることにより、内部結合強度の低下を抑えることができる。上記の灰分と0.1mm以下の微細繊維の量を両方満足することがより好ましい。なお、灰分は、原料古紙由来のものであることが資源の有効活用の点から好ましい。原料古紙由来の灰分の量は、古紙パルプの洗浄工程で調整することが可能である。
表層に接する層に用いる古紙パルプとしては、ケント古紙由来の古紙パルプを含むことが好ましい。
【0031】
各層中には、必要に応じて、填料が配合出来る。この場合の填料としては、特に限定するものではないが、一般に上質紙に用いられるもので、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質や、ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂並びにそれらの微小中空粒子等の有機系粒子が挙げられる。
【0032】
なお、紙料中にはパルプ繊維や填料の他に、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用することができる。さらに染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤も紙の用途に応じて適宜添加することができる。特に、内部結合強度を500kPa以上に調整する為に、層内の強度を高める手法として紙力増強剤の添加が有効である。また、各層間の接着強度を高める為に、層間にスプレーで澱粉その他の接着剤を吹付けることも有効である。更に、紙力増強剤の配合は、テーバー剛度を高める作用も有する。
【0033】
抄紙方法については多層抄きであり、本発明で規定する物性を満足すれば、特に限定するものではなく、例えば抄紙pHが4.5付近である酸性抄紙法、炭酸カルシウム等のアルカリ性填料を主成分として含み抄紙pH約6の弱酸性から抄紙pH約9の弱アルカリ性の中性抄紙法等の全ての抄紙方法に適用することができ、抄紙機も長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機を適宜組み合わせて使用することができる。抄紙時のJ/W比、インレット濃度の調整等により抄紙マシンの流れ方向(MD)のテーバー剛度を調節することができ、乾燥の条件により、用紙水分を調節することができる。
【0034】
抄紙された紙基材の表面、裏面を、表面サイズ処理することもできる。例えば、澱粉や表面サイズ剤などを適宜含有する液で処理するとよい。更に、紙基材は、カレンダ等で表面を平滑化処理することもできる。
【0035】
本発明は、オフセット印刷前の再生葉書用用紙に関するものであり、上記物性は、再生葉書用用紙をオフセット印刷機のある環境で際に満足する必要がある。従って、再生葉書用用紙は、防湿包装を施して、水分を維持した状態で保管、輸送され、防湿包装から取り出されたときの物性である。
【0036】
本発明の再生葉書用用紙の態様の一つに、通信面(宛名面の裏面)に、インクジェットプリンターや電子写真プリンター或いはオフセット印刷が可能な記録層を設けることも出来る。この場合の物性は、記録層を有する状態での値であり、防湿包装から取り出されたときの物性である。
【0037】
記録層に用いる顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、非晶質シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、微粒子状珪酸カルシウム、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等の中空型、密実型並びに貫通孔型樹脂等の有機顔料も用いることが可能であり、これらの中から1種あるいは2種以上が適宜選択して用いられる。
【0038】
記録層の接着剤としては、水溶性及び/または水分散性の高分子化合物を用いることが出来、例えば、カチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エ−テル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、天然ゴム等の天然あるいは半合成高分子化合物、ポリビニルアルコール、イソプレン、ネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類、ビニルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン−無水マレイン酸系樹脂、メラミン系樹脂等の合成高分子化合物等が例示できる。これらの中から目的に応じて1種あるいは2種以上が適宜選択して使用される。
【0039】
前記記録層の接着剤の配合割合は、顔料100重量部(固型分)に対して、5〜50重量部(固型分)の範囲である。ちなみに5重量部未満では、記録層の塗膜の強度が弱く、記録層が剥がれる原因となることがある。一方、これが50重量部を越えると、インクジェットプリンター印字時に印字ニジミが発生、電子写真プリンター印字時にブリスターが発生することがある。
【0040】
この塗工液中には、これら顔料や接着剤の他に各種助剤、例えばインク定着剤、界面活性剤、pH調節剤、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、導電防止剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、滑剤、防腐剤、香料等が必要に応じて適宜使用することも可能である。インク定着剤は、インクジェットプリンターにより出力した記録物の耐水性を高めるもので、インクジェット記録用紙の分野で公知のカチオン性樹脂、多価金属塩など、カチオン性化合物を例示することができる。
【0041】
通信面に記録層を設ける場合には塗被量は、1〜30g/mが好ましく、更には1〜10g/mが好ましい。塗工量が1g/m未満では、シート状紙基体表面の凹凸を十分に覆うことが出来ないため、印刷インクの受理性が著しく低下することがある。一方、30g/mを越えると、塗工時の乾燥性が悪くなるなどの操業性が低下し、製造原価も高くなることがある。
【0042】
記録層を形成する塗工方法としては、一般に公知の塗工装置、例えばブレードコータ、エヤーナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータ、グラビアコータ、チャンプレックスコータ、ブラシコータ、ツーロールあるいはメータリングブレード式のサイズプレスコータ、ビルブレードコータ、ショートドウェルコータ、ゲートロールコータ等の装置が適宜用いられる。
【0043】
記録層は、必要に応じ、1層あるいは必要に応じて2層以上の中間層を設け、多層構造にすることも可能である。なお多層構造にする場合、各々の塗工液が同一または同一塗工量である必要はなく、所要の品質レベルに応じて適宜調整して配合すればよく、特に限定されるものではない。
【0044】
更に、記録層上に、無機あるいは有機の光沢発現能のある微粒子と、有機あるいは無機のバインダーを主成分とする光沢発現層を設けることもできる。
【0045】
光沢発現能のある微粒子としては、例えばヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ等の乾式製法による無機微粒子や、コロイダルシリカ、ベーマイト、擬ベーマイト等のコロイダルアルミナやアルミナゾルに代表されるコロイド状懸濁物、ゲル化法や沈降法による非晶質シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン等の白色顔料やカオリン、タルク、珪藻土等の天然鉱物の粉砕物あるいは分級された微細粒子、あるいはこれらの無機微粒子に表面処理を施したもの、あるいはポリスチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル共重合体、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機微粒子を例示することができ、またこれらを二種以上組み合わせて使用することも可能である。
【0046】
光沢発現層に用いるバインダーとしては、例えばポリビニルアルコール又はその誘導体、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、グルテン等の蛋白質、澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、燐酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体あるいは共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ウレタン樹脂、あるいはこれらの官能基変性重合体、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化型樹脂、あるいは珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の珪酸の金属塩、アルミナゾル、ポリ塩化アルミニウム、重リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等の無機バインダーを例示することができる。バインダー含有量としては、顔料100重量部に対して5〜70重量部が適当量で、5重量部よりバインダーが少ないと塗膜強度が不足し、バインダーが70重量部を超えるとインク吸収性が低下する。
【0047】
光沢発現層には、添加剤として、インク定着剤、離型剤、増粘剤、流動性改良剤、分散剤、消泡剤、浸透剤、耐水化剤、pH調整剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等を必要に応じて添加しても良い。
【0048】
光沢発現層塗工液の塗工には、例えばブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、ロッドコータ、リップコータ、カーテンコータ、スプレーコータ、ダイコータ、チャンブレックスコータ等の各種のコータが使用できる。光沢発現層の塗設量は、乾燥塗工量で0.5g/m以上であれば光沢は発現する。
【0049】
本発明の再生葉書用用紙では、記録層或いは光沢発現層をキャスト法により仕上げることもできる。キャスト法とは、記録層或いは光沢発現層を形成する塗工液を塗設し、該塗設面が湿潤状態にある間に、該塗設面を加熱した鏡面ロール(キャストドラム)に圧着、乾燥して剥がし、塗設層表面に鏡面ロールの表面形状を写し取り、光沢性を高めた表面を形成する方法で、キャストドラムに圧着する際の塗設層の乾燥・凝固状態により、ウェット法、ゲル化法、リウェット法に分類できる。本発明にはいずれのキャスト法も適用可能だが、特に美しい光沢面を得るためには、ゲル化法を用いることが好ましい。また、高速処理が可能で低コスト化には、リウェット法が好ましく、目的に応じて適宜選択される。
【0050】
通信面側に記録層、或いは記録層及び光沢発現層を設けた場合、通信面側にカールが発生しやすくなるので、この場合、宛名面側に、澱粉を主成分とする塗液を使用するとカールを抑制することができるので好ましい。また、宛名面にインクジェット記録適性を付与するためには、澱粉とポリビニルアルコールを併用した塗液を用いることが好ましい。インクによりポリビニルアルコールが膨潤するためか、インクジェットインクが速やかに紙基材に吸収され、文字などの印字に適したインクジェット記録適性が得られる。更に、表面サイズ剤を併用すると、インクのニジミを抑えることができるので好ましい。
澱粉としては、カチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エ−テル化澱粉等が例示でき、ポリビニルアルコールとしては、ケン化度、重合度、更にシリルカ変性等も使用できる。表面サイズ剤については、スチレン―アクリル系,スチレン―マレイン酸系ポリマー、オレフィン系の表面サイズ剤が例示できる。
【0051】
澱粉とポリビニルアルコールと表面サイズ剤の配合量は、澱粉100質量部に対し、ポリビニルアルコールが5〜20質量部、表面サイズ剤が2〜15質量部が好ましい。インクジェット記録の際のインクの吸収性を高め、乾燥を早くするために、ポリビニルアルコールが5質量部以上とすることが好ましく、20質量部以下とすると、通信面の記録層と密着性を押さえ、重送が生じ難くなるので好ましい。表面サイズ剤は、2質量部以上用いると、インクジェット記録の際のニジミを防ぐことができるので好ましく、15質量部以下とすることで、記録の際のインクの乾燥性が悪くなることを防ぎ好ましい。
【0052】
宛名面用の塗液には、導電剤として、ポリオキシエチレン型、ソルビタン型、スルホネート型、第四級アンモニウム塩、ベタイン型などの界面活性剤、帯電防止剤、また食塩、芒硝を配合することが出来る。また、その他の成分として、天然ゴム等の天然あるいは半合成高分子化合物、ポリイソプレン、ポリネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類、ビニルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン−無水マレイン酸系樹脂、メラミン系樹脂等の合成高分子化合物等を、適宜配合することができる。
【0053】
宛名面用の塗液を形成する塗被方法としては、公知の塗工手段は採用でき、特に限定するものではないが、通信面を塗工する塗工機に設置されている塗工設備で、通信面の塗工、乾燥に引き続き宛名面を塗工することが好ましい。
宛名面用の塗液の塗工量は0.01〜1.0g/m(固形分)が好ましい。更に好ましくは0.05〜0.80g/mである。0.01g/m未満であると目標の効果を達成出来ない。1.0g/mを超えると価格アップになり好ましくない。
【0054】
宛名面用の塗液を塗工した後は、通常の乾燥工程により乾燥され水分が6.0〜8.0%となるように調整して仕上げられる。また、併せて表面処理工程等で平滑化処理することができる。平滑化処理する際は、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ等の平滑化処理装置で行われ、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も通常の平滑化処理装置に準じて適宜調節される。
【0055】
上記のようにして得られた再生葉書用用紙は、オフセット印刷機に適した大きさの枚葉紙に断裁され、積層された状態で防湿包装される。本発明で規定する物性は、再生葉書用用紙をオフセット印刷機のある環境で際に満足する必要がある。従って、再生葉書用用紙は、防湿包装を施して、水分を維持した状態で保管、輸送され、防湿包装から取り出されたときの物性である。なお、防湿包装する直前に物性をもとめてもよい。
【0056】
なお、断裁処理は、宛名面からギロチン刃を挿入することが好ましい。宛名面からギロチン刃を挿入することにより、通信面の記録層のひび割れを防止する効果がある。
【実施例】
【0057】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例及び明細書において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り、質量部および質量%を示す。
【0058】
(テーバー剛度)
得られた再生葉書用用紙のマシン流れ方向(MD方向)についてJIS P 8125に準拠してテーバー剛度を測定した。
【0059】
(内部結合強度)
得られた再生葉書用用紙の内部結合強度を、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 No.18−1 紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第一部:Z軸方向引っ張り試験に準拠して測定した。
【0060】
(用紙水分)
得られた再生葉書用用紙の水分を、JIS P 8127に準拠して測定した。
【0061】
(オフセット印刷適性)
得られた再生葉書用用紙を、水分を測定した後、100枚単位で積層し、ナイロン袋で全体を覆った後、ポリラミ茶ワンプでさらに外包装して、密封包装した。この包装された再生葉書用用紙を、設置場所、環境の異なった5箇所の印刷機の室内で包装を解き、4色機平判オフセット印刷を行い、印刷時の給紙不良や印刷部欠陥を観察し、下記基準で評価した。
(1)印刷時の給紙性
○:給紙不良が全くみられない。
△:給紙不良が若干みられるが、実用上問題ない。
×:給紙不良が酷く発生し、実用上問題となる。
(2)印刷欠陥
○:印刷部欠陥が全くみられない。
△:印刷部欠陥が若干みられるが、実用上問題ない。
×:印刷部欠陥が酷く発生し、実用上問題となる。
【0062】
(投函後の自動区分機処理時の紙剥けおよび給紙不良の評価)
本発明の4色機平判オフセット印刷後の再生葉書用用紙を、自動区分機処理し、端部の紙剥けおよび給紙不良を観察し、下記基準で評価した。
(1)端部紙剥け
○:紙剥けが全くみられない。
△:紙剥けが若干みられるが、実用上問題ない。
×:紙剥けが酷く、実用上問題となる。
(2)給紙不良
○:給紙不良が全くみられない。
△:給紙不良が若干みられるが、実用上問題ない。
×:給紙不良が酷く、実用上問題となる。
(3)読み取り適性
宛名面の蛍光強度を下記方法で数値化して評価した。
○:安定して読み取ることができる。
×:誤読する可能性がある
「蛍光強度」
宛名面を、蛍光顕微鏡(ECLIPSE E600 NIKON社製)を用い、(365nm:赤蛍光)を照射して反射してくる画像を取り込む。次に、取り込んだ画像を解析ソフト(IO−MATE)を用いて、(365nm :赤蛍光)の強度を数値化する。蛍光顕微鏡で観察される蛍光強度(赤蛍光365nm)が110以下であれば、安定して読み取ることができる。
【0063】
(通信面のインクジェット適性の評価)
染料インクタイプのインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製G860)と顔料インクタイプのインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PC−G930)で、本発明の葉書100枚について、通信面に、フルカラー印字して、画像品質、給紙適性、カールを確認し下記基準で評価した。
(1)画像品質
画像の滲みの状態を目視観察した。
○:全く滲みがみられなく良好。
△:若干滲みがみられるが、実用上問題ない。
×:滲みが酷く、実用上問題となる。
(2)給紙適性
出力時の重送やカールによる不送りトラブルの発生を評価した。
○:全くトラブルの発生はみられない。
△:トラブルが5枚みられるが、実用上問題ない。
×:トラブルが5枚を超えて発生、実用上問題となる。
(3)排紙適性
出力時のカールによる紙詰まりや印字汚れ発生を評価した。
○:全くトラブルの発生はみられない。
×:トラブルが5枚を超えて発生、実用上問題となる。
【0064】
(宛名面のインクジェット適性の評価)
染料インクタイプのインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM−G860)と顔料インクタイプのインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PX−G930)で、本発明の葉書100枚について、宛名面に、文字をモノカラー印字して、印字品質、給紙適性、カールを確認し下記基準で評価した。
(1)印字品質
印字の滲みの状態を目視観察した。
○:全く滲みがみられなく良好。
△:若干滲みがみられるが、実用上問題ない。
×:滲みが酷く、実用上問題となる。
(2)給紙適性
出力時の重送やカールによる不送りトラブルの発生を評価した。
○:全くトラブルの発生はみられない。
△:トラブルが5枚みられるが、実用上問題ない。
×:トラブルが5枚を超えて発生、実用上問題となる。
(3)排紙適性
印字時のカールによる紙詰まりや印字汚れ発生を評価した。
○:全くトラブルの発生はみられない。
×:トラブルが5枚を超えて発生、実用上問題となる。
【0065】
「ペン書きサイズ度評価方法」
JAPAN TAPPI No.12に準拠して測定した。
【0066】
「古紙パルプの製造方法」
(古紙パルプA)
パルパーにてケント古紙(灰分33.2%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、フォスフォスルフォンアミジン(FAS)を添加し漂白を行いながらディスパーザーを用いて分散処理を行い、さらに水で希釈しながらパルプ洗浄機(DNTウォッシャー:相川鉄工製)に通した後、フリーネスを300mlに調整し、古紙パルプAを得た。このパルプの灰分は10.5%、0.1mm以下の微細繊維は13%であった。
【0067】
(古紙パルプB)
パルパーにて雑誌古紙(灰分20.3%)を離解し、除塵装置(クリーナーおよびスクリーン)を通過させた後、ダブルディスクリファイナーにより、フリーネスを350mlに調整し、古紙パルプBを得た。このパルプの灰分は19.5%、0.1mm以下の微細繊維は9.5%であった。
【0068】
(古紙パルプC)
パルパーにて色上古紙(34.3%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、固形分濃度1%まで水で希釈し脱墨剤を加えて、フローテーターにて脱墨処理を施し、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、ニーダーを用いて、分散処理を行った後、スクリーンを通したのちダブルディスリファイナーを通し、フリーネスを350mlに調整した古紙パルプCを得た。このパルプの灰分は26.0%、0.1mm以下の微細繊維は30%であった。
【0069】
(古紙パルプD)
パルパーにて新聞古紙(12.7%)を離解し、除塵装置(クリーナー及びスクリーン)を通過させた後、固形分濃度1%まで水で希釈し脱墨剤を加えて、フローテーターにて脱墨処理を施し、傾斜エキストラクター及びスクリュープレス脱水機で固形分濃度30%程度まで濃縮し、FASを添加してディスパーザー(相川鉄工製、TL1)を用いて、分散処理を行ったのち、ダブルディスクリファイナーを通し、フリーネス350mlの古紙パルプDを得た。このパルプの灰分は4.5%、0.1mm以下の微細繊維は7.0%であった。
【0070】
(古紙パルプE)
古紙パルプAをパルプ濃度10%に調整した後、二酸化塩素を対パルプ1%となるように添加し、60℃1時間処理することにより蛍光強度を97%低下させたパルプEを得た。
【0071】
(古紙パルプF)
古紙パルプAをパルプ濃度2%に調整した後、過硫酸アンモニウムを対パルプ1%(Kayaclean AW:日本化薬社製)と硫酸鉄を対パルプ0.4%(Kayaclean IK:日本化薬製)を配合し、pH2.5の条件下、60℃、5時間処理することにより蛍光強度を97%低下させてパルプFを得た。
【0072】
(古紙パルプG)
古紙パルプAをパルプ濃度1%に調整した後、硫酸バンドと苛性カリ水溶液でpHを7以下に保持した状態で、ポリアルキレンポリアミン・ジカルボン酸縮合物のポリアルキル4級アンモニウム塩(OP−603:一方社油脂工業製)を対パルプ1重量%添加し、室温(20℃)1時間処理することにより蛍光強度を97%低下させたパルプGを得た。
【0073】
実施例1
「用紙の作成」
以下に示す紙料・条件にて多層抄き合せ長網抄紙機により、5層により構成された紙厚220μmの再生葉書用用紙を作成した。なお、表層−表下層、表下層−中層の層間にそれぞれ3.0%の酸化澱粉水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布し、中層−裏下層、裏下層−裏層の層間にそれぞれ3.0%酸化澱粉水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布し、抄き合わせした。
また、表裏面サイズ処理用紙表裏面のサイズ液として、酸化デンプン(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)と表面サイズ剤(商品名:ポリマロン1329K、荒川化学工業社製)の比率が9:1である固形分13.5%の混合水溶液を、ロードブレードで表面、裏面にそれぞれ絶乾固形分で2g/mとなるように塗布した後に、乾燥し、キャレンダーで平滑化処理した。次いで、オフセット印刷機用に、所定の大きさに断裁し再生葉書用用紙とした。なお、用紙水分は、7.0%になるように調整した。
【0074】
(表層及び裏層)
坪量:35g/m
パルプ配合:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ0.3%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.025%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ0.5%添加。
(表下層及び裏下層)
坪量:40g/m
パルプ配合:古紙パルプA 100%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.0%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.07%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
(中層)
坪量:40g/m
パルプ配合:古紙パルプB 100%
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.02%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
【0075】
実施例2
「用紙の作成」
以下に示す紙料・条件にて多層抄き合せ長網抄紙機により、3層により構成された紙厚220μmの再生葉書用用紙を作成した。なお、表層−中層―裏層の層間にそれぞれ3.0%の酸化澱粉水溶液を絶乾固形分で0.3g/m塗布し、抄き合わせした。
また、表裏面サイズ処理用紙表裏面のサイズ液として酸化デンプン(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)と表面サイズ剤(商品名:ポリマロン1329K、荒川化学工業社製)の比率が9:1である固形分13.5%の混合水溶液を、ロードブレードで表面、裏面にそれぞれ絶乾固形分で2g/mとなるように塗布した後に、乾燥し、キャレンダーで平滑化処理した。次いで、オフセット印刷機用に、所定の大きさに断裁し再生葉書用用紙とした。なお、用紙水分は、7.0%になるように調整した。
【0076】
(表層及び裏層)
坪量:50g/m
パルプ配合:フリーネスを520mlに調製した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ0.3%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.025%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ0.5%添加。
(中層)
坪量:90g/m
パルプ配合:古紙パルプA 100%
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.02%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
【0077】
実施例3
各層の処方を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層抄き合わせによる再生葉書用用紙を作成した。なお、用紙水分は、7.0%になるように調整した。
(表層及び裏層)
坪量:35g/m
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプE50%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ0.3%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.025%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ0.5%添加。
【0078】
(表下層及び裏下層)
坪量:40g/m
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプE50%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.0%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.07%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
【0079】
(中層)
坪量:40g/m
パルプ配合:古紙パルプB 100%
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.02%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
【0080】
実施例4
全層のパルプを広葉樹晒クラフトLBKP30%、古紙パルプE70%にし、用紙水分を7.5%に調整した以外は実施例1と同様にして再生葉書用用紙を作成した。
【0081】
実施例5
実施例1で得られた再生葉書用用紙の通信面側に、下記記録層用の塗液を、エアーナイフコータによって絶乾固形分で5g/mとなるように塗工、乾燥後し、続いて付属のロールコータ(水塗り装置)で宛名面に、下記の宛名面用の塗液を付着させ、用紙水分を7.0%に調整し、次いで、オフセット印刷機用に、所定の大きさに断裁し再生葉書用用紙とした。なお、断裁は、宛名面より行なった。
【0082】
<記録層用の塗液>
非晶質シリカ(商品名:ファインシール(R)X−30、トクヤマ社製) :80部
軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP121、奥多摩工業社製) :20部
カチオン樹脂(商品名:ユニセンスCP103、センカ社製) :10部
界面活性剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製) :0.3部
酢酸ビニル系接着剤(商品名:ポリゾールAM3150、昭和高分子社製):15部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA R−1130 クラレ社製) :25部
なお、塗液は20%に調整した。
【0083】
<宛名面用の塗液>
澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製) :100部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、クラレ社製) :13.5部
表面サイズ剤(商品名:ポリマロン1329K、荒川化学工業社製) :13.5部
NaCl(導電剤) : 6.5部
なお、塗液は4%に調整した。
【0084】
比較例1
実施例1において、用紙水分を5%に調整した以外は、実施例1と同様にして再生葉書用用紙を作成した。
【0085】
比較例2
実施例1において、表下層、及び、裏下層に使用する古紙パルプを古紙パルプCにした以外は実施例1と同様にして再生葉書用用紙を作成した。なお、用紙水分は、7.0%になるように調整した。
【0086】
比較例3
実施例1において表下層、及び、裏下層に使用する古紙パルプを古紙パルプDにした以外は実施例1と同様にして再生葉書用用紙を作成した。なお、用紙水分は、7.0%になるように調整した。
【0087】
比較例4
実施例2において、用紙水分を9%に調整した以外は、実施例2と同様にして再生葉書用用紙を作成した。
【0088】
実施例6
各層の処方を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層抄き合わせの再生葉書用用紙を得た。なお、用紙水分は、6.5%になるように調整した。
た再生葉書用用紙を作成した。
(表層及び裏層)
坪量:35g/m
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプF50%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ0.3%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.025%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ0.5%添加。
【0089】
(表下層及び裏下層)
坪量:40g/m
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプF50%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.0%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.07%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
【0090】
(中層)
坪量:40g/m
パルプ配合:古紙パルプB 100%
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.02%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
【0091】
実施例7
各層の処方を以下に変更した以外は実施例1と同様にして5層抄き合わせた再生葉書用用紙を作成した。なお、用紙水分は、7.0%になるように調整した。
(表層及び裏層)
坪量:35g/m
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプG50%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ0.3%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.025%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ0.5%添加。
【0092】
(表下層及び裏下層)
坪量:40g/m
パルプ配合:広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50%、古紙パルプG50%。
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.0%添加。
紙力増強剤:ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ5.0%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.07%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
【0093】
(中層)
坪量:40g/m
パルプ配合:古紙パルプB 100%
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤を有姿で対パルプ1.5%添加。
歩留向上剤:高分子量ポリアクリルアミドを有姿で対パルプ0.02%添加。
硫酸バンド:Alとして8%の水溶液品を有姿で対パルプ10.0%添加。
【0094】
実施例8
実施例1で得られた再生葉書用用紙を支持体として用い、下記のように製造して、記録層と光沢発現層を有する再生葉書用用紙を作成した。
<記録層の作成>
実施例1で得られた再生葉書用用紙の通信面に、5%のホウ砂液を乾燥重量が1g/mとなるようにバーで塗工、乾燥させた。次いで、下記の記録層塗液を、乾燥質量で12g/mになるように、ダイコータで塗工、乾燥した。記録層の面に、下記の光沢発現層を乾燥塗工量が1g/mとなるように、鏡面ドラムのニップ部で塗布し、そのまま加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げた。続いて宛名面に、下記処方の宛名面用塗液を、付属のロールコータ(水塗り装置)を用いて絶乾固形分で0.5g/m付着させた後、用紙水分を加湿器にて7.0%に調整した。次いで、オフセット印刷機用に、所定の大きさに断裁し再生葉書用用紙とした。なお、断裁は、宛名面より行なった。
【0095】
「記録層塗液の調整」
市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、平均一次粒子径9nm、比表面積300m/g、(株)トクヤマ製)をサンドグラインダーにより水分散粉砕した後、ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、ナノマイザー社製)を用いて、粉砕分散を繰り返し、分級後、平均二次粒子径80nmからなる10%分散液を調製した。
該分散液にカチオン性化合物として、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(商品名:PAS−J−81、日東紡績(株)製)10部を添加し、顔料の凝集と、分散液の増粘を起こさせた後、再度ナノマイザーを用いて、粉砕分散を繰り返し、平均二次粒子径300nmからなる8%分散液を調製しシリカゾルを得た。
上記シリカゾル100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA135、クラレ(株)製)15部を、添加・攪拌し、更に水を添加し、固形分濃度12%の記録層塗液を得た。
【0096】
「光沢発現層塗工液の調整」
ガラス転移点100℃のアクリルエマルジョンとコロイダルシリカとの複合体エマルジョン(商品名:アクアブリッド906、ダイセル化学工業(株)製、アクリルエマルジョンとコロイダルシリカは質量比で20:80、エマルジョンの粒子径は40nm)100部、カゼイン5部、増粘剤6部、離型剤(ステアリン酸)5部を添加・攪拌し、更に水を添加し、固形分濃度5%の塗工液を得た。
「宛名面用塗液の調整」
澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製) :100部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、クラレ社製) :13.5部
表面サイズ剤(商品名:ポリマロン1329K、荒川化学工業社製) :13.5部
NaCl(導電剤) : 6.5部
上記処方を配合した4%の塗液を調整した。
【0097】
実施例9
実施例4で得られた再生葉書用用紙を支持体として用い、下記のように製造して、記録層を有する再生葉書用用紙を作成した。
<記録層の作成>
実施例4で得られた再生葉書用用紙の通信面に5%のホウ砂液を乾燥重量が1g/mとなるようにバーで塗工、乾燥させた。次いで、下記の記録層塗液を、乾燥質量で12g/mになるように、ダイコータで塗工し、湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げた。続いて宛名面に、下記処方の宛名面用塗液を、付属のロールコータ(水塗り装置)を用いて絶乾固形分で0.5g/m付着させた後、用紙水分を加湿器にて7.0%に調整した。次いで、オフセット印刷機用に、所定の大きさに断裁し再生葉書用用紙とした。なお、断裁は、宛名面より行なった。
【0098】
「記録層塗液の調整」
市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、平均一次粒子径9nm、比表面積300m/g、(株)トクヤマ製)をサンドグラインダーにより水分散粉砕した後、ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、ナノマイザー社製)を用いて、粉砕分散を繰り返し、分級後、平均二次粒子径80nmからなる10%分散液を調製した。
該分散液にカチオン性化合物として、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(商品名:PAS−J−81、日東紡績(株)製)10部を添加し、顔料の凝集と、分散液の増粘を起こさせた後、再度ナノマイザーを用いて、粉砕分散を繰り返し、平均二次粒子径300nmからなる8%分散液を調製しシリカゾルを得た。
上記シリカゾル100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA135、クラレ(株)製)15部を添加・攪拌し、更に水を添加し、固形分濃度18%の塗工液を得た。
布し、
【0099】
「宛名面用塗液の調整」
澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製) :100部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、クラレ社製) :13.5部
表面サイズ剤(商品名:ポリマロン1329K、荒川化学工業社製) :13.5部
NaCl(導電剤) : 6.5部
上記処方を配合した4%の塗液を調整した。
【0100】
【表1】

【0101】
【表2】

【0102】
【表3】

【0103】
表1〜表3から明らかなように、本発明の再生葉書用用紙は、オフセット印刷適性、自動区分機処理適性、通信面及び宛名面のインクジェット適性に優れるものである。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の再生葉書用用紙は、宛名面に郵便番号の枠などのオフセット印刷が施された後、葉書の大きさに断裁され、葉書となる。この葉書は、通信面がインクジェット記録方式による画像の出力に適し、宛名面がインクジェット記録方式による文字の出力に適するため、年賀状やダイレクトーメールなどに利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙パルプを40質量%以上含有する再生葉書用用紙であって、該再生葉書用用紙は、少なくとも表層、中層、裏層の3層を有する多層抄き合わせにより抄造され、表層はLBKPを含んでおり、中層は古紙パルプを含んでおり、表層よりも中層が古紙パルプを多く含んでなり、坪量が170〜300g/m、JAPAN TAPPI No.18で規定される内部結合強度が500kPa以上、JIS P 8125で規定されるテーバー剛度が2.5mN・m以上、且つ、用紙水分がJIS P 8127で規定される測定値で、6.0〜8.0%であることを特徴とする再生葉書用用紙。
【請求項2】
古紙パルプを50質量%以上含有する請求項1記載の再生葉書用用紙。
【請求項3】
古紙パルプを60質量%以上含有する請求項1又は2記載の再生葉書用用紙。
【請求項4】
中層が、雑誌古紙、新聞古紙、雑紙古紙由来の古紙パルプを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の再生葉書用用紙。
【請求項5】
表層に接する層が、ケント古紙由来の古紙パルプを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の再生葉書用用紙。
【請求項6】
裏層の表面に記録層を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の再生葉書用用紙。

【公開番号】特開2011−206987(P2011−206987A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75699(P2010−75699)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】