説明

再脱穀処理装置、脱穀装置及びコンバイン

【課題】再脱穀処理胴を安定的に支持できると共に再脱穀処理ケースの放出口から効率よく処理物を放出できる再脱穀処理装置を提供する。
【解決手段】再脱穀処理ケースの搬送方向上流側及び下流側において再脱穀処理胴をそれぞれ軸受支持する第1軸受部及び第2軸受部を設けると共に、前記第2軸受部を支持するプレート部を、前記再脱穀処理胴の回転方向下流側の端部を含む少なくとも一部が、平面視において、前記再脱穀処理ケースの内周面に設けられた送塵弁と略平行又は該送塵弁に対して前記再脱穀処理胴の回転方向下流側へ行くに従って離間するように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに適用される再脱穀処理装置、並びに、前記再脱穀処理装置を備えた脱穀装置及びコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀部によって脱穀され且つ選別部によって選別処理された後の選別物を再脱穀する再脱穀処理装置をコンバインに備えることは、従来から公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
一般的には、前記再脱穀処理装置は、前記脱穀部及び前記選別部によって選別された二番物(枝梗付き穀粒や穂切れ粒等)を再脱穀するように、前記コンバインに備えられる。
即ち、コンバインは、扱胴を含む前記脱穀部と、前記扱胴の下方に配設された揺動選別機構及び該揺動選別機構に対して選別風を供給する風選別機構を含む前記選別部と、前記選別部によって脱穀物から選別された一番物(脱穀後の精粒)が揚穀筒を介して搬入される穀粒タンクと、前記二番物を前記揺動選別機構の上流側へ戻す還元筒とを備えており、前記再脱穀処理装置は、一般的に、脱穀物から枝梗等の不要物を除去する為の二番還元処理装置として、前記還元筒の搬送方向下流端部と前記揺動選別機構との間に配設されている。
【0004】
詳しくは、前記再脱穀処理装置は、再脱穀すべき処理物が供給される再脱穀処理ケースと、軸線回りに回転駆動される状態で前記再脱穀処理ケースに内挿された再脱穀処理胴とを備えている。
前記再脱穀処理ケースは、搬送方向上流側の第1端部が前記脱穀部及び前記選別部を含む脱穀装置の外方に位置し且つ搬送方向下流側の第2端部が該脱穀装置の内部に位置するように配設されており、前記還元筒を介して前記第1端部側に供給される処理物を前記再脱穀処理胴にて脱穀処理して前記第2端部に設けられた放出口から該脱穀装置の内部に放出するように構成されている。
【0005】
ところで、前記再脱穀処理ケースの第1端部側及び第2端部側にそれぞれ第1軸受部及び第2軸受部を設け、該第1及び第2軸受部によって前記再脱穀処理胴の両端部を支持する構成が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
このように前記再脱穀処理胴を両持ち支持する構成は、前記再脱穀処理胴の支持安定化の観点からは好ましいが、その一方、前記第2端部側に設けられる第2軸受部が前記放出口の一部を塞ぐことになる為、放出口から処理物を効率よく放出するという観点では好ましくない。
【0006】
この点に関し、前記特許文献1には、前記第2軸受部を形成する支持アームを前記再脱穀処理胴の軸線方向視において略三角形状とすると共に、該三角形状支持アームの中央部を開口とすることが提案されている。
斯かる構成は、前記再脱穀処理胴を両持ち支持しつつ、前記放出口の開口幅が狭まることを極力防止し得る点で有効であるが、その一方で、強度を維持する為には前記三角形状支持アームを鋳造する必要になる。
【0007】
又、処理物の搬送は、前記再脱穀処理ケースの内周面に設けられた送塵弁を利用して行われる。即ち、前記再脱穀処理ケース内に投入された処理物は、前記再脱穀処理胴の軸線回りの回転に伴う遠心力によって該再脱穀処理ケースの内表面近傍に移動され、前記送塵弁によるガイド作用を受けて前記再脱穀処理胴の軸線方向に搬送される。
従って、処理物を前記放出口から効率よく放出する為には、前記第2軸受部の支持構造と前記送塵弁との相対関係を考慮する必要があるが、斯かる観点には十分な考慮がなされていなかった。
【特許文献1】特開2003−92919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、再脱穀処理胴を安定的に支持できると共に再脱穀処理ケースの放出口から効率よく処理物を放出できる再脱穀処理装置の提供を一の目的とする。
また、本発明は、二番還元物を再脱穀処理する処理胴を安定的に支持できると共に該処理胴を支持する再脱穀処理ケースの放出口から処理物を効率よく放出できる脱穀装置及びコンバインの提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために、再脱穀すべき処理物が供給される中空の再脱穀処理ケースであって、搬送方向上流側の第1端部が脱穀装置の外方に位置し且つ搬送方向下流側の第2端部が前記脱穀装置の内部に位置するように配設される再脱穀処理ケースと、駆動源によって作動的に軸線回りに回転駆動される状態で前記再脱穀処理ケースに内挿された再脱穀処理胴とを備え、前記再脱穀処理胴が前記第1端部側に設けられた第1軸受部と前記第2端部側に設けられた第2軸受部とによって両持ち支持されるように構成された再脱穀処理装置であって、前記再脱穀処理ケースには、前記第2軸受部を支持するように内周面から径方向内方へ突設されたプレート部が設けられており、前記プレート部は、前記再脱穀処理胴の回転方向下流側の端部を含む少なくとも一部が、平面視において、前記再脱穀処理ケースの内周面に設けられた送塵弁と略平行又は該送塵弁に対して前記再脱穀処理胴の回転方向下流側へ行くに従って離間するように形成されている再脱穀処理装置を提供する。
【0010】
好ましくは、前記再脱穀処理胴の軸線方向に沿って視た際に、前記プレート部は、前記送塵弁における前記処理胴の回転方向下流側の端部よりも該処理胴の回転方向上流側に配置され得る。
より好ましくは、前記再脱穀処理胴の軸線方向に沿って視た際に、前記プレート部における前記処理胴の回転方向下流側の端部が前記送塵弁の周方向略中央で終焉するように構成され得る。
【0011】
前記種々の態様において、好ましくは、前記プレート部は、前記再脱穀処理ケースの内周面に連結される基部と、前記基部から径方向内方へ延びて前記第2軸受部を支持する先端部であって、前記基部よりも幅狭とされた先端部とを有しており、前記プレート部における前記処理胴の回転方向上流側の端部は、前記基部から前記先端部への移行領域が該処理胴の軸線方向に沿って視た際に下方へ開く凹状とされ得る。
【0012】
例えば、前記プレート部は、前記再脱穀処理ケースの内周面に固着された第1プレート部材と、前記第1プレート部材に着脱自在に連結される第2プレート部材であって、前記第2軸受部を支持する第2プレート部材とを有し得る。
【0013】
又、本発明は、前記再脱穀処理装置が二番還元経路中に設けられている脱穀装置を提供する。
又、本発明は、前記再脱穀処理装置が二番還元経路中に設けられているコンバインを提供する。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、再脱穀処理ケースの搬送方向上流側及び下流側において再脱穀処理胴をそれぞれ軸受支持する第1軸受部及び第2軸受部を設けると共に、前記第2軸受部を支持するプレート部を、前記再脱穀処理胴の回転方向下流側の端部を含む少なくとも一部が、平面視において、前記再脱穀処理ケースの内周面に設けられた送塵弁と略平行又は該送塵弁に対して前記再脱穀処理胴の回転方向下流側へ行くに従って離間するように形成したので、前記第1及び第2軸受部によって前記再脱穀処理胴を両持ち支持しつつ、前記送塵弁によってガイドされることで前記再脱穀処理胴の軸線方向に沿って搬送される処理物の放出経路幅が前記第2軸受部の存在によって狭小化することを可及的に防止できる。従って、再脱穀処理胴を安定的に支持できると共に再脱穀処理ケースの放出口から効率よく処理物を放出できる。
【0015】
前記再脱穀処理胴の軸線方向に沿って視た際に、前記プレート部が、前記送塵弁における前記処理胴の回転方向下流側の端部よりも該処理胴の回転方向上流側に配置されるように構成すれば、前記送塵弁による処理物のガイド作用を有効に維持することができる。
【0016】
前記プレート部を、前記再脱穀処理ケースの内周面に連結される基部と、前記基部から径方向内方へ延びて前記第2軸受部を支持する先端部であって、前記基部よりも幅狭とされた先端部とを有するように構成すると共に、前記プレート部における前記処理胴の回転方向上流側の端部の前記再脱穀処理胴の軸線方向視における形状を、前記基部から前記先端部への移行領域において下方へ開く凹状とすれば、前記再脱穀処理胴によって連れ回る処理物が前記プレート部に引っ掛かったとしても、該処理物を自重によって下方へ落下させることができる。従って、前記プレート部に起因する処理物の詰まり現象を有効に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。
図1〜図3に、それぞれ、本発明の一実施形態が適用されたコンバイン1の斜視図,側面図及び正面図を示す。
又、図4に、前記コンバイン1の伝動模式図を示す。
【0018】
図1〜図4に示すように、前記コンバイン1は、本機フレーム2と、前記本機フレーム2に支持された駆動源9と、前記本機フレーム2に連結された左右一対のクローラ式走行装置10と、前記駆動源9からの回転動力を変速して前記一対のクローラ式走行装置10へ出力するトランスミッション3と、前記本機フレーム2の前方において該本機フレーム2に昇降可能に支持された刈取・搬送装置30と、前記刈取・搬送装置30によって刈り取られた穀稈を前記本機フレーム2の左側方において後方へ搬送するフィードチェーン装置20と、前記フィードチェーン装置20によって搬送される穀稈に対して脱穀処理を行う脱穀部110及び該脱穀部110によって脱穀された脱穀物から穀粒を選別する選別部200を含む脱穀装置100と、前記本機フレーム2の右前方部分に配設された運転席5と、前記脱穀装置100によって選別された穀粒を収容するグレンタンク6であって、前記運転席5の後方に配設されたグレンタンク6と、前記選別部200によって選別処理された選別物の一部を再脱穀する再脱穀処理装置500とを備えている。
【0019】
前記刈取・搬送装置30は、穀稈を刈り取る刈取部31と、該刈取部31によって刈り取られた穀稈を前記フィードチェーン装置20へ搬送する搬送部36とを備えている。
前記刈取部31は、引起ケース及び引起タインを含む引起機構32と、前記引起ケースの下方部から前方へ突出された分草板33と、前記引起ケースの後方に配設された刈刃34とを有している。
前記搬送部36は、上部搬送機構及び縦搬送機構を含み、刈り取られた穀稈の株元を前記フィードチェーン装置20へ受け継ぐように構成されている。
【0020】
前記フィードチェーン装置20は、穀稈の穂先が下記扱胴130によって脱穀処理される状態で、該穀稈を後方へ搬送するように構成されている。
前記グレンタンク6は、前記脱穀装置100によって選別され且つ下記一番樋400に集約された一番物を貯留するように構成されている。
詳しくは、前記一番樋400に集約された一番穀粒は、一番コンベア11及び揚穀コンベア12(図4参照)を介して、前記グレンタンク6内に搬入される。
なお、該グレンタンク6内に貯留された穀粒は、図1〜図4に示すように、該グレンタンク6の底部に設けられた下部コンベア6aと、該下部コンベア6aから穀粒を受け継いで上方へ搬送するように縦排出オーガ7内に内挿された縦コンベア6bと、前記縦コンベア6bから穀粒を受け継ぐように横排出オーガ8に内挿された排出コンベア6cとを介して、外部に排出されるようになっている。
【0021】
前記脱穀選別装置100は、前記フィードチェーン装置20によって後方へ搬送される穀稈に対して脱穀処理を行う前記脱穀部110と、該脱穀部110の下方に配設され、該脱穀部110によって脱穀され且つ流下する脱穀物から穀粒を選別する前記選別部200とを備えている。
【0022】
図5に、左側板を取り外した状態の前記コンバイン1の左側面図を示す。
図4及び図5に示すように、前記脱穀部110は、脱穀機枠によって画される扱室120と、該扱室120内において車輌前後方向に沿った回転軸回りに回転駆動される扱胴130と、該扱胴130の下方に配設された扱胴受網(図示せず)とを備えている。
【0023】
前記選別部200は、揺動軸201(図4参照)の回転に伴って揺動されることで比重選別を行う揺動選別機構210と、前記揺動選別機構210に対して選別風を送出し且つ該選別風を機外に排出する風選別機構300と、前記揺動選別機構210の下方に位置に配設された一番樋400と、前記揺動選別機構210の下方で且つ前記一番樋400の後方に配設された二番樋450とを有している。
【0024】
前記揺動選別機構210は、左右一対の揺動側板211a,211bと、前記脱穀部110から流下される脱穀物を受け止めるように前記一対の揺動側板211の間に配設されたフィードパン220と、前記脱穀部110から流下する脱穀物及び前記フィードパン220から送られてくる脱穀物を受け、該脱穀物から穀粒を揺動選別するように前記一対の揺動側板211の間に配設されたチャフシーブ機構230と、前記チャフシーブ機構の後方に直列配置するように前記一対の揺動側板211の間に配設されたストローラック機構240とを有している。
【0025】
前記左右の揺動側板211a,211bは、それぞれ、前記揺動選別機構210の車輌前後方向略全域に亘って延びる側壁本体212と、該側壁本体212の後端部下方に溶接等によって一体化された補助側壁213とを有している。
なお、図5においては、前記揺動選別機構210の内部構造を明らかにする為に、左側の揺動側壁211aにおける側壁本体212を削除している。
【0026】
前記フィードパン220は、前記脱穀部110から流下される脱穀物を車輌幅方向に拡散させつつ、前記チャフシーブ機構230へ向けて車輌後方側へ搬送するように構成されている。
具体的には、該フィードパン220は上面が波状に形成された板体とされている。
【0027】
図5に示すように、前記チャフシーブ機構230は、前記脱穀部110から流下する脱穀物及び前記フィードパン220から送られてくる脱穀物に対して比重選別を行い、該脱穀物の一部を下方に位置する前記一番樋400に一番物として流下させるように構成されている。
【0028】
具体的には、前記チャフシーブ機構230は、前記一対の揺動側板211a,211bの間において車輌幅方向に延びる複数のフィンであって、間隔を存しつつ車輌前後方向に並設された複数のフィンを有しており、比重選別される穀粒が前記間隔を通って、下方に配置される前記一番樋400へ落下するようになっている。
なお、前記複数のフィンは、下端部が上端部よりも車輌前方側に位置する後傾斜状態で、それぞれ車輌幅方向に沿った枢支軸回りに一体的に揺動可能とされており、駆動機構(図示せず)によって傾斜角を変更することで、前記間隔の開口幅が調整可能とされている。
【0029】
前記ストローラック機構240は、前記チャフシーブ機構230から送られてくる脱穀物に対して比重選別を行い、該脱穀物の一部を下方に位置する前記二番樋450に二番物として流下させると共に、該脱穀物のうち排藁等の大きな不要物を機外に搬送するように構成されている。
【0030】
具体的には、前記ストローラック機構240は、板面が略垂直に沿った状態で車輌前後方向に延びる複数の板状部材241であって、間隔を存しつつ車輌幅方向に並設された複数の板状部材を有しており、前記間隔を介して、前記脱穀物のうち枝梗付き穀粒や穂切れ粒等の小さな脱穀物を二番物として前記二番樋450へ落下させるようになっている。
なお、前記複数の板状部材は、それぞれ、上面が波状に形成されており、これにより、排藁等の大きな不要物の後方への搬送を促進させている。
【0031】
本実施の形態においては、前記揺動選別機構210は、さらに、上下方向に関し前記チャフシーブ機構230と前記一番樋400との間にグレンシーブ機構250を有している。該グレンシーブ機構250は前記チャフシーブ機構230から流下する選別物をさらに精選するものであり、例えば、網状体によって形成される。
【0032】
前記一番樋400は、前記選別部200によって選別処理された一番物を集約し得るように前記揺動選別機構210の下方に配設された側面視凹状とされている。
該一番樋に集約された一番物は、前記一番集約空間内に車輌幅方向に沿うように配設された一番コンベア11と、該一番コンベアの搬送方向下流端部に作動連結された状態で揚穀筒13(下記図6参照)に内挿された揚穀コンベア12(図4参照)とを介して、前記グレンタンク6内に収容される。
【0033】
前記二番樋450は、図5に示すように、前記選別部200によって選別処理された二番物を集約し得るように前記揺動選別機構210の下方に配設された側面視凹状とされている。
該二番樋450に集約された二番物は、前記二番集約空間内に車輌幅方向に沿うように配設された二番コンベア15と、該二番コンベア15の搬送方向下流端部に作動連結された状態で還元筒17(下記図6参照)に内挿された二番還元コンベア16とを介して(図4参照)、前記再脱穀処理装置500に供給される。
【0034】
前記風選別機構300は、前記揺動選別機構210に対して選別風を送出するように構成されており、選別風によって該揺動選別機構210による穀粒の選別を促進させ得るようになっている。
具体的には、該風選別機構300は、図5に示すように、前記揺動選別機構210に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送出する唐箕ファン310を備えている。
【0035】
前記唐箕ファン310は、前記チャフシーブ機構230の前方且つ下方において、車輌幅方向に沿った前記唐箕ファン用駆動軸311によって回転駆動されるように構成されている。
【0036】
具体的には、該唐箕ファン310は、脱穀機枠の両側板と、後方が開口とされた唐箕ファンケース320(図5参照)とによって画される空間内に配設されており、後方且つ上方へ向けて選別風を送出し得るようになっている。
より詳しくは、該唐箕ファンケース320は、図5に示すように、前記唐箕ファン310を囲繞する唐箕ファンケース本体321と、前端部が該唐箕ファンケース本体321に流体接続され且つ後端部が斜め後方へ向けて開口された中空の風路ケース322とを有している。
なお、前記脱穀機枠の側板には、前記唐箕ファン310へ吸気させる吸入口が設けられている。
【0037】
さらに、本実施の形態においては、図5に示すように、前記風選別機構300は、前記構成に加えて、前記揺動選別機構210より、選別風の流れ方向上流側において上下に配設された上側風向板331及び下側風向板332を有しており、前記唐箕ファン310からの選別風を、上方風,中間風及び下方風に分割し得るようになっている。
【0038】
本実施の形態においては、図5に示すように、前記風選別機構300は、さらに、前記唐箕ファン310からの選別風を吸引して機外に排出させるように、前記揺動選別機構210より上方に配置された吸引ファン350を備えている。
前記吸引ファン350は、車輌幅方向に沿った回転軸351によって回転駆動されるようになっている。
なお、図中、符号360及び370は、前記吸引ファン350の上方及び下方をそれぞれ覆う上方ファンカバー部材及び下方ファンカバー部材である。
【0039】
又、図4における符号40は、脱穀後の排藁を前記フィードチェーン装置20から受け継ぎ、該排藁を後方へ搬送する排藁搬送装置であり、図4及び図5における符号50は、前記排藁搬送装置40によって車輌後方側へ搬送された排藁を切断する排藁切断装置である。
【0040】
図6に、前記コンバイン1の右側面図を示す。又、図7〜図9に、それぞれ、前記再脱穀処理装置500近傍の正面図,前方斜視図及び後方斜視図を示す。さらに、図10に、前記再脱穀処理装置500における下記再脱穀処理ケース510を取り除いた状態の正面図を示す。
【0041】
前記再脱穀処理装置500は、前述の通り、前記脱穀装置100によって選別された選別物を再脱穀し得るように構成されており、本実施の形態においては、二番還元経路中に設けられている。
即ち、図6〜図9に示すように、前記再脱穀処理装置500は、前記還元筒17の搬送方向下流端部(上端部)から供給される二番物を再脱穀処理し、前記脱穀装置100の前記選別部110へ放出するように構成されている。
【0042】
図7〜図10に示すように、該再脱穀処理装置500は、再脱穀すべき処理物(本実施の形態においては二番物)が供給される再脱穀処理ケース510と、前記駆動源9(図4参照)によって作動的に軸線回りに回転駆動される状態で前記再脱穀処理ケース510に内挿された再脱穀処理胴600と、前記再脱穀処理ケース510に設けられた固定歯610と、前記固定歯610と共働して前記処理物を再脱穀するように前記再脱穀処理胴600に径方向外方へ突出状態で設けられた処理歯620とを備えている。
なお、図7及び図10における符号900は、前記再脱穀処理装置500から前記脱穀装置100内に放出される処理物のうち上方へ飛散する処理物を、下方へ案内する為のガイド板である。
【0043】
図7及び図10に示すように、前記再脱穀処理ケース510は、車輌前進方向を基準にして一端部が前記脱穀装置100の右側外方に位置し且つ他端部が前記脱穀装置100の内部に位置するように車輌幅方向に沿って配設されている。
【0044】
図11及び図12に、それぞれ、前記再脱穀処理装置500を車輌幅方向外方及び内方から視た斜視図を示す。
図10〜図12に示すように、前記再脱穀処理ケース510は、中空のケース本体520と、該ケース本体520の車輌幅方向外方側の開口を閉塞するように該ケース本体520に連結される端壁部530と、前記ケース本体520の車輌幅方向内方側において該ケース本体520の内周面に連結されたプレート部550とを有している。
【0045】
前記ケース本体520は、両端開口のうち車輌幅方向内方側の開口が処理物を前記脱穀装置100内に放出する放出口512とされると共に、上面の一部に前記還元筒17の搬送方向下流端部が接続される投入口511を有している。
なお、図11及び図12中の符号525は、前記ケース本体520の外周面に一体化された取付フランジであり、前記ケース本体520は、該取付フランジ525を前記脱穀機枠の外側面に当接させた状態で前記脱穀装置100に外側から連結されるようになっている。
【0046】
前記端壁部530は前記再脱穀処理胴600の車輌幅方向外端側を支持する第1軸受部540を支持している。
一方、前記プレート部550は前記再脱穀処理胴の車輌幅方向内端側を支持する第2軸受部590を支持している。なお、該プレート部550の詳細については後述する。
【0047】
図13に、前記再脱穀処理装置500の縦断正面図を示す。又、図14に、図13におけるXIV-XIV線に沿った断面の斜視図を示す。さらに、図15に、前記再脱穀処理装置500を車輌幅方向内端側から視た端面図を示す。
【0048】
図13〜図15に示すように、前記固定歯610は、前記ケース本体520の内表面から径方向内方へ突出するように設けられている。
本実施の形態においては、前記再脱穀処理装置500は、前記再脱穀処理胴600の軸線方向に間隙を存しつつ並列された複数の固定歯610を含む固定歯列を、該再脱穀処理胴600の周方向に複数個有している。
図示の形態においては、前記固定歯列は3つの固定歯610を有しており(図14参照)、該固定歯列が前記再脱穀処理胴600の周方向に3組備えられている(図15参照)。
【0049】
図16及び図17に、前記再脱穀処理胴600の正面図及び斜視図を示す。又、図18に、該再脱穀処理胴600の展開模式図を示す。なお、図16及び図17においては、参考の為に、前記再脱穀処理ケース510に設けられた前記固定歯610及び下記送塵弁650を併せて示し、図18においては、前記固定歯610のみを併せて示している。
【0050】
前記処理歯620は、前記再脱穀処理胴600の回転に伴って、前記固定歯610と共働して前記処理物を再脱穀し得るように構成されている。
本実施の形態においては、前記処理歯620は、前記固定歯610とは前記再脱穀処理胴600の軸線方向位置に関し異なる位置に設けられており(図13及び図16〜図18参照)、且つ、前記再脱穀処理胴600の軸線方向に沿って視た際に前記処理歯620の回転軌跡が前記固定歯610とオーバーラップするように構成されている(図15参照)。
斯かる構成を備えることにより、前記再脱穀処理胴600の軸線回りの回転に伴って、前記処理歯620及び前記固定歯620が共働して二番物を効率良く再脱穀することができる。
【0051】
好ましくは、前記処理歯620及び前記固定歯610は、図16及び図18に示すように、前記再脱穀処理胴600の軸線方向に対して直交するように配置される。
斯かる構成を備えることにより、前記再脱穀処理胴600の軸線方向に搬送される処理物に対して前記処理歯620及び前記固定歯610を有効に接触させることができる。
【0052】
前記再脱穀処理装置500は、図13及び図15〜図17に示すように、さらに、前記再脱穀処理ケース510の内表面に送塵弁650を有している。
該送塵弁650は、前記投入口511から前記再脱穀処理ケース510内に投入された処理物を前記再脱穀処理胴600の回転に伴って該ケース510の車輌幅方向内端側の前記放出口512へ案内するものである。
即ち、前記投入口511から前記再脱穀処理ケース510の車輌幅方向外端側において該ケース510内に投入された処理物は、前記再脱穀処理胴600の軸線回りの回転に伴う遠心力によって該ケース510の内表面近傍へと径方向外方に移動され、前記送塵弁650によるガイド作用を受けて前記再脱穀処理胴600の軸線方向に沿って車輌幅方向内方側へと搬送される。
【0053】
具体的には、該送塵弁650は、図16及び図17に示すように、前記再脱穀処理胴600の回転方向R下流側へ行くに従って処理物の搬送方向下流側(本実施の形態においては、前記再脱穀処理胴600の車輌幅方向内端側)に位置するように、前記再脱穀処理胴600の軸線方向に対して傾斜されている。
【0054】
さらに、本実施の形態においては、前記再脱穀処理装置500は、前記再脱穀処理胴600の外表面にスクリューコンベア630を有している。
図14及び図16〜図18に示すように、該スクリューコンベア630は、前記再脱穀処理胴600の軸線方向位置に関し前記処理歯620が設けられた位置を含む領域に、該再脱穀処理胴600の軸線回りの回転に伴って処理物(二番物)を搬送し得るように設けられている。
具体的には、該スクリューコンベア630は、処理物の搬送方向上流側から下流側へ向かうに従って該再脱穀処理胴600の回転方向Rとは反対方向へ進む螺旋状とされている。
【0055】
前記再脱穀処理装置500は、斯かるスクリューコンベア630を備えることにより、処理物の搬送能力及び処理物に対する脱穀能力を改善し得るようになっている。
即ち、処理物の搬送は、前述の通り、前記送塵弁650を利用して行われる。つまり、前記再脱穀処理ケース510内に投入された処理物は、前記再脱穀処理胴600の軸線回りの回転に伴う遠心力によって該ケース510の内表面近傍に移動され、前記送塵弁650によるガイド作用を受けて前記再脱穀処理胴600の軸線方向に搬送される。
従って、例えば、前記再脱穀処理ケース510内に処理物が大量に投入される場合や、投入された処理物が湿気を含んでいる場合において、処理物の一部が前記再脱穀処理胴600の外表面近傍に位置したままの状態となってしまうと、前記送塵弁650によるガイド作用を受けることができなくなり、処理物が前記再脱穀処理胴600の軸線方向位置に関し滞留し始めることになる。斯かる処理物の滞留は当然ながら脱穀処理能力を悪化させる。
【0056】
これに対し、本実施の形態においては、前記再脱穀処理胴600の回転に伴う遠心力によって前記再脱穀処理ケース510の内表面近傍へと径方向外方に移動された処理物は前記送塵弁650の作用によって軸線方向へ案内しつつ、前記再脱穀処理胴600の外表面近傍に位置する処理物は前記スクリューコンベア630によって軸線方向へ搬送することができる。
従って、前記再脱穀処理ケース510内に処理物が大量に投入された場合や、投入された処理物が湿気を含んでいる場合であっても、処理物を効率良く搬送することができ、脱穀能力を維持することができる。
【0057】
さらに、前記スクリューコンベア630が軸線方向位置に関し前記処理歯620が設けられた位置を含む領域に設けられているので、処理物が滞留することなく前記処理歯620及び前記固定歯610による脱穀作用を受ける。従って、従来に比して、脱穀能力も向上させることができる。
【0058】
なお、本実施の形態においては、前記スクリューコンベア630が軸線方向位置に関し前記固定歯610を跨ぐように設けられている。従って、前記スクリューコンベア630の回転軌跡が前記固定歯610とオーバーラップしないように、該スクリューコンベア630及び該固定歯610の高さが設定されている。
【0059】
本実施の形態においては、図16〜図18に示すように、前記再脱穀処理装置500は、さらに、前記再脱穀処理胴600の外表面に設けられた受け継ぎ羽根640及び送り出し羽根645を有している。
【0060】
前記受け継ぎ羽根640は、前記二番還元コンベア16から前記投入口511を介して供給される処理物を前記再脱穀処理胴600の車輌幅方向外方側から車輌幅方向内方側へ向けて送り出すように、前記スクリューコンベア630より車輌幅方向外方側に位置している。
前記送り出し羽根645は、前記スクリューコンベア630及び前記送塵弁650によって搬送される処理物を、前記再脱穀処理ケース510の車輌幅方向内方側の前記放出口512から前記脱穀装置100内に放出させ得るように、前記スクリューコンベア630の車輌幅方向内方側に位置している。
好ましくは、前記受け継ぎ羽根640及び前記送り出し羽根645は共に、図16及び図17に示すように、前記スクリューコンベア630よりも高さが高くなるように構成される。
【0061】
本実施の形態においては、図16〜図18に示すように、前記受け継ぎ羽根640は、処理物の搬送方向上流側から下流側へ向かうに従って前記再脱穀処理胴600の回転方向Rとは反対方向へ進む螺旋状の第1受け継ぎ羽根640aと、該第1受け継ぎ羽根640aとは前記再脱穀処理胴600の周方向に180度離間配置された位置において処理物の搬送方向上流側から下流側へ向かうに従って前記再脱穀処理胴600の回転方向Rとは反対方向へ進む螺旋状の第2受け継ぎ羽根640bとを有している。
又、前記送り出し羽根645は、前記再脱穀処理胴600の周方向に略等間隔に配設された第1〜第3送り出し羽根645a〜645cを有している。
【0062】
好ましくは、前記受け継ぎ羽根640,前記スクリューコンベア630及び前記送り出し羽根645は連続状に形成され得る。
前述の通り、本実施の形態においては、前記受け継ぎ羽根640は前記第1及び第2受け継ぎ羽根640a,640bを有し、且つ、前記送り出し羽根645は前記第1〜第3送り出し羽根645a〜645cを有している。
斯かる構成においては、前記第1受け継ぎ羽根640a,前記スクリューコンベア630及び前記第1送り出し羽根645aが連続状に配置される。
【0063】
前述の通り、本実施の形態においては、前記再脱穀処理胴600に前記処理歯620及び前記スクリューコンベア630を設けることで、処理物搬送能力の向上を図り、これにより脱穀能力を向上させているが、さらに、図18に示すように、前記処理歯620を前記スクリューコンベア630の被搬送面側に設けることで、該スクリューコンベア630の搬送能力が前記処理歯620によって阻害されることを有効に防止している。
【0064】
図16〜図18に示すように、本実施の形態においては、前記再脱穀処理装置500は、前記処理歯620を複数個有している。
このような場合には、該複数の処理歯620は、前記スクリューコンベア630の非搬送面側において、処理物の搬送方向上流側から下流側へ向かうに従って前記再脱穀処理胴600の回転方向Rとは反対方向へ進む螺旋上に配置される。
【0065】
詳しくは、本実施の形態においては、前記再脱穀処理装置500は、前記再脱穀処理胴600の軸線方向及び周方向に互いに離間配置された複数の第1処理歯620aを含む第1処理歯列と、対応する前記第1処理歯620aに対して前記再脱穀処理胴600の周方向略同一位置で且つ軸線方向に関しては処理物の搬送方向上流側に離間された複数の第2処理歯620bを含む第2処理歯列とを有している。
そして、前記第1処理歯列を形成する前記複数の第1処理歯620aは、前記スクリューコンベア630の非搬送面側において該スクリューコンベア630と略平行になるように螺旋状に配置されており、前記第2処理歯列を形成する前記複数の第2処理歯620bは、前記第1処理歯列より処理物の搬送方向上流側において前記スクリューコンベア630と略平行になるように螺旋状に配置されている。
【0066】
より好ましくは、前記複数の第1処理歯620aは、前記再脱穀処理胴600の周方向に等間隔に配置される。
同様に、前記複数の第2処理歯620bも、前記再脱穀処理胴600の周方向に等間隔に配置される。
【0067】
なお、前記スクリューコンベア630の非搬送面側とは、該スクリューコンベア630による処理物の実質的な搬送作用が奏されない領域を意味するが、例えば、該スクリューコンベア630における第1巻き部分630aと次段の第2巻き部分630bとの中間線Cよりも該スクリューコンベア630の非搬送面に近接する領域と例示され得る(図18参照)。
【0068】
より好ましくは、図18に示すように、前記処理歯620のうち前記スクリューコンベア630の非搬送面に近接する処理歯(本実施の形態においては前記第1処理歯620a)は、前記再脱穀処理胴600の回転方向下流側に位置する端部621が前記スクリューコンベア630に連設されるように構成され得る。
斯かる構成を備えることにより、前記処理歯620aと前記スクリューコンベア630との間に塵等の不要物が挟まることを有効に防止でき、処理物搬送能力をより向上させることができる。
【0069】
本実施の形態においては、図16〜図18に示すように、前記第1処理歯620aと前記スクリューコンベア630とを別体としたが、これに代えて、図19に示すように、前記スクリューコンベア630の非搬送面に近接する一の処理歯620aと該一の処理歯620aに連設されたヒレ部材622とが一体形成されたユニット625を複数個直列的に連結させることによって、前記第1処理歯620a及び前記スクリューコンベア630を形成することも可能である。
斯かる構成によれば、前記第1処理歯620aと前記スクリューコンベア630の非搬送面との間に隙間が生じることなく、前記第1処理歯620a及び前記スクリューコンベア630を容易に前記再脱穀処理胴600の外表面に設けることができる。
なお、本実施の形態においては、前記第1処理歯列及び前記第2処理歯列を有するように構成したが、当然ながら、前記第2処理歯列を削除することも可能である。
【0070】
次に、前記プレート部550について説明する。
図20及び図21に、それぞれ、前記再脱穀処理胴600の平面図及び斜視図を示す。なお、図20及び図21においては、参考の為に、前記送塵弁650を併せて示している。
【0071】
図12及び図15に示すように、前記プレート部550は、前記再脱穀処理ケース510における前記ケース本体520の放出口512近傍位置において、基端部が該ケース本体520の内周面に支持された状態で径方向内方へ突出されており、自由端部において前記第2軸受部590を支持している。
【0072】
詳しくは、前記プレート部550は、図15,図20及び図21に示すように、前記再脱穀処理胴600の回転方向R下流側の端部550Dを含む少なくとも一部が、平面視において、前記送塵弁650と略平行又は該送塵弁650に対して前記再脱穀処理胴600の回転方向R下流側へ行くに従って離間するように形成されており、これにより、前記再脱穀処理胴600の車輌幅方向内端部を安定的に支持しつつ、前記再脱穀処理ケース510の放出口512から効率よく処理物を放出し得るようになっている。
【0073】
即ち、前記再脱穀処理胴600を安定的に支持する為には、該再脱穀処理胴600の車輌幅方向外端部及び内端部を両持ち支持することが好ましいが、その一方で、該再脱穀処理胴600の車輌幅方向内端部の支持構造は前記放出口512の一部を塞ぐことになる。
【0074】
この点に関し、本実施の形態においては、前記再脱穀処理ケース510内における処理物の搬送原理に着目して、前記構成を採用している。
つまり、処理物のうち前記再脱穀処理胴600の回転に伴う遠心力によって径方向外方へ移動された処理物は、前記送塵弁650によって前記再脱穀処理胴600の軸線方向へガイドされる。
斯かる観点に着目して、本実施の形態においては、前記プレート部550における前記再脱穀処理胴600の回転方向R下流側の端部を含む少なくとも一部が、平面視において、前記送塵弁650と略平行又は該送塵弁650に対して前記再脱穀処理胴600の回転方向下流側へ行くに従って離間するように形成しており、これにより、前記再脱穀処理胴600の車輌幅方向内端部を支持する前記プレート部550の存在によって前記放出口512を介して放出される処理物の放出経路が狭小化することを可及的に防止している。
【0075】
即ち、前記プレート部550を前記再脱穀処理胴600の軸線に対して直交する単純な平板状とすると、前記放出口512を介して放出される処理物の経路Pの幅が実質的に狭まることになる。
これに対し、本実施の形態におけるように、前記プレート部550における前記再脱穀処理胴600の回転方向R下流側の端部を含む少なくとも一部が、平面視において、前記送塵弁650と略平行又は該送塵弁650に対して前記再脱穀処理胴600の回転方向下流側へ行くに従って離間するように形成すれば、前記経路Pの幅を可及的に拡大することができる(図20及び図21参照)。
【0076】
好ましくは、図15,図20及び図21に示すように、前記送塵弁650における前記処理胴600の回転方向R下流側の端部650Dが前記プレート部550よりも該処理胴600の回転方向下流側に位置するように、前記送塵弁650及び前記プレート部550を配置することができる。
このように、前記送塵弁650における前記再脱穀処理胴600の回転方向R下流側の端部650Dが、該処理胴600の軸線方向視において、前記プレート部550とオーバーラップしないように構成することにより、前記送塵弁650によってガイドされる処理物の流れを前記プレート部550が阻害することをより有効に防止できる。
【0077】
本実施の形態においては、図15及び図20に示すように、前記再脱穀処理胴600の軸線方向に沿って視た際に、前記プレート部550における該処理胴600の回転方向R下流側の端部550Dが前記送塵弁650の周方向略中央部分で終焉するように、前記送塵弁650及び前記プレート部550を形成しており、これにより、前記送塵弁650によってガイドされる処理物が前記放出口512からスムーズに放出されるようになっている。
【0078】
さらに、本実施の形態においては、前記プレート部550の姿勢安定化を図り且つ前記放出口512の開口面積のうち該プレート部550によって閉塞される領域を可及的に狭小化しつつ、該プレート部550に処理物が引っ掛かることを有効に防止する為に、下記構成を採用している。
【0079】
即ち、前記プレート部550は、図12,図15及び図21に示すように、前記再脱穀処理ケース510の内周面に連結される基部551と、前記基部551から径方向内方へ延びて前記第2軸受部590を支持する先端部552とを有している。
そして、前記先端部552が前記基部551よりも幅狭とされており、且つ、前記プレート部550における前記処理胴600の回転方向R上流側の端部550Uは、前記基部551から前記先端部552への移行領域が該処理胴600の軸線方向に沿って視た際に下方へ開く凹状とされている。
【0080】
斯かる構成によれば、前記基部551を幅広とすることによって前記プレート部550を前記ケース本体520の内周面に安定化に固着させ且つ前記先端部552を幅狭とすることによって前記放出口512の開口面積を維持することができ、さらに、前記再脱穀処理胴600の回転に伴って連れ回る処理物が前記プレート部550における該処理胴600の回転方向R上流側の端部550Uに引っ掛かったとしても前記下向き凹部の存在によって該処理物を下方へ自重落下させることができる。従って、前記プレート部550に起因する処理物の詰まり現象を有効に防止できる。
【0081】
なお、本実施の形態においては、図12,図15及び図20〜図21に示すように、前記プレート部550は、前記ケース本体520の内周面に固着された第1プレート部材560と、前記第1プレート部材560に着脱自在に連結される第2プレート部材570とを有しており、前記第2プレート部材570が前記第2軸受部590を支持するように構成されている。
【0082】
次に、前記駆動源9からの動力を前記再脱穀処理装置500へ伝達する為の再脱穀処理胴駆動構造について説明する。
本実施の形態においては、前記コンバイン1には、図4に示すように、一端部が前記駆動源9に作動連結され且つ他端部が前記扱胴130を駆動する扱胴駆動軸131に作動連結された扱胴用伝動軸700が備えられている。
【0083】
該扱胴用伝動軸700は、図4及び図6に示すように、前記脱穀装置100の前方において、前記一端部が車輌前進方向を基準にして該脱穀装置100より右側に位置した状態で車輌幅方向に沿って配設されている。
なお、前記扱胴用伝動軸700は、前記脱穀装置100の前方で且つ該扱胴用伝動軸700より下方において車輌幅方向に沿って配設された前記揺動軸201から無端帯伝動機構205を介して動力が入力されるように構成されている(図4及び図6参照)。
【0084】
斯かる構成において、前記コンバイン1には、図4に示すように、入力用無端帯伝動機構710を介して前記扱胴用伝動軸700に作動連結されるカウンター軸720が備えられている。
そして、前記カウンター軸720から出力用無端帯伝動機構730を介して前記再脱穀処理胴600に駆動力を伝達するように構成されている。
【0085】
このように、本実施の形態においては、前記扱胴用伝動軸700に作動連結されるように前記カウンター軸720を設け、該カウンター軸720から前記再脱穀処理胴600の駆動力を取り出すように構成しており、これにより、前記コンバイン1に送塵口処理胴150(図4及び図6参照)を付設する際において該送塵口処理胴150への動力伝達を容易に行えるようになっている。
【0086】
即ち、前記コンバイン1には、仕様に応じて、メインの前記扱胴130に加えて前記送塵口処理胴150が備えられる場合がある(図4参照)が、本実施の形態における前記再脱穀処理胴駆動構造によれば、前記カウンター軸720から容易に前記送塵口処理胴150の駆動力を取り出すことができる。
従って、前記送塵口処理胴150を付設する際の該送塵口処理胴150への動力伝達部材の装着、又は、既設されている送塵口処理胴150を取り外す際の送塵口処理胴用動力伝達部材の除去を簡便に行うことができる。
【0087】
本実施の形態においては、図6及び図8〜図9に示すように、前記カウンター軸720は、車輌前進方向を基準にして前記脱穀装置100より右側において、前記扱胴用伝動軸700より車輌後方で且つ前記再脱穀処理装置500よりも上方に、車輌幅方向に沿って配設されている。
【0088】
斯かる構成において、図4,図8及び図9に示すように、前記入力用無端帯伝動機構710は、前記扱胴用伝動軸700の車輌幅方向外端部に相対回転不能に設けられた扱胴側出力プーリー711と、前記カウンター軸720の車輌幅方向内端部に相対回転不能に設けられたカウンター軸側入力プーリー712と、前記扱胴側出力プーリー711及び前記カウンター側入力プーリー712に巻き回された入力用無端帯713とを有し、且つ、前記出力用無端帯伝動機構730は、前記カウンター軸720の車輌幅方向外端部に相対回転不能に設けられたカウンター軸側出力プーリー731と、前記再脱穀処理胴600の車輌幅方向外端部に相対回転不能に設けられた再脱穀処理胴側入力プーリー732と、前記カウンター軸側出力プーリー731及び前記再脱穀処理胴側入力プーリー732に巻き回された出力用無端帯733とを有している。
【0089】
斯かる構成によれば、前記送塵口処理胴150を、車輌前進方向を基準にして前記脱穀装置100の右側で且つ前記再脱穀処理装置500の後上方のスペース(図6参照)に配設させる場合に、前記カウンター軸720の車輌幅方向内端部から該送塵口処理胴150へ、例えばベベルギヤ機構155(図4参照)を介して、容易に動力伝達することができる。
【0090】
さらに、本実施の形態においては、前記カウンター軸720を安定的に支持する為に、下記構成を備えている。
図22に、前記再脱穀処理ケース510の前記端壁部530及び前記還元筒17の一部を取り外した状態の側面図を示す。又、図23及び図24に、それぞれ、図22の前方斜視図及び後方斜視図を示す。
【0091】
前記コンバイン1には、図7,図8,図10及び図22〜図24に示すように、前記カウンター軸720の両端部が外方へ延在された状態で該カウンター軸720を軸線回り回転自在に外挿支持するカウンターケース740と、前記カウンターケース740を前記揚穀筒13に連結させる連結部材750とが備えられている。
【0092】
詳しくは、図22〜図24に示すように、前記カウンターケース740は、前記カウンター軸720が内挿されるケース本体741と、該ケース本体741に溶接等により一体化されたカウンターケース側取付ステー742とを有している。
そして、前記連結部材750は、前端部が前記取付ステー742に連結され且つ後端部が前記揚穀筒13に連結されるように、前記カウンターケース740の後方スペースに配設されている。
【0093】
このように、前記カウンターケース740から車輌後方側へ延びる前記連結部材750によって、該カウンターケース740を後方側に位置する前記揚穀筒13に支持させることにより、前記入力用無端帯伝動機構710によって該カウンターケース740に付加される前方側への引張力に抗して該カウンターケース740を安定的に支持することができる。
【0094】
即ち、図8,図22及び図23に示すように、前記扱胴側出力プーリー711は前記カウンター側入力プーリー712よりも車輌前方側に配置されており、且つ、前記入力用無端帯713にはテンションプーリー714が作用している。その為、前記カウンター軸720を支持する前記カウンターケース740には車輌前方側への引張力が作用するが、本実施の形態においては、前述の通り、前記カウンターケース740から車輌後方側へ延びる前記連結部材750によって、該カウンターケース740を車輌後方側に位置する前記揚穀筒13に連結させており、前記連結部材750が前記カウンターケース740を挟んで前記引張力の作用方向とは反対方向へ延びている。従って、前記引張力に抗して前記カウンターケース740を安定的に支持させることができる。
【0095】
具体的には、前記連結部材750は、図22〜図24等に示すように、前記カウンターケース側取付ステー742にボルト等を介して締結可能な前方取付板751と、前記揚穀筒13に設けられた揚穀筒側取付ステー14にボルト等を介して締結可能な後方取付板752と、前記前方取付板751及び前記後方取付板752の間に延びる連結杆753とを一体的に有している。
【0096】
さらに、本実施の形態においては、前記再脱穀処理ケース510を利用して前記カウンターケース740を下方からも支えるように構成されている。
詳しくは、図22〜図24に示すように、前記再脱穀処理ケース510の前記ケース本体520のうち前記脱穀装置100より右側外方に位置する部分には上方へ延びる支持部材760が固着されている。
該支持部材760は、前記カウンターケース740の前記ケース本体741を下方から支えた状態で前記連結部材750に連結されるように構成されている。
斯かる構成を備えることにより、前記連結部材750及び前記支持部材760が異なる方向から前記カウンターケース740を支持することになり、該カウンターケースをより安定的に支持することができる。
【0097】
さらに、前記支持部材760は、前記出力用無端帯伝動機構730による引張力に対しても有効に作用する。
即ち、図8及び図9等に示すように、前記再脱穀処理扱胴側入力プーリー732は前記カウンター側出力プーリー731よりも下方側に配置されており、且つ、前記出力用無端帯733にはテンションプーリー734が作用している。その為、前記カウンター軸720を支持する前記カウンターケース740には下方側への引張力が作用するが、本実施の形態においては、前述の通り、前記支持部材760によって前記カウンターケース740が下方から支えている。
従って、前記下方への引張力に抗して前記カウンターケース740を安定的に支持させることができる。
【0098】
好ましくは、図23及び図24に示すように、前記二番還元コンベア16の搬送方向下流端部(上端部)を軸受支持する部材18を前記支持部材760に貫通させることができ、これにより、前記カウンター軸740をより安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態が適用されたコンバインの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すコンバインの側面図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示すコンバインの正面図である。
【図4】図4は、図1〜図3に示すコンバインの伝動模式図である。
【図5】図5は、図1〜図3に示すコンバインの左側面図であり、左側板を取り外した状態を示している。
【図6】図6は、図1〜図3に示すコンバインの右側面図である。
【図7】図7は、図1〜図3に示すコンバインにおける再脱穀処理装置近傍の正面図である。
【図8】図8は、図7の前方斜視図である。
【図9】図9は、図7の後方斜視図である。
【図10】図10は、再脱穀処理ケースを取り除いた状態の前記再脱穀処理装置近傍の正面図である。
【図11】図11は、前記再脱穀処理装置を車輌幅方向外方から視た斜視図である。
【図12】図12は、前記再脱穀処理装置を車輌幅方向内方から視た斜視図である。
【図13】図13は、前記再脱穀処理装置の縦断正面図である。
【図14】図14は、図13におけるXIV-XIV線に沿った断面の斜視図である。
【図15】図15は、前記再脱穀処理装置を車輌幅方向内方から視た端面図である。
【図16】図16は、前記再脱穀処理装置における再脱穀処理胴の正面図であり、前記再脱穀処理ケースに設けられた固定歯及び送塵弁を併せて示している。
【図17】図17は、前記再脱穀処理装置における再脱穀処理胴の斜視図であり、前記固定歯及び送塵弁を併せて示している。
【図18】図18は、前記再脱穀処理胴の展開模式図であり、前記送塵弁を併せて示している。
【図19】図19は、前記再脱穀処理胴の変形例の展開模式図である。
【図20】図20は、前記再脱穀処理胴の平面図であり、前記送塵弁を併せて示している。
【図21】図21は、前記再脱穀処理胴の斜視図であり、前記送塵弁を併せて示している。
【図22】図22は、端壁部及び還元筒の一部を取り外した状態の前記再脱穀処理装置近傍の側面図である。
【図23】図23は、図22の前方斜視図である。
【図24】図24は、図22の後方斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
1 コンバイン
100 脱穀装置
500 再脱穀処理装置
510 再脱穀処理ケース
540 第1軸受部
550 プレート部
551 基部
552 先端部
560 第1プレート部材
570 第2プレート部材
590 第2軸受部
600 再脱穀処理胴
650 送塵弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再脱穀すべき処理物が供給される中空の再脱穀処理ケースであって、搬送方向上流側の第1端部が脱穀装置の外方に位置し且つ搬送方向下流側の第2端部が前記脱穀装置の内部に位置するように配設される再脱穀処理ケースと、駆動源によって作動的に軸線回りに回転駆動される状態で前記再脱穀処理ケースに内挿された再脱穀処理胴とを備え、前記再脱穀処理胴が前記第1端部側に設けられた第1軸受部と前記第2端部側に設けられた第2軸受部とによって両持ち支持されるように構成された再脱穀処理装置であって、
前記再脱穀処理ケースには、前記第2軸受部を支持するように内周面から径方向内方へ突設されたプレート部が設けられており、
前記プレート部は、前記再脱穀処理胴の回転方向下流側の端部を含む少なくとも一部が、平面視において、前記再脱穀処理ケースの内周面に設けられた送塵弁と略平行又は該送塵弁に対して前記再脱穀処理胴の回転方向下流側へ行くに従って離間するように形成されていることを特徴とする再脱穀処理装置。
【請求項2】
前記再脱穀処理胴の軸線方向に沿って視た際に、前記プレート部は、前記送塵弁における前記処理胴の回転方向下流側の端部よりも該処理胴の回転方向上流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の再脱穀処理装置。
【請求項3】
前記再脱穀処理胴の軸線方向に沿って視た際に、前記プレート部における前記処理胴の回転方向下流側の端部が前記送塵弁の周方向略中央で終焉するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の再脱穀処理。
【請求項4】
前記プレート部は、前記再脱穀処理ケースの内周面に連結される基部と、前記基部から径方向内方へ延びて前記第2軸受部を支持する先端部とを有しており、
前記先端部は前記基部よりも幅狭とされており、
前記プレート部における前記処理胴の回転方向上流側の端部は、前記基部から前記先端部への移行領域が該処理胴の軸線方向に沿って視た際に下方へ開く凹状とされていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の再脱穀処理装置。
【請求項5】
前記プレート部は、前記再脱穀処理ケースの内周面に固着された第1プレート部材と、前記第1プレート部材に着脱自在に連結される第2プレート部材であって、前記第2軸受部を支持する第2プレート部材とを有していることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の再脱穀処理装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の再脱穀処理装置が二番還元経路中に設けられていることを特徴とする脱穀装置。
【請求項7】
請求項1から5の何れかに記載の再脱穀処理装置が二番還元経路中に設けられていることを特徴とするコンバイン。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−236324(P2007−236324A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65322(P2006−65322)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】