説明

冷凍・空調サイクルのろう付け方法及び治具

【課題】 鉛直方向に組込まれた配管に対し水平に配管を接続しなければならないものであっても、安定したろう付け性能を確保し、品質を向上させ、同時に作業性の向上も図る。
【解決手段】 ろう付けを行なう物を乗せるための受台1と、ろう付けを行なう物を安定して支えるための支柱2と、受台1と支柱2を支持するためのベース6と、受台1と支柱2の回転軸3を中心とした回転機構と、回転機構を円滑に行う為の弾性体5と、受台1と支柱2が部品を乗せた後に最適な位置で固定するためのストッパー4と、部品を取り外した時に、受台1と支柱2が弾性体5により元の位置に自動で戻る機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、空調機、冷凍機、湯沸かし器等の各種機器に組込まれている配管の接続作業に用いられるろう付け方法及び治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば水平方向のろう付けでは母材を回転させることによりろう材の回りをよくする方法が知られている。更に、自動でろう付けにすることにより品質の向上を図っているが、ろう付け部のギャップにバラツキが生じることがある。
【0003】
【特許文献1】特開2003-290912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような方法ではろう材が重力方向に偏ってしまうため、ろう材が水平方向に接続される配管の円周方向に均一に行き渡らず、また、鉛直方向に組込まれた配管から水平方向に配管を接続するために開けられた穴径と、水平方向に接続する配管の外径との嵌め合い隙間も重力方向は狭く、反重力方向は広くなるため、配管のろう付けにおいて均一な品質を得ることが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、ろう材が重力方向に偏ること減らし、配管のギャップを均一に保つことができるろう付け方法及び冶具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記受台に部品を乗せ、支柱で部品を支え、受台と支柱が回転軸を中心に回転し、ストッパーで部品がろう付けを行なう最適な位置で固定され、最適な位置、方向でろう付けを行なうことができる機構を備ることで達成される。
【0007】
さらに、ろう付け終了後、部品を治具から降ろし、次の部品を乗せる前には、受台、支柱は弾性体によって自動的に元の位置に戻る機構を備ることで達成できる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、この発明によれば鉛直方向に組込まれた配管に対し水平に配管を接続しなければならないものであっても、ろう材を円周方向に均一に流し込ませ、安定したろう付けを行うことができ、品質が向上し、同時に作業性も向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図1、図2により説明する。
【0010】
ベース6上に設置された受台1は回転軸3と弾性体5によって支えられて、支柱2は受台1の片側に接合されていて部品を確実に支えられる構造となっている。又、ベース6上には、ろう付けを行う上で最適な位置となるような形状としたストッパー4が設けられている。
【0011】
このようなろう付け冶具の受台1に部品を乗せると支柱2で部品を支えながら、同時に部品の自重にて回転軸3を中心に弾性体5を圧縮して受台1と支柱2は回転運動をして下方に傾く。
【0012】
そして、ろう付けに最適な位置で受台1と支柱2は、ストッパー4により固定される。
本実施例によれば、部品は受台1と支柱2が下方へ傾くことにより部品のろう付け方向が水平方向から鉛直方向へ変えられることとなり、ろう付け部の嵌め合いギャップが均一化され、ろう付け部の品質向上と上からのろう付け作業により作業性向上が図れるという効果がある。
【0013】
また、ろう付けを行った部品を取り外すと、受台1と支柱2は回転軸3を中心に元の位置に戻り、次の作業を簡単に行うことができ、段取りのロス等も解消される効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の冶具の全体図を示す。
【図2】本発明のろう付け時の位置を示す。
【符号の説明】
【0015】
1…受け台、2…支柱、3…回転軸、4…ストッパー、5…弾性体、6…ベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろう付けを行なう部品(以下部品という)を乗せるための受台と、部品を安定して支えることが可能な支柱を受台に接合し、尚且つ受台と支柱はベースにて支持されるとともに、回転機構を有し、更に、前記受台と支柱の回転機構に弾性体を設け、ベースには受台と支柱が回転機構により回転してろう付けに最適な位置に固定できるストッパーを有し、又、部品を取り外した場合は、受台と支柱は弾性体で定位置に自動で戻す機構兼ね備えたことを特徴とするろう付け治具。
【請求項2】
前記請求項1の機構を備えたろう付け冶具を用いて、最適な位置、方向でろう付けを行なうことができる機能を備えたろう付け方法。

【図1】
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【図2】
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