説明

出力切替機能を備えた充電装置

【課題】高精度にバッテリの充電量を検出して、充電順序を設定することが可能な出力切替機能を備えた充電装置を提供する。
【解決手段】交流電源E1と各タップ41との間に設けられ、交流電源E1と少なくとも一つのタップ41との接続、遮断を切り替えるタップ切替器40と、各バッテリ23a〜23dに供給される電流を検出する電流検出部42と、各バッテリ23a〜23dに供給される電流に基づいて、供給電流が最大となるバッテリを特定し、特定したバッテリに接続されたタップ41と交流電源E1が接続されるように、タップ切替器40を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のタップに接続される各バッテリを充電する充電装置に係り、特に、充電量が低いバッテリを優先して充電する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動フォークリフトやゴルフ場のカート車等の電動車両は、バッテリ(蓄電池)を備えており、該バッテリに電力を蓄電し、この蓄電した電力を動力源として動作する。このような電動車両は、定期的にバッテリを充電する必要があり、通常は夜間に商用電源(例えば、交流200V)に接続してバッテリを充電する。
【0003】
また、複数台の電動車両が存在する場合には、全ての電動車両に電源を接続して同時に充電すると、電源設備の許容電流を超えてしまうので、従来は一台或いは複数台毎に順番に電源に接続して充電する方式が採用されている。ここで、各電動車両に搭載されるバッテリには、充電量が高いものや低いものがあり、充電する順序をランダムに決めると、充電量が低い電動車両が充電されないという問題が発生する。
【0004】
そこで、特開平8−182209号公報(特許文献1)には、充電電圧の低いバッテリを優先的に充電することが記載されている。該特許文献1では、充電装置の出力端に複数のリレーを設け、各リレーを介して複数のバッテリを接続し、更に、各リレーを択一的にオンとすることにより、バッテリの充電電圧を測定する。そして、充電電圧が最も低いバッテリを選択し、このバッテリに接続されるリレーをオンとすることにより、充電電圧の低いバッテリ、即ち、充電量の低いバッテリを優先的に充電することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−182209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例は、バッテリの充電電圧を検出してバッテリの充電量が高いか、或いは低いかを判断しており、充電電圧はバッテリの充電量のみならず、バッテリ劣化等に起因しても変動するので、充電電圧を正確に反映しているとはいえず、高精度なバッテリの充電制御ができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、より高精度にバッテリの充電量を検出して、充電順序を設定することが可能な出力切替機能を備えた充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、複数の出力端子を備え、前記各出力端子に接続された蓄電手段を充電する充電装置において、電源と前記各出力端子との間に設けられ、前記電源と少なくとも一つの前記出力端子との接続、遮断を切り替える切替手段と、前記電源と出力端子とが接続されているときの、前記各蓄電手段に供給される電流を検出する電流検出手段と、前記各電流検出手段で検出される電流に基づいて、供給電流が最大となる蓄電手段を特定し、特定した蓄電手段に接続された出力端子と前記電源とが接続されるように、前記切替手段を制御する切替制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記切替制御手段は、前記電源が出力可能な許容電流と、前記特定した蓄電手段に流れる電流の差分値を演算し、前記特定した蓄電手段以外で、前記電流検出手段で検出される電流の合計が前記差分値未満となる少なくとも一つの他の蓄電手段が存在する場合には、前記特定した蓄電手段に加えて、少なくとも一つの前記他の蓄電手段に接続された出力端子と前記電源とが接続されるように、前記切替手段を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記切替制御手段は、前記電流検出手段で検出される電流に基づき、充電中の蓄電手段に流れる電流が、予め設定した目標電流値まで低下した場合にこの蓄電手段への電力供給を停止するように前記切替手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る充電装置は、各蓄電手段に供給する電流を測定し、この電流に基づいて供給電流が最大となる蓄電手段を、充電量が最も低下している蓄電手段であると推定する。そして、この充電量が最も低下している蓄電手段に電力を供給するように、切替手段を制御する。従って、充電量の少ない蓄電手段を高精度に検出することができ、充電量の少ない蓄電手段を優先的に充電することができる。
【0012】
更に、蓄電手段に供給する電流に余裕がある場合には、他の蓄電手段へ並行して電力を供給して充電するので、2以上の蓄電手段を同時に充電することができ、より効率良く蓄電手段を充電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る充電装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る充電装置に含まれる充電制御装置の詳細な構成を示すブロックである。
【図3】本発明の実施形態に係る充電装置の、監視端末の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る充電装置の、監視端末にて表示される各バッテリの充電量を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る充電装置でバッテリを充電する際の、充電量と入力電流との関係を示す特性図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る充電装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る充電装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の変形例に係る充電装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る充電装置の構成を示すブロックである。図1に示すように、この充電装置10は、充電制御部11と、該充電制御部11との間で無線通信が可能とされ、充電制御部11を遠隔制御する監視端末12と、を備えている。なお、本実施形態では、充電制御部11と監視端末12が離れた場所に存在し、通信回線を用いて遠隔制御する例について説明するが、充電制御部11と監視端末12は同一の場所に設けられる構成としても良い。
【0015】
図1に示す充電制御部11は、交流電源E1(例えば、AC200V)より供給される交流電力を、直流電力に変換して充電対象となるバッテリ23a〜23dを切り替える切替制御部13と、各バッテリ23a〜23dに電力を供給する複数(この例では4個)の充電器22a〜22dと、アンテナ21と、を備えている。各充電器22a〜22dは、それぞれバッテリ23a〜23dに接続されている。なお、バッテリ23a〜23dは、例えば、電動フォークリフト等に搭載されるバッテリである。
【0016】
図2は、充電制御部11の詳細な構成を示すブロック図である。図示のように、充電制御部11は、電源部44と、タップ切替器40と、MPU51と、通信部52、及びアンテナ21を備えている。なお、タップ切替器40は、図1に示した各充電器22a〜22dに対してそれぞれ設けられているが、図2では、説明を簡略化するため充電器22aに接続されるタップ切替器40のみを記載している。
【0017】
電源部44は、商用電源より供給される交流電圧を、例えば直流5Vの電圧に変換して充電制御部11の各機器に駆動用の電力を供給する。
【0018】
タップ切替器40は、リレー接点RLと、シャント抵抗Rsと、タップ(出力端子)41の直列接続回路を備え、リレー接点RLの端部は交流電源E1の一端側の電線W1に接続され、タップ41の端部は交流電源E1の他端側の電線W2に接続されている。従って、リレー接点RLがオンとされた場合には、タップ41に交流電源E1より出力される電圧が供給され、リレー接点RLがオフとされた場合には、タップ41に電圧は供給されない。
【0019】
また、シャント抵抗Rsの両端は、電流検出部42に接続され、該電流検出部42は、ADコンバータ43に接続されている。そして、ADコンバータ43の出力端は、MPU51に接続されている。
【0020】
電流検出部42は、シャント抵抗Rsの両端に生じる電圧を検出し、検出した電圧値とシャント抵抗Rsの抵抗値に基づいて、タップ41に流れる電流を検出する。検出された電流データはADコンバータ43に出力される。ADコンバータ43は、電流検出部42で検出されたアナログの電流データをディジタル化してMPU51に出力する。
【0021】
MPU51は、装置全体を総括的に制御する機能を備えており、特に、各充電器22a〜22dに対応するタップ切替器40より出力される電流データを取得して通信部52に出力する制御、及び図1に示した監視端末12より送信される指令信号に基づいて、各タップ切替器40に設けられるリレー接点RLのオン、オフを切り替える制御を行う。
【0022】
通信部52は、アンテナ21を介して監視端末12との間で通信を行う機能を備え、MPU51より送信される各種のデータを監視端末12に送信すると共に、監視端末12より送信される各種のデータを受信してMPU51に出力する制御を行う。
【0023】
次に、図3に示すブロック図を参照して、監視端末12の詳細な構成について説明する。図3に示すように、監視端末12は、充電制御部11との間で通信を行うための通信部63及びアンテナ64と、制御部62と、各種のデータを画面表示する表示部61と、を備えている。
【0024】
制御部62は、監視端末12を総括的に制御する機能を備えており、特に、充電装置10より送信される各バッテリ23a〜23dの充電量に基づいて、後述する手法により、各タップ切替器40のオン、オフを切り替える信号(即ち、リレー接点RLのオン、オフ信号)を送信する制御を行う。
【0025】
次に、上述のように構成された本実施形態に係る充電装置の作用について説明する。この処理は、図1に示した各充電器22a〜22dにそれぞれバッテリ23a〜23dが接続された状態で開始される。初めに、ステップS11において、充電制御部11のMPU51は、各タップ切替器40に順次切り替え信号を出力し、各バッテリ23a〜23dに充電電流を供給する。そして、各充電器22a〜22dに流れる電流を測定する。即ち、充電器22aに対応するリレー接点RLをオンとすることにより、充電器22aに充電電流を供給し、このとき電流検出部42で検出される電流データを測定し、次いで、充電器22bに対応するリレー接点RLをオンとすることにより、充電器22bに充電電流を供給し、このとき電流検出部42で検出される電流データを測定する。これを、充電器22c,22dについても実施して、各充電器22a〜22dに供給される入力電流を測定する。そして、測定した電流データに基づいて、各充電器22a〜22dに接続された各バッテリ23a〜23dに供給される入力電力を求め、この入力電力を図示省略のバッファに格納する。
【0026】
ステップS12において、MPU51は、監視端末12との間での通信を行い、通信が確立されたか否かを判断する。そして、通信が確立された場合には、ステップS13に処理を進め、通信が確立されない場合には、ステップS23において、図示しない表示器等にエラー表示する。
【0027】
ステップS13において、MPU51は、通信部52を介して各充電器22a〜22d毎の入力電力データを監視端末12に送信する。
【0028】
ステップS14において、監視端末12の制御部62は、各充電器22a〜22d毎の入力電力に基づいて、各バッテリ23a〜23dに充電されている充電量を求め、この充電量を表示部61に表示する。その結果、例えば、図4に示すように、各バッテリ23a〜23dの充電量(図では、「1」,「2」,「3」,「4」と表記)が表示部61に表示される。
【0029】
ステップS15において、制御部62は、各充電器22a〜22dより供給される入力電力をサーチし、更に、ステップS16において、最大の入力電力となる充電器を、充電対象となる充電器として選択する。即ち、入力電力が最大であるということは、充電量が少ないということと等価であるので、この充電器を充電対象とする。
【0030】
ステップS17において、制御部62は、選択した充電器(仮に、充電器22aとする)の充電指示コマンドを通信部63より送信する。この充電指示コマンドは、充電制御部11の通信部52にて受信される。
【0031】
ステップS18において、充電制御部11のMPU51は、通信部52にて受信された充電指示コマンドに基づいて、選択された充電器による充電を開始する。即ち、充電指示コマンドとして、充電器22aが選択されている場合には、充電器22aに対応するリレー接点RLをオンとすることにより充電器22aに電圧を供給し、該充電器22aに接続されたバッテリ23aを充電することができる。
【0032】
ステップS19において、MPU51は、監視端末12に充電器22aの入力電力データを送信する。そして、ステップS20において、制御部62は、充電器22aの充電量を表示部61に表示する。
【0033】
ステップS21において、制御部62は、充電器22aに供給される電流が予め設定した目標値まで低下したか否かを判断する。そして、充電電流が目標値まで低下していない場合にはステップS19に処理を戻し、低下している場合にはステップS22に処理を進める。
【0034】
ステップS22において、MPU51は、充電対象となる充電器22aに対応するリレー接点RLをオフとすることにより、充電器22aに接続されたバッテリ23aへの充電を終了させる。この処理では、図5の特性図に示すように、バッテリを充電する場合には、曲線q1に示すバッテリ充電量がフル充電となる前の時点で、曲線q2に示すようにバッテリに供給されるの電流が急激に低下するので、電流検出部42で検出される電流データが所定のレベル以下に低下した場合に、バッテリが所定の充電量(例えば、フル充電)に達したものと判断し、リレー接点RLをオフとして充電を停止する。こうして、電流データに基づいて、充電量が最も低いバッテリを選択し、この選択されたバッテリを優先的に充電することができるのである。
【0035】
この処理が終了した場合には、再度、充電電流のデータに基づいて各バッテリ23b〜23dの充電量を求め、最も充電量の低いバッテリを優先的に充電するように充電操作を実行する。
【0036】
このようにして、本実施形態に係る充電装置では、各バッテリ23a〜23dに充電電力を供給し、このときの電流データを測定し、測定された電流データに基づいて、各バッテリ23a〜23dの充電量を求め、最も充電量の低いバッテリを優先的に充電するように制御するので、従来の電圧検出により充電量を測定する方式と対比して、高精度な充電量の測定が可能となり、精度良く充電量の低いバッテリを優先的に充電することが可能となる。
【0037】
また、充電対象とされるバッテリに供給する電流が目標値まで低下した場合には、このバッテリへの電力供給を停止させるので、所定の充電量に達したバッテリを継続して充電し続けることを防止でき、一つのバッテリの充電が完了した場合には、即時に次のバッテリの充電に移ることができる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。装置構成は、前述した第1実施形態と同様である。ここで、上述した第1実施形態では、入力電流の大きさに基づいてバッテリの充電量を推定し、充電量が最も低いバッテリ、換言すれば、入力電流が最も大きいバッテリを充電対象とする充電器として選択し、この充電器のみを優先的に充電するようにしたが、第2実施形態では、充電量が最も低いバッテリを充電し、このときの入力電流が少ない場合(許容電流に余裕がある場合)には、次候補となるバッテリを選択し、このバッテリを同時に充電することにより、効率良くバッテリの充電を行う。以下、図7に示すフローチャートを参照して、第2実施形態に係る充電装置の作用を詳細に説明する。
【0039】
この処理は、第1実施形態と同様に、図1に示した各充電器22a〜22dにそれぞれバッテリ23a〜23dが接続された状態で開始される。初めに、ステップS31において、充電制御部11のMPU51は、各タップ切替器40に順次切り替え信号を出力し、各バッテリ23a〜23dに充電電流を流す。そして、各充電器22a〜22dに流れる電流を測定する。即ち、充電器22aに対応するリレー接点RLをオンとすることにより、充電器22aに充電電流を供給し、このとき電流検出部42で検出される電流データを測定し、次いで、充電器22bに対応するリレー接点RLをオンとすることにより、充電器22bに充電電流を供給し、このとき電流検出部42で検出される電流データを測定する。これを、充電器22c,22dについても実施して、各充電器22a〜22dに供給される電流を測定する。そして、測定した電流データに基づいて、各充電器22a〜22dに接続された各バッテリ23a〜23dに供給される入力電力を求め、この入力電力を図示省略のバッファに格納する。
【0040】
ステップS32において、MPU51は、監視端末12との間での通信を行い、通信が確立されたか否かを判断する。そして、通信が確立された場合には、ステップS33に処理を進め、通信が確立されない場合には、ステップS46において、図示しない表示器等にエラー表示する。
【0041】
ステップS33において、MPU51は、通信部52を介して各充電器22a〜22d毎の入力電力データを監視端末12に送信する。
【0042】
ステップS34において、監視端末12の制御部62は、各充電器22a〜22d毎の入力電力に基づいて、各バッテリ23a〜23dに充電されている充電量を求め、この充電量を表示部61に表示する。
【0043】
ステップS35において、制御部62は、各充電器22a〜22dより供給される入力電力をサーチし、更に、ステップS36において、最大の入力電力となる充電器を、充電対象となる充電器として選択する。
【0044】
ステップS37において、制御部62は、選択した充電器(仮に、充電器22aとする)に供給される入力電流を参照し、この入力電流が交流電源E1の許容電流(例えば、電力会社と契約している電流)の1/2以下であるか否かを判定する。例えば、許容電流が30Aである場合には、15A以下であるか否かを判定する。そして、許容電流の1/2以下である場合には(ステップS37でYES)、ステップS47に処理を進める。そうでない場合には(ステップS37でNO)、ステップS38に処理を進める。
【0045】
ステップS38において、制御部62は、選択した充電器22aの充電指示コマンドを通信部63より送信する。この充電指示コマンドは、充電制御部11の通信部52にて受信される。
【0046】
ステップS39において、充電制御部11のMPU51は、通信部52にて受信された充電指示コマンドに基づいて、選択された充電器による充電を開始する。即ち、充電指示コマンドとして、充電器22aが選択されている場合には、充電器22aに対応するリレー接点RLをオンとすることにより充電器22aに電圧を供給し、該充電器22aに接続されたバッテリ23aを充電することができる。
【0047】
ステップS40において、制御部62は、充電中の充電器22aに供給される入力電流を参照し、この入力電流が許容電流の1/2以下であるか否かを判定する。即ち、充電器22aによりバッテリ23aの充電を実行し、充電中に該充電器22aの入力電流が許容電流の1/2以下となったか否かを判定する。そして、許容電流の1/2以下となった場合には(ステップS40でYES)、ステップS47に処理を進める。そうでない場合には(ステップS40でNO)、ステップS41に処理を進める。
【0048】
ステップS41において、制御部62は、充電器22aによるバッテリ23aの充電を継続する。
【0049】
ステップS42において、充電制御部11のMPU51は、監視端末12に充電器22aの入力電力データを送信する。そして、ステップS43において、制御部62は、充電器22aの充電量を表示部61に表示する。
【0050】
ステップS44において、制御部62は、充電器22aに供給される電流が予め設定した目標値まで低下したか否かを判断する。そして、充電電流が目標値まで低下していない場合にはステップS40に処理を戻し、到達している場合にはステップS45に処理を進める。
【0051】
ステップS45において、MPU51は、充電対象となる充電器22aに対応するリレー接点RLをオフとすることにより、充電器22aに接続されたバッテリ23aへの充電を終了させる。こうして、電流データに基づいて、充電量が最も低いバッテリを選択し、この選択されたバッテリを優先的に充電することができる。
【0052】
一方、充電器22aの入力電流が許容電流の1/2以下である場合(ステップS37,S40でYESの場合)には、ステップS47において、制御部62は、次候補となる充電器(仮に、これを充電器22bとする)を選択する。この処理では、入力電流が最大である充電器22aの入力電流が許容電流の1/2以下であるので、次候補である充電器22bの入力電流を加算しても、許容電流を超えることはない。従って、充電器22a、及び充電器22bの双方のリレー接点RLをオンとすることにより、各充電器22a,22bに接続されたバッテリ23a,23bの双方に電力を供給して充電を行う。
【0053】
ステップS48において、制御部62は、選択した充電器22bの充電指示コマンドを通信部63より送信する。この充電指示コマンドは、充電制御部11の通信部52にて受信される。
【0054】
ステップS49において、充電制御部11のMPU51は、通信部52にて受信された充電指示コマンドに基づいて、選択された充電器による充電を開始する。即ち、充電指示コマンドとして、充電器22bが選択された場合には、充電器22bに対応するリレー接点RLをオンとすることにより充電器22bに電圧を供給し、該充電器22bに接続されたバッテリ23bを充電することができる。
【0055】
ステップS50において、制御部62は、充電器22bによるバッテリ23bの充電を継続する。
【0056】
ステップS51において、制御部62は、充電器22bに供給される電流が予め設定した目標値まで低下したか否かを判断する。そして、充電電流が目標値まで低下していない場合にはステップS50に処理を戻し、低下している場合にはステップS52に処理を進める。
【0057】
ステップS52において、MPU51は、充電対象となる充電器22bに対応するリレー接点RLをオフとすることにより、充電器22bに接続されたバッテリ23bへの充電を終了させる。こうして、電流データに基づいて、次候補となる充電器22bを選択し、この充電器22bに接続されたバッテリ23bを、前述したバッテリ23aと同時並行的に充電することができる。
【0058】
このようにして、第2実施形態に係る充電装置では、各バッテリ23a〜23dに充電電力を供給し、このときの電流データを測定し、測定された電流データに基づいて、各バッテリ23a〜23dの充電量を求め、最も充電量の低いバッテリを優先的に充電する。従って、前述した第1実施形態と同様に、高精度な充電量の測定が可能となり、精度良く充電量の低いバッテリを優先的に充電することが可能となる。
【0059】
更に、この充電対象となるバッテリに供給される入力電流と許容電流を対比し、入力電流が許容電流の1/2以下である場合には、次候補のバッテリを選択し、このバッテリを並行して充電する。従って、充電量の少ない2つのバッテリを選択して、同時に充電することができ、より効率の良い充電が可能となる。
【0060】
また、第2実施形態では、充電量の少ない2個のバッテリ23a,23bを同時に充電する例について説明したが、許容電流に対して余裕がある場合には、3個以上のバッテリを同時に充電することも可能である。即ち、本発明は、各バッテリ23a〜23dに供給する入力電流を測定しているので、交流電源E1の許容電流に基づいて、バッテリに供給する入力電流の合計が許容電流以下であれば、充電対象とするバッテリの個数を適宜増加することができる。
【0061】
また、上述した各実施形態では、充電装置に電力を供給するための電源として、商用の交流電源E1を用いる例について説明したが、例えば、図8に示すように、太陽光パネル31を用いた電力を蓄電池34に蓄電し、この蓄電した電力をインバータ33で所定の周波数の交流電力に変換した電力を、バッテリ23a〜23dに供給する構成とすることも可能である。このような構成とすれば、自然エネルギーを利用して発電した電力を用いて、電動フォークリフト等のバッテリを充電することができるので、環境負荷を軽減することができる。
【0062】
以上、本発明の充電装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0063】
例えば、上述した実施形態では、4個のバッテリ23a〜23dを充電する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、5個以上のバッテリ、3個以下のバッテリの場合についても適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、複数のバッテリを充電する際に、充電量の少ないバッテリを優先的に充電することに利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 充電装置
11 充電制御部
12 監視端末
13 切替制御部
21 アンテナ
22a〜22d 充電器
23a〜23d バッテリ(蓄電手段)
31 太陽光パネル
33 インバータ
34 蓄電池
40 タップ切替器(切替手段)
41 タップ
42 電流検出部(電流検出手段)
43 ADコンバータ
44 電源部
51 MPU(切替制御手段)
52 通信部
61 表示部
62 制御部
63 通信部
64 アンテナ
E1 交流電源
RL リレー接点
Rs シャント抵抗
W1,W2 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の出力端子を備え、前記各出力端子に接続された蓄電手段を充電する充電装置において、
電源と前記各出力端子との間に設けられ、前記電源と少なくとも一つの前記出力端子との接続、遮断を切り替える切替手段と、
前記電源と出力端子とが接続されているときの、前記各蓄電手段に供給される電流を検出する電流検出手段と、
前記各電流検出手段で検出される電流に基づいて、供給電流が最大となる蓄電手段を特定し、特定した蓄電手段に接続された出力端子と前記電源とが接続されるように、前記切替手段を制御する切替制御手段と、
を備えることを特徴とする出力切替機能を備えた充電装置。
【請求項2】
前記切替制御手段は、前記電源が出力可能な許容電流と、前記特定した蓄電手段に流れる電流の差分値を演算し、前記特定した蓄電手段以外で、前記電流検出手段で検出される電流の合計が前記差分値未満となる少なくとも一つの他の蓄電手段が存在する場合には、前記特定した蓄電手段に加えて、少なくとも一つの前記他の蓄電手段に接続された出力端子と前記電源とが接続されるように、前記切替手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の出力切替機能を備えた充電装置。
【請求項3】
前記切替制御手段は、前記電流検出手段で検出される電流に基づき、充電中の蓄電手段に流れる電流が、予め設定した目標電流値まで低下した場合にこの蓄電手段への電力供給を停止するように前記切替手段を制御することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の出力切替機能を備えた充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−244832(P2012−244832A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114498(P2011−114498)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】