説明

刃及び綴じ機

【課題】設計の自由度が低く、抵抗力を低減することが難しいという課題を解消することのできるカット孔形成用の刃、及びこの刃を備えた綴じ機を提供する。
【解決手段】複数枚の用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するとともに、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P5の先端P51部分を前記カット孔P2に挿通させ、その切起片P5とカット孔P2との係わり合いによってそれら複数枚の用紙Pを相互に綴じることができるようにした綴じ機1に用いられる前記カット孔P2を形成し得る刃であって、前記カット孔P2に挿通される直前の切起片P5を受け入れる窓を有し、その窓の前記切起片P5を押圧してカット孔P2に引き込むための縁が、刃素材の厚み寸法よりも大きな厚み方向の領域に分布するような形状をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わせた複数枚の用紙の端部を一体的に綴じ合わせる綴じ機のうち、特に金属製の針を使用しない方式の綴じ機、及びこの綴じ機に用いられる刃に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の綴じ機として、抜き刃とパンチプレートにより複数枚の用紙から切り起こされた切起片を用いて、それら複数枚の用紙を相互に接合するための綴じ機が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この種の綴じ機では、抜き刃と切込刃が用紙を貫通した段階で切起片が形成され、その切起片が切込刃の窓に挿入された後、抜き刃及び切込刃が用紙から抜き取られることにより、前記切起片の先端側が前記切込刃によって形成されたカット孔に挿入されて綴じ動作が終了するようになっている。そして、窓に挿入された切起片が切込刃の抜き取り動作に伴ってカット孔に挿入される際、すなわち、クリンチポイントにおいて大きな抵抗力が発生し、一時的に大きな操作力が要求されることになる。このようなクリンチポイントにおける操作力の増大を低減させたいという要望があり、なんらかの対策が望まれている。
【0004】
しかしながら、従来のものは、切込刃の窓における前記切起片を押圧してカット孔に引き込むための縁が用紙と平行な一直線状をなすものである。そのため、その縁が必ず同時に切起片に当接するものであり、また、その縁が切起片の基端側に当接した後、先端側に順次当接するという特定のパターンのみで切起片を押圧せざるを得ないものである。そのため、設計の自由度が低く、抵抗力を低減することには一定の限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−228451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、設計の自由度が低く、抵抗力を低減することが難しいという課題を解消することのできるカット孔形成用の刃、及びこの刃を備えた綴じ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明にかかる刃は、複数枚の用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成するとともに、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させ、その切起片とカット孔との係わり合いによってそれら複数枚の用紙を相互に綴じることができるようにした綴じ機に用いられる前記カット孔を形成し得るものであって、前記カット孔に挿通される直前の切起片を受け入れる窓を有し、その窓の前記切起片を押圧してカット孔に引き込むための縁が、刃素材の厚み寸法よりも大きな厚み方向の領域に分布するような形状をなしていることを特徴とする。
【0008】
ここで、「用紙」とは、シート状になっているものであれば、どのようなものであってもよく、紙製のものの他、プラスチック製や金属製のものも含まれる。
【0009】
このようなものであれば、切込刃に形成された窓の前記切起片を押圧してカット孔に引き込むための縁が従来のようなものに限られることなく、切込刃と切起片との当接パターンをバリエーションに富んだものとすることができる。そのため、設計の自由度が低く、抵抗力を低減することが難しいという課題を解消することのできるカット孔形成用の刃を提供できる。
【0010】
成形を容易に行うためには、一枚の刃素材を折り曲げ成形したものが好ましい。
【0011】
前記切起片を押圧してカット孔に引き込むための縁が、引き込み時に先に切起片に当たる部分と、遅れて切起片に当たる部分とを備えたものであれば、前記縁と切起片との当接部分を順次変化させることができる。
【0012】
カット孔形成用の刃の具体的な一例としては、前記カット孔の縁に、前記用紙の厚み方向に変位可能な片持ち片が形成されるような形状をなしているものが挙げられる。
【0013】
前記片持ち片としては、前記打ち抜き孔と反対側の縁に形成されるものであって、前記打ち抜き孔方向に漸次幅狭となるような形状をなしているものが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設計の自由度が低く、抵抗力を低減することが難しいという課題を解消することのできるカット孔形成用の刃、及びこの刃を備えた綴じ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態にかかる綴じ機の側面図。
【図2】図1におけるX−X線断面図。
【図3】図2におけるY−Y線断面図。
【図4】同実施形態の刃駆動機構を示す側面図。
【図5】同実施形態の抜き刃、切込刃及びインナーカムを示す平面図。
【図6】同実施形態の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す平面図。
【図7】同実施形態の切込刃を示す背面図。
【図8】同実施形態の綴じ機の作動を示す概略図。
【図9】同実施形態の綴じ機の作動を示す概略図。
【図10】同実施形態の綴じ機の作動を示す概略図。
【図11】同実施形態の綴じ機の作動を示す概略図。
【図12】同実施形態の綴じ機の作動を示す概略図。
【図13】同実施形態の切込刃及び切起片の要部を模式的に示す図。
【図14】本発明の変形例における切込刃及び切起片の要部を模式的に示す図。
【図15】本発明の変形例における切込刃及び切起片の要部を模式的に示す図。
【図16】本発明の変形例における切込刃及び切起片の要部を模式的に示す図。
【図17】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図18】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図19】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図20】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図21】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図22】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図23】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図24】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図25】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図26】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図27】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図28】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図29】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図30】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図31】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【図32】本発明の変形例の打ち抜き孔、カット孔及び切起片を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図13を参照しながら説明する。なお、本発明の綴じ機は、以下に説明する本実施形態のものには限られない。
【0017】
この綴じ機1は、図1ないし図12に示すように、複数枚の用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するとともに、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P5を前記カット孔P2に挿通させることにより、それら複数枚の用紙Pを相互に綴じて冊子Bを作ることができるようにしたものである。
【0018】
冊子Bは、図2及び図3に示すように、複数枚の用紙Pを束ねてなるもので、それらの用紙Pは角部P4に設定した一ヵ所の接合部分P3において相互に接合されている。この接合部分P3は、用紙Pの一面Pa側から貫入させた抜き刃32により各用紙Pに形成された打ち抜き孔P1と、この打ち抜き孔P1に隣接させて前記各用紙Pに形成された引き上げ用カット孔P2と、前記打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P5とから構成されている。そして、前記切起片P5の先端P51側を、前記カット孔P2に貫通させて前記用紙Pの一面Pa側に導出させることによって、前記複数枚の用紙Pが相互に接合されている。
【0019】
切起片P5は、図2、図3、図6及び図10ないし図12に示すように、一端が半円弧状をなす舌片状のものである。なお、切起片P5は矢尻状のものにする等種々変更可能であり、本実施形態のものには限られない。
【0020】
打ち抜き孔P1は、図2、図3、図6及び図10ないし図12に示すように、前記切起片P5に対応する大きさ及び形状をなしており、抜き刃32による穿孔直後は、抜き刃32の形状に対応したスリット状のものであり、切起片P5を切り起こした後は、切起片P5の形状に対応した一端が半円弧状をなす長孔状の空間である。また、本実施形態に示す打ち抜き孔P1の基端に連続させて、前記切起片P5をカット孔P2に挿通させる際の前記切起片P5の基端P52への応力集中を緩和する破れ抑制用の逃げ部P6が設けてある。なお、打ち抜き孔P1は種々変更可能であり、本実施形態のものには限られない。
【0021】
カット孔P2は、図2、図3、図6及び図10ないし図12に示すように、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視W字状をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一、第二、第三の屈曲点P25、P26、P27を介して連続する第一、第二、第三、第四のスリットP21、P22、P23、P24を備えている。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7、P8が形成されている。
【0022】
中間部に形成される片持ち片P7は、カット孔P2を境として前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第二のスリットP22と第三のスリットP23とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような三角形状をなしている。この片持ち片P7の左右両側に形成される対をなす片持ち片P8は、カット孔P2を境として前記打ち抜き孔P1と同じ側の縁に形成されるものであって、一方の片持ち片P8は、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状をなし、他方の片持ち片P8は、その外端が第三のスリットP23と第四のスリットP24とに沿って伸びる形状をなしている。換言すれば、これらの片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅広となるような三角形状をなしている。すなわち、片持ち片P7、P8は、それぞれ第一、第二、第三の屈曲点P25、P26、P27に向かって先端が細くなる形状であるため、切起片P5がカット孔P2を通過する際に上方に押し上げられた際には、両観音開きとなる。なお、カット孔は種々変更可能であり、上述したものには限られない。
【0023】
以上説明した切起片P5をカット孔P2に係り合わせると、図2及び図6に示すように、切起片P5の左右の縁が、カット孔P2の第一のスリットP21及び第四のスリットP24に係合部分K1、K2でそれぞれ係り合うこととなる。すなわち、前記第一、第三の屈曲点P25、P27間の直線距離L1は、前記係合部分K1、K1間の直線距離L2よりも小さく設定されている。
【0024】
このように用紙Pを綴じる際に使用される綴じ機1について、図1、図2、図4、図5及び図7ないし図12を参照して説明する。
【0025】
この綴じ機1は、図1、図2、図4、図5及び図7ないし図12に示すように、複数枚の用紙Pに切起片P5を形成しつつ打ち抜き孔P1を穿設する抜き刃32と、この抜き刃32に隣接して設けられ前記切起片P5の先端P51側を係止させるためのカット孔P2を穿設する切込刃33と、これら抜き刃32及び切込刃33を保持するベース部2と、このベース部2に用紙挿入用隙間35を介して配設されたパンチ台4とを具備してなる。そして、前記ベース部2に保持された前記抜き刃32と切込刃33とを前記用紙挿入用隙間35に挿入された用紙Pを貫通してパンチ台4側に突出するように打ち込み動作させることによって、前記用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成する。次いで、前記打ち抜き孔P1からパンチ台4側に切り起こされた切起片P5の先端P51側を前記切込刃33に係わり合わせた状態で、その切込刃33と前記抜き刃32とをベース部2側に復帰するように抜き取り動作させることによって、前記切起片P5を前記カット孔P2に貫通させて前記用紙Pを綴じるようにしたものである。
【0026】
換言すれば、この綴じ機1は、複数枚の用紙Pを接合して前記冊子Bを作るためのもので、待機位置(N)から一時的に突出側たる上方に移動することによって前記打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するための抜き刃32及び切込刃33と、前記抜き刃32及び切込刃33を前記待機位置(N)で収容するベース部2と、前記抜き刃32及び切込刃33を保持し前記ベース部2に対して突没方向たる上下方向に昇降可能なスライド部材31と、このベース部2の外面側たる上向面F14側に用紙Pを挿入するための隙間35を介して配されたパンチ台4とを備えてなる。そして、前記ベース部2には、操作レバー5が回動可能に取り付けてあるとともに、このベース部2の内部には、前記操作レバー5に接続されたリンク機構6が収容してある。
【0027】
ベース部2は、図1、図2及び図8ないし図12に示すように、内部に前記スライド部材31及び前記リンク機構6を配する空間を備えたベースフレーム21と、このベースフレーム21の下側に外嵌されるベースカバー22とからなる。
【0028】
ベースフレーム21は、図1、図2及び図8ないし図12に示すように、ベース部2の上向面F14を形成する前部ハウジングFと、操作レバー5の上方に位置し操作レバー5を操作する際に手をかけるハンドル部を形成する後部ハウジングRとからなり、合成樹脂により一体に成形されている。
【0029】
前部ハウジングFは、図1、図2及び図8ないし図12に示すように、天壁F1と、この天壁F1の前縁から垂下する前壁F2と、前記天壁F1の左右両側縁から垂下する左右の側壁F3とからなり、内部に刃ユニット3を収容するための空間を備えている。前記天壁F1は、前記抜き刃32及び切込刃33が通過するための開口F11を有している。この天壁F1の下面側には、インナーカム34のアーム342を係止するための係止壁F13を設けている。この天壁F1の上面である上向面F14と、前記パンチ台4の下向面414との間には、用紙Pを挿入するための隙間35が形成されている。前記側壁F3には、前側に前記スライド部材31を鉛直方向に案内するための図示しないレール溝が設けられているとともに、中央にドライブシャフト36を上下方向に案内するための図示しない長孔が設けられている。この側壁F3には、下側の支軸53を介して操作レバー5が上下方向に回動可能に取り付けられている。
【0030】
後部ハウジングRは、図1に示すように、手を掛けるのに適した形状をなすもので、前記前部ハウジングFの天壁F1の後端から立ち上がる前壁R1と、この前壁R1の上端から後方に延伸する天壁R2と、この天壁R2の左右両側端から垂下する左右の側壁R3と、前記天壁R2の後端から垂下する図示しない後壁とからなり、内部にリンク機構6を収容するための空間を備えている。前記側壁R3には、上側の支軸64を介して第一のリンクメンバ61が回動可能に取り付けられている。
【0031】
ベースカバー22は、図1及び図8ないし図12に示すように、前記ベースフレーム21の下側に外嵌されるものである。
【0032】
以上のようにしてなるベース部2内に、抜き刃32及び切込刃33を有した刃ユニット3を収納している。
【0033】
刃ユニット3は、図4及び図8ないし図12に示すように、前記ベースフレーム21のレール溝に案内されて鉛直姿勢を維持しつつ昇降可能なスライド部材31と、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃32と、この抜き刃32に隣接させて配された切込刃33と、前記抜き刃32の内側に配され前記抜き刃32内に収まる初期姿勢(S)から抜き刃32外に突出する回動姿勢(K)との間で前記スライド部材31に軸341を介して回転可能に枢止されたインナーカム34と、前記初期姿勢(S)に自己復帰する方向に前記インナーカム34を回動付勢する図示しないコイルスプリングとを具備してなる。
【0034】
スライド部材31は、図4に示すように、前記ベースフレーム21のレール溝に上下方向にスライド可能に係合する突条311を備えたブロック状のもので、ドライブシャフト36を介して前記リンク機構6に接続されている。すなわち、このドライブシャフト36は、前記リンク機構6の第一のリンクメンバ61の先端に設けられた長孔614に係わり合わせてある。
【0035】
抜き刃32は、図2、図4、図5及び図8ないし図12に示すように、用紙に舌片状の切起片P5を形成するためのものであって、一枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られている。また、この抜き刃32は、外側方に連続して延びる前記逃げ部P6を形成するためのブレード状の補助刃部38を備えている。
【0036】
切込刃33は、W字状をなすスリットからなるカット孔P2を形成するものであって、横断面W字状をなしている。具体的には、この切込刃33は、図2、図4、図5ないし図12に示すように、前記カット孔P2の第一のスリットP21を形成する第一のブレード71と、第二のスリットP22を形成する第二のブレード72と、第三のスリットP23を形成する第三のブレード73と、第四のスリットP24を形成する第四のブレード74とを具備してなる。第一のブレード71と第二のブレード72とは、折り曲げ線75を介して連続し、第二のブレード72と第三のブレード73とは、折り曲げ線76を介して連続し、第三のブレード73と第四のブレード74とは、折り曲げ線77を介して連続するもので、一枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られている。
【0037】
切込刃33の中央部分には、用紙Pから打ち抜かれた切起片P5を通過させ、前記カット孔P2に挿通される直前の切起片P5を受け入れる窓331を備えている。この窓331は、主として第二のブレード72及び第三のブレード73に形成されており、窓331の両側は、折り曲げ線75、77を若干寸法だけ越えて前記第一のブレード71及び第四のブレード74にも及んでいる。この窓331の先端側の縁、すなわち、窓331における前記切起片P5を押圧してカット孔P2に引き込むための縁332が、刃素材の厚み寸法よりも大きな厚み方向の領域335に分布するような形状をなしている。詳述すれば、前記縁332は、第一のブレード71によって形成される第一の縁部81と、第二のブレード72により形成される第二の縁部82と、第三のブレード73により形成される第三の縁部83と、第四のブレード74により形成される第四の縁部84とを備えたもので、中央の折り曲げ線76を中心として第二の縁部82と第三の縁部83、及び、第一の縁部81と第四の縁部84とがそれぞれ線対称形状をなしている。この切込刃33は、前記切起片P5を押圧してカット孔P2に引き込むための縁332を含む面を、引き込み方向と直交する平面に対して傾斜させることにより、前記縁332が同時に切起片P5に当接しないようにしている。換言すれば、前記切起片P5を押圧してカット孔P2に引き込むための縁332が、引き込み時に先に切起片P5に当たる部分85と、遅れて切起片P5に当たる部分86とを備えたものである。この実施形態においては、第一の縁部81と第四の縁部84の外側端部が切起片P5に先に当たる部分85であり、縁332の他の部分が遅れて切起片P5に当たる部分86に相当する。そして、第二の縁部82と第三の縁部83との境界部分87付近が切起片P5に最も遅れて当たる部分である。さらに具体的には、前記縁332は、図7に示すように、背面視及び正面視において中央の折り曲げ線76を中心とした逆V字形の対称形状をなしている。なお、第二の縁部82と第三の縁部83との境界部分87は、引き抜き時の摩擦を小さくするために、テーパを付けたり、切り欠いたりして、切起片P5に当たらないようにしてもよい。また、切込刃及び窓の大きさや形状は、種々変更可能であり、上述したものには限られない。
【0038】
インナーカム34は、図2、図5及び図8ないし図12に示すように、基端に軸341を有するとともに先端に前記切起片P5を前記切込刃33に設けられた窓331に挿入させるための押し出し部343を備えたもので、その軸341が前記抜き刃32及びスライド部材31に支持されている。前記インナーカム34の基端には、該インナーカム34を回動させるためのアーム342が突出させてある。
【0039】
以上のようにしてなる刃ユニット3は、操作レバー5を操作することで、前記ベースフレーム21に収容されたリンク機構6を介して上方に移動されるようにしている。
【0040】
操作レバー5は、図1及び図4に示すように、金属製のレバープレート51と、このレバープレート51の外方に装着される樹脂製のレバーカバー52とからなる。レバープレート51は、板金素材を折曲加工したもので、底壁511と、この底壁511の両側縁から立ち上がる側壁512とを有している。なお、操作レバーは種々変更可能であり、上述したものには限られない。
【0041】
リンク機構6は、図4に示すように、先端が前記ドライブシャフト36を介して前記スライド部材31に接続されるとともに後端が前記ベースフレーム21に上側の支軸64を介して接続される第一のリンクメンバ61と、この第一のリンクメンバ61の下方に位置させて前記ベースフレーム21に保持された下側の支軸53を軸にして前記第一のリンクメンバ61を上方に押し上げるための第二及び第三のリンクメンバ62、63とを具備してなる。第二のリンクメンバ62は、基端が前記ベースフレーム21に下側の支軸53を介して接続されたものであり、前記操作レバー5が上方に回動操作された場合に前記基端を中心に回転動作する。第三のリンクメンバ63は、前記第二のリンクメンバ62の回動端と前記第一のリンクメンバ61の中間とを連結するものである。具体的には、この第三のリンクメンバ63は、一端を第一結合軸66を介して前記第一のリンクメンバ61に枢着するとともに、他端を第二結合軸67を介して前記第二のリンクメンバ62の回動端に枢着したものである。なお、第一のリンクメンバ61と前記ベースフレーム21の後部ハウジングRの天壁R2との間にはコイルスプリングS3が配されており、このコイルスプリングS3により前記第一のリンクメンバ61は下方に付勢されている。
【0042】
パンチ台4は、図1、図8ないし図12に示すように、扁平箱形をなすトップケース42と、このトップケース42の下部に前記抜き刃32及び切込刃33と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を穿孔するためのアンビル41とを備えている。なお、トップケース42は、該トップケース42内に溜まった紙粉を外部に取り除くために開閉可能に取り付けられた透明な窓カバー43によって覆われている。
【0043】
アンビル41は、抜き刃32と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿設するための穿孔部411と、前記切込刃33が通過する孔である穿孔部412とを備えた金属製のもので、前記トップケース42の下面に重ね合わせた状態で、前記ベースフレーム21に図示しないビスを用いて取り付けられている。また、アンビル41には、用紙Pをパンチ台4側から離すための突部413が設けられている。この突部413は、用紙挿入用の隙間35において、綴じ機1の前方から見て奥側に位置する奥側領域より手前側に配されたものである。
【0044】
次に、この綴じ機1の作動を、図8ないし図12を用いて説明する。
【0045】
操作レバー5を操作しない状態では、図8に示すように、スライド部材31が下限位置に保持されており、インナーカム34が抜き刃32内に収容された初期姿勢(S)を保っている。この状態で、重ね合わせた複数枚の用紙Pをベースフレーム21の上向面F14とアンビル41の下向面414との間に形成されている隙間35の奥まで挿入する。
【0046】
しかる後に、操作レバー5を上方に操作すると、この操作レバー5に加えられた力が、リンク6を通じてスライド部材31の上方への動きに変換して伝えられる。
【0047】
詳述すれば、操作者の手を操作レバー5及びパンチ台4の後部に掛けて把持し、握りこむことにより、操作レバー5を上方に操作すると、この操作レバー5のレバープレート51は、下側の支軸53を中心に回転動作するとともに、このレバープレート51に一体に設けられた第二のリンクメンバ62が下側の支軸53を中心に上方に回転動作する。その結果、この第二のリンクメンバ62の回動端側に設けられた第二結合軸67は、第一のリンクメンバ61の方向へ、すなわち前方上方へと移動することとなる。前記第二結合軸67を介して接続された第三のリンクメンバ63は、第二のリンクメンバ62の回転動作に伴って、起立しながら第一のリンクメンバ61を上方へ押し上げる。すなわち、前記第三のリンクメンバ63の回動端側に設けられた第一結合軸66は、前記コイルスプリングS3の付勢力に抗して第一のリンクメンバ61の中央を上方に押す方向へと移動する。それによって、前記第一のリンクメンバ61は、上側の支軸64を中心に回転動作するため、その前端部が上方に移動する。
【0048】
このようにして、前記操作レバー5を上方に操作した力が、前記第二のリンクメンバ62、第三のリンクメンバ63、及び第一のリンクメンバ61を介してドライブシャフト36に伝達される。その結果、前記スライド部材31を上方に移動させることとなる。
【0049】
スライド部材31が上方に移動を始めると、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃32及び切込刃33の先端が用紙Pの一面Paに当接し、この用紙Pがアンビル41に押し付けられる位置まで押し上げられる。そして、この位置から操作レバー5をさらに上方に操作すると、前記抜き刃32及び切込刃33によって用紙Pがアンビル41に押しつけられた状態のまま、図9に示す状態を経て、前記抜き刃32及び前記切込刃33が前記用紙Pを貫通し、その用紙Pに打ち抜き孔P1、逃げ部P6及びカット孔P2が穿孔される。
【0050】
穿孔後さらに、前記抜き刃32及び前記切込刃33が上昇すると、前記抜き刃32の内部に配されるインナーカム34のアーム342が前記係止壁F13に当接し、インナーカム34とスライド部材31との間に配されるコイルスプリングの付勢力に抗して、前記インナーカム34が図10に示すような回動姿勢(K)まで回動する。その結果、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P5の先端P51側が、切込刃33の窓331に挿入される。
【0051】
ついで、操作レバー5への操作を解除すると、前記コイルスプリングの付勢により前記インナーカム34が回動姿勢(K)から初期姿勢(S)に復帰する。そして、前記抜き刃32及び切込刃33がコイルスプリングS1及びコイルスプリングS3の付勢により没入側たる下方に移動し、用紙Pがアンビル41から引き離されながら抜き刃32及び切込刃33が用紙Pから抜き取られる。その際に、図11に示すように、切込刃33の窓331に挿入されている切起片P5がカット孔P2を通過して用紙Pの一面Pa側に抜き出され、図12に示すように、前記切込刃33により複数の用紙Pが結合される。
【0052】
この状態で、用紙Pを綴じ機1から抜き取れば、前述した冊子Bができあがる。
【0053】
なお、本発明の刃である切込刃33、及び、切起片P5とカット孔P2との係わり合わせについて、以下詳述する。
【0054】
操作レバー5への操作が解除され、切込刃33が用紙Pから抜き取られ始めると、切起片P5が切込刃33の窓331における先端側の縁332に押圧されて、カット孔P2側へと移動する。さらに、切込刃33が抜き取り方向に移動すると、切込刃33の縁332によって押圧された切起片P5がカット孔P2内に挿通され、切込刃33が用紙Pから抜き取られた段階で綴じ動作が終了する。
【0055】
詳述すれば、切込刃33が用紙Pから抜き取られ始めると、まず窓331の先端側の縁332のうち引き込み時に先に切起片P5に当たる部分85が、まず切起片P5に当接して、この切起片P5の先端P51側の部分をカット孔P2方向に押圧し始める。そして、前記縁332のうち遅れて切起片P5に当たる部分が、順次切起片P5に当接して、この切起片P5をカット孔P2内に引き込むことになる。その際、縁332が切起片P5に当接する奥行き方向の位置は、最初に当接した位置から漸次切起片P5の基端P52側に移動する。また同時に、縁332が切起片P5に当接する幅方向の位置は、最初に当接した両側近傍位置から漸次切起片P5の幅方向中央側に移動する。そして、遅れて切起片P5に当たる部分86が切起片P5に当接した状態を経て、切込刃33が用紙Pから抜き取られる。
【0056】
以上のような抜き取り動作は、カット孔P2の縁に形成された片持ち片P7、P8が厚み方向に変形することにより、円滑に行われる。抜き取りが完了した後は、片持ち片P7、P8が、用紙Pの弾性力により元の状態に戻ろうとし、切起片P5に接触して、該切起片P5がカット孔P2から外れることを抑制することになる。
<本実施形態の効果>
以上に述べたように、本実施形態にかかる綴じ機1に用いられる切込刃33は、複数枚の用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するとともに、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P5の先端P51部分を前記カット孔P2に挿通させ、その切起片P5とカット孔P2との係わり合いによってそれら複数枚の用紙Pを相互に綴じることができるようにした綴じ機1に用いられるものであって、図13に模式的に示すように、前記カット孔P2に挿通される直前の切起片P5を受け入れる窓331を有し、その窓331の前記切起片P5を押圧してカット孔P2に引き込むための縁332が、刃素材の厚み寸法よりも大きな厚み方向の領域335に分布するような形状をなしているので、綴じ機1に用いた際に、従来不具合の生じていた引き抜きの際の抵抗力を、軽く設計することが容易である。すなわち、本発明によれば、縁332の各部が切起片P5に当接するタイミングや位置を、例えば、図13に模式的に示すものの他に、図14及び図15に示すもののように、抜き取り動作に伴わせて変化させることができるため、設計の自由度が高まる。その結果として、本実施形態の切込刃33は、クリンチポイントを通過する際の抵抗力を無理なく低減させることができる。換言すれば、例えば、図13ないし図15に示す切込刃33の形態に代表されるように、用紙Pの枚数や、切起片P5の形状等に対応させて、最適な切込刃33の形態を用いることができ、これによって、切起片P5をカット孔P2に引き込む際の抵抗力を最適な状態にすることができる。すなわち、無理なく切起片P5をカット孔P2に挿通させることができ、切込刃33に無駄な抵抗力がかかるのを抑制することができるので、操作レバー5の初期位置までの戻り動作をスムーズなものとすることができ、操作レバー5から使用者に与える違和感を小さくすることができる。
【0057】
また、本実施形態の切込刃33は、一枚の刃素材を折り曲げ成形したものであるので、比較的簡単に成形することができるだけでなく、強度も保つことができる。このような切込刃33は、図7に示すような連続する先端領域78のみに刃を形成することになるため、刃の研磨作業等の刃付け加工が容易になる。詳述すれば、従来のH字形の切込刃のようにメインブレードに形成された第一の先端領域とこの第一の先端領域と不連続に設けられ窓の縁から切り起こされたサブブレードに形成された第二の先端領域との両方に刃を備えたものであるため、刃付け加工を複数回に亘って行う必要があり、研磨作業が複雑であった。しかしながら、本実施形態のようなものであれば、刃付け加工を比較的容易に行うことができるため、刃の切れ味を安定させることができるという効果が得られる。また、本実施形態のように、折り曲げ線76で谷折りするとともに折り曲げ線75、77で山折りするという簡単な製作方法により、厚み方向に奥行きを有する窓331を形成することが可能になる。
【0058】
また、この切込刃33は、前記切起片P5を押圧してカット孔P2に引き込むための縁332が、引き込み時に先に切起片P5に当たる部分85と、遅れて切起片P5に当たる部分86とを備えたものである。具体的には、図13に模式的に示すように、前記窓331の先端側の縁332の中央が先端側に傾斜する形状をなしているので、引き抜き時の抵抗を軽減する働きをしている。なお、本発明は、図16に模式的に示す切込刃33をも含むものであるが、上述した理由により、より好ましい態様として、図13ないし図15に模式的に示す切込刃33が挙げられる。
【0059】
図13ないし図15に示すように縁332に傾斜を設ける場合には、縁332の傾斜度合いを大きくするほど、切起片P5をカット孔P2に挿通させる際の切起片P5と窓331の縁332との摩擦を小さくすることができる。また、図14や図15に示すように、折り曲げ部に対応する部分、すなわち折り曲げ線と縁332との交点にテーパや切欠きを設けておくことが好ましい。このようにすれば、板金素材を折曲加工して切込刃33を作る際に、クリンチポイントにおいて切起片P5との接触面積が最も大きくなる部分に素材が集中することを防ぐことができ、切起片P5をカット孔P2に貫通させる際の切起片P5と窓331の縁332との抵抗を低減できる。また、本実施形態のように縁332が左右対称形状のものであれば、切起片P5と窓331の先端側の縁332とが左右対称に点接触状態、あるいはそれに近い状態となり、切込刃33を用紙Pから抜き取る際に、窓331の縁332によって切起片P5の両側部が左右均等に部分的に押圧されることとなる。
【0060】
さらに、切込刃33が、カット孔P2の縁に、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7、P8が形成されるような形状をなしており、前記切込刃33が用紙P側へと沈み込むにつれて、W字形状をなす切込刃33によって形成されたカット孔P2近傍にできる片持ち片P7、P8は、両観音開きのように反り返る形状をなしている。そのため、片持ち片P7、P8の自由端側が同じ方向に変位することによって、前記切起片P5が前記カット孔P2に円滑に貫通させられる。換言すれば、片持ち片P7、P8の自由端側が下方に押し下げられてカット孔P2と切起片P5との摩擦を可及的に小さくすることができる。したがって、より軽い操作力で操作レバー5を引き上げることができる。すなわち、操作レバー5へ反発力を与えるコイルスプリングをそれほど強力なものとする必要がなくなる。さらに、切込刃33が完全に引き抜かれた後は、片持ち片P7、P8が用紙Pの弾性力によって元の位置へ復帰しようとするため、切起片P5をしっかりと保持することができる。詳述すれば、片持ち片P7は切起片P5を下方に押圧し、片持ち片P8は切起片P5を上方に押圧するため、このような片持ち片P7、P8が縁に形成されるカット孔P2と、切起片P5との係合状態が保持されることとなる。
【0061】
特に、本実施形態では、前記係合部分K1、K2間の直線距離L2が、前記第一、第三の屈曲点P25、P27間の直線距離L1よりも大きく設定してあるので、切起片P5がカット孔P2を通過する際に、前記屈曲点P25、P27が切起片P5によって積極的に押圧されるため、片持ち片P7、P8がフラップ状に開きやすくなる。なお、この直線距離L1と直線距離L2とは、上述した関係に限られず種々変更可能である。具体的には、片持ち片P8を開くためには直線距離L1と直線距離L2がほぼ同じ寸法であってもよく、例えば、直線距離L1が直線距離L2よりも若干大きく設定してあるものであっても構わない。しかしながら、直線距離L1と直線距離L2とを同じ距離に設定したり、直線距離L2が直線距離L1よりも若干大きく設定してあるものであれば、片持ち片P8をより良好に開くことができる。
【0062】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0063】
切込刃の形状、及びこの切込刃によって形成されるカット孔の形状は、上述した実施形態のものに限られない。また、抜き刃の形状、この抜き刃によって形成される打ち抜き孔の形状、及び切起片の形状も、上述した実施形態のものに限られない。これらの他の態様としては、例えば、図17ないし図32に示すものが考えられる。ここで、図17ないし図32は、切起片がカット孔に係わり合った状態を模式的に示した図であり、切込刃及び抜き刃については、各カット孔の形状及び抜き刃の形状に対応する形状の刃先を有するものであるため図示を省略する。さらに、以下の実施形態に示すカット孔の形状及び打ち抜き孔の形状(並びに、それに対応する切込刃、抜き刃、及び切起片の形状)は、カット孔と打ち抜き孔とを他の実施形態のものと組み合わせて使用してもよいのはもちろんである。なお、以下の実施形態において、第一実施形態のものと、同一またはそれに相当する部分には、同様の符号を付して説明を省略する。
【0064】
<変形例(図17)>
打ち抜き孔P1は、一端が半円形状をなすもので、この打ち抜き孔P1から舌片状をなす切起片P5が切り起こされるようになっている。
【0065】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視V字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一の屈曲点P25を介して連続する第一、第二のスリットP21、P22を備えている。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7が形成されている。この片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような三角形状をなしている。
【0066】
<変形例(図18)>
打ち抜き孔P1は、一端が半円形状をなすもので、この打ち抜き孔P1から舌片状をなす切起片P5が切り起こされるようになっている。
【0067】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略W字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一、第二、第三の屈曲点P25、P26、P27を介して連続する第一、第二、第三、第四のスリットP21、P22、P23、P24を備えている。前記第一のスリットP21及び第四のスリットP24は、それぞれ屈曲しており、詳述すれば、切起片P5の縁部との係わり合う部分よりも外側で屈曲部分を有している。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7、P8が形成されている。中間部に形成される片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第二のスリットP22と第三のスリットP23とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような三角形状をなしている。この片持ち片P7の左右両側に形成される対をなす片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1と同じ側の縁に形成されるものであって、一方の片持ち片P8は、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状をなし、他方の片持ち片P8は、その外端が第三のスリットP23と第四のスリットP24とに沿って伸びる形状をなしている。換言すれば、これらの片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅広となるような多角形状をなしている。なお、第一のスリットP21及び第四のスリットP24は、湾曲するものであってもよく、第二のスリットP22及び第三のスリットP23の形状も図示したものに限られない。
【0068】
<変形例(図19)>
打ち抜き孔P1は、一端が半円形状をなすもので、この打ち抜き孔P1から舌片状をなす切起片P5が切り起こされるようになっている。
【0069】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略W字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一の屈曲点P25、第二の変曲点P26、第三の屈曲点P27を介して連続する第一、第二、第三、第四のスリットP21、P22、P23、P24を備えている。前記第二のスリットP22及び第三のスリットP23は、それぞれ屈曲しており、この屈曲部分から前記第二の変曲点P26に向かって湾曲している。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7、P8が形成されている。中間部に形成される片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第二のスリットP22と第三のスリットP23とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような形状をなしている。この片持ち片P7の左右両側に形成される対をなす片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1と同じ側の縁に形成されるものであって、一方の片持ち片P8は、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状をなし、他方の片持ち片P8は、その外端が第三のスリットP23と第四のスリットP24とに沿って伸びる形状をなしている。換言すれば、これらの片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅広となるような形状をなしている。なお、第一のスリットP21及び第四のスリットP24は、図示したものに限られない。
【0070】
<変形例(図20)>
打ち抜き孔P1は、一端が半円形状をなすもので、この打ち抜き孔P1から舌片状をなす切起片P5が切り起こされるようになっている。
【0071】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略V字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一の屈曲点P25を介して連続する第一、第二のスリットP21、P22を備えている。前記第一のスリットP21及び第二のスリットP22は、それぞれ屈曲しており、詳述すれば、切起片P5の縁部との係わり合う部分よりも内側で屈曲部分を有している。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7が形成されている。この片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような形状をなしている。なお、第一のスリットP21及び第二のスリットP22は、湾曲するものであってもよく、図示したものに限られない。
【0072】
<変形例(図21)>
打ち抜き孔P1は、一端が半円形状をなすもので、この打ち抜き孔P1から舌片状をなす切起片P5が切り起こされるようになっている。
【0073】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略V字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一の変曲点P25を介して連続する第一、第二のスリットP21、P22を備えている。前記第一のスリットP21及び第二のスリットP22は、それぞれ屈曲しており、この屈曲部分から前記第一の変曲点P25に向かって湾曲している。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7が形成されている。この片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような形状をなしている。なお、第一のスリットP21及び第二のスリットP22は、図示したものに限られない。
【0074】
<変形例(図22)>
打ち抜き孔P1は、一端が半円形状をなすもので、この打ち抜き孔P1から舌片状をなす切起片が切り起こされるようになっている。
【0075】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、一直線状をなしている。すなわち、このカット孔P2は、切起片P5の基端に対して傾斜した単一のスリットP21を備えている。
【0076】
<変形例(図23)>
打ち抜き孔P1は、一端が半円形状をなすもので、この打ち抜き孔P1から舌片状をなす切起片P5が切り起こされるようになっている。
【0077】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略N字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一、第二の屈曲点P25、P26を介して連続する第一、第二、第三のスリットP21、P22、P23を備えている。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7、P8が形成されている。一方に形成される片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第二のスリットP22と第三のスリットP23とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような三角形状をなしている。この片持ち片P7に隣接して形成される片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1と同じ側の縁に形成されるものであって、この片持ち片P8は、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状をなしている。換言すれば、これらの片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅広となるような三角形状をなしている。
【0078】
<変形例(図24)>
打ち抜き孔P1は、一端が半円形状をなすもので、この打ち抜き孔P1から舌片状をなす切起片P5が切り起こされるようになっている。
【0079】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略U字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一の変曲点P25を介して連続する第一、第二のスリットP21、P22を備えている。前記第一のスリットP21及び第二のスリットP22は、それぞれ湾曲している。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7が形成されている。この片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような略半円形状をなしている。
【0080】
<変形例(図25)>
打ち抜き孔P1は、一端が半円形状をなすもので、この打ち抜き孔P1から舌片状をなす切起片P5が切り起こされるようになっている。
【0081】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略W字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一、第二、第三の変曲点P25、P26、P27を介して連続する第一、第二、第三、第四のスリットP21、P22、P23、P24を備えている。前記第一、第二、第三、第四のスリットP21、P22、P23、P24は、それぞれ湾曲している。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7、P8が形成されている。中間部に形成される片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第二のスリットP22と第三のスリットP23とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような略半円形状をなしている。この片持ち片P7の左右両側に形成される対をなす片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1と同じ側の縁に形成されるものであって、一方の片持ち片P8は、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状をなし、他方の片持ち片P8は、その外端が第三のスリットP23と第四のスリットP24とに沿って伸びる形状をなしている。換言すれば、これらの片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅広となるような略半円形状をなしている。
【0082】
<変形例(図26)>
打ち抜き孔P1は、一端が半円形状をなすもので、この打ち抜き孔P1から舌片状をなす切起片P5が切り起こされるようになっている。
【0083】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略N字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一、第二の変曲点P25、P26を介して連続する第一、第二、第三のスリットP21、P22、P23を備えている。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7、P8が形成されている。一方に形成される片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第二のスリットP22と第三のスリットP23とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような略半円形状をなしている。この片持ち片P7に隣接して形成される片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1と同じ側の縁に形成されるものであって、この片持ち片P8は、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状をなしている。換言すれば、これらの片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅広となるような略半円形状をなしている。
【0084】
<変形例(図27)>
打ち抜き孔P1は、平面視矢印状のもので、この打ち抜き孔P1から境界部P53を介して先端P51側に幅広部P56を有した切起片P5が切り起こされるようになっている。切起片P5は、境界部P53を挟んで基端P52側に基端領域P54を備えるとともに、先端P51側に先端領域P55を備えており、幅広部P56の幅寸法は、基端P52及び境界部P53の幅寸法よりも大きく設定してある。
【0085】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視V字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一の屈曲点P25を介して連続する第一、第二のスリットP21、P22を備えている。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7が形成されている。この片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような三角形状をなしている。
【0086】
<変形例(図28)>
打ち抜き孔P1は、平面視矢印状のもので、この打ち抜き孔P1から境界部P53を介して先端P51側に幅広部P56を有した切起片P5が切り起こされるようになっている。切起片P5は、境界部P53を挟んで基端P52側に基端領域P54を備えるとともに、先端P51側に先端領域P55を備えており、幅広部P56の幅寸法は、基端P52及び境界部P53の幅寸法よりも大きく設定してある。
【0087】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略V字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一の変曲点P25を介して連続する第一、第二のスリットP21、P22を備えている。前記第一のスリットP21及び第二のスリットP22は、それぞれ屈曲しており、この屈曲部分から前記第一の変曲点P25に向かって湾曲している。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7が形成されている。この片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような多角形状をなしている。なお、第一のスリットP21及び第二のスリットP22は、図示したものに限られない。
【0088】
<変形例(図29)>
打ち抜き孔P1は、平面視矢印状のもので、この打ち抜き孔P1から境界部P53を介して先端P51側に幅広部P56を有した切起片P5が切り起こされるようになっている。切起片P5は、境界部P53を挟んで基端P52側に基端領域P54を備えるとともに、先端P51側に先端領域P55を備えており、幅広部P56の幅寸法は、基端P52及び境界部P53の幅寸法よりも大きく設定してある。
【0089】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略U字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一の変曲点P25を介して連続する第一、第二のスリットP21、P22を備えている。前記第一のスリットP21及び第二のスリットP22は、それぞれ湾曲している。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7が形成されている。この片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような半円形状をなしている。
【0090】
<変形例(図30)>
打ち抜き孔P1は、平面視矢印状のもので、この打ち抜き孔P1から境界部P53を介して先端P51側に幅広部P56を有した切起片P5が切り起こされるようになっている。切起片P5は、境界部P53を挟んで基端P52側に基端領域P54を備えるとともに、先端P51側に先端領域P55を備えており、幅広部P56の幅寸法は、基端P52及び境界部P53の幅寸法よりも大きく設定してある。
【0091】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略コ字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一、第二の屈曲点P25、P26を介して連続する第一、第二、第三のスリットP21、P22、P23を備えている。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7が形成されている。この片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第一、第二、第三のスリットP21、P22、P23に沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような等脚台形状をなしている。
【0092】
<変形例(図31)>
打ち抜き孔P1は、平面視矢印状のもので、この打ち抜き孔P1から境界部P53を介して先端P51側に幅広部P56を有した切起片P5が切り起こされるようになっている。切起片P5は、境界部P53を挟んで基端P52側に基端領域P54を備えるとともに、先端P51側に先端領域P55を備えており、幅広部P56の幅寸法は、基端P52及び境界部P53の幅寸法よりも大きく設定してある。
【0093】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略W字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一、第二、第三の屈曲点P25、P26、P27を介して連続する第一、第二、第三、第四のスリットP21、P22、P23、P24を備えている。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7、P8が形成されている。中間部に形成される片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、その外端が第二のスリットP22と第三のスリットP23とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような三角形状をなしている。この片持ち片P7の左右両側に形成される対をなす片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1と同じ側の縁に形成されるものであって、一方の片持ち片P8は、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状をなし、他方の片持ち片P8は、その外端が第三のスリットP23と第四のスリットP24とに沿って伸びる形状をなしている。換言すれば、これらの片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅広となるような三角形状をなしている。
【0094】
<変形例(図32)>
打ち抜き孔P1は、平面視矢印状のもので、この打ち抜き孔P1から境界部P53を介して先端P51側に幅広部P56を有した切起片P5が切り起こされるようになっている。切起片P5は、境界部P53を挟んで基端P52側に基端領域P54を備えるとともに、先端P51側に先端領域P55を備えており、幅広部P56の幅寸法は、基端P52及び境界部P53の幅寸法よりも大きく設定してある。
【0095】
カット孔P2は、切起片P5を係わり合わせるためのものであり、平面視略W字形をなしている。すなわち、このカット孔P2は、第一、第二、第三の屈曲点P25、P26、P27を介して連続する第一、第二、第三、第四のスリットP21、P22、P23、P24を備えている。このカット孔P2の縁には、前記用紙Pの厚み方向に変位可能な片持ち片P7、P8が形成されている。中間部に形成される片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1と同じ側の縁に形成されるものであって、その外端が第二のスリットP22と第三のスリットP23とに沿って伸びる形状、換言すれば、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅広となるような三角形状をなしている。この片持ち片P8の左右両側に形成される対をなす片持ち片P7は、前記打ち抜き孔P1と反対側の縁に形成されるものであって、一方の片持ち片P7は、その外端が第一のスリットP21と第二のスリットP22とに沿って伸びる形状をなし、他方の片持ち片P7は、その外端が第三のスリットP23と第四のスリットP24とに沿って伸びる形状をなしている。換言すれば、これらの片持ち片P8は、前記打ち抜き孔P1方向に漸次幅狭となるような三角形状をなしている。
【0096】
以上説明した図27ないし図32に示すような切起片P5とカット孔P2の組み合わせを採用すれば、接合状態を従来のものよりも良くすることができる。すなわち、打ち抜き孔P1方向にテーパを備えているので、切起片P5に基端P52側への力がかかった際に、前記切起片P5の境界部P53または境界部P53から幅広部P56に至る縁部が前記テーパに引っ掛かることとなる。そのため、冊子Bになんらかの力が加わってスリットが上下方向に大きく開口してしまった場合であっても、切起片P5とカット孔P2との係わり合いは解除されることなく、その係合状態が保たれるものである。また、図27ないし図32に示した切起片P5の形状のうち幅広部P56よりも先端側の形状は、図示したものに限られず、種々変更可能である。
【0097】
なお、図27ないし図32に示すような矢印形状の切起片P5において、切起片P5の幅広部P56の幅寸法は、窓331の幅寸法である短手側の寸法よりも小さく設定しておくことが好ましい。そうすれば、インナーカム34の押し出し部343によって幅広部P56を含む先端領域P55が押圧されて切起片P5が窓331を通過する際に、幅広部P56の両端が窓331に接触することなく、切起片P5がスムーズに窓331内に挿入されることとなる。
【0098】
<その他の変形例>
綴じ機は、複数の切込刃を備えたものや、複数の抜き刃を備えたものであってもよい。例えば、複数の切起片を形成するための単一の抜き刃と、前記複数の切起片に対応した数の切込刃を備えたものや、複数の切起片を形成するための複数の抜き刃と、前記複数の切起片を係止可能なカット孔を形成するための単一の切込刃を備えたものや、複数の切起片を形成するための複数の抜き刃と、前記前記複数の切起片に対応した数の切込刃を備えたものであってもよい。
【0099】
また、これら切込刃及び抜き刃の突没方向は、上述した実施形態に示すように、切込刃及び抜き刃の突出側を上方とし没入側を下方とするものに限られず、例えば、上下を逆向きにして、切込刃及び抜き刃の突出側を下方とし、没入側を上方として使用することも可能である。さらに、抜き刃及び切込刃の移動方向は、一時的に下方に移動することによって打ち抜き孔及びカット孔を形成するものや、左右方向、または斜め方向に移動することによって打ち抜き孔及びカット孔を形成するものであってもよい。例えば、上述した実施形態のものと上下を逆にした仕様のものも考えられる。この仕様の綴じ機は、前述した実施形態における「上方」、「下方」、「上昇」、「降下」、「上面」、「下面」、「上側」または「下側」を、それぞれ「下方」、「上方」、「降下」、「上昇」、「下面」、「上面」、「上側」または「下側」と読み替えた構造をなしている。
【0100】
用紙は、シート状であれば、紙製またはプラスチック製等種々変更可能である。また、同質の材料により作られた複数枚のシート体を綴じるようにすれば、分別廃棄の際の手間をより少なくすることができる。
【0101】
切起片と窓の縁との接触タイミングや接触位置は種々変更可能である。すなわち、縁の全部が切起片に同時に当たるものでもよいし、縁の一部が切起片に時間差で当たるものであってもよい。時間差で当たるものであっても、切起片の先端から基端に向かって順次当接するもの、切起片の基端から先端に向かって順次当接するもの、切起片の中央から端に向かって順次当接するもの、切起片の端から中央に向かって順次当接するもの、切起片の一方の端から他方の端に向かって順次当接するもの等種々考えられる。
【0102】
また、このような切起片と窓の縁との接触タイミングや接触位置を刃素材自体に厚み方向の傾斜を設けて実現してもよい。
【0103】
刃ユニットは、切込刃、抜き刃、及びインナーカムの3ピース構造のみならず、切込刃及び抜き刃の2ピース構造であってもよい。この際、抜き刃は、穿孔姿勢から回動姿勢までの間で回動可能に設けられ穿孔姿勢において打ち抜き孔を形成し得るものとするのが好ましい。
【0104】
スライド部材は、上述したものには限られず種々変更可能であり、スライド以外の方法で移動するものであってもよい。また、リンク機構についても、上述したものには限られず種々変更可能であり、また、リンク以外の方法でベース部と刃ユニットとを接続するものであってもよい。
【0105】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0106】
P…用紙
P1…打ち抜き孔
P2…カット孔
P5…切起片
P51…先端
P7…片持ち片
1…綴じ機
331…窓
332…縁
335…領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成するとともに、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させ、その切起片とカット孔との係わり合いによってそれら複数枚の用紙を相互に綴じることができるようにした綴じ機に用いられる前記カット孔を形成し得る刃であって、
前記カット孔に挿通される直前の切起片を受け入れる窓を有し、その窓の前記切起片を押圧してカット孔に引き込むための縁が、刃素材の厚み寸法よりも大きな厚み方向の領域に分布するような形状をなしていることを特徴とする刃。
【請求項2】
一枚の刃素材を折り曲げ成形したものである請求項1記載の刃。
【請求項3】
前記切起片を押圧してカット孔に引き込むための縁が、引き込み時に先に切起片に当たる部分と、遅れて切起片に当たる部分とを備えたものである請求項1または2記載の刃。
【請求項4】
前記カット孔の縁に、前記用紙の厚み方向に変位可能な片持ち片が形成されるような形状をなしている請求項1、2または3記載の刃。
【請求項5】
前記片持ち片が、前記打ち抜き孔と反対側の縁に形成されるものであって、前記打ち抜き孔方向に漸次幅狭となるような形状をなしている請求項4記載の刃。
【請求項6】
前記請求項1ないし5いずれか記載の刃を備えた綴じ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−245620(P2012−245620A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116519(P2011−116519)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】