説明

分岐ハーネス装置、開閉体制御システム及びスイッチ装置

【課題】異なる電圧を供給する複数の開閉体装置に接続された一のスイッチ手段を用いて複数の開閉体装置を同時かつ一斉に制御できるようにする。
【解決手段】 【0008】
スイッチ手段に供給電圧のそれぞれ異なる複数台の開閉体装置を接続する場合に、供給電圧の相違によって生じる逆流現象を防止するためのダイオードをそれぞれの電力線の共通部分以外に設ける。これによって、供給電圧が異なる場合でも各電力線に設けられたダイオードによって逆流現象を防止することができるので、それぞれ供給電圧の異なる複数の開閉体装置を1台のスイッチ手段で制御することが可能となる。これらのダイオードを共通部分以外に設ける実施の態様としては、スイッチ手段内の電力線、開閉体装置内の電力線、スイッチ手段と開閉体装置との間の電力線に設けることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機器によって開閉制御されるシャッター装置、ドア装置及びオーニング装置等の電動開閉体装置に係り、特に制御電圧の異なる電動機器を備えた電動開閉体装置の複数を一斉に操作することのできる電動開閉体制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
開閉体装置は、建物や部屋の出入口となる開口部に設けられるオーバーヘッドタイプを含むシャッター装置やドア装置などの他に店舗や住宅などの外壁に日除けなどのために設けられるオーニング装置と呼ばれるものなどがある。これらの開閉体装置は、その開閉動作を手動で行なうものもあれば、電動で行なう電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などがある。通常、電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などは、電動モータなどの駆動装置を例えば1個だけ備えており、この駆動装置を制御装置でオン/オフ制御することによってシャッターカーテン、ドア本体、キャンバスなどの開閉体の開閉動作を制御している。駆動装置としては、通常回転モータが用いられ、この回転モータの正逆回転方向と開閉体の開閉方向とを連携させることによって、開閉体の開閉動作を行なうようにしている。
【0003】
図1は、電動モータなどの駆動装置である開閉機の制御装置である開閉機コントローラを備えた従来の開閉体装置の制御システムの一例を示す図である。図1(A)は、2連構成の開閉体装置11,12を1個の壁スイッチ20を用いて一斉に制御するシステムを示す図であり、図1(B)は、壁スイッチ20の概略構成を示す図である。図1(B)に示すように、壁スイッチ20は、開、停止、閉、共通の端子からなる2個のコネクタ部21,22を有し、それぞれの端子は操作子手段である開ボタン25、停止ボタン26、閉ボタン27に共通端子を介して接続されている。従って、壁スイッチ20の開ボタン25、停止ボタン26、閉ボタン27のいずれか一つが操作されると、それに応じて開閉体装置11,12は一斉に同じ動作にて制御されるようになっている。このような壁スイッチによって制御される開閉体装置については、特許文献1に記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−213157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1に示すように従来の壁スイッチ20は、開閉体装置11,12を構成する電動駆動装置である開閉機の制御装置である開閉機コントローラ111,121から所定電圧が供給されているので、開ボタン25、停止ボタン26又は閉ボタン27の操作に応じて電流の供給状態を順次切り換えるように構成されている。従って、例えば開閉体装置11から壁スイッチ20へ供給される所定電圧がDC24[V]であり、開閉体装置12から壁スイッチ20へ供給される所定電圧がDC12[V]である場合には、それぞれの供給電圧が異なるので、図1に示す従来の壁スイッチ20を開閉体装置11,12に同時に接続し、両方を一斉に操作することはできなかった。仮に、所定電圧がDC24[V]とDC12[V]のようにそれぞれ異なる開閉体装置11,12を図1に示すような壁スイッチに接続すると、開閉機コントローラ111,121が動作しないばかりか、最悪の場合には故障するなどの不具合を生じさせる場合があり、好ましくなかった。
【0006】
本発明の目的は、異なる電圧を供給する複数の開閉体装置に接続された一のスイッチ手段を用いて複数の開閉体装置を同時かつ一斉に制御することのできる開閉体制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る分岐ハーネス装置の特徴は、開閉体装置の動作の種類に対応した電力を伝送する1以上の電力線群と、操作子手段の操作状態に応じた前記動作の種類に対応した電力のいずれか1を前記開閉体装置側に戻す共通線との両端側に設けられ、前記操作子手段を含んで構成されるスイッチ側に接続される第1のコネクタ手段と、前記開閉体装置側に接続される第2のコネクタ手段と、前記電力線群と前記共通線との間の分岐点から分岐して別の開閉体装置側に接続される1以上の第3のコネクタ手段とを備え、前記第2及び第3のコネクタ手段に接続される開閉体装置の電力の相違によって生じる逆流現象を防止するためのダイオード手段を前記第2及び第3のコネクタ手段と前記分岐点との間にそれぞれ有することにある。
開閉体装置は、一般的に回転モータおよびその制御部を備えた開閉機を電動手段として用い、この回転モータの駆動力を利用してシャッター装置、ドア装置、オーニング装置などにおけるシャッターカーテン、ドア、キャンバスなどの開閉体の開閉動作を行なっている。この開閉機には、その制御部に例えば開/閉/停等の動作に対応した各出力線と共通線が設けられている。この各出力線と共通線へは直流電圧が供給され、この各出力線と共通線に接続された開/閉/停の3種類のスイッチを装備したスイッチ手段を用いて、回転モータの回転方向を制御して開/閉/停の動作を制御している。スイッチ手段には、通常2台の開閉体装置が接続可能となっているが、これは開閉体装置の開閉機のスイッチ手段への供給電圧が同じ場合であり、この供給電圧が異なる開閉体装置同士は同じスイッチ手段には接続できなかった。この発明に係る分岐ハーネス装置には、供給電圧の相違によって生じる逆流現象を防止するためのダイオードが設けられているので、供給電圧が異なる開閉体装置をこの分岐ハーネス装置を介してスイッチ手段に接続することによって、1つのスイッチ手段でそれぞれ異なる供給電圧の開閉体装置を制御することが可能となる。なお、従来のスイッチには、2台分の接続端子が存在するので、この分岐ハーネス装置を例えば2つ利用することによって、例えばこの分岐ハーネス装置が第1、第2、第3のコネクタを一つずつ有する二叉の分岐ハーネス装置の場合、最大4台の開閉体装置の開閉停動作を一斉に制御することができる。
【0008】
本発明に係る開閉体制御システムの第1の特徴は、開閉体装置の動作の種類に対応した電力を開閉体装置から外部のスイッチ手段に出力し、前記動作の種類に対応した電力の中から操作子手段の操作状態に応じた電力を前記開閉体装置内の電動手段に供給することによって開閉体手段の動作を制御するように構成された開閉体制御システムであって、前記開閉体装置の複数に対して前記スイッチ手段を一つ設け、前記スイッチ手段の前記操作子手段に対して前記開閉体装置の動作の種類に対応した電力を共通に供給するように構成された電力線の共通部分以外に、前記電力の電圧差によって生じる逆流現象を防止するためのダイオード手段をそれぞれ備えたことにある。
この発明は、スイッチ手段に供給電圧のそれぞれ異なる複数台の開閉体装置を接続する場合に、供給電圧の相違によって生じる逆流現象を防止するためのダイオードをそれぞれの電力線の共通部分以外に設けるようにしたものである。これによって、供給電圧が異なる場合でも各電力線に設けられたダイオードによって逆流現象を防止することができるので、それぞれ供給電圧の異なる複数の開閉体装置を1台のスイッチ手段で制御することが可能となる。これらのダイオードを共通部分以外に設ける実施の態様としては、前述の分岐ハーネス装置を用いたり、スイッチ手段内の電力線、開閉体装置内の電力線、スイッチ手段と開閉体装置との間の電力線に設ける場合が考えられる。
【0009】
本発明に係る開閉体制御システムの第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体制御システムにおいて、前記開閉体装置と前記スイッチ手段との間に前記分岐ハーネス手段を設けたことにある。この発明は、前述の分岐ハーネス装置を開閉体装置とスイッチ手段との間に設けることによって供給電圧のそれぞれ異なる複数台の開閉体装置をスイッチ手段に接続して一斉制御するようにしたものである。
【0010】
本発明に係る開閉体制御システムの第3の特徴は、前記開閉体装置の複数に対して個別操作用に設けられたスイッチ手段の2つ以上に対して、前記分岐ハーネス手段の前記第2及び第3のコネクタ手段をそれぞれ接続し、前記開閉体装置の複数の一斉操作用に設けられたスイッチ手段に対して、前記分岐ハーネス手段の前記第1のコネクタ手段を接続したことにある。この発明は、図6に示すように、2台分の接続端子を備えた従来のスイッチ手段の一方の接続端子に開閉体装置を接続し、他方の接続端子に前述の分岐ハーネス装置を介して一斉操作用のスイッチ手段を接続して、開閉体装置の個別操作と、一斉操作をそれぞれ別々のスイッチ手段で行えるようにしたものである。
【0011】
本発明に係る開閉体制御システムの第4の特徴は、前記開閉体装置の複数に対して個別操作用に設けられたスイッチ手段の2つ以上に対して、前記請求項1に記載の分岐ハーネス手段の前記第2及び第3のコネクタ手段をそれぞれ接続することによって第1の分岐ハーネス手段群を構成し、この第1の分岐ハーネス手段群を構成する2つの分岐ハーネス手段の第1のコネクタ手段に対して、さらに前記請求項1に記載の分岐ハーネス手段の前記第2及び第3のコネクタ手段をそれぞれ接続することによって第2の分岐ハーネス手段群を構成し、前記第2の分岐ハーネス手段群を構成する2つの分岐ハーネス手段の第1のコネクタ手段を前記開閉体装置の複数の一斉操作用に設けられたスイッチ手段に対して接続したことにある。この発明は、図7に示すように、前述の分岐ハーネス手段を多段接続することによって、複数の開閉体装置の個別操作と、一斉操作をそれぞれ別々のスイッチ手段で行えるようにしたものである。
【0012】
本発明に係るスイッチ手段の特徴は、複数の開閉体装置から前記開閉体装置の動作の種類に対応した電力の供給を共通に受ける操作子手段の操作状態に応じて前記動作の種類に対応した電力のいずれか1を共通線を介して前記複数の開閉体装置側に戻すように構成されたスイッチ装置であって、前記複数の開閉体装置から前記操作子手段に対して前記動作の種類に対応した電力を共通に供給する電力線の共通部分以外の電力線に前記複数の開閉体装置の電力の相違によって生じる逆流現象を防止するためのダイオード手段をそれぞれ備えたことにある。この発明は、開閉体装置からの供給電圧が異なるの逆流現象を防止するダイオードをスイッチ手段内の電力線に設けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の開閉体装置によれば、異なる電圧を供給する複数の開閉体装置に接続された一のスイッチ手段を用いて複数の開閉体装置を同時かつ一斉に制御することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉体制御システムの好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉体装置として上下に開閉制御されるシャッター装置を例に説明する。
【0015】
図2は、本発明の開閉体制御システムを構成する壁スイッチの概略構成を示す図である。図2の壁スイッチ30は、図1の壁スイッチ20に代わるものである。通常、壁スイッチは、操作子手段である開/停止/閉の3種類の押ボタン式のいわゆる単スイッチ35〜37を装備し、開/停止/閉の各動作に対応した電力を伝送する各出力線(電力線)及び開/停止/閉の各動作に対応した電力のいずれかを開閉体装置側へ戻す共通線(接地線)の4本出力線(2系統の8本出力線)の接続されるコネクタ31,32で構成されている。図2の壁スイッチ30は、コネクタ31,32の開/停止/閉の各出力線の端子と、開ボタン35、停止ボタン36、閉ボタン37との間に逆流防止ダイオード41〜46が設けられている。すなわち、図2の壁スイッチ30は、開閉体装置11,12から供給される電圧がDC12[V]とDC24[V]のようにそれぞれ異なる場合でも、この逆流防止ダイオード41〜46の働きによって、各開閉機コントローラの電圧が回り込まないようになり、開閉機コントローラの動作を保障し、不具合の発生を防止することが可能となり、電圧の異なる開閉体装置11,12を1個の壁スイッチ30で一斉に制御することができる。換言すれば、一斉に制御する電圧の異なる開閉体装置の壁スイッチを、一個の壁スイッチ30で共用することができる。なお、開閉機コントローラ111,121の供給電圧が同じであっても同様に一斉に制御が可能である。
【0016】
図3は、本発明の開閉体制御システムを構成するための逆流防止ダイオード付きの分岐ハーネスの一例を示す図であり、図3(A)は、分岐ハーネス50の外観構成を示す図であり、図3(B)は、分岐ハーネス50の配線図である。分岐ハーネス50は、第1コネクタ51、第2コネクタ52、第3コネクタ53、逆流防止ダイオード54〜59、及びこれらをそれぞれ接続するケーブル群から構成される。逆流防止ダイオード54〜59は、第2コネクタ52及び第3コネクタ53の開/停止/閉の各出力ケーブルに接続されている。逆流防止ダイオード54〜59の両端に接続される各ケーブルは半田付けされ、それぞれの接続個所と逆流防止ダイオード54〜59を覆うように熱収縮チューブ5a〜5fが被せられて保護されている。逆流防止ダイオード54〜59と第1コネクタ51との間をそれぞれ接続するケーブルの分岐部5g〜5jは、ケーブル同士がそれぞれ半田付けされ、その半田付け個所を覆うように熱収縮チューブ5k〜5nが被せられて保護されている。
【0017】
図4は、図3の分岐ハーネスを用いた開閉体制御システムの一例を示す図である。図4に示した開閉体制御システムは、図1の開閉体装置11,12を図3の分岐ハーネス50を用いて図2の1個の壁スイッチ20を用いて一斉に制御するようにしたものである。このように分岐ハーネス50を用いることによって、供給電圧のそれぞれ異なる開閉機コントローラ111,121を備えた開閉体装置11,12を従来の壁スイッチ20を用いて一斉に制御することができる。分岐ハーネス50の第1コネクタ51は、壁スイッチ20のいずれか一方のコネクタ部21,22に接続され、第2コネクタ52及び第3コネクタ53は、開閉体装置11,12の開閉機コントローラ111,121側にそれぞれ接続される。壁スイッチ20は、分岐ハーネス50に逆流防止ダイオード54〜59を備えているため、図1(B)に示す従来のものとしているが、壁スイッチ20は図2に示す壁スイッチ30で置き換え可能である。壁スイッチがどちらであるかに関わらず、開閉機コントローラ111,121の供給電圧が同じであっても同様に一斉に制御が可能である。
【0018】
図5は、3連以上の開閉体装置を1個の壁スイッチを用いて一斉に制御する開閉体制御システムの一例を示す図である。図6は、図4の分岐ハーネス50a,50bを用いて構成された図5の開閉体制御システムの配線図である。図5及び図6では、4連構成の開閉体装置11〜14を一斉に操作する場合について説明する。この開閉体制御システムでは、開閉体装置11〜14の複数台を壁スイッチ1個に集約して接続する場合の安全性・防犯性等に配慮した好適な例として開閉体装置11〜14の手元側にも壁スイッチ20a〜20dが設けられている。図6では、開閉体装置12〜14、開閉機コントローラ121,131,141及び壁スイッチ20b〜20dについては回路図表示では同様となるため図示を省略して示すが、これらの構成は存在するものとしてこれらの符号を用いて説明する。
【0019】
壁スイッチ20a〜20dは、開閉体装置11〜14を個別に開閉制御する個別スイッチとして機能する。壁スイッチ20a〜20dは、図1(B)に示す従来の壁スイッチを用いる。開閉体装置11〜14の開閉機コントローラ111,121,131,141は、壁スイッチ20a〜20dの一方のコネクタ部21a〜21dにそれぞれ接続される。各壁スイッチ20a〜20dの他方のコネクタ部22a〜22dは、図3に示すような分岐ハーネス50a,50bの第2コネクタ52a,52b及び第3コネクタ53a,53bにケーブルを介してそれぞれ接続される。分岐ハーネス50a,50bの第1コネクタ51a,51bは、一斉操作用の壁スイッチ20の2個のコネクタ部21、22にそれぞれ接続される。図6では、分岐ハーネス50a,50bの第1コネクタ51a,51bと、壁スイッチ20のコネクタ部21、22は接続された状態として、共通の符号として示してある。壁スイッチ20は、分岐ハーネス50に逆流防止ダイオード54〜59を備えているため、図1(B)に示す従来のものとしているが、壁スイッチ20は図2に示す壁スイッチ30で置き換え可能である。壁スイッチがどちらであるかに関わらず、開閉機コントローラ111,121の供給電圧が同じであっても同様に一斉に制御が可能である。
【0020】
図7は、8連構成の開閉体装置11〜18を1個の壁スイッチを用いて一斉に制御する開閉体制御システムの一例を示す図である。図7において、図5と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図7が図5の開閉体制御システムと異なる点は、図3に示すような分岐ハーネス50a〜50dを図3に示すような別の分岐ハーネス50x,50yで接続して1個の壁スイッチ20に接続するようにした点である。壁スイッチ20a〜20hは、開閉体装置11〜18を個別に開閉制御する個別スイッチとして機能する。壁スイッチ20a〜20hは、図1(B)に示す従来の壁スイッチを用いる。これによって、8連構成の開閉体装置をその制御電圧の相違とは無関係に一個の壁スイッチ20で一斉に制御することができる。なお、この実施の形態では、分岐ハーネス50x,50yは図3に示すようなものを用いる場合について説明したが、分岐ハーネス50a〜50dに逆流防止ダイオードを具備しているため、それより配線上における一斉操作用の壁スイッチ側の分岐ハーネス50x,50yの接続部分には逆流防止ダイオードは必ずしも必要ないので、通常の分岐結線で接続するようにしてもよい。さらには、分岐ハーネス50a〜50dについては、分岐先の開閉体装置の供給電圧が異なる分岐点の分岐ハーネスのみ図3に示すような分岐ハーネスを用い、その他は通常の分岐結線のハーネスを用いることも可能である。また、分岐ハーネス50a〜50d、50x,50yの内、分岐先の電圧が異なる分岐点の分岐ハーネス、壁スイッチにのみ逆流防止ダイオードが設けてあればよい。
【0021】
壁スイッチは、壁に備わっていないものや、壁スイッチの全て又は一部のスイッチ(操作子手段)と同様の役割をする出力接点を備えるリモコン装置やセンサー装置等に置き換えることも可能である。3叉以上に分岐する分岐ハーネスとすることも可能である。第2および第3のコネクタ手段の全てに配線を接続する必要はなく、空きのコネクタを設けてもよい。実施例ではスイッチ(操作子手段)25〜27、35〜37は全て常開接点としたが、それぞれ常開でも常閉でもよい。分岐ハーネスの配線数は、壁スイッチのスイッチ数以上の出力線(電力線)と共通線1本から構成されていればよく、開閉停以外の開閉体装置の動作の種類に対応したスイッチ(操作子手段)も加われば、出力線と共通線あわせて5本以上とすることも可能であり、また、開閉停に対応したスイッチが共用され2つ以下であれば、出力線と共通線あわせて2〜3本とすることも可能である。また、分岐ハーネスには、スイッチ(操作子手段)の数よりも出力線(電力線)の数が多くてもよい(未使用線を備えていてもよい)。
上述の実施の形態では、開閉体装置としてシャッターカーテンが上方から下降方式で繰り出されるシャッター装置を例に説明したが、逆に上昇方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。さらに、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
また、上述の実施の形態では、全ての開閉体装置からDC12[V]とDC24[V]のような正の直流電圧が供給され、共通線が接地される場合について説明したが、全ての開閉体装置から負の直流電圧が供給される場合には、電位差による逆流を防止するためのダイオードを逆向きに設けることによって対応可能である。
なお、上述の実施の形態では、直流モータを例に説明したが、開閉体装置からスイッチ手段までの供給電圧が直流であれば、開閉機のモータは直流モータに限らず、交流モータで構成されていてもよい。すなわち、本発明においては、開閉体装置からスイッチ手段までの供給電圧が交流であってはならず、直流でなければならないことを意味している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電動モータなどの駆動装置である開閉機コントローラを備えた従来の開閉体装置の制御システムの一例を示す図である。
【図2】本発明の開閉体制御システムを構成する壁スイッチの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の開閉体制御システムを構成するための逆流防止ダイオード付きの分岐ハーネスの一例を示す図であり、図3(A)は、分岐ハーネスの外観構成を示す図であり、図3(B)は、分岐ハーネスの配線図である。
【図4】図3の分岐ハーネスを用いた開閉体制御システムの一例を示す図である。
【図5】3連以上の開閉体装置を1個の壁スイッチを用いて一斉に制御する開閉体制御システムの一例を示す図である。
【図6】図4の分岐ハーネスを用いて構成された図5の開閉体制御システムの配線図である。
【図7】8連構成の開閉体装置を1個の壁スイッチを用いて一斉に制御する開閉体制御システムの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
11〜14…開閉体装置
20,30,20a〜20d…壁スイッチ
21,22,21a〜21d,22a〜22d…コネクタ部
25…開ボタン
26…停止ボタン
27…閉ボタン
31,32…コネクタ
35…開ボタン
36…停止ボタン
37…閉ボタン
41〜46,54〜59…逆流防止ダイオード
50,50a〜50d,50x,50y…分岐ハーネス
51,51a,51b…第1コネクタ
52,52a,52b…第2コネクタ
53,53a,53b…第3コネクタ
5a〜5f,5k〜5n…熱収縮チューブ
111,121,131,141…開閉機コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体装置の動作の種類に対応した電力を伝送する1以上の電力線群と、操作子手段の操作状態に応じた前記動作の種類に対応した電力のいずれか1を前記開閉体装置側に戻す共通線との両端側に設けられ、前記操作子手段を含んで構成されるスイッチ側に接続される第1のコネクタ手段と、前記開閉体装置側に接続される第2のコネクタ手段と、前記電力線群と前記共通線との間の分岐点から分岐して別の開閉体装置側に接続される1以上の第3のコネクタ手段とを備え、前記第2及び第3のコネクタ手段に接続される開閉体装置の電力の相違によって生じる逆流現象を防止するためのダイオード手段を前記第2及び第3のコネクタ手段と前記分岐点との間にそれぞれ有することを特徴とする分岐ハーネス装置。
【請求項2】
開閉体装置の動作の種類に対応した電力を開閉体装置から外部のスイッチ手段に出力し、前記動作の種類に対応した電力の中から操作子手段の操作状態に応じた電力を前記開閉体装置内の電動手段に供給することによって開閉体手段の動作を制御するように構成された開閉体制御システムであって、
前記開閉体装置の複数に対して前記スイッチ手段を一つ設け、前記スイッチ手段の前記操作子手段に対して前記開閉体装置の動作の種類に対応した電力を共通に供給するように構成された電力線の共通部分以外に、前記電力の電圧差によって生じる逆流現象を防止するためのダイオード手段をそれぞれ備えたことを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の開閉体制御システムにおいて、前記開閉体装置と前記スイッチ手段との間に前記請求項1に記載の分岐ハーネス手段を設けたことを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項4】
請求項2に記載の開閉体制御システムにおいて、前記開閉体装置の複数に対して個別操作用に設けられたスイッチ手段の2つ以上に対して、前記請求項1に記載の分岐ハーネス手段の前記第2及び第3のコネクタ手段をそれぞれ接続し、前記開閉体装置の複数の一斉操作用に設けられたスイッチ手段に対して、前記請求項1に記載の分岐ハーネス手段の前記第1のコネクタ手段を接続したことを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項5】
請求項2に記載の開閉体制御システムにおいて、前記開閉体装置の複数に対して個別操作用に設けられたスイッチ手段の2つ以上に対して、前記請求項1に記載の分岐ハーネス手段の前記第2及び第3のコネクタ手段をそれぞれ接続することによって第1の分岐ハーネス手段群を構成し、この第1の分岐ハーネス手段群を構成する2つの分岐ハーネス手段の第1のコネクタ手段に対して、さらに前記請求項1に記載の分岐ハーネス手段の前記第2及び第3のコネクタ手段をそれぞれ接続することによって第2の分岐ハーネス手段群を構成し、前記第2の分岐ハーネス手段群を構成する2つの分岐ハーネス手段の第1のコネクタ手段を前記開閉体装置の複数の一斉操作用に設けられたスイッチ手段に対して接続したことを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項6】
複数の開閉体装置から前記開閉体装置の動作の種類に対応した電力の供給を共通に受ける操作子手段の操作状態に応じて前記動作の種類に対応した電力のいずれか1を共通線を介して前記複数の開閉体装置側に戻すように構成されたスイッチ装置であって、
前記複数の開閉体装置から前記操作子手段に対して前記動作の種類に対応した電力を共通に供給する電力線の共通部分以外の電力線に前記複数の開閉体装置の電力の相違によって生じる逆流現象を防止するためのダイオード手段をそれぞれ備えたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−167603(P2009−167603A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3935(P2008−3935)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】