説明

分散電源の単独運転検出装置

【課題】 次数間電流注入方式の単独運転検出装置において、瞬間的な系統擾乱発生時の不要動作を防止して、単独運転検出の精度をより高める。
【解決手段】 単独運転監視装置40aは、注入周波数の電圧V21、V22を抽出する離散フーリエ変換器50、52の前段に次のものを備えている。連系点電圧Vs から、配電系統の基本波成分および奇数次高調波成分を除去した電圧S1 を出力する第1フィルタ42。電圧S1 から第2フィルタ44によって注入周波数成分電圧を除去した電圧S2 を判定値J3 と比較して、前者が後者以上である検出状態が所定時間内に1回以上生じたとき、所定時間幅の検出信号S7 を最初の検出状態時に1回のみ出力する系統擾乱判定器46。検出信号S7 に応答して、それが出力されていないときは電圧S1 をそのまま出力し、信号S7 が出力されたときは、電圧S1 を出力する代わりに所定時間前の自分の出力電圧S8 を所定時間ぶん出力する補正器48。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続された構成のシステムに適用されるものであって、当該分散電源保有設備内の分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分散電源が単独運転になったことを検出する方式には、大別して、受動的方式および能動的方式がある(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
能動的方式に属するものとして、分散電源保有設備から配電系統に当該配電系統の基本波周波数の1倍よりも大きい非整数倍の注入周波数の注入電流(換言すれば、次数間電流)を注入する電流注入装置と、分散電源保有設備と配電系統との連系点における電圧から、前記注入周波数の電圧を抽出器によって抽出し、当該注入周波数の電圧を用いて、分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置とを備えている単独運転検出装置が、従来から種々提案されている。この方式を、次数間電流注入方式と呼ぶことにする。
【0004】
例えば、特許文献1には、各分散電源保有設備から、上記のような注入周波数であってうなりを生じさせる二つの注入周波数(例えば2.2次および2.4次)の注入電流を配電系統に注入し、かつうなりを同期させ、そして自設備の連系点における電圧に含まれている注入周波数電圧の増大から、自設備内の分散電源の単独運転を検出する単独運転検出装置が記載されている。
【0005】
この特許文献1に記載の単独運転検出装置を構成する単独運転監視装置の一例を図1に示す。
【0006】
この単独運転監視装置90は、連系点の電圧Vs から、離散フーリエ変換器92、94によって上記二つの注入周波数の電圧V21(例えば2.2次)、V22(例えば2.4次)をそれぞれ抽出し、それらの絶対値を絶対値演算器96、98によってそれぞれ演算し、判定器100、102によって各絶対値|V21|、|V22|を所定の判定値J1 、J2 とそれぞれ比較して前者が後者以上のときに検出信号D1 、D2 をそれぞれ出力するよう構成されている。更に、両検出信号D1 、D2 が共に出力されているときにAND回路104から検出信号D3 を出力し、この検出信号D3 が所定の継続判定時間継続すると継続時間判定器106から単独運転検出信号DSを出力するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−11142号公報(段落0234−0243、図1−図2、図21)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「系統連系規程」、JEAC 9701−2006、社団法人日本電気協会 系統連系専門部会、平成18年8月30日第4版第2刷発行、頁44−50
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載の単独運転検出装置を含めて、上記のような注入周波数の電流を注入し、かつ当該注入周波数の電圧を測定して単独運転検出を行うという次数間電流注入方式の単独運転検出装置は、配電系統の基本波とは異なる周波数を利用するので、他の能動方式(例えば、上記非特許文献1に記載の無効電力変動方式、周波数シフト方式等)の単独運転検出装置に比べて、定常的に基本波の影響を受けない、高速動作に優れる等の特長を有しているけれども、瞬間的な系統擾乱、例えば瞬時電圧低下(以下「瞬低」と略称する)、瞬時電圧遮断(以下「瞬断」と略称する)、電圧急変、位相急変等の発生時に、不要動作(即ち、単独運転発生ではなく本来は検出すべきでないのに誤検出すること)を起こしやすい、という点になお改善の余地がある。これを以下に詳述する。
【0010】
上記受電点の電圧Vs には、上記注入電流による2.2次の電圧および2.4次の電圧が、例えば図3中に四角印で示す例の程度に含まれており、定常時にはこの電圧が計測される。
【0011】
ところが、瞬間的な系統擾乱、例えば図2に示すような瞬低が発生すると(この例では残電圧20%)、この電圧変動は急峻であるため、この瞬低発生時の連系点電圧Vs を離散フーリエ変換した結果は図3中に丸印で示すような周波数スペクトルになり、瞬低によって、基本波成分(1次)の近辺の多くの周波数(次数)に、見かけ上のバックグラウンドノイズが発生する。これには上記注入周波数と同じ2.2次および2.4次の電圧も含まれている。従って、上記注入電流による2.2次の電圧および2.4次の電圧が、当該バックグラウンドノイズに埋もれてしまうことが起こり、それによって上記不要動作を起こす。
【0012】
より具体的には、上記単独運転監視装置90中の判定器100を例に説明すると、離散フーリエ変換器92によって抽出される2.2次の電圧V21は、単独運転発生時は上記注入電流による電圧であり、当該電圧V21は図4(A)に示すように判定値J1 以上に増大するので、判定器100から検出信号D1 が出力され、かつそれが継続判定時間以上継続する。これによって、単独運転が正しく検出される。
【0013】
ところが、瞬低発生時は、離散フーリエ変換器92によって抽出される2.2次の電圧V21には、上記バックグラウンドノイズによる2.2次の電圧が重畳されていて、当該電圧V21も図4(B)に示すように判定値J1 以上に増大するので、単独運転発生時と同様に判定器100から検出信号D1 が出力され、かつそれが継続判定時間以上継続する。
【0014】
離散フーリエ変換器94によって抽出される2.4次の電圧V22についても上記と同様であり、瞬低発生時にも、単独運転発生時と同様に判定器102から検出信号D2 が出力され、かつそれが継続判定時間以上継続する。
【0015】
その結果、誤検出の可能性を小さくするためにAND回路104で両検出信号D1 、D2 の論理積を取っていても、瞬低発生時に、単独運転発生ではないにも拘わらず、継続時間判定器106から単独運転検出信号DSが誤って出力される。即ち、不要動作を起こす。
【0016】
瞬低以外の瞬間的な系統擾乱発生時にも、例えば上述した電圧急変、位相急変発生時にも、程度の差はあれ、上記と同様の現象が生じて、不要動作を起こしやすい。
【0017】
そこでこの発明は、上記のような次数間電流注入方式の単独運転検出装置において、瞬間的な系統擾乱発生時の不要動作を防止して、単独運転検出の精度をより高めることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明に係る単独運転検出装置は、分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続された構成のシステムに適用されるものであって、前記分散電源保有設備側から前記配電系統に、当該配電系統の基本波周波数の1倍よりも大きい非整数倍の注入周波数の注入電流を注入する電流注入装置と、前記分散電源保有設備と前記配電系統との連系点における電圧から、前記注入周波数の電圧を抽出器によって抽出し、当該注入周波数の電圧を用いて、前記分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号を出力する単独運転監視装置とを備えている単独運転検出装置において、前記単独運転監視装置は、前記抽出器の前段に、前記連系点における電圧から、前記配電系統の基本波成分および奇数次高調波成分を除去した電圧を出力する第1フィルタと、前記第1フィルタからの出力電圧を判定値と比較して、前者が後者以上である検出状態が所定時間内に1回以上生じたとき、所定時間幅の検出信号を最初の検出状態時に1回のみ出力する系統擾乱判定器と、前記第1フィルタからの出力電圧を受け、かつ前記系統擾乱判定器からの検出信号に応答して、当該検出信号が出力されていないときは、前記第1フィルタからの出力電圧をそのまま出力してそれを前記抽出器に供給し、前記検出信号が出力されたときは、前記第1フィルタからの出力電圧を出力する代わりに、所定時間前の自分の出力電圧を所定時間ぶん出力してそれを前記抽出器に供給する補正器とを備えている、ことを特徴としている。
【0019】
この単独運転検出装置においては、第1フィルタによって配電系統の基本波成分および奇数次高調波成分を除去するので、これらの周波数成分の影響を排除して、系統擾乱判定器における判定および抽出器における注入周波数電圧の抽出を容易かつ正確にすることができる。
【0020】
瞬間的な系統擾乱が発生すると、連系点電圧の波形の周期性が崩れるため、第1フィルタの出力電圧が急変する。これを系統擾乱判定器が検出して検出信号を出力する。この検出信号に応答して、補正器は、第1フィルタからの出力電圧の内の所定時間ぶんを所定時間前の当該補正器の出力電圧に置き換える。これによって、瞬間的な系統擾乱発生時の急峻な電圧が抽出器に供給されることを防止することができる。その結果、瞬間的な系統擾乱発生時の不要動作を防止することができる。
【0021】
前記第1フィルタと前記系統擾乱判定器との間に挿入されていて、前記第1フィルタからの出力電圧から、前記注入周波数成分の電圧を除去して出力する第2フィルタを更に備えていても良い。第1フィルタからの出力電圧に含まれている注入周波数成分の電圧レベルは、系統条件によって変動する。この注入周波数成分の電圧を第2フィルタで除去することによって、系統擾乱判定器における判定値を一定値に設定しておいても良くなるので、当該判定値の設定、調整等が簡単になり、装置の取り扱いが容易になる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1〜5に記載の発明によれば、系統擾乱判定器によって瞬間的な系統擾乱を検出し、それが検出された時は補正器によって第1フィルタからの出力電圧の内の所定時間ぶんを所定時間前の当該補正器の出力電圧に置き換えることができるので、瞬間的な系統擾乱発生時の急峻な電圧が抽出器に供給されることを防止することができる。その結果、瞬間的な系統擾乱発生時の不要動作を防止して、単独運転検出の精度をより高めることができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、第1フィルタからの出力電圧に含まれている注入周波数成分の電圧レベルは、系統条件によって変動する。この注入周波数成分の電圧を第2フィルタで除去することによって、系統擾乱判定器における判定値を一定値に設定しておいても良くなるので、当該判定値の設定、調整等が簡単になり、装置の取り扱いが容易になる。
【0024】
請求項5、6に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、注入周波数成分のレベルそのものよりも注入周波数成分の変化分の方がより速く判定値に達するので、より速く判定して単独運転検出を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の単独運転検出装置を構成する単独運転監視装置の一例を示すブロック図である。
【図2】瞬低発生時の連系点電圧の一例を示す図である。
【図3】図2に示す瞬低発生時の連系点電圧を離散フーリエ変換した結果の一例を示す図である。
【図4】図1中の注入周波数電圧V21の変動の一例を示す図であり、(A)は単独運転発生時、(B)は瞬低発生時のものである。
【図5】この発明に係る単独運転検出装置を有する分散電源保有設備が配電系統に接続された構成のシステムの一例を示す単線接続図である。
【図6】図5中の分散電源保有設備の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図6中の単独運転監視装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図7中の第1フィルタの構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図7中の第2フィルタの構成の一例を示すブロック図である。
【図10】図7中の判定回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】図10中の各部の信号の一例を示す図である。
【図12】図10中の各部の信号の一例を示す図である。
【図13】図7中の補正回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】図7中の判定器の構成の一例を示すブロック図である。
【図15】図7中の判定器の構成の他の例を示すブロック図である。
【図16】瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図8中の各部の信号の一例を示す図である。
【図17】瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図9、図10中の各部の信号の一例を示す図である。
【図18】瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図13中の補正器の出力電圧の一例を示す図である。
【図19】瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図14中の注入周波数電圧V21およびその変化分ΔV21の一例を示す図である。
【図20】瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7中の注入周波数電圧V22およびその変化分ΔV22の一例を示す図である。
【図21】瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7中の各部の信号の一例を示す図である。
【図22】単独運転が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図8中の各部の信号の一例を示す図である。
【図23】単独運転が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図9、図10中の各部の信号の一例を示す図である。
【図24】単独運転が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図13中の補正器の出力電圧の一例を示す図である。
【図25】単独運転が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図14中の注入周波数電圧V21およびその変化分ΔV21の一例を示す図である。
【図26】単独運転が発生した場合をシミュレーションしたときの図7中の注入周波数電圧V22およびその変化分ΔV22の一例を示す図である。
【図27】単独運転が発生した場合をシミュレーションしたときの図7中の各部の信号の一例を示す図である。
【図28】単独運転発生直後に瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図8中の各部の信号の一例を示す図である。
【図29】単独運転発生直後に瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図9、図10中の各部の信号の一例を示す図である。
【図30】単独運転発生直後に瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図13中の補正器の出力電圧の一例を示す図である。
【図31】単独運転発生直後に瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7、図14中の注入周波数電圧V21およびその変化分ΔV21の一例を示す図である。
【図32】単独運転発生直後に瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7中の注入周波数電圧V22およびその変化分ΔV22の一例を示す図である。
【図33】単独運転発生直後に瞬低が発生した場合をシミュレーションしたときの図7中の各部の信号の一例を示す図である。
【図34】他の実施形態の単独運転検出装置を構成する単独運転監視装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(1)第1の実施形態
図5に、この発明に係る単独運転検出装置30を有する複数の分散電源保有設備20が配電系統1に接続されている構成のシステムの一例を示し、図6に、図5中の分散電源保有設備20の構成の一例を示す。
【0027】
各分散電源保有設備20内の単独運転検出装置30は、前述した次数間電流注入方式に属するものである。より具体的には、この実施形態ではうなりを利用するものであり、簡単に言えば、当該単独運転検出装置30の基本的な構成および図5に示すシステムの構成は、前記特許文献1に記載されているのと同様のものである。但し、単独運転検出装置30内の単独運転監視装置40aの構成は異なる。
【0028】
図5に示すシステム(これは、分散電源連系システムと呼ぶこともできる)の構成は次のとおりである。なお、以下においては、自分の分散電源保有設備20を自設備20、当該自設備20が属する方の群を自群、属さない方の群を他群と呼んでいる。
【0029】
分散電源(図6中の分散電源28参照)をそれぞれ有する複数の分散電源保有設備20が第1群と第2群との2群に分類されて配電系統1に接続されている。
【0030】
配電系統1は、この例では、上位系統2に変電所4の変圧器6および遮断器8を介して高圧配電線10が接続され、この高圧配電線10に配電用変圧器14を介して低圧配電線16が接続された構成をしていて、この低圧配電線16に各分散電源保有設備20が接続されている。高圧配電線10には、負荷11および力率改善用コンデンサ12が接続されている。高圧配電線10の電圧は例えば6.6kV、低圧配電線16の電圧は例えば200Vである。
【0031】
各分散電源保有設備20は、図6に示すように、分散電源28、スイッチ22および単独運転検出装置30を有している。
【0032】
単独運転検出装置30は、配電系統1(具体的にはその低圧配電線16)に後述する注入周波数の注入電流Iinj を注入する電流注入装置32と、うなりの同期制御を行う同期制御装置34と、自設備20内の分散電源28の単独運転を検出して単独運転検出信号DSを出力する単独運転監視装置40aとを有している。
【0033】
このシステムでは、数1、表1にも示すように、うなりを生じさせる二つの注入周波数からそれぞれ成る2組の注入周波数であって、各組を成す二つの注入周波数間の周波数差Δfは両組で互いに同じであり、かつ両組を構成する四つの注入周波数f11、f12、f21、f22はそれぞれ異なると共に配電系統1の基本波周波数とも異なる第1組および第2組の注入周波数を用いる。各注入周波数は、配電系統1の基本波周波数の1倍よりも大きい非整数倍(即ち帯小数倍)の周波数にしている。
【0034】
[数1]
|f11−f12|=|f21−f22|=Δf
11≠f12≠f21≠f22
【0035】
【表1】

【0036】
なお、この出願では、符号に添字11を有する物理量(周波数、電圧、電流等)と添字12を有する物理量とが第1組を示し、添字21を有する物理量と添字22を有する物理量とが第2組を示している。例えば、上記四つの周波数f11、f12、f21、f22は、それぞれ、110Hz(2.2次)、120Hz(2.4次)、130Hz(2.6次)、140Hz(2.8次)である。括弧内は、配電系統1の基本波(例えば50Hz=1次)に対する次数で表したものである。以下における例では、全て、ここに例示した周波数を用いている。但しこれに限られるものではない。
【0037】
第1群に属する分散電源保有設備20内の単独運転検出装置30を構成する電流注入装置32は、第1組の注入周波数の電流組I11、I12を含む注入電流Iinj を配電系統1に注入し、単独運転監視装置40aは、他群の(即ち上記第2組の)注入周波数の電圧V21、V22の内の少なくとも一方の電圧を測定して上記単独運転を検出する。
【0038】
第2群に属する分散電源保有設備20内の単独運転検出装置30を構成する電流注入装置32は、第2組の注入周波数の電流組I21、I22を含む注入電流Iinj を配電系統1に注入し、単独運転監視装置40aは、他群の(即ち上記第1組の)注入周波数の電圧V11、V12の内の少なくとも一方の電圧を測定して上記単独運転を検出する。
【0039】
同期制御装置34は、自設備20から注入する注入電流Iinj を構成する電流組の各電流の位相を、当該注入電流Iinj が生じさせるうなりである自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、当該自設備うなりを、他群に属する分散電源保有設備20から注入する注入電流Iinj の総体が生じさせる電圧のうなりである他群うなりに同期させる。
【0040】
上記電流注入装置32および同期制御装置34の具体的な構成としては、例えば上記特許文献1、特開2010−166759号公報、特開2011−36066号公報等に記載されているような公知の技術を利用することができる。
【0041】
単独運転監視装置40aの具体的な構成の例を、第1群の分散電源保有設備20用のものを例にして以下に詳述する。第2群の分散電源保有設備20用の単独運転監視装置40aも、周波数の組が反対になる以外は、以下に説明するものと同様である。
【0042】
図7に示すように、単独運転監視装置40aは、第1フィルタ42、第2フィルタ44、系統擾乱判定器46、補正器48、離散フーリエ変換器50、52、絶対値演算器54、56、判定器58、60、AND回路62および継続時間判定器64を備えている。
【0043】
第1フィルタ42は、前記連系点18における電圧Vs から、配電系統1の基本波成分および奇数次高調波成分を除去した電圧S1 を出力する。
【0044】
第1フィルタ42は、例えば、図8に示すような加算コムフィルタである。この図8に示す加算コムフィルタは、連系点電圧Vs を遅延する遅延回路421と、遅延前後のデータを加算する加算器422と、入力に対する出力のゲインを1に調整するための増幅器423とを有している。遅延回路421における遅延時間は、この例では、配電系統1の基本波の半周期ぶん(50Hz系で10m秒)にして、最短にしている。これによって応答速度が速くなる。後述するシミュレーションは、第1フィルタ42としてこの加算コムフィルタを採用したときのものである。
【0045】
この加算コムフィルタから成る第1フィルタ42によって、配電系統1の基本波成分および奇数次高調波成分を除去することができる。その結果、これらの周波数成分の影響を排除して、系統擾乱判定器46における判定および抽出器である離散フーリエ変換器50、52における注入周波数電圧V21、V22の抽出を容易かつ正確にすることができる。
【0046】
第2フィルタ44は、第1フィルタ42からの出力電圧S1 から、自群および他群の注入周波数成分の電圧V11、V12、V21、V22を除去した電圧S2 を出力する。
【0047】
この第2フィルタ44を設けずに第1フィルタ42からの出力電圧S1 をそのまま系統擾乱判定器46に供給してそれを判定に用いても良いけれども、この例のように第2フィルタ44を設ける方が好ましい。その理由は後述する。
【0048】
第2フィルタ44は、例えば、図9に示すような減算コムフィルタである。この図9に示す減算コムフィルタは、上記出力電圧S1 を遅延する遅延回路441と、遅延前後のデータを減算する減算器442と、入力に対する出力のゲインを1に調整するための増幅器443とを有している。遅延回路441における遅延時間は、この例では、上記二つの注入周波数の電圧V12、V22(またはV21、V22)で生じるうなり(その周波数はこの例では0.2次。即ち50Hz系で10Hz)の1周期ぶん(50Hz系で0.1秒)としている。正弦波と違い、うなりは強−強間(または弱−弱間)が1周期だから、減算器442で減算する。後述するシミュレーションは、第2フィルタ44を設け、かつそれにこの減算コムフィルタを採用したときのものである。
【0049】
この減算コムフィルタから成る第2フィルタ44によって、自群および他群の注入周波数成分の電圧V11、V12、V21、V22を除去することができる。配電系統1に(即ち連系点電圧Vs に)偶数次高調波成分は通常は殆ど含まれていないので、第1フィルタ42によって配電系統1の基本波成分および奇数次高調波成分を除去した後の出力電圧S1 から更に、第2フィルタ44によって、自群および他群の注入周波数成分の電圧を除去することによって、第2フィルタ44の出力電圧S2 は、定常時はほぼゼロになる。
【0050】
系統擾乱判定器46は、この例では第2フィルタ44からの出力電圧S2 を所定の判定値J3 と比較して、前者S2 が後者J3 以上である検出状態が所定時間内に1回以上生じたとき、所定時間幅の検出信号S7 を最初の検出状態時に1回のみ出力する。
【0051】
この系統擾乱判定器46の具体的な構成の例を図10に示す。この系統擾乱判定器46は、絶対値演算器461、比較器462、オフディレイタイマ463、オンディレイタイマ464および排他的論理和回路465を備えている。
【0052】
絶対値演算器461は、第2フィルタ44からの出力電圧S2 の絶対値S3 を演算して出力する。
【0053】
比較器462は、絶対値演算器461からの絶対値S3 を上記判定値J3 と比較して、前者S3 が後者J3 以上であるときにそれを表す信号S4 を出力する。この判定値J3 は、例えば、系統健全時の他群の注入周波数電圧V21、V22の大きさの1.5倍程度にしておけば良い。
【0054】
オフディレイタイマ463は、比較器462からの信号S4 を受けるタイマであって、オフするタイミングを所定時間遅らせるものである。
【0055】
オンディレイタイマ464は、オフディレイタイマ463からの出力S5 を受けるタイマであって、オンするタイミングを所定時間遅らせるものである。
【0056】
排他的論理和回路465は、XORゲートとも呼ばれるものであり、オフディレイタイマ463からの出力S5 およびオンディレイタイマ464からの出力S6 を受け、両出力S5 、S6 の排他的論理和を取って前記検出信号S7 を出力する。
【0057】
系統擾乱判定器46を上記構成にすることによって、単独運転発生時等における検出信号S7 のチャタリング(正確に言えば、当該検出信号S7 によって制御される補正器48内のセレクタ481のチャタリング)を防止しつつ、瞬間的な系統擾乱を検出することができる。このチャタリング防止作用について、図10中の各部の信号の一例を示す図11〜図12を参照して次に説明する。
【0058】
上記のように、第2フィルタの出力電圧S2 は、定常時はほぼゼロであるけれども、例えば単独運転発生時には、上記注入周波数の電圧(即ち、うなり)の振幅が増大し、第2フィルタ44に供給される電圧S1 の波形の周期性が崩れるため、図11(A)に示すように、注入周波数成分の振幅誤差V23が第2フィルタ44から出力され、これが出力電圧S2 に含まれる。注入周波数の電圧の増大が終了すると周期性は保たれるので、出力電圧S2 は再びゼロになる。この振幅誤差V23の継続時間は、この例では0.12秒程度である。
【0059】
上記出力電圧S2 の絶対値S3 は図11(B)に示すものとなる。従って比較器462からの信号S4 は、図11(C)に示すように、非常に短周期でオンオフを繰り返すパルス状波形となる。例えば、図11(A)に示す出力電圧S2 の周波数を、低く見て2.2次(50Hz系で110Hz)とすると、絶対値S3 および信号S4 の周波数は、その2倍の4.4次(50Hz系で220Hz)となる。仮にこの信号S4 をそのまま後述する(図13参照)補正器48に供給して、それでセレクタ481を制御すると、セレクタ481がチャタリングを起こすので、補正器48を正常に動作させることはできない。
【0060】
そこで、オフディレイタイマ463における遅延時間を、上記信号S4 の1周期よりもある程度長い所定時間(例えば、信号S4 の1パルスのパルス幅約4.5m秒の約2倍の10m秒)にすると、上記信号S4 が一続きのものとなって、オフディレイタイマ463の出力信号S5 は図12(A)に示すように1個の矩形波状になる。しかしそのオン時間幅は、上記出力電圧S2 の上記継続時間に依存するので、一定には定まらない上に、長過ぎる。これでは補正器48の制御に不都合である。
【0061】
そこで、上記オンディレイタイマ464における遅延時間T1 を所定時間(例えば15m秒)にすると、オンディレイタイマ464の出力信号は図12(B)に示すものとなる。その結果、排他的論理和回路465からは、図12(C)に示すように、所定のオン時間幅T2 (=T1 。即ちこの例では15m秒)の矩形波パルス状の検出信号S7 を最初に1回のみ(即ち1ショット)出力させることができる。即ち、出力信号S2 の絶対値S3 が判定値J3 以上になる一連の検出状態の内の最初の検出状態時にのみ、一定のオン時間幅T2 の検出信号S7 を1ショット出力することができる。以上のことは、後で図22〜図23を参照して更に説明する。この検出信号S7 で補正器48中のセレクタ481を制御することによって、セレクタ481がチャタリングを起こすことを防止することができる。
【0062】
検出信号S7 のオン時間幅T2 は、後述するように単独運転検出に要する時間に含まれることになるので、あまり長くしない方が好ましい。これと上記チャタリング防止とを総合的に勘案すると、検出信号S7 のオン時間幅T2 は、例えば、10m秒〜20m秒程度の範囲内にするのが好ましい。この例では上記のように15m秒にしている。
【0063】
後述するシミュレーションは、オフディレイタイマ463における遅延時間として上記10m秒、オンディレイタイマ464における遅延時間T1 (即ち検出信号S7 のオン時間幅T2 )として上記15m秒を採用したときのものである。
【0064】
また、瞬間的な系統擾乱が発生したときも、連系点電圧Vs の波形の周期性が崩れるため、第1フィルタ42および第2フィルタ44の出力電圧S1 、S2 が急変する。これを系統擾乱判定器46が検出して、図12(C)に示したのと同様の波形の検出信号S7 を出力する。この動作については、後で図16〜図17を参照して更に説明する。
【0065】
補正器48は、第1フィルタ42からの出力電圧S1 を受け、かつ系統擾乱判定器46からの検出信号S7 に応答して、当該検出信号S7 が出力されていないときは、第1フィルタ42からの出力電圧S1 をそのまま出力してそれを抽出器である離散フーリエ変換器50、52に供給し、検出信号S7 が出力されたときは、第1フィルタ42からの出力電圧S1 を出力する代わりに、所定時間前の自分48の出力電圧S8 を所定時間ぶん出力してそれを抽出器である離散フーリエ変換器50、52に供給する。
【0066】
この補正器48の具体的な構成の例を図13に示す。この補正器48は、セレクタ481、記憶装置482および遅延回路483を備えている。
【0067】
セレクタ481は、第1入力部481a、第2入力部481bおよび出力部481cを有していて、系統擾乱判定器46からの検出信号S7 に応答して、当該検出信号S7 がオフの間は第1入力部481aを選択し、オンの間は第2入力部481bを選択するものである。第1入力部481aに、前記第1フィルタ42からの出力電圧S1 が入力される。
【0068】
記憶装置482は、セレクタ481の出力S8 を所定時間記憶するものである。この所定時間は、遅延回路483における遅延時間(以下の例では0.1秒)以上にしておけば良い。
【0069】
遅延回路483は、記憶装置482から読み出されたデータを所定時間遅らせて出力してそれをセレクタ481の第2入力部481bに供給する。この所定時間(遅延時間)は、この実施形態のようにうなりを利用する単独運転検出装置30の場合は、上記うなりの1周期(これは、例えば前述したように0.1秒)にしておくのが好ましい。遅延時間をうなりの1周期にすることによって、下記の置き換え時に、良く似た波形の電圧と置き換えることができ、置き換え部分の波形が滑らかにつながりやすいという利点がある。後述する他の実施形態のようにうなりを利用するものでない場合は、うなりの1周期という概念はないが、この場合も例えば0.1秒程度にしておけば良い。後述するシミュレーションは、この0.1秒を採用したときのものである。
【0070】
上記構成によって、補正器48は、系統擾乱判定器46からの検出信号S7 がオンのとき、第1フィルタ42からの出力電圧S1 の内の所定時間ぶん(この例では検出信号S7 のオン時間幅T2 、即ち15m秒)を所定時間(この例では0.1秒)前の当該補正器48の出力電圧S8 に置き換える。これによって、瞬間的な系統擾乱発生時の急峻な電圧が抽出器である離散フーリエ変換器50、52に供給されることを防止することができる。その結果、瞬間的な系統擾乱発生時の不要動作を防止して、単独運転検出の精度をより高めることができる。これについては、後で図16〜図33のシミュレーション結果を参照して更に説明する。
【0071】
再び図7を参照して、離散フーリエ変換器50、52は、それぞれ、前述した抽出器を構成するものである。即ち、離散フーリエ変換器50、52は、補正器48から与えられた出力信号S8 を離散フーリエ変換して、他群の注入周波数f21、f22の電圧V21、V22をそれぞれ抽出して出力する。
【0072】
絶対値演算器54、56は、それぞれ、離散フーリエ変換器50、52から与えられる電圧V21、V22の絶対値|V21|、|V22|を演算して出力する。
【0073】
判定器58、60は、それぞれ、絶対値演算器54、56から与えられる上記絶対値|V21|、|V22|の変化分を判定して検出信号S11、S12をそれぞれ出力する。
【0074】
この判定器58の構成の具体例を図14、図15に示す。判定器60も、判定値がJ5 になる以外はこの判定器58と同じ構成をしているので、これを参照するものとする。
【0075】
図14に示す判定器58は、移動平均算出回路581、減算器586および比較器587を備えている。
【0076】
移動平均算出回路581は、絶対値演算器54から与えられる上記絶対値|V21|を第1の所定時間(例えば1秒間)遅延して出力する遅延回路582と、上記絶対値|V21|を第2の所定時間(例えば2秒間)遅延して出力する遅延回路583と、両遅延回路582、583からの出力を加算する加算器584と、加算器584の出力を1/2にする増幅器585とを有している。これによって、上記絶対値|V21|の、現在より1〜2秒過去における1秒間の移動平均を算出することができる。
【0077】
減算器586は、絶対値演算器54より与えられる上記絶対値|V21|から、移動平均算出回路581より与えられる上記移動平均を減算して、上記絶対値|V21|の所定時間前からの変化分ΔV21を出力する。
【0078】
比較器587は、減算器586から与えられる上記変化分ΔV21を所定の判定値J4 と比較して、前者ΔV21が後者J4 以上のとき、自設備20の分散電源28が単独運転になったことを表す検出信号S11を出力する。判定値J4 は、例えば、系統健全時の上記変化分ΔV21と単独運転時の上記変化分ΔV21との間の値にしておけば良い。
【0079】
判定器58は、図15に示す構成のものでも良い。図14との違いは、移動平均算出回路581の代わりに遅延回路588を設けたことである。この遅延回路588における遅延時間は、例えば1秒とか2秒にすれば良いが、これに限られるものではない。
【0080】
判定器58は、上記2例のように上記絶対値|V21|の所定時間前からの変化分ΔV21を比較器587によって判定する代わりに、上記絶対値|V21|のレベルそのものを比較器587によって判定するものでも良い。但し、単独運転発生時に、絶対値|V21|のレベルそのものよりも変化分ΔV21の方がより速く判定値に達するので、上記2例のように変化分ΔV21を判定する方が、より速く判定して、単独運転検出を高速化することができる。図14に示す移動平均を用いると変化分ΔV21がより速く判定値に達するので、より速く判定して、単独運転検出をより高速化することができる。判定器60についても同様である。
【0081】
再び図7を参照して、判定器60も、上記判定器58と同様の構成をしており、上記絶対値演算器56から与えられる絶対値|V22|の変化分ΔV22を所定の判定値J5 と比較して、前者ΔV22が後者J5 以上のとき、自設備20の分散電源28が単独運転になったことを表す検出信号S12を出力する。判定値J5 は、例えば、系統健全時の上記変化分ΔV22と単独運転時の上記変化分ΔV22との間の値にしておけば良い。
【0082】
なお、両判定器58、60における判定値J4 、J5 は、互いに異なる値にしても良いが、互いに同じ値にする方が簡単で良い。後述するシミュレーションは、同じ値を採用したときのものである。後述するシミュレーションは、判定器58、60に図14に示す構成を採用したときのものである。
【0083】
AND回路62は、上記両検出信号S11、S12の論理積を取って、両検出信号S11、S12が共に出力されているときに、自設備20の分散電源28が単独運転になったことを表す検出信号S13を出力する。
【0084】
なお、注入周波数の電圧については、上記例のように、一組の注入周波数の両方の注入周波数の電圧V21、V22を抽出し、かつ当該両方の電圧V21、V22の判定結果のAND条件で検出信号S13を出力するようにすると、単独運転検出を慎重に行って不要動作をより確実に防止することができるので好ましいけれども、いずれか一方の周波数の電圧(V21またはV22)のみを抽出して判定するようにしても良い。その場合はAND回路62は不要である。
【0085】
上記検出信号S13を単独運転検出信号としてこの単独運転監視装置40aから出力しても良いけれども、それよりも、この例のように、継続時間判定器64によって、検出信号S13が所定の継続確認時間のあいだ継続していることを判定して継続したときに単独運転検出信号DSを出力するようにするのが好ましい。そのようにすると、単独運転以外の何らかの原因による電圧Vs 等の瞬時の変動による誤検出を防止することができる。この継続確認時間は、それを長くすると、その分、単独運転検出が遅くなるので、例えば30m秒程度にすれば良い。この例ではこの単独運転検出信号DSの出力によって、単独運転監視装置40aは、最終的に、それが設けられている自設備20内の分散電源28が単独運転になったことを検出したことになる。
【0086】
単独運転監視装置40aによる単独運転検出後に分散電源28の解列を行うには、例えば、上記単独運転検出信号DSによって図6に示すスイッチ22を開放すれば良い。
【0087】
なお、上記離散フーリエ変換器50、52で抽出した注入周波数の電圧V21、V22を図6に示す同期制御装置34に供給して、図7中の離散フーリエ変換器50、52およびその前段の要素を、単独運転監視装置40aと同期制御装置34とで兼用しても良い。
【0088】
(2)シミュレーション結果
図5に示したシステムを模擬したシミュレーションモデルを用いてシミュレーションを行った結果を図16〜図33に示す。
【0089】
当該シミュレーションモデルでは、上位系統2および高圧配電線10のインピーダンスを30+j48%(10MVAベース)とし、配電用変圧器14のインピーダンスをj5%(10kVAベース)とし、負荷11を800kWとし、出力10kWの分散電源28を有する80台(第1群用が40台、第2群用が40台)の分散電源保有設備20が同じ配電用変圧器14に接続されているものとし、各分散電源保有設備20内の各電流注入装置32から0.58Aの注入電流Iinj をそれぞれ注入するものとした。そして、自設備20を第1群に属するものとし、その単独運転検出装置30内の単独運転監視装置40aは、上記図7およびそれに関連して説明した構成のものとした。従って以下においては、この図7およびそれに関連する図中の符号をも参照するものとする。
【0090】
(2−1)瞬低発生時
瞬間的な系統擾乱の例として瞬低が発生した場合を図16〜図21に示す。
【0091】
図16(A)は、電圧位相が90度である3.0秒の時点に瞬低が発生し、残電圧が20%となり、0.1秒後に回復したときの連系点電圧Vs を示す。
【0092】
瞬低発生によって連系点電圧Vs が急変してその基本波成分の周期性が崩れるので、その急変時に第1フィルタ42(コムフィルタ)から誤差電圧V3 が発生し、それが図16(B)に示すように第1フィルタ42の出力電圧S1 に含まれる。この出力電圧S1 には、うなりを生じさせている注入周波数の電圧V20も含まれている。
【0093】
上記誤差電圧V3 の影響を受けて、第2フィルタ44(コムフィルタ)の出力電圧S2 にも、図17(A)に示すように誤差電圧V4 が含まれる。注入周波数の電圧V20は除去されている。なお、コムフィルタの特性上、一つの誤差電圧V3 の入力に対して二つの誤差電圧V4 が発生するが、中間の二つの誤差電圧V4 は互いに重なっているため、三つに見える。
【0094】
上記出力電圧S2 の絶対値S3 は図17(B)に示すものとなり、それが系統擾乱判定器46において判定値J3 (このシミュレーションでは0.015V)と比較され、先に図11〜図12を参照して説明した場合と同様の動作によって、図17(C)に示すような検出信号S7 が出力される。この検出信号S7 のオン時間幅T2 は前述したように15m秒である。
【0095】
先に図13を参照して説明したように、補正器48は、第1フィルタ42からの出力電圧S1 を出力するけれども、この出力電圧S1 の内の検出信号S7 のオン時間幅T2 ぶんを、所定時間(この例では0.1秒)前の当該補正器48の出力電圧S8 に置き換えて出力する。即ち、図18に示すように、補正器48の出力電圧S8 の内、b部の信号として、その0.1秒前のa部の信号が出力される。このa部、b部の時間幅は検出信号S7 のオン時間幅T2 と同じ15m秒である。b部以降も検出信号S7 のオン期間中は同様に置き換えられる。
【0096】
その結果、出力電圧S8 には、上記誤差電圧V3 が含まれることはなく、注入周波数の電圧V20のみが含まれることになり、これが離散フーリエ変換器50、52に供給される。即ち、瞬間的な系統擾乱発生時の急峻な電圧が抽出器である離散フーリエ変換器50、52に供給されることを防止することができる。その結果、瞬間的な系統擾乱発生時の不要動作を防止して、単独運転検出の精度をより高めることができる。
【0097】
瞬低発生時は、変電所4の遮断器8が開放されるわけではないので配電系統1のインピーダンスに変化は殆どなく、図16(B)、図18にも示すように、注入周波数の電圧V20の大きさも殆ど変化しない。従って、離散フーリエ変換器50、52によって抽出する他群の注入周波数の電圧V21、V22も、図19、図20に示すように殆ど変化せず、それらの変化分ΔV21、ΔV22はほぼゼロであり、判定値J4 、J5 よりも小さい。判定値J4 、J5 は、このシミュレーションでは共に0.0025Vにしている。
【0098】
従って、図21に示すように、判定器58、60、AND回路62の検出信号S11〜S13はいずれも「0」(「0」、「1」は論理値を示す)であり、従って継続時間判定器64から単独運転検出信号DSは出力されていない。即ち、瞬低のような瞬間的な系統擾乱発生時の不要動作(誤検出)を防止することができている。
【0099】
(2)単独運転発生時
変電所4の遮断器8が開放されて単独運転が発生した(即ち、分散電源保有設備20内の分散電源28が単独運転になった)場合を図22〜図28に示す。これらは、上記図16〜図21にそれぞれ対応しているので、それらとの相違点を主体に説明する。
【0100】
図22(A)に示すように、前記と同じく3.0秒の時点で単独運転を発生させた。分散電源保有設備20内の分散電源28が発電をしているので連系点電圧Vs に変化はないが、図22(B)に示すように、第1フィルタ42の出力電圧S1 に含まれている注入周波数の電圧V20は、単独運転発生に伴って増大している。これは、遮断器8が開放されたことによって、低インピーダンスの上位系統2が切り離されて、遮断器8よりも下流側の配電系統1のインピーダンスが増大したからである。
【0101】
上記に伴う第2フィルタ44の出力電圧S2 、それの絶対値S3 、系統擾乱判定器46からの検出信号S7 を図23に示すが、これらは、先に図11〜図12を参照して説明したものと同じであるので、それを参照するものとする。要は、図23(C)に示すように、オン時間幅T2 の検出信号S7 が1ショット出力される。その他の重複説明は省略する。
【0102】
その結果、補正器48によって上述したような置き換えが行われ、図24に示すように、補正器48の出力電圧S8 (即ち注入周波数の電圧V20)の内、b部の信号として、その0.1秒前のa部の信号が出力される。この置き換えによって、単独運転発生直後の注入周波数の電圧V20の変動(増大)は、図22(B)に示す出力信号S1 中のものよりもb部の時間幅、即ち検出信号S7 のオン時間幅T2 (15m秒)だけ遅れて発生している。この遅れは短時間であるので単独運転検出に与える影響は小さく、特に支障がないことは後述する。
【0103】
上記置き換えを行っても、離散フーリエ変換器50、52に供給される出力電圧S8 中の注入周波数の電圧V20は単独運転発生直後に増大するので、当該注入周波数の電圧V20を構成している他群の注入周波数の電圧V21、V22も図25、図26に示すように増大し、かつその変化分ΔV21、ΔV22も増大し、これらは3.05秒の時点で判定値J4 、J5 以上になっている。
【0104】
その結果、図27に示すように、判定器58、60、AND回路62の検出信号S11〜S13は3.05秒の時点で「1」になり、それより継続時間判定器64における継続判定時間T3 (0.03秒)後に単独運転検出信号DSが出力されている。従って、単独運転発生から最終的に単独運転検出信号DSが出力されるまでの単独運転検出時間T4 は、0.05+0.03=0.08秒であり、図24で説明したように15m秒の遅れが生じたにも拘わらず、0.1秒以内の高速検出を実現することができている。即ち、15m秒程度の遅れであれば単独運転検出時間T4 に与える影響は小さい。
【0105】
ちなみに、電気設備技術基準の解釈第19条によれば、地絡事故発生後に分散電源の解列が完了するまでの時間として1秒以内が求められており、変電所4の遮断器8は、通常、地絡事故検出後、約0.9秒で解列するので、残された0.1秒以内という高速で分散電源の単独運転を検出することが要請されているが、上記単独運転監視装置40aでこれを満たすことができることが確かめられた。
【0106】
(2−3)単独運転発生直後に瞬低発生時
変電所4の遮断器8が開放されて単独運転が発生した直後に瞬低が発生した場合を図28〜図33に示す。これらは、上記図22〜図28に示す単独運転発生と図16〜図21に示す瞬低発生とを合せたものに相当するのでそれらとの相違点を主体に説明する。なお、遮断器8が開放されて単独運転が発生すると、上位系統2からの電流供給が絶たれるので、分散電源保有設備20内の分散電源28の合計出力よりも、各分散電源保有設備20内の負荷や負荷11等の合計負荷の方が大きい場合に瞬低が引き続いて起こり得るので、それを模擬したものである。
【0107】
単独運転の発生状況および瞬低の発生状況は先のシミュレーションの場合と同じである。この場合の連系点電圧Vs 、第1フィルタ42の出力電圧S1 、その絶対値S3 、系統擾乱判定器46の検出信号S7 、補正器48の出力電圧S8 を図28〜図30に示す。これらは、図22〜図23と図16〜図17とを合せたものに相当する。なお、図29(C)において検出信号S7 が2回しか出力されていないのは、注入周波数成分の振幅誤差V23が連続して出力されている間は検出信号S7 は1回しか出力されないからである。これは図11〜図12の説明参照。
【0108】
以上の結果、図30に示すように、補正器48の出力電圧S8 の内、b部の信号として、その0.1秒前のa部の信号が出力される。その結果、単独運転発生直後の3.0秒付近の出力電圧S8 には、第1フィルタ42からの上記誤差電圧V3 が含まれることはなく、注入周波数の電圧V20のみが含まれることになり、これが離散フーリエ変換器50、52に供給される。
【0109】
なお、3.1秒直後の誤差電圧V3 は補正器48を素通りしたものであり、3.2秒直後の誤差電圧V5 は当該誤差電圧V3 を補正器48で0.1秒遅延して出力したものである。これらが出力電圧S8 に含まれていても、上述したように(かつ以下に述べるように)、単独運転発生から0.1秒以内には単独運転検出が既に完了しているので、特に支障はない。
【0110】
上記置き換えを行っても、上記と同様に、離散フーリエ変換器50、52に供給される出力電圧S8 中の注入周波数の電圧V20は単独運転発生直後に増大するので、当該注入周波数の電圧V20を構成している他群の注入周波数の電圧V21、V22も図31、図32に示すように増大し、かつその変化分ΔV21、ΔV22も増大し、これらは3.05秒、3.06秒の時点でそれぞれ判定値J4 、J5 以上になっている。
【0111】
その結果、図33に示すように、判定器58の検出信号S11は3.05秒、判定器60、AND回路62の検出信号S12、S13は3.06秒の時点でそれぞれ「1」になり、検出信号S13の出力から継続時間判定器64における継続判定時間T3 (0.03秒)後に単独運転検出信号DSが出力されている。従って、単独運転発生から最終的に単独運転検出信号DSが出力されるまでの単独運転検出時間T4 は、0.06+0.03=0.09秒であり、この場合も同時発生した瞬低に殆ど影響されることなく、0.1秒以内の高速検出を実現することができている。
【0112】
ところで、前述したように、第2フィルタ44を設けずに、第1フィルタ42からの出力電圧S1 をそのまま系統擾乱判定器46に供給してそれを判定しても良いけれども、この実施形態のように第2フィルタ44を設ける方が好ましい理由は次のとおりである。
【0113】
第2フィルタ44を設けない場合、系統擾乱判定器46には第1フィルタ42からの出力電圧S1 が供給され、それを系統擾乱判定器46において判定値J3 と比較して判定することになる。この出力電圧S1 には、例えば図16(B)に示すように注入周波数の電圧V20も含まれているので、この注入周波数の電圧V20で誤って系統擾乱(例えば瞬低)と判断しないようにするためには、系統擾乱判定器46における判定値J3 を、図17(B)に示すものよりも大きくして、定常時の注入周波数の電圧V20のレベルよりも大きく、かつ誤差電圧V4 よりも小さくする必要がある。ところが、定常時の注入周波数電圧V20のレベルは系統条件(負荷、配電線亘長、配電用変圧器14のリアクタンス等)によって変動するので、これに合せて判定値J3 を調整する必要があり、面倒である。
【0114】
これに対して、この実施形態のように、注入周波数の電圧を除去する第2フィルタ44を設けておくと、系統擾乱判定器46に供給される出力電圧S2 に含まれている注入周波数成分電圧のレベルは、例えば図17(A)に示すように、定常時はゼロである。系統条件が変っても定常時はゼロのままである。従って、判定値J3 をゼロよりも少し大きい一定値に設定しておいても良くなるので、当該判定値J3 の設定、調整等が簡単になり、装置の取り扱いが簡単になる。
【0115】
(3)他の実施形態
注入周波数の電圧を抽出する抽出器の前段に上記のような第1フィルタ42、第2フィルタ44、系統擾乱判定器46および補正器48を設ける技術は、上記第1の実施形態のような、うなりを利用するもの以外の次数間電流注入方式の単独運転検出装置にも広く適用することができる。即ち、分散電源保有設備側から配電系統に当該配電系統の基本波周波数の1倍よりも大きい非整数倍の注入周波数の注入電流を注入する電流注入装置と、分散電源保有設備と配電系統との連系点における電圧から、注入周波数の電圧を抽出器によって抽出し、当該注入周波数の電圧を用いて、分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号を出力する単独運転監視装置とを備えている単独運転検出装置に広く適用することができる。
【0116】
例えば、特開2000−287363号公報、特開2009−65794号公報等に記載されているような次数間電流注入方式の単独運転検出装置にも適用することができる。
【0117】
より具体例を説明すると、図5、図6に示す各分散電源保有設備20内の単独運転検出装置30を構成する電流注入装置32および同期制御装置34の代わりに、低圧配電線16に配電系統1の基本波周波数の1倍よりも大きい非整数倍の注入周波数mの注入電流を注入する電流注入装置を設け、かつ単独運転監視装置40aの代わりに図34に示すような単独運転監視装置40bを設けても良い。
【0118】
図34に示す単独運転監視装置40bを、図7に示した単独運転監視装置40aとの相違点を主体に説明する。第1フィルタ42、第2フィルタ44、系統擾乱判定器46および補正器48は前述したとおりである。そして、補正器48からの出力電圧S8 から、抽出器である離散フーリエ変換器50によって、上記注入周波数mの電圧Vm を抽出する。
【0119】
一方、連系点18を流れる電流Is から、抽出器である離散フーリエ変換器80によって、上記注入周波数mの電流Im を抽出する。連系点18を流れる電流Is は離散フーリエ変換器80に直接供給しても良い。瞬間的な系統擾乱が発生しても当該電流Is が急峻に変動することは少ないからである。それでも、この実施形態のように、フィルタ72、74、系統擾乱判定器76および補正器78を通して離散フーリエ変換器80に供給する方が、電流Is の急峻な変動の影響をより確実に防止することができるので好ましい。これらのフィルタ72等は、上記フィルタ42、44、系統擾乱判定器46および補正器48とそれぞれ同様の構成をしているので、重複説明は省略する。扱うものが電圧から電流に変るだけである。
【0120】
アドミタンス演算器57は、上記注入周波数の電圧Vm および電流Im を用いて、次式に従って、連系点18から見た配電系統1の上記注入周波数mのアドミタンスYm を演算して出力する。
【0121】
[数2]
m =Im /Vm
【0122】
判定器61は、アドミタンス演算器57からのアドミタンスYm を所定の判定値J7 と比較して、分散電源28の単独運転を検出して検出信号S14を出力する。変電所4の遮断器8が開放されて単独運転が発生すると、上位系統2の大きなアドミタンスが切り離されて遮断器8よりも下流側の配電系統1のアドミタンスは小さくなり、上記アドミタンスYm も小さくなるので、このアドミタンスYm を判定器61によって判定することによって、単独運転を検出することができる。
【0123】
判定器61は、アドミタンスYm の大きさそのものを判定するものでも良いけれども、上記判定器58の場合と同様に、アドミタンスYm の時間的な変化分ΔYm を判定する方が、より速く判定して、単独運転検出を高速化することができる。変化分ΔYm を判定する場合の判定器61の構成は、例えば図14または図15に示した判定器58と同様のものであるので、重複説明を省略する。扱うものが電圧からアドミタンスに変るだけである。
【0124】
継続時間判定器64は、図7に示したものと同様であるので、重複説明を省略する。
【0125】
アドミタンスとインピーダンスとは互いに逆数の関係にあるだけなので、上記アドミタンスYm の代わりに、注入周波数mのインピーダンスZm を算出してそれを上記と同様に判定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0126】
1 配電系統
18 連系点
20 分散電源保有設備
28 分散電源
30 単独運転検出装置
32 電流注入装置
34 同期制御装置
40a、40b 単独運転監視装置
42 第1フィルタ
44 第2フィルタ
46 系統擾乱判定器
48 補正器
50、52 離散フーリエ変換器(抽出器)
s 連系点の電圧
inj 注入電流
11、V12、V21、V22、V20 注入周波数の電圧
m 注入周波数のアドミタンス
DS 単独運転検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続された構成のシステムに適用されるものであって、
前記分散電源保有設備側から前記配電系統に、当該配電系統の基本波周波数の1倍よりも大きい非整数倍の注入周波数の注入電流を注入する電流注入装置と、
前記分散電源保有設備と前記配電系統との連系点における電圧から、前記注入周波数の電圧を抽出器によって抽出し、当該注入周波数の電圧を用いて、前記分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号を出力する単独運転監視装置とを備えている単独運転検出装置において、
前記単独運転監視装置は、前記抽出器の前段に、
前記連系点における電圧から、前記配電系統の基本波成分および奇数次高調波成分を除去した電圧を出力する第1フィルタと、
前記第1フィルタからの出力電圧を判定値と比較して、前者が後者以上である検出状態が所定時間内に1回以上生じたとき、所定時間幅の検出信号を最初の検出状態時に1回のみ出力する系統擾乱判定器と、
前記第1フィルタからの出力電圧を受け、かつ前記系統擾乱判定器からの検出信号に応答して、当該検出信号が出力されていないときは、前記第1フィルタからの出力電圧をそのまま出力してそれを前記抽出器に供給し、前記検出信号が出力されたときは、前記第1フィルタからの出力電圧を出力する代わりに、所定時間前の自分の出力電圧を所定時間ぶん出力してそれを前記抽出器に供給する補正器とを備えている、ことを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
【請求項2】
前記系統擾乱判定器は、
前記第1フィルタからの出力電圧の絶対値を演算して出力する絶対値演算器と、
前記絶対値演算器からの絶対値を判定値と比較して、前者が後者以上であるときにそれを表す信号を出力する比較器と、
前記比較器からの信号を受けるタイマであって、オフするタイミングを所定時間遅らせるオフディレイタイマと、
前記オフディレイタイマからの出力を受けるタイマであって、オンするタイミングを所定時間遅らせるオンディレイタイマと、
前記オフディレイタイマからの出力および前記オンディレイタイマからの出力を受け、両出力の排他的論理和を取って前記検出信号を出力する排他的論理和回路とを備えている請求項1記載の分散電源の単独運転検出装置。
【請求項3】
前記補正器は、
第1入力部、第2入力部および出力部を有していて、前記系統擾乱判定器からの検出信号に応答して、当該検出信号がオフの間は第1入力部を選択し、オンの間は第2入力部を選択するものであって、第1入力部に前記第1フィルタからの出力電圧が入力されるセレクタと、
前記セレクタの出力を所定時間記憶する記憶装置と、
前記記憶装置から読み出されたデータを所定時間遅らせて出力してそれを前記セレクタの第2入力部に供給する遅延回路とを備えている請求項1または2記載の分散電源の単独運転検出装置。
【請求項4】
前記第1フィルタと前記系統擾乱判定器との間に挿入されていて、前記第1フィルタからの出力電圧から、前記注入周波数成分の電圧を除去して出力する第2フィルタを更に備えている請求項1、2または3記載の分散電源の単独運転検出装置。
【請求項5】
前記単独運転監視装置は、前記抽出器によって抽出した前記注入周波数の電圧の変化分を判定して前記単独運転検出信号を出力するものである請求項1、2、3または4記載の分散電源の単独運転検出装置。
【請求項6】
前記単独運転監視装置は、前記抽出器によって抽出した前記注入周波数の電圧と、前記連系点を流れる前記注入周波数の電流の測定データとを用いて、前記連系点から見た前記配電系統の前記注入周波数のアドミタンスを演算し、当該アドミタンスの変化分を判定して前記単独運転検出信号を出力するものである請求項1、2、3または4記載の分散電源の単独運転検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−257357(P2012−257357A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127918(P2011−127918)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【Fターム(参考)】