説明

刈払い用回転刃

【課題】草木等の刈払い機先端への巻き付きを防止し、作業者への負担の軽減を図り、刈払い作業を能率的に行うことが可能な刈払い用回転刃を提供する。
【解決手段】円板状の台金の外周縁に刃先が形成されると共に、台金の中心部分に、刈払い機の取付フランジに取り付け可能な取付孔を有する取付面が形成された刈払い用回転刃であって、取付面の取付孔の外周側に、平面視略円形の側壁と、中心部分に取付フランジの外径より大きな内径の開口を有する底壁とを備えた巻付き防止カップを、固着手段により刈払い機側に突出する状態で一体的に固着したことを特徴とする。前記側壁の高さ寸法が刈払い機の回転伝達シャフトに接触しない寸法に設定され、前記側壁の底壁側にカップ内の水や切り屑等を遠心力により外部に排出する排出孔や軽量孔が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払い機に装着されて草や蔓、木等(草木等という)を刈払いする際に使用される刈払い用回転刃に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チップソー等の刈払い用の回転刃としては、例えば図8に示すものが知られている。この回転刃101は、円板状の台金102の中心部分の平坦な取付面102aに刈払い機104への取付孔103が形成されると共に、取付面102aの外側周囲に、下方に膨らんだ円環状の膨出部102bが形成されている。また、台金102の膨出部102bの外側には、刃先面102cが前記取付面102a方向に向けて反った状態で形成されている。
【0003】
そして、台金102の刃先部102c先端のチップ固着部には、掬い面と先端面を有するチップがそれぞれロー付けされ、この回転刃101が、その取付孔103を利用して取付ボルト105により刈払い機104の鋸受けフランジ104aに取り付けられている。なお、この種の回転刃としては、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平06−24429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような回転刃101にあっては、刃先(チップ)で刈り取った草木等が刈払い機104の鋸受けフランジ104a部分に巻き付いて、刈払い機104の回転数を低下させる場合があり、このような巻き付きを防止するために、作業者は予め刈払い機104の回転数を必要以上に高めた状態で作業を行っている。また、蔓等が巻き付いてしまった場合は、刈払い機104の回転数を高めることで巻き付いた蔓等を取り除いたり、回転数を高めても取り除けない場合は、刈払い作業を一端中断して手によって取り除いており、刈払い作業時に、作業者への負担が大きくなり易く、刈払い作業を能率的に行うことが難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、草木等の刈払い機先端への巻き付きを防止し、作業者への負担の軽減を図り刈払い作業を能率的に行うことができると共に、各種刈払い機に簡単に装着できて汎用性に優れた刈払い用回転刃を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、円板状の台金の外周縁に刃先が形成されると共に、台金の中心部分に、刈払い機の取付フランジに取り付け可能な取付孔を有する取付面が形成された刈払い用回転刃であって、前記取付面の取付孔の外周側に、平面視略円形の側壁と中心部分に前記取付フランジの外径より大きな内径の開口を有する底壁とを備えた巻付き防止カップを、固着手段により前記刈払い機側に突出する状態で一体的に固着したことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記側壁の高さ寸法が前記刈払い機の回転伝達シャフトに接触しない寸法に設定され、該側壁の底壁側に巻付き防止カップ内の水や切り屑等を遠心力により外部に排出可能な排出孔が形成されていることを特徴とする。さらに、請求項3に記載の発明は、前記側壁に軽量孔が形成されると共に、その上端縁にアール形状の返し部が形成されていることを特徴とする。また、請求項4に記載の発明は、前記取付面が刃先面と段差を有する如く形成されることにより、取付面の裏面側に凹部が形成され、該凹部内に前記固着手段が位置することを特徴とする。また、請求項5に記載の発明は、前記取付面が刃先面と平板状に形成されると共に、当該取付面と巻き付け防止カップの底壁とに該カップの内側方向に突出し互いに嵌合可能な凹部がそれぞれ形成され、該凹部内に前記固着手段が位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、台金の取付面の取付孔の外周側に、側壁と開口を有する底壁とを備えた巻付き防止カップが、固着手段により一体的に固着されているため、巻付き防止カップで刈払いされた草木等の刈払い機先端への巻き付きを防止することができて、作業者への負担の軽減を図り刈払い作業を能率的に行うことができる。また、台金に巻付け防止カップが予め一体的に固着されているため、回転刃を従来と同様に各種刈払い機に装着できて、その汎用性を向上させることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、側壁の高さ寸法が刈払い機の回転伝達シャフトに接触しない寸法に設定され、該側壁の底壁側に排出孔が形成されているため、巻付け防止カップを備えた回転刃を刈払い機にその回転に悪影響を与えることなく取り付けできると共に、カップ内の水や切り屑等を回転刃の回転時の遠心力により排出孔から外部に排出できる等、回転刃にスムーズな回転を得ることができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、側壁に軽量孔が形成されると共に、その上端縁にアール形状の返し部が形成されているため、軽量孔により巻付き防止カップを軽量化して刈払い作業の能率向上が図れると共に、返し部により巻付き防止カップの剛性を高めることができて、刈払い機の運搬時の該カップの変形等を防止できると共に、巻付き防止カップの安全性を高めることができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、段差により取付面の裏面側(反刈払い機側)に凹部が形成され、該凹部内に固着手段が位置しているため、リベットやスポット溶接等の固着手段を凹部内に位置させることができて、固着手段の摩耗や変形を防いで、巻付き防止カップを取付面に長期に亘り安定した状態で一体化(固着)することができる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、取付面と巻き付け防止カップの底壁とに該カップの内側方向に突出した凹部がそれぞれ形成され、該凹部内に固着手段が位置するため、平板状の台金であっても、リベットやスポット溶接等の固着手段を凹部内に位置させることができて、固着手段の摩耗や変形を防いで、巻付き防止カップを取付面に長期に亘り安定した状態で一体化(固着)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明に係わる刈払い用回転刃の一実施形態を示す平面図
【図2】 同そのA−A線に沿った矢視図
【図3】 同巻付き防止カップの側壁の拡大図
【図4】 同そのB−B線に沿った矢視図
【図5】 同刈払い機への取付状態を示す図
【図6】 本発明に係わる刈払い用回転刃の他の実施形態の刈払い機への取付状態を示す図
【図7】 本発明に係わる刈払い用回転刃の巻付き防止カップの変形例を示す図
【図8】 従来の刈払い用回転刃の刈払い機への取付状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明に係わる刈払い用回転刃の一実施形態を示している。図1及び図2に示すように、刈払い用回転刃1(回転刃1という)は、円板状で多数の軽量孔3a、3bが形成された台金2を有し、この台金2の中心位置には、後述する刈払い機5への取付孔4が形成されている。
【0016】
また、台金2は、取付孔4の外側に所定幅の平坦な取付面2aが形成され、この取付面2aの外側に反刈払い機5側に向けて高さ寸法h1突出した段差部2bが形成されると共に、この段差部2bの外側に平坦な刃先面2cが形成されている。この刃先面2cの先端である台金2の外周縁には、チップ固着部11と刃室10が一定間隔で多数形成され、各チップ固着部11には、刃先としての超硬合金からなるチップ7がそれぞれロー付けされている。なお、チップ7は、掬い面と先端面及び複数の固着面を有し、各固着面が台金2のチップ固着部11にロー付けされるようになっている。
【0017】
また、台金2には、前記段差部2bによりその内側に裏面視円形の空間状の凹部6が形成されると共に、取付面2aと刃先面2cとが平行に形成されることにより、前記チップ7の指向方向(外側への突出方向)と取付面2aが平行(同一方向の平面)となるように設定されている。
【0018】
そして、前記台金2の取付面2aには、巻付き防止カップ12が一体的に固着されている。この巻付き防止カップ12は、例えば板厚1.2mm程度の鋼板やアルミウム板の折り曲げ加工、あるいは各種樹脂の成形により、直径φ1が前記取付面2aの外径と略同一の略カップ形状に形成され、所定の高さ寸法h2を有する平面視円形の垂直な側壁12aと、この側壁12aの下端に連接された底壁12bとを有している。この巻付き防止カップの底壁12bの中心位置には、円形の開口12cが形成されている。この開口12cは、その内径が後述する刈払い機5の取付フランジである鋸受けフランジ5aの外径と図5に示すように略等しいか、あるいは大きく設定されている。
【0019】
また、側壁12aには、図3及び図4に示すように、円形の軽量孔14が例えば上下二段で千鳥状に円周方向に一定間隔で複数個形成されると共に、側壁12aの下端には底壁12bに接する状態で排出孔15が円周方向に所定間隔で複数個形成されている。なお、軽量孔14や排出孔15の大きさ(直径)は、刈払いした草木等が進入して巻付き防止カップ12自体に巻付かない所定の大きさで、排出孔15の場合は、内部の切り屑や土埃等が遠心力により外部に排出可能な例えば6mmの内径に設定されている。
【0020】
さらに、巻付き防止カップ12の側壁12aの上端には、該側壁12aを内側に折曲げることで外周面がアール形状に形成された返し部16が一体形成されている。なお、巻付き防止カップ12の大きさは、その外径(直径φ)が例えば134mm程度で、高さ寸法h2が例えば27mm程度に設定されるが、これらの寸法は台金2の外径や刈払い機5の形態等に応じてできるだけ大きい方が好ましい。
【0021】
そして、この巻付き防止カップ12は、図1及び図2に示すように、底壁12bと台金2の取付面2aに形成されたリベット孔を利用して、固着手段としてのリベット13により一体的に固着されている。このとき、リベット13は、円周方向に一定間隔で例えば6〜8個(図1では8個)設けられており、巻付き防止カップ12を台金2に固着した状態において、リベット13の台金2側の頭部が、図2に示すように、台金2の凹部6内に位置しリベット13の頭部が台金2の裏面側に突出しないようになっている。この巻付き防止カップ12により、後述する如くチップ7で刈払いされた草木等の刈払い機5先端への巻付きが防止される。
【0022】
このように構成された回転刃1は、図5に示すように、刈払い機5の回転伝達シャフト5a先端の取付フランジとしての鋸受けフランジ5bに、鋸割止カバー5c、鋸押えフランジ5d及び取付ボルト9を介して取り付けられる。この取付時に、回転刃1の取付面2aを刈払い機5の鋸受けフランジ5bの面に当接させることにより、回転刃1の凹部6内に取付ボルト9が位置した状態となり、その際、段差部2bの高さ寸法h1により、取付ボルト9の頭部が凹部6内に位置して外側(図5において下方)に突出しないようになっている。
【0023】
また、取付状態において、巻付き防止カップ12の底壁12bは、該底壁12bの開口12cの前述した大きさ設定により、開口12c内に刈払い機5の鋸受けフランジ5bが位置し、底壁12bと鋸受けフランジ5bが干渉しない状態となっており、回転刃1が刈払い機5に何等悪影響を受けることなく取り付けられている。また、巻付き防止カップ12の側壁12aの高さ寸法h2を、例えば使用する刈払い機5の形態等に応じて所定に設定することにより、側壁12aの上端と刈払い機5の回転伝達シャフト5aの外周面間に、所定の隙間寸法h3(例えば5〜15mm)が確保されるようになっている。なお、回転刃1の取付面2aの幅は、刈払い機5の鋸受けフランジ5bの外径より所定寸法大きく設定されており、取付面2aが鋸受けフランジ5bのフランジ面の全域に密着した状態となっている。
【0024】
そして、回転刃1の刈払い機5への取付状態で、刈払い機5を作動させると、回転刃1が所定回転数で回転し、その刃先面2c先端のチップ7が草木等に略直角に入る状態となって、草木等がスムーズに切断される、また同時に、切断された草木等は、巻付き防止カップ12の側壁12aの外周面に接触して跳ね返される状態となり、切断した草木等が刈払い機5の先端である鋸受けフランジ5b部分等に巻き付くことが防止される。また、巻付き防止カップ12内に貯まった草木の切り屑や土埃、あるいは草木の水滴や雨等の水は、該カップ12に設けた排出孔15により、図4の矢印イの如くカップ12外に排出され、その際、回転刃1の回転による遠心力でカップ12内の切り屑等が所定内径の排出孔15から外部に確実に排出されることになる。
【0025】
つまり、台金2の取付面2aに、刈払い機5側に突出した状態で、巻付き防止カップ12をリベット13で一体的に固着することにより、該カップ12の側壁12aで刈払い機5の鋸受けフランジ5bの外周側の全域を所定距離L(図5参照)隔てて覆うことができ、チップ7で切断された草木等の鋸受けフランジ5bへの接触自体を防止して、草木等の刈り払い機5等への巻き付けを防ぐことができる。
【0026】
このように、前記回転刃1によれば、台金2の取付面2aの取付孔4の外周側に、側壁12aと中心部分に開口12cを有する底壁12bとを備えた巻付き防止カップ12が、複数個のリベット13により一体的に固着されているため、巻付き防止カップ12で刈払いされた草木等の刈払い機5先端への巻き付きを防止することができて、刈払い作業時の作業者への負担の軽減を図り刈払い作業を能率的に行うことができる。また、台金2に巻付け防止カップ12が予め一体的に固着されて回転刃1が形成されているため、回転刃1を従来と同様の作業(手順)により各種形態の刈払い機5に装着したり交換することができる等、回転刃1の汎用性を向上させることができる。
【0027】
また、巻付き防止カップ12の側壁12aの高さ寸法h2が、刈払い機5の回転伝達シャフト5aに接触しない寸法に設定されているため、巻付け防止カップ12を備えた回転刃1を刈払い機5にその回転に悪影響を与えることなく取り付けできると共に、巻付き防止カップ12の側壁12aの底壁12b側に排出孔15が形成されているため、該カップ12内の切り屑や水等を遠心力により排出孔15から外部に排出することができ、回転刃1にスムーズな回転を容易に得ることができて、例えば雨の日の刈払い作業であっても、その作業を能率良く行うことができる。
【0028】
さらに、巻付き防止カップ12の側壁12aに軽量孔14が形成されているため、該カップ12自体を軽量化できて、回転刃1の重量増加を極力抑えて、刈払い作業の作業性を向上させることができる。また、巻付き防止カップ12の側壁12aの上端縁に、アール形状の返し部16が形成されているため、返し部16により側壁12aの剛性を高めて、例えば刈払い機5を移動する際の巻付き防止カップ12の変形等を防止できると共に、作業者が巻付き防止カップ12に触った場合等の安全性を高めることができる。
【0029】
また、台金2の取付面2aの反刈払い機5側である裏面側に段差部2bによる凹部6が形成され、この凹部6内にリベット13が位置しているため、リベット13の台金2側の頭部を凹部6内に確実に位置させることができて、リベット13の頭部の摩耗や変形等を防いで、巻付き防止カップ12を取付面2aに長期に亘り安定した状態で一体化(固着)することができて、安全な刈払い作業を行うことができる。
【0030】
また、前記回転刃1の場合、次のような付随的な作用効果を得ることができる。すなわち、台金2が取付面2aと段差部2b及び刃先面2cとを備え、取付面2aを刈払い機5に取付ボルト9で取り付けた際に、取付ボルト9の頭部が円形の凹部6内に位置するため、凹部6で取付ボルト9を保護して頭部の摩耗や変形等を防止することができ、回転刃1の刈払い機5に対する取り付けや取り外し時に、取付ボルト9を良好に回転操作できて、回転刃1の交換作業をスムーズに行うことができる。
【0031】
また、切断性能に影響する刃先面2cが取付面2aと平行に形成されているため、刃先としてのチップ7と取付面2a(刈払い機5への取付面)とが角度をもって、チップ7が草木等に斜めに入ることを防止でき、チップ7を草木等に略直角に入れることができて、回転刃1に良好な切れ味を容易に得ることができる。
【0032】
ところで、前記実施形態においては、台金2の取付面2aと刃先面2cとが段差部2bにより所定の段差を有するように形成したが、本発明はこの構成に限定されず、例えば図6に示すように、前記段差部2bをなくして取付面2aと刃先面2cとを平板状とした台金2にも適用することができる。すなわち、この回転刃1は、平板状の台金2が、取付孔4が形成された取付面2aと外周縁にチップ7が固着された刃先面2cを有し、取付面2aに軽量孔14や排出孔15等を有する巻付き防止カップ12がリベット13により一体的に固着されている。
【0033】
このとき、台金2の取付面2aには、刈払い機5側に突出した凹部18が形成され、巻付き防止カップ12の底壁12bには、カップ12内側方向に突出した凹部19が形成されている。この両凹部18、19は、重ねた際に、凹部19内に凹部18が嵌合するようになっており、この両凹部18、19においてリベット13により巻付き防止カップ12と台金2が一体的に固着されている。なお、凹部18、19は、取付孔4と同心円状の円環形状としても良いし、同心円状に位置する平面視円形の複数個の凹部としても良い。この凹部18、19により、リベット13の台金2側の頭部が、台金2の凹部19内に位置して、台金2の裏面側へ突出しないように設定されている。
【0034】
この回転刃1は、刈払い機5の鋸受けフランジ5bに、ボルト保護カバー17を介して取付ボルト9により取り付けられ、ボルト保護カバー17の外周外側に前記凹部18、19が位置するようになっている。この実施形態の回転刃1においても、巻付け防止カップ12により、刈払いされた草木等の刈払い機5先端への巻付きを防止できる等、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
また、リベット13の頭部を台金2の凹部19内に位置させることができて、リベット13の頭部の摩耗や変形等を防いで、巻付き防止カップ12を、平板状の台金2の取付面2aに長期に亘り安定した状態で一体化できる等の作用効果を奏することができる。また、互いに嵌合可能な凹部18、19により、台金2と巻付き防止カップ12の位置決めが確実に行えると共に、固着強度を高めることができる。この実施形態の場合、図6の二点鎖線で示すように、ボルト保護カバー17の外径を大きくして、リベット13部分を覆うようにし、台金2や巻付き防止カップ12の前記凹部18、19を省略して、台金2を略完全な平板状とすることもできる。
【0036】
なお、前記各実施形態においては、巻付き防止カップ12が、高さ寸法h2の垂直な側壁12aを有する構成としたが、例えば図7(a)に示すように、側壁12aを傾斜面12a2と垂直面12a1で形成したり、図7(b)に示すように、側壁12aを傾斜面で形成したり、あるいは図7(c)に示すように、側壁12aを曲面で形成する等、刈払い機5先端の全域を所定距離L隔てて覆うことが可能な適宜形状を採用することができる。
【0037】
また、前記各実施形態においては、固着手段としてリベット13を使用したが、例えばスポット溶接等の溶接を使用したり、台金2に巻付き防止カップ12を一体成形したり、あるいは台金2と巻付き防止カップ12をボルトにより着脱可能に固着する等、確実な固着状態が得られる適宜の手段を採用することができる。さらに、前記各実施形態における、チップ7の数や形状、台金2の取付面2aの幅や段差部2bの高さ寸法h1、軽量孔3a、3b、14や排出孔15の大きさや位置等も一例であって、本発明の各発明に係わる要旨を逸脱しない範囲において適宜の構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、円板状の台金の外周縁にチップが固着された回転刃(チップソー)に限らず、刃先が台金に一体成形された回転刃等、草木等の刈払いに使用される全ての回転刃に利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・回転刃、2・・・台金、2a・・・取付面、2b・・・段差部、2c・・・刃先面、4・・・取付孔、5・・・刈払い機、5a・・・回転伝達シャフト、5b・・・鋸受けフランジ、5d・・・鋸押えフランジ、6・・・凹部、7・・・チップ、9・・・取付ボルト、12・・・巻付き防止カップ、12a・・・側壁、12b・・・底壁、12c・・・開口、13・・・リベット、14・・・軽量孔、15・・・排出孔、16・・・返し部、17・・・ボルト保護カバー、18、19・・・凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の台金の外周縁に刃先が形成されると共に、台金の中心部分に、刈払い機の取付フランジに取り付け可能な取付孔を有する取付面が形成された刈払い用回転刃であって、
前記取付面の取付孔の外周側に、平面視略円形の所定高さの側壁と、中心部分に前記取付フランジの外径より大きな内径の開口を有する底壁とを備えた巻付き防止カップを、固着手段により前記刈払い機側に突出する状態で一体的に固着したことを特徴とする刈払い用回転刃。
【請求項2】
前記側壁の高さ寸法が前記刈払い機の回転伝達シャフトに接触しない寸法に設定され、該側壁の底壁側に前記巻付け防止カップ内や水や切り屑等を遠心力により外部に排出可能に排出孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の刈払い用回転刃。
【請求項3】
前記側壁に軽量孔が形成されると共に、その上端縁にアール形状の返し部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の刈払い用回転刃。
【請求項4】
前記取付面が刃先面と段差を有する如く形成されることにより、取付面の裏面側に凹部が形成され、該凹部内に前記固着手段が位置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の刈払い用回転刃。
【請求項5】
前記取付面が刃先面と平板状に形成されると共に、当該取付面と巻き付け防止カップの底壁とに該カップの内側方向に突出し互いに嵌合可能な凹部がそれぞれ形成され、該凹部内に前記固着手段が位置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の刈払い用回転刃。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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