説明

刈払機の防護カバー取付構造体

【課題】保護カバーの取付位置を変更する際に、ボルトが脱落して紛失することを防止できる刈払機の防護カバー取付構造体を提供する。
【解決手段】刈払機の防護カバー取付構造体20は、刈払機本体11から操作杆17が延出され、操作杆の基端部17a近傍において刈払機本体に第1〜第4のボルト36A〜36Dで防護カバー34が取り付けられている。この防護カバー取付構造体は、第1〜第4のボルトの各頭部36aにシート部材42が係合され、シート部材で第1〜第4のボルトが一体化され、シート部材に操作杆が貫通可能なシート貫通穴62を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機本体から操作杆が延出されるとともに、この刈払機本体に刈刃が回転自在に設けられ、この刈刃を覆う防護カバーが設けられた刈払機の防護カバー取付構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
刈払機は、雑草を刈る際の用途に応じて刈刃(例えば、ロータリ刃や糸刃など)が交換可能で、かつ、交換した刈刃の後上方を覆うように保護カバーの取付位置を変更可能に構成されている。
刈払機の防護カバー取付構造体として、例えば、保護カバーを支持するカバー支持部材に長孔を形成し、カバー支持部材に保護カバーを重ね、保護カバーの取付孔からボルトを長孔に差し込み、長孔から突出したねじ部をナットにねじ結合することによりカバー支持部材で保護カバーを支持するように構成したものが知られている。
【0003】
この防護カバー取付構造体によれば、ロータリ刃や糸刃を交換する際に、ボルトを緩めて、緩めたボルトを長孔に沿って移動させることで、交換したロータリ刃や糸刃に合わせて保護カバーの取付位置を変更することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−205843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の刈払機は、保護カバーの取付位置を変更するためにボルトを緩めた際に、緩めたボルトがナットから外れることが考えられる。
ボルトがナットから外れることで、ナットから外れたボルトが保護カバーの取付孔から脱落して紛失する虞がある。
【0006】
本発明は、保護カバーの取付位置を変更する際に、ボルトが脱落して紛失することを防止できる刈払機の防護カバー取付構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、刈払機本体から操作杆(操作フレーム)が延出され、前記操作杆の基端部近傍において前記刈払機本体に複数のボルトで防護カバーが取り付けられた刈払機の防護カバー取付構造体において、前記複数のボルトの各頭部にシート部材が係合され、前記シート部材で前記複数のボルトが一体化され、前記シート部材に前記操作杆が貫通可能なシート貫通穴を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記頭部に前記シート部材を係合するために、前記頭部に環状の係合溝部を備えるとともに、前記係合溝部に係合可能な係合穴を前記シート部材に備え、前記係合穴の周縁に径方向に延びるスリットが形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3は、前記複数のボルトで前記防護カバーに取付可能なプレート部材と、前記防護カバーに設けられ、前記プレート部材を所定の位置に配置可能な張出片と、を備え、前記プレート部材が所定の位置からずれて配置された場合、前記プレート部材を前記防護カバーに取り付けることを前記張出片で阻止可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項4は、前記プレート部材は、前記操作杆が貫通可能なプレート貫通穴を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、複数のボルトの各頭部にシート部材を係合して、シート部材で複数のボルトを一体化した(一体に連結した)。そして、シート部材にシート貫通穴を備え、シート貫通穴に操作杆を貫通させた。
よって、複数のボルトをシート部材を介して操作杆に連結させることができる。
これにより、複数のボルトを緩めて保護カバーの取付位置を変更する際に、緩めた複数のボルトが操作杆から脱落して紛失することを防止できる。
【0012】
請求項2に係る発明では、頭部に環状の係合溝部を備えるとともにシート部材に係合穴を備えた。そして、係合穴の周縁に径方向に延びるスリットを形成した。
係合穴の周縁にスリットを形成することで、係合穴の周縁近傍を複数の部位(以下、「周縁フラップ」という)に分割できる。
これにより、頭部の係合溝部に係合穴を嵌め込む際に、周縁フラップを弾性変形させて係合溝部に係合穴を容易に嵌め込むことができる。
【0013】
ここで、防護カバーを着脱する際に、通常、係合穴の近傍に応力が集中することを防止するために、複数のボルトを各々均等に締め付けたり、緩めたりする。
しかし、複数のボルトのうち1本だけを締め付けたり、緩めたりすることも考えられる。この場合、係合穴の周縁近傍が局部的に変形して係合穴の周縁近傍に応力が集中して亀裂などが発生することが考えられる。
【0014】
そこで、請求項1において、係合穴の周縁にスリットを形成して係合穴の周縁近傍を複数の周縁フラップに分割するようにした。
よって、複数のボルトのうち1本だけを締め付けたり、緩めたりした場合に、複数の周縁フラップが弾性変形して係合穴の周縁近傍に応力が集中することを防ぐことができる。
これにより、係合穴の周縁近傍に亀裂が発生することや、周縁近傍が破損することを防いで、係合穴からボルトが脱落することを防止できる。
【0015】
請求項3に係る発明では、防護カバーに張出片を備え、この張出片でプレート部材を所定の位置に配置可能とした。そして、プレート部材が所定の位置からずれて配置された場合、プレート部材を防護カバーに取り付けることを張出片で阻止可能とした。
よって、プレート部材を誤った位置に取り付けることを張出片で容易に確認することができるので、プレート部材を所定の位置に簡単に取り付けることができる。
【0016】
プレート部材を所定の位置に取り付けることで、プレート部材で防護カバーを正規の位置に取り付けることができる。
これにより、刈刃に合わせて防護カバーを正規の位置に簡単に取り付けることができるので、刈払機の使い勝手の向上を図ることができる。
【0017】
請求項4に係る発明では、プレート部材にプレート貫通穴を備え、このプレート貫通穴に操作杆を貫通させた。
よって、プレート貫通穴に操作杆を貫通させることで、操作杆にプレート部材を連結することができる。
これにより、複数のボルトを緩めて保護カバーの取付位置を変更する際に、プレート部材が操作杆から脱落して紛失することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る刈払機を示す側面図である。
【図2】図1の刈払機にロータリ刃を備えた防護カバー取付構造体を示す斜視図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】図3の防護カバー取付構造体を示す分解斜視図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図3の6−6線断面図である。
【図7】図6の7部拡大図である。
【図8】図4の防護カバー取付構造体を示す断面図である。
【図9】図3の9−9線断面図である。
【図10】本発明に係る防護カバーを誤った位置に組み付ける例を説明する分解斜視図である。
【図11】本発明に係る防護カバーを誤った位置に組み付けることを防止する例を説明する断面図である。
【図12】本発明に係る刈払機に糸刃を備えた防護カバー取付構造体を示す分解斜視図である。
【図13】図12の防護カバー取付構造体を示す断面図である。
【図14】図13の防護カバー取付構造体を組み付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」および「後(Rr)」は作業者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0020】
実施例に係る刈払機の防護カバー取付構造体(以下、「防護カバー取付構造体」と略記する)20について説明する。
図1に示すように、刈払機10は、刈払機本体11に設けられた刈刃13と、刈払機本体11のフレーム支持部12(図2も参照)から延出された操作杆(操作フレーム)17と、操作杆17の基端部17a近傍においてフレーム支持部12に設けられた防護カバー取付構造体20とを備えている。
【0021】
さらに、刈払機10は、操作杆17の先端部17bに設けられたエンジン22と、エンジン22の回転を刈刃13に伝えるために操作杆17に内通された駆動軸23と、操作杆17の先端部17b近傍に設けられた掛け部24と、操作杆17の略中央に設けられたハンドル25とを備えている。
【0022】
この刈払機10を用いて雑草27を刈る際には、作業者28の上半身28aに肩掛け用ベルト29を掛け、肩掛け用ベルト29に掛け部24を掛けて上半身28aで刈払機10を支える。
この状態で、エンジン22で刈刃13を回転させた後、左右のグリップ25aを手で握って操作杆17を前後左右に振りながら刈刃13で雑草27を刈ることができる。
【0023】
ここで、刈払機10は、その用途に応じて刈刃13がロータリ刃14(図2参照)や糸刃(ナイロン刃)15(図13参照)などに交換可能に構成されている。
また、防護カバー取付構造体20は、刈刃13をロータリ刃14や糸刃15などに交換した際に、交換したロータリ刃14や糸刃15などの後上方を覆うように防護カバー34の取付位置を変更可能に構成されている。
【0024】
以下、防護カバー取付構造体20の構成について詳しく説明する。
まず、刈払機10に刈刃13としてロータリ刃14を取り付けた例を図2〜図11に基づいて説明する。
図2〜図4に示すように、フレーム支持部12は、操作杆17の基端部17aが設けられ、操作杆17の周囲に左右の上ねじ孔30,31が形成されるとともに左右の下ねじ孔32,33(右下ねじ孔33は図10、図12参照)が形成されている。
【0025】
防護カバー取付構造体20は、刈刃13(ロータリ刃14)の後上方を覆う防護カバー34と、防護カバー34を位置決めするプレート部材35と、プレート部材35および防護カバー34をフレーム支持部12に取り付ける第1〜第4のボルト(複数のボルト)36と、第1〜第4のボルト36を一体に連結するシート部材42とを備えている。
さらに、防護カバー取付構造体20は、第1〜第4のボルト36がねじ結合可能な左右の上ねじ孔30,31および左右の下ねじ孔32,33を有するフレーム支持部12を備えている。
【0026】
防護カバー34は、ロータリ刃14の後上方を覆うカバー本体44と、カバー本体44の前端部44a(図8も参照)から上方に立ち上げられたカバー取付部45とを備えている。
カバー取付部45は、上方に開口する略U字状の取付溝部46が形成され、カバー取付部45の左上端部から後方に左張出片(張出片)47が張り出され(設けられ)、カバー取付部45の上右端部から後方に右張出片(張出片)48が張り出されている(設けられている)。
【0027】
左張出片47は取付溝部46の上左側に設けられ、右張出片48は取付溝部46の上右側に設けられている。カバー取付部45に左右の張出片47,48を設けることでプレート部材35を誤った位置に取り付けることを阻止できる。
よって、プレート部材35を所定の位置に取り付けることができ、防護カバー34を正規の位置(所定の位置)に取り付けることができる。
左右の張出片47,48の役割については図10、図11で詳しく説明する。
【0028】
取付溝部46は、略U字状に形成され、取付溝部46の開口部46aから操作杆17に嵌入可能に形成されている。
この取付溝部46は、操作杆17を取付溝部46の底部46b側(すなわち、図4の状態)と、取付溝部46の開口部46a側(すなわち、図10、図12の状態)に配置可能に形成されている。
【0029】
さらに、カバー取付部45は、取付溝部46の上左右側に左右の上調整穴51が一定間隔S1をおいて形成され、取付溝部46の中央左右側に左右の中央調整穴52が一定間隔S1をおいて形成され、取付溝部46の下左右側に左右の下調整穴53が一定間隔S1をおいて形成されている。
【0030】
また、左上調整穴51、左中央調整穴52および左下調整穴53が同一直線上に一定間隔S2をおいて配置されている。
さらに、右上調整穴51、右中央調整穴52および右下調整穴53が同一直線上に一定間隔S2をおいて配置されている。
【0031】
プレート部材35は、縦長のプレートで、上下方向の一方の辺(以下、「一辺」という)35aから上下方向の他方の辺(以下、「他辺」という)35bまでの長さ寸法が、左右の辺35c間の長さ寸法より大きく形成された縦長の板材である。
このプレート部材35は、一辺35a側寄りの部位35dにプレート貫通穴55が形成され、プレート貫通穴55の周囲に第1〜第4の取付穴56〜59が形成されている。
【0032】
ここで、刈払機10にロータリ刃14を取り付ける際には、プレート貫通穴55が下側に位置するようにプレート部材35を配置する。
プレート部材35を縦長の板材に形成することで、プレート部材35をカバー取付部45に取り付けた状態でカバー取付部45の取付溝部46を覆うことができる。すなわち、取付溝部46を作業者から見えないようにプレート部材35で隠すことができる。
【0033】
プレート貫通穴55は操作杆17が貫通可能な円形の穴である。
よって、プレート貫通穴55に操作杆17を貫通させることで、操作杆17にプレート部材35を連結することができる。
これにより、第1〜第4のボルト36を緩めて防護カバー34の取付位置を変更する際に、プレート部材35が操作杆17から脱落して紛失することを防止できる。
【0034】
第1、第2の取付穴56,57が左右方向に一定間隔S1をおいて形成されるとともに、第3、第4の取付穴58,59が左右方向に一定間隔S1をおいて形成されている。
また、第1、第3の取付穴56,58が上下方向に一定間隔S2をおいて配置され、第2、第4の取付穴57,59が上下方向に一定間隔S2をおいて配置されている。
【0035】
図4〜図6に示すように、シート部材42は、略矩形状に形成された樹脂製のプレートで、中央にシート貫通穴62が形成され、シート貫通穴62の周囲に第1〜第4の係合穴(係合穴)63が形成されている。
シート貫通穴62は、フレーム支持部12および操作杆17が貫通可能な円形の穴である。
【0036】
第1、第2の係合穴63が左右方向に一定間隔S1をおいて形成されるとともに、第3、第4の係合穴63が左右方向に一定間隔S1をおいて形成されている。
また、第1、第3の係合穴63が上下方向に一定間隔S2をおいて配置され、第2、第4の係合穴63が上下方向に一定間隔S2をおいて配置されている。
第1〜第4の係合穴63に第1〜第4のボルト36がそれぞれ係合されている。
【0037】
図7に示すように、第2係合穴63は、周縁63aに径方向に延びる複数のスリット68が形成され、複数のスリット68の先端に小穴69が形成されている。
第2係合穴63の周縁63aに複数のスリット68を形成することで、第2係合穴63の周縁63a近傍を複数の部位(以下、「周縁フラップ」という)71に分割できる。
よって、シート部材42を樹脂製のプレートとすることで、複数の周縁フラップ71を弾性変形させることができる。
第2係合穴63に第2ボルト36の頭部36a(係合溝部36e)が係合されている。
【0038】
図5に示すように、第2ボルト36は、六角穴36bが形成された頭部36aと、頭部36aから同軸上に延出された首下部36cと、首下部36cから同軸上に延出されたねじ部36dとを有する。
首下部36cにはロックワッシャ(スプリングワッシャ)73および平ワッシャ74が嵌合されている。ロックワッシャ73の内径、および平ワッシャ74の内径はねじ部36dの外径Dより小さく形成されている。
よって、ロックワッシャ73および平ワッシャ74を首下部36cに保持することができる。
【0039】
頭部36aは、第2係合穴63に係合可能な環状の係合溝部36eを備えている。
ここで、図7に示すように、第2係合穴63は周縁63aに弾性変形可能な周縁フラップ71を備えている。よって、第2係合穴63に頭部36aの先端部36f(図5参照)を差し込むことで周縁フラップ71を弾性変形させることができる。
周縁フラップ71を弾性変形させることで、頭部36aを第2係合穴63に簡単に差し込むことができる。これにより、係合溝部36eに第2係合穴63を容易に嵌め込むことが可能になり、第2係合穴63に係合溝部36eを係合させることができる。
【0040】
図4に示す第1ボルト36および第3〜第4のボルト36にも、第2ボルト36と同様に各頭部36aに係合溝部36eが形成されている。
また、図6に示すように、第1係合穴63および第3〜第4の係合穴63にも、第2係合穴63と同様に各周縁63aに複数のスリット68が形成されている。
【0041】
よって、第1係合穴63に第1ボルト36の係合溝部36eを容易に係合させることができる。また、第3係合穴63に第3ボルト36の係合溝部36eを容易に係合させることができる。さらに、第4係合穴63に第4ボルト36の係合溝部36eを容易に係合させることができる。
これにより、第1〜第4のボルト36の各頭部36aにシート部材42を係合することができるので、シート部材42で第1〜第4のボルト36を一体化する(連結する)ことができる。
【0042】
さらに、シート貫通穴62は操作杆17が貫通可能に形成されている。
よって、シート貫通穴62に操作杆17を貫通させることで、第1〜第4のボルト36をシート部材42を介して操作杆17に連結させることができる。
これにより、第1〜第4のボルト36を緩めて防護カバー34の取付位置を変更する際に、緩めた第1〜第4のボルト36が操作杆17から脱落して紛失することを防止できる。
【0043】
ところで、図4に示すように、第1〜第4のボルト36の各頭部36aにシート部材42を係合することで、第1、第2のボルト36が左右方向に一定間隔S1をおいて形成されるとともに、第3、第4のボルト36が左右方向に一定間隔S1をおいて形成されている。
また、第1、第3のボルト36が上下方向に一定間隔S2をおいて配置され、第2、第4のボルト36が上下方向に一定間隔S2をおいて配置されている。
【0044】
つぎに、第1〜第4のボルト36で防護カバー34を組み付ける例を説明する。なお、以下、構成の理解を容易にするために、第1〜第4のボルト36のうち、第1ボルト36A、第2ボルト36B、第3ボルト36Cおよび第4ボルト36Dとして説明する。
【0045】
図4に示すように、刈払機10にロータリ刃14を取り付ける際には、プレート貫通穴55が下側に位置するようにプレート部材35を配置する。
そして、図4、図8に示すように、第1ボルト36Aのねじ部36dをプレート部材35の第1取付穴56およびカバー取付部45の左中央調整穴52に貫通し、左中央調整穴52を貫通したねじ部36dを左上ねじ孔30にねじ結合する。
また、第2ボルト36Bのねじ部36dをプレート部材35の第2取付穴57およびカバー取付部45の右中央調整穴52に貫通し、右中央調整穴52を貫通したねじ部36dを右上ねじ孔31にねじ結合する。
【0046】
さらに、第3ボルト36Cのねじ部36dをプレート部材35の第3取付穴58およびカバー取付部45の左下調整穴53に貫通し、左下調整穴53を貫通したねじ部36dを左下ねじ孔32にねじ結合する。
加えて、第4ボルト36Dのねじ部36dをプレート部材35の第4取付穴59およびカバー取付部45の右下調整穴53に貫通し、右下調整穴53を貫通したねじ部36dを右下ねじ孔33(図10、図12参照)にねじ結合する。
【0047】
図9に示すように、第1、第2のボルト36A,36Bを左右の上ねじ孔30,31にねじ結合する(締め付ける)。さらに、第3、第4のボルト36C,36Dを左右の下ねじ孔32,33にねじ結合する(締め付ける)。
よって、防護カバー34のカバー取付部45にプレート部材35を重ね合わせた状態で、カバー取付部45およびプレート部材35をフレーム支持部12に取り付ける(固定する)ことができる。
具体的には、カバー取付部45およびプレート部材35は、フレーム支持部12のうち、操作杆17の基端部17a近傍の部位12aに取り付けられる(固定される)。
【0048】
この状態で、プレート部材35の他辺35bが左右の張出片47,48の下方に位置して左右の張出片47,48に干渉しない。
このように、プレート部材35の他辺35bが左右の張出片47,48に干渉しないことで、プレート部材35が所定の位置、すなわちプレート貫通穴55が下側に配置された位置に取り付けられる(図4参照)。
【0049】
よって、図6に示すように、プレート貫通穴55が取付溝部46の底部46b側に配置され、プレート貫通穴55に貫通された操作杆17が取付溝部46の底部46b側に保持される。
これにより、図2、図8に示すように、防護カバー34をプレート部材35でロータリ刃14に合わせた正規の位置に取り付けることができる。
なお、プレート部材35をカバー取付部45に取り付けた状態でカバー取付部45の取付溝部46を覆うことで、図3に示すように、取付溝部46を作業者から見えないように隠すことができる。
【0050】
ところで、刈払機10によれば、刈刃13をロータリ刃14や糸刃15(図13参照)などに合わせて防護カバー34の位置を変える際に、第1〜第4のボルト36A〜36Dを緩めたり、締め付けたりして防護カバー34を着脱することができる。
ここで、第1〜第4のボルト36A〜36Dを緩めたり、締め付けたりする場合、通常、第1〜第4の係合穴63の近傍に応力が集中することを防止するために、第1〜第4のボルト36A〜36Dを各々均等に締め付けたり、緩めたりする。
【0051】
しかし、第1〜第4のボルト36A〜36Dのうち1本だけを締め付けたり、緩めたりすることも考えられる。この場合、第1〜第4の係合穴63の周縁63a近傍が局部的に変形して第1〜第4の係合穴63の周縁63a(図6参照)近傍に応力が集中して亀裂などが発生することが考えられる。
【0052】
そこで、第1〜第4の係合穴63の周縁63aにスリット68を形成して第1〜第4の係合穴63の周縁63a近傍を複数の周縁フラップ71(図7参照)に分割するようにした。
よって、第1〜第4のボルト36A〜36Dのうち1本だけを締め付けたり、緩めたりした場合に、複数の周縁フラップ71が弾性変形して第1〜第4の係合穴63の周縁63a近傍に応力が集中することを防ぐことができる。
これにより、第1〜第4の係合穴63の周縁63a近傍に亀裂が発生することや、周縁63a近傍が破損することを防いで、第1〜第4の係合穴63から第1〜第4のボルト36A〜36Dが脱落することを防止できる。
【0053】
ここで、防護カバー34を誤った位置に組み付けることを防ぐ例を図10、図11に基づいて説明する。
図10に示すように、操作杆17の基端部17aやプレート貫通穴55を取付溝部46の開口部46a側に配置した状態で、第1、第2のボルト36A,36Bを左右の上調整穴51に誤って取り付け、第3、第4のボルト36C,36Dを左右の中央調整穴52に誤って取り付けることが考えられる。
この場合、防護カバー34が誤った位置(すなわち、ロータリ刃14(図2参照)に対応しない位置)に組み付けられることになり、この対策が望まれていた。
防護カバー34を誤った位置に組み付けた場合、例えば、プレート部材35でカバー取付部45の取付溝部46を覆うことができないなどの不具合が生じる。
【0054】
そこで、本実施例において、カバー取付部45の上左端部から後方に左張出片47を張り出し、取付溝部46の上右端部から後方に右張出片48を張り出した。
よって、プレート貫通穴55を取付溝部46の開口部46a側に配置するようにプレート部材35を配置した場合、図11に示すように、プレート部材35が左右の張出片47,48に当接する。
【0055】
プレート部材35が左右の張出片47,48に当接することで、プレート部材35をカバー取付部45に対して所定間隔だけ浮いた状態(離れた状態)に保つことができる。
プレート部材35をカバー取付部45に対して離れた状態に保つことで、第1、第2のボルト36A,36Bを左右の上ねじ孔30,31から離した状態に配置でき、かつ、第3、第4のボルト36C,36Dを左右の下ねじ孔32,33から離した状態に配置できる。
これにより、第1〜第4のボルト36を左右の上ねじ孔30,31や左右の下ねじ孔32,33にねじ結合することを防止できる。
【0056】
すなわち、カバー取付部45に左右の張出片47,48を設けることで、プレート部材35を誤った位置に取り付けることを容易に確認することができ、プレート部材35を所定の位置に簡単に取り付けることができる。
プレート部材35を所定の位置に取り付けることで、プレート部材35で防護カバー34を正規の位置(図2に示す位置)に取り付けることができる。
これにより、図2に示すように、ロータリ刃14に合わせて防護カバー34を正規の位置に簡単に取り付けることができるので、刈払機10の使い勝手の向上を図ることができる。
【0057】
つぎに、刈払機10に刈刃13として糸刃15を取り付けた例を図12〜図14に基づいて説明する。
図12、図13に示すように、刈払機10に糸刃15を取り付ける際には、プレート貫通穴55が上側に位置するようにプレート部材35を配置する。
【0058】
そして、第1ボルト36Aのねじ部36dをプレート部材35の第4取付穴59およびカバー取付部45の左上調整穴51に貫通し、左上調整穴51を貫通したねじ部36dを左上ねじ孔30にねじ結合する。
また、第2ボルト36Bのねじ部36dをプレート部材35の第3取付穴58およびカバー取付部45の右上調整穴51に貫通し、右上調整穴51を貫通したねじ部36dを右上ねじ孔31にねじ結合する。
【0059】
さらに、第3ボルト36Cのねじ部36dをプレート部材35の第2取付穴57およびカバー取付部45の左中央調整穴52に貫通し、左中央調整穴52を貫通したねじ部36dを左下ねじ孔32にねじ結合する。
加えて、第4ボルト36Dのねじ部36dをプレート部材35の第1取付穴56およびカバー取付部45の右中央調整穴52に貫通し、右中央調整穴52を貫通したねじ部36dを右下ねじ孔33にねじ結合する。
【0060】
これにより、図14に示すように、第1、第2のボルト36A,36Bを左右の上ねじ孔30,31にねじ結合する(締め付ける)。さらに、第3、第4のボルト36C,36Dを左右の下ねじ孔32,33にねじ結合する(締め付ける)。
よって、防護カバー34のカバー取付部45にプレート部材35を重ね合わせた状態で、カバー取付部45およびプレート部材35をフレーム支持部12に取り付ける(固定する)ことができる。
具体的には、カバー取付部45およびプレート部材35は、フレーム支持部12のうち、操作杆17の基端部17a近傍の部位12aに取り付けられる(固定される)。
【0061】
この状態で、プレート部材35の一辺35aが左右の張出片47,48の下方に位置して左右の張出片47,48に干渉しない。
このように、プレート部材35の一辺35aが左右の張出片47,48に干渉しないことで、プレート部材35が所定の位置、すなわちプレート貫通穴55が上側に配置された位置に取り付けられる(図12参照)。
【0062】
よって、プレート貫通穴55が取付溝部46の開口部46a側に配置され、プレート貫通穴55に貫通された操作杆が取付溝部46の開口部46a側に保持される。
これにより、図13に示すように、防護カバー34をプレート部材35で糸刃15に合わせた正規の位置に取り付けることができる。
なお、プレート部材35をカバー取付部45に取り付けた状態でカバー取付部45の取付溝部46を覆うことで、取付溝部46を作業者から見えないように隠すことができる。
【0063】
なお、本発明に係る刈払機の防護カバー取付構造体20は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、カバー取付部45に左右の張出片47,48を設けた例について説明したが、これに限らないで、カバー取付部45に左右の張出片47,48を設けないようにすることも可能である。
【0064】
また、前記実施例では、取付け用のボルトとして第1〜第4のボルト36(36A,36B,36C,36D)を備えた例について説明したが、これに限定しないで、取付け用のボルトの本数を3本などの他の本数にすることも可能である。
【0065】
さらに、前記実施例で示した刈払機10、刈払機本体11、刈刃13、ロータリ刃14、糸刃15、操作杆17、防護カバー34、プレート部材35、第1〜第4のボルト36(36A,36B,36C,36D)、頭部36a、係合溝部36e、シート部材42、左張出片47、右張出片48、プレート貫通穴55、シート貫通穴62、第1〜第4の係合穴63、周縁63aおよびスリット68などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、刈払機本体に操作杆が設けられるとともに刈刃が回転自在に設けられ、この刈刃を覆う防護カバーの取付構造体を備えた刈払機への適用に好適である。
【符号の説明】
【0067】
10…刈払機、11…刈払機本体、13…刈刃、14…ロータリ刃、15…糸刃、17…操作杆、17a…操作杆の基端部、20…刈払機の防護カバー取付構造体、34…防護カバー、35…プレート部材、36(36A,36B,36C,36D)…第1〜第4のボルト(複数のボルト)、36a…頭部、36e…係合溝部、42…シート部材、47…左張出片(張出片)、48…右張出片(張出片)、55…プレート貫通穴、62…シート貫通穴、63…第1〜第4の係合穴(係合穴)、63a…周縁、68…スリット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈払機本体から操作杆が延出され、前記操作杆の基端部近傍において前記刈払機本体に複数のボルトで防護カバーが取り付けられた刈払機の防護カバー取付構造体であって、
前記複数のボルトの各頭部にシート部材が係合され、前記シート部材で前記複数のボルトが一体化され、
前記シート部材に前記操作杆が貫通可能なシート貫通穴を備えたことを特徴とする刈払機の防護カバー取付構造体。
【請求項2】
前記頭部に前記シート部材を係合するために、前記頭部に環状の係合溝部を備えるとともに、前記係合溝部に係合可能な係合穴を前記シート部材に備え、
前記係合穴の周縁に径方向に延びるスリットが形成されたことを特徴とする請求項1記載の刈払機の防護カバー取付構造体。
【請求項3】
前記複数のボルトで前記防護カバーに取付可能なプレート部材と、
前記防護カバーに設けられ、前記プレート部材を所定の位置に配置可能な張出片と、
を備え、
前記プレート部材が所定の位置からずれて配置された場合、前記プレート部材を前記防護カバーに取り付けることを前記張出片で阻止可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の刈払機の防護カバー取付構造体。
【請求項4】
前記プレート部材は、
前記操作杆が貫通可能なプレート貫通穴を備えたことを特徴とする請求項3記載の刈払機の防護カバー取付構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−193746(P2011−193746A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61294(P2010−61294)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000162353)株式会社協同 (9)
【Fターム(参考)】