創傷包帯
創傷包帯は、互いに対向している前面並びに後面と、複数のレセプタクルとを規定している吸収性コアを有している。液体を通さず気体を通す裏面層が、吸収性コアの後面の少なくとも一部分に接続されている。レセプタクルは、吸収性コアの後面で開口し、吸収性コアの厚さ方向に所定距離だけ延びている。各レセプタクルは、吸収材料でできた複数の別個部材を収容している。裏面層は、創傷包帯によって滲出液が吸収されたときに少なくとも幾つかの別個部材がレセプタクルから膨張し移動するのを可能にするように十分に拡張可能なように構成されている。創傷包帯の吸収性コアを作る方法は、吸収性コアにレセプタクルを形成する工程と、レセプタクルを吸収材料で充填する工程とを有している。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、創傷包帯に関し、更に詳細には、改良された皮膚接着性および吸収能力を備えた構造を有する創傷包帯並びにこの創傷包帯を製造する方法に関する。
【0002】
従来は、創傷部からの創傷の液体(以下の文では概して滲出液と呼ぶ)と組織とを何らかの吸収材料で吸収することによって創傷を治療するために、様々の起源を有する多様な材料が使用されている。近年は、重合体ベースの創傷治療製品が、水蒸気、酸素透過性、細菌不透過性、および滲出液の吸収などの創傷部の環境的な要因を制御するために、次第に普及してきている。このような創傷治療製品は、体の部分に対する適合性、創傷ベッドへの選択的な接着性、および創傷部を囲む皮膚への接着性を含む特定の要求を満たすように作られ得る。
【0003】
近年では、密閉された、即ち耐湿性の包帯が、創傷の治療、特に圧力の痛みおよび腐敗などにおいて、次第に受け入れられてきている。様々のタイプの構造が、当分野で密閉包帯内で、もしくは、密閉包帯として使用されており、概して、滲出液を受け、吸収し、および保持するための構成部品を有していることが知られている。これらの創傷治療製品は、重合体フォーム、重合体フィルム、微粒子および繊維重合体、ヒドロゲル、および親水コロイドを有していることが典型的である。こうした構成部品の少なくとも1つを有する包帯により、余分な滲出液と有毒成分とを取り除く一方で湿潤環境を与えることによって、創傷の回復が促進される。更に、これは、創傷を第2の細菌感染から保護するためのバリアとして働く。これら公知の密閉創傷包帯が創傷を効果的に処置する一方で、所定の制限もしくは欠点を多く有していることも分かっている。
【0004】
創傷の治療において、創傷包帯の主要な目的の1つが、侵漬を減じるかなくし、創傷の回復処置を容易にするために、包帯の吸収能力の利用を向上させる、即ち、最大にすることである。濡れた創傷の微環境が保持される場合は、滲出液の制御が最も重要である。残念なことに、多くの創傷包帯は、創傷が生じる滲出液の全てを取り除くので、創傷の治療処置もしくはその他の処置で望ましくない“乾燥した”創傷が発生されることが分かっている。このような創傷包帯は、滲出液を不十分に吸収もしくは制御する結果、細菌増殖の危険を増し感染を招く滲出液の貯留を生じることが分かっている。
【0005】
従来技術の多くの創傷包帯は、吸収能力を備えた吸収層を有している。この吸収層は、滲出液を吸収し創傷包帯が数日間の間所定位置に保持され得るようにする親水性の材料を収容していることが典型的である。このような吸収層は、米国特許No.4,373,519および米国特許No.6,566,576に開示された包帯のような親水コロイド粒子を収容する不織布材料もしくはフォーム、もしくは、米国特許No.5,409,472、米国特許No.5,782,787、米国特許No.6,040,492、米国特許No.6,051,747、および米国特許No.6,486,378に開示された包帯におけるような親水性フォーム層を有している場合がある。
【0006】
吸収層包帯は、創傷の滲出液を吸収するように構成されているが、吸収可能な滲出液の量において制限されるという欠点を有していることが多い。吸収剤フォームの最大吸収量に関する制限は、液体を吸収する前のその幾何学的なサイズに直接に関連していることが多い。例えば、親水性フォームは、その元のサイズの12〜15%までのみ膨張可能である。他の欠点としては、液体保持能力の低さにより、所定量の滲出液が吸収剤フォームの包帯の外に“圧迫され”得ることが分かっている。フォーム層、かくして包帯自体から滲出液が圧迫され得ることは、感染の危険をもたらし、創傷の治療の邪魔となり得る。
【0007】
公知の包帯の更なる欠点は、創傷と接触した吸収層による滲出液の吸収により、巻かれた包帯の中心部が膨張し、創傷を押圧することである。連続した膨張により、特に“硬化”硬化が生じ得る創傷包帯の縁部において、皮膚接着層が創傷部の外部の皮膚から分離され得る。この創傷包帯の過度の膨張は、更に、包帯の外周から滲出液の漏れを生じ得る。これによって、病原微生物の侵入区域を生じ、創傷部の浸漬を更に促進する。
【0008】
従来的には、滲出液が包帯に浸透するのを防ぐために吸収層に取着された液体不透過性フィルムを有する裏面層が、提供されている。液体の吸収時には、吸収性コアが膨張するにつれて、包帯の巻き上がりを生じさせることなく裏面層がこの吸収層の膨張部を収容しなくてはならないという困難が生じる。この問題に対する計画的な解決法が、吸収性コアが膨張するときに果たされ得る薄い伸縮性のあるシートで形成された裏面層を開示している米国特許No.4,738,257に説明されている。しかしながら、液体不透過性のプラスチックフィルムは、吸収層の膨張と調和する形で十分に伸張するようには形成されることができない。従って、膨張する吸収層の影響を弱めるフィルムが、包帯の縁部に上述したような巻き上がりを生じ得ないことが分かっている。他の提案された解決法は、吸収剤フォームコアに取着されフォームコアが膨張するとほぼ平らにされる複数のしわを有している裏面層を備えた創傷包帯を開示する米国特許No.6,040,492で示されている。裏面層がフォームコアの膨張部を収容できる一方で、この創傷包帯の液体の吸収は、フォームコアそれ自体の膨張可能性によって制限されている。従って、フォームコアの制限された吸収能力により、包帯はしょっちゅう取り替えられなくてはならない。
【0009】
理想的には、創傷包帯は、毒性でなく、単なる最小のアレルゲン性の反応のみを誘発しながら、創傷部に接着され得るように、実際に接着性でなくてはならない。更に、創傷包帯は、適当な水分透過率を与えながら、周囲の環境から細菌が創傷に入るのを防ぐことができなくてはならない。
【0010】
しかしながら、多くの公知の密閉の包帯が、包帯を皮膚に固定するために使用されている圧力感応接着層(例えば高い特別な接着性を有するアクリラート接着剤)のみを当てにするしかないという欠点を有することが分かっている。典型的には、接着剤のみを備えた創傷包帯は、創傷から取り外されるときに、包帯の中心部を創傷から剥ぎ取りやすく、この結果、組織の治療を損ない得る。
【0011】
創傷がシリコーンゲルの層でコーティングされた表面に接触する形の吸収剤フォームコアを有する創傷包帯が市販されている。シリコーンゲルは、ランダムに吸収剤フォームの孔隙の壁部の一部にしわをよせ、ランダムに形成された複数の孔を形成する。これらの孔は、硬化されていないシリコーンゲルがフォームコアに塗布されたときに、毛管作用によって形成される。このアプローチの1つの欠点は、シリコーンゲルが幾つかの孔隙を閉じる可能性があることである。もう1つの欠点は、孔が、滲出液がフォームコア中に吸収されるのを妨げる局所的な領域を招くようにランダムに形成されていることである。応用例によっては、創傷包帯の選択された領域で滲出液の吸収を増すように、この領域により多くの密集した孔を与えることが望ましいかもしれないが、このアプローチは、所定のパターンの孔の構成を含むことができない。更に、このアプローチのもう1つの欠点は、シリコーン層の表面の粗さが、コーティングされるフォームの表面に大きく左右されることであり、皮膚に装着される滑らかなシリコーン層を得ることが望ましい場合には、このアプローチは、そのような滑らかなシリコーン層を与えることができない。
【0012】
シリコーン製造の分野での進歩により、Ossur hf of Reykavik,Icelanおよび本発明の譲受人が、優れた柔らかさと優しい皮膚の接触とを与えて固有の皮膚治療成分を有し得る皮膚接触に合わせたシリコーン製品を製造できるようになった。特に、このようなシリコーン製造により、快適さの向上と、Ossur hfの専売特許のシリコーン技術を使用した優れた耐久性と密接さとを有する補綴サスペンションライナーの緩衝作用とが、進歩される。Ossur hfのシリコーン技術を極薄の多孔性かつ接着性のシリコーンシートを製造するために応用することにより、シリコーン層の一回もしくは繰り返しの取外しが原因となって皮膚および創傷ベッドを損傷することなく創傷部への優れて穏やかな接着性を与えるシリコーン接着性層が、製造され得ることが分かっている。
【0013】
様々の吸収性の創傷包帯の入手可能性にもかかわらず、創傷包帯を変えるときの外傷を防ぎ、創傷包帯の耐久性および寿命を向上させ、創傷に解剖学的に適合し、および向上された液体の吸収と保持と除去の特性を与える改良された創傷包帯の必要性と需要とが未だに存在している。公知の接着層のような欠点を有さず、代わって、優れた液体の吸収を可能にしながら、創傷部に穏やかに接着およびこれから離れる接着層を備えた創傷包帯を製造するのが望ましいことが、最も重要である。更に、単純かつ費用効率の高いこのような改良された創傷包帯を形成する改良された方法の必要性と需要とが存在している。
【0014】
本発明は、液体の吸収を増し、保持特性を向上させる優れた吸収剤を有した改良された創傷包帯を意図している。本発明の一実施形態では、創傷包帯は、互いに対向している前面および後面を規定し、少なくとも1つのレセプタクルが形成されている吸収性コアを有している。レセプタクルは、吸収性コアの後面で開口し、前記後面から吸収性コア中へその厚み方向に所定距離だけ延びている。各レセプタクルは、吸収材料の複数の別個部材を収容している。
【0015】
本発明の一実施形態では、創傷包帯は、互いに対向している前面および後面を規定し、少なくとも1つのレセプタクルが形成されている吸収性コアを有している。液体を通さず気体を通す裏面層は、吸収性コアの後面の少なくとも一部分に接続されている。レセプタクルは、吸収性コアの後面で開口し、この吸収性コアの厚さ方向に所定距離だけ延びている。各レセプタクルは、吸収材料の複数の別個部材を収容している。裏面層は、創傷包帯によって滲出液が吸収されると吸収材料の少なくとも幾つかの別個部材がレセプタクルから膨張し移動され得るように、十分に拡張可能なように構成されている。
【0016】
本発明の一実施形態では、創傷包帯は、吸収性コアの前面に取着された多孔性かつ皮膚接着性の表面層を有している。
【0017】
吸収材料の別個部材のレセプタクルの特性は、本発明の包帯に、改良された独特の特性を与えている。吸収材料の別個部材を組み込むことによって、相当量の滲出液を固定でき、許容部(compliant element)を備えた裏面層と共に、更に付加的な吸収層またはフォーム後の形成処理を必要とせずに吸収性コアの吸収能力の向上を可能にすることが最も明白である。吸収材料の付加はまた、均等な滲出液の吸収特性を与え、吸収性コアの機械的な完全さを妨げることなく、液体の吸収量を実質的に増す。更に、吸収材料とレセプタクルの配置とにより、吸収性コアによって創傷付近で保持される滲出液の量を減じながら、創傷からより多くの滲出液が運搬される。かくして、吸収性コアが膨張し創傷を押圧する傾向が減じられ、表面層の皮膚からの分離が無くされるか、少なくとも最小にされる。
【0018】
本発明の多くの他の欠点および特性が、本発明の以下の詳細な説明、実施例、図面、および請求項から更に明らかになるだろう。
【0019】
図1および2に示されているように、本発明の創傷包帯10は、好ましくは、多孔性で疎水性かつ皮膚接着性の表面層12と、吸収性コア14と、液体を通さず気体を通す裏面層16とを有している。図1に示されている創傷包帯は、乾燥状態にあるとき、実質的には水分を有していない。図2により十分に例示されているように、吸収性コア14は、創傷表面wに面するように意図された前面p
と、創傷表面から離れ、前面pの反対側の後面dとを有している。基本構成では、包帯10は、吸収性コア14の前面pに取着されている表面層12と、吸収性コア14の後面dの少なくとも一部分に取着され、シールされた裏面層16とを有している。
【0020】
好ましい実施形態では、前記吸収性コア14は、レセプタクル18が連続した円筒形の分室として形成されるような所定のパターンで配置された複数のレセプタクル18を規定している。図2に示されているように、これらレセプタクル18は、吸収性コア14の後面dで開口し、吸収性コア中へこの全厚さtより短い距離t1だけ延びている。レセプタクルは、様々の構成を想定でき、円筒形状であったり、吸収性コアの後面の少なくとも部分に沿って横方向に延びていてもよい。また、レセプタクルは、以下に述べられるような他の可能な構成も想定できる。これら複数のレセプタクル18は、創傷からの滲出液を吸収してレセプタクル18から裏面層16の方へ移動させる吸収材料でできた別個部材20を収容している。
【0021】
図2に示されているように、吸収性コア14は、中心部22、中間部23、および縁部24を概して規定している。裏面層16は、吸収性コア14の縁部24に取着され、その外周に沿ってシールされていると好ましい。縁部24は、外周エッジの付近に、即ちエッジに沿って形成されたべベル28を有し、レセプタクル18から接着性のない吸収材料20を包帯10内に保持するようにされていると好ましい。以下に十分に説明されるように、裏面層16は、包帯10が乾燥状態にあるときには吸収性コア14の中心部22に軽く接着されていると好ましい。
【0022】
包帯10の裏面層16は、吸収性コア14の中心部22と縁部24との間に配置された許容部26を有していると好ましい。許容部26は、中心部22とほぼ同心であり、包帯10が乾燥状態にある時には吸収性コア14に接着されなくてもよい裏面層16の一部分を有している。許容部26は、少なくとも1つの同心のリッジを有していると好ましい。図2が1つのみの同心リッジを備えた許容部26を有している包帯を示している。図3は、内側リッジ31および外側リッジ32が吸収性コア14の後面dから外方に延びて、これらリッジが許容部26の内側境界部と外側境界部とを概して構成するような複数のリッジを備えた包帯10を示している。
【0023】
許容部が様々の構成を想定できることが理解されるだろう。許容部の方向付けは様々の方向になされることができ、例えば、リッジは、許容部の縁部の側面の吸収性コアにほぼ平行な方向から、許容部の中心部の側面の吸収性コアにほぼ平行な方向までの様々の方向の範囲内に延びる。
【0024】
図5に概略的に示されているように、許容部26は、吸収性コアの中間部に概して沿って位置付けられるように制限されていない。許容部26は、この許容部26が創傷包帯の縁部または中心部の少なくとも一方で少なくとも1つのリッジ30またはそのセグメントを有し得る創傷包帯の縁部または中心部などに位置されてもよい。創傷包帯の縁部または中心部の少なくとも一方に許容部を有するように適用された創傷包帯は、吸収性コアの後面に対する裏面層の拡張可能性と膨張性とを向上させるために与えられる。
【0025】
表面層12は、吸収性コア14の前面pに取着されると好ましい。表面層12は、表面層12を吸収性コア14に取着する前に所定のパターンで穿孔された複数の孔34を有している。図2および4に概略的に示されているように、複数の孔34は、所定のパターンで配置され得る。複数の孔34は、創傷部から吸収性コア14へと滲出液を運ぶために、吸収性コア14の複数のレセプタクル18の領域またはその付近の領域に対応するように構成され得る。表面層12は、吸収性コア14の前面pのみに取着されていると好ましく、また、前面pの付近に形成された吸収性コア14の孔隙即ち穴の壁部をコーティングしないことが望ましい。しかしながら、表面層の前記部分は、吸収性コアに対する表面層の安定性を向上させるように、吸収性コアの前面または吸収性コアの孔隙に沿って配置された凸凹部を満たし得ることが理解されるだろう。
【0026】
本発明は、特定の動作機構として限定されることは望ましくないが、図6ないし8に示されているように、液体が滲み出る皮膚の創傷に包帯を巻いた後に包帯10として機能するように意図されている。本発明の文脈では、液体、水分、および滲出液という用語が、創傷と創傷包帯に関して取替え可能に使用されていることが理解されるだろう。包帯10は、吸収性コア14に入る滲出液の毛管作用と表面層12とによって部分的に創傷用ベッドbと閉じた同格に保持されている。
【0027】
図6に示されているように、創傷用ベッドbから滲出された液体が、孔34を通って吸収性コア14とレセプタクル18内に収容された吸収性材料20とに向かって吸収される。長期間にわたって創傷部に巻かれた後、この包帯10が、図7に示されているように、僅かに拡大されたドーム形のリザーバ構造36が吸収性コア14の中心部にわたって延びるような状態になる。リザーバ36は、レセプタクル18から所望の量の滲出液を吸収した吸収材料20によって形成され、その個別部材は、レセプタクルから膨張して移動し、これによって、裏面層16の拡張を生じる。膨張された滲出液を充填した吸収材料20の個別部材により、裏面層16が、予期できる形で吸収性コア14の後面dから分離され、包帯10が創傷部wにわたって更に連続して吸収および膨張するように上方に拡張される。更に、吸収性コア14が、横方向と長手方向との両方向に膨張し、吸収性コア14の領域が、液体の吸収を増しながら、概して大きくなる。
【0028】
裏面層16は、包帯10の縁部に沿ってシールされたままに留まるが、リザーバ36は、裏面層16と吸収性コア14の後面dとの間に規定されるように形成され、縁部24に沿ってシールされる。リザーバ36により、吸収材料20の膨張された個別部材がレセプタクルから移動可能にされ、創傷用ベッドbからの液体の保持を向上させる。許容部26は、吸収材料20の膨張により裏面層16の付加的な膨張を可能にして裏面層16に更なる可撓性と膨張性とを与えることによって裏面層16用の可撓性結合部として有効に働く。図8に示されているように、包帯10は、その最大膨張能力にほぼ達しており、裏面層16は、その限界まで拡張している。進行する膨張のこのステージでは、包帯10の縁部24が、吸収性コア14と吸収材料20との膨張並びに裏面層15の拡張を補う許容部26を設けたことによって創傷部wに接着されたままに留まることに、とりわけ注意すべきである。更には、リッジ30が概して裏面層16の隣接する部分に対して十分に平らになっておらず、吸収性コア14の後面dから、許容部26によって画定された裏面16の拡張部に関連して、概して外方に、少なくとも部分的に延びていることに、注意すべきである。
【0029】
好ましい表面層12はまた、吸収性コア14が横方向に膨張するにつれて伸張し得るような適当な弾性特性を有していることが理解されるだろう。
【0030】
包帯10が、滲出液が充填されたか十分に染み込まされた包帯として規定されるような最大膨張状態に達するまで膨張したときは、包帯10を取り外すか取り替えることが望ましい。水分が染み込まされたか十分に滲出液が充填されたステージにあるときにも、包帯10の縁部24に沿った角部が概して、図9に示されているように、滲出液が過度に吸収された場合を除いて創傷部wに接着されたままに留まる。これは、創傷部wを囲む皮膚に対して表面層12が十分な接着性を与えるためである。吸収性コア中への液体の吸収の程度に関連した包帯の膨張の程度を観察することによって、いつ包帯を取り外すのが適当かを視覚的に判断することができるだろう。
【0031】
図10に例示されているように、包帯10は、表面層12に配置された付加的な接着剤19を有している。接着剤19は、吸収性コア14の縁部の対応する部分またはその付近に表面層12に配置されていると好ましい。圧力感応接着剤19は、創傷包帯の分野で知られている接着性のある圧力感応シリコーンまたはアクリラート接着剤であると好ましい。
【0032】
好ましい実施形態では、吸収性コア14は、好ましくは体表に適合可能で液体を吸収可能な疎水性の合成ポリマーを有している。吸収性コアは、本発明の包帯の効果、具体的には吸収材料を収容しているレセプタクルへの液体の吸収を増すように急速に滲出液を吸収すると望ましい。吸収に加えて効果的なウィッキング機構を利用することも好ましい。即ち、吸収性コアは、局所集中を最小にして吸収性コアの効果を最大にするように、急速に液体を吸収性コアの前面から離れてより遠くの保存領域へと方向付ける(即ち、レセプタクルは、吸収材料の別個部材を収容している)。
【0033】
好ましい吸収性コアは、可撓性の開口セルで構成されている。このセルは、少なくとも微妙に疎水性ぎみである。適当なフォームは、30ないし700ミクロン、好ましくは50ないし300ミクロンの開口セルのサイズを有している。開口セルにより、液体および細胞残屑がフォーム中に運ばれ得る。このフォームの領域のセルのサイズは、毛細作用に働きかけ液体の運搬を促進するのに十分なサイズであることが望ましい。
【0034】
吸収性コアは、液体で飽和されると、そのサイズの約135%まで膨張可能である。本発明の表面層および裏面層と結合されると、吸収性コアは、滲出液が充填されたときは乾燥時のサイズの約110%まで膨張可能である。
【0035】
本発明の一実施形態に係われば、吸収剤フォームが、吸収性コアの厚み方向にわたって、セルのサイズが吸収性コアおよび後面の方向に減っていくようなセルのサイズの勾配を有している。セルのサイズが吸収性コアの前面またはその付近で大きくなることから、毛細作用が強くなり、その結果、吸収性コアの前面近くで液体を放出し、レセプタクルに向けて液体を吸収する。さらに、吸収剤フォームは、レセプタクルに向けて方向付けられたセルのサイズの勾配を有していてよく、これによって、吸収剤フォーム内に、液体の案内を果たすようにレセプタクルに向けての毛細作用を増すように構成された局所的な領域を与え得る。
【0036】
このフォームは、例えばポリウレタン、セルロース、カルボン酸ブタジエンスチレンゴム、ポリエステルフォーム、親水性エポキシフォーム、もしくはポリアクリレート(polyacrylate)から形成可能である。好ましい実施形態では、このフォームは、Reynel Inc.(Boothbay、ME)の製品表記(product designation)L00562-Bのポリウレタンフォームなどの、親水性ポリウレタンフォームから形成されている。上述されたフォームがそれ自体で親水性であることと、および吸収材料を収容しているレセプタクルの使用の観点とから、好ましい実施形態でフォームがより親水性となるようにこれを処理する必要はない。
【0037】
他の実施形態では、必要に応じて、滲出液が吸収材料に運ばれるのを防げることのないようにフォームが過度の親水性にはならない程度までより親水性にされ、これによって、滲出液がフォーム内でより急速に凝固する傾向を増すように、処理されていてもよい。このような実施形態では、吸収剤フォームの親水特性の程度は、フォームのセル中への液体の移動が容易にされるように、表面張力が最小にされるように設計され得る。かくして、液体は、創傷部の高い相対湿度を維持しながらも、吸収剤フォーム中に保持される。
【0038】
吸収性コアがフォームから構成されることに制限されないことが理解されるだろう。他の実施形態では、吸収性コアは、当分野の当業者が入手できる公知の材料を使用して幾つかの手段によって製造され得る多孔性の織布または不織布材料であってよい。例えば、吸収性コアは、ランダムまたはランダムでないアレイの形に配置された非常に短いセルロース繊維から成る分厚くゆるく形成されたウェブ、セルロースフレークのパッド、もしくは、高分子微小繊維マトリックスであってもよい。
【0039】
吸収性コアの厚さは、0.5mmないし20mmにおよび、好ましくは、3mmないし5mmの間である。
【0040】
吸収性コアは、これに形成されたレセプタクルのアレイを有してよく、本発明の包帯に適した十分な強度および可撓性を保持しながら、別個部材吸収材料の所望のバルクもしくは量を収容し得るような所定の適当な予め選ばれたパターンに形成され得る。図1に示された好ましい実施形態では、レセプタクル18のパターンは、格子状の構成である。このようなレセプタクルは、均等な所定の形状およびサイズを有し、吸収性コアの後面dを超えて延びていると好ましい。この実施形態では、複数のレセプタクルは、長方形のパターンに配置されており、概して、5mmだけ(各レセプタクルの中心軸から測定)互いに離間されている。各レセプタクルの深さは、概して4〜5mmであり、表面層から少なくとも0.5mmのところに配置されている。この実施形態では、パターンは、包帯の特定の領域においてその他の領域よりも多くのレセプタクルを有するように作られている。
【0041】
図11に示されている創傷包帯の実施形態では、包帯10の縁部24の近くよりも吸収性コア14の中心部22における方がレセプタクル18の密度が高くなっている。液体の吸収を最大にして、縁部など吸収性コアの所定領域における液体の吸収を制限するために、吸収性コアの所定の領域におけるレセプタクルの量は、より大量に局所的に発生する液体の認められる領域、例えば中心部などによって決まる。
【0042】
図2に示されているように、レセプタクル18は、吸収性コア14の後面で開口し、厚さ方向に所定距離だけ延びるように配置されている。好ましい一実施形態では、レセプタクルは、吸収性コア18の全厚さtより短い所定の距離t1だけ延びている。また、レセプタクルは、吸収性コア14の全厚さの70〜90%の長さだけ延びていると好ましい。しかし、創傷包帯の1実施形態では、レセプタクルは、吸収性コアの全厚さに達するまで延びていてよいことが理解されるだろう。
【0043】
創傷包帯の他の実施形態では、複数のレセプタクル18は、図13に示されているように、個々の位置および創傷部から滲み出た液体の局所的な発生に基づいて様々の距離だけ吸収性コア14の厚さ方向にそれぞれ延びるように配置され得る。この実施形態では、包帯10の中心部近くに配置されたレセプタクル18は、吸収性コア14の厚さ方向により深く延びており、吸収性コアの縁部近くに配置されたレセプタクルは、吸収性コア14の厚さ方向により浅く延びている。より深いレセプタクル18が、浅いレセプタクル18よりも多くの吸収材料20を収容し、かくして、より大きな局所的な吸収領域を与えることが理解できる。
【0044】
レセプタクルが好ましくは部分的にのみ吸収性コアの全厚さに達するまで延びていることから、滲出液は、移動されて吸収材料によって吸収される。この効果により、レセプタクルを有さない吸収性コアの前面が、過度の滲出液を吸収しない所望の湿度環境に維持される。このため、包帯は、長期間にわたって創傷部に保持され得る。
【0045】
図1および2に示されている好ましい実施形態では、個々のレセプタクル18の形状は、均等であり、概して円筒形である。レセプタクルの形状は、吸収材料の別個部材の密閉を最大にし、別個部材が液体によって増大されたときにその別個部材の移動を容易にするように、少なくとも部分的に選択されている。レセプタクルは、円筒形の構造に制限されず、ピラミッド形状、チャネル形状、半球形、円錐形、ブロック形、および面取りされた形状などの変形例およびこれらの組み合わせであってよい。さらに、レセプタクルは、その開口部から基部へと延びたテーパを有していてよい。この結果、レセプタクルは、基部よりも開口部近くの方がより大きな幅を有している。この構造により、吸収された水分が充填された吸収材料の別個部材がレセプタクルから容易に移動され、よって、水分がレセプタクルからより自由に流れ得る。代わりに、レセプタクルは、包帯の後面の横方向に沿ってランダムなパターンに配置され得る。
【0046】
吸収性コアの1実施形態では、レセプタクルは、吸収性コアの後面の少なくとも一部分に沿って横方向に延びた複数のチャネルを有していてもよい。この実施形態では、チャネルは、歯状の、または、起伏する断面外形を有していてよい。この実施形態は、吸収性コアが薄すぎて上述された円筒形レセプタクルなどのレセプタクルを形成できないような創傷包帯において有益である。
【0047】
個々のレセプタクルのサイズは、所定の適当なサイズであり、創傷部からの滲出液を十分に吸収できる適当な量の吸収材料を収容可能である。一般に、レセプタクルは、約500ないし5,000μm、好ましくは約1000〜3000μm(個々の高さと幅のディメンション)の断面を有するサイズにされている。好ましいパターンのレセプタクルは、1つのレセプタクルから他のレセプタクルまで、および中心軸から中心軸までの距離として規定された500〜5,000μm、好ましくは1000〜4500μmの反復距離を有している。
【0048】
好ましい実施形態で、複数のレセプタクルが創傷包帯の横方向にわたって均等な容量を有していることから、それぞれのレセプタクルは、吸収性コアの後面におけるその開口部の位置に応じて異なる容量を有していてよい。レセプタクルの様々の深さに関連した実施形態と同様に、吸収性コアの中心部またはその近くに配置されたレセプタクルは、吸収性コアの縁部近くのレセプタクルよりも大きな容量を有していてよい。様々の容量を有するレセプタクルは、同様に、様々の大量の吸収材料の別個部材を収容することが理解されるだろう。
【0049】
本発明の包帯で使用される吸収材料は、大量の水を吸収して水分に晒されると膨張して水和ゲル(ヒドロゲル)を形成する高吸収性の重合体の粒、フレーク、もしくはパウダーで構成されていると好ましい。本明細書では、高吸収剤は、大量の液体、即ち、1部に対し10ないし15部を超えた液体を吸収可能な材料として規定されている。これらの高吸収材料は、概して3つのクラス、即ち、でんぷん移植共重合体、交差結合されたカルボキシメチルセルロース派生品、および改良された親水性ポリアクリラートに分けられる。このような吸収剤重合体の例には、加水分解されたでんぷんアクリルニトリルグラフト(graft)共重合体、中和されたでんぷんアクリル酸グラフト共重合体、齢化されたアクリル酸エステルビニールアセテート共重合体、加水分解されたアクリロニトリル共重合体またはアクリルアミド共重合体、改良された交差結合ポリビニールアルコール、中和された自己交差結合ポリアクリル酸、交差結合されたポリアクリラート塩、カルボン酸セルロース、および中和された交差結合イソブチレンマレイン無水物共重合体がある。高吸収剤の微粒子親水性ポリマーはまた、米国特許No.4,102,340に詳しく説明されている。この特許は、交差結合されたポリアクリルアミドなどの吸収材料を開示している。本発明の包帯で使用されている高吸収材料の微粒子は、交差結合されたポリアクリル酸で構成されていると好ましい。
【0050】
高吸収剤の微粒子は商用であり、例えばでんぷんグラフトポリアクリラートヒドロゲルパウダーが、Hoechst-Calanese of Portsmouth,VAから市販されている。他の高吸収剤の粒子には、商標名SANWET(Sanyo Kasei Kogyo Kabushiki Kaishaによって提供されている)、SUMIKA GEL(Sumitomo Kagaku Kabushiki Kaishaによって提供され、重合された粉末粒子である溶液と対照的な重合された球形のエマルジョンである)、およびFAVOR(Degussa AG, Duseldorf, Germanyによって製造されている)がある。
【0051】
高吸収剤の粒子は、より大きな使用可能な表面領域親水コロイドを与えるために、顆粒もしくはフレークの形状であると好ましい。高吸収剤の粒子のサイズは、乾燥時に1ないし1000μmの範囲内にあるのが典型的である。吸収剤の粒子のサイズの範囲は、100ないし900μmであると好ましい。創傷内で溶けない粒子は、乾燥粒子1グラムにつき0.5倍以上の水を吸収する吸収能力を有している。
【0052】
他の実施形態では、吸収材料は、水と接触すると膨張する親水性ゲルであってよい。親水性ゲルは、概して細胞のまたは中空の内部構造を有さず、固体または半固体の形状を有している。親水性ゲルは、材料が生理的かつ臨床的に許容可能である限りは、親水コロイド、ヒドロゲル、およびこれらの組み合わせとなるように構成されていてよい。適当な親水性ゲルの説明が、Stickels等に特許された米国特許No.6,566,575で成されており、このような親水性ゲルは市販されている。
【0053】
創傷包帯の他の実施形態では、吸収性コアが、この吸収性コア内に網目状に設けられている吸収材料の複数の別個部材を有していてよい。このような吸収材料の別個部材は、吸収性コア内に自由に配置されて吸収性コア内で好ましくは後面に向かって移動可能にされている別の高吸収剤重合体の顆粒、フレーク、もしくはパウダーであってよい。創傷包帯の更なる他の実施形態では、吸収性コアは、網目状に設けられている吸収材料と、吸収材料の別個部材を収容しているレセプタクルとの両方を有していてよい。
【0054】
要約すると、これまで説明してきた吸収性コアの実施形態の各々において、その前面またはその面の付近の吸収性コアの一部分における液体の吸収が、最小にされ、レセプタクルまたはそれを超えた部分の吸収材料による液体の吸収が、最大にされることに注意すべきである。このような機構により、裏面層の形状と共同して、包帯が吸収できる液体の量が最大にされ、さらに、液体が皮膚に接触しないことから、患者が比較的長期間にわたって使用できる。
【0055】
裏面層は、本発明の包帯の全実施形態で使用されている。裏面層は、動物(人間を含む)にとって快適な解剖学的表面であり、液体不透過性だが気体透過性であると好ましい。上述されたように、裏面層は、吸収性コアと共同して、包帯が膨張されて水分が充填された状態にある時にはこれら裏面層とコアとの間にリザーバを形成するように作られ得る。裏面層は液体もしくは滲出液の通路を生じないが、吸収された滲出液の水分が、気体の形態で周囲の空気中へと裏面層を通過する。
【0056】
裏面層の好ましい実施形態は、水蒸気を通し積層が可能な弾性材料から形成されたバクテリアバリアを与える薄い重合体の弾性もしくは可撓性フィルムコーティングである。このフィルムは連続しており、フィルムの厚さ全体に延びるような穿孔部もしくは孔隙を有していない。このタイプのフィルムは、公知であり、一般的に、水蒸気を通す親水性の重合体材料である。
【0057】
裏面層は、吸収性コアの前面に取着されている。好ましい一実施形態では、裏面層は、吸収性コアの後面にのみ接着され、孔隙、セル、もしくはそのキャビティ内には侵入していない。一般的に、フィルムは、15ないし45μmの範囲内、好ましくは約30μmの厚さを有している。裏面層は、InteliCoat Technologies(South Hadley, MA)から製品表示INSPIREで市販されているポリウレタンフィルム(エラストマーポリエステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニールクロリド、およびポリエーテルアミドブロック共重合体の混合物)などのポリウレタンを有していてよい。本発明で使用するのに好ましい裏面層は、ポリウレタンフィルムである。これは、ポリウレタンフィルムが弾性特性を有していて、よい適合性、更に高程度の伸縮性を有し得るためである。
【0058】
本発明の裏面層は、少なくとも半透明であり、更に好ましくは、包帯が巻かれた創傷部が包帯を通して見えるくらいに十分に透明であると好ましい。包帯を扱う不要な操作をなくし、創傷を周囲に晒すことを防止して汚染の可能性を減じるために、包帯を取り外すことなく治療し、創傷を検診することが、効果的である。
【0059】
適当な連続した変形可能な裏面層は、裏面層単独で、38℃で、24時間につき1500ないし14600g/m2、好ましくは24時間につき2500ないし2700g/m2の水蒸気伝達率(MVTR)を有している。裏面層の厚さは、好ましくは10ないし1000μm、更に好ましくは100ないし500μmの範囲内である。本発明の表面層は、吸収性コアの前面に接着された疎水性で液体および水分不透過性の層であると好ましい。好ましい実施形態では、表面層は、例えば、NuSil Technology(Carpenteria, CA)によって製品表示MED-6340として製造された交差結合されたシリコーン(ポリジメチルシロキサンゲル)などの交差結合されたシリコーンエラストマーゲルである。表面層は、好ましくは0.05mmないし0.5mmの範囲内の厚さ、更に好ましくは0.1mmの厚さを有していると好ましい。創傷に対する包帯の適合性は、構成部品の厚さに幾分左右される。包帯が体の一部分に適合された時は、表面が動かされた時でさえも包帯が表面に適合する。表面が曲げられた後に曲げられていない位置に戻るときは、表面層は、関節部の屈曲とともに動くように伸びるが、表面が曲げられていない位置に戻される時には表面に適合し続けるように十分に弾性的にされている。
【0060】
シリコーンの表面層は、包帯を創傷に固定するために接着剤タイプの接着剤を使用する創傷包帯を上回る大きな利点を有している。特に、接着性のシリコーンゲルは、例外的に創傷に対して非接着的なコーティングを与えるが、周囲の皮膚に対しては十分に接着的である。更に、このようなゲルは、全体的に不動であり、熱もしくは体の滲出液によって影響を受けない。これは、本発明に係わる包帯が、実質的な期間、例えば数日間にわたって所定位置に配置された後でさえもこれらの非接着特性を保持することを意味する。
【0061】
シリコーンゲルの層は、基本的に柔らかい感触を有し、創傷部を覆って大きな接触領域を作り出すように部分的に皮膚の微小のキャビティおよび割れ目に流れることから、周囲の皮膚にやさしく接着する。この結果、シリコーン層を創傷の上に固定するために、接着剤を有する接着層を使用する公知の包帯よりも小さい接着力が必要とされるのみである。シリコーン層がより十分にその接着力を分配させることから、包帯が創傷部から取り外されるときも、その剥離強度は表皮細胞を剥ぎ取らない。従って、包帯は、皮膚および創傷部の創傷に損傷を与えずに再び巻かれることができる。更に、シリコーン層が疎水性であり、更に吸収性コアの毛管力が滲出液を包帯中に引き込むことから、このような層の下での水分の増加が防がれ、創傷包帯の装着者に傷を与えずに包帯が皮膚から持ち上げられ得る。
【0062】
本発明の包帯で表面層として使用されているシリコーンは、1未満のShore A硬度を有し、最も好ましくは、測定可能なShore A硬度を有していない。
【0063】
シリコーンが2つ以上のシリコーンの混合物を交差結合することによって形成されているとき、様々の構成部品の分子の重さと反応基によるその代用品の程度とは、異なっていることがある。これにより、異なる物理的特性を有するゲルが、構成部品の割合を単に変えることによって形成され得る。
【0064】
合成の表面層はまた、シリコーンエラストマー中に混合された例えばワセリンやアロエなどの1つ以上の皮膚治療剤を有していてよい。好ましい一実施形態では、合成の弾性層の重量の20%まで、好ましくは11.9%がワセリンであってよく、3%まで、好ましくは0.1%がアロエなどの第2の皮膚治療剤であってよい。皮膚治療剤によって治療される皮膚の状態に応じて、異なる、もしくは、付加的な治療剤が使用され得ることが、理解されるだろう。
【0065】
好ましい一実施形態では、シリコーンの表面層は、シリコーンゲルシートが吸収性コアに取着される前に形成された所定のパターンの孔を有するシリコーンゲルシートとして形成されている。これら孔は、0.05ないし1.0mmの直径を有し、1cm2につきほぼ50〜350の孔が設けられていることが典型的である。図2に示された好ましい一実施形態では、孔34が、概して均等なパターンで配置されるように示されているが、表面層12は、この配置に制限されない。
【0066】
シリコーンの表面層は、前面に沿ってほぼ平らであってよい。更に、シリコーンの表面層は、この表面に沿って配置された開口部、隙間、もしくは部分的な孔隙として形成された吸収性コアの表面の凸凹部に侵入するかこれらを補充している。
【0067】
図13に例示されている他の実施形態では、包帯10の中心部22に対応する表面層12内の孔34の密度が高くなっているのに対し、包帯の縁部付近でまたはこれに沿って孔34の密度が低くなっているか孔が存在していない。あるいは、表面層は、包帯の縁部、特に吸収性コアのベベルに対応する領域において、全体的に孔を有していなくてもよい。これにより、包帯の所定領域における液体の吸収が軽減されて、より効果的に滲出液を吸収する領域内での滲出液の吸収をより効果的に導くことができる。更に、他の実施形態では、レセプタクルを有する吸収性コアの一部分またはその付近に孔がより集中しているところがあり、これによって、レセプタクル中への滲出液の吸収を増進する。
【0068】
特に、表面層は、吸収性コアの前面のみに接着され、その厚さのほぼ50%の長さだけ吸収性コアに侵入している。吸収性コアに取着する前に孔を形成することによって、表面層は、セルをふさがず、吸収性コアのセルの内壁をコーティングしない。従って、表面層の適当な透過性が、表面層に適当なアレイ状に配置された孔を事前形成することによって得られるのが好ましい。かくして、シリコーンゲル層を通して液体の通過を確立させるのによりよい制御がなされる。
【0069】
表面層の厚さは、その長さ方向にわたって変化してよい。例えば、表面層は、より厚い表面層を有する領域で表面層により高い強度を与えるために、中心部に比べて創傷包帯の縁部付近がより厚くなった領域を有していてよい。
【0070】
更なる他の実施形態では、表面層は、それぞれ異なる特性を有する少なくとも2つの異なる層を有していてよい。例えば、創傷部に直接隣接して装着される柔らかい層が、創傷部にきっちりと適合するように与えられているのに対し、硬い層は、柔らかい層と吸収性コアとの間に配置されたこの硬い層が包帯に頑丈さと強度とを備えさせるように与えられている。幾層かに積層されたか、より適切な二重の受ロメーターを有している表面層は、2000年の10月24日に特許された本発明の譲受人によって所有された米国特許No.6,136,039(この開示は本明細書に組み込まれている)に説明されている原則を採用している。
【0071】
他の実施形態では、本発明の表面層は、埋め込み穿孔補強層によって補強されている上述されたタイプのシリコーン層を有していてよい。このような補強層は、不織布、編まれたか織られた布材料、もしくは、ポリウレタンで形成されたフィルムなどの重合体フィルムを有していてよい。この実施形態では、シリコーン層の孔は、補強層の穿孔部に概して対応している。
【0072】
非シリコーン層が、本発明の範囲から逸脱することなく本発明の包帯に採用され得ることが、理解されるだろう。このような表面層は、柔らかく、可撓性で、変形可能で、刺激がなく、過敏にさせないものであると好ましい。包帯は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、もしくはポリエステル材料などの様々の重合体によって加圧接着性接着剤を有して形成され穿孔されたベースフィルムを備えた表面層を有していてよい。更に、表面層は、水蒸気透過性フィルム、穿孔されたフィルム、織布、不織布、もしくはニットウェブ即ちスクリムの形態であってよい。接着剤は、低い外傷特性を有し濡れた皮膚によく接着する繊維の接着剤またはミクロスフィアであってよい。この接着剤は、表面層の一部分でのみコーティング可能であり、例えば、接着剤は、包帯の中心部が接着剤を有さず、縁部の周りにのみ塗布され得ることが、理解されるだろう。表面層は、液体がこれを通って吸収性コアへと通過され得るように、穿孔されていると好ましい。
【0073】
本発明の包帯は、本発明の範囲から逸脱することなく、例えば、薬剤、石鹸、消毒及び殺菌剤、悪臭管理剤、止血剤、たんぱく質、酵素、および核酸を含む材料の様々の組み合わせを有していてよい。これらの薬剤は、吸収性コア内に直接に組み込まれるか、分散され得ると好ましい。あるいは、これらの材料は、これらの材料を組み込みんた吸収性コアへの付加的な層を含む所定の適当な手段によって、包帯中に組み込まれ得る。
【0074】
適当な薬剤、石鹸、消毒および殺菌剤、たんぱく質、および酵素は、市販されている。このような薬剤は、抗真菌剤、抗菌剤、血管形成推進剤、および適当な薬剤を有していると好ましい。
【0075】
図10を参照しながら上述されているように、表面層12は、接着剤を有していてよい。この接着剤は、NuSil Technology(Carpenteria, CA)によって製造された製品表示MED‐1356の接着性シリコーン、または、NuSil Technology(Carpenteri, CA)によって製造された製品表示MED-6345の非常に接着性の強いシリコーンなどの圧力感応シリコーンであると好ましい。接着性シリコーンは、部分的に硬化された状態のときに接着性シリコーンが表面層に塗布されてこの表面層上で硬化を終えるように、表面層が硬化された後にシリコーンの表面層に塗布され得る。あるいは、接着剤は、接着剤を下地に塗布するための従来の方法を用いて表面層に塗布されるアクリラート接着剤もしくは熱溶解接着剤であってよい。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、接着性のシリコーンゲルが、NuSil Technology(Carpenteria,CA)によって製造されたMED‐6340の成分(parts)AおよびBなどの二液形シリコーンから作られる。2つの成分AおよびBの各々は、同じベース、ビニール置換(vinyl-substituted)、ポリ(ジメチスシロキサン)を有している。更に、成分Aは、成分Aと成分Bが混合された時にこれらの間の反応を容易にするようにプラチナ触媒を有している。成分Bは、交差結合するヒドリド収容シリコーンを有している。成分AおよびBの両方が、容易に混合され、別々に処理され、反応および硬化しない。
【0077】
接着性のシリコーンゲルは、比率1:1の徹底的な混合成分AおよびBによって生成される。かくして、ビニール置換シリコーンのビニールのグループが、触媒およびヒドリド収容シリコーンによって活性化され得る。この結果、シリコーンが交差結合されて、硬化し始める。硬化に必要な時間に影響する要因の1つが、成分AおよびBの混合された組み合わせの温度である。適当な温度の範囲は、50〜150°であり、好ましくは100〜130°である。硬化時間に影響するもう1つの要因は、成分AおよびBの組み合わせで使用される触媒の量である。しかし、触媒はまた、シリコーンゲルの接着性に好ましくなく影響する可能性がある。本発明では、100℃で硬化される厚さ0.1mmのシリコーンゲルの表面層の硬化時間が、ほぼ1分であり、シリコーンゲルの表面層は、成分Aと成分Bとが混合された後に3〜12秒の範囲内で部分的に硬化された状態のとき、通常は吸収性コアに移動される。
【0078】
接着性のシリコーンゲルを作るための上述された工程は、例示する目的のためだけに与えられているものであり、本発明は、この工程によって制限されないよう意図されていることが、理解されるだろう。部分的に硬化された接着性の表面層を作るための所定の適当な工程が、本発明の範囲内で使用され得る。
【0079】
本発明の文脈では、“部分的に硬化された”シリコーンは、シリコーンが完全に硬化されてはおらず、従って、シリコーンは、十分に交差結合されていないことを示す。部分的に硬化されたシリコーン層を果たすパラメータが、ゲル混合物および使用された吸収材料に対して経験的に確立されなくてはならないのが典型的である。“部分的に硬化された”シリコーン層を果たすためのパラメータが変化する可能性がある一方で、シリコーンゲルが十分に硬化されるのに必要な時間の比率が、シリコーン層が部分的に硬化されるかどうかを判断するために採用され得る。特に、本発明では、シリコーン層は、シリコーンゲルを硬化するのに必要な全時間の5〜70%で部分的に硬化される。従って、表面層を吸収性コアに塗布する時間間隔は、5〜40%、より好ましくは5〜20%の間ということになる。
【0080】
シリコーン層を硬化するとき、硬化時間を加速し、シリコーンゲルの接着性を減じるために、触媒が使用可能である。シリコーン触媒は、NuSil Technology(Carpenteria, CA)から製品表示CAT-50として市販されている。
【0081】
図14〜17に示されている方法において、本発明の包帯20の吸収性コア14の形成は、以下のように行なわれ得る。まず、複数の突起部材56が適当な温度まで加熱され、吸収性コア14の表面内に挿入される。突起部材56は、200〜300℃の範囲内の温度、好ましくは255℃に加熱される。突起部材56が、吸収性コア14中にその全厚さより短い長さだけ延びる。この突起部材56が、好ましくは、吸収性コア14のレセプタクル18の負の圧痕を生じるようなパターンに配置される。突起部材56が、所定時間ののちに、吸収性コア14から取り外されて、吸収性コア14内にレセプタクル18を形成する。
【0082】
吸収材料20の別個部材が、レセプタクル18を形成するのに使用された複数の突起部材56に対応する複数の孔64を有するアラインメントされた上プレート60と底プレート62との間にシリコーンフィルム58を位置させることによってレセプタクル18内に配置される。所定量の吸収材料20が、上プレート60の各孔内に配置される。続いて、レセプタクルを形成するのに使用された突起部材56が、吸収材料20を各レセプタクル18中に堆積させてその中で成形するように、上プレート60と底プレート62との複数の孔とシリコーンフィルム58とに貫通される。
【0083】
各レセプタクル内の大量の吸収材料は様々であってよいのに対し、濡れた吸収材料が膨張することから、吸収材料の量はレセプタクル全体を満たしていないことが好ましい。また、吸収材料の移動がふさがれる程度まで吸収材料の部分がレセプタクル内で成形されないことが本方法にとって重要であることが理解されるだろう。
【0084】
本発明は、吸収材料をレセプタクル内に堆積するための上述された方法に制限されないことが理解されるだろう。レセプタクル内での吸収材料の別個部材の挿入及び成形を制御しながら可能にする何らかの方法は、本発明の範囲内で採用され得る。
【0085】
例えば、高吸収剤の顆粒もしくはパウダーが使用される場合の、レセプタクル内に吸収材料を堆積するための1つのアプローチが、吸収材料を各レセプタクル中に堆積させ、余分な吸収材料を吸収性コアの表面から払い落とし、吹き飛ばし、および拭い去る工程を有している。吸収材料がレセプタクル内に落ち着くように不勢するために、振動テーブルもしくは同様の振動機構が使用可能である。
【0086】
上述された方法では、表面層および吸収性コアがその縁部で互いに少なくとも接着されシールされていることが、理解されるだろう。これが重要なのは、吸収材料の別個部材が創傷包帯から漏れないように、表面層が吸収性コアに接着されなくてはならないためである。
【0087】
本発明の上述された実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々の異なる形状、サイズ、および構成を採用し得ることが理解されるだろう。
【0088】
本発明の上述された実施形態は、事実上説明可能であり、その変形例を、当分野の当業者が思いつくであろうことが、理解されるだろう。従って、本発明は、本明細書に開示されている実施形態に制限されるものではなく、添付請求項に規定されている内容によってのみ制限されるように考慮されている。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態に係わる創傷包帯の斜視図である。
【図2】図1のII−II線で切断された創傷包帯の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わる創傷包帯の斜視図である。
【図4】本発明の表面層の一実施形態を示す平面図である。
【図5】図2の創傷包帯の他の実施形態の一部分の拡大図である。
【図6】創傷部を覆う図1並びに2の創傷包帯の進行する膨張を示す断面図である。
【図7】創傷部を覆う図1並びに2の創傷包帯の進行する膨張を示す断面図である。
【図8】創傷部を覆う図1並びに2の創傷包帯の進行する膨張を示す断面図である。
【図9】図8の創傷包帯の一部分の拡大図を示している。
【図10】本発明の表面層の一実施形態を示す平面図である。
【図11】本発明の吸収性コアのレセプタクルの一実施形態を示す平面図である。
【図12】本発明の表面層の一実施形態を示す平面図である。
【図13】本発明の表面層およびレセプタクルの他の実施形態を示す正面図である。
【図14】本発明の吸収性コア内のレセプタクルを形成するための処理を示す概略図である。
【図15】本発明の吸収性コア内のレセプタクルを形成するための処理を示す概略図である。
【図16】本発明の吸収性コア内のレセプタクルを形成するための処理を示す概略図である。
【図17】本発明の吸収性コア内のレセプタクルを形成するための処理を示す概略図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、創傷包帯に関し、更に詳細には、改良された皮膚接着性および吸収能力を備えた構造を有する創傷包帯並びにこの創傷包帯を製造する方法に関する。
【0002】
従来は、創傷部からの創傷の液体(以下の文では概して滲出液と呼ぶ)と組織とを何らかの吸収材料で吸収することによって創傷を治療するために、様々の起源を有する多様な材料が使用されている。近年は、重合体ベースの創傷治療製品が、水蒸気、酸素透過性、細菌不透過性、および滲出液の吸収などの創傷部の環境的な要因を制御するために、次第に普及してきている。このような創傷治療製品は、体の部分に対する適合性、創傷ベッドへの選択的な接着性、および創傷部を囲む皮膚への接着性を含む特定の要求を満たすように作られ得る。
【0003】
近年では、密閉された、即ち耐湿性の包帯が、創傷の治療、特に圧力の痛みおよび腐敗などにおいて、次第に受け入れられてきている。様々のタイプの構造が、当分野で密閉包帯内で、もしくは、密閉包帯として使用されており、概して、滲出液を受け、吸収し、および保持するための構成部品を有していることが知られている。これらの創傷治療製品は、重合体フォーム、重合体フィルム、微粒子および繊維重合体、ヒドロゲル、および親水コロイドを有していることが典型的である。こうした構成部品の少なくとも1つを有する包帯により、余分な滲出液と有毒成分とを取り除く一方で湿潤環境を与えることによって、創傷の回復が促進される。更に、これは、創傷を第2の細菌感染から保護するためのバリアとして働く。これら公知の密閉創傷包帯が創傷を効果的に処置する一方で、所定の制限もしくは欠点を多く有していることも分かっている。
【0004】
創傷の治療において、創傷包帯の主要な目的の1つが、侵漬を減じるかなくし、創傷の回復処置を容易にするために、包帯の吸収能力の利用を向上させる、即ち、最大にすることである。濡れた創傷の微環境が保持される場合は、滲出液の制御が最も重要である。残念なことに、多くの創傷包帯は、創傷が生じる滲出液の全てを取り除くので、創傷の治療処置もしくはその他の処置で望ましくない“乾燥した”創傷が発生されることが分かっている。このような創傷包帯は、滲出液を不十分に吸収もしくは制御する結果、細菌増殖の危険を増し感染を招く滲出液の貯留を生じることが分かっている。
【0005】
従来技術の多くの創傷包帯は、吸収能力を備えた吸収層を有している。この吸収層は、滲出液を吸収し創傷包帯が数日間の間所定位置に保持され得るようにする親水性の材料を収容していることが典型的である。このような吸収層は、米国特許No.4,373,519および米国特許No.6,566,576に開示された包帯のような親水コロイド粒子を収容する不織布材料もしくはフォーム、もしくは、米国特許No.5,409,472、米国特許No.5,782,787、米国特許No.6,040,492、米国特許No.6,051,747、および米国特許No.6,486,378に開示された包帯におけるような親水性フォーム層を有している場合がある。
【0006】
吸収層包帯は、創傷の滲出液を吸収するように構成されているが、吸収可能な滲出液の量において制限されるという欠点を有していることが多い。吸収剤フォームの最大吸収量に関する制限は、液体を吸収する前のその幾何学的なサイズに直接に関連していることが多い。例えば、親水性フォームは、その元のサイズの12〜15%までのみ膨張可能である。他の欠点としては、液体保持能力の低さにより、所定量の滲出液が吸収剤フォームの包帯の外に“圧迫され”得ることが分かっている。フォーム層、かくして包帯自体から滲出液が圧迫され得ることは、感染の危険をもたらし、創傷の治療の邪魔となり得る。
【0007】
公知の包帯の更なる欠点は、創傷と接触した吸収層による滲出液の吸収により、巻かれた包帯の中心部が膨張し、創傷を押圧することである。連続した膨張により、特に“硬化”硬化が生じ得る創傷包帯の縁部において、皮膚接着層が創傷部の外部の皮膚から分離され得る。この創傷包帯の過度の膨張は、更に、包帯の外周から滲出液の漏れを生じ得る。これによって、病原微生物の侵入区域を生じ、創傷部の浸漬を更に促進する。
【0008】
従来的には、滲出液が包帯に浸透するのを防ぐために吸収層に取着された液体不透過性フィルムを有する裏面層が、提供されている。液体の吸収時には、吸収性コアが膨張するにつれて、包帯の巻き上がりを生じさせることなく裏面層がこの吸収層の膨張部を収容しなくてはならないという困難が生じる。この問題に対する計画的な解決法が、吸収性コアが膨張するときに果たされ得る薄い伸縮性のあるシートで形成された裏面層を開示している米国特許No.4,738,257に説明されている。しかしながら、液体不透過性のプラスチックフィルムは、吸収層の膨張と調和する形で十分に伸張するようには形成されることができない。従って、膨張する吸収層の影響を弱めるフィルムが、包帯の縁部に上述したような巻き上がりを生じ得ないことが分かっている。他の提案された解決法は、吸収剤フォームコアに取着されフォームコアが膨張するとほぼ平らにされる複数のしわを有している裏面層を備えた創傷包帯を開示する米国特許No.6,040,492で示されている。裏面層がフォームコアの膨張部を収容できる一方で、この創傷包帯の液体の吸収は、フォームコアそれ自体の膨張可能性によって制限されている。従って、フォームコアの制限された吸収能力により、包帯はしょっちゅう取り替えられなくてはならない。
【0009】
理想的には、創傷包帯は、毒性でなく、単なる最小のアレルゲン性の反応のみを誘発しながら、創傷部に接着され得るように、実際に接着性でなくてはならない。更に、創傷包帯は、適当な水分透過率を与えながら、周囲の環境から細菌が創傷に入るのを防ぐことができなくてはならない。
【0010】
しかしながら、多くの公知の密閉の包帯が、包帯を皮膚に固定するために使用されている圧力感応接着層(例えば高い特別な接着性を有するアクリラート接着剤)のみを当てにするしかないという欠点を有することが分かっている。典型的には、接着剤のみを備えた創傷包帯は、創傷から取り外されるときに、包帯の中心部を創傷から剥ぎ取りやすく、この結果、組織の治療を損ない得る。
【0011】
創傷がシリコーンゲルの層でコーティングされた表面に接触する形の吸収剤フォームコアを有する創傷包帯が市販されている。シリコーンゲルは、ランダムに吸収剤フォームの孔隙の壁部の一部にしわをよせ、ランダムに形成された複数の孔を形成する。これらの孔は、硬化されていないシリコーンゲルがフォームコアに塗布されたときに、毛管作用によって形成される。このアプローチの1つの欠点は、シリコーンゲルが幾つかの孔隙を閉じる可能性があることである。もう1つの欠点は、孔が、滲出液がフォームコア中に吸収されるのを妨げる局所的な領域を招くようにランダムに形成されていることである。応用例によっては、創傷包帯の選択された領域で滲出液の吸収を増すように、この領域により多くの密集した孔を与えることが望ましいかもしれないが、このアプローチは、所定のパターンの孔の構成を含むことができない。更に、このアプローチのもう1つの欠点は、シリコーン層の表面の粗さが、コーティングされるフォームの表面に大きく左右されることであり、皮膚に装着される滑らかなシリコーン層を得ることが望ましい場合には、このアプローチは、そのような滑らかなシリコーン層を与えることができない。
【0012】
シリコーン製造の分野での進歩により、Ossur hf of Reykavik,Icelanおよび本発明の譲受人が、優れた柔らかさと優しい皮膚の接触とを与えて固有の皮膚治療成分を有し得る皮膚接触に合わせたシリコーン製品を製造できるようになった。特に、このようなシリコーン製造により、快適さの向上と、Ossur hfの専売特許のシリコーン技術を使用した優れた耐久性と密接さとを有する補綴サスペンションライナーの緩衝作用とが、進歩される。Ossur hfのシリコーン技術を極薄の多孔性かつ接着性のシリコーンシートを製造するために応用することにより、シリコーン層の一回もしくは繰り返しの取外しが原因となって皮膚および創傷ベッドを損傷することなく創傷部への優れて穏やかな接着性を与えるシリコーン接着性層が、製造され得ることが分かっている。
【0013】
様々の吸収性の創傷包帯の入手可能性にもかかわらず、創傷包帯を変えるときの外傷を防ぎ、創傷包帯の耐久性および寿命を向上させ、創傷に解剖学的に適合し、および向上された液体の吸収と保持と除去の特性を与える改良された創傷包帯の必要性と需要とが未だに存在している。公知の接着層のような欠点を有さず、代わって、優れた液体の吸収を可能にしながら、創傷部に穏やかに接着およびこれから離れる接着層を備えた創傷包帯を製造するのが望ましいことが、最も重要である。更に、単純かつ費用効率の高いこのような改良された創傷包帯を形成する改良された方法の必要性と需要とが存在している。
【0014】
本発明は、液体の吸収を増し、保持特性を向上させる優れた吸収剤を有した改良された創傷包帯を意図している。本発明の一実施形態では、創傷包帯は、互いに対向している前面および後面を規定し、少なくとも1つのレセプタクルが形成されている吸収性コアを有している。レセプタクルは、吸収性コアの後面で開口し、前記後面から吸収性コア中へその厚み方向に所定距離だけ延びている。各レセプタクルは、吸収材料の複数の別個部材を収容している。
【0015】
本発明の一実施形態では、創傷包帯は、互いに対向している前面および後面を規定し、少なくとも1つのレセプタクルが形成されている吸収性コアを有している。液体を通さず気体を通す裏面層は、吸収性コアの後面の少なくとも一部分に接続されている。レセプタクルは、吸収性コアの後面で開口し、この吸収性コアの厚さ方向に所定距離だけ延びている。各レセプタクルは、吸収材料の複数の別個部材を収容している。裏面層は、創傷包帯によって滲出液が吸収されると吸収材料の少なくとも幾つかの別個部材がレセプタクルから膨張し移動され得るように、十分に拡張可能なように構成されている。
【0016】
本発明の一実施形態では、創傷包帯は、吸収性コアの前面に取着された多孔性かつ皮膚接着性の表面層を有している。
【0017】
吸収材料の別個部材のレセプタクルの特性は、本発明の包帯に、改良された独特の特性を与えている。吸収材料の別個部材を組み込むことによって、相当量の滲出液を固定でき、許容部(compliant element)を備えた裏面層と共に、更に付加的な吸収層またはフォーム後の形成処理を必要とせずに吸収性コアの吸収能力の向上を可能にすることが最も明白である。吸収材料の付加はまた、均等な滲出液の吸収特性を与え、吸収性コアの機械的な完全さを妨げることなく、液体の吸収量を実質的に増す。更に、吸収材料とレセプタクルの配置とにより、吸収性コアによって創傷付近で保持される滲出液の量を減じながら、創傷からより多くの滲出液が運搬される。かくして、吸収性コアが膨張し創傷を押圧する傾向が減じられ、表面層の皮膚からの分離が無くされるか、少なくとも最小にされる。
【0018】
本発明の多くの他の欠点および特性が、本発明の以下の詳細な説明、実施例、図面、および請求項から更に明らかになるだろう。
【0019】
図1および2に示されているように、本発明の創傷包帯10は、好ましくは、多孔性で疎水性かつ皮膚接着性の表面層12と、吸収性コア14と、液体を通さず気体を通す裏面層16とを有している。図1に示されている創傷包帯は、乾燥状態にあるとき、実質的には水分を有していない。図2により十分に例示されているように、吸収性コア14は、創傷表面wに面するように意図された前面p
と、創傷表面から離れ、前面pの反対側の後面dとを有している。基本構成では、包帯10は、吸収性コア14の前面pに取着されている表面層12と、吸収性コア14の後面dの少なくとも一部分に取着され、シールされた裏面層16とを有している。
【0020】
好ましい実施形態では、前記吸収性コア14は、レセプタクル18が連続した円筒形の分室として形成されるような所定のパターンで配置された複数のレセプタクル18を規定している。図2に示されているように、これらレセプタクル18は、吸収性コア14の後面dで開口し、吸収性コア中へこの全厚さtより短い距離t1だけ延びている。レセプタクルは、様々の構成を想定でき、円筒形状であったり、吸収性コアの後面の少なくとも部分に沿って横方向に延びていてもよい。また、レセプタクルは、以下に述べられるような他の可能な構成も想定できる。これら複数のレセプタクル18は、創傷からの滲出液を吸収してレセプタクル18から裏面層16の方へ移動させる吸収材料でできた別個部材20を収容している。
【0021】
図2に示されているように、吸収性コア14は、中心部22、中間部23、および縁部24を概して規定している。裏面層16は、吸収性コア14の縁部24に取着され、その外周に沿ってシールされていると好ましい。縁部24は、外周エッジの付近に、即ちエッジに沿って形成されたべベル28を有し、レセプタクル18から接着性のない吸収材料20を包帯10内に保持するようにされていると好ましい。以下に十分に説明されるように、裏面層16は、包帯10が乾燥状態にあるときには吸収性コア14の中心部22に軽く接着されていると好ましい。
【0022】
包帯10の裏面層16は、吸収性コア14の中心部22と縁部24との間に配置された許容部26を有していると好ましい。許容部26は、中心部22とほぼ同心であり、包帯10が乾燥状態にある時には吸収性コア14に接着されなくてもよい裏面層16の一部分を有している。許容部26は、少なくとも1つの同心のリッジを有していると好ましい。図2が1つのみの同心リッジを備えた許容部26を有している包帯を示している。図3は、内側リッジ31および外側リッジ32が吸収性コア14の後面dから外方に延びて、これらリッジが許容部26の内側境界部と外側境界部とを概して構成するような複数のリッジを備えた包帯10を示している。
【0023】
許容部が様々の構成を想定できることが理解されるだろう。許容部の方向付けは様々の方向になされることができ、例えば、リッジは、許容部の縁部の側面の吸収性コアにほぼ平行な方向から、許容部の中心部の側面の吸収性コアにほぼ平行な方向までの様々の方向の範囲内に延びる。
【0024】
図5に概略的に示されているように、許容部26は、吸収性コアの中間部に概して沿って位置付けられるように制限されていない。許容部26は、この許容部26が創傷包帯の縁部または中心部の少なくとも一方で少なくとも1つのリッジ30またはそのセグメントを有し得る創傷包帯の縁部または中心部などに位置されてもよい。創傷包帯の縁部または中心部の少なくとも一方に許容部を有するように適用された創傷包帯は、吸収性コアの後面に対する裏面層の拡張可能性と膨張性とを向上させるために与えられる。
【0025】
表面層12は、吸収性コア14の前面pに取着されると好ましい。表面層12は、表面層12を吸収性コア14に取着する前に所定のパターンで穿孔された複数の孔34を有している。図2および4に概略的に示されているように、複数の孔34は、所定のパターンで配置され得る。複数の孔34は、創傷部から吸収性コア14へと滲出液を運ぶために、吸収性コア14の複数のレセプタクル18の領域またはその付近の領域に対応するように構成され得る。表面層12は、吸収性コア14の前面pのみに取着されていると好ましく、また、前面pの付近に形成された吸収性コア14の孔隙即ち穴の壁部をコーティングしないことが望ましい。しかしながら、表面層の前記部分は、吸収性コアに対する表面層の安定性を向上させるように、吸収性コアの前面または吸収性コアの孔隙に沿って配置された凸凹部を満たし得ることが理解されるだろう。
【0026】
本発明は、特定の動作機構として限定されることは望ましくないが、図6ないし8に示されているように、液体が滲み出る皮膚の創傷に包帯を巻いた後に包帯10として機能するように意図されている。本発明の文脈では、液体、水分、および滲出液という用語が、創傷と創傷包帯に関して取替え可能に使用されていることが理解されるだろう。包帯10は、吸収性コア14に入る滲出液の毛管作用と表面層12とによって部分的に創傷用ベッドbと閉じた同格に保持されている。
【0027】
図6に示されているように、創傷用ベッドbから滲出された液体が、孔34を通って吸収性コア14とレセプタクル18内に収容された吸収性材料20とに向かって吸収される。長期間にわたって創傷部に巻かれた後、この包帯10が、図7に示されているように、僅かに拡大されたドーム形のリザーバ構造36が吸収性コア14の中心部にわたって延びるような状態になる。リザーバ36は、レセプタクル18から所望の量の滲出液を吸収した吸収材料20によって形成され、その個別部材は、レセプタクルから膨張して移動し、これによって、裏面層16の拡張を生じる。膨張された滲出液を充填した吸収材料20の個別部材により、裏面層16が、予期できる形で吸収性コア14の後面dから分離され、包帯10が創傷部wにわたって更に連続して吸収および膨張するように上方に拡張される。更に、吸収性コア14が、横方向と長手方向との両方向に膨張し、吸収性コア14の領域が、液体の吸収を増しながら、概して大きくなる。
【0028】
裏面層16は、包帯10の縁部に沿ってシールされたままに留まるが、リザーバ36は、裏面層16と吸収性コア14の後面dとの間に規定されるように形成され、縁部24に沿ってシールされる。リザーバ36により、吸収材料20の膨張された個別部材がレセプタクルから移動可能にされ、創傷用ベッドbからの液体の保持を向上させる。許容部26は、吸収材料20の膨張により裏面層16の付加的な膨張を可能にして裏面層16に更なる可撓性と膨張性とを与えることによって裏面層16用の可撓性結合部として有効に働く。図8に示されているように、包帯10は、その最大膨張能力にほぼ達しており、裏面層16は、その限界まで拡張している。進行する膨張のこのステージでは、包帯10の縁部24が、吸収性コア14と吸収材料20との膨張並びに裏面層15の拡張を補う許容部26を設けたことによって創傷部wに接着されたままに留まることに、とりわけ注意すべきである。更には、リッジ30が概して裏面層16の隣接する部分に対して十分に平らになっておらず、吸収性コア14の後面dから、許容部26によって画定された裏面16の拡張部に関連して、概して外方に、少なくとも部分的に延びていることに、注意すべきである。
【0029】
好ましい表面層12はまた、吸収性コア14が横方向に膨張するにつれて伸張し得るような適当な弾性特性を有していることが理解されるだろう。
【0030】
包帯10が、滲出液が充填されたか十分に染み込まされた包帯として規定されるような最大膨張状態に達するまで膨張したときは、包帯10を取り外すか取り替えることが望ましい。水分が染み込まされたか十分に滲出液が充填されたステージにあるときにも、包帯10の縁部24に沿った角部が概して、図9に示されているように、滲出液が過度に吸収された場合を除いて創傷部wに接着されたままに留まる。これは、創傷部wを囲む皮膚に対して表面層12が十分な接着性を与えるためである。吸収性コア中への液体の吸収の程度に関連した包帯の膨張の程度を観察することによって、いつ包帯を取り外すのが適当かを視覚的に判断することができるだろう。
【0031】
図10に例示されているように、包帯10は、表面層12に配置された付加的な接着剤19を有している。接着剤19は、吸収性コア14の縁部の対応する部分またはその付近に表面層12に配置されていると好ましい。圧力感応接着剤19は、創傷包帯の分野で知られている接着性のある圧力感応シリコーンまたはアクリラート接着剤であると好ましい。
【0032】
好ましい実施形態では、吸収性コア14は、好ましくは体表に適合可能で液体を吸収可能な疎水性の合成ポリマーを有している。吸収性コアは、本発明の包帯の効果、具体的には吸収材料を収容しているレセプタクルへの液体の吸収を増すように急速に滲出液を吸収すると望ましい。吸収に加えて効果的なウィッキング機構を利用することも好ましい。即ち、吸収性コアは、局所集中を最小にして吸収性コアの効果を最大にするように、急速に液体を吸収性コアの前面から離れてより遠くの保存領域へと方向付ける(即ち、レセプタクルは、吸収材料の別個部材を収容している)。
【0033】
好ましい吸収性コアは、可撓性の開口セルで構成されている。このセルは、少なくとも微妙に疎水性ぎみである。適当なフォームは、30ないし700ミクロン、好ましくは50ないし300ミクロンの開口セルのサイズを有している。開口セルにより、液体および細胞残屑がフォーム中に運ばれ得る。このフォームの領域のセルのサイズは、毛細作用に働きかけ液体の運搬を促進するのに十分なサイズであることが望ましい。
【0034】
吸収性コアは、液体で飽和されると、そのサイズの約135%まで膨張可能である。本発明の表面層および裏面層と結合されると、吸収性コアは、滲出液が充填されたときは乾燥時のサイズの約110%まで膨張可能である。
【0035】
本発明の一実施形態に係われば、吸収剤フォームが、吸収性コアの厚み方向にわたって、セルのサイズが吸収性コアおよび後面の方向に減っていくようなセルのサイズの勾配を有している。セルのサイズが吸収性コアの前面またはその付近で大きくなることから、毛細作用が強くなり、その結果、吸収性コアの前面近くで液体を放出し、レセプタクルに向けて液体を吸収する。さらに、吸収剤フォームは、レセプタクルに向けて方向付けられたセルのサイズの勾配を有していてよく、これによって、吸収剤フォーム内に、液体の案内を果たすようにレセプタクルに向けての毛細作用を増すように構成された局所的な領域を与え得る。
【0036】
このフォームは、例えばポリウレタン、セルロース、カルボン酸ブタジエンスチレンゴム、ポリエステルフォーム、親水性エポキシフォーム、もしくはポリアクリレート(polyacrylate)から形成可能である。好ましい実施形態では、このフォームは、Reynel Inc.(Boothbay、ME)の製品表記(product designation)L00562-Bのポリウレタンフォームなどの、親水性ポリウレタンフォームから形成されている。上述されたフォームがそれ自体で親水性であることと、および吸収材料を収容しているレセプタクルの使用の観点とから、好ましい実施形態でフォームがより親水性となるようにこれを処理する必要はない。
【0037】
他の実施形態では、必要に応じて、滲出液が吸収材料に運ばれるのを防げることのないようにフォームが過度の親水性にはならない程度までより親水性にされ、これによって、滲出液がフォーム内でより急速に凝固する傾向を増すように、処理されていてもよい。このような実施形態では、吸収剤フォームの親水特性の程度は、フォームのセル中への液体の移動が容易にされるように、表面張力が最小にされるように設計され得る。かくして、液体は、創傷部の高い相対湿度を維持しながらも、吸収剤フォーム中に保持される。
【0038】
吸収性コアがフォームから構成されることに制限されないことが理解されるだろう。他の実施形態では、吸収性コアは、当分野の当業者が入手できる公知の材料を使用して幾つかの手段によって製造され得る多孔性の織布または不織布材料であってよい。例えば、吸収性コアは、ランダムまたはランダムでないアレイの形に配置された非常に短いセルロース繊維から成る分厚くゆるく形成されたウェブ、セルロースフレークのパッド、もしくは、高分子微小繊維マトリックスであってもよい。
【0039】
吸収性コアの厚さは、0.5mmないし20mmにおよび、好ましくは、3mmないし5mmの間である。
【0040】
吸収性コアは、これに形成されたレセプタクルのアレイを有してよく、本発明の包帯に適した十分な強度および可撓性を保持しながら、別個部材吸収材料の所望のバルクもしくは量を収容し得るような所定の適当な予め選ばれたパターンに形成され得る。図1に示された好ましい実施形態では、レセプタクル18のパターンは、格子状の構成である。このようなレセプタクルは、均等な所定の形状およびサイズを有し、吸収性コアの後面dを超えて延びていると好ましい。この実施形態では、複数のレセプタクルは、長方形のパターンに配置されており、概して、5mmだけ(各レセプタクルの中心軸から測定)互いに離間されている。各レセプタクルの深さは、概して4〜5mmであり、表面層から少なくとも0.5mmのところに配置されている。この実施形態では、パターンは、包帯の特定の領域においてその他の領域よりも多くのレセプタクルを有するように作られている。
【0041】
図11に示されている創傷包帯の実施形態では、包帯10の縁部24の近くよりも吸収性コア14の中心部22における方がレセプタクル18の密度が高くなっている。液体の吸収を最大にして、縁部など吸収性コアの所定領域における液体の吸収を制限するために、吸収性コアの所定の領域におけるレセプタクルの量は、より大量に局所的に発生する液体の認められる領域、例えば中心部などによって決まる。
【0042】
図2に示されているように、レセプタクル18は、吸収性コア14の後面で開口し、厚さ方向に所定距離だけ延びるように配置されている。好ましい一実施形態では、レセプタクルは、吸収性コア18の全厚さtより短い所定の距離t1だけ延びている。また、レセプタクルは、吸収性コア14の全厚さの70〜90%の長さだけ延びていると好ましい。しかし、創傷包帯の1実施形態では、レセプタクルは、吸収性コアの全厚さに達するまで延びていてよいことが理解されるだろう。
【0043】
創傷包帯の他の実施形態では、複数のレセプタクル18は、図13に示されているように、個々の位置および創傷部から滲み出た液体の局所的な発生に基づいて様々の距離だけ吸収性コア14の厚さ方向にそれぞれ延びるように配置され得る。この実施形態では、包帯10の中心部近くに配置されたレセプタクル18は、吸収性コア14の厚さ方向により深く延びており、吸収性コアの縁部近くに配置されたレセプタクルは、吸収性コア14の厚さ方向により浅く延びている。より深いレセプタクル18が、浅いレセプタクル18よりも多くの吸収材料20を収容し、かくして、より大きな局所的な吸収領域を与えることが理解できる。
【0044】
レセプタクルが好ましくは部分的にのみ吸収性コアの全厚さに達するまで延びていることから、滲出液は、移動されて吸収材料によって吸収される。この効果により、レセプタクルを有さない吸収性コアの前面が、過度の滲出液を吸収しない所望の湿度環境に維持される。このため、包帯は、長期間にわたって創傷部に保持され得る。
【0045】
図1および2に示されている好ましい実施形態では、個々のレセプタクル18の形状は、均等であり、概して円筒形である。レセプタクルの形状は、吸収材料の別個部材の密閉を最大にし、別個部材が液体によって増大されたときにその別個部材の移動を容易にするように、少なくとも部分的に選択されている。レセプタクルは、円筒形の構造に制限されず、ピラミッド形状、チャネル形状、半球形、円錐形、ブロック形、および面取りされた形状などの変形例およびこれらの組み合わせであってよい。さらに、レセプタクルは、その開口部から基部へと延びたテーパを有していてよい。この結果、レセプタクルは、基部よりも開口部近くの方がより大きな幅を有している。この構造により、吸収された水分が充填された吸収材料の別個部材がレセプタクルから容易に移動され、よって、水分がレセプタクルからより自由に流れ得る。代わりに、レセプタクルは、包帯の後面の横方向に沿ってランダムなパターンに配置され得る。
【0046】
吸収性コアの1実施形態では、レセプタクルは、吸収性コアの後面の少なくとも一部分に沿って横方向に延びた複数のチャネルを有していてもよい。この実施形態では、チャネルは、歯状の、または、起伏する断面外形を有していてよい。この実施形態は、吸収性コアが薄すぎて上述された円筒形レセプタクルなどのレセプタクルを形成できないような創傷包帯において有益である。
【0047】
個々のレセプタクルのサイズは、所定の適当なサイズであり、創傷部からの滲出液を十分に吸収できる適当な量の吸収材料を収容可能である。一般に、レセプタクルは、約500ないし5,000μm、好ましくは約1000〜3000μm(個々の高さと幅のディメンション)の断面を有するサイズにされている。好ましいパターンのレセプタクルは、1つのレセプタクルから他のレセプタクルまで、および中心軸から中心軸までの距離として規定された500〜5,000μm、好ましくは1000〜4500μmの反復距離を有している。
【0048】
好ましい実施形態で、複数のレセプタクルが創傷包帯の横方向にわたって均等な容量を有していることから、それぞれのレセプタクルは、吸収性コアの後面におけるその開口部の位置に応じて異なる容量を有していてよい。レセプタクルの様々の深さに関連した実施形態と同様に、吸収性コアの中心部またはその近くに配置されたレセプタクルは、吸収性コアの縁部近くのレセプタクルよりも大きな容量を有していてよい。様々の容量を有するレセプタクルは、同様に、様々の大量の吸収材料の別個部材を収容することが理解されるだろう。
【0049】
本発明の包帯で使用される吸収材料は、大量の水を吸収して水分に晒されると膨張して水和ゲル(ヒドロゲル)を形成する高吸収性の重合体の粒、フレーク、もしくはパウダーで構成されていると好ましい。本明細書では、高吸収剤は、大量の液体、即ち、1部に対し10ないし15部を超えた液体を吸収可能な材料として規定されている。これらの高吸収材料は、概して3つのクラス、即ち、でんぷん移植共重合体、交差結合されたカルボキシメチルセルロース派生品、および改良された親水性ポリアクリラートに分けられる。このような吸収剤重合体の例には、加水分解されたでんぷんアクリルニトリルグラフト(graft)共重合体、中和されたでんぷんアクリル酸グラフト共重合体、齢化されたアクリル酸エステルビニールアセテート共重合体、加水分解されたアクリロニトリル共重合体またはアクリルアミド共重合体、改良された交差結合ポリビニールアルコール、中和された自己交差結合ポリアクリル酸、交差結合されたポリアクリラート塩、カルボン酸セルロース、および中和された交差結合イソブチレンマレイン無水物共重合体がある。高吸収剤の微粒子親水性ポリマーはまた、米国特許No.4,102,340に詳しく説明されている。この特許は、交差結合されたポリアクリルアミドなどの吸収材料を開示している。本発明の包帯で使用されている高吸収材料の微粒子は、交差結合されたポリアクリル酸で構成されていると好ましい。
【0050】
高吸収剤の微粒子は商用であり、例えばでんぷんグラフトポリアクリラートヒドロゲルパウダーが、Hoechst-Calanese of Portsmouth,VAから市販されている。他の高吸収剤の粒子には、商標名SANWET(Sanyo Kasei Kogyo Kabushiki Kaishaによって提供されている)、SUMIKA GEL(Sumitomo Kagaku Kabushiki Kaishaによって提供され、重合された粉末粒子である溶液と対照的な重合された球形のエマルジョンである)、およびFAVOR(Degussa AG, Duseldorf, Germanyによって製造されている)がある。
【0051】
高吸収剤の粒子は、より大きな使用可能な表面領域親水コロイドを与えるために、顆粒もしくはフレークの形状であると好ましい。高吸収剤の粒子のサイズは、乾燥時に1ないし1000μmの範囲内にあるのが典型的である。吸収剤の粒子のサイズの範囲は、100ないし900μmであると好ましい。創傷内で溶けない粒子は、乾燥粒子1グラムにつき0.5倍以上の水を吸収する吸収能力を有している。
【0052】
他の実施形態では、吸収材料は、水と接触すると膨張する親水性ゲルであってよい。親水性ゲルは、概して細胞のまたは中空の内部構造を有さず、固体または半固体の形状を有している。親水性ゲルは、材料が生理的かつ臨床的に許容可能である限りは、親水コロイド、ヒドロゲル、およびこれらの組み合わせとなるように構成されていてよい。適当な親水性ゲルの説明が、Stickels等に特許された米国特許No.6,566,575で成されており、このような親水性ゲルは市販されている。
【0053】
創傷包帯の他の実施形態では、吸収性コアが、この吸収性コア内に網目状に設けられている吸収材料の複数の別個部材を有していてよい。このような吸収材料の別個部材は、吸収性コア内に自由に配置されて吸収性コア内で好ましくは後面に向かって移動可能にされている別の高吸収剤重合体の顆粒、フレーク、もしくはパウダーであってよい。創傷包帯の更なる他の実施形態では、吸収性コアは、網目状に設けられている吸収材料と、吸収材料の別個部材を収容しているレセプタクルとの両方を有していてよい。
【0054】
要約すると、これまで説明してきた吸収性コアの実施形態の各々において、その前面またはその面の付近の吸収性コアの一部分における液体の吸収が、最小にされ、レセプタクルまたはそれを超えた部分の吸収材料による液体の吸収が、最大にされることに注意すべきである。このような機構により、裏面層の形状と共同して、包帯が吸収できる液体の量が最大にされ、さらに、液体が皮膚に接触しないことから、患者が比較的長期間にわたって使用できる。
【0055】
裏面層は、本発明の包帯の全実施形態で使用されている。裏面層は、動物(人間を含む)にとって快適な解剖学的表面であり、液体不透過性だが気体透過性であると好ましい。上述されたように、裏面層は、吸収性コアと共同して、包帯が膨張されて水分が充填された状態にある時にはこれら裏面層とコアとの間にリザーバを形成するように作られ得る。裏面層は液体もしくは滲出液の通路を生じないが、吸収された滲出液の水分が、気体の形態で周囲の空気中へと裏面層を通過する。
【0056】
裏面層の好ましい実施形態は、水蒸気を通し積層が可能な弾性材料から形成されたバクテリアバリアを与える薄い重合体の弾性もしくは可撓性フィルムコーティングである。このフィルムは連続しており、フィルムの厚さ全体に延びるような穿孔部もしくは孔隙を有していない。このタイプのフィルムは、公知であり、一般的に、水蒸気を通す親水性の重合体材料である。
【0057】
裏面層は、吸収性コアの前面に取着されている。好ましい一実施形態では、裏面層は、吸収性コアの後面にのみ接着され、孔隙、セル、もしくはそのキャビティ内には侵入していない。一般的に、フィルムは、15ないし45μmの範囲内、好ましくは約30μmの厚さを有している。裏面層は、InteliCoat Technologies(South Hadley, MA)から製品表示INSPIREで市販されているポリウレタンフィルム(エラストマーポリエステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニールクロリド、およびポリエーテルアミドブロック共重合体の混合物)などのポリウレタンを有していてよい。本発明で使用するのに好ましい裏面層は、ポリウレタンフィルムである。これは、ポリウレタンフィルムが弾性特性を有していて、よい適合性、更に高程度の伸縮性を有し得るためである。
【0058】
本発明の裏面層は、少なくとも半透明であり、更に好ましくは、包帯が巻かれた創傷部が包帯を通して見えるくらいに十分に透明であると好ましい。包帯を扱う不要な操作をなくし、創傷を周囲に晒すことを防止して汚染の可能性を減じるために、包帯を取り外すことなく治療し、創傷を検診することが、効果的である。
【0059】
適当な連続した変形可能な裏面層は、裏面層単独で、38℃で、24時間につき1500ないし14600g/m2、好ましくは24時間につき2500ないし2700g/m2の水蒸気伝達率(MVTR)を有している。裏面層の厚さは、好ましくは10ないし1000μm、更に好ましくは100ないし500μmの範囲内である。本発明の表面層は、吸収性コアの前面に接着された疎水性で液体および水分不透過性の層であると好ましい。好ましい実施形態では、表面層は、例えば、NuSil Technology(Carpenteria, CA)によって製品表示MED-6340として製造された交差結合されたシリコーン(ポリジメチルシロキサンゲル)などの交差結合されたシリコーンエラストマーゲルである。表面層は、好ましくは0.05mmないし0.5mmの範囲内の厚さ、更に好ましくは0.1mmの厚さを有していると好ましい。創傷に対する包帯の適合性は、構成部品の厚さに幾分左右される。包帯が体の一部分に適合された時は、表面が動かされた時でさえも包帯が表面に適合する。表面が曲げられた後に曲げられていない位置に戻るときは、表面層は、関節部の屈曲とともに動くように伸びるが、表面が曲げられていない位置に戻される時には表面に適合し続けるように十分に弾性的にされている。
【0060】
シリコーンの表面層は、包帯を創傷に固定するために接着剤タイプの接着剤を使用する創傷包帯を上回る大きな利点を有している。特に、接着性のシリコーンゲルは、例外的に創傷に対して非接着的なコーティングを与えるが、周囲の皮膚に対しては十分に接着的である。更に、このようなゲルは、全体的に不動であり、熱もしくは体の滲出液によって影響を受けない。これは、本発明に係わる包帯が、実質的な期間、例えば数日間にわたって所定位置に配置された後でさえもこれらの非接着特性を保持することを意味する。
【0061】
シリコーンゲルの層は、基本的に柔らかい感触を有し、創傷部を覆って大きな接触領域を作り出すように部分的に皮膚の微小のキャビティおよび割れ目に流れることから、周囲の皮膚にやさしく接着する。この結果、シリコーン層を創傷の上に固定するために、接着剤を有する接着層を使用する公知の包帯よりも小さい接着力が必要とされるのみである。シリコーン層がより十分にその接着力を分配させることから、包帯が創傷部から取り外されるときも、その剥離強度は表皮細胞を剥ぎ取らない。従って、包帯は、皮膚および創傷部の創傷に損傷を与えずに再び巻かれることができる。更に、シリコーン層が疎水性であり、更に吸収性コアの毛管力が滲出液を包帯中に引き込むことから、このような層の下での水分の増加が防がれ、創傷包帯の装着者に傷を与えずに包帯が皮膚から持ち上げられ得る。
【0062】
本発明の包帯で表面層として使用されているシリコーンは、1未満のShore A硬度を有し、最も好ましくは、測定可能なShore A硬度を有していない。
【0063】
シリコーンが2つ以上のシリコーンの混合物を交差結合することによって形成されているとき、様々の構成部品の分子の重さと反応基によるその代用品の程度とは、異なっていることがある。これにより、異なる物理的特性を有するゲルが、構成部品の割合を単に変えることによって形成され得る。
【0064】
合成の表面層はまた、シリコーンエラストマー中に混合された例えばワセリンやアロエなどの1つ以上の皮膚治療剤を有していてよい。好ましい一実施形態では、合成の弾性層の重量の20%まで、好ましくは11.9%がワセリンであってよく、3%まで、好ましくは0.1%がアロエなどの第2の皮膚治療剤であってよい。皮膚治療剤によって治療される皮膚の状態に応じて、異なる、もしくは、付加的な治療剤が使用され得ることが、理解されるだろう。
【0065】
好ましい一実施形態では、シリコーンの表面層は、シリコーンゲルシートが吸収性コアに取着される前に形成された所定のパターンの孔を有するシリコーンゲルシートとして形成されている。これら孔は、0.05ないし1.0mmの直径を有し、1cm2につきほぼ50〜350の孔が設けられていることが典型的である。図2に示された好ましい一実施形態では、孔34が、概して均等なパターンで配置されるように示されているが、表面層12は、この配置に制限されない。
【0066】
シリコーンの表面層は、前面に沿ってほぼ平らであってよい。更に、シリコーンの表面層は、この表面に沿って配置された開口部、隙間、もしくは部分的な孔隙として形成された吸収性コアの表面の凸凹部に侵入するかこれらを補充している。
【0067】
図13に例示されている他の実施形態では、包帯10の中心部22に対応する表面層12内の孔34の密度が高くなっているのに対し、包帯の縁部付近でまたはこれに沿って孔34の密度が低くなっているか孔が存在していない。あるいは、表面層は、包帯の縁部、特に吸収性コアのベベルに対応する領域において、全体的に孔を有していなくてもよい。これにより、包帯の所定領域における液体の吸収が軽減されて、より効果的に滲出液を吸収する領域内での滲出液の吸収をより効果的に導くことができる。更に、他の実施形態では、レセプタクルを有する吸収性コアの一部分またはその付近に孔がより集中しているところがあり、これによって、レセプタクル中への滲出液の吸収を増進する。
【0068】
特に、表面層は、吸収性コアの前面のみに接着され、その厚さのほぼ50%の長さだけ吸収性コアに侵入している。吸収性コアに取着する前に孔を形成することによって、表面層は、セルをふさがず、吸収性コアのセルの内壁をコーティングしない。従って、表面層の適当な透過性が、表面層に適当なアレイ状に配置された孔を事前形成することによって得られるのが好ましい。かくして、シリコーンゲル層を通して液体の通過を確立させるのによりよい制御がなされる。
【0069】
表面層の厚さは、その長さ方向にわたって変化してよい。例えば、表面層は、より厚い表面層を有する領域で表面層により高い強度を与えるために、中心部に比べて創傷包帯の縁部付近がより厚くなった領域を有していてよい。
【0070】
更なる他の実施形態では、表面層は、それぞれ異なる特性を有する少なくとも2つの異なる層を有していてよい。例えば、創傷部に直接隣接して装着される柔らかい層が、創傷部にきっちりと適合するように与えられているのに対し、硬い層は、柔らかい層と吸収性コアとの間に配置されたこの硬い層が包帯に頑丈さと強度とを備えさせるように与えられている。幾層かに積層されたか、より適切な二重の受ロメーターを有している表面層は、2000年の10月24日に特許された本発明の譲受人によって所有された米国特許No.6,136,039(この開示は本明細書に組み込まれている)に説明されている原則を採用している。
【0071】
他の実施形態では、本発明の表面層は、埋め込み穿孔補強層によって補強されている上述されたタイプのシリコーン層を有していてよい。このような補強層は、不織布、編まれたか織られた布材料、もしくは、ポリウレタンで形成されたフィルムなどの重合体フィルムを有していてよい。この実施形態では、シリコーン層の孔は、補強層の穿孔部に概して対応している。
【0072】
非シリコーン層が、本発明の範囲から逸脱することなく本発明の包帯に採用され得ることが、理解されるだろう。このような表面層は、柔らかく、可撓性で、変形可能で、刺激がなく、過敏にさせないものであると好ましい。包帯は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、もしくはポリエステル材料などの様々の重合体によって加圧接着性接着剤を有して形成され穿孔されたベースフィルムを備えた表面層を有していてよい。更に、表面層は、水蒸気透過性フィルム、穿孔されたフィルム、織布、不織布、もしくはニットウェブ即ちスクリムの形態であってよい。接着剤は、低い外傷特性を有し濡れた皮膚によく接着する繊維の接着剤またはミクロスフィアであってよい。この接着剤は、表面層の一部分でのみコーティング可能であり、例えば、接着剤は、包帯の中心部が接着剤を有さず、縁部の周りにのみ塗布され得ることが、理解されるだろう。表面層は、液体がこれを通って吸収性コアへと通過され得るように、穿孔されていると好ましい。
【0073】
本発明の包帯は、本発明の範囲から逸脱することなく、例えば、薬剤、石鹸、消毒及び殺菌剤、悪臭管理剤、止血剤、たんぱく質、酵素、および核酸を含む材料の様々の組み合わせを有していてよい。これらの薬剤は、吸収性コア内に直接に組み込まれるか、分散され得ると好ましい。あるいは、これらの材料は、これらの材料を組み込みんた吸収性コアへの付加的な層を含む所定の適当な手段によって、包帯中に組み込まれ得る。
【0074】
適当な薬剤、石鹸、消毒および殺菌剤、たんぱく質、および酵素は、市販されている。このような薬剤は、抗真菌剤、抗菌剤、血管形成推進剤、および適当な薬剤を有していると好ましい。
【0075】
図10を参照しながら上述されているように、表面層12は、接着剤を有していてよい。この接着剤は、NuSil Technology(Carpenteria, CA)によって製造された製品表示MED‐1356の接着性シリコーン、または、NuSil Technology(Carpenteri, CA)によって製造された製品表示MED-6345の非常に接着性の強いシリコーンなどの圧力感応シリコーンであると好ましい。接着性シリコーンは、部分的に硬化された状態のときに接着性シリコーンが表面層に塗布されてこの表面層上で硬化を終えるように、表面層が硬化された後にシリコーンの表面層に塗布され得る。あるいは、接着剤は、接着剤を下地に塗布するための従来の方法を用いて表面層に塗布されるアクリラート接着剤もしくは熱溶解接着剤であってよい。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、接着性のシリコーンゲルが、NuSil Technology(Carpenteria,CA)によって製造されたMED‐6340の成分(parts)AおよびBなどの二液形シリコーンから作られる。2つの成分AおよびBの各々は、同じベース、ビニール置換(vinyl-substituted)、ポリ(ジメチスシロキサン)を有している。更に、成分Aは、成分Aと成分Bが混合された時にこれらの間の反応を容易にするようにプラチナ触媒を有している。成分Bは、交差結合するヒドリド収容シリコーンを有している。成分AおよびBの両方が、容易に混合され、別々に処理され、反応および硬化しない。
【0077】
接着性のシリコーンゲルは、比率1:1の徹底的な混合成分AおよびBによって生成される。かくして、ビニール置換シリコーンのビニールのグループが、触媒およびヒドリド収容シリコーンによって活性化され得る。この結果、シリコーンが交差結合されて、硬化し始める。硬化に必要な時間に影響する要因の1つが、成分AおよびBの混合された組み合わせの温度である。適当な温度の範囲は、50〜150°であり、好ましくは100〜130°である。硬化時間に影響するもう1つの要因は、成分AおよびBの組み合わせで使用される触媒の量である。しかし、触媒はまた、シリコーンゲルの接着性に好ましくなく影響する可能性がある。本発明では、100℃で硬化される厚さ0.1mmのシリコーンゲルの表面層の硬化時間が、ほぼ1分であり、シリコーンゲルの表面層は、成分Aと成分Bとが混合された後に3〜12秒の範囲内で部分的に硬化された状態のとき、通常は吸収性コアに移動される。
【0078】
接着性のシリコーンゲルを作るための上述された工程は、例示する目的のためだけに与えられているものであり、本発明は、この工程によって制限されないよう意図されていることが、理解されるだろう。部分的に硬化された接着性の表面層を作るための所定の適当な工程が、本発明の範囲内で使用され得る。
【0079】
本発明の文脈では、“部分的に硬化された”シリコーンは、シリコーンが完全に硬化されてはおらず、従って、シリコーンは、十分に交差結合されていないことを示す。部分的に硬化されたシリコーン層を果たすパラメータが、ゲル混合物および使用された吸収材料に対して経験的に確立されなくてはならないのが典型的である。“部分的に硬化された”シリコーン層を果たすためのパラメータが変化する可能性がある一方で、シリコーンゲルが十分に硬化されるのに必要な時間の比率が、シリコーン層が部分的に硬化されるかどうかを判断するために採用され得る。特に、本発明では、シリコーン層は、シリコーンゲルを硬化するのに必要な全時間の5〜70%で部分的に硬化される。従って、表面層を吸収性コアに塗布する時間間隔は、5〜40%、より好ましくは5〜20%の間ということになる。
【0080】
シリコーン層を硬化するとき、硬化時間を加速し、シリコーンゲルの接着性を減じるために、触媒が使用可能である。シリコーン触媒は、NuSil Technology(Carpenteria, CA)から製品表示CAT-50として市販されている。
【0081】
図14〜17に示されている方法において、本発明の包帯20の吸収性コア14の形成は、以下のように行なわれ得る。まず、複数の突起部材56が適当な温度まで加熱され、吸収性コア14の表面内に挿入される。突起部材56は、200〜300℃の範囲内の温度、好ましくは255℃に加熱される。突起部材56が、吸収性コア14中にその全厚さより短い長さだけ延びる。この突起部材56が、好ましくは、吸収性コア14のレセプタクル18の負の圧痕を生じるようなパターンに配置される。突起部材56が、所定時間ののちに、吸収性コア14から取り外されて、吸収性コア14内にレセプタクル18を形成する。
【0082】
吸収材料20の別個部材が、レセプタクル18を形成するのに使用された複数の突起部材56に対応する複数の孔64を有するアラインメントされた上プレート60と底プレート62との間にシリコーンフィルム58を位置させることによってレセプタクル18内に配置される。所定量の吸収材料20が、上プレート60の各孔内に配置される。続いて、レセプタクルを形成するのに使用された突起部材56が、吸収材料20を各レセプタクル18中に堆積させてその中で成形するように、上プレート60と底プレート62との複数の孔とシリコーンフィルム58とに貫通される。
【0083】
各レセプタクル内の大量の吸収材料は様々であってよいのに対し、濡れた吸収材料が膨張することから、吸収材料の量はレセプタクル全体を満たしていないことが好ましい。また、吸収材料の移動がふさがれる程度まで吸収材料の部分がレセプタクル内で成形されないことが本方法にとって重要であることが理解されるだろう。
【0084】
本発明は、吸収材料をレセプタクル内に堆積するための上述された方法に制限されないことが理解されるだろう。レセプタクル内での吸収材料の別個部材の挿入及び成形を制御しながら可能にする何らかの方法は、本発明の範囲内で採用され得る。
【0085】
例えば、高吸収剤の顆粒もしくはパウダーが使用される場合の、レセプタクル内に吸収材料を堆積するための1つのアプローチが、吸収材料を各レセプタクル中に堆積させ、余分な吸収材料を吸収性コアの表面から払い落とし、吹き飛ばし、および拭い去る工程を有している。吸収材料がレセプタクル内に落ち着くように不勢するために、振動テーブルもしくは同様の振動機構が使用可能である。
【0086】
上述された方法では、表面層および吸収性コアがその縁部で互いに少なくとも接着されシールされていることが、理解されるだろう。これが重要なのは、吸収材料の別個部材が創傷包帯から漏れないように、表面層が吸収性コアに接着されなくてはならないためである。
【0087】
本発明の上述された実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々の異なる形状、サイズ、および構成を採用し得ることが理解されるだろう。
【0088】
本発明の上述された実施形態は、事実上説明可能であり、その変形例を、当分野の当業者が思いつくであろうことが、理解されるだろう。従って、本発明は、本明細書に開示されている実施形態に制限されるものではなく、添付請求項に規定されている内容によってのみ制限されるように考慮されている。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態に係わる創傷包帯の斜視図である。
【図2】図1のII−II線で切断された創傷包帯の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わる創傷包帯の斜視図である。
【図4】本発明の表面層の一実施形態を示す平面図である。
【図5】図2の創傷包帯の他の実施形態の一部分の拡大図である。
【図6】創傷部を覆う図1並びに2の創傷包帯の進行する膨張を示す断面図である。
【図7】創傷部を覆う図1並びに2の創傷包帯の進行する膨張を示す断面図である。
【図8】創傷部を覆う図1並びに2の創傷包帯の進行する膨張を示す断面図である。
【図9】図8の創傷包帯の一部分の拡大図を示している。
【図10】本発明の表面層の一実施形態を示す平面図である。
【図11】本発明の吸収性コアのレセプタクルの一実施形態を示す平面図である。
【図12】本発明の表面層の一実施形態を示す平面図である。
【図13】本発明の表面層およびレセプタクルの他の実施形態を示す正面図である。
【図14】本発明の吸収性コア内のレセプタクルを形成するための処理を示す概略図である。
【図15】本発明の吸収性コア内のレセプタクルを形成するための処理を示す概略図である。
【図16】本発明の吸収性コア内のレセプタクルを形成するための処理を示す概略図である。
【図17】本発明の吸収性コア内のレセプタクルを形成するための処理を示す概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向している前面並びに後面と、少なくとも1つのレセプタクルとを規定し、レセプタクルは、前記後面から中へと厚み方向に所定距離だけ延び、中に少なくとも1つの吸収材料の別個部材を収容している、吸収性コアと、
この吸収性コアの前面に取着されている多孔性で皮膚接着性の表面層と、
前記吸収性コアの後面の少なくとも一部分に接続されている液体を通さず気体を通す裏面層とを具備する創傷包帯。
【請求項2】
前記少なくとも1つのレセプタクルは、吸収性コアの全厚さより短い事前に選択した距離だけ吸収性コア中に延びている請求項1の創傷包帯。
【請求項3】
前記少なくとも1つのレセプタクルは、モールド成形または注型によって形成されている請求項1の創傷包帯。
【請求項4】
前記少なくとも1つのレセプタクルは、所定の形状およびサイズを有している請求項1の創傷包帯。
【請求項5】
前記少なくとも1つのレセプタクルは、溝形、チャネル形、ピラミッド形、円筒形、テーパが付けられた円筒形、円錐形、長方形、正方形、およびこれらの組み合わせから成る形状のグループより選択された断面の外形を有している請求項4の創傷包帯。
【請求項6】
複数のレセプタクルを具備し、各レセプタクルの容量は、吸収性コアの中心軸に対する位置に応じて変わるようなパターンで形成されている請求項1の創傷包帯。
【請求項7】
各レセプタクル内の吸収材料の前記別個部材のバルクの体積が、前記各レセプタクルの容量に関連して変わっている請求項6の創傷包帯。
【請求項8】
単位面積あたりのレセプタクルの密度が吸収性コアの中心部からその外周に向かって徐々に減っていくようなパターンで形成された複数のレセプタクルを具備している請求項1の創傷包帯。
【請求項9】
前記裏面層は、吸収性コアから分離され、吸収性コアの後面から外方に延びた許容部を有している請求項1の創傷包帯。
【請求項10】
前記少なくとも1つの許容部は、吸収性コアの縁部と中心部との間に位置する吸収性コアの中間部に対応している請求項9の創傷包帯。
【請求項11】
前記裏面層の中心部と吸収性コアとの間の接続は、創傷包帯によって水分が吸収された時に裏面層が吸収性コアから分離されてこの裏面層と吸収性コアとの間にリザーバが形成され得るように成されている請求項9の創傷包帯。
【請求項12】
前記吸収性コアは、ポリマー・フォーム、織布、および不織布より構成されるグループから選択されている請求項1の創傷包帯。
【請求項13】
前記表面層は、吸収性コアの前面のみに取着されている疎水性のエラストマーゲルである請求項1の創傷包帯。
【請求項14】
前記表面層は、シリコーンゲルの別個の層である請求項1の創傷包帯。
【請求項15】
前記別個部材の吸収材料は、親水コロイド、ヒドロゲル、および親水性ポリマーより成るグループから選択されている請求項1の創傷包帯。
【請求項16】
前記裏面層は、ラテックスゴム、シリコーンフィルム、ポリウレタンフィルム、およびポリウレタンフィルムより成るグループから選択されている請求項1の創傷包帯。
【請求項17】
互いに対向している前面および後面と、複数のレセプタクルとを規定し、レセプタクルは、吸収性コアの後面で開口し、吸収性コアの厚さ方向に所定距離だけ延びて、中に少なくとも1つの吸収材料の複数の別個部材を収容している、吸収性コアと、
吸収性コアの後面の少なくとも一部分に接続されている液体を通さず気体を通す裏面層とを具備し、この裏面層は、創傷包帯によって水分もしくは創傷の滲出液が吸収された時に、吸収材料の少なくとも幾つかの前記別個部材がレセプタクルから膨張し移動されるくらいに、十分に拡張され得るように構成されている、創傷包帯。
【請求項18】
前記裏面層の少なくとも一部分は、吸収材料の別個部材が吸収された創傷の滲出液を有する時には、吸収性コアから分離する請求項17の創傷包帯。
【請求項19】
疎水性で皮膚接着性および多孔性の表面層が、吸収剤フォーム層の前面に取着されている請求項17の創傷包帯。
【請求項20】
前記表面層は、シリコーンゲルの別個層である請求項19の創傷包帯。
【請求項21】
前記レセプタクルは、所定のパターンで配置されている請求項17の創傷包帯。
【請求項22】
前記レセプタクルの各容量が吸収性コアの中心軸に対する位置に従って変わるようなパターンで形成された複数のレセプタクルを具備している請求項17の創傷包帯。
【請求項23】
単位面積あたりのレセプタクルの密度が吸収性コアの中心部からその外周に向かって徐々に減っていくようなパターンで形成された複数のレセプタクルを具備している請求項17の創傷包帯。
【請求項24】
前記吸収性コアは、ポリマー・フォーム、織布、および不織布より構成されるグループから選択されている請求項17の創傷包帯。
【請求項25】
前記吸収材料は、親水コロイド、ヒドロゲル、および疎水性ポリマーより成るグループから選択されている請求項17の創傷包帯。
【請求項26】
前記裏面層は、ラテックスゴム、シリコーンフィルム、ポリウレタンフィルム、およびポリウレタンフィルムより成るグループから選択されている請求項17の創傷包帯。
【請求項27】
前記裏面層は、吸収性コアの前記縁部に沿ってシールされている請求項17の創傷包帯。
【請求項28】
前記レセプタクルは、吸収性コアの後面の少なくとも一部分に沿って概して横方向に延びているチャネルとして形成されている請求項17の創傷包帯。
【請求項29】
互いに対向している前面および後面と、少なくとも1つのレセプタクルとを規定している吸収剤コアを具備し、少なくとも1つのレセプタクルは、吸収性コアの後面で開口し、吸収性コア中へと厚さ方向に所定距離だけ延びて、中に少なくとも1つの吸収材料の別個部材を収容している、創傷の滲出液を吸収するための創傷包帯。
【請求項30】
吸収性コアを備えた創傷包帯を形成する方法であって、
吸収性コア中へ吸収性コアの全厚さよりも短い所定距離だけ延びるように複数の突出部材を吸収性コアの後面から挿入し、これら突出部材を、吸収性コア内にこれら突出部材の形状を与えるように適当に加熱する工程と、
吸収性コア内にレセプタクルを形成するように前記突出部材を吸収性コアから取り除く工程と、
少なくとも1つの吸収材料の別個部材を各レセプタクル中に挿入する工程とを具備している方法。
【請求項31】
前記突出部材は、ランダムなパターンに配置される請求項30の方法。
【請求項32】
前記突出部材は、複数のレセプタクルが互いにほぼ均等に離間されるように事前に選択されたパターンに配置される請求項30の方法。
【請求項33】
吸収性コアの中心部に対する各レセプタクルの位置に応じた所定量の前記吸収材料が、各レセプタクル中に挿入される請求項30の方法。
【請求項34】
前記突出部材によってレセプタクル内で吸収材料を成形する工程を更に具備している請求項30の方法。
【請求項35】
前記吸収性コアの後面にわたって延びている液体を通さず気体を通す裏面層を結合させる工程を更に具備している請求項30の方法。
【請求項36】
創傷包帯の吸収性コア内に複数のレセプタクルを成形する方法であって、
複数の突出部材が吸収性コア中に少なくとも所定距離だけ延びるように、これら突出部材を吸収性コアの後面から挿入する工程と、
レセプタクルを吸収性コア内に形成するように、前記突出部材を吸収性コアから取り除く工程とを具備している方法。
【請求項37】
前記レセプタクルは、吸収性コア内にこれらの形状を与えるように適当に加熱される請求項36の方法。
【請求項38】
吸収性コアは、疎水性ポリマー・フォームである請求項36の方法。
【請求項39】
創傷包帯の吸収性コア内に複数のレセプタクルを形成する方法であって、
複数の突出部材が前記吸収性コアの厚さ方向に僅かな距離だけ延びるように、これら突出部材を後面に沿って横方向に配置させ、そして、これら突出部材を、吸収性コア内にこれら突出部材の形状を与えるために適当に加熱する工程と、
吸収性コアの後面に沿って配置されたレセプタクルを形成するために複数の横方向チャネルを形成するように、前記突出部材を吸収性コアから取り除く工程とを具備している方法。
【請求項40】
少なくとも1つの吸収材料の別個部材を各レセプタクル中に挿入する工程を更に具備している請求項39の方法。
【請求項1】
互いに対向している前面並びに後面と、少なくとも1つのレセプタクルとを規定し、レセプタクルは、前記後面から中へと厚み方向に所定距離だけ延び、中に少なくとも1つの吸収材料の別個部材を収容している、吸収性コアと、
この吸収性コアの前面に取着されている多孔性で皮膚接着性の表面層と、
前記吸収性コアの後面の少なくとも一部分に接続されている液体を通さず気体を通す裏面層とを具備する創傷包帯。
【請求項2】
前記少なくとも1つのレセプタクルは、吸収性コアの全厚さより短い事前に選択した距離だけ吸収性コア中に延びている請求項1の創傷包帯。
【請求項3】
前記少なくとも1つのレセプタクルは、モールド成形または注型によって形成されている請求項1の創傷包帯。
【請求項4】
前記少なくとも1つのレセプタクルは、所定の形状およびサイズを有している請求項1の創傷包帯。
【請求項5】
前記少なくとも1つのレセプタクルは、溝形、チャネル形、ピラミッド形、円筒形、テーパが付けられた円筒形、円錐形、長方形、正方形、およびこれらの組み合わせから成る形状のグループより選択された断面の外形を有している請求項4の創傷包帯。
【請求項6】
複数のレセプタクルを具備し、各レセプタクルの容量は、吸収性コアの中心軸に対する位置に応じて変わるようなパターンで形成されている請求項1の創傷包帯。
【請求項7】
各レセプタクル内の吸収材料の前記別個部材のバルクの体積が、前記各レセプタクルの容量に関連して変わっている請求項6の創傷包帯。
【請求項8】
単位面積あたりのレセプタクルの密度が吸収性コアの中心部からその外周に向かって徐々に減っていくようなパターンで形成された複数のレセプタクルを具備している請求項1の創傷包帯。
【請求項9】
前記裏面層は、吸収性コアから分離され、吸収性コアの後面から外方に延びた許容部を有している請求項1の創傷包帯。
【請求項10】
前記少なくとも1つの許容部は、吸収性コアの縁部と中心部との間に位置する吸収性コアの中間部に対応している請求項9の創傷包帯。
【請求項11】
前記裏面層の中心部と吸収性コアとの間の接続は、創傷包帯によって水分が吸収された時に裏面層が吸収性コアから分離されてこの裏面層と吸収性コアとの間にリザーバが形成され得るように成されている請求項9の創傷包帯。
【請求項12】
前記吸収性コアは、ポリマー・フォーム、織布、および不織布より構成されるグループから選択されている請求項1の創傷包帯。
【請求項13】
前記表面層は、吸収性コアの前面のみに取着されている疎水性のエラストマーゲルである請求項1の創傷包帯。
【請求項14】
前記表面層は、シリコーンゲルの別個の層である請求項1の創傷包帯。
【請求項15】
前記別個部材の吸収材料は、親水コロイド、ヒドロゲル、および親水性ポリマーより成るグループから選択されている請求項1の創傷包帯。
【請求項16】
前記裏面層は、ラテックスゴム、シリコーンフィルム、ポリウレタンフィルム、およびポリウレタンフィルムより成るグループから選択されている請求項1の創傷包帯。
【請求項17】
互いに対向している前面および後面と、複数のレセプタクルとを規定し、レセプタクルは、吸収性コアの後面で開口し、吸収性コアの厚さ方向に所定距離だけ延びて、中に少なくとも1つの吸収材料の複数の別個部材を収容している、吸収性コアと、
吸収性コアの後面の少なくとも一部分に接続されている液体を通さず気体を通す裏面層とを具備し、この裏面層は、創傷包帯によって水分もしくは創傷の滲出液が吸収された時に、吸収材料の少なくとも幾つかの前記別個部材がレセプタクルから膨張し移動されるくらいに、十分に拡張され得るように構成されている、創傷包帯。
【請求項18】
前記裏面層の少なくとも一部分は、吸収材料の別個部材が吸収された創傷の滲出液を有する時には、吸収性コアから分離する請求項17の創傷包帯。
【請求項19】
疎水性で皮膚接着性および多孔性の表面層が、吸収剤フォーム層の前面に取着されている請求項17の創傷包帯。
【請求項20】
前記表面層は、シリコーンゲルの別個層である請求項19の創傷包帯。
【請求項21】
前記レセプタクルは、所定のパターンで配置されている請求項17の創傷包帯。
【請求項22】
前記レセプタクルの各容量が吸収性コアの中心軸に対する位置に従って変わるようなパターンで形成された複数のレセプタクルを具備している請求項17の創傷包帯。
【請求項23】
単位面積あたりのレセプタクルの密度が吸収性コアの中心部からその外周に向かって徐々に減っていくようなパターンで形成された複数のレセプタクルを具備している請求項17の創傷包帯。
【請求項24】
前記吸収性コアは、ポリマー・フォーム、織布、および不織布より構成されるグループから選択されている請求項17の創傷包帯。
【請求項25】
前記吸収材料は、親水コロイド、ヒドロゲル、および疎水性ポリマーより成るグループから選択されている請求項17の創傷包帯。
【請求項26】
前記裏面層は、ラテックスゴム、シリコーンフィルム、ポリウレタンフィルム、およびポリウレタンフィルムより成るグループから選択されている請求項17の創傷包帯。
【請求項27】
前記裏面層は、吸収性コアの前記縁部に沿ってシールされている請求項17の創傷包帯。
【請求項28】
前記レセプタクルは、吸収性コアの後面の少なくとも一部分に沿って概して横方向に延びているチャネルとして形成されている請求項17の創傷包帯。
【請求項29】
互いに対向している前面および後面と、少なくとも1つのレセプタクルとを規定している吸収剤コアを具備し、少なくとも1つのレセプタクルは、吸収性コアの後面で開口し、吸収性コア中へと厚さ方向に所定距離だけ延びて、中に少なくとも1つの吸収材料の別個部材を収容している、創傷の滲出液を吸収するための創傷包帯。
【請求項30】
吸収性コアを備えた創傷包帯を形成する方法であって、
吸収性コア中へ吸収性コアの全厚さよりも短い所定距離だけ延びるように複数の突出部材を吸収性コアの後面から挿入し、これら突出部材を、吸収性コア内にこれら突出部材の形状を与えるように適当に加熱する工程と、
吸収性コア内にレセプタクルを形成するように前記突出部材を吸収性コアから取り除く工程と、
少なくとも1つの吸収材料の別個部材を各レセプタクル中に挿入する工程とを具備している方法。
【請求項31】
前記突出部材は、ランダムなパターンに配置される請求項30の方法。
【請求項32】
前記突出部材は、複数のレセプタクルが互いにほぼ均等に離間されるように事前に選択されたパターンに配置される請求項30の方法。
【請求項33】
吸収性コアの中心部に対する各レセプタクルの位置に応じた所定量の前記吸収材料が、各レセプタクル中に挿入される請求項30の方法。
【請求項34】
前記突出部材によってレセプタクル内で吸収材料を成形する工程を更に具備している請求項30の方法。
【請求項35】
前記吸収性コアの後面にわたって延びている液体を通さず気体を通す裏面層を結合させる工程を更に具備している請求項30の方法。
【請求項36】
創傷包帯の吸収性コア内に複数のレセプタクルを成形する方法であって、
複数の突出部材が吸収性コア中に少なくとも所定距離だけ延びるように、これら突出部材を吸収性コアの後面から挿入する工程と、
レセプタクルを吸収性コア内に形成するように、前記突出部材を吸収性コアから取り除く工程とを具備している方法。
【請求項37】
前記レセプタクルは、吸収性コア内にこれらの形状を与えるように適当に加熱される請求項36の方法。
【請求項38】
吸収性コアは、疎水性ポリマー・フォームである請求項36の方法。
【請求項39】
創傷包帯の吸収性コア内に複数のレセプタクルを形成する方法であって、
複数の突出部材が前記吸収性コアの厚さ方向に僅かな距離だけ延びるように、これら突出部材を後面に沿って横方向に配置させ、そして、これら突出部材を、吸収性コア内にこれら突出部材の形状を与えるために適当に加熱する工程と、
吸収性コアの後面に沿って配置されたレセプタクルを形成するために複数の横方向チャネルを形成するように、前記突出部材を吸収性コアから取り除く工程とを具備している方法。
【請求項40】
少なくとも1つの吸収材料の別個部材を各レセプタクル中に挿入する工程を更に具備している請求項39の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2006−517427(P2006−517427A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508538(P2005−508538)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/037073
【国際公開番号】WO2004/060412
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(300002872)オスール・エイチエフ (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/037073
【国際公開番号】WO2004/060412
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(300002872)オスール・エイチエフ (8)
【Fターム(参考)】
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