説明

加工方法、及び構造体製造方法

【課題】材料の無駄及び切削屑の発生を低減し得るとともに、加工工程の簡略化が図れる加工方法、及びこの加工方法を用いて切削加工された部材を基材に組み込んで構造体を製造する構造体製造方法を提供する。
【解決手段】複数の部材1,2,3を、所定の隙間4を空けて吸着台20上に配置し、下方から吸引して該吸着台に固定させた状態で、これら各部材のうちの少なくともいずれか一つの部材における前記隙間側の部位1a,2a,3aを所定形状に切削加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着台上に被加工材を配置して切削加工する加工方法、及びこの加工方法を用いて切削加工された部材を基材に組み込んで構造体を製造する構造体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ヒーター部材や照明器具等の各種電気機器のための配線用乃至は各種機器の埋め込み用、給水等のための配管用、または化粧用等のために、被加工材を切削加工して、所定パターンを形成するように、種々の形状の凹溝や凹部、面取り部、空間部等を形成する場合がある。
このように凹溝や凹部、空間部等を被加工材に形成する場合は、一般的に、一枚板またはブロック体等の一体物を切削加工したり、または複数の部材を接着等して集合体とし、この集合体に対して切削加工したりして形成されている。
例えば、床暖房パネルを例に挙げると、ヒーター部材への給電のための電線やコネクタ等を、収容するために、凹溝や空間部等の形成が必要とされ、このような床暖房パネルは、従来、以下のように製造されていた。
一対の縦桟と一対の横桟とを枠組みするとともに、この枠内において、コネクタや電線等が配置される部位に、コネクタ用部材を配置し、このコネクタ用部材を上記枠内周面に接着等して固定して集合体とする。次いで、この集合体に対して、コネクタや電線等を収容、配線等するための所定形状、所定パターンの凹溝や空間部等を切削加工するようにしていた。
【0003】
また、下記特許文献1では、一枚の加工板から不要部分を切削によって除去した後、それぞれの形状の加工部材を切り取るようにしたNCルータの加工方法が提案されている。
この加工方法では、上記一枚の加工板をテーブルに吸着された治具板上に配置し、上記不要部分を除去した後、加工部材を切り取るために、それぞれの間に切り取り線を切り離さない程度に切削する。次いで、その切り取り線の両側に面取りを施した後、それぞれの加工部材の間の上記切り取り線に相当する部位のわずかに残っている部位を切削して、加工部材をそれぞれ切り離すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−127108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように、一枚板や集合体に対して、切削加工を施し、所定形状、所定パターンの凹溝や空間部等を形成したり、複数の加工部材としてから各部材の外周等を所定形状に形成したりするような場合には、材料(被加工材)を無駄に切削加工する必要があり、また、その結果、切削屑も多く発生するという問題があった。
このような問題は、例えば、各部材を個別の工程において切削加工したり、切削加工した後に各部材を組み付けたりすることで解決することも考えられるが、各部材を固定保持するためのテーブルや切削装置の構造が複雑化し、加工工程も複雑化する。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、材料の無駄及び切削屑の発生を低減し得るとともに、加工工程の簡略化が図れる加工方法、及びこの加工方法を用いて切削加工された部材を基材に組み込んで構造体を製造する構造体製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る加工方法は、複数の部材を、所定の隙間を空けて吸着台上に配置し、下方から吸引して該吸着台に固定させた状態で、これら各部材のうちの少なくともいずれか一つの部材における前記隙間側の部位を所定形状に切削加工することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る前記加工方法においては、前記複数の部材を、前記所定の隙間を空けて配置する際に、該隙間に対応させた位置決め部材を配置して、これら各部材を位置決めするようにしてもよい。
上記位置決め部材を用いた加工方法においては、前記位置決め部材を前記吸着台の上面から突出させて位置決めした後、該位置決め部材を該吸着台の上面よりも下方に下降させてから前記切削加工するようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る前記いずれかの加工方法においては、前記複数の部材を、前記切削加工後の工程において、基材上に所定パターンの凹部を形成するように該基材に組み込まれるものとしてもよい。この場合は、前記所定形状に切削加工されて除去される部位と前記所定の隙間とを含んだ形状が、前記所定パターンの凹部と略同形状となるように、前記複数の部材を、該隙間を空けて前記吸着台上に配置して前記所定形状に切削加工するようにすることが好ましい。
【0010】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る構造体製造方法は、前記所定形状に切削加工されて除去される部位と前記所定の隙間とを含んだ形状が、前記所定パターンの凹部と略同形状となるように、前記複数の部材を、該隙間を空けて前記吸着台上に配置して前記所定形状に切削加工した後、これら複数の部材を、切削加工後の位置関係を保持した状態で、搬送手段によって前記基材上に搬送して組み込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る前記加工方法によれば、複数の部材を、所定の隙間を空けて吸着台上に配置して切削加工するようにしているので、材料の無駄や切削屑の発生を低減することができる。
すなわち、所定の隙間を空けて、複数の部材を吸着台上に配置することで、隣接する部材に切削工具が干渉するようなことがなく、各部材の隙間側の部位を所定形状に確実に加工でき、一枚板から各部材の周囲を所定形状に切削加工して、各部材を切り出したり、集合体に対して所定パターンの凹部を形成したりする場合に比べて、材料の無駄や切削屑の発生を低減することができる。つまり、この所定の隙間が、この隙間側の部位を切削加工する際の切削工具の逃げ代となり、また、この所定の隙間を、種々の必要性から部材間に形成される凹部や空間部等の一部とすることもできる。
また、同一工程において複数の部材の隙間側の部位を所定形状に切削加工することができるので、加工工程の簡略化が図れるとともに、加工装置等が複雑化することもない。
【0012】
本発明に係る前記加工方法において、前記複数の部材を、前記所定の隙間を空けて配置する際に、該隙間に対応させた位置決め部材を配置して、これら各部材を位置決めするようにすれば、複数の部材間における上記所定の隙間を、上記位置決め部材によって正確に確保できる。
【0013】
上記位置決め部材を用いた加工方法において、前記位置決め部材を前記吸着台の上面から突出させて位置決めした後、該位置決め部材を該吸着台の上面よりも下方に下降させてから前記切削加工するようにすれば、上記各部材における隙間側の部位を切削加工する際に、切削工具が位置決め部材に干渉することを防止できる。
【0014】
本発明に係る前記いずれかの加工方法において、前記複数の部材を、前記切削加工後の工程において、基材上に所定パターンの凹部を形成するように該基材に組み込まれるものとし、かつ、前記所定形状に切削加工されて除去される部位と前記所定の隙間とを含んだ形状が、前記所定パターンの凹部と略同形状となるように、前記複数の部材を、該隙間を空けて前記吸着台上に配置して前記所定形状に切削加工するようにすれば、以下の効果を奏する。
すなわち、後の工程において組み込まれる基材上の配置関係及び該基材上に形成する所定パターンの凹部の形状に合わせて、吸着台上に複数の部材を配置し、上記所定形状に切削加工することで、基材上に形成するための所定パターンの凹部に対応する空間部や凹部を、基材に組み込む前に精度良く加工することができる。この所定パターンの凹部は、上述のように、配線用や各種機器の埋め込み用、配管用、その他、化粧用等の種々の必要性から設けられるものであるが、この所定パターンの凹部を、上述のように、一枚板や集合体等に対して形成する場合には、材料の無駄が生じ、また、切削屑も多く発生する。一方、上記構成とされた本発明によれば、前記所定の隙間が、この所定パターンの凹部の一部を構成するので、この所定の隙間に相当する分の材料の無駄を低減でき、また、その結果、切削屑を低減することができる。
また、後の工程において基材に組み込む際にも、そのまま組み込むことができ、工程の簡略化を図ることができる。
【0015】
本発明に係る前記構造体製造方法によれば、前記所定形状に切削加工されて除去される部位と前記所定の隙間とを含んだ形状が、前記所定パターンの凹部と略同形状となるように、前記複数の部材を、該隙間を空けて前記吸着台上に配置して前記所定形状に切削加工した後、前記複数の部材を、切削加工後の位置関係を保持した状態で、搬送手段によって前記基材上に搬送して組み込むようにしている。
従って、吸着台上に所定の配置態様で固定して、所定形状に切削加工した後、その状態を保持して基材上に搬送して組み込むことができるので、組み込みの際に、再度の位置決め等が不要となり、基材への組み込み工程の簡略化を図ることができる。
また、上述のように、材料の無駄及び切削屑の発生を低減できるので、製造工程の簡略化が図れることと相俟って、全体的な製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)〜(d)は、いずれも本発明に係る加工方法の一実施形態について説明するための説明図であり、(a)は、同加工方法に用いられる吸着台の一例に被加工材を載置した状態を模式的に示す概略平面図、(b)は、(a)の概略側面図、(c)は、同加工方法における切削加工工程を説明するための概略側面図、(d)は、同切削加工工程を実行した後の概略平面図である。
【図2】(a)は、同吸着台を模式的に示す概略平面図、(b)は、(a)の概略側面図、(c)は、同加工方法における位置決め工程を説明するための概略平面図である。
【図3】(a)〜(c)は、いずれも本発明に係る構造体製造方法の一実施形態について説明するための説明図であり、(a)は、同実施形態における吸引搬送工程を模式的に示す概略平面図、(b)は、(a)の概略側面図、(c)は、同吸引搬送工程を示す概略側面図である。
【図4】(a)、(b)は、いずれも同実施形態について説明するための説明図であり、(a)は、基材の概略平面図、(b)は、同実施形態における接着剤塗布工程を説明するための概略平面図である。
【図5】(a)は、同実施形態における部材組み込み工程を説明するための概略側面図、(b)は、切削加工後の部材を基材に組み込んだ状態を模式的に示す概略平面図である。
【図6】(a)は、同実施形態におけるプレス工程を説明するための概略側面図、(b)は、プレス後の状態を模式的に示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本実施形態に係る加工方法の一例を説明するための概念的な説明図である。図3〜図6は、同加工方法を用いた本実施形態に係る構造体製造方法の一例を説明するための概念的な説明図である。
【0018】
本実施形態に係る構造体製造方法によって製造された構造体は、図6(b)に示すように、住居等の床に配設されるボード状(平板状)の床暖房パネル10とされている。
この床暖房パネル10は、後記する本実施形態に係る加工方法を用いて切削加工された複数の部材1A,2A,3A(第1コネクタ用部材1A、第2コネクタ用部材2A及びコネクタ側横桟3A)を、これらの間に、所定パターンの凹部としての配線用凹溝14を形成するように、基材としての面材(本実施形態では、表面材)11に組み込んで形成されている。
この配線用凹溝14には、PTCヒーター等の薄板状または面状のヒーター部材15への給電用の電気コード16、この電気コード16に接続されたコネクタ17、及びこのコネクタ17にプラグ18を介して接続され、隣接する他の床暖房パネル(不図示)との連結用の電気コード19等が収容される。
【0019】
また、この床暖房パネル10は、平板状の表面材11の一方面(裏面)の外周縁部に沿って、それぞれ角柱形状の一対の縦桟12,12及び横桟13を固着させており、これら桟部材12,12,13と、第1コネクタ用部材1A及び第2コネクタ用部材2Aとによって囲まれた凹部にヒーター部材15や、ロックウール等の無機系材料若しくは樹脂発泡系材料等からなる断熱材または真空断熱材等の断熱材が収容される。
尚、図6(b)では、床暖房パネル10の裏面材の図示を省略している。
また、この床暖房パネル10は、床下地に敷設された後、その上面に床仕上げ材が敷設されて施工されるものとしてもよい。
さらに、床下地に敷設した後等に、上記した隣接するパネルとの連結用の電気コード19のプラグ18をコネクタ17に接続可能なように、表面材11に開口部を設け、この開口部を閉塞する蓋部材等を設けるようにしてもよい。
【0020】
これら切削加工された複数の部材1A,2A,3Aは、詳細については後述するが、図1に示すように、切削加工前の複数の部材1,2,3(第1コネクタ用部材1、第2コネクタ用部材2及びコネクタ側横桟3)を、所定の隙間4を空けて吸着台20上に配置し、下方から吸引して吸着台20に固定させた状態で、これら各部材1,2,3の隙間側側辺部1a,2a,3aを所定形状に切削加工して形成される。
これら各部材1,2,3(切削加工後の各部材1A,2A,3Aも同様)及び上記した各桟部材12,12,13は、図6(a)に示すように、表面材11の上記一方面に固着させて配置された際に、裏面材側に向く面が略同一平面となるように、いずれも略同厚さに形成されている。
【0021】
上記切削加工前の第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2は、図1(a)に示すように、それぞれ略同形状とされており、平面視して略方形状とされている。
これら第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2は、本実施形態では、図1(b)に示すように、二枚の板状材料を積層して構成されている。
また、これら各コネクタ用部材1,2は、上層側の板材が下層側の板材よりも、長手方向(組み込み後の床暖房パネル10の長手方向と同方向)に大きく形成され、上層側の板材の一端部をコネクタ側横桟3側に向けて延出させるようにして、かつ他の部位を略整合させて積層されている。この上層側の板材の延出長さは、後記する切削加工工程において切削加工されて除去される部位に対応させた長さとされている。
【0022】
これら第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2を、上記のような二層構造とすることで、上層側の板材のみが後記する切削加工工程において切削加工される加工代として機能し、また、その下層側の板材が上記した他の各桟部材3,12,12,13と、各第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2とを略同厚さにするためのスペーサー材として機能する。
上記切削加工前のコネクタ側横桟3は、図1(a)、(b)に示すように、角柱形状とされている。
これら切削加工前の各部材1,2,3は、図5(b)に示すように、表面材11に組み込まれた際に、隙間側側辺部1a,2a,3a(図1(a)参照)以外の他の側辺部が、適宜位置に沿って配置されるように、それぞれ予め平板状及び角柱状に形成されている。
【0023】
すなわち、第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2は、それぞれの他の側辺部のうち、上記長手方向に沿う側辺部が、縦桟12,12の内側面に当接乃至は近接対面し、幅方向(組み込み後の床暖房パネル10の幅方向と同方向)に沿う側辺部が、ヒーター部材15(図6(b)参照)のコネクタ側側辺部に近接対面するように形成されている。
また、コネクタ側横桟3は、その他の側辺部が、表面材11の上記長手方向の一端部における縁部に沿うように形成されている。つまり、表面材11の幅に合わせた長さ(当該コネクタ側横桟3自体の長さ)の角柱状に形成されている。
【0024】
上記所定の隙間4は、本実施形態では、図1(a)に示すように、第1コネクタ用部材1と第2コネクタ用部材2との間の上記長手方向に沿う直線状の隙間と、これら第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2と、コネクタ側横桟3との間の上記幅方向に沿う直線状の隙間とが、直交するように略T字状とされている。
この所定の隙間4は、後記する切削加工工程において所定形状に切削加工されて切除される各部材1,2,3の切除部位1b,2b,3b(図1(d)参照)と、この所定の隙間4とを含んだ形状が、図5(b)に示すように、切削加工後の各部材1A,2A,3Aが表面材11に組み込まれて、これら各部材1A,2A,3A間に形成される、上記した配線用凹溝14と略同形状となるように設定されている。
【0025】
上記のようにそれぞれ直線状とされて直交する二本の隙間4は、本実施形態では、それぞれに対応する部位における配線用凹溝14の最小幅とそれぞれ同幅となるように設定されている。すなわち、第1コネクタ用部材1と第2コネクタ用部材2との間の上記長手方向に沿う隙間4の幅W1と、図6(b)に示す配線用凹溝14における上記長手方向に沿う部位の最小の溝幅W3とが、同幅となるように所定の隙間4が設定されている。また、第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2と、コネクタ側横桟3との間の上記幅方向に沿う隙間4の幅W2と、図6(b)に示す配線用凹溝14における上記幅方向に沿う部位の最小の溝幅W4とが、同幅となるように所定の隙間4が設定されている。
換言すれば、この所定の隙間4は、各部材1,2,3が切削加工された後に、表面材11に組み込まれた際に、必要となる配線用凹溝14の一部を構成し、かつ切削加工後の各部材1A,2A,3A間の最小の溝幅と同幅に設定されている。
【0026】
尚、上記各部材1,2,3、表面材11、上記裏面材(不図示)及び各桟部材12,12,13は、例えば、無垢の木材、合板やLVL(単板積層材)等の木質積層板、またはパーティクルボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板などの木質系材料から製されたものとしてもよい。また、上記裏面材としては、樹脂シートや紙シート等のシート部材からなるものとしてもよい。
本実施形態では、表面材11を合板とし、第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2をパーティクルボードやMDF等の木質繊維板とし、コネクタ側横桟3及び各桟部材12,12,13を合板やLVL等の木質積層板としている。
【0027】
次に、本実施形態に係る加工方法に用いられる吸着台20の一例について、図1及び図2に基づいて説明する。
吸着台20は、図2(a)に示すように、被加工材として、上記した切削加工前の複数の部材1,2,3(図1参照)のそれぞれの下面を吸着して固定するための第1吸着部21、第2吸着部22及び第3吸着部23と、これら各吸着部21,22,23に連結された吸引手段と、上記した各部材1,2,3を位置決めするための位置決め部材27とを備えている。
【0028】
各吸着部21,22,23の各吸着面21a,22a,23aには、図2(a)に示すように、複数の吸引孔を有した吸着凹溝21b,22b,23bがそれぞれ複数本、設けられている。
上記吸引手段は、図2(b)に示すように、吸引管24と、この吸引管24に配設された開閉電磁弁(開閉弁)25と、この吸引管24の末端に連結された吸引ブロアや吸引ポンプ、エジェクター等の吸引機26とを備えている。この吸引手段の吸引管24は、上記した各吸着凹溝21b,22b,23bに設けられた上記吸引孔に連通接続されている。
尚、この吸引手段の適宜箇所にフィルタや、レギュレータ、圧力計等を設けるようにしてもよい。
【0029】
上記した各吸着部21,22,23は、上記した各部材1,2,3が載置されて、各下面に当接する各吸着面21a,22a,23aの間に、上記した所定の隙間4及び後記する切削加工により除去される部位1b,2b,3b(図1(d)参照)に少なくとも対応させ、かつ、切削加工の際に切削工具28(図1(c)参照)と当該吸着台20との干渉を防止する凹所等の空間を設けるようにして配置されている。換言すれば、切削加工により除去される部位1b,2b,3b以外の各部材1,2,3の下面の少なくとも一部が当接し、かつ各部材1,2,3の吸着固定が可能なように、各吸着面21a,22a,23aを構成し、これら各吸着面21a,22a,23aの間に、切削加工の際に切削工具28と当該吸着台20との干渉を防止するように、凹所等の空間を設けている。これにより、後記するように、各部材1,2,3を、厚さ方向の全体に亘って切削加工するような場合においても、切削工具28と吸着台20との干渉を防止できる。
【0030】
尚、本実施形態では、上記したように、第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2をそれぞれ上記したような二層構造としているので、その下層側の板材の形状に対応させて、上記第1吸着部21及び第2吸着部22を構成している。一方、これら各部材1,2を、上記長手方向に沿って均一厚さの板状材料または積層板からなるものとした場合には、その形状に合わせて、上記同様、切削工具28と吸着台20との干渉を防止し得るような形状に、上記第1吸着部21及び第2吸着部22を構成するようにしてもよい。
【0031】
位置決め部材27は、上記した所定の隙間4に対応させて形成されており、本実施形態では、平面視して、略T字状に形成されている。すなわち、この位置決め部材27における上記長手方向に沿って形成された部位の幅と、上記長手方向に沿う隙間4の幅W1とは、同幅とされ、位置決め部材27における上記幅方向に沿って形成された部位の幅と、上記幅方向に沿う隙間4の幅W2とは、同幅とされている。
また、この位置決め部材27は、上記した各吸着部21,22,23間において、昇降手段(不図示)によって昇降可能に配設されるとともに、所定の厚さに形成されている。
上記所定の厚さは、後記する位置決め工程において上昇された際に、上記した各吸着部21,22,23の各吸着面21a,22a,23aから所定高さまで突出し得る厚さとされている。この所定高さは、本実施形態では、図1(b)に示すように、各吸着部21,22,23にそれぞれ載置された各部材1,2,3の上面から当該位置決め部材27の上端が僅かに突出する程度としてもよい。或いは、上記した各吸着部21,22,23の各吸着面21a,22a,23aから各部材1,2,3の位置決めが可能な程度に突出する程度の高さとしてもよい。
【0032】
尚、上記昇降手段としては、電気シリンダやエアシリンダ等によって構成したり、ラックに噛合するピニオンやベルトが巻回されたプーリー、またはカム部材やリンク部材等をモーター等の駆動部に連結して構成したりするようにしてもよい。
また、上記昇降手段によってなされる位置決め部材27の下降は、位置決め部材27の上端が、上記した各吸着部21,22,23の各吸着面21a,22a,23aよりも下方で、かつ、切削加工の際に切削工具28と当該位置決め部材27との干渉を防止する程度に下降させるようにしてもよい。或いは、後記する切削加工工程において、各部材1,2,3の隙間側側辺部1a,2a,3aを、厚さ方向の全体に亘って切削加工せずに、上面側部位の一部のみを切削するような場合には、位置決め部材27の上端の一部が各吸着面21a,22a,23aから突出していてもよい。このような場合には、位置決め部材27を昇降不能な構成としてもよい。
【0033】
さらに、図例のように、上記所定の隙間4に対応させて、一体的に略T字状に形成された位置決め部材27とせずに、各部材1,2,3間の隙間にそれぞれ対応させて形成された複数の位置決め部材としてもよい。また、昇降可能とせずに、吸着台20に対して着脱自在とし、位置決め後は、吸着台20から取り外すようにしてもよい。
さらにまた、コネクタ側横桟3の上記幅方向(コネクタ側横桟3自体の長手方向)の一端部を当接させて位置決めするための位置決め部材を更に設けるようにしてもよい。つまり、本実施形態のように、各部材1,2,3が、平板状及び角柱状とされている場合には、各部材における直交する二側辺に当接して位置決めし得る形状の位置決め部材を設けるようにしてもよい。
【0034】
上記した吸着台20は、NCルータマシン等の3次元加工装置に組み込まれている。この加工装置は、図示は省略するが、水平面域方向(XY方向)及び上下方向(Z方向)の少なくとも3軸方向に、ルータビットやドリルビット、カッター等の切削工具28(図1(c)参照)が取り付けられるヘッド部を移動させる移動手段と、各部を制御する制御手段としてのCPU、設定入力操作や表示がなされる表示操作部、及び各種プログラムや設定条件等が格納される記憶部等を有した制御盤とを備えている。
【0035】
上記加工装置では、予め設定されたプログラムに従って、上記した切削工具28を回転させながら、吸着台20上に配置された各部材1,2,3に対して、水平面域方向及び上下方向に移動手段を制御して移動させることで、所定の3次元形状等に切削加工が可能とされている。
尚、上記した吸引機26の駆動制御や開閉電磁弁25の開閉制御、位置決め部材27の昇降制御は、上記制御盤を操作することで行うようにしてもよく、或いは予め設定されたプログラムに従って自動的に後記する各工程の実行がなされるよう、制御されるものとしてもよい。
また、該加工装置に、適宜、材料検出センサー等を設けるようにしてもよい。
【0036】
また、上記した吸着台20には、図3に示すように、切削加工後の各部材1A,2A,3Aを、吸着台20から、後記する部材組み込み工程において用いられる搬送コンベア等の搬送台33に向けて搬送するための搬送手段としての吸引搬送装置30が隣接して設けられている。
この吸引搬送装置30は、上記移動手段と同様、3軸方向に移動制御される移動支持部31と、この移動支持部31に複数本の吸引管を介して連結された複数の吸盤(バキュームパッド)32・・・と、これら複数の吸盤32に連結された上記同様の吸引手段とを備えている。
これら複数の吸盤32は、後記するように位置決めされて切削加工された各部材1A,2A,3Aの位置関係を保持した状態で搬送し得るようにそれぞれ設けられ、これら各吸盤32の吸引管も位置ズレ等が生じないように移動支持部31に固定されている。
【0037】
尚、この吸引搬送装置30の吸引手段は、上記した吸着台20の吸引手段と兼用するようにしてもよく、別途、設けるようにしてもよい。
また、この吸引搬送装置30は、上記した吸着台20の各部と同様、上記制御盤を操作することで操作がなされるものとしてもよく、或いは予め設定されたプログラムに従って自動的に後記する吸引搬送工程を実行するように制御されるものとしてもよい。
さらに、本実施形態では、上記複数の吸盤32の個数を、図3(a)に示すように、切削加工した後の各部材1A,2A,3Aを安定して搬送し得るよう、各部材1A,2A,3Aの複数箇所(図例では、2箇所)の吸着が可能な数としているが、各部材1A,2A,3Aの重心に相当する部位をそれぞれ吸着し得るように、各部材1A,2A,3Aの個数に合わせた数としてもよい。
【0038】
次に、上記した各装置等を用いて実行される本実施形態に係る加工方法の一例、及び構造体製造方法(本実施形態では、床暖房パネル製造方法)の一例について、図1〜図6に基づいて説明する。
<位置決め工程>
まず、上記した吸着台20の位置決め部材27を、図2(b)に示すように、上昇させて、各吸着部21,22,23の各吸着面21a,22a,23aから上方に突出させる。
次いで、図2(c)に示すように、各吸着部21,22,23の各吸着面21a,22a,23aに、各部材1,2,3を載置して、図1(a)に示すように、位置決め部材27に各部材1,2,3の隙間側側辺部1a,2a,3aを当接させて位置決めする。
このように、上記所定の隙間4に対応させた形状の位置決め部材27を用いて各部材1,2,3の位置決めを行うことで、上記所定の隙間4を正確に確保できる。
尚、この位置決めの際に、上記したコネクタ側横桟3の一端部を当接させて位置決めするための位置決め部材を更に設けて位置決めを行うようにすれば、コネクタ側横桟3自体の長手方向に沿う位置決めをより確実に行うことができる。
【0039】
各部材1,2,3を位置決めした後、図1(b)、(c)に示すように、位置決め部材27を、各吸着部21,22,23の各吸着面21a,22a,23aよりも下方に下降させる。
このように、切削加工前に位置決め部材27を、各吸着面21a,22a,23aよりも下方に下降させることで、後記する切削加工工程において各部材1,2,3の隙間側側辺部1a,2a,3aを切削加工する際に、切削工具28(図1(c)参照)が位置決め部材27に干渉することを防止できる。
また、各部材1,2,3の位置決めをした後、上記吸引手段の開閉電磁弁25を開放させ、吸引機26を駆動させて、各部材1,2,3を下方から吸引して、各吸着部21,22,23の各吸着面21a,22a,23aに固定する。
尚、この吸引手段による吸引力は、後記する切削加工工程において、各部材1,2,3が位置ズレ等をしない程度の吸引力とすればよく、各部材1,2,3の通気性や下面の平滑性等に応じて、適宜、設定可能である。
【0040】
<切削加工工程>
次いで、各部材1,2,3を、上記のように、下方から吸引して、各吸着部21,22,23の各吸着面21a,22a,23aに固定させた状態で、図1(c)、(d)に示すように、上記した加工装置の移動手段を制御して、切削工具28によって、各部材1,2,3の各隙間側側辺部1a,2a,3aを所定形状に切削する。
本実施形態では、図1(d)に示すように、第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2は、そのコネクタ側横桟3側の各側辺部1a,2aにおける一部を残して切除されており、この切除されていない残余部位が、図6(b)に示す上記したプラグ18の位置決め用の突起として機能する。また、これら第1コネクタ用部材1及び第2コネクタ用部材2の対向する側辺部1a,2aにおけるコネクタ側横桟3側の部位は、コネクタ側横桟3側に向けて拡開するような空所を形成するように斜めに切除されており、この拡開する空所に図6(b)に示す上記したコネクタ17の一部が嵌め入れられ、位置決めされるように収容される。
【0041】
コネクタ側横桟3の隙間側側辺部3aは、図1(d)に示すように、上記した各コネクタ用部材1,2の上記残余部位に対向する部位を残して切除されており、この切除されていない残余部位が、上記同様、図6(b)に示す上記したプラグ18の位置決め用の突起として機能する。
すなわち、本実施形態では、床暖房パネル10に収容される収容部材(ヒーター部材やコネクタ、電線等)の形状に対応させて、配線用凹溝14が形成されるように各部材1,2,3の隙間側側辺部1a,2a,3aを切削加工するようにしている。
上記のように、各部材1,2,3の各隙間側側辺部1a,2a,3aの各切除部位1b,2b,3bが切除されて、所定形状の各部材1A,2A,3Aが形成される。
【0042】
<接着剤塗布工程>
上記した各部材1,2,3の加工工程(位置決め工程及び切削加工工程)に並行させて、或いは前後の工程で、図4(a)に示すように、基材としての表面材11に、接着剤を塗布して、上記した各桟部材12,12,13を、表面材11上に固定させる。
また、図4(b)に示すように、切削加工後の各部材1A,2A,3Aが組み込まれる部位に、接着剤を塗布する。
上記各接着剤は、各部材を表面材11に接着可能なものであればどのようなものでもよいが、本実施形態では、無溶剤で接着速度が比較的、速いホットメルト接着剤としている。
尚、上記各部材への接着剤の塗布は、同一工程において行うようにしてもよい。この場合は、後記する部材組み込み工程において、各部材1A,2A,3Aとともに、またはその前後に、各桟部材12,12,13を表面材11上に組み込むようにしてもよい。
【0043】
<吸引搬送工程>
上記切削加工工程を実行した後、図3(a)、(b)に示すように、上記した吸引搬送装置30の移動支持部31を、吸着台20の上方に移動させて、吸着台20に向けて降下させ、各吸盤32を、切削加工後の各部材1A,2A,3Aの上面に当接させて、これら各部材1A,2A,3Aの上面を吸着する。
この吸引搬送装置30による各部材1A,2A,3Aの吸着保持は、上記したように、切削加工後の各部材1A,2A,3Aの位置関係を保持してなされる。
尚、この際、これら各部材1A,2A,3Aに各吸盤32を当接させて確実に吸着保持が可能となるまで、上記した吸着台20の吸引手段の駆動を所定時間、継続させた後に停止させるようにすることが好ましい。これによれば、吸引搬送装置30によって、吸着保持する際に、各部材1A,2A,3Aが位置ズレするようなことを防止でき、切削加工後の位置関係を確実に保持した状態で、吸着保持することができる。
上記のように切削加工後の位置関係を保持した状態で、各部材1A,2A,3Aを吸着保持し、図3(c)に示すように、吸着台20の上方に向けて各部材1A,2A,3Aを移動させ、搬送台33(図5(a)参照)に向けて搬送する。
【0044】
<部材組み込み工程>
図5(a)に示すように、搬送台33上に載置され、上記接着剤が塗布された表面材11の上方に、切削加工後の各部材1A,2A,3Aを吸引搬送装置30によって搬送し、切削加工後の位置関係を保持した状態で、各部材1A,2A,3Aを降下させて、図5(b)に示すように、表面材11に組み込む。
このように、切削加工後の位置関係を保持した状態で、吸着台20から組み込み先である搬送台33に載置された表面材11上に搬送し、表面材11に組み込むようにしているので、組み込みの際に、再度の位置決め等が不要となり、表面材11への組み込み工程の簡略化を図ることができる。
【0045】
<プレス工程>
上記のように、表面材11に、切削加工後の各部材1A,2A,3Aを組み込んだ後、この組み込み後の集合体を、搬送台33の搬送ベルト等の移送手段を駆動して、図6(a)に示す熱プレス機の一対のプレス型34,35間に導入し、熱プレス(加熱圧締)を行い、上記接着剤を溶融させ、硬化させて、各部材1A,2A,3Aを表面材11に固着させる。
尚、このプレス工程は、上記接着剤の種類に応じて、常温プレスとしたり、当該プレス工程自体を省略したりするようにしてもよい。
【0046】
上記プレス工程の後、図6(b)に示すように、上記した配線用凹溝14に、電気コード16及びコネクタ17を収容させるとともに、桟部材12,12,13と、第1コネクタ用部材1A及び第2コネクタ用部材2Aとによって囲まれた上記凹部に、ヒーター部材15を収容させ、また、この凹部に断熱材等を収容する。
このように各機器、各部材等の収容部材を収容させた後、上記した裏面材を貼着して、床暖房パネル10を製造するようにしてもよい。
尚、上記製造方法における工程の順序は、一例に過ぎず、各部材及び各工程の機能を阻害しない限りにおいて、別順序でなされるようにしてもよい。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る構造体製造方法に適用される上記加工方法によれば、複数の部材1,2,3を、所定の隙間4を空けて吸着台20上に配置して、隙間側側辺部1a,2a,3aを所定形状に切削加工するようにしているので、材料の無駄や切削屑の発生を低減することができる。
また、上述のように、各部材1,2,3は、同一工程において、各隙間側側辺部1a,2a,3aを所定形状に切削加工するようにしているので、加工工程の簡略化が図れるとともに、加工装置等が複雑化することもない。
【0048】
さらに、本実施形態では、切削加工後の工程において、上記した各部材1A,2A,3Aを、表面材11上に配線用凹溝14を形成するように表面材11に組み込まれるものとし、かつ、これら各部材1A,2A,3Aの各切除部位1b,2b,3bと、上記所定の隙間4とを含んだ形状が、配線用凹溝14と略同形状となるように、吸着台20上に配置して切削加工するようにしている。従って、上記所定の隙間4が、配線用凹溝14の一部を構成しているので、この所定の隙間4に相当する分の材料の無駄をより低減でき、また、その結果、切削屑をより低減することができる。また、これによれば、後の工程において表面材11に組み込む際にも、そのまま組み込むことができ、更なる工程の簡略化を図ることができる。
【0049】
尚、本実施形態では、切削加工する被加工材として、3つの部材を加工する例について説明したが、これ以外の個数の部材を、上記加工方法(位置決め工程及び切削加工工程)によって加工するようにしてもよい。
また、本実施形態では、切削加工する被加工材として、角柱形状や略平板形状の略直方体形状とされた部材を例示しているが、その他、種々の形状とされた部材を、上記加工方法によって加工するようにしてもよい。
これらの場合は、上記した各装置を部材の形状や個数に応じて、適宜、変形すればよい。
さらに、本実施形態では、異種材料からなるコネクタ用部材1,2とコネクタ側横桟3とを切削加工する例について説明したが、同種材料からなる複数の部材としてもよい。また、木質系材料からなる部材に限られず、その他、合成樹脂系材料や金属系材料、窯業系材料などの他の材料からなる部材を切削加工するようにしてもよい。
【0050】
さらにまた、本実施形態では、複数の部材の各隙間側の部位(側辺部)のそれぞれを切削加工するようにした例を示しているが、いずれか一つの部材における隙間側の部位のみを切削加工するようにしてもよい。
また、厚さ方向の全体に亘って切除する切削加工に限られず、隙間側の部位の上面縁部に、面取りまたは凹湾曲溝等の化粧溝を形成するように切削加工するような態様としてもよい。
【0051】
さらに、本実施形態では、複数の部材を、切削加工後の工程において、基材上に所定パターンの凹部を形成するように組み込まれるものとし、かつ、所定形状に切削加工されて除去される部位(切除部位)と所定の隙間とを含んだ形状が、上記所定パターンの凹部と略同形状となるように、複数の部材を、隙間を空けて吸着台上に配置して所定形状に切削加工するようにした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、所定の隙間の幅が、所定パターンの凹部における最小幅よりも大きく、または小さくなるように隙間を設定して吸着台上に各部材を配置するようにしてもよい。この場合は、基材に組み込む際に、適切な位置となるように位置決めして組み込むようにしてもよい。
この所定の隙間は、複数の部材の隙間側の部位を切削加工する際に、少なくとも、他の部材に切削工具が干渉しない程度以上の隙間としてもよい。
さらにまた、本実施形態では、切削加工後の複数の部材を、切削加工後の位置関係を保持した状態で、同時に基材上に搬送し、基材に組み込んで固着させた態様としているが、個別に搬送して、基材に組み込むようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、切削加工後の複数の部材を基材に組み込んで、床暖房パネルを製造する例について説明したが、壁パネルやドアパネル等の他のパネル材(フラッシュパネル材)を製造する場合にも適用が可能である。
さらに、本実施形態では、パネル材にヒーター部材やコネクタ、電線等を収容するために所定パターンの凹部を形成した態様について例示しているが、照明器具やスピーカー、その他の電気機器や、これらのための電線やコネクタ等の各種機器、または給水管やガス管等の種々の収容部材を収容するために所定パターンの凹部をこれらの形状や配設態様に応じて形成するようにしてもよい。
さらにまた、上記のように、収容部材のために所定パターンの凹部を切削加工後の各部材によって形成するものに限られず、例えば、基材の表面側に表面化粧の一部として、所定パターンの凹部を形成するために、各部材を切削加工して、該基材に組み込むようなものとしてもよい。
また、本実施形態では、上記加工方法を用いた構造体製造方法について説明したが、上記加工方法は、上記構造体製造方法以外にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 第1コネクタ用部材(第1部材、切削加工前)
1a 隙間側側辺部(隙間側の部位)
1b 切除部位(所定形状に切削加工されて除去された部位)
2 第2コネクタ用部材(第2部材、切削加工前)
2a 隙間側側辺部(隙間側の部位)
2b 切除部位(所定形状に切削加工されて除去された部位)
3 コネクタ側横桟(第3部材、切削加工前)
3a 隙間側側辺部(隙間側の部位)
3b 切除部位(所定形状に切削加工されて除去された部位)
4 所定の隙間
10 床暖房パネル(構造体)
11 表面材(基材)
14 配線用凹溝(所定パターンの凹部)
20 吸着台
21a 第1吸着部の吸着面(吸着台の上面)
22a 第2吸着部の吸着面(吸着台の上面)
23a 第3吸着部の吸着面(吸着台の上面)
27 位置決め部材
30 吸引搬送装置(搬送手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材を、所定の隙間を空けて吸着台上に配置し、下方から吸引して該吸着台に固定させた状態で、これら各部材のうちの少なくともいずれか一つの部材における前記隙間側の部位を所定形状に切削加工することを特徴とする加工方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の部材を、前記所定の隙間を空けて配置する際に、該隙間に対応させた位置決め部材を配置して、これら各部材を位置決めすることを特徴とする加工方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記位置決め部材を前記吸着台の上面から突出させて位置決めした後、該位置決め部材を該吸着台の上面よりも下方に下降させてから前記切削加工するようにしたことを特徴とする加工方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記複数の部材は、前記切削加工後の工程において、基材上に所定パターンの凹部を形成するように該基材に組み込まれるものであり、
前記所定形状に切削加工されて除去される部位と前記所定の隙間とを含んだ形状が、前記所定パターンの凹部と略同形状となるように、前記複数の部材を、該隙間を空けて前記吸着台上に配置して前記所定形状に切削加工するようにしたことを特徴とする加工方法。
【請求項5】
請求項4に記載の加工方法を用いて切削加工された前記複数の部材を基材に組み込んで構造体を製造する方法であって、
前記複数の部材を、切削加工後の位置関係を保持した状態で、搬送手段によって前記基材上に搬送して組み込むことを特徴とする構造体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−5647(P2011−5647A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148421(P2009−148421)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】