加工装置および加工方法
【課題】ワークの外段取りを可能とすることで生産ラインでの作業効率を高め、加工異常検出を適用する。
【解決手段】ワーク100が配置されるT溝定盤11上に取り付けられ、ワーク100に対する切削加工状態を測定する切削動力計12を備え、切削動力計12上に取り付けられたアタッチメント部17と、ワーク100を位置決め固定し、自身がアタッチメント部17に着脱可能な複数のバイス部18とを備えた。
【解決手段】ワーク100が配置されるT溝定盤11上に取り付けられ、ワーク100に対する切削加工状態を測定する切削動力計12を備え、切削動力計12上に取り付けられたアタッチメント部17と、ワーク100を位置決め固定し、自身がアタッチメント部17に着脱可能な複数のバイス部18とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワークの加工を行う加工装置および加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークの切削加工等を行う切削加工装置において、センサを用いて加工異常を検出する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。これにより、適切なタイミングで切削工具の交換を行うことができ、また、作業効率を向上させることができる。
また、ワークが設置固定される回転テーブルに取り付けられて、ワークに作用している外力を検出する検出器を備え、この検出器により検出された外力に基づいて、加工機の制御を行うものもある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再表00/073018号公報
【特許文献2】特開平7−80755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、ワークが設置固定される設置部にセンサを取り付けているため、ワークの外段取りを行うことはできない。そのため、生産ラインでの作業効率が悪くなってしまうという課題があった。よって、上記加工異常検出方法を生産ラインに適用することは難しい。また、特許文献2についても同様に、ワークが設置固定される回転テーブルに検出器を取り付けているため、ワークの外段取りを行うことができないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ワークの外段取りを可能とすることで生産ラインでの作業効率を高め、加工異常検出を適用することができる加工装置および加工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る加工装置は、ワークが配置されるテーブル上に取り付けられ、ワークに対する加工状態を測定するセンサを備え、センサ上に取り付けられたアタッチメント部と、ワークを位置決め固定し、自身がアタッチメント部に着脱可能な複数のバイス部とを備えたものである。
【0007】
また、この発明に係る加工方法は、第1のバイス部に加工対象のワークを取り付けるワーク取付ステップと、ワークが取り付けられた第1のバイス部をアタッチメント部に装着する装着ステップと、アタッチメント部に第1のバイス部を介して固定されたワークに対して加工を行う加工ステップと、加工ステップを行っている間に、第2のバイス部に次の加工対象のワークを取り付ける次段ワーク取付ステップと、加工が終了した後、第1のバイス部をアタッチメント部から脱離する脱離ステップと、第1のバイス部が脱離されたアタッチメント部に次の加工対象のワークが取り付けられた第2のバイス部を装着する次段装着ステップと、アタッチメント部から脱離した第1のバイス部からワークを取り外すワーク取外ステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、ワークの外段取りを可能とすることで生産ラインでの作業効率を高めることができ、加工異常検出を適用することができる。よって、ワークの取り付け時間の短縮化を図ることができるとともに、加工不良の検出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る切削加工装置のワーク設置部の構成を示す模式図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるバイス部の構成を示す上面図である。
【図3】この発明の実施の形態1における演算部の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る切削加工装置による切削加工の工程例を説明する模式図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る切削加工装置による加工異常検出動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る切削加工装置のワーク設置部1の構成を示す模式図である。
切削加工装置は、ワーク100の切削加工を行うものである。この切削加工装置は、切削加工対象のワーク100を設置固定するワーク設置部1と、ワーク設置部1に設置固定されたワーク100を切削加工する切削工具2aを有する切削加工部2(図4参照)とから構成されている。ここで、切削加工部2は、従来の切削加工装置での構成と同様であり、その説明を省略する。
【0011】
切削加工装置のワーク設置部1には、図1に示すように、所定間隔で平行に配置された略T字型の溝11aを有するT溝定盤(テーブル)11が設けられている。このT溝定盤11の上面には、ワーク100に対する切削加工状態を測定するセンサとして、切削動力計(切削加工力測定手段)12が配置されている。この切削動力計12は、切削加工中に切削工具2aに掛かる切削加工力を一定の周期で測定するものであり、T溝定盤11の溝11aに摺動可能に嵌め込まれた治具13によって、所定の位置に固定されている。
また、切削動力計12により測定された切削加工力を示すデータは、ケーブル14を介して外部に接続されたPCなどの演算部15に出力される。この演算部15の構成については後述する。
【0012】
そして、切削動力計12の上方には、治具16を介してアタッチメント部17が取り付けられている。このアタッチメント部17は、その上面でバイス部18を着脱可能とするものである。なお、アタッチメント部17は、バイス部18を装着した際にこのバイス部18により位置決め固定されたワーク100が所定位置に配置されるように、その位置が設定されている。
【0013】
バイス部18は、ワーク100を高精度に位置決め固定するものである。このバイス部18の下面は、アタッチメント部17の上面に着脱可能に構成されている。また、バイス部18では、図2に示すように、対向する一対の側壁のうち、一方の側壁は固定(固定壁181)され、他方の側壁はクランプ用ねじ182aを回すことにより固定壁181側へ移動可能(可動壁182)に構成されている。さらに、バイス部18の固定壁181側には、ワーク100を位置決めするためのストッパ部183が設けられている。
なお、このバイス部18は予め複数用意されており、生産ラインの工程とは別工程でワーク100を外段取り可能とする。
【0014】
次に、演算部15の構成について説明する。図3はこの発明の実施の形態1における演算部15の構成を示すブロック図である。
演算部15は、図3に示すように、動力計測定データ取得手段151、閾値設定手段152、比較手段153および操作指示手段154から構成されている。
【0015】
動力計測定データ取得手段151は、切削動力計12により測定された切削加工力を示すデータを取得し、記録するものである。
閾値設定手段152は、使用者により入力された加工条件(切削加工対象のワーク100の材質など)を基に、予め、切削工具2aに掛かる切削加工力に対する閾値を設定するものである。
【0016】
比較手段153は、動力計測定データ取得手段151により取得された切削加工力を示すデータと、閾値設定手段152により設定された閾値とを比較するものである。ここで、比較手段153は、切削加工力が閾値を超えたと判断した場合には、その旨を操作指示手段154に通知する。
操作指示手段154は、比較手段153から切削加工力が閾値を超えた旨の通知を受けた場合に、切削加工を停止させて、切削工具2aの交換を指示するものである。
【0017】
次に、上記のように構成された切削加工装置による切削加工の工程例について説明する。図4はこの発明の実施の形態1に係る切削加工装置による切削加工の工程例を説明するための模式図である。なお図4では、T溝定盤11の溝11aや治具13,16の図示を省略している。
切削加工装置による切削加工の工程例では、図4(a)に示すように、まず、生産ラインの工程とは別工程で、切削加工対象のワーク100(以下、ワークAと称す)をバイス部18(以下、バイス部Aと称す)に取り付ける(ワーク取付ステップ)。すなわち、図2に示すように、バイス部Aの可動壁182を固定壁181から充分に離した状態で、その間隙部分にワークAを設置する。この際、ワークAを固定壁181とストッパ部183に当接させて配置することで、ワークAを位置決めする。そして、クランプ用ねじ182aを所定方向に回すことで可動壁182を固定壁181側へ移動させ、ワークAを挟み込み固定する。なお、ワークAが位置決め固定されたバイス部Aをワーク固定済バイス部Aと称す。
【0018】
次いで、図4(b)に示すように、ワーク固定済バイス部Aをアタッチメント部17上面に装着する(装着ステップ)。なお、ワーク固定済バイス部Aがアタッチメント部17に装着された際にワークAが所定位置となるように、アタッチメント部17の位置が予め設定されている。そのため、ワーク固定済バイス部Aをアタッチメント部17に単に装着するのみでワークAの設置固定作業を完了することができる。
【0019】
次いで、図4(c)に示すように、切削工具2aを用いて、ワークAの切削加工を行う(切削加工ステップ)。
一方、図4(c)の下部に示すように、ワークAの切削加工を行っている間に、次に切削加工を行うワーク100(以下、ワークBと称す)をバイス部Aとは別のバイス部18(以下、バイス部Bと称す)に取り付けておく(次段ワーク取付ステップ)。なお、ワークBが固定されたバイス部Bをワーク固定済バイス部Bと称す。
【0020】
次いで、ワークAの切削加工が終了した後、図4(d)に示すように、ワーク固定済みバイス部Aをアタッチメント部17から脱離する(脱離ステップ)。そして、ワーク固定済バイス部Bをアタッチメント部17上面に装着する(次段装着ステップ)。ここで、ワーク100に対する外段取りを行うことで、切削加工が終了したワーク100を取り外した後、次に切削加工を行うワーク100を素早くワーク設置部1に設置固定することができる。
次いで、図4(e)に示すように、アタッチメント部17から脱離したワーク固定済みバイス部AからワークAを取り外す(ワーク取外ステップ)。以降、切削加工ステップから後段の工程を繰り返す。
【0021】
次に、切削加工装置による加工異常検出動作について説明する。図5はこの発明の実施音形態1に係る切削加工装置による加工異常検出動作を示すフローチャートである。
この切削加工装置による加工異常検出動作では、まず、閾値設定手段152は、切削加工を行う前に使用者により入力された加工条件(切削加工対象のワーク100の材質など)を基に、切削工具2aに掛かる切削加工力に対する閾値を設定する(ステップST1)。
一方、生産ラインでは上述した工程に従い、切削加工対象のワーク100がバイス部18に位置決め固定され、アタッチメント部17に装着される。そして、このワーク100の切削加工が行われる。
【0022】
次いで、切削動力計12は、切削加工の開始に伴い、切削工具2aに掛かる切削加工力を一定の周期で測定する(ステップST2)。次いで、動力計測定データ取得手段151は、切削動力計12により測定された切削加工力を示すデータを取得し、記録する。
【0023】
次いで、比較手段153は、動力計測定データ取得手段151により取得された切削加工力を示すデータと、閾値設定手段152により設定された閾値とを比較する。そして、比較手段153は、この切削加工力が閾値を超えたかを判断する(ステップST3)。
このステップST3において、比較手段153が、切削加工力が閾値を超えていないと判断し、切削加工が途中の場合(ステップST4‘NO’)には、切削加工を継続する。
【0024】
一方、ステップST3において、比較手段153が、切削加工力が閾値を超えたと判断した場合には、操作指示手段154は、切削加工部2に対して切削加工の停止を指示し、切削工具2aの交換を指示する(ステップST5,6)。なお、切削加工部2にて、ツールチェンジャなどの工具交換機能を有していない場合には、PCのモニタ上に切削工具2aの交換指示を示すメッセージなどを表示して作業者に報知するようにしてもよい。そして、切削工具2aが交換された後、切削加工が残っている場合には加工を再開する。
【0025】
以上のように、この実施の形態1によれば、ワーク100を位置決め固定したバイス部18を、切削動力計12の上方に取り付けたアタッチメント部17に着脱可能に構成したので、ワーク100の外段取りを可能とすることで生産ラインでの作業効率を高めることができ、加工異常検出を適用することができる。よって、ワーク100の取り付け時間の短縮化を図ることができるとともに、加工不良の検出を実現することができる。
【0026】
なお、実施の形態1では、ワーク100に対する切削加工状態として、切削工具2aに掛かる切削加工力を計測して演算処理を行うことで、加工異常を検出する場合について示したが、これに限るものではなく、ワーク100に対するその他の切削加工状態を計測して演算処理を行うことで、加工異常を検出するように構成してもよい。
また、実施の形態1では、切削加工装置を例に説明を行ったが、これに限るものではなく、その他の加工装置に対しても同様に適用可能である。
【0027】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 ワーク設置部
2 切削加工部
2a 切削工具
11 T溝定盤(テーブル)
11a 溝
12 切削動力計(センサ、切削加工力測定手段)
13,16 治具
14 ケーブル
15 演算部
17 アタッチメント部
18 バイス部
100 ワーク
181 固定壁
182 可動壁
182a クランプ用ねじ
183 ストッパ部
151 動力計測定データ取得手段
152 閾値設定手段
153 比較手段
154 操作指示手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワークの加工を行う加工装置および加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークの切削加工等を行う切削加工装置において、センサを用いて加工異常を検出する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。これにより、適切なタイミングで切削工具の交換を行うことができ、また、作業効率を向上させることができる。
また、ワークが設置固定される回転テーブルに取り付けられて、ワークに作用している外力を検出する検出器を備え、この検出器により検出された外力に基づいて、加工機の制御を行うものもある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再表00/073018号公報
【特許文献2】特開平7−80755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、ワークが設置固定される設置部にセンサを取り付けているため、ワークの外段取りを行うことはできない。そのため、生産ラインでの作業効率が悪くなってしまうという課題があった。よって、上記加工異常検出方法を生産ラインに適用することは難しい。また、特許文献2についても同様に、ワークが設置固定される回転テーブルに検出器を取り付けているため、ワークの外段取りを行うことができないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ワークの外段取りを可能とすることで生産ラインでの作業効率を高め、加工異常検出を適用することができる加工装置および加工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る加工装置は、ワークが配置されるテーブル上に取り付けられ、ワークに対する加工状態を測定するセンサを備え、センサ上に取り付けられたアタッチメント部と、ワークを位置決め固定し、自身がアタッチメント部に着脱可能な複数のバイス部とを備えたものである。
【0007】
また、この発明に係る加工方法は、第1のバイス部に加工対象のワークを取り付けるワーク取付ステップと、ワークが取り付けられた第1のバイス部をアタッチメント部に装着する装着ステップと、アタッチメント部に第1のバイス部を介して固定されたワークに対して加工を行う加工ステップと、加工ステップを行っている間に、第2のバイス部に次の加工対象のワークを取り付ける次段ワーク取付ステップと、加工が終了した後、第1のバイス部をアタッチメント部から脱離する脱離ステップと、第1のバイス部が脱離されたアタッチメント部に次の加工対象のワークが取り付けられた第2のバイス部を装着する次段装着ステップと、アタッチメント部から脱離した第1のバイス部からワークを取り外すワーク取外ステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、ワークの外段取りを可能とすることで生産ラインでの作業効率を高めることができ、加工異常検出を適用することができる。よって、ワークの取り付け時間の短縮化を図ることができるとともに、加工不良の検出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る切削加工装置のワーク設置部の構成を示す模式図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるバイス部の構成を示す上面図である。
【図3】この発明の実施の形態1における演算部の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る切削加工装置による切削加工の工程例を説明する模式図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る切削加工装置による加工異常検出動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る切削加工装置のワーク設置部1の構成を示す模式図である。
切削加工装置は、ワーク100の切削加工を行うものである。この切削加工装置は、切削加工対象のワーク100を設置固定するワーク設置部1と、ワーク設置部1に設置固定されたワーク100を切削加工する切削工具2aを有する切削加工部2(図4参照)とから構成されている。ここで、切削加工部2は、従来の切削加工装置での構成と同様であり、その説明を省略する。
【0011】
切削加工装置のワーク設置部1には、図1に示すように、所定間隔で平行に配置された略T字型の溝11aを有するT溝定盤(テーブル)11が設けられている。このT溝定盤11の上面には、ワーク100に対する切削加工状態を測定するセンサとして、切削動力計(切削加工力測定手段)12が配置されている。この切削動力計12は、切削加工中に切削工具2aに掛かる切削加工力を一定の周期で測定するものであり、T溝定盤11の溝11aに摺動可能に嵌め込まれた治具13によって、所定の位置に固定されている。
また、切削動力計12により測定された切削加工力を示すデータは、ケーブル14を介して外部に接続されたPCなどの演算部15に出力される。この演算部15の構成については後述する。
【0012】
そして、切削動力計12の上方には、治具16を介してアタッチメント部17が取り付けられている。このアタッチメント部17は、その上面でバイス部18を着脱可能とするものである。なお、アタッチメント部17は、バイス部18を装着した際にこのバイス部18により位置決め固定されたワーク100が所定位置に配置されるように、その位置が設定されている。
【0013】
バイス部18は、ワーク100を高精度に位置決め固定するものである。このバイス部18の下面は、アタッチメント部17の上面に着脱可能に構成されている。また、バイス部18では、図2に示すように、対向する一対の側壁のうち、一方の側壁は固定(固定壁181)され、他方の側壁はクランプ用ねじ182aを回すことにより固定壁181側へ移動可能(可動壁182)に構成されている。さらに、バイス部18の固定壁181側には、ワーク100を位置決めするためのストッパ部183が設けられている。
なお、このバイス部18は予め複数用意されており、生産ラインの工程とは別工程でワーク100を外段取り可能とする。
【0014】
次に、演算部15の構成について説明する。図3はこの発明の実施の形態1における演算部15の構成を示すブロック図である。
演算部15は、図3に示すように、動力計測定データ取得手段151、閾値設定手段152、比較手段153および操作指示手段154から構成されている。
【0015】
動力計測定データ取得手段151は、切削動力計12により測定された切削加工力を示すデータを取得し、記録するものである。
閾値設定手段152は、使用者により入力された加工条件(切削加工対象のワーク100の材質など)を基に、予め、切削工具2aに掛かる切削加工力に対する閾値を設定するものである。
【0016】
比較手段153は、動力計測定データ取得手段151により取得された切削加工力を示すデータと、閾値設定手段152により設定された閾値とを比較するものである。ここで、比較手段153は、切削加工力が閾値を超えたと判断した場合には、その旨を操作指示手段154に通知する。
操作指示手段154は、比較手段153から切削加工力が閾値を超えた旨の通知を受けた場合に、切削加工を停止させて、切削工具2aの交換を指示するものである。
【0017】
次に、上記のように構成された切削加工装置による切削加工の工程例について説明する。図4はこの発明の実施の形態1に係る切削加工装置による切削加工の工程例を説明するための模式図である。なお図4では、T溝定盤11の溝11aや治具13,16の図示を省略している。
切削加工装置による切削加工の工程例では、図4(a)に示すように、まず、生産ラインの工程とは別工程で、切削加工対象のワーク100(以下、ワークAと称す)をバイス部18(以下、バイス部Aと称す)に取り付ける(ワーク取付ステップ)。すなわち、図2に示すように、バイス部Aの可動壁182を固定壁181から充分に離した状態で、その間隙部分にワークAを設置する。この際、ワークAを固定壁181とストッパ部183に当接させて配置することで、ワークAを位置決めする。そして、クランプ用ねじ182aを所定方向に回すことで可動壁182を固定壁181側へ移動させ、ワークAを挟み込み固定する。なお、ワークAが位置決め固定されたバイス部Aをワーク固定済バイス部Aと称す。
【0018】
次いで、図4(b)に示すように、ワーク固定済バイス部Aをアタッチメント部17上面に装着する(装着ステップ)。なお、ワーク固定済バイス部Aがアタッチメント部17に装着された際にワークAが所定位置となるように、アタッチメント部17の位置が予め設定されている。そのため、ワーク固定済バイス部Aをアタッチメント部17に単に装着するのみでワークAの設置固定作業を完了することができる。
【0019】
次いで、図4(c)に示すように、切削工具2aを用いて、ワークAの切削加工を行う(切削加工ステップ)。
一方、図4(c)の下部に示すように、ワークAの切削加工を行っている間に、次に切削加工を行うワーク100(以下、ワークBと称す)をバイス部Aとは別のバイス部18(以下、バイス部Bと称す)に取り付けておく(次段ワーク取付ステップ)。なお、ワークBが固定されたバイス部Bをワーク固定済バイス部Bと称す。
【0020】
次いで、ワークAの切削加工が終了した後、図4(d)に示すように、ワーク固定済みバイス部Aをアタッチメント部17から脱離する(脱離ステップ)。そして、ワーク固定済バイス部Bをアタッチメント部17上面に装着する(次段装着ステップ)。ここで、ワーク100に対する外段取りを行うことで、切削加工が終了したワーク100を取り外した後、次に切削加工を行うワーク100を素早くワーク設置部1に設置固定することができる。
次いで、図4(e)に示すように、アタッチメント部17から脱離したワーク固定済みバイス部AからワークAを取り外す(ワーク取外ステップ)。以降、切削加工ステップから後段の工程を繰り返す。
【0021】
次に、切削加工装置による加工異常検出動作について説明する。図5はこの発明の実施音形態1に係る切削加工装置による加工異常検出動作を示すフローチャートである。
この切削加工装置による加工異常検出動作では、まず、閾値設定手段152は、切削加工を行う前に使用者により入力された加工条件(切削加工対象のワーク100の材質など)を基に、切削工具2aに掛かる切削加工力に対する閾値を設定する(ステップST1)。
一方、生産ラインでは上述した工程に従い、切削加工対象のワーク100がバイス部18に位置決め固定され、アタッチメント部17に装着される。そして、このワーク100の切削加工が行われる。
【0022】
次いで、切削動力計12は、切削加工の開始に伴い、切削工具2aに掛かる切削加工力を一定の周期で測定する(ステップST2)。次いで、動力計測定データ取得手段151は、切削動力計12により測定された切削加工力を示すデータを取得し、記録する。
【0023】
次いで、比較手段153は、動力計測定データ取得手段151により取得された切削加工力を示すデータと、閾値設定手段152により設定された閾値とを比較する。そして、比較手段153は、この切削加工力が閾値を超えたかを判断する(ステップST3)。
このステップST3において、比較手段153が、切削加工力が閾値を超えていないと判断し、切削加工が途中の場合(ステップST4‘NO’)には、切削加工を継続する。
【0024】
一方、ステップST3において、比較手段153が、切削加工力が閾値を超えたと判断した場合には、操作指示手段154は、切削加工部2に対して切削加工の停止を指示し、切削工具2aの交換を指示する(ステップST5,6)。なお、切削加工部2にて、ツールチェンジャなどの工具交換機能を有していない場合には、PCのモニタ上に切削工具2aの交換指示を示すメッセージなどを表示して作業者に報知するようにしてもよい。そして、切削工具2aが交換された後、切削加工が残っている場合には加工を再開する。
【0025】
以上のように、この実施の形態1によれば、ワーク100を位置決め固定したバイス部18を、切削動力計12の上方に取り付けたアタッチメント部17に着脱可能に構成したので、ワーク100の外段取りを可能とすることで生産ラインでの作業効率を高めることができ、加工異常検出を適用することができる。よって、ワーク100の取り付け時間の短縮化を図ることができるとともに、加工不良の検出を実現することができる。
【0026】
なお、実施の形態1では、ワーク100に対する切削加工状態として、切削工具2aに掛かる切削加工力を計測して演算処理を行うことで、加工異常を検出する場合について示したが、これに限るものではなく、ワーク100に対するその他の切削加工状態を計測して演算処理を行うことで、加工異常を検出するように構成してもよい。
また、実施の形態1では、切削加工装置を例に説明を行ったが、これに限るものではなく、その他の加工装置に対しても同様に適用可能である。
【0027】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 ワーク設置部
2 切削加工部
2a 切削工具
11 T溝定盤(テーブル)
11a 溝
12 切削動力計(センサ、切削加工力測定手段)
13,16 治具
14 ケーブル
15 演算部
17 アタッチメント部
18 バイス部
100 ワーク
181 固定壁
182 可動壁
182a クランプ用ねじ
183 ストッパ部
151 動力計測定データ取得手段
152 閾値設定手段
153 比較手段
154 操作指示手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが配置されるテーブル上に取り付けられ、前記ワークに対する加工状態を測定するセンサを備えた加工装置において、
前記センサ上に取り付けられたアタッチメント部と、
前記ワークを位置決め固定し、自身が前記アタッチメント部に着脱可能な複数のバイス部と
を備えたことを特徴とする加工装置。
【請求項2】
前記センサは、前記ワークに対する加工中に、当該加工に用いている工具に掛かる切削加工力を測定する切削加工力測定手段であり、
前記切削加工力測定手段により測定された切削加工力が所定の閾値を超えたかを判断する比較手段と、
前記比較手段により切削加工力が前記閾値を超えたと判断された場合に、前記加工を停止させて当該加工に用いている工具の交換を指示する操作指示手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
ワークが配置されるテーブル上に取り付けられ、前記ワークに対する加工状態を測定するセンサと、前記センサ上に取り付けられたアタッチメント部と、前記ワークを位置決め固定し、自身が前記アタッチメント部に着脱可能な複数のバイス部とを備えた加工装置による加工方法において、
第1のバイス部に加工対象のワークを取り付けるワーク取付ステップと、
前記ワークが取り付けられた前記第1のバイス部をアタッチメント部に装着する装着ステップと、
前記アタッチメント部に前記第1のバイス部を介して固定されたワークに対して加工を行う加工ステップと、
前記加工ステップを行っている間に、第2のバイス部に次の加工対象のワークを取り付ける次段ワーク取付ステップと、
前記加工が終了した後、前記第1のバイス部を前記アタッチメント部から脱離する脱離ステップと、
前記第1のバイス部が脱離されたアタッチメント部に前記次の加工対象のワークが取り付けられた前記第2のバイス部を装着する次段装着ステップと、
前記アタッチメント部から脱離した前記第1のバイス部からワークを取り外すワーク取外ステップと
を有することを特徴とする加工方法。
【請求項1】
ワークが配置されるテーブル上に取り付けられ、前記ワークに対する加工状態を測定するセンサを備えた加工装置において、
前記センサ上に取り付けられたアタッチメント部と、
前記ワークを位置決め固定し、自身が前記アタッチメント部に着脱可能な複数のバイス部と
を備えたことを特徴とする加工装置。
【請求項2】
前記センサは、前記ワークに対する加工中に、当該加工に用いている工具に掛かる切削加工力を測定する切削加工力測定手段であり、
前記切削加工力測定手段により測定された切削加工力が所定の閾値を超えたかを判断する比較手段と、
前記比較手段により切削加工力が前記閾値を超えたと判断された場合に、前記加工を停止させて当該加工に用いている工具の交換を指示する操作指示手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
ワークが配置されるテーブル上に取り付けられ、前記ワークに対する加工状態を測定するセンサと、前記センサ上に取り付けられたアタッチメント部と、前記ワークを位置決め固定し、自身が前記アタッチメント部に着脱可能な複数のバイス部とを備えた加工装置による加工方法において、
第1のバイス部に加工対象のワークを取り付けるワーク取付ステップと、
前記ワークが取り付けられた前記第1のバイス部をアタッチメント部に装着する装着ステップと、
前記アタッチメント部に前記第1のバイス部を介して固定されたワークに対して加工を行う加工ステップと、
前記加工ステップを行っている間に、第2のバイス部に次の加工対象のワークを取り付ける次段ワーク取付ステップと、
前記加工が終了した後、前記第1のバイス部を前記アタッチメント部から脱離する脱離ステップと、
前記第1のバイス部が脱離されたアタッチメント部に前記次の加工対象のワークが取り付けられた前記第2のバイス部を装着する次段装着ステップと、
前記アタッチメント部から脱離した前記第1のバイス部からワークを取り外すワーク取外ステップと
を有することを特徴とする加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2013−49105(P2013−49105A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187400(P2011−187400)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
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