説明

加減算学習器及び加減算学習器の玉数変更方法

【課題】 本発明は、学習に使用する複数の玉と、控えの玉を紛失することなく扱うことができ、又学習する数の変更に対応でき、且つコンパクトに収納可能な加減算学習器を提供する。
【解決手段】 学習に使用する玉、控えの玉をいずれもアーチフレーム組立体2のフレーム21に追加、削除不可の状態で、フレーム端部15、16を可動ストッパ37に固定し、学習に使用する玉を本体3の上部に、控えの玉を本体の内箱部35に配置する。またアーチフレーム組立体2は本体3に対して起立状態を維持する構造を備え、又水平状態で玉の入れ替えが可能なように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は数の四則演算の学習用教材に係わり、特に加算、減算の学習に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
これまでの加減算学習器としては、例えば、基盤目状の多数の桁目に問いと答えを表示したものがある。また玉を数えて数を覚えるものや、そろばん玉を使って、足し算、引き算を学習するものが知られている。(特許文献1)
【0003】
また別の事例では問題と回答をそれぞれ表示手段に投影させて見るよう構成したものがある。(特許文献2)
【0004】
また、従来技術として示す別の実施例では、複数のサイコロの各面に数字を表記し、これらのサイコロを転動させた後、例えば上面の数同士を足し算させて学習するものがある。(特許文献3)
【0005】
又、問題の回答を回答表示板に水性ボールペンで書き換え可能に書かせて学習するものがある。(特許文献4)
【0006】
又、磁気吸着板で表示ボードを形成し、磁石を組み込んだ文字こまを使って回答させるものがある。(特許文献5)
【0007】
又、問題カード、回答カードを使い、その組み合わせで学習を行うものがある。(特許文献6)
【0008】
また、玉を使って複数の数を表示し、これらの玉を一箇所に並べて加算の学習を行う、学習器が示されている。(非特許文献1)
【0009】
【特許文献1】実開平07-43839号公報
【特許文献2】特開平07-281585号公報
【特許文献3】特開平09-2307812号公報
【特許文献4】特開昭61-50982号公報
【特許文献5】実開昭63-187168号公報
【特許文献6】実開平02-62581号公報
【非特許文献1】株式会社学習研究社_カタログ、P341、特別支援教育総合カタログ、 平成19年度版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上説明した従来技術は、玉とかそろばん玉を使って具体的に数を覚えさせたり、複数の数を玉数で対応させて表示し、これらの加減算(この学習器を扱う業界では、加算のことを合成、減算のことを分解とも呼称している。ここでは以降加算の場合を例にとり説明する。)を学習するに当たり、これらの複数の数毎に玉数で表したものを使って、更にこれらの玉を一箇所に並べ換えたもので加算結果を学習させるもの(特許文献1、非特許文献1)とか、数という抽象概念で表示されたもの同士を加減算した結果を表示させ、回答の正誤を確認するもの(特許文献1から特許文献6)である。
【0011】
一方、数の加算の学習を行う上では、数の加算を玉等の具体的な事例で学ばせるだけでなく、数という抽象概念の加算を頭の中で構築することが極めて大切である。
【0012】
しかし、こうした具体的な事例による演習と、数を頭の中で加算すると言う抽象的な学習を一つの学習器で関連付けて学習することが数の加減算を学ぶ上で大切な勘所であるが、これを実現するものが、上記した複数の公知文献でも示す様に見当たらず、数の学習を行う上で問題点を有していた。
【0013】
又複数の数を、玉の数で表示させる場合、前の問題が終了し次の問題に移行する場合に玉の数を変更する必要があるが、煩雑な手順で玉を増減させたり、その際球形故に掴み損ない玉を落とし紛失するといった問題も想定された。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題を解決するため本発明は、内箱部を設けた本体、複数の玉をフレームに挿通したフレーム組立体とを備え、上記複数の玉を挿通したフレームの両端部が別部材に固定された構造を有し、且つ学習に使用する玉を上記本体の上部に、又学習に使用しない玉を予備玉と呼べば、予備玉を上記内箱部に配置したものである。
【0015】
また本発明は、更には次のような構成とすることも可能である。
前記フレーム組立体がフレーム、複数の玉、及び別部材から構成され、又フレームが下フレーム、右側フレーム、上フレーム、左側フレームから構成され、フレームに挿通されている玉が下フレーム、右側フレーム、上フレーム、左側フレーム間に亙って挿通する様構成するようにしても良い。
【0016】
また本発明は、更には次のような構成とすることも可能である。
前記フレーム組立体がフレーム、複数の玉、及び別部材から構成され、又フレームが下フレーム、右側フレーム、上フレーム、左側フレームから構成され、フレームに挿通されている玉が下フレーム、右側フレーム、上フレーム、左側フレーム間に亙って挿通する様構成するようにしても良い。
【0017】
また本発明は、更には次のような構成とすることも可能である。
前記フレーム組立体においてフレーム端部を固定している別部材側を本体の内箱部に挿入した状態で、前記別部材より内箱部の入り口端部(すなわち本体の後端部)に、上記内箱部の上下に渡って固定部材を配置した構成を有し、且つ前記L溝の横溝に関して縦溝と反対位置にフレーム組立体の右側フレーム、左側フレームを移動させることにより、本体に対するフレーム組立体の起立状態を維持する構成とし、且つフレーム組立体の右側フレーム、左側フレームを上記横溝の縦溝のある側に移設し、この縦溝を使って上記フレーム組立体を回動させ、起立状態から水平状態とする機構を備えるよう構成しても良い。
【0018】
また本発明は、更には次のような構成とすることも可能である。
前記フレーム組立体を前記本体の内箱部に収納する構造を備えるようにしても良い。
【0019】
また本発明は、更には次のような構成とすることも可能である。
学習に使用する2つの数を玉数(これを玉群と呼ぶ。)に対応させ、且つこれらの数に対応させた玉群をフレーム組立体の右側フレーム、左側フレームに分けて配置する部分を隠蔽する位置に数字パネルを配置し、且つこれらの数の合算を、右側フレーム、左側フレームに分けて配置されている玉群を上フレームに集め合成し、合成された玉数をカウントすることにより、加算結果を学習させる上フレーム中央位置を隠蔽する位置に数式パネルを配置しても良い。
【0020】
また本発明は、更には次のような構成とすることも可能である。
前記数式パネルとして、この数式パネルを挿着する複数の溝穴を本体上板部材に設けこの溝穴位置を変えることにより、この溝穴に数式パネルを挿着状態で,数式パネルの高さ方向位置を変えるようにしても良い。
【0021】
また本発明は、更には次のような構成とすることも可能である。
本体上板部材の後端部に左右1対のI溝を設け、且つ本体に対しフレーム組立体の起立状態で、フレーム組立体の別部材加面に配置したピンを、本体の内箱部加面に配置した小穴に挿着する構造を備えても良い。
【0022】
また本発明は、更には次のような構成とすることも可能である。
前記内箱部の上下に亙って配置した固定部材の上部に、上記フレームの挿通する上部通し溝を備えても良い。
【0023】
また本発明は、更には次のような構成とすることも可能である。
前記本体に対してフレーム組立体の水平状態に於いて、前記内箱部に配置している玉を、右側フレーム、上フレーム、左側フレーム側に移設させ、更にL溝の縦溝を介してフレーム組立体を水平状態から起立状態に回動させ、しかる後にフレーム組立体を横溝に関して、縦溝のある側と反対側に移設することで、学習用の玉数の変更を行っても良い。
【発明の効果】
【0024】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては以下に列挙する効果が期待できる。
【0025】
(1) 本発明は、数を玉数に置き換えた具体例を使って、本体の上で加算の学習を実習で行い、又実習に使用しない予備玉を本体の内箱部に収納する学習器を提供することが出来る。
【0026】
(2) また本発明は、学習に使用する玉と使用しない予備玉とをいずれもフレーム組立体のフレームに挿通し、且つこのフレームの両端部が別部材に固定された構造としているため、次の加算の学習を行う際に球数の変更を行っても単にフレーム内の玉位置を内箱部と本体上部間で変えるだけで済むため、この玉の変更に伴う玉単体の脱落・紛失と言ったトラブルを解消することが可能である。
【0027】
(3) また本発明は、本体後方に配置したL溝を使って、本体に介してフレーム組立体を水平状態から起立状態に回動させることが出来る。
【0028】
(4) また本発明は、L溝の横溝を使ってフレーム組立体の起立状態を維持し、又縦溝を使ってフレーム組立体を起立状態から水平状態に回動させることが出来る。
【0029】
・ また本発明は、フレーム組立体を本体の内箱部に収納保存することが出来る。
【0030】
・ また本発明は、学習者から見て、フレーム組立体の右側フレーム、左側フレームに数に相当する玉数を配置した部位を数値パネルで覆うことが出き、また玉を合体するため左右の玉を上フレームに集合させて示すが、この部位を数式パネルで隠蔽することが出来る。
【0031】
(7) また本発明は、数式パネルを挿着する穴を本体の上面部材に2個設け、これらの穴に数式パネルを挿着する位置により、一方では上フレームの玉を隠蔽し、他方で上フレームの玉を見えるように構成している。これにより隠蔽した場合は抽象概念である数を使った数式で示す加算を頭の中で行う学習が出来る。また玉を見えるようにすることにより、抽象的な加算学習と、具体的な玉を使った演習とを対比させて学習することが可能となる。
【0032】
(8) また本発明は、上記したL溝に変わりI溝とした場合のフレーム組立体の起立状態を維持する構造として前記別部材下部に設けたピンを本体内箱部下面に設けた穴に挿着する構造を提供することが出来る。
【0033】
(9) また本発明は、上記フレーム組立体を本体の内箱部に挿入後固定部材で内箱部の入口部を固定する構造としているが、この固定部材の上部にフレーム幅寸法より大きな溝を形成したものである。この溝により、本体からフレーム組立体を取り外すことが出来る。
【0034】
(10) また本発明は、本体に対して起立したフレーム組立体を回動させ水平状態にし、内箱部にある予備玉と本体より上にある玉数を変更することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下この発明を実施するための最良の形態について、図を参照して詳細に説明する。
図1ないし図10に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、図1は、加減算学習器1を右上前方から見た斜視図を、図2は、加減算学習器本体5の上板部材31の後端部の左右に一対設けたうちのひとつのL溝5の拡大斜視図を、図3は、2つの数をアーチフレーム21に挿通した玉の数で表示したものにおいて、右側フレーム25に一つの数を示した複数の玉を、又左側フレーム26にもう一つの数を示した複数の玉を、何れもこれらの両側フレーム25、26の下端に配置した場合の斜視図を示す。図4は、加減算学習器1の本体上板部材31の所定位置に着脱自在に挿着する複数のパネル41〜43を説明するための斜視図を示す。
【0036】
また図5、図6は、学習に使用する玉の数の変更手順を説明するために作成した図であり、図5は本体3に関して、アーチフレーム組み立て体2を直角に立てた起立状態の斜視図、図6は本体3に対して、アーチフレーム組立体2を起立状態から回動させて水平に寝せた状態にした斜視図を示す。
【0037】
図7は、本体3の内箱部35においてアーチフレーム組立体2の起立状態を構造的に解説するためのもので、図6においてA面で断面をとった断面図を示す。又図8はアーチフレーム組立体2の平面図を示す。
【0038】
又図6に本体3に対してアーチフレーム組立体2を水平状態にした図を示しているが、この状態からアーチフレーム組立体2を、本体3の内箱部35に収納した状態を図9に示している。また図10は、数式パネル_A 63を本体3上に装着位置を変えることで、数式パネル_A 63の高さ位置を変えたものを示している。
【0039】
本発明を実施するための最良の第1の形態において、先ずアーチフレーム組立体2について、図8を用いて説明する。
アーチフレーム組立体2は、アーチフレーム21、複数の玉10がアーチフレームに挿通された状態で、アーチフレームの端部15、16が可動ストッパ部材37の左右端部に開けられた小穴(表示せず。)に一部挿入された状態で固定されている。
【0040】
図6において、固定ストッパ部材36を本体に取り付ける前の状態にて、上記アーチフレーム組立体2を可動ストッパ部材37側より本体3の内箱部35に挿入させた後、固定ストッパ部材36を図6に示す位置に締結固定(図示せず。)するよう構成している。
【0041】
但し、一旦図6に示す状態に本体3とアーチフレーム組立体2を組み立てた状態にて、例えばトラブル等で、アーチフレーム組立体2を本体3から取り外すことを考慮しなければ、図6に示す状態にて本体3と固定ストッパ部材36を接着固定するようにしてもかまわない。
【0042】
この状態にて、本体3の上板部材31より上に置かれる、加算に使う2種類の数に相当する玉を、本体3の内箱部35より手前側に移設した状態(この状態を図6に示す。)で、L溝5の縦溝51を利用してアーチフレーム組立体2を回動させて立ち上げる。その為一対のL溝の縦溝間の寸法と、アーチフレーム組立体2の右端フレーム25と左端フレーム26間の寸法を同じ値に設定している。
【0043】
その後で、アーチフレーム組立体2をL溝5の横溝52内で右端側から左端側に移動させる。この状態を図4、図5、図7に示す。
L溝5の溝幅はアーチフレーム21のフレーム径とほぼ等しく作られ、又、アーチフレーム21が該L溝5を挿通出来るような寸法にて勘合するように設定されている。又図7において、この状態で固定ストッパ36の右端と可動ストッパ37の左端とが当接するよう構成している。この様に構成することにより、アーチフレーム組立体2は、本体3に設けたL溝5の横溝52の左端部にて起立状態が保たれるようにしている。
【0044】
次に本体3の上に移動させた玉であるが、本発明の最良の形態として示すものは、2つの数を玉の数で示したもののうちの、一つの数を例えば赤玉としてアーチフレームの左側フレーム26下端に、もう一つの数を例えば黄玉としてアーチフレーム21の右側フレーム25下端に配置させたものを図3に示す。
【0045】
この状態で左の玉の数、右の玉の数が幾つかを学習させ、必要に応じてその数を書き込んだ数値パネル41、42を対応する溝穴6、7に挿着し、具体的な玉数と、抽象的概念である数字を対比させて学習することが出来る。
【0046】
次に左右に分けて配置した玉を、上フレーム24に移設する。この状態を図1に示す。この状態で玉の総数を数え、2つの数の和がこの玉の総数になることを、具体的な玉を使って学習する。
【0047】
本発明の最良の形態として示す本例にては、この2つの数の加算を示す数式を数式パネル43に書き込み溝穴8に挿着する、この状態を図1に2点差線で示した。
【0048】
また本発明の最良の形態として示す本例にては、この状態でT状をなす数式パネル43の上部の横長パネル62で、学習者側66から加減算学習器1を眺めて、上フレーム24に配設した複数の玉10を隠蔽するよう構成している。
これにより、玉を使って具体的に学習した数の加算を演習で行った後、具体的な玉10を隠すことで、抽象概念としての数の加算式を表記した数式パネル43のみを示し、頭の中で数の加算を行い回答を出すと言う学習を行うことが出来る。
【0049】
また本発明の最良の形態として示す別の例にては、この状態でT状をなす数式パネル43の上部の横長パネル62で、学習者側66から加減算学習器1を眺めて、上フレーム24に配設した複数の玉10も見えるように構成している。
これにより、玉を使って具体的に学習した数の加算を演習で行ったものと、抽象概念としての数の加算式とを双方を学習者に見せることにより、頭の中での思考と具体的演習とを対比させて学習できると言う効果が期待できる。
【0050】
又、数式パネルの高さを2段階に変えられるよう構成し、一つのポジションでは玉の隠蔽を、別のポジションでは、上フレームにある玉と数式の双方を学習者に見せるようなものを容易に考えることが出来る。これを図10を使って後述する。
【0051】
以上説明した本発明に近い公知例を図18に示す。このものは本発明で示したものと同様、複数の玉を使った加算の学習が出来るものであり、右側フレーム25、左側フレーム26の下端に加算に使う数に相当する玉を配置し、該当する数を書いた数字札を本体3の右札置き72、左札置き73に置く様構成している。
【0052】
また左右に配置した複数の玉を上フレーム24に移設し、これらの玉の総数を
カウントし、回答を中央札立て71に立てるよう構成している。
以上説明した従来例では、玉を使った具体例を使った加算の学習を目的としており、ここでは玉の数、加算結果を単に数字に置き換えているだけであり、肝心の頭の中で抽象概念としての加算式を使った思考による学習ができないと言う問題がある。
【0053】
次に一つの問題が終わり次の問題を開始するにあたりその準備作業として行う、玉の数を変更する手順について説明する。
この準備作業について、先に従来技術を図18を使って説明する。
この図では、数を2種類の色玉で表現しており、例えば前の学習として左に赤玉3個、右に黄玉3個の加算を学習したとして、次の学習で赤玉5個、黄球2個の問題を学習する場合は、この学習を行うため、本体3の左右突起81,82に着脱可能に挿着しているアーチフレーム21を、これらの突起81、82から外し、別に設けた玉・札入れ箱13に保管している予備玉83のうち赤球2個を取り出し、左側フレーム26の下端部からこの2個の赤玉を挿入すると共に、アーチフレーム21に挿入されている黄玉1個をこのアーチフレーム21から外すと言う煩雑な作業を行った後、再び左右突起81、82にアーチフレーム21を挿着するようしている、
【0054】
このため、上記した本体3の左右突起81、82からアーチフレーム21を外した際に、該アーチフレーム21に挿入されている球形の玉10が抜け落ち、転がり飛散し紛失することが想定される。それだけでなく球形をなす玉を掴み損ね落としたり、赤玉を入れる作業時に誤って黄玉が抜け落ちると言ったトラブルも想定される。
【0055】
本発明は、上記した従来技術で想定された玉の着脱時におけるトラブルを回避するため、予めアーチフレーム組立体2に、予備玉を含めて全ての玉10をフレームに挿入状態としており通常学習時にはアーチフレーム組立体2から玉10が外れないよう構成している。また数の学習時は使う玉をアーチフレーム21の本体3の上に、又予備の玉を本体3の内箱部35に配置するよう構成している。その結果従来技術で発生が予測されていたアーチフレーム21への玉10の着脱が、本発明で無いため、従来技術で発生していた玉の脱落、紛失と言ったトラブルを回避することが出来る。
【0056】
この演習に使う玉数の変更手順は、本体3に対して起立状態にあるアーチフレーム組立体2を、L溝を使って回動させて水平状態とし、本体内の内箱部35に収納されている玉を出し入れして行うが、その手順の詳細は既に上記したのでここでは説明を省略する。
【0057】
次に本発明の別の実施例を図11を使って説明する。
本発明の最良の形態として前記で説明したものでは、本体3に対して、アーチフレーム組立体2の起立状態での姿勢の維持を、アーチフレーム21をL溝5の横溝52に挿通させることと、固定ストッパ36と可動ストッパ37との接合させることで行っていた。しかし、本例にてはL溝5の代わりにI溝61とし、このI溝61にアーチフレーム21を挿通させ、アーチフレーム組立体2を水平状態から起立状態に回動させ、図12に示す様に固定ストッパ36の右端に、可動ストッパ37の左端を当接させた状態にて、可動ストッパの下端面に配置したピン34を本体3の下板部材32に設けた小穴29に挿入させることで行っている。
【0058】
又、アーチフレーム組立体2の起立状態から、玉数の入れ換え作業を行うには、アーチフレーム組立体2を本体3から引き上げ、上記小穴29からピン34を外し、I溝を利用してアーチフレーム組立体2を起立状態から水平状態に回動させ、内箱部35にある玉10を上板部材31側に必要な数だけ出し入れ移動させることで行うよう構成している。
【0059】
次に本発明の最良の形態を示す、I溝61を利用した別の実施例を図13、図14を使って説明する。
本例では図12に示すピン34と小穴29の代わりに、可動ストッパ37の下面を、本体3の下板部材32に設けた回動防止溝28に落とし込むことにより、アーチフレーム組立体2の起立状態を維持するよう構成している。
【0060】
この場合は、玉数変更の際は本体3に関して、アーチフレーム組立体2を上方向に相対的に移動させ、可動ストッパ37の下面の、本体3の下板部材32に設けた回動防止溝28への落とし込み状態を解除することにより、容易にI溝を使ってアーチフレーム組立体2を回動させて水平状態として、玉の変更を行うことができる。
【0061】
以上説明した本発明の最良の形態においては、本体3に対して起立状態から水平状態にしたアーチフレーム組立体2に関して、可動ストッパ37、下フレーム23、右側フレーム25、左側フレーム26の一部、及び控えの玉10が本体3の内箱部35に収納されている。
【0062】
一方この状態で図6に関して可動ストッパ37より手前に固定ストッパ36が位置するように構成されており、又この固定ストッパは締結、接着等で本体に固定されている。このため、通常使用時は本体3からアーチフレーム組立体2が外れないよう構成されている。
【0063】
従って、通常の使用状態、保管状態においてはアーチフレーム組立体2は本体3より分離されることが無いため、上記した控え玉も含めてアーチフレーム21に挿通した状態で、このフレームから抜けることなく管理できる。従って、通常学習時、保管時を含め、加減算学習器1の一部の部品が無くなる恐れが無い。
【0064】
図9にアーチフレーム組立体2を本体3の内箱部35に収納した状態を示す。この様にアーチフレーム組立体2を押し込んだ状態で収納できるようにアーチフレーム組立体2と内箱部35の寸法が設定されている。
本発明では以上説明した構成としているため、左、右側フレーム25、26のフレーム長を長く設定すると、本体3の前後寸法Xが大きくなる。そこでこの寸法Xを小さく設定するため、左、右側フレーム25、26を伸縮自在なフレームとすることが考えられるが、この場合も本発明に含まれることになるが、ここでは詳述しない。
【0065】
本発明の最良の形態の別の実施例を図10を使って説明する。この例は数式パネル63を差し込む溝穴として、本体3の中央溝穴8と別に中央溝穴_A 9の2種類設け、中央溝穴8に数式パネル_A 63を挿着した状態で学習者側66から見てアーチフレーム21の上フレーム24にある玉10がこの数式パネル_A 63にて隠れるように、また数式パネル_A 63の下突部64を中央溝穴_A 9に挿着した状態で学習者側66から見てアーチフレーム21の上フレーム24にある玉10がこの数式パネル_A 63の上部に見えるように構成している。
【0066】
この様に構成することにより、数式パネル_A 63を挿着する穴の位置を変えることにより、数式のみで演算させる頭の中での抽象作業工程を経た加算の学習を行うだけでなく、数式と玉の両方を学習者に見せることにより、抽象作業工程と、玉を使った具体的な演習とを対比させた学習を選択的に実施することが可能である。
【0067】
以上説明した本発明の最良の形態では、いずれも例えば図4にても判る様にアーチフレーム組立体2の一部が本体3の内箱部35に入った状態にて、固定ストッパ36にてアーチフレーム組立体2と本体3とが分離切り離されないように構成している。
このため、仮にアーチフレーム組立体2にトラブルが発生した場合は、本発明の最良の形態として示した事例では、締結ねじを取り去り固定ストッパ36を本体3から外して例えば別のアーチフレーム組立体2に置き換えることになり、この為締結部材の取り外し、再取り付けという煩雑な作業を必要としていた。
又本発明の最良の形態として示した別の事例において、固定ストッパ36を本体3の内箱部35に接着固定している事例では、最悪固定ストッパ36を強制的に破壊・排除して対応する必要があった。
【0068】
本発明の別の実施例を図15に示す。
本例では固定ストッパ36の上部にアーチフレーム21が挿通出き、且つ可動ストッパ37、玉10を挿通した部分を内箱部35に入れた状態ではアーチフレーム21が挿通出き無いような適当な幅のクリアランスに設定した上部通し溝27を設けたものである。
【0069】
この様に構成したので、例えば可動ストッパ37、玉10を挿通した部分を内箱部35に入れた状態となっている図6、図9に示す場合は、アーチフレーム組立体2をこの姿勢のままで内箱部35から引き出しても、稼動ストッパ37が邪魔となって、アーチフレーム21を内箱部35に関して上板部材31の下面に接する状態に出来ないため、この上部通し溝27を挿通することが出来ない。その為通常の学習時、収納時には本体3とアーチフレーム組立体2は互いに分離されることが無い、
【0070】
このため加減算学習器の一部の部品が紛失すると言ったトラブルを解消することが出きる。
次にアーチフレーム組立体2に何らかのトラブルがあった場合で、交換が必要な場合について図16を使って説明する。
【0071】
本図は、本体3に関して、アーチフレーム組立体2を図6に示す状態にて、アーチフレーム組立体2のみ90度時計回りに回転させ、玉10を内箱部35から外部に出した状態を示している。(ここでアーチフレーム組立体2のみ90度時計回りに回転させる場合を取り上げたが、勿論アーチフレーム組立体2のみ90度反時計回りに回転させても、または更に90度回転させ上フレーム24を固定ストッパ36の奥に配置するようにし、この上フレーム24に玉10がないようにさせても、下記したのと同様に、本体3とアーチフレーム組立体2とを分離できるのは言うまでもない。)
【0072】
この状態では内箱部35にはアーチフレーム21のみしかないため、容易にアーチフレーム21を本体3の上面部材31の下面に接触させた状態で上部通し溝27を挿通させることができ、これにより本体3とアーチフレーム組立体2とを分離することができる。
【0073】
この様にして本体3から分離したアーチフレーム組立体2のトラブルを修理し、今説明したのと逆の手順で図6に示す状態に戻すことが可能である。又は、新しいアーチフレーム組立体2を上部通し溝27を介して本体に取り付けることができる。以上のように構成すれば、本発明の最良の形態で説明したように固定ストッパを止めている締結部品を外したり、再取り付けしたり、接着している場合は固定ストッパを強制的に排除しないで交換することができる。
【0074】
本発明の最良の形態の別の実施例を図17を使って説明する。
図1に示す様に本発明の最良の形態として示す第一の加減算学習器1では、2つの数字パネル41、42、一つの数式パネル43を、本体3の上板部材31に設けた溝穴6、7、8にそれぞれ挿着していたが、本例ではこれら3個のパネルを一つにした合体パネル44としたものである。
【0075】
この合体パネル44には、数字表示部_右45、数字表示部_左46、及び数式表示部47を設けた事例として示した。
本例をこの様に構成することにより、玉を使った具体例での加算の学習の後、合体パネル44を本体3の上板部材31に設けた中央溝穴8に挿着するだけで、これらの玉を合体パネルで覆い、又数字、数式を所定の欄に記入して、頭の中での抽象概念としての加算を学習することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は教育学習を補助する学習器を開発供給する産業で、好適には数の四則演算を行うのに使用する学習器として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の最良の第一の形態として示す加減算学習器1の概観図。
【図2】加減算学習器1の上板部材31の後端部の左右に一対も受けたうちの一つのL溝の拡大斜視図。
【図3】2つの数を玉数で示し、且つアーチフレーム21の左右に分けて玉を配置した斜視図。
【図4】加減算学習器1の上板部材31に挿着する複数のパネルを説明するための全体斜視図。
【図5】アーチフレーム組立体2を起立した状態の加減算学習器1を裏側から見た斜視図。
【図6】上記図5において、起立状態からアーチフレーム組立体2を回動させ、水平状態とした加減算学習器1の全体斜視図。
【図7】上記図6においてA面で断面を取った断面図。
【図8】アーチフレーム組立体2の平面図。
【図9】アーチフレーム組立体2を本体3の内箱部35に収納した状態の全体
【図10】数式パネルの挿着高さを2段階に変更できる、本発明の最良の形態の別の実施例を示す、全体斜視図。
【図11】本発明の最良の形態第一の形態で示したL溝をI溝に変更した別の実施例。
【図12】上記図11にてB面で断面をとった断面図。
【図13】上記図11に示したアーチフレーム組立体2の起立状態維持を可動ストッパ下面に設けたピンに替わる代替案を示す断面図。
【図14】上記図11においてC-Cで断面を取った断面図。
【図15】固定ストッパ36の上端に上部通し溝27を設けた本発明の最良の形態の別の実施例を示す断面図。
【図16】本体3の内箱部35に収納したアーチフレーム組立体2を、この状態で90度時計回りに回動させた全体斜視図。
【図17】左右一対の数字パネルと中央に配置した数式パネルを一つとした合体パネルを適用した加減算学習器の全体斜視図。
【図18】従来技術の1例を示す全体斜視図。
【符号の説明】
【0078】
1 加減算学習器
2 アーチフレーム組立体
3 本体
4 パネル
5 L溝
6 右溝穴
7 左溝穴
8 中央溝穴
9 中央溝穴_A
10 玉
11 赤玉
12 黄玉
13 玉・札入れ箱
14 数字札
15 アーチフレーム左端部
16 アーチフレーム右端部
21 アーチフレーム
23 下フレーム
24 上フレーム
25 右側フレーム
26 左側フレーム
27 上部通し溝
28 回動防止溝
29 小穴
31 上板部材
32 下板部材
33 前面部材
34 ピン
35 内箱部
36 固定ストッパ
37 可動ストッパ
38 右板部材
39 左飯給財
41 数字パネル_左
42 数字パネル_右
43 数式パネル
44 合体パネル
45 数字表示部_右
46 数字表示部_左
47 数式表示部
48 右側_
51 縦溝
52 横溝
53 中央溝
54 下突部
61 I溝
62 横長パネル
63 数式パネル_A
64 下突部
65 底部
66 学習者側
71 中央札立て
72 右札置き
73 左札置き
81 右突起
82 左突起
83 予備玉







【特許請求の範囲】
【請求項1】
内箱部を設けた本体と、複数の玉をフレームに挿通したフレーム組立体とを備え、上記複数の玉を挿通したフレームの両端部が別部材に固定された構造を有し、且つ学習に使用する玉を上記本体の上部に、又学習に使用しない玉を予備玉と呼べば、予備玉を上記内箱部に配置していることを特徴とする加減算学習器。
【請求項2】
前記フレーム組立体がフレーム、複数の玉、及び別部材から構成され、又フレームが下フレーム、右側フレーム、上フレーム、左側フレームから構成され、フレームに挿通されている玉が下フレーム、右側フレーム、上フレーム、左側フレーム間に亙って挿通する様構成されていることを特徴とする請求項1項記載の加減算学習器。
【請求項3】
前記内箱部の開口部が本体の後面側より前側に向けて配置され、又本体上板部材の後端部の左右に一対の縦溝と横溝からなり且つこの縦溝が本体上板部材の後端から手前に向けて、また一対ある該縦溝から同方向に横溝が設けられているL溝を配置し、且つこれらの一対のL溝の一部である縦溝間寸法と、前記フレーム組立体の右側フレームと左側フレーム間の寸法を同一寸法としていることを特徴とする請求項1項、2項記載の加減算学習器。
【請求項4】
前記フレーム組立体においてフレーム端部を固定している別部材側を本体の内箱部に挿入した状態で、前記別部材より内箱部の入り口端部(すなわち本体の後端部)に、上記内箱部の上下に渡って固定部材を配置した構成を有し、且つ前記L溝の横溝に関して縦溝と反対位置にフレーム組立体の右側フレーム、左側フレームを移動させることにより、本体に対するフレーム組立体の起立状態を維持する構成とし、且つフレーム組立体の右側フレーム、左側フレームを上記横溝の縦溝のある側に移設し、この縦溝を使って上記フレーム組立体を回動させ、起立状態から水平状態とする機構を備えた請求項1項から請求項3項記載の加減算学習器。
【請求項5】
前記フレーム組立体を前記本体の内箱部に収納する構造を備えたことを特徴とする請求項1項から5項記載の加減算学習器。
【請求項6】
前記本体に前記フレーム組立体を起立させた状態において、前記右側フレーム、左側フレームの前部に数字パネルを挿着する溝穴と、また上記起立したフレーム組立体より手前で且つこのフレーム組立体の左右中央部に数式パネルを挿着する溝穴とを、前記本体の上板部材に設けてあることを特徴とする請求項1項から5項記載の加減算学習器。
【請求項7】
前記数式パネルとして、この数式パネルを挿着する複数の溝穴を本体上板部材に設けこの溝穴位置を変えることにより、この溝穴に数式パネルを挿着状態で,数式パネルの高さ方向位置を変えることを特徴とする請求項1項から請求項6項記載の加減算学習器。
【請求項8】
本体上板部材の後端部に左右1対のI溝を設け、且つ本体に対しフレーム組立体の起立状態で、フレーム組立体の別部材加面に配置したピンを、本体の内箱部下面に配置した小穴に挿着する構造を備えたことを特徴とする請求項1項から7項記載の加減算学習器。
【請求項9】
前記内箱部の上下に亙って配置した固定部材の上部に、上記フレームが挿通する上部通し溝を備えてなる請求項1項から8項記載の加減算学習器。
【請求項10】
前記本体に対してフレーム組立体の水平状態に於いて、前記内箱部に配置している玉を、右側フレーム、上フレーム、左側フレーム側に移設させ、更にL溝の縦溝を介してフレーム組立体を水平状態から起立状態に回動させ、しかる後にフレーム組立体を横溝に関して、縦溝のある側と反対側に移設することで、学習用の玉数の変更を行うことを特徴とする請求項1項から請求項9項記載の加減算学習器の玉数変更方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−210995(P2009−210995A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56350(P2008−56350)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000152228)株式会社内田洋行 (105)
【出願人】(000134800)株式会社ナナミ (16)