説明

加湿器

【課題】 加湿器の加湿効率を可及的に向上する。
【解決手段】 水を供給する水供給部WSと、前記水供給部WSにより供給される水を通気空間に晒すことにより水蒸気として放出する気化用部材EVとが設けられた加湿器において、前記気化用部材EVに紫外線を照射するための紫外線ランプ3が設けられている。このように構成することによって、必要に応じて気化用部材に紫外線を照射できるようにして、気化用部材の親水性の向上効果を長期に亘って持続させることができ、加湿器の加湿効率を可及的に向上できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水を供給する水供給部と、前記水供給部により供給される水を通気空間に晒すことにより水蒸気として放出する気化用部材とが設けられた加湿器に関する。
【0002】
【従来の技術】かかる加湿器は、一般に通気空間に面する部分の表面積が大となるように構成される気化用部材に水を供給し、その水を通気空間に晒すことによって水蒸気として放出して、湿度を上昇させる装置である。かかる加湿器において加湿効率を向上させるには、気化用部材として、できるだけ水とのなじみが良く、気化用部材における前記通気空間に面する部分に効率良く水を行き渡らせることができる材料が望まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来から種々の部材を気化用部材として使用して、水とのなじみを向上させる試みがなされているものの十分ではなく、加湿器による加湿効率の改善が望まれていた。本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、加湿器の加湿効率を可及的に向上する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記請求項1記載の構成を備えることにより、水を供給する水供給部と、前記水供給部により供給される水を通気空間に晒すことにより水蒸気として放出する気化用部材とが設けられた加湿器において、前記気化用部材に紫外線を照射するための紫外線ランプが設けられている。すなわち、例えばポリエステル等の材料は紫外線を照射することで親水化するので、このような紫外線の照射により親水化する材料を加湿器の気化用部材に使用して、紫外線の照射によって親水性を向上させ、それによって気化用部材の各部に水を行き渡らせて水蒸気の発生を促進するのである。
【0005】この場合において、紫外線を照射することによって親水化した気化用部材を使用すれば、特に紫外線ランプを加湿器内に設ける必要はないとも考えられる。しかしながら、本発明の発明者の実験によれば、気化用部材に紫外線を照射して親水性を向上させても、その効果は永続的なものではなく、ある程度の期間を経ると親水性が元の状態に戻ってしまうことを見出した。そこで、加湿器に紫外線ランプを備えて、必要に応じて気化用部材に紫外線を照射できるようにすることで、気化用部材の親水性の向上効果を長期に亘って持続させることができ、加湿器の加湿効率を可及的に向上できるに至った。しかも、紫外線は殺菌効果を有するので、気化用部材を清潔に保つことができると共に、紫外線ランプを気化用部材の近くに配置すれば、紫外線ランプから発する熱によって気化用部材からの水蒸気の放出を促進することが可能となる。又、気化用部材が、それの下端寄りの箇所において供給された水を吸い上げる形式のものであれば、親水性の向上によって供給された水を効率良く吸い上げて、加湿効率の向上に寄与できる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の加湿器の実施の形態を図面に基づいて説明する。加湿器EHは、通風経路の断面を概略的に示す図1のように、水を供給する水供給部WSと、水供給部WSにより供給される水を通気空間に晒すことにより水蒸気として放出する気化用部材EVとが設けられると共に、気化用部材EVに対して送風するための送風ユニット1と、送風ユニット1から送り出される空気を昇温して温風とするためのヒータユニット2とが設けられ、更に、気化用部材EVに紫外線を照射する紫外線ランプ3が設けられている。図示を省略するが、この他に、水供給部WSに水を補充する給水タンクや、送風ユニット1,ヒータユニット2及び紫外線ランプ3等を制御する制御回路が備えられている。
【0007】水供給部WSは、例えば樹脂製のトレイ4にて構成されて内部に水を貯留している。トレイ4には、図示を省略する水位センサが備えられて、トレイ4に張られた水の水位WLが低下すると前記給水タンクから水が補充される。気化用部材EVは、具体的にはポリエステル製又はPET製の不織布5にて構成されている。不織布5は、結合する繊維間に通気空間が形成されて通気性及び吸水性に優れており、この繊維の表面に吸水した水を行き渡らせることで、供給された水を大面積で通気空間に晒すものとなり、効率良く水蒸気を放出できる。
【0008】不織布5の配置姿勢は、図1に示すように、それの上端が加湿器EHの天板側から吊り下げ支持されると共に、下端がトレイ4内の底に達している。このように、下端側がトレイ4に貯留されている水の中に沈下するように配置される形で、不織布5が水供給部WSであるトレイ4から水の供給を受けて、そのトレイ4の水を上方に吸い上げている。紫外線ランプ3は、この不織布5に紫外線を照射して不織布5を親水化すると共に、波長が254nmの成分を含むことで不織布及びトレイ4の水を殺菌する機能を有している。更に、紫外線ランプ3の発熱によって不織布5が暖められ、不織布5からの水蒸気の蒸発を促進して、送風ユニット1及びヒータユニット2の機能を補助する機能をも有している。
【0009】紫外線ランプ3から照射される紫外線によって不織布5が親水化する効果は、数日で消失するため、紫外線ランプ3は不織布5の親水性を持続させるために、常時あるいは間欠的に点灯動作する。尚、一旦親水性を消失した不織布を親水化するには1日程度の紫外線照射時間を要するため、紫外線ランプ3を間欠的に点灯させるときは、不織布5が親水性を消失する前に紫外線ランプ3を点灯開始させるように点灯周期を設定する。
【0010】加湿器EHの動作を概略的に説明すると、送風ユニット1のファン1aの回転によって空気が加湿器EHの筐体内に取り入れられ、その空気がヒータユニット2のヒータ2a設置箇所を通過することで暖められて温風となる。その温風は、通気性を有する不織布5に吹きつけられ、不織布5を通過することによって不織布5からの水蒸気の放出を促進させ、放出された水蒸気と共に加湿器EHの側壁に形成された排気口6から外部へ送り出される。不織布5は、上述のように紫外線の照射によって親水性を有するため、水蒸気の放出に伴って不足する水分を、トレイ4から効率良く吸水して補充し、不織布5の各部に効率良く行き渡らせる。これによって、不織布5からの効率の良い水蒸気の放出が持続することになる。
【0011】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、気化用部材EVとして不織布5を例示しているが、例えばスポンジ状の部材等、紫外線の照射による親水性を保持させ得る部材であれば、種々の部材を気化用部材EVとして用いることができる。
(2)上記実施の形態では、気化用部材EVに温風を吹き付けて水蒸気の放出を促進させているが、例えば気化用部材EVの表面積を更に拡大させる等によって水蒸気の放出量を増大させることで、必ずしも、温風を供給する手段を備えなくても良い。
(3)上記実施の形態では、水供給部WSは、トレイ4に水を貯留して、その水の中に不織布5の下端側を浸すことで、不織布5に水を供給するように構成しているが、例えば、不織布5の下端に水を滴下させる構成や、不織布5に水を噴霧する構成等、種々の形態で水を供給することができる。
【0012】
【発明の効果】上記請求項1記載の構成によれば、気化用部材に紫外線を照射して親水性を向上させても、その効果は永続的なものではなく、ある程度の期間を経ると親水性が元の状態に戻ってしまうという知見に基づいて、加湿器に紫外線ランプを備えて、必要に応じて気化用部材に紫外線を照射できるようにすることで、気化用部材の親水性の向上効果を長期に亘って持続させることができ、加湿器の加湿効率を可及的に向上できるに至った。しかも、紫外線は殺菌効果を有するので、気化用部材を清潔に保つことができると共に、紫外線ランプを気化用部材の近くに配置すれば、紫外線ランプから発する熱によって気化用部材からの水蒸気の放出を促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる加湿器の内部構成図
【符号の説明】
EV 気化用部材
WS 水供給部
3 紫外線ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水を供給する水供給部と、前記水供給部により供給される水を通気空間に晒すことにより水蒸気として放出する気化用部材とが設けられた加湿器であって、前記気化用部材に紫外線を照射するための紫外線ランプが設けられている加湿器。

【図1】
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